「うちの犬、ニンニク入りの料理を少し舐めてしまったけど、大丈夫かな?」「健康に良いって聞くけど、犬にニンニクを与えても平気なの?」
愛犬の健康を第一に考える飼い主さんにとって、犬に与えて良いものと悪いものの判断は、常に頭を悩ませる問題ですよね。特に、人間にとっては身近な食材であるニンニクは、犬にとって安全なのでしょうか?
この記事では、犬とニンニクの関係について詳しく解説します。ニンニクが犬に与える影響や、万が一食べてしまった場合の症状、そして適切な対処法まで、愛犬の健康を守るために知っておくべき大切な情報をお届けします。
この記事の結論
- ニンニクは犬の赤血球を破壊し、貧血や消化器症状などの中毒を引き起こすため、絶対NG
- 摂取量や個体差で症状は異なるものの、元気消失、嘔吐、尿の変色などが見られたら要注意
- もし愛犬がニンニクを食べてしまったら、すぐに獣医師に連絡し、摂取量や症状を正確に伝える
- 人間用の食べ物を与えない習慣を徹底し、安全な食材選びと保管で愛犬を守ることが大切
目次
犬にニンニクは絶対にNG!その理由とは?

犬にとってニンニクは絶対に与えてはいけない食材です。その理由は、ニンニクに含まれる特定の成分が、犬の体内で赤血球を破壊し、貧血を引き起こす可能性があるためです。
少量の摂取でも体質や個体差によっては重篤な中毒症状を引き起こすことがあり、最悪の場合、命に関わることもあります。
人間にとっては健康に良いとされるニンニクも、犬にとっては毒となることを認識し、決して安易な気持ちで与えないようにすることが重要です。
愛犬の健康を守るためにも、この事実をしっかりと理解しておきましょう。
ニンニクに含まれる犬にとって有害な成分
ニンニクには、犬の体に有害な「有機チオ硫酸化合物」という成分が含まれています。特に「アリルプロピルジスルフィド」や「N-プロピルジスルフィド」などが代表的です。
これらの成分は、犬の赤血球のヘモグロビンを酸化させ、ハインツ小体という変性ヘモグロビンを形成させます。
ハインツ小体が付着した赤血球は脆くなり、最終的に破壊されてしまいます。この赤血球の破壊が、後述する溶血性貧血の原因となります。
加熱しても有害成分が完全に分解されるわけではないため、調理済みのニンニク入り食品も犬には危険です。
ニンニク中毒で起こる主な症状
犬がニンニクを摂取した場合、摂取量や個体差によって症状の現れ方は異なりますが、主に以下のような中毒症状が現れる可能性があります。
症状は摂取後すぐに出ることもあれば、数日経ってから現れることもあります。
そのため、「少し食べただけだから大丈夫だろう」と自己判断せず、異変に気づいたらすぐに獣医師に相談することが重要です。
早期発見・早期治療が、愛犬の命を救う鍵となります。
貧血の症状
ニンニク中毒によって引き起こされる貧血は、溶血性貧血と呼ばれ、赤血球が破壊されることで発症します。具体的な症状としては、以下のようなものが見られます。
歯茎や舌の色の変化:
健康な犬の歯茎はピンク色ですが、貧血になると白っぽく、あるいは青白くなることがあります。
元気消失・ぐったりする:
普段よりも活動性が低下し、ぐったりと元気がなく見えることがあります。
呼吸が荒くなる:
貧血により酸素運搬能力が低下するため、呼吸が速くなったり、荒くなったりすることがあります。
ふらつき・歩行困難:
重度の貧血の場合、平衡感覚が保てなくなり、ふらついたり、うまく歩けなくなったりすることもあります。
黄疸:
破壊された赤血球からビリルビンという色素が放出され、皮膚や目の白い部分が黄色くなることがあります。
これらの症状が見られた場合は、すぐに動物病院を受診してください。
消化器系の症状
ニンニク中毒では、貧血症状以外にも消化器系の症状が現れることがあります。ニンニクに含まれる成分が胃腸に刺激を与えるためと考えられます。
嘔吐:
食べたものを吐き出すことがあります。
下痢:
便が軟らかくなったり、水様便になったりすることがあります。
食欲不振:
食事を全く食べなくなる、あるいは食欲が著しく低下することがあります。
腹痛:
お腹を触られるのを嫌がったり、丸まって震えたりするなど、腹痛を訴えるような仕草を見せることがあります。
これらの症状は、他の病気でも見られる一般的な症状ですが、ニンニクを摂取した可能性がある場合は中毒を疑う必要があります。
その他の症状
貧血や消化器系の症状以外にも、ニンニク中毒ではさまざまな症状が報告されています。
尿の色が赤褐色になる:
破壊された赤血球の成分が尿に排出されるため、尿の色が赤褐色や濃い茶色になることがあります。これは「血色素尿」と呼ばれ、溶血性貧血の重篤な兆候の一つです。
心拍数の増加:
貧血により全身への酸素供給が不足するため、心臓がより多くの血液を送り出そうとして心拍数が増加することがあります。
脱水症状:
嘔吐や下痢が続くと、脱水症状を引き起こすことがあります。皮膚の弾力性が失われたり、目がくぼんだりすることがあります。
痙攣(けいれん):
重症の場合、神経症状として痙攣が起こる可能性も否定できません。
これらの症状が見られた場合も、速やかに獣医師の診察を受ける必要があります。
犬がニンニクを摂取してしまったら?緊急時の対処法

もし愛犬が誤ってニンニクを摂取してしまった場合は、パニックにならず、落ち着いて以下の対処法を行いましょう。
自己判断で様子を見たり、無理に吐かせようとしたりすることは危険です。一刻も早く動物病院に連絡し、適切な処置を受けることが愛犬の命を救うために最も重要です。
摂取量と症状の確認
まず、犬がどのくらいの量のニンニクをいつ頃摂取したのかを正確に把握しましょう。
摂取量
ニンニクそのものか、ニンニクが含まれる料理か。どれくらいの量を食べたのか。具体的なグラム数が分からなくても、おおよそで構いません。
摂取時刻
いつ頃食べたのか、おおよその時間を把握しましょう。
現在の症状
元気はあるか、ぐったりしていないか、嘔吐や下痢はないか、尿の色はどうかなど、愛犬の様子を細かく観察し、獣医師に伝えられるようにメモしておくと良いでしょう。
これらの情報は、獣医師が適切な診断と治療を行う上で非常に重要な手掛かりとなります。
すぐに動物病院へ連絡!
ニンニクを摂取した可能性がある場合は、症状の有無にかかわらず、すぐに動物病院に電話で連絡しましょう。
夜間や休日の場合は、緊急対応している動物病院を探して連絡してください。電話では、以下の情報を正確に伝えます。
- 犬種、年齢、体重
- ニンニクの種類と摂取量、摂取時刻
- 現在の愛犬の症状
- かかりつけの動物病院がある場合はその旨
獣医師からの指示があるまでは、何も与えたり、無理に吐かせようとしたりしないようにしましょう。
獣医に伝えるべき情報
動物病院に到着したら、獣医に以下の情報を詳しく伝えましょう。
摂取したニンニクの種類、量、摂取時刻
炒め物、生、パウダー状など、どのような形態で、どれくらいの量を、いつ頃食べたのか。
愛犬の現在の症状と、これまでの変化
嘔吐、下痢、元気がない、ぐったりしている、ふらつき、尿の色など、気づいたことは全て伝えます。
既往歴や持病、服用中の薬
他に何か病気がある場合や、現在服用している薬がある場合は必ず伝えてください。
アレルギーの有無
過去に何かアレルギー反応を起こした経験があるかも伝えましょう。
これらの情報は、獣医師が迅速かつ的確な診断と治療を行うために不可欠です。
犬の誤食を防ぐための対策と注意点

愛犬のニンニク中毒を未然に防ぐためには、飼い主さんの日頃からの意識と対策が非常に重要です。以下の点を参考に、家庭内で誤食が起きないような環境を整えましょう。
ニンニクを含む食品の管理
家庭内でニンニクを含む食品は、犬の届かない場所に厳重に保管しましょう。
食材の保管
生のニンニクやニンニクパウダー、フライドガーリックなどは、蓋のできる容器に入れ、戸棚や冷蔵庫など、犬が勝手に開けられない場所にしまってください。
調理中の注意
調理中にニンニクの皮や切れ端などを床に落とさないよう注意し、もし落ちてしまったらすぐに拾い上げましょう。
食べ残し
ニンニクが含まれる人間用の料理の食べ残しは、犬が届かない場所に置き、すぐに片付けるか、適切に廃棄しましょう。ゴミ箱も犬が開けられないタイプのものを使用するか、蓋をしっかりと閉めてください。
油の処理
ニンニクの香りが染み込んだ調理後の油なども、犬が舐めないように注意が必要です。
人間用の食べ物を与えない習慣を
「犬に人間用の食べ物を与えない」という習慣を家族全員で徹底することが、最も効果的な誤食防止策です。
おすそ分けの禁止
かわいそうだからと、食卓の料理やスナック菓子などを安易に与えないようにしましょう。たとえ少量でも、犬にとって有害な成分が含まれている可能性があります。
しつけの徹底
「待て」「食べない」などのしつけをしっかり行い、飼い主の許可なく食べ物に近づかないように教えることも重要です。
来客への周知
来客がある際には、犬に人間用の食べ物を与えないよう、あらかじめお願いしておきましょう。
もしもの時のために
万が一の事態に備えて、以下の準備をしておくと安心です。
かかりつけの動物病院の連絡先を控える
診察時間外の緊急連絡先や、夜間・休日診療に対応している動物病院の情報を控えておきましょう。
中毒物質に関する情報を学ぶ
ニンニク以外にも、犬にとって危険な食べ物(チョコレート、玉ねぎ、ぶどうなど)や植物(ユリ、アジサイなど)はたくさんあります。日頃からそれらの情報を学び、知識を深めておくことが大切です。
緊急時の対応フローを確認
家族で、もしもの時にどう行動するか、事前に話し合っておくと、いざという時に落ち着いて行動できます。
犬に安全な代替食材は?

犬の健康維持に役立つ食材はたくさんあります。ニンニクの代わりに、栄養豊富で犬にとって安全な食材を食事に取り入れることを検討しましょう。
ただし、どのような食材を与える場合でも、犬の体質やアレルギーの有無、消化能力を考慮し、少量から与えるようにしてください。
健康維持におすすめの食材
ニンニクの代わりに、犬の健康維持におすすめの食材をいくつかご紹介します。
かぼちゃ
食物繊維が豊富で、腸内環境を整えるのに役立ちます。β-カロテンも含まれています。
さつまいも
ビタミンや食物繊維が豊富で、少量であればおやつにも適しています。
ブロッコリー
ビタミンCや食物繊維が豊富ですが、与えすぎるとお腹を壊すことがあるため少量にしましょう。
鶏むね肉
低脂肪で高タンパク質なので、肥満気味の犬にもおすすめです。
サーモン
オメガ3脂肪酸が豊富で、皮膚や被毛の健康維持に役立ちます。
これらの食材を与える際は、必ず加熱し、味付けはせず、犬が消化しやすいように細かく刻むなどの工夫をしてください。
食材を与える際の注意点
犬に新しい食材を与える際には、いくつか注意点があります。
必ず加熱して与える
生の食材は消化しにくい場合や、菌が付着している可能性があるため、必ず加熱調理してから与えましょう。
味付けはしない
人間用の味付けは、犬にとって塩分や糖分が多すぎるため厳禁です。犬用のご飯やおやつは、基本的に味付け不要です。
少量から与える
新しい食材は、まずごく少量から与え、アレルギー症状や下痢などの体調変化がないか数日間様子を見てください。
アレルギーに注意
特定の食材に対してアレルギーを持つ犬もいます。初めて与える食材は慎重に。
与えすぎない
健康に良い食材でも、与えすぎは肥満や消化不良の原因となります。総合栄養食のドッグフードを主食とし、おやつやトッピングとして少量与える程度に留めましょう。
まとめ:愛犬の健康のために正しい知識を
愛犬と長く健康に暮らすためには、飼い主さんが正しい知識を持つことが何よりも重要です。
ニンニクは人間にとって身近な食材ですが、犬にとっては有害な成分が含まれており、重篤な中毒症状を引き起こす可能性があります。
万が一、愛犬がニンニクを摂取してしまった場合は、慌てずにすぐに動物病院に連絡し、獣医師の指示に従うことが大切です。
日頃から誤食を防ぐための対策を徹底し、犬にとって安全な食材を選んで与えるように心がけましょう。
愛犬の食事に関して不安な点があれば、かかりつけの獣医師に相談し、適切なアドバイスを受けるようにしてください。
この記事の執筆者
nademo編集部
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