犬の病気・健康

犬のおしっこが出ない原因と病気、緊急性の判断と対処法を徹底解説

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犬

「あれ?今日うちの子、いつもよりおしっこしてないな」「何度もトイレの姿勢はするけど、全然出てないみたい…」。愛犬の異変は、飼い主さんにとって何よりも心配なものです。

特に、おしっこが出ないという症状は、体のどこかに重大な問題が起きているサインかもしれません。これは、単なる水分不足だけでなく、命に関わる病気が隠されている可能性もある、緊急性の高いケースも少なくありません。

この記事では、犬が排尿困難になるさまざまな原因から、考えられる病気の種類、自宅で飼い主さんができる初期対応、そして「すぐに動物病院へ行くべき」危険なサインまで、詳しく解説します。

大切な愛犬のもしもの時に、冷静かつ適切に行動できるよう、ぜひこの記事を読んで知識を身につけておきましょう。

この記事の結論

  • 犬がおしっこ出ない原因は膀胱・尿道の病気や腎臓病、ストレスなど多岐にわたる
  • 完全な尿閉や激しい痛み、ぐったりするなどの症状は緊急性が高く、即時受診が必要
  • 自宅では落ち着いて状態を観察し、飲水促進や環境整備で応急処置を行うことが重要
  • 予防には適切な水分摂取、バランスの取れた食事、ストレスのない環境、定期健診が不可欠

nademo編集部

担当執筆者

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愛犬・愛猫との新しい生活を応援する、大切な情報や豆知識をご紹介しています。

犬がおしっこ出ない、出にくい時に考えられる原因

犬のトイレ

愛犬がおしっこが出ない、または出にくい状態は、飼い主さんにとって非常に心配な症状です。

これは単なる一時的なものではなく、体のどこかに深刻な問題が隠れているサインかもしれません。

泌尿器系の病気から内臓の疾患、さらには精神的な要因まで、さまざまな原因が考えられます。

愛犬の異変にいち早く気づき、適切な対処をするためにも、考えられる主な原因を理解しておくことが大切です。

膀胱や尿道の問題

犬がおしっこを出したがっているのに出ない、または出にくい場合、最も直接的な原因として膀胱や尿道といった尿の通り道に問題があることが挙げられます。これらの部位の炎症や閉塞は、排尿を困難にする直接的な原因となります。

膀胱炎(細菌性、真菌性など)

膀胱炎は、膀胱の炎症によって排尿異常を引き起こす、犬に比較的よく見られる病気です。細菌感染によるものが最も多いですが、真菌(カビ)やウイルス、あるいはストレスなどが原因となることもあります。

  • 症状
    • 頻尿:何度も排尿姿勢をとるのに、少量しか出ない、または全く出ない。
    • 血尿:尿に血が混じる。
    • 排尿時の痛み:排尿中に鳴く、震える、背中を丸めるなど、痛がる様子を見せる。
    • 尿の色や匂いの変化:濁った尿、いつもと違う強い匂いの尿。
    • 不適切な場所での排泄:トイレを失敗することが増える。
  • 原因
    • 大腸菌などの細菌が尿道から侵入し、膀胱内で増殖するケースがほとんどです。免疫力の低下や、尿路結石、腫瘍などが原因で膀胱炎を繰り返すこともあります。
    • 特に女の子は尿道が短く、細菌が侵入しやすいため、膀胱炎になりやすい傾向があります。
  • 治療
    • 細菌性の場合は抗生剤が主な治療法となります。真菌性の場合は抗真菌薬を使用します。
    • 炎症を抑える薬や、痛みを和らげる薬が処方されることもあります。
    • 再発を防ぐために、水分摂取を促す、食事療法を行うなどの対策も重要です。

膀胱炎は早期に治療すれば比較的治りやすい病気ですが、放置すると慢性化したり、腎臓に影響が及んだりする可能性もあるため、早めに獣医師に相談しましょう。

尿路結石症(ストルバイト、シュウ酸カルシウムなど)

尿路結石症は、尿中に結晶が形成され、それが大きくなって結石となり、尿路(腎臓、尿管、膀胱、尿道)のどこかに詰まることで、おしっこが出にくくなったり、全く出なくなったりする病気です。犬でよく見られる結石の種類は、主にストルバイト結石シュウ酸カルシウム結石です。

結石の種類特徴
ストルバイト結石尿がアルカリ性に傾くと生成されやすい結石。
細菌感染が原因となることが多く、膀胱炎を併発しやすいです。
食事療法や抗生剤の内科治療で溶かせる可能性があります。
シュウ酸カルシウム結石尿が酸性に傾くと生成されやすい結石。
一度できてしまうと食事療法で溶かすことが難しく、外科手術で摘出が必要になることが多いです。
再発しやすい傾向があります。
  • 症状:膀胱炎と似て頻尿、血尿、排尿困難、排尿時の痛みなどが見られます。
  • 診断:尿検査で結晶の有無や種類を特定し、レントゲンや超音波検査で結石の場所や大きさを確認します。
  • 治療:結石の種類によって異なりますが、食事療法で結石を溶かす内科的治療や、外科手術による摘出が行われます。

尿路結石は再発しやすい病気なので、治療後も定期的な検査と食事管理が重要になります。

尿道閉塞(結石、腫瘍などによる詰まり)

犬が「おしっこ出ない」という症状の中で、最も緊急性が高く、命に関わるのが尿道閉塞です。

これは、尿の通り道である尿道が何らかの原因で完全に、または部分的に詰まってしまい、尿が体外に排出されなくなる状態を指します。

  • 主な原因
    • 尿路結石:最も多い原因で、膀胱で形成された結石が尿道に流れてきて詰まってしまうケースです。
    • 腫瘍:膀胱や尿道、あるいは周囲の臓器にできた腫瘍が、尿道を圧迫したり、尿道内に成長したりすることで閉塞を引き起こすことがあります。
    • 炎症による腫れ:重度の膀胱炎や尿道の炎症によって、尿道が腫れ上がり、尿の通り道が狭くなることがあります。
    • 血栓や粘液栓:膀胱炎などによる出血や炎症で生じた血栓や粘液の塊が、尿道を塞いでしまうこともあります。
  • 症状
    • 完全に尿が出ない:何度も排尿姿勢をとるが、全く尿が出てこない。
    • 激しい痛み:排尿時に非常に苦しがり、鳴いたり、震えたりする。
    • 頻繁な排尿姿勢:少量でも排泄しようと、何度も姿勢をとる。
    • 食欲不振・嘔吐:体内に尿が溜まることで、食欲がなくなったり、吐いたりする。
    • ぐったりする・元気がない:重症化すると、意識が朦朧としたり、呼びかけに反応しなくなる。
    • お腹の張り:膀胱に尿がパンパンに溜まり、下腹部が膨らんで硬く触れることがある。

尿道閉塞は、数時間~24時間以内に適切な処置をしないと、腎臓に深刻なダメージを与えたり、尿毒症を引き起こして命を落とす危険性があります。愛犬がおしっこが全く出ていない様子なら、一刻も早く動物病院を受診してください。

腎臓や他の臓器の問題

おしっこが出ない、出にくい原因は、尿の通り道だけでなく、尿を生成する腎臓や、排尿に関わる他の臓器に問題がある場合もあります。

これらの臓器の機能不全も、排尿異常として現れることがあります。

急性腎不全

腎臓は、体内の老廃物をろ過して尿として排出する、非常に重要な役割を担っています。

この腎臓の機能が低下すると、尿を十分に作れなくなり、結果として「おしっこが出ない」または「量が極端に少ない」という症状が現れることがあります。

  • 特徴:数時間から数日の間に急激に腎機能が低下する状態です。
  • 症状:急激な尿量減少(乏尿)または尿が全く出なくなる(無尿)が顕著です。
  • 緊急性:非常に緊急性が高く、迅速な治療が必要です。

慢性腎不全

  • 特徴:数か月から数年かけて徐々に腎機能が低下していく状態です。
  • 症状:初期は多飲多尿が主な症状ですが、進行すると老廃物が体内に蓄積し、食欲不振、嘔吐、体重減少、貧血、口臭、そして末期には尿量の減少や無尿が見られることもあります。
  • 管理:進行性の病気のため、早期発見と適切な食事療法、投薬による症状の管理が重要です。

どちらの腎不全も、尿検査や血液検査で腎臓の機能を評価します。愛犬の飲水量や尿量に変化が見られたら、早めに獣医師に相談しましょう。

前立腺肥大(男の子の場合)

去勢手術をしていない男の子の犬の場合、前立腺肥大症がおしっこが出にくい原因となることがあります。

前立腺は膀胱のすぐ下に位置し、尿道を取り囲むように存在しています。加齢とともに男性ホルモンの影響で前立腺が肥大すると、その肥大した前立腺が尿道を圧迫し、尿の出が悪くなることがあります。

  • 症状
    • 排尿困難:尿の勢いが弱くなる、おしっこをするのに時間がかかる、何度も排尿姿勢をとる。
    • 便秘:前立腺が直腸を圧迫することで、便が出にくくなる。
    • 血尿:まれに血尿が見られることもあります。
    • 痛み:重症化すると、排尿時や排便時に痛みを伴うことがあります。
  • 原因
    • 加齢による男性ホルモンの影響が主な原因です。
  • 診断
    • 直腸検査で前立腺の腫れを確認したり、超音波検査で前立腺のサイズや状態を詳しく調べたりします。
  • 治療
    • 去勢手術が最も効果的な治療法です。去勢することで男性ホルモンの分泌が止まり、前立腺が縮小します。
    • 手術が難しい場合は、ホルモン剤の投薬で症状を緩和することもあります。

高齢の男の子で排尿困難が見られたら、前立腺肥大症を疑い、獣医師に相談しましょう。

腫瘍(膀胱腫瘍、尿道腫瘍など)

愛犬がおしっこが出ない、または出にくい症状の裏には、膀胱や尿道、あるいはその周辺にできた腫瘍が隠れている可能性も考えられます。腫瘍が尿の通り道を物理的に塞いだり、圧迫したりすることで、排尿が困難になります。

  • 膀胱腫瘍:膀胱の壁に発生する腫瘍で、最も多いのは移行上皮癌です。
    • 症状:血尿、頻尿、排尿困難、残尿感、排尿時の痛みなど、膀胱炎の症状と似ています。進行すると尿道閉塞を引き起こすこともあります。
  • 尿道腫瘍:尿道に発生する腫瘍で、膀胱腫瘍と同様に移行上皮癌が多いです。
    • 症状:排尿困難、尿の勢いが弱い、血尿、尿道からの出血など。
  • その他周辺臓器の腫瘍:腎臓や前立腺、子宮などにできた腫瘍が大きくなり、膀胱や尿道を圧迫することで、排尿困難を引き起こすこともあります。

診断と治療

  • 検査:尿検査で異常が見られた場合、超音波検査やレントゲン検査で腫瘍の有無や位置を確認します。確定診断のためには、細胞診や組織生検が必要になることが多いです。
  • 治療:腫瘍の種類や進行度合いによって異なりますが、外科手術による摘出、化学療法(抗がん剤)、放射線療法などが検討されます。

腫瘍は進行すると治療が難しくなるため、血尿や排尿困難が続く場合は、年齢に関わらず、早期に獣医師に相談し、詳しい検査を受けることが非常に重要です。

神経系の問題

犬がおしっこを出したくても出せない、あるいは意図せずに漏らしてしまうといった排尿異常は、神経系の問題によって引き起こされることもあります。

排尿は、脳や脊髄、膀胱や尿道に分布する神経が複雑に連携してコントロールされています。これらの神経経路に障害が生じると、正常な排尿機能が損なわれることがあります。

主な原因

  • 椎間板ヘルニア:脊髄が圧迫されることで、排尿をコントロールする神経が麻痺し、尿が出にくくなったり、逆に垂れ流しになったりします。後肢の麻痺を伴うことが多いです。
  • 脊髄損傷:事故や外傷などによる脊髄へのダメージも、神経障害を引き起こし、排尿困難の原因となります。
  • 馬尾症候群:脊髄の末端部分(馬尾)の神経が圧迫されることで、排尿障害や後肢の痛み・麻痺が見られることがあります。
  • 脳腫瘍や脳炎:脳の排尿中枢に異常が生じると、排尿のコントロールができなくなることがあります。

症状

  • 排尿姿勢をとるが尿が出ない、またはチョロチョロとしか出ない。
  • 尿を膀胱に溜められずに漏らしてしまう(尿失禁)。
  • 後肢のふらつき、麻痺、痛みなどの神経症状を伴うことが多いです。

診断と治療

神経学的検査、レントゲン、CT、MRIなどの画像診断で神経の障害部位を特定します。

原因疾患に対する治療(椎間板ヘルニアの外科手術など)や、排尿を促す薬の投与、あるいは飼い主が膀胱を圧迫して排尿を補助する「圧迫排尿」などの管理が必要になることもあります。

神経系の問題による排尿障害は、早めに診断し、適切な治療と管理を行うことで、愛犬の生活の質を保つことができます。

行動・心理的な問題

犬の排尿異常は、体の病気だけでなく、行動や心理的な問題が原因で引き起こされることもあります。特にデリケートな性格の犬や、過去に辛い経験をした犬に多く見られることがあります。

環境の変化やストレスによるもの

犬は環境の変化やストレスに敏感な動物です。引っ越し、新しい家族(赤ちゃんやペット)の迎え入れ、飼い主の生活リズムの変化、留守番時間の増加、騒音などは、犬にとって大きなストレスとなり、それが排尿行動に影響を与えることがあります。

  • 症状
    • トイレの場所を失敗するようになる。
    • 排尿回数が増える(頻尿)が、一回の量が少ない。
    • 排尿の姿勢をとるが、なかなか出ない、または少量しか出ない。
    • 普段はしない場所でのマーキング行動が増える。
    • 食欲不振、下痢、過剰なグルーミング(体を舐める)など、他のストレスサインを伴うこともある。
  • 対処法
    • ストレスの原因を特定し、軽減する:何がストレスになっているのかを探り、可能な限りそれを取り除くか、犬がストレスに慣れるようサポートしましょう。
    • 安心できる環境の提供:犬が安心して過ごせる静かな場所を用意してあげましょう。
    • 規則正しい生活:食事や散歩の時間を一定に保ち、生活リズムを安定させましょう。
    • 十分なコミュニケーション:飼い主とのスキンシップや遊びの時間を増やし、愛情をたっぷり注いであげましょう。
    • 落ち着かせるアイテム:フェロモン製剤やアロマセラピーなど、犬をリラックスさせる製品を試すのも有効です。
    • 獣医やドッグトレーナーへの相談:ストレスが長期化したり、問題行動が深刻な場合は、専門家のアドバイスを求めることが大切です。

心の問題が原因の場合は、まず愛犬の心に寄り添うことが解決への第一歩となります。

排泄を我慢しすぎたことによるもの

犬は賢く、飼い主のルールを守ろうとする動物です。しかし、時に排泄を我慢しすぎた結果、排尿困難に陥ることがあります。

特に室内で排泄する習慣がない犬や、トイレの場所が遠い、あるいは長時間の留守番が多い場合に起こりやすいです。原因としては以下のようなものが考えられます。

  • トイレの場所が嫌:トイレシートの素材、匂い、場所が気に入らない、あるいは以前にそこで叱られた経験があるなど。
  • 外出の頻度が少ない:散歩でしか排泄しない犬が、悪天候や飼い主の都合で散歩に行けず、長時間我慢してしまう。
  • 長時間の留守番:飼い主が長時間家を空けることで、排泄のタイミングを逃してしまう。
  • 特定の場所でしか排泄しない:例えば、庭や特定の公園でしか排泄しない犬が、その場所に行けない場合に我慢してしまう。

症状は複数考えられますが、以下のようなものが特に診られることが多いです。

  • 何度も排尿姿勢をとるが、なかなか出ない。
  • 出てもチョロチョロと少量しか出ない。
  • 膀胱に尿が溜まりすぎて、お腹が張っているように見える。
  • 我慢しすぎた反動で、尿路感染症や結石のリスクが高まることもあります。

対処法として、いくつかの方法がありますので、愛犬の非常時に備えて確認しておきましょう。

  • 排泄の機会を増やす:散歩の回数を増やしたり、庭やベランダに排泄スペースを設けたりするなど、犬がいつでも排泄できる環境を整えましょう。
  • 室内でのトイレトレーニング:室内でも排泄できるよう、子犬のうちからトイレトレーニングを行い、習慣づけましょう。
  • トイレ環境の見直し:トイレシートの種類や場所を見直したり、清潔に保ったりすることで、犬が安心して排泄できる環境を整えましょう。
  • 留守番時間の見直し:長時間お留守番させる場合は、ペットシッターの利用や、犬を預けられる施設を検討するなど、排泄の機会を確保しましょう。

排泄を我慢させることは、愛犬の心身に大きな負担をかけます。飼い主が愛犬の排泄パターンを理解し、適切なタイミングで機会を提供することが大切です。

その他の原因(脱水、薬の副作用など)

犬がおしっこを出さない、または出にくいという症状は、ここまで解説してきた泌尿器系や神経系の病気、行動・心理的な問題以外にも、さまざまな要因が複合的に絡み合って生じることがあります。

中でも、脱水や特定の薬の副作用は、意外と見過ごされがちな原因です。

脱水

体内の水分量が不足すると、尿の生成量が減少し、結果としておしっこが出にくくなったり、量が少なくなったりします。

  • 原因:暑さによる多量の発汗やパンティング、激しい下痢や嘔吐、飲水量が極端に少ないことなどが挙げられます。
  • 症状:歯茎が乾燥している、皮膚の弾力がない(皮膚をつまんで離すと、すぐに戻らない)、目がくぼむ、元気がない、食欲不振など。
  • 対処:少量ずつ頻繁に水分を与え、早めに獣医師に相談しましょう。点滴で水分補給が必要になることもあります。

薬の副作用

特定の薬の中には、副作用として尿量を減少させたり、排尿を困難にしたりするものがあります。

  • :抗ヒスタミン薬(一部)、一部の鎮静剤、特定の利尿剤(用量によっては)、抗炎症剤など。
  • 対処:愛犬が服用している薬がある場合は、獣医師に相談し、副作用の可能性について確認しましょう。自己判断で投薬を中断しないでください。

術後の一時的な尿閉

全身麻酔を伴う手術後、麻酔薬の影響や、術後の痛み、ストレスなどにより、一時的に尿が出にくくなることがあります。

通常は時間とともに改善しますが、長引く場合は獣医師に相談が必要です。

これらの原因は、見過ごされやすいからこそ、飼い主さんが日頃から愛犬の様子をよく観察し、異変に気づいたら、服用している薬や最近の体調変化なども含めて、正確に獣医師に伝えることが重要です。

こんな症状には要注意!愛犬の緊急性の高いサイン

フレンチ・ブルドッグ

愛犬がおしっこを出さない、出にくい場合、その中には命に関わる緊急性の高いサインが隠されていることがあります。

以下の症状が見られた場合は、様子見せずに、すぐに動物病院を受診してください。早期の対応が、愛犬の命を救うことに繋がります。

完全に尿が出ていない場合

愛犬が何度も排尿姿勢をとっているのに、全く尿が出ていない状態は、最も緊急性の高いサインのひとつです。

これは、尿道が完全に閉塞している可能性が極めて高く、放置すれば数時間から24時間以内に命に関わる重篤な状態に陥ります。

なぜ危険なのか

尿が体外に排出されず、膀胱に溜まり続けると、腎臓から新たな尿が作られなくなり、腎機能に深刻なダメージを与えます。

体内に老廃物や毒素が蓄積し、尿毒症を引き起こします。尿毒症は、嘔吐、食欲不振、元気消失、意識障害などの症状を呈し、最終的には死に至る可能性があります。膀胱が破裂する危険性もあります。

確認ポイント

  • トイレに行っても、本当に一滴も尿が出ていないか?
  • 排尿姿勢を繰り返しているのに、地面が濡れていないか?
  • お腹(特に下腹部)がパンパンに張って硬くなっていないか?
  • 痛がったり、苦しそうにしているか?

この症状が見られたら、深夜や休日であっても、すぐに動物病院の緊急診療を受診してください。 時間との勝負になるため、迷わず行動することが愛犬の命を守る唯一の方法です。

排尿時に強い痛みを伴う場合

愛犬が排尿時に強い痛みを伴う様子を見せる場合も、緊急性が高いと考えられます。これは、尿路に炎症や閉塞が起きている可能性があり、特に尿道閉塞の初期症状であることも少なくありません。

具体的な痛みのサイン

  • 排尿中に「キャン」と鳴き声を上げる。
  • 体を震わせる、または全身を硬直させる。
  • 背中を丸めて痛みをこらえるような姿勢をとる。
  • 排尿中に飼い主の顔を見る、助けを求めるような目つきをする。
  • 普段はしない場所で、痛そうに排尿を試みる。
  • おしっこを途中でやめてしまう。

考えられる原因

  • 尿路結石:結石が尿道を刺激したり、詰まろうとしたりする際に強い痛みを伴います。
  • 重度の膀胱炎:膀胱の炎症が非常に強く、排尿時に激痛が走ります。
  • 尿道炎:尿道自体の炎症や損傷。
  • 前立腺の炎症や腫瘍:特に男の子の場合、前立腺の異常が排尿時の痛みの原因となることがあります。

痛みを伴う排尿は、愛犬が非常につらい状態にあることを示しています。放置すると病状が悪化したり、尿道閉塞へと進行したりするリスクがあるため、すぐに動物病院を受診し、痛みの原因を特定してもらいましょう。

嘔吐や食欲不振、ぐったりしている場合

愛犬が「おしっこ出ない」という症状に加えて、嘔吐や食欲不振、ぐったりしているといった全身症状が見られる場合は、病状がかなり進行している、または非常に重篤な状態に陥っている可能性が高く、緊急性が極めて高いサインです。

なぜ危険なのか

これらの全身症状は、体内に老廃物が溜まる尿毒症や、急性腎不全、あるいは重度の感染症全身性の炎症など、命に関わる病態で現れることが多いです。

尿毒症では、本来尿として排出されるべき毒素が体内に蓄積し、消化器系や神経系に悪影響を及ぼすため、嘔吐や食欲不振、元気がなくなる、意識レベルの低下といった症状が現れます。

特に、おしっこが全く出ていない状態でこれらの症状が見られる場合は、一刻を争う緊急事態です。

確認ポイント

  • 普段のようにご飯を食べたり、おやつに興味を示したりするか?
  • 水を飲む量に変化はあるか?(飲んでもすぐ吐いてしまう、全く飲まないなど)
  • 散歩や遊びに誘っても反応がない、または動きたがらないか?
  • 体温は正常か?(熱がある、または体が冷たいなど)
  • 意識ははっきりしているか?(呼びかけに反応しない、ぐったりしているなど)

これらの症状がひとつでも見られたら、迷わず夜間であっても緊急動物病院を受診してください。診断と治療が遅れると、取り返しのつかない事態になる可能性があります。

お腹が張っているように見える場合

愛犬が排尿困難な様子を見せている時に、下腹部がパンパンに張って硬くなっているように見える場合は、膀胱に尿が大量に溜まっており、尿道閉塞を起こしている可能性が非常に高い、緊急性の高いサインです。

状態の確認

愛犬を仰向けに寝かせたり、抱き上げたりして、下腹部(後ろ足の付け根の間あたり)を優しく触ってみてください。

普段より明らかに硬く、パンパンに張っている感じがしたら、膀胱が尿で充満している可能性があります。犬自身がその部分を触られるのを嫌がったり、痛がったりすることもあります。

なぜ危険なのか

膀胱に尿が過度に溜まり続けると、膀胱壁が伸展しすぎて傷つき、最終的には破裂するリスクがあります。膀胱が破裂すると、尿が腹腔内に漏れ出し、腹膜炎を引き起こし、非常に危険な状態になります。

尿が流れ出ないことで、腎臓にも負担がかかり、腎不全を急速に悪化させる可能性があります。

この症状は、尿道閉塞の典型的な兆候であり、一刻も早い獣医師の診察と処置が必要です

飼い主さんが触って確認する際は、犬にさらなる苦痛を与えないよう、細心の注意を払ってください。そして、すぐに動物病院へ連れて行きましょう。

犬がおしっこ出ない時の飼い主ができる応急処置と観察ポイント

犬

愛犬がおしっこを出したがっているのに出ない、または出にくい様子は、飼い主さんにとって非常に心配な状況です。

緊急性の高いサインが見られる場合はすぐに動物病院へ向かうべきですが、それ以外のケースでは、落ち着いて愛犬の状態を観察し、適切な応急処置を施すことで、状況の悪化を防ぎ、獣医師の診断の助けになります。

ここでは、飼い主さんができる初期対応と、動物病院に伝えるべき観察ポイントについて解説します。

まずは犬の状態を落ち着いて観察する

愛犬がおしっこを出さない、または出にくい様子を見せたら、まずは慌てずに犬の状態を落ち着いて観察することが重要です。

感情的にならず、客観的に症状を把握することで、的確な情報を獣医師に伝えることができ、迅速な診断と治療に繋がります。

排尿の頻度と量

  • 全く出ていないのか、少量ずつ何度も出そうとしているのか?
  • 普段と比較して、排尿の回数や量が明らかに少ないのか?

排尿時の様子

  • 排尿姿勢をとるのに時間がかかっているか?
  • 排尿中に痛がったり、苦しそうに鳴いたり、震えたりしているか?
  • 尿の勢いはどうか?(チョロチョロとしか出ない、ポタポタと垂れるだけなど)

尿の色や匂い

  • 尿の色はいつも通りか?(赤っぽい、濁っているなど)
  • いつもと違う強い匂いがするか?

全身状態

  • 食欲はあるか、水を飲んでいるか?
  • 元気がない、ぐったりしている、嘔吐や下痢はないか?
  • お腹(特に下腹部)が張っていないか、触ると痛がるか?
  • 体温はどうか?(平熱は犬によって異なるが、一般的に38~39℃が目安)

最近の状況

  • いつもと違う食べ物を与えたか、何かを誤飲した可能性はないか?
  • 新しい薬を飲み始めたか?
  • 生活環境に変化があったか?(引っ越し、来客、留守番時間の増加など)

これらの情報をメモしておき、動物病院を受診する際に獣医師に伝える準備をしておきましょう。

飲水を促す工夫

犬がおしっこを出さない、出にくい原因として脱水が考えられる場合や、膀胱炎などで尿量を増やしたい時には、飼い主さんが積極的に飲水を促す工夫をすることが有効です。

水分摂取を増やすことで、体内の循環を促し、尿の生成を助けることができます。

常に新鮮な水を複数箇所に

新鮮で清潔な水を常に用意し、犬がすぐに飲める場所に複数の水飲み場を設置しましょう。水飲み容器は毎日きれいに洗い、新鮮な水に交換してください。

ウェットフードやスープを与える

ドライフードにウェットフードを混ぜる、または犬用のチキンスープや無塩の野菜スープなどを少量かけて与えることで、食事と一緒に水分を摂取させることができます。食欲がない場合でも、スープなら口にしてくれることがあります。

氷や犬用アイス

特に暑い時期は、少量の氷を与えたり、犬用のフローズンヨーグルト(無糖)や犬用アイスを与えたりするのも、水分補給の工夫になります。

流れる水

犬によっては、水飲み器の停滞した水よりも、蛇口から流れる水や、ペット用循環式給水器の水を好む場合があります。

水の温度

夏場は少し冷たい水、冬場は常温の水など、犬が飲みやすい温度に調整してあげるのも効果的です。

ただし、飲水を促しても嘔吐してしまう、全く飲もうとしない、または飲水とは関係なく尿が出ない場合は、すぐに動物病院を受診してください。無理に飲ませようとせず、愛犬の様子を見ながら行いましょう。

排泄を促すための環境づくり

犬がおしっこを出したがっているのに出にくい場合、病気だけでなく、排泄しにくい環境が原因になっていることもあります。

飼い主さんが排泄を促すための環境づくりを工夫することで、愛犬が安心してスムーズに排尿できるようになることがあります。

トイレの清潔さ

トイレシートはこまめに交換し、常に清潔に保ちましょう。汚れたトイレは犬が排泄をためらう原因になります。

トイレトレーも定期的に洗い、消臭スプレーなどで匂いを徹底的に消すことで、犬が気持ちよく使えるようにしましょう。

安心できる場所

犬が落ち着いて排泄できる、人通りが少なく静かな場所にトイレを設置しましょう。来客時や騒がしい時は、犬が不安を感じて排泄を我慢してしまうことがあります。

排泄スペースの確保

特に大型犬の場合、体が大きいので、狭いトイレトレーでは排泄しにくいことがあります。犬が体を回転させたり、踏み外したりせずに排泄できる十分な広さのスペースを用意しましょう。

室内と屋外、両方にトイレを用意することで、排泄の機会を増やせます。

散歩の時間を確保

屋外でしか排泄しない犬の場合、悪天候などで散歩に行けないと我慢し続けてしまうことがあります。

天候に関わらず、決まった時間に散歩に連れて行き、排泄の機会を確保しましょう。散歩中に排泄しやすい場所に立ち止まって待ってあげるのも有効です。

ストレス軽減

環境の変化やストレスが排泄行動に影響することもあります。犬がリラックスできる静かで安心できる環境を提供し、ストレスを軽減するよう心がけましょう。

これらの環境整備は、日頃からのトイレトレーニングや習慣づくりにも繋がります。

絶対にしてはいけないこと

愛犬がおしっこを出さない、または出にくいという緊急性の高い状況では、飼い主さんが絶対にしてはいけないことがあります。

良かれと思ってしたことが、かえって愛犬の状態を悪化させたり、適切な診断を妨げたりする可能性があるので、注意が必要です。

自己判断で薬を与えること

人間の薬や、以前に処方された犬の薬を自己判断で与えることは絶対にやめてください。症状が悪化したり、中毒を引き起こしたりする危険があります。

例えば、痛み止めの中には腎臓に負担をかけるものもあり、腎機能が低下している犬に投与すると命に関わる場合があります。

お腹を強く圧迫すること

「おしっこを出してあげよう」と、お腹を強く圧迫することは非常に危険です。膀胱が破裂したり、尿道や腎臓にさらなる損傷を与えたりする可能性があります。

獣医師が行う圧迫排尿は、犬の体の構造を熟知した専門知識と技術が必要な医療行為です。

無理やり飲水をさせること

ぐったりしている犬や、嘔吐している犬に無理やり水を飲ませようとすると、誤嚥(誤って気管に入ってしまうこと)して肺炎を起こしたり、嘔吐を悪化させたりする可能性があります。

様子を見すぎること

特に「完全に尿が出ていない」「痛がっている」「ぐったりしている」などの緊急性の高いサインが見られる場合は、数時間でも様子見することは非常に危険です。

手遅れになる前に、すぐに動物病院に連絡し、指示を仰ぎましょう。深夜や休日でも、救急対応してくれる動物病院を探してください。

これらの「してはいけないこと」を理解し、冷静かつ適切な判断で行動することが、愛犬の命を守る上で最も重要です。

犬のおしっこが出ないときの動物病院での診断と治療法

動物病院

愛犬がおしっこを出さない、または出にくい症状は、原因が多岐にわたるため、飼い主さんの観察だけでは判断が難しいケースがほとんどです。

正確な診断と適切な治療を受けるためには、速やかに動物病院を受診することが不可欠です。

ここでは、受診時に獣医師に伝えるべき情報、主な検査方法、そして原因に応じた治療法について解説します。

受診時に獣医師に伝えるべき情報

動物病院を受診する際、飼い主さんが獣医師に伝える情報は、診断の大きな手助けとなります。的確な情報を簡潔に伝えることで、スムーズな診察に繋がり、愛犬への負担も軽減できます。

いつから、どんな症状が出ているか?

「〇日前からおしっこが出ていません」「昨日から排尿時に痛がっています」など、症状が出始めた時期と、具体的な様子を時系列で伝えましょう。

排尿の様子を具体的に

「全く出ていない」「チョロチョロと少量しか出ない」「何度も姿勢はとるが出ない」など、排尿の頻度、量、勢いを具体的に伝えてください。排尿時の行動(痛がる、震える、鳴くなど)も詳しく伝えましょう。

尿の色や匂いの変化

血尿の有無、尿の濁り、いつもと違う匂いの有無などを伝えます。可能であれば、少量の尿を持参すると検査に役立ちます。

全身状態の変化

食欲や飲水量の変化、元気の有無、嘔吐や下痢、体重の変化など、排尿以外の症状もすべて伝えてください。

最近の生活環境の変化

引っ越し、新しいペットや家族の増加、留守番時間の変化など、ストレスになりそうな要因があれば伝えましょう。

過去の病歴や現在服用中の薬

以前に膀胱炎や結石になったことがあるか、現在服用している薬やサプリメントがあれば必ず伝えてください。

誤飲の可能性

中毒性のあるものを口にした可能性があれば、その種類や量も伝えます。

これらをメモにまとめておくと、診察時に伝え忘れを防げます。正確な情報は、愛犬の早期回復への第一歩です。

主な検査方法(尿検査、血液検査、画像診断など)

愛犬の「おしっこが出ない」原因を特定するため、動物病院ではさまざまな検査が行われます。これらの検査は、尿路の状態、腎機能、全身の状態を総合的に評価するために不可欠です。

  • 尿検査
    • 目的:尿中の細胞(赤血球、白血球など)、細菌、結晶、タンパク質、PH(酸性度)などを調べ、膀胱炎や尿路結石、腎臓病などの手がかりを得ます。
    • 採取方法:自然排泄された尿をコップなどで採取するか、動物病院でカテーテルや膀胱穿刺(お腹の上から注射器で膀胱から直接採取)で無菌的に採取することもあります。
  • 血液検査
    • 目的:腎機能(BUN、Creなど)、肝機能、炎症の有無(白血球数)、貧血の有無、電解質のバランスなどを評価し、全身状態や腎不全の進行度などを確認します。
  • 画像診断
    • レントゲン検査:結石の有無、膀胱の大きさ、前立腺の腫れなどを確認します。
    • 超音波検査(エコー):膀胱内の結石や腫瘍、膀胱壁の厚み、腎臓の形や内部構造、前立腺の肥大の有無などをリアルタイムで確認できます。
    • CT/MRI検査:より詳しい診断が必要な場合や、神経系の問題が疑われる場合に行われます。
  • 細菌培養・薬剤感受性検査
    • 細菌性膀胱炎が疑われる場合、尿中の細菌を培養し、どの抗生剤が最も効果的か(薬剤感受性)を調べます。

これらの検査結果を総合的に判断することで、獣医師は愛犬の「おしっこが出ない」原因を特定し、最適な治療計画を立てていきます。

原因別の治療法

犬の「おしっこが出ない」原因は多岐にわたるため、治療法もその原因によって大きく異なります。正確な診断に基づき、獣医師が適切な治療計画を立ててくれます。

内科的治療(投薬、点滴など)

「おしっこが出ない」原因が、感染症や炎症、あるいは機能的な問題である場合、内科的治療が選択されることが多いです。

  • 抗生剤の投与:細菌性膀胱炎など、細菌感染が原因の場合に処方されます。尿検査の結果、細菌の種類や抗生剤への感受性に応じて、適切な抗生剤が選ばれます。
  • 抗炎症剤・鎮痛剤の投与:膀胱や尿道の炎症、あるいは排尿時の痛みを和らげるために使用されます。
  • 利尿剤の投与:腎臓の機能が低下して尿の生成量が少ない場合や、心臓病などで体内に水分が溜まっている場合に、尿量を増やす目的で処方されることがあります。
  • 点滴療法(輸液療法):脱水症状がある場合や、腎機能が低下して体内の老廃物が蓄積している場合に、体液のバランスを整えたり、腎臓の機能をサポートしたりするために行われます。
  • 食事療法:尿路結石の種類によっては、特定の成分を制限したり、尿のpHを調整したりする療法食を用いることで、結石を溶かすことが可能です。
  • ホルモン剤の投与:未去勢の男の子で前立腺肥大が原因の場合、ホルモン剤の投与によって前立腺の縮小を促すことがあります。

内科的治療は、症状の緩和だけでなく、原因となっている病気の根本的な改善を目指します。獣医師の指示をしっかりと守り、根気強く治療を続けることが大切です。

外科的治療(手術など)

内科的治療では解決できない場合や、生命に関わる緊急性の高い状態では、外科的治療(手術)が選択されることがあります。特に尿道閉塞や大きな結石、腫瘍などがある場合に必要となります。

  • 尿道閉塞解除術:結石や腫瘍などで尿道が完全に詰まって尿が出ない場合に、緊急で行われます。
  • 結石摘出手術(膀胱切開術など):食事療法では溶かせないシュウ酸カルシウム結石や、非常に大きな結石が膀胱内にある場合、膀胱を切開して結石を直接取り除きます。
  • 腫瘍摘出手術:膀胱や尿道、前立腺などに腫瘍がある場合、切除可能なものであれば外科手術で摘出します。
  • 会陰尿道造瘻術(男の子の場合):尿道結石の再発を繰り返すなど、尿道閉塞が慢性的な問題になっている男の子の場合、尿道の広い部分で新たな排尿口を作る手術が行われることがあります。

外科的治療は愛犬に負担がかかるため、獣医師が慎重に判断し、飼い主さんと十分に相談の上で決定されます。術後のケアも非常に重要になります。

愛犬のおしっこが出ない状態を予防するために

ロマーニャ・ウォーター・ドッグ

愛犬がおしっこが出ないという緊急性の高い事態は、できることなら避けたいものです。

普段から適切なケアと健康管理を行うことで、泌尿器系のトラブルやその他の病気のリスクを減らし、愛犬が快適に排尿できる状態を維持することが可能です。

ここでは、おしっこが出ない状態を予防するために、飼い主さんが日頃からできる重要なポイントについて解説します。

水分摂取の重要性と工夫

十分な水分摂取は、愛犬の健康、特に泌尿器系の健康維持において非常に重要です。

尿量を増やすことで、尿路内の細菌や老廃物を排出しやすくし、膀胱炎や尿路結石のリスクを低減することができます。

新鮮な水をいつでも提供

水飲みボウルは常に清潔に保ち、新鮮な水をたっぷり用意しましょう。複数の場所に水飲み場を設置すると、犬が水を飲む機会が増えます。

水飲みボウルの素材(陶器、ステンレスなど)や形を変えてみるのも良いでしょう。

ウェットフードや手作り食の活用

ドライフードだけでなく、水分含有量の多いウェットフードを混ぜたり、手作り食を取り入れたりすることで、食事から水分を補給させることができます。

ドライフードにお湯や犬用のスープ(無塩の鶏ガラスープなど)をかけてふやかすのも有効です。

流れる水の提供

犬によっては、ペット用循環式給水器から流れる水を好む場合があります。新鮮な水が常に循環しているため、飲水意欲を高めます。

散歩中の給水

特に運動量の多い犬は、散歩中に脱水しやすいので、携帯用の水筒とボウルを持参し、こまめに水分補給をさせましょう。

遊びに取り入れる

水遊びが好きなら、夏場に庭でシャワーを浴びさせたり、浅いプールで遊ばせたりするのも、自然な形で水分に触れる機会になります。

犬の飲水量は個体差がありますが、体重1kgあたり50~60mlが目安とされています。愛犬の飲水量を意識し、積極的に水分摂取を促しましょう。

バランスの取れた食事管理

愛犬のバランスの取れた食事管理は、泌尿器系の健康だけでなく、全身の健康維持において非常に重要です。特に、尿路結石や腎臓病の予防には、フードの選択と与え方が大きく関わってきます。

総合栄養食の選択

犬の年齢、体重、活動量、犬種に合った総合栄養食を選びましょう。これにより、必要な栄養素を過不足なく摂取できます。

特に「尿路結石ができやすい」「腎機能が低下している」などの診断がある場合は、獣医師と相談の上、療法食を使用することが不可欠です。

療法食は、特定のミネラルやタンパク質の量を調整し、尿のpHをコントロールすることで、結石の形成を抑制したり、腎臓への負担を軽減したりする効果があります。

適切な給与量の維持

フードのパッケージに記載されている給与量はあくまで目安です。愛犬の適正体重を維持できるよう、獣医師と相談しながら量を調整しましょう。

肥満は、排尿に直接関係する泌尿器系の病気だけでなく、関節炎や糖尿病など、さまざまな病気のリスクを高めます。

おやつの与えすぎに注意

おやつは犬にとってご褒美ですが、与えすぎると肥満の原因になります。

また、人間の食べ物の中には、犬にとって塩分やリンなどのミネラルが多く含まれており、尿路結石などのリスクを高めるものもあるため注意が必要です。

新鮮な食事

ドッグフードは開封したら密閉容器で保存し、酸化を防ぎましょう。賞味期限にも注意し、常に新鮮なものを与えるようにしてください。

食事は愛犬の健康の基本です。獣医師と連携しながら、愛犬に最適な食事プランを立て、予防に努めましょう。

ストレスのない生活環境

犬のストレスは、さまざまな身体的、行動的な問題を引き起こすことが知られており、排尿異常もそのひとつです。

ストレスが原因で排泄行動に変化が出たり、免疫力が低下して病気にかかりやすくなったりすることもあります。

愛犬がストレスなく生活できる環境を整えることは、おしっこが出ない状態の予防に繋がります。

安心できるプライベート空間の確保

犬がいつでも安心して休める、自分だけの落ち着いた場所(クレートやケージ、ベッドなど)を用意してあげましょう。

家族の出入りが少ない場所や、騒がしくない場所に設置するのが理想です。

規則正しい生活リズム

食事や散歩、睡眠の時間をできるだけ一定に保ち、予測しやすい生活リズムを提供することで、犬は安心感を得やすくなります。

十分な運動と遊び

愛犬の犬種や年齢、体力に合わせた十分な運動量を確保し、エネルギーを発散させましょう。運動不足はストレスの原因になります。

知育玩具やノーズワークなど、頭を使う遊びを取り入れ、知的な刺激も与えてあげましょう。

社会化とコミュニケーション

子犬の頃からさまざまな人や犬、環境に慣れさせ、社会性を身につけさせましょう。これにより、予期せぬ変化にも柔軟に対応できるようになります。

飼い主との十分なスキンシップや遊びの時間を持ち、信頼関係を深めることで、犬は安心感を得られます。

清潔な排泄環境

トイレが汚れていたり、安心して排泄できない環境だったりすると、ストレスから排泄を我慢してしまうことがあります。常に清潔で快適な排泄スペースを維持しましょう。

変化への配慮

引っ越しや家族構成の変化など、犬にとって大きな変化がある場合は、事前に少しずつ慣れさせたり、いつも以上に安心できる環境を整えたりする配慮が必要です。

愛犬の小さなストレスサインに気づき、早めに対処することで、心身の健康を保ち、排尿トラブルのリスクを軽減できます。

定期的な健康チェックと早期発見

愛犬がおしっこが出ないという重篤な事態を未然に防ぐためには、定期的な健康チェック病気の早期発見が何よりも重要です。

日々の飼い主さんによる観察と、動物病院での定期的な検診を組み合わせることで、潜在的な問題にいち早く気づき、適切に対処することができます。

自宅での日々のチェックポイント

  • 排尿の様子:毎日、排尿の頻度、量、色、匂い、排尿時の姿勢や痛みがないかを観察しましょう。いつもと違う点はないか、注意深く見てください。
  • 飲水量の変化:水を飲む量が急に増えた、または減った、全く飲まないなどの変化があれば記録しておきましょう。
  • 食欲・元気:食欲の有無、普段の活発さとの比較、ぐったりしていないかなどを確認しましょう。
  • 体重:定期的に体重を測定し、急激な増減がないかチェックします。
  • 体の触診:体全体を優しく触り、しこりや腫れ、痛がる部分がないかを確認しましょう。
  • 被毛や皮膚、耳、目の状態:脱毛、赤み、フケ、耳垢の増加、目の充血や濁りなどがないか確認し、清潔に保ちましょう。

動物病院での定期検診

  • 年に1回(推奨):健康な成犬でも、年に1回は獣医師による健康診断を受けましょう。身体検査に加え、血液検査、尿検査などで、見た目だけではわからない内臓の異常や病気の兆候を早期に発見できます。
  • 高齢犬は半年に1回:7歳以上のシニア犬は、病気のリスクが高まるため、半年に1回程度の検診が推奨されます。
  • 予防接種と寄生虫予防:狂犬病予防接種や混合ワクチン接種、フィラリア予防、ノミ・ダニ予防は、さまざまな病気から愛犬を守るための重要な予防策です。

愛犬の小さな変化に気づくことが、病気の早期発見に繋がり、結果的に愛犬の負担を軽減し、長く健康でいられる秘訣です。「いつもと違うな」と感じたら、どんな些細なことでもかかりつけの獣医師に相談するようにしましょう。

まとめ:愛犬の排尿異常に気づいたら、迷わず行動を

愛犬が「おしっこが出ない」または「出にくい」という症状は、単なる一時的な問題ではなく、命に関わる重大な病気のサインである可能性があります。尿路結石による尿道閉塞や急性腎不全など、一刻を争う緊急性の高いケースも少なくありません。

この症状に気づいたら、飼い主さんがまず冷静に愛犬の様子を観察し、具体的な症状や変化を把握することが重要です。そして、完全に尿が出ていない、排尿時に強い痛みを伴う、嘔吐やぐったりしているといった緊急性の高いサインが見られる場合は、迷わず、すぐに動物病院を受診してください。夜間や休日であっても、緊急対応してくれる病院を探し、迅速に行動することが、愛犬の命を救う唯一の方法です。

日頃から愛犬の飲水量を意識し、バランスの取れた食事、ストレスのない生活環境、そして定期的な健康チェックを行うことで、排尿トラブルのリスクを低減できます。もしもの時にも落ち着いて対処できるよう、この記事の情報を参考に、愛犬の健康管理に努め、いざという時に備えておきましょう。

愛犬の「おしっこが出ない」サインを見逃さず、早期の行動で、愛する家族の健康と命を守っていきましょう。

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