ペットとして人気の鳥の中でも、日本人に昔から馴染みがあり、飼いやすいことで知られる文鳥。
とても賢い鳥で、手乗りもしてくれるので愛着も湧きますし、飼っていて楽しい鳥です。
そんな文鳥は何を食べるのか?主食や副食、食べて良いものといけないものをまとめました。
この記事の結論
- 文鳥の主食となるものは専用ペレットやシードで、たまに野菜や果物もOK
- 小松菜や青梗菜といった野菜や、バナナやりんごなどの果物は食べられる
- ネギ類やほうれん草の野菜と、桃やキウイなどの果物はNG
- ボレー粉という牡蠣の殻を砕いた粉末状のものも、食事のひとつとして知られている
目次
文鳥の餌の種類

文鳥の食事には大きく分けて2種類があり、主食となるペレットやシードと、副食となる野菜や果物です。
基本的には主食となるペレットやシードをあげる方針で、摂りづらい栄養摂取のために副食をあげてみる、といった食事のスタイルになります。
主食の種類はあまり多くありませんが、専用フードが販売されているのでそれらを選びましょう。
調理したものや人間が食べるような食事でなければ副食としても利用できるので、野菜や果物も一部OKです。
主食には総合栄養食などもありますが、ビタミンやミネラルなどは摂取しづらいので野菜や果物も必要になります。
文鳥の主食
まずは基本となる文鳥の主食から見ていきましょう。主食は総合栄養食として作られているペレットと、栄養バランスがよい種子で構成されるシードの2つです。
ペレット

「キビ、ヒエ、アワ、大豆」などを混ぜて作られているのが、文鳥やカナリアに適した専用フードです。
総合栄養食なのでこれひとつで栄養バランスが大きく偏ることはなく、一生涯食べ続けられるフードとなっています。
最適な栄養素をペレットだけで補えるため、食事バランスを考える必要はなく、飼い主さんとしてはお手軽です。
「人工的に作られている食事」という不安はあるかもしれませんが、原材料などは明記されているので商品ごとにチェックすることもできます。
シードよりも消化吸収の良い食べ物ですが、淡白な食事になるため嫌がる子も。人工的なものを食事として認識しない子もいます。
メリット
- 栄養バランスが優れている: 文鳥に必要な栄養素が網羅されているため、基本的に副食をあまり与える必要がなく、栄養管理が簡単で初心者にもおすすめです。
- 栄養不足のリスクが低い: シードのように選り好みをして栄養が偏る心配が少ないため、栄養バランスを保ちやすいです。
- 病気や老鳥に適している: 栄養がバランス良く配合されているため、病気療養中や高齢の文鳥の食事に適しています。
- 清潔さ: 殻が出ないため、ケージ周りが汚れにくいです。
デメリット
- 嗜好性が低い: シードに比べて味が淡白なため、文鳥が食べてくれないことがあります。特にシードを主食としてきた文鳥がペレットに切り替えるのは難しい場合があります。
- 自然な行動が制限される: シードをむくという文鳥の自然な行動ができなくなります。
- コスト: シードに比べて高価な傾向があります。
- メーカーに依存: どの程度のビタミン、ミネラルを含むか不明な製品もあり、メーカーの情報を信頼するしかありません。
シード

「ヒエ、栗、赤栗、キビ、青米、カナリアシード」など、こちらも文鳥の主食として知られているシード。自然界に存在するものをバランスよく配合しているため、ペレットよりも食いつきがよい子もいます。
自然志向の飼い主さんや文鳥だとシードを好む傾向にあるものの、ペレットのように混ぜて練り固めているわけではありません。
そのため文鳥自身が好きなシードのみを選んで食べてしまうこともあり、この場合だと栄養バランスが偏りやすくなってしまいます。
殻付きのものと殻なしのものがあり、殻付きのものは散らかりやすい分、殻なしより長持ちしやすいです。殻なしは殻が付いていないので散らかりませんが、劣化が殻付きよりやや早くなっています。
殻なしはビタミン・ミネラルがより少なくなっており、文鳥は殻をむく作業も好きなので殻付きがおすすめです。
メリット
- 嗜好性が高い: 文鳥が好んで食べるため、食いつきが良いです。
- 安価で入手しやすい: ペレットよりも比較的安価で購入でき、小さなペットショップなどでも手に入りやすいです。
- 自然な行動を促す: クチバシで種子をむくという文鳥の自然な行動ができます。
デメリット
- 栄養が偏りやすい: 好きな種子だけを選り好みして食べる可能性があるため、栄養バランスが偏りやすいです。シードだけではビタミンやミネラルが不足し、副食やサプリメントが必要になります。
- 栄養管理が複雑: ペレットに比べて栄養管理が複雑になります。
- 清潔さ: 殻が出るため、ケージ周りが汚れやすいです。
- 肥満の原因に: 脂質が多い種類を好んで食べると肥満につながることがあります。
文鳥の個体差に応じたペレットの選び方
文鳥のペレットを選ぶ際は、以下の点を考慮し、個体差に合わせて調整することが重要です。
粒の大きさ
- 小粒・極小粒: シードからの切り替えには、シードと大きさが似ている小粒タイプ(直径1~6mm程度)が適しています。シードに混ぜて与えることで、違和感なく食べ始める可能性があります。
- 大粒: かじるのが好きな文鳥や、足で持って食べる体格の大きい文鳥には大粒タイプがぴったりです。満足感が高く、食べごたえがあります。大粒を食べない場合は、細かく砕いてから与えてみましょう。
鳥種への適合
ペレットのパッケージには「対象鳥種」が記載されていることが多いです。文鳥などのフィンチ類は代謝が高いため、セキセイインコに比べて高栄養が必要になる場合があります。まずは文鳥に適したペレットを選びましょう。
目的・健康状態
- 体重管理: 痩せ気味や病後でしっかり栄養を摂りたい場合は高栄養のペレット、ダイエットが必要な場合は低カロリーのペレットを選びます。かかりつけの獣医師に相談することをおすすめします。
- 換羽期: 換羽期には高タンパク質(タンパク質20%前後)の換羽期用ペレットに切り替えるか、混ぜて与えるのが良いでしょう。
味・風味
ペレットは種類によって味や風味が異なります。特定のペレットを食べてくれない場合は、さまざまなメーカーのものを少量ずつ試して、文鳥の好みに合うものを見つけることが大切です。
シードからペレットへの切り替え方法(ステップバイステップ)
シードからペレットへの切り替えは根気が必要な作業ですが、文鳥の健康のために非常に重要です。焦らず、ゆっくりと進めましょう。
1. 現在の食事量を把握する
まず、1日にどのくらいのシードを食べているかを1週間程度計測し、平均量を把握します。これにより、必要な餌の量を管理しやすくなります。
2. ペレットに慣れさせる(味と匂い)
- 粉末を混ぜる: まずはペレットをすり鉢などで細かくすりつぶし、普段のシードに少量ずつ混ぜて与えます。シードを食べるときに、ペレットの味や匂いに慣れさせ、警戒心をなくしていくのが目的です。
- 餌皿に入れる: シードを入れる餌皿の隣に、ペレットを入れた別の餌皿を置いて、ペレットの存在を目に慣れさせます。
3. シードの量を徐々に減らす
- 文鳥がペレットの味や匂いに慣れてきたら、シードの量を少しずつ(1~2割程度)減らし始めます。この際、文鳥の体重を毎日測定し、急激な体重減少がないか注意深く観察することが重要です。
- シードを減らすことで空腹になり、ペレットをついばむようになる可能性があります。
4. 食事の時間で区切る
- 1日2回(朝と夕方など)餌を与える場合、朝はペレットのみを与え、夕方は食べ慣れたシードを与える、というように完全に餌を分ける方法もあります。
- 日中にペレットしか食べ物がない時間を作り、空腹になってもペレットしか選択肢がない状態を作ります。ただし、「かわいそう」と感じて日中にシードを与えてしまうと、文鳥が「我慢すればもらえる」と認識し、切り替えが失敗する可能性があるので注意が必要です。
5. 飼い主が食べる姿を見せる
飼い主がペレットを美味しそうに食べるふりをすることで、文鳥が興味を持ち、試してみることがあります。
6. 根気強く続ける
シードからペレットへの完全な切り替えには、数週間から数ヶ月かかることも珍しくありません。すぐに食べてくれなくても諦めず、時間をかけてゆっくりと進めることが成功の鍵です。拒食による体重減少が続く場合は、すぐに獣医師に相談してください。
これらの情報を参考に、文鳥にとって最適な食事を見つけてあげてください。
文鳥の副食

主食があれば栄養バランスが大きく崩れることはないものの、それだけでは味気ないですよね。
また、主食の中でも栄養バランスが崩れやすいシード食の場合、副食で栄養を補う必要があります。主食の中でもシードの場合は穀物の種子であるため、ビタミン類やミネラルが不足しがちです。
これらの不足する栄養を補ってくれるのが、野菜と果物。ペレットなどとは違ってしっかりと味もある食べ物なので、野菜や果物を好んで食べる子も多いでしょう。
あげるときは新鮮なものだけをしっかりと洗った上であげるようにします。
ものによってはあげてはいけないもの、あげると体調を崩してしまうようなものもあるため、後述の内容も必ずチェックしておいてください。
文鳥に与えて良い野菜・果物

文鳥に野菜・果物をあげるときには、不足しがちなビタミン類が多く摂れるものをあげると良いでしょう。
基本的な栄養バランスは主食のペレットやシードで補いつつ、必要に応じて下記のような野菜・果物をあげるとよいです。
野菜 | ・小松菜 ・豆苗 ・チンゲンサイ ・にんじん |
果物 | ・バナナ ・りんご ・みかん ・いちご |
与えて良い野菜は基本的に青菜類です。小松菜、豆苗、チンゲンサイなどを中心にしましょう。人間も食べるような新鮮なものだけを選び、水で洗ってから小皿などであげます。
果物の場合は頻繁にあげすぎないように注意が必要。ペースとしては1週間に一度程度で十分です。
特に果物は甘いので好んで食べる子も多いですが、あげすぎには注意しましょう。肥満の原因にもなります。
また、あげるときは必ず種をとって実だけをあげるようにします。種も中毒症状などを引き起こす原因になるためです。
文鳥に与えてはいけない野菜・果物

野菜や果物に興味を示す子も多いのですが、「食べてくれればなんだって」というわけにもいきません。
ものによっては体調を崩してしまったり、最悪の場合、死に至る可能性もあります。下記のものは文鳥にとってNGな食べ物なので、必ず把握しておきましょう。
野菜 | ・ネギ類(ニラ、タマネギ、にんにくなど) ・ほうれん草 ・オクラ ・モロヘイヤ ・里芋 ・たけのこ |
果物 | ・桃 ・杏 ・びわ ・キウイ ・マンゴー ・アボカド |
動物に与えてはいけない食べ物の代表的なネギ類から、ほうれん草やオクラ、モロヘイヤなどもNG。アクの強いもの、シュウ酸を含むものは文鳥にとって有毒物質となります。
果物も上記のようなものは中毒症状を引き起こす可能性があります。嘔吐や下痢などから、命を落とす可能性もあるため注意しましょう。
もし、これらの与えてはいけない野菜・果物を食べてしまったときは、すぐに動物病院を受診しましょう。
文鳥のその他の食事

その他にもボレー粉という、牡蠣の殻を小さく砕いて粉状にしたものも食事のひとつ。このボレー粉では不足しがちなカルシウムやヨードを補うことができるため、主要なミネラル源になります。
青菜を中心とした野菜ではビタミンを補給しつつ、ボレー粉ではカルシウムなどのミネラルを補給することができます。
ペレットやシードなどの主食を基本としつつ、青菜やボレー粉で栄養補給をする、というのがもっとも最適なバランスになるといえるでしょう。
文鳥用にボレー粉を購入するときには、着色や添加物が入っていない白いボレー粉を選ぶようにしましょう。
着色されていて緑やピンクになっているものもありますが、これらは避けましょう。
文鳥に必要な栄養バランスが崩れてしまうと

シードなどはビタミンがほとんど含まれていないため、別途補給しなければ不足しがちになります。
例えばビタミンAが不足すると皮膚病などになりやすく、ビタミンDが不足すると「卵殻形成不全、くる病、骨軟化症」などの原因に。
卵殻形成不全 | 卵管の収縮不全により卵が詰まる |
くる病 | 栄養不足によりヒナの骨の形成に異常が生じる |
骨軟化症 | 栄養不足により成鳥の骨の形成に異常が生じる |
総合栄養食とは違って、シード食を優先する場合には特に注意が必要です。健康で長生きしてもらうためにも、栄養バランスを考えた適切な主食・副食選びを心がけましょう。
文鳥の雛の餌の回数

文鳥の雛の餌は生後1か月頃までは1日4~6回程度とし、成長に合わせて徐々に減らしていきましょう。
期間は個体差はあるものの、文鳥の雛が自分で餌を食べられるようになるのは生後2~3か月程度かかると言われています。
それまでは、飼い主さんが直接文鳥の雛に与えてあげなければいけません。
餌は栄養剤を混ぜた粟玉(あわだま)をお湯でふやかして、スポイトで雛の口に与えます。
ふやかす際は熱湯を使用し、40℃前後ぐらいに冷ましてから与えてください。熱すぎる餌は火傷の心配だけではなく、消化吸収に影響することもあるので注意しましょう。
まとめ
文鳥の食事に困ったら、まずは文鳥用に販売されている専用フードから用意してあげましょう。
これだけでも栄養バランスはある程度整うので、そこから少しずつ副食としての野菜や果物をあげてみてはいかがでしょうか。
好きな野菜・果物、嫌いな野菜・果物は個体差がありますので、どんな食事が好きなのか確認してみることが大切。
最初は悩むところですが、絶対にあげてはいけない食べ物だけ避けて、安全な食事環境を確保してあげましょう。
この記事の執筆者
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