「うちの猫の呼吸が最近おかしい…」そんな不安を感じた飼い主さんも多いと思います。
実は、猫の呼吸の異常は、深刻な健康問題のサインかもしれません。
犬とは違って、猫は普段から静かに呼吸をする動物です。
そのため、呼吸が荒くなったり、口を開けて息をしたりする様子は、要注意のサインとなります。
愛猫の命を守るために、どんな症状に注意すべきか、そしていざという時どう対処すべきか。
今回は、猫の呼吸困難について、症状から受診のタイミングまで、詳しく解説していきます。
この記事の結論
- 猫の呼吸困難は命に関わる可能性がある重症なサインなので、早期発見が重要
- 通常の鼻呼吸から口呼吸になる、呼吸が著しく速くなる、肩で息をするなどの症状が見られたら要注意
- 熱中症や異物誤飲など、緊急性の高いケースでは、すぐに動物病院を受診する必要がある
- 日頃から猫の正常な呼吸状態(1分間20-40回)を把握し、異常の早期発見に努めることが大切
ライター/愛玩動物飼養管理士2級、猫検定 初級・中級/ペット看護師/動物介護士
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目次
猫の呼吸が速くなる理由
健康的な猫の通常の呼吸数は、安静時で1分間に約20~40回程度と言われています。
猫は基本的に鼻で呼吸をする動物であり、口を開けて息をすることは少ないのが特徴です。
しかし、さまざまな要因によって呼吸が速くなることがあります。
急激な呼吸数の増加や、肩で息をするような様子が見られる場合は、深刻な健康問題のサインかもしれません。
呼吸の異常には、運動後やストレスなどの一時的なものから、体調の悪化や怪我など重篤な原因まで考えられます。
運動後
猫が運動後に呼吸が速くなることは、自然な生理現象です。
運動によって消費された酸素を取り込み、排出するべき二酸化炭素をスムーズに外へ出すためです。
また、運動で生じた体熱を効率よく体外に放散させる役割もあります。
これらは人間と同様の反応であり、運動による酸素の需要が増大することが原因です。
ただし、運動後の呼吸が極端に速かったり、しばらく続く場合は、異常の可能性も考えられるため慎重に観察しましょう。
ストレス
猫はストレスを受けると交感神経が過剰に刺激されて、呼吸が速くなることがあります。
例えば、不安や恐怖、興奮などによって猫の心拍数が上昇し、呼吸も乱れがちです。
突然の環境変化や新しい動物、人間との接触がストレスの原因になることも多いです。
これらの状況に遭遇した際には、猫が安心できる場所や環境を提供し、呼吸の状態が正常に戻るようにしてあげましょう。
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体温調節
猫は主に呼吸によって体温を調節します。
犬のように舌を出してハアハアと息をすることは稀ですが、猫も高温の環境下で呼吸を速めることで体温を管理します。
ただし、本来汗腺が少ないため、体温調節が難しいこともあります。
特に暑い日に息が速くなる場合は、冷却対策を講じることが重要。
幼い子猫の場合、過度な遊びにより一時的に口を開けて呼吸することもありますが、適度な休息をとらせることが大切です。
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異物誤飲
異物を誤って飲み込んだ場合、喉や気道が塞がれることがあり、呼吸が速くなることがあります。
異物が気道を圧迫すると、猫は不快感を覚え、時には呼吸困難に陥ることも。
また、異物が胃や腸を傷つける場合もあり、それに伴う不調が呼吸に影響を及ぼします。
異物を飲み込んだ疑いがある場合は、早急に動物病院を受診するようにしてください。
日頃から誤飲を防ぐために、危険な物を猫の手の届かない場所に置きましょう。
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病気・ケガ
病気やケガにより猫の呼吸が速くなることがあります。
特に外傷や骨折がある場合は痛みが原因で呼吸が乱れることがあり、心臓病や肺の疾患も呼吸機能に影響を及ぼします。
呼吸困難を引き起こす可能性もあり、速やかな診断と治療が必要です。
猫の行動や呼吸の変化に気付いた場合は、なるべく早く専門の獣医師に相談するようにしましょう。
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猫の呼吸困難のサイン
猫の呼吸困難を示すサインは、いくつかの特徴的な症状として表れることがあります。
健康な猫は通常、静かで規則正しい呼吸をしていますが、呼吸に問題がある場合は、明らかな変化が見られます。
特に注目する点として、呼吸数が普段より増えたり、肩を使って呼吸したり、鼻の穴を普段より大きく開いたりする様子が挙げられます。
また、猫が口を開けて呼吸している場合は、深刻な状態のサインとして捉える必要があり、このような症状に気付いたら、すぐに獣医師に相談することが大切です。
ここからは特に注意が必要な呼吸困難のサインについて解説していきます。
じっと動かない
猫がじっと動かずに横たわっている場合、呼吸が苦しい可能性があります。
この症状は低酸素状態により意識が低下していることを示すこともあり、緊急の対処が求められます。
酸素吸引や医療機関での適切な治療が必要となりますので、早急に行動することが大切です。
口呼吸が続く
猫は通常、鼻で呼吸しますが、口を開けて呼吸をしている場合、何らかの問題が生じている可能性があります。
特に口呼吸が続く場合は、鼻での呼吸が困難になっていて緊急性が高いといえます。
猫が安静時に口を開けて息をしている場合は、心臓病や呼吸器系の深刻な問題が潜んでいることもあります。
頻繁にこの症状が見られる場合はすぐに動物病院を受診し、早めに適切な診断と治療を受けるようにしましょう。
喘鳴が聞こえる
「ヒューヒュー」や「ゼーゼー」といった異常な呼吸音は、気道が狭くなっているサインです。
これは気管支喘息や上気道感染症、異物の詰まりなどが原因として考えられます。
特に呼吸音が大きくなったり、呼吸が苦しそうになったりする場合は、すぐに診察を受けるようにしましょう。
よだれを垂らす
猫が大量のよだれを垂らし、ぐったりしている場合は、熱中症の危険があります。
猫は暑さに弱く、体調不良を引き起こすことがあります。特に荒い呼吸と大量のよだれは、熱中症の典型的なサインです。
この状態は命に関わることもあるため、即時に冷却対策を行い、動物病院に連絡する必要があります。
普段から涼しい環境を提供するようにして、水分補給を心掛け、熱中症の予防に努めましょう。
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速く浅い呼吸
猫が速く浅い呼吸をしている場合、肋骨骨折や気胸、横隔膜ヘルニアなどが原因である可能性があります。
このような状態では、横隔膜や胸部の損傷により、肺が十分に膨張できないことが考えられます。
運動後や暑い日でないのに速い呼吸が続く場合は、肺や心臓の疾患が疑われることが多く、早急な診断と対処が必要です。
異常が見られた際は、できるだけ猫を動かさずに、すぐに獣医師に相談してください。
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猫の呼吸困難時に考えられる病気
猫の呼吸困難は、命に関わる深刻な症状です。
普段から愛猫の呼吸の様子をよく観察し、異常に気づくことが大切です。
呼吸困難にはさまざまなサインがありますが、特に注意すべき症状がいくつかあります。
猫の呼吸困難を示す代表的なサインとその特徴を詳しく見ていきましょう。
猫風邪
猫風邪は、ウイルスや細菌が原因となる呼吸器疾患で、鼻炎や気管炎、結膜炎を引き起こします。
特にヘルペスウイルス、カリシウイルス、クラミジアなどのウイルス感染が一般的です。
鼻水やくしゃみ、目やに、発熱といった症状が見られ、鼻道の閉塞により呼吸しづらくなることもあります。
悪化すると肺炎や結膜炎に進行する可能性があるため、早めの治療が重要です。
治療には抗ウイルス薬や抗生剤が使用され、慢性化を防ぐために早期対応が求められます。
猫喘息
猫喘息は、アレルゲンに対する過敏反応により呼吸困難が生じる慢性気管支疾患です。
急な咳や喘鳴が特徴で、多くの場合、ダニやハウスダスト、タバコ、花粉が引き金になります。
症状が現れた場合は、すぐに動物病院での診察が必要です。
治療にはステロイド剤や鎮咳薬、ネブライザーが用いられ、環境中のアレルゲンを除去することも行います。
発作時の猫の姿勢や咳の音で、緊急性を判断することが必要です。
貧血
貧血は、酸素供給が不足し、猫が頻繁に息切れする原因となります。
慢性腎臓病や玉ねぎ中毒などが要因として考えられ、体内の酸素が不足することで呼吸が速く荒くなります。
このため、猫は動くのを避けるようになったり、元気がない様子を見せることが多くなったりするので、治療としては原因を特定し適切な処置をすることが必要です。
飼い主さんは、猫の活動量や呼吸の状態をよく観察し、異常を感じた際には速やかに獣医師の診察を受けるようにしましょう。
肺炎
肺炎にかかると、猫は咳や発熱、呼吸困難を示すことがあります。特に子猫やシニア猫は症状が重くなりがちです。
肺のガス交換機能が低下するため、呼吸が速く浅くなります。
また、元気がなくなり、普段活発な猫も疲れやすくなりますので注意が必要です。
無理に運動させると症状が悪化する恐れがあるため、安静を保ちつつ、迅速に動物病院での診察を受けることをおすすめします。
肺水腫
肺水腫(はいすいしゅ)は、心臓の疾患により血液が肺に溜まりやすくなる状態です。
これにより肺に水分が漏れ出し、酸素と二酸化炭素の交換が妨げられます。
息切れや呼吸困難を招き、命に関わることもあります。胸水が溜まり、呼吸が困難になることもあり、緊急の処置が必要です。
特に心筋症などが進行すると、この状態に陥りやすいため、心臓に不安のある猫は定期的な検診と早期発見が重要になり、発見が遅れると症状が悪化する可能性が高くなります。
熱中症
熱中症は、高温環境下で体温調整ができず、命に危険が及ぶことがあります。
初期症状として、開口呼吸や口の粘膜の充血が見られ、放置すると嘔吐や下痢、痙攣などの危険な状態に進行します。
即時の冷却対策と動物病院での治療が不可欠です。
熱中症は予防が極めて重要で、気温の高い日には涼しい環境を提供し、水分補給を怠らないように心掛けてください。
また、普段から猫の体調をよく観察し、異常があればすぐに対策を行うようにしましょう。
肥大型心筋症
肥大型心筋症(ひだいがたしんきんしょう)は、心筋が肥大し、血液循環が不良になる病気です。
初期段階では症状が出にくいですが、進行すると肺水腫や胸水を生じ、呼吸困難を引き起こします。
浅く速い呼吸をし、口を開けて呼吸する開口呼吸や、お座りした状態で胸や肩を大きく動かしながら呼吸する起坐呼吸があります。
これらの症状が見られた場合、即座に動物病院で診断を受けるようにしましょう。
猫の呼吸困難時の対処法
猫が呼吸困難に陥った際、飼い主さんとしては迅速かつ適切な対応が求められます。
まずは猫が落ち着ける静かな環境を整え、ストレスを軽減することが大切です。
無理に動かさず、注意深く様子を観察しましょう。
以下の具体的な対処法を理解しておくと緊急時に役立ちます。
猫の呼吸が苦しい時にどのように対応するといいのかをぜひ覚えておいてくださいね。
楽な姿勢に変えてあげる
猫が呼吸困難に陥った際は、一番楽な姿勢を見つけてあげることが重要です。
多くの猫は、胸を開いた状態や顎を少し高くすることで呼吸が楽になりますが、これは個体差があるため注意深く観察しましょう。
クッションを使って段差のある場所を作り、サポートすることもいい方法です。
ただし、同じ姿勢を長時間続けることは避けてください。
続けると褥創(じょくそう)や他の痛みの原因になることがあるため、無理のない範囲で時折姿勢を変えてあげるようにしましょう。
生活環境を整える
- 温度は通常よりやや低めに設定する
- 湿度は50~60%を維持する
- ホコリやハウスダストなどから遠ざける
猫の呼吸を楽にするためには、生活環境を最適化することが大切です。
室温は通常よりやや低めに設定し、湿度は50%から60%を維持しましょう。
新鮮な空気を取り入れるため、定期的に換気を行い、空気清浄機を使ってホコリやアレルゲンを除去することも効果的です。
喫煙は室内で避け、香水や掃除用スプレーといった刺激物の使用も控えましょう。
環境調整をすることが猫の呼吸への負担を軽減し、快適な生活を送れるようになるためのサポートになります。
猫の呼吸困難で絶対に受診すべき症状
猫の呼吸困難で絶対に受診すべき症状には次のようなものがあります。
- 舌の色が青紫色になっている
- 咳が続いている
- 速く浅い呼吸が数十分程度続いている
- 意識障害や痙攣が見られる
これらの症状は、猫にとって重篤な状態を示している可能性が高いため、早急に獣医師による対処が必要です。
受診の際は、愛猫の様子を動画で撮影し、安静時や睡眠時の呼吸状態を記録したものを持参すると診断がスムーズになります。
また、普段からキャリーバッグに慣れさせておくことも重要で、急な移動で猫を興奮させないよう配慮が求められます。
移動中は呼吸しやすい体勢を維持させ、体温に応じて適切に保温や冷却を行ってください。
原因によって対処法が異なるので、緊急の場合は事前に動物病院に連絡し、指示に従うよう心がけましょう。
この記事の執筆者
ライター/愛玩動物飼養管理士2級、猫検定 初級・中級/ペット看護師/動物介護士
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