日本ではまだほとんど飼育されておらず、なおかつあまり知られていない小動物のスローロリス。
最後の「リス」にイメージを持っていかれますが、実際には猿の仲間です。
出会えることも多くないスローロリスですが、可愛いのに知られきっていない理由も気になるでしょう。
今回はまず、スローロリスの個体価格から確認していき、特徴や飼い方、お迎え前の注意点をご紹介します。
この記事の結論
- スローロリスの個体価格は非常に高く、50万円~150万円程度である
- お迎え場所は、大型ペットショップやエキゾニックアニマル専門店になる
- とても大人しく鳴き声がほとんどなく静か、ただストレスを抱えやすい
- 絶滅危惧種でお迎えが難しく、日本での生活は適していない
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目次
スローロリスの値段相場は50万円~150万円
スローロリスの値段相場はとても高く設定されており、最低でも50万円程度は見ておく必要があります。
平均価格では100万円程度が上限とされていますが、実際にはこれより高くなることもよくあります。
高くなると通常でも150万円程度の価格帯になっていることがあり、なかなか簡単にはお迎えできない個体価格であることがわかるでしょう。
エキゾチックアニマル自体の飼育は犬猫に比べて多くありませんが、高くなる理由はそれだけではありません。
スローロリスのお迎え場所
スローロリスをお迎えしようと思ったら、基本的には大型ペットショップを利用することになります。
そもそもの個体数が多くないので、通常のペットショップに行っても出会えることは多くないでしょう。
お迎え自体がかなり難しいこともあって、スローロリスの存在を知っている人も少ないはずです。
エキゾチックアニマル専門店でも出会える
スローロリスはエキゾチックアニマルなので、エキゾチックアニマルの専門店でも出会えることがあります。
場合によっては大型ペットショップよりもエキゾチックアニマル専門店の方が、出会える確率が高いこともあるのです。
ただ、いずれにしても非常に個体数が少なく次の条例もあるため、飼育自体がかなり難しいです。
絶滅危惧種なので国内での繁殖された子だけが販売される
スローロリスは森林伐採や密輸によって絶滅危惧種となり、2007年9月13日からはワシントン条約によって国際取引が原則禁止となりました。
これ以前も輸入に許可が必要な動物とされており、2005年からは人獣共通感染症を防止する目的として、ペット目的としての猿の輸入が禁止されています。
そのため国内で繁殖された子しかお迎えすることはできず、なおかつ飼育には環境省から発行される“登録票”が必要になります。
お迎え前に知りたいスローロリスの基本情報
スローロリスは霊長目ロリス科のスローロリス属で、大きな目としっぽがとても短いというのが特徴的です。
東南アジアを原産とし、インドやベトナムなどでは知られているものの、日本ではまだ認知度がありません。
一見すると猿のようには見えませんが、猿の仲間であり、体長も大きすぎないため飼育しやすいサイズ感です。
スローロリスの性格
可愛らしい顔をしていますが非常に神経質な性格で、とてもストレスを溜めやすい動物です。
名前の通りおっとりとしており、動く際にも機敏に動くことはなく、木から木に移るときもゆっくりしています。
気性が荒いわけではないので性格で言えば飼いやすいのですが、接し方はとても丁寧である必要があります。
スローロリスの体長・体重
体長 | 20cm~30cm |
体重 | 300g~500g |
体長は大きくなっても30cmほどで、しっぽがほとんどない程度でもあることから大きくはありません。
体重も成長して500g程度であることから、小動物として飼育するには適したサイズ感であると言えます。
スローロリスの被毛
スローロリスの被毛は暗い褐色や赤褐色のような色をしており、とても短く全身を覆います。
お腹部分は白や灰色であることが多く、頭から背中にかけては黒い縦線が走っています。
スローロリスの体臭
ほとんど気にならない程度の体臭ですが、全くニオイがないというわけではありません。
腕の下からは強いニオイを発する液体を分泌することもあり、所構わず排尿することもあってニオイが気になることもあります。
適切なお手入れによってある程度は軽減することが可能であるものの、完璧にニオイをなくすことはできません。
スローロリスの鳴き声
よく聞けば鳴き声が聞こえることもあるかもしれませんが、とても静かな動物です。
ほとんど鳴くことはなく、特に人間が活動している日中は寝ているので聞く機会も多くありません。
スローロリスの生活習慣
スローロリスは夜行性で、日中は隠れて眠ることが多いため、飼育時にもこれは同様です。
夜になると行動を始めますが、行動はとてもゆっくりとしています。
人と関わることよりも、野生で生きることが理想的な動物でもあります。
スローロリスの平均寿命
平均寿命は約10年ほどで、長ければ14年~15年ほどと言われています。
ほかの猿と比べると長くはありませんが、小動物の中では長い方の寿命だと言えるでしょう。
ただこれは飼育されている状態での平均寿命で、野生の場合にはもう数年長いと言われています。
このあたりは犬や猫を飼育するのと、正反対の結果になっていると言えます。
スローロリスの病気
スローロリスは体が小さいことから、ちょっとした風邪であっても命に関わるようになります。
特に室温設定が大事なスローロリスにとって、低体温や風邪にかかることも少なくありません。
また、エキゾチックアニマルを診てくれる動物病院は多くなく、緊急時にすぐ行ける病院は多くないのも気をつけたいポイント。
あらかじめすぐに行ける動物病院を確認しておき、万が一に備えておきましょう。
スローロリスの飼育難易度
日本で飼育するには非常に難しく、適した季節が夏だけというスローロリス。
その夏も、スローロリスの快適な気温・湿度では、人間は快適に過ごすことができなくなります。
高温多湿の熱帯雨林が出身なので、スローロリスの快適な環境にしてしまうと、人間の場合は熱中症になってしまうこともあるでしょう。
部屋をわけることはもちろんのこと、飼育自体がかなり難しいと言えます。
スローロリスの飼い方
スローロリスを飼うとなった場合、小動物に必要な、基本的なアイテムばかりです。
- ケージ
- フード
- 食器
- 給水器
- 登り木
- ヒーター
そこまで多くのものを必要としませんが、基本的なケージに加えて食器や給水器、そして登り木なども用意してあげてください。
また、ヒーターも室温管理のために重要なので、必ず用意してあげる必要があります。
食事
食事は雑食であるため、通常野生で生活している中では昆虫や木の実などを食べて生活しています。
舌がとても長いので樹液なども食べることができて、これらのバランスのとれた食事を用意してあげる必要があります。
専用のフードがないわけではないものの、非常に種類も少ないため選びづらいです。
基本的には昆虫や果物などをバランスよく与えることが重要になります。
トイレ
スローロリスはトイレを覚えることがないため、ケージ内のいたるところで用を足すことになります。
トイレを用意しても必ずそこを使ってもらえるようになる、ということがないのです。
ケージ内を毎日掃除する必要は出てきますが、下にペットシートを敷いておけば少しは楽になるでしょう。
放置しておくとニオイもするようになるので、早めにお掃除することが大切です。
温度設定
熱帯雨林出身ということもあって、室温は非常に高めに設定しなければいけません。
適温は27℃前後とされていますので、自宅で飼育するとなると、飼い主さん自身の負担も大きくなりがちです。
室温が低くなりすぎると行動できなくなり、低体温症を発症してしまう可能性もあります。
必ずヒーターを別途用意してあげて、室温が27℃を下回ることがないように管理しなければいけません。
スローロリスの飼育がおすすめできない理由
スローロリスはとても可愛らしい一方で、ペットとしての飼育はおすすめできません。
その理由は複数ありますので、生体価格以外の面でも確認しておきましょう。
絶滅危惧種である
スローロリスを飼ってはいけない、というわけではないものの、前提として絶滅危惧種ということをまず理解しなければなりません。
ワシントン条約によって日本国内において繁殖された子ならば、販売や譲渡は可能とされています。
ですが、スローロリスの飼育は難易度が高く、またスローロリス自身にとっても最適な環境とは言えません。
後述のように毒を持っている点や、抜歯がされている点、適切な飼育が難しい知識や環境が作れないというのは、スローロリスにとって負担になるのです。
参考:認定特定非営利活動法人 野生生物保全論研究会 ペットトレード
飼育によるスローロリスへの負担が大きい
野生であれば犬や猫と同じように15年ほど生きてくれますが、飼育環境では長生きすることが少ないと言われています。
つまり野生の環境がスローロリスにとっては最適で、飼われる環境ではストレスを始めとした負担が大きいのだとわかります。
前述の通り絶滅危惧種でもあることから、より丁寧なケアも必要になってくるでしょう。
飼い主さん自身の負担はもちろんのこと、飼われることはスローロリスにとって適していないのです。
毒を持っている
スローロリスは毒性哺乳類なので、とても可愛らしい顔をしていますが実は毒を持っています。
上腕腺から出る分泌物を唾液と合わせることによって、スローロリス特有の毒になるのです。
この毒は酸性の刺激臭があり、自分や子どもにつけておくことで外敵から身を守るという効果があるもの。
毒は猫アレルギーに類似していると言われており、人間であってもアナフィラキシーショックを起こす可能性があります。
抜歯による感染症の死亡率が高い
ペットとして飼育される際、スローロリスは噛むこともあるため歯を抜くという習慣があるのです。
ですが当然これは理想とされているわけではなく、歯を抜いた場所が炎症を起こし、死亡することもある処置です。
抜歯によって歯牙感染を引き起こす恐れもあり、感染してしまうと致死率は90%以上とも言われています。
スローロリスは毒を持っていますが、歯を抜いても毒がなくなるわけではないため、咬傷事故を防ぐためだけの処置とも言えます。
ただ、こうした処置がされた子は野生で生活することができなくなるので、結果として死亡する確率が高くなります。
まとめ
スローロリスは非常に可愛らしく、個体価格が高いからこそ飼ってみたいと思う人もいるかもしれません。
ですが、実際には飼育が非常に難しく、スローロリスのためを思うならばその判断は推奨できないところ。
繁殖も非常に難しいとされており、もともとが野生動物でもあるのでペットとして飼育するのは難しいでしょう。
一度だけでも会ってみたいということであれば、動物園などで出会えることもあるのでぜひ確認してみてください。
この記事の執筆者
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