猫の病気・健康

猫の体温の平熱は38~39℃。高いときと低いときの症状や注意点

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猫の体温の平熱は何度?体温の測り方と発熱時の対処法について

猫ってふわふわでとっても温かいですよね。猫にとって体温は、私たち人間と同じく健康状態のバロメーターとなるものです。

もちろん猫にも平熱はあり、体調次第で体温が上がったり下がったりします。

猫と暮らす上で平熱や正しい体温測定の方法を知ることは、猫が長生きするための健康管理の維持に欠かせない大切なポイントです。

本記事では、自宅でできる猫の体温測定の方法や、体温に異常がある場合の受診の目安について解説します。

この記事の結論

  • 猫の体温の平熱は38~39℃で、一日の中で多少の変動がある
  • もっとも正確に熱を測るならば、肛門に2~3cm入れて測る
  • 人間用の体温計は使わず、動物用の体温計を必ず使うようにする
  • 基本的には人間が快適に過ごせる環境が、猫にとっても快適に過ごせる環境である

鈴木 夏奈子

担当執筆者

鈴木 夏奈子

ライター/JKCトリマーB級/JKCハンドラーC級/愛玩動物飼養管理士2級/訓練士補 キャットグルーマーC級/日本化粧品検定1級

動物に携わる仕事がしたいと思い、毎日ワンちゃん、猫ちゃんと向き合っていたらトリマー13年目。
動物病院併設サロンでの勤務歴も活かし、ペットがいつまでも健康で幸せに暮らせるよう美容面を中心に、しつけの相談、食事やおうちでのお手入れ等のアドバイスをさせていただいています。

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猫の体温の平熱は38℃~39℃

人間の平熱は36.5℃~36.7℃くらいだといわれていますが、実際には個人差があり35℃台から37℃台までとさまざまです。

一方、猫の平熱にも個体差はありますが、人よりも2~3℃ほど高い38℃台が一般的です。

人にとっては高熱とも言える38℃~39℃程度が平熱なので、初めて愛猫の体温を測ったときに驚かないよう注意しましょう。

子猫やマンチカンミヌエットなどの小型の子は平熱より少し高く、ラグドールノルウェージャンフォレストキャットサイベリアンなどの大きくなるタイプの子や、シニア猫は少し低くなります。 

一日の中で体温は変動する

一日の中で体温はプラスマイナス1℃変動するといわれており、一般的には朝起きたばかりのときが一番低いです。

反対に夕方16時~18時頃に最も高くなり、そしてまた眠る頃に少しずつ低くなります。

これは人間の場合と同様で、どんな時間帯に測ったか、何をしたあとに測ったかによって体温は変動します。

動き回って遊んだ後などは体温がやや高くなることが多いでしょう。

ストレスによって体温が上がる

苦手な場所や人と接触するなど、環境の変化でストレスを感じているようなケースでは、やや体温が上昇することがあります。

ただ、のんびりと過ごしているときの体温が39.5℃以上になることはめったにありません。

平熱を大きく上回る場合、中でも40℃を超える熱がある場合は、なにかしらの病気の可能性があります。

特に一時的にではなく、継続して体温が高い場合にはすぐに動物病院を受診しましょう。

猫の体温の測り方

猫に熱があるのかもしれない、そんなとき、人間のようについ額に手を当てて、熱があるかを確認したくなるかもしれません。

しかし、全身が毛で覆われているため、猫に熱があるかどうかを手で判断するのは難しいでしょう。以下で猫の体温の測り方をいくつかご紹介します。

正確に測るならお尻から

猫はお尻で体温を測ります。以下が基本の体温の測り方です。

  1. 猫を床かテーブルの上に立たせるか、伏せの状態にします。
  2. この状態で体温計を利き手に持ち、反対の手でしっぽをつかんでゆっくりとまっすぐ上に持ち上げます。
  3. 肛門の位置を目で確認できたら、そのまま体温計の先をゆっくりと肛門に2~3cmくらい入れます。
  4. 体温が測れていることを確認できたら、しっぽを下ろして計測を待ちましょう。

お尻から検温するときは、猫を落ち着かせるために声をかけてあげたり、おやつを食べさせながら行うことをおすすめします。

途中で嫌がった場合は、焦らず一旦やめるか休憩しましょう。

嫌がる子には耳の非接触型

耳の根本は比較的毛が生えにくく、触られた際に嫌がる猫も少ないため、計測しやすい場所といわれています。

動物用に、耳で測ることができる非接触型タイプの体温計があります。

機種によっては先端を耳の中に入れて1秒程度で体温を計測することができるため、猫への負担が少なくなります。

いざというときのために、日ごろから体温測定の練習をしておくとよいでしょう。

時間帯によって猫の体温は変化するため、朝や夜など、決まった時間帯で猫が落ち着いているときに測るようにしましょう。

体に触れて計測する(脇・お腹・肉球)

猫は犬と同様に全身から汗をかくことがなく、主に肉球から汗をかきます。

耳から熱を放出することでも体温を調節しているため、体温が上がると耳や肉球が熱くなる特徴があります。

また、脇やお腹の毛が薄い部分なども触ると熱を感じやすい場所です。

普段から嫌がられない程度にコミュニケーションをとりつつ耳や体を触って、その温度を覚えておくといざというときに熱があるかどうかの判断がしやすいでしょう。

触診の際は「少し温かい」と感じる温度を目安にしてください。

愛猫の体温を測る際の注意点

ストレスを溜めやすく、繊細な性格のためささいなことで緊張してしまいがちな猫。

いきなり体温を測ろうとするとびっくりしてしまうかもしれません。

愛猫の体温を測る際に怖がらせたりしないよう、安全に計測するためにいくつか気をつけたい点があります。ひとつずつ確認していきましょう。

人間用の体温計は使えない

猫の体温を正確に測るためには、お尻での計測方法(直腸温)が一番です。

ペット用の体温計は人間用とは異なり先端が柔らかくなっているため、安全に測ることができるのが特徴です。いざというときのためにペット用の体温計を用意しましょう。

計測する際には先端にラップを巻き、ワセリンや食用オリーブオイル、ベビーオイルなどの潤滑油を塗ってからゆっくり挿入するようにしてあげてください。

万が一、愛猫が暴れてしまったときなどに、肛門や体にケガをする心配がないのでより安心です。

できれば2人がかりで行う

猫はお尻を触られるのが元々苦手な子が多いです。

さらに発熱しているときなど、体調が悪いときに検温を行うとなると嫌がってしまい、一人で行うのはなかなか難しいかもしれません。

体温を測るときは、できれば2人1組で行うとスムーズに計測でき、猫への負担も少なく万が一の事故の可能性を最小限にすることができます

元気なときに、動物病院で実際に愛猫に合った正しい保持の方法を見せてもらうと良いでしょう。

落ち着かせ方、できる範囲での自宅での測り方などを教えてもらうことができると、いざというときに慌てずに済むのでおすすめです。

無理矢理に測ろうとしない

猫が体温測定に恐怖心を持つと検温が困難になるため、優しく慎重に行うことが大切です。

特に猫は嫌がり方も激しく、どんな動きをするか読みづらいところがあるため、お互いが怪我をすることになりかねません。

また、猫は嫌がる際に肛門をぎゅっと締めることがあるので、体温計が入れづらくなる場合もあります。

どうしても難しい時は無理に測ろうとせず、急いで動物病院に連れて行きましょう。

検温が終わったあとは、おやつをあげたり、たくさん褒めて落ち着かせてあげましょう。

猫の体温が高いときに見られる症状

私たち人間は、熱があるときには頭がボーっとしたり、体がだるくなったり、食欲が落ちたりと不調が現れます。

では猫の体温が高くなっている場合は、どんな症状や様子の変化が見られるのでしょうか?

発熱したときに見られる症状

発熱しているときにはほかの症状が併発していることもあり、以下のような症状も一例として覚えておきましょう。

  • 元気がない
  • 食欲がない
  • 呼吸が荒くなる
  • 寝ている時間が長くなる
  • 普段は行かない場所に隠れて出てこない
  • 排便、排尿の回数の変化

これらの症状に加え、40℃以上の発熱が続いている場合は病気が原因である可能性が高いため、動物病院を受診するようにしましょう。

ここに当てはまる症状ではなかったとしても、「いつもと違うな」と飼い主目線で思うことがあれば受診することが大切です。

緊急性が高い発熱の症状

次のような症状が見られる場合は、治療が遅れると命にかかわることもあるため緊急性が高くなります。

  • 41℃以上の高熱がある
  • ぐったりしている
  • 激しい嘔吐や下痢をしている

猫の場合、ただの風邪で発熱していたとしても人間のように安静にして寝ていればいい、というわけではありません。

これらの症状がある場合は、動物病院に電話で連絡を入れて応急処置の指示を仰ぎながら、急いで受診するようにしましょう。

猫の体温が高いときに考えられる病気

猫の体温が高いというだけで特定できる病気はありませんので、一例としてどのようなものがあるのかを確認しておきましょう。

体温が高いときに考えられる主な病気は、以下になります。

  • 熱中症
  • ケガ(外傷)による化膿
  • 猫汎白血球減少症(猫パルボウイルス感染症)
  • 猫風邪(猫カリシ/ヘルペスウイルス感染症)
  • 乳腺炎
  • 膿胸
  • リンパ腫
  • 肛門嚢の炎症や膿瘍
  • 子宮蓄膿症
  • 気管支炎
  • 肺炎
  • 猫エイズウイルス感染症
  • 猫白血病ウイルス感染症
  • 猫クラミジア(クラミジア感染症)
  • 猫伝染性貧血(ヘモプラズマ感染症)
  • 猫伝染性腹膜炎(FIP)

ただし発熱したからといって、すぐにこれらの病気であると特定できるわけではありません。

くしゃみ・鼻水

例えばくしゃみや鼻水といった呼吸器症状、下痢や嘔吐などの消化器症状など、発熱以外の症状がどこに現れているかを確認したうえで血液検査をして、原因を特定していきます。

外傷があって化膿している場合は目視でもわかりますが、膿胸や子宮蓄膿症など内部での化膿は外からでは発見しにくいため、内部で化膿しているかどうかを調べなければなりません。

こちらも血液検査で原因を特定していくことが一般的です。腫瘍、特にリンパ腫では発熱を伴うことも多いので注意深く調べていく必要があります。

感染症

感染症に関しては、特に外へ出る猫は室内飼いに比べると感染の機会が多いため、要注意です。

余談になりますが、筆者が子どものころ飼っていた猫は男の子で、当時は外にも出していたこともあり、ワクチン接種前の発情期に他のオスと喧嘩して帰ってきたことがありました。

数日後に発熱し、検査の結果傷口から猫エイズウイルスに感染していたことがわかりました。

幸い潜伏期間が長く、高齢になるまで元気に長生きしてくれましたが、再び発症してからは進行が早く最期は可哀想なことをしたと子どもながらに思いました。

猫エイズウイルス・猫白血病ウイルス

猫エイズウイルスや猫白血病ウイルスのようなウイルス感染の予防策としては、ワクチンを接種することがなにより確実です。

また、すでに感染している猫との接触の機会を少なくするしか予防策がありません。不妊・去勢手術をすること、外に出さないで室内で飼育することなどはとても有効です。

感染してしまった場合でも、これらの感染を防ぐために、しっかりとワクチン接種を受けましょう。

薬剤熱

まれに、薬による副作用が原因での「薬剤熱」と呼ばれる発熱が見られる症状があります。

事前に予測することが難しく、また検査しても他の病気が見つからないこと、薬を中止すると熱が下がることなどから薬剤熱と推測されます。

薬を飲み始めてすぐに発熱することもあれば、数日、数週間飲んでから発熱するケースもあります。

新しい薬を飲み始めたときは、体調の変化があるかどうか注意して見てあげましょう。

体温が低いときに見られる症状

猫の場合、体温が低い場合でも体調を崩している場合があります。

体温が低い原因として、さまざまな要因がある可能性があります。子猫やシニア猫か、体温が低くなる前にどんな環境にいたかなど。

猫の低体温の目安は以下をご参考ください。

32~35℃軽度
28~32℃中等度
28℃以下重度

体温が平熱より低い場合、体温が高いとき以上に危険な状態や、命にかかわったりすることもあります。

以下の症状があるか合わせて確認し、いずれも早急に動物病院を受診しましょう。

軽度32℃~35℃

平熱が低い人ならあり得る35℃台も、本来体温が高い猫にとってみれば低いです。

  • 元気がない
  • 体を丸めてうずくまる
  • ブルブルと震える

最初は少し気付きづらいかもしれませんが、体を丸めてうずくまり、震えているのがわかると思います。

この時点で寒がっているということに気付ければ、大事に至ることは少ないでしょう。

中度28℃~32℃

平熱が36℃程度の人間でも、体温が約31℃を下回ると死に至るおそれがあります。

  • 震えが止まり筋肉の硬直
  • 心拍数が減る
  • 呼吸数が減る、また呼吸が浅くなる
  • 低血圧
  • 呼びかけに応じない

中等度にまでなってくると、ぐったりしているのがわかるため、すぐに気付けるでしょう。

ただ、こうなる前に気付いてあげることが愛猫の命を守ることに繋がるため、室温管理は丁寧に。

重度28℃以下

人間の低体温による死亡例の大半は、体温が28℃を下回った状態です。猫においても、28℃以下は危険な状態です。

  • 呼吸が止まっている
  • 心音が聞き取れない
  • 瞳孔が開いたままになる
  • 昏睡状態
  • 凍死

猫が寒いと感じているときは、頭を体にうずめて、尻尾を体に巻きつけるようにして、体を小さく丸めます。

次第に動かなくなったり、ぐったりするようになります。呼吸がいつもより荒い場合は、低体温の可能性があります。

また、肉球も寒さのバロメーターになります。

病気やケガなどでも肉球が冷たくなることがありますが、元気がなさそうに見えるときは肉球も冷たくなっていないか合わせて注意して見てみましょう。

猫の体温が低いときに考えられる病気

もし体温がとても低かった場合、どんな病気が考えられるのか、知っておくと良いでしょう。

応急処置をすべきというよりも、体温が低下しているときには動物病院を受診するのが適切。

気付けずに放置してしまっていたらどうなるのかを理解することが、愛猫の命を守る大事な知識になります。

低体温

低体温とは血流の流れが低下し、全身の細胞や臓器に栄養が届かないことから体温を維持できない状態です。

平熱より1℃以上低い場合は低体温症と呼ばれ、危険な状態です。

雨やシャンプーなどで長時間体が濡れてしまった場合、体温調整がうまく行かず低体温になっているかもしれません。

凍傷

寒い場所に長時間いた場合などは凍傷の可能性もあります。毛があって見つけづらいこともあるので、皮膚に凍傷がないかどうか、毛をかき分けてしっかりと確認しましょう。

まず、凍傷の重症度はⅠ~Ⅲ度に分類されています。

そして猫の皮膚は「表皮」「真皮」「皮下組織」という順番で層で成り立っており、低温がどの層まで達したかによって重症度が異なります。

Ⅰ度

表皮に限られる凍傷です。

皮膚が赤くなったり、時には痛みを発したりしますが、数日で回復します。

人間で例えると「しもやけ」に近い状態です。

Ⅱ度

Ⅱ度は真皮にまで到達した凍傷です。

皮膚は黒っぽく変色し、1~2日後には水疱(水ぶくれ)が形成されます。

1か月ほどで見た目は回復しますが、皮膚の感覚が失われてしまうこともあります。

Ⅲ度

Ⅲ度は皮下組織にまで到達してしまった凍傷です。血管が破壊され、酸素や栄養の補給が絶たれてしまいます。

次第に患部は潰瘍を起こして、最終的には壊死してしまうことが多いです。

神経も死んでいるため、組織としては使い物にならなくなり、やむを得ず切断することになる場合もあります。

怪我や外傷

猫は怪我などが原因で体温が下がってしまうことがあります。

合わせて元気がなさそうに見える場合、どこか痛みがあるのかもしれません。全身をくまなくチェックしてみましょう。

精神的なショック

猫は、ストレスや精神的にショックな出来事があると体温が低くなってしまう事があります。

引っ越しなど環境の変化や、進学や就職、結婚などを期に家族が増えたり減ったりした、近所で工事が始まり大きな音がするようになった、など。

猫の暮らしの中で当てはまることがないか考えてみましょう。

貧血

体温が下がっているのと同時に肉球が冷たく、また白っぽくなっているのであれば貧血を起こしているかもしれません。

さらに歯茎や舌なども明らかに白くなっている場合、重度の貧血になっている可能性があります。

肉球が冷たく、また紫っぽく変色しているときはチアノーゼを起こしている可能性があり、心臓病や血栓症などの病気の疑いがあります。

貧血はいろいろな原因により引き起こされますが、成猫ならば猫白血病ウイルスに関連した骨髄の病気の可能性があります。

シニア猫なら、腫瘍などの重大な病気が潜んでいることがあるので要注意です。

注意したい肥大型心筋症

猫ではシニア猫になると肥大型心筋症という心臓病を発症することがあり、特にメインクーンアメリカンショートヘアラグドールなどの猫種は、遺伝的な要素で拡張型心筋症になりやすいと言われています。

肥大型心筋症になると心臓がうまく収縮することができず、血液の中に大きな血栓が作られるようになります。

この血栓が血流に乗って大動脈内に入ると、足の付け根の血管に詰まり、足先へと行く血流が止まってしまいます。

その結果、肉球が冷たくなり、色が青紫色になる末梢性チアノーゼといわれる状態になることがあります。

合わせて後ろ足が立たなくなってしまい、前足だけで動いたりするという典型的な症状があらわれます。

先天性疾患

生まれつき心臓に疾患がある場合や、急性腎不全などの病気が原因で、低体温になることもあるかもしれません。

血栓症などの心臓に先天性の疾患がある場合

血液の流れの悪化により血液中に血栓が形成されてしまい、体温を平熱に維持することが難しくなります。

先ほど肉球の色が冷たく、青紫になるチアノーゼでご紹介した肥大型心筋症などの心臓病の場合も、血栓が形成されることにより血流が遮断され、臓器が壊死して低体温を引き起こしてしまいます。

急性腎不全による低体温の場合

腎臓の機能が突然正常に働かなくなり、低下します。進行がとても早いことが特徴で、数時間から数日で急速に腎臓の機能が低下するため、突然症状が現れるのが特徴です。

この場合そもそも腎臓自体に異常がある場合と、別の病気によって引き起こされる場合があります。

別の病気、例えば心不全などによって引き起こされる場合は、腎臓に送り込まれる血液の循環に異常が起きてしまい、感染症などによって腎臓がダメージを受けてしまいます。

すると尿道が閉塞されてしまい、おしっこが排泄できなくなり、その結果腎不全になります。

腎不全の初期では、水を飲む量が増え、食欲と元気がなくなります。その後、おしっこの量が減ったり、また逆にまったく出なくなったりします。

病状が進行すると低体温になりますが、そのほかに脱水症状、嘔吐、ひどい時は痙攣などの症状が起こります。

年齢が幼い

子猫の場合、まだ自分で体温をうまく保つことが得意ではないため、ちょっとしたことでも低体温になってしまいがちです。

また、「子猫衰弱症候群」といわれる状態になっている場合があります。

  • 疾患や感染症がある母猫から産まれた
  • 元々捨て猫だった
  • 生まれた環境が劣悪だった
  • 母猫に育児放棄されていた

などの環境要因により引き起こされるもので、より注意深く観察することが必要です。

子猫衰弱症候群の様子は以下になります。

  • 他の子と比べて動きがおかしい
  • 体が小さく成長が遅い
  • 他の子と比べて体温が低い
  • 食欲がなく元気がない
  • 他の猫より頭の形が丸い

これまで特に問題がないように見えていた子猫が突然死亡してしまう例や、また、生まれつき元気がない状態で衰弱してしまう子猫もいます。

子猫衰弱症候群になってしまう原因

  • ウイルスや寄生虫による感染症
  • 水頭症や小脳
  • 内臓の先天性の奇形
  • あまり食事を食べることができず栄養が足りなかった

ほかにも出産時に時間がかかってしまったことによる低酸素症、出産時のケガなどが原因のこともあります。

子猫は母猫にくっついていないと体温維持がまだ上手くできない状況のため、体温が下がるとそのまま低体温症になって衰弱し、最悪の場合には亡くなってしまう恐れがあります。

低血糖

猫が低血糖症を引き起こす原因は、血液中のグルコース(ブドウ糖)という成分の不足により引き起こされるといわれています。

グルコースの数値は通常一定になるように保たれています。

しかし糖尿病や低血糖症などで血糖値が維持できなくなると、細胞内に糖を取り込めなくなってしまうことから熱を生産できなくなってしまい、その結果体温を平熱に維持することが難しくなります。

もし、片方の足や肉球の温度が熱く、もう片方の足の体温が低いなど左右の温度に差があるときは低血糖の可能性がありますので、かかりつけの動物病院に連れていきましょう。

猫の体温変化が起こりやすい環境

まず基本的に、人間が快適にすごせる室温、湿度であれば、猫にとっても快適な環境と考えて大丈夫です。

基本的には20℃~28℃(夏は27℃前後、冬は23℃前後)を目安にすると良いでしょう。

ただ種類(長毛種か短毛種か)や、その子の筋肉量の多少の差がありますので注意しましょう。

つまりこの環境が崩れてしまうと、途端に体温変化が起こりやすくなるといえます。

家族ができる、猫にとっての快適な環境の作り方の3つのポイントを以下にまとめました。

ポイント1. 風通しを良くする

普段は窓や各部屋のドアを開け、風通しを良くしておきます。

家の中を自由に動けるようにしておけば、自分で涼しい場所や暖かい場所を見つけて移動するでしょう。

ただし、脱走の恐れがあるため網戸に脱走防止柵を設けるなど対策を徹底しましょう。

ポイント2. エアコンを使用する

日中の室内温度が30℃前後になる日は、エアコンをつけておきましょう。設定温度は27℃前後がおすすめです。

冷風が直接猫に当たらないよう、風向きを調節しておくことを忘れないでください。 

また部屋が冷えすぎてしまったときのために、エアコンが効いていない部屋に自由に出入りできるようにするか、猫が潜れるようなベッドやハウスなどを用意しておきましょう。

ポイント3. 熱中症に気をつける

夏の車の中や閉め切った部屋は、温度が急激に上がりやすいので注意が必要です。

暑いときにキャリーケースに入れて移動する場合、ケース内に熱がこもってしまい熱中症のリスクが上がります。

たとえ冬でも、窓を閉め切ったクルマの中では日が差すと高温になります。密閉された車内は冬であっても熱中症の危険があると考えておきましょう。

室温上昇の対策として、直射日光が入らないように遮光カーテンを閉めておくと、暑さをやや和らげることができます。

ペット用のクールマットなどのひんやりグッズをあちこちに置いておくこともおすすめです。

子猫やシニア猫の場合は低体温に注意

子猫は体温調整ができないケースも考えられる

自分で動き回れないくらいの子猫の場合、まだ自分で体温調整ができず低体温になってしまうことがあります。

成猫よりも少し高めの30℃を目安に保温をしてあげましょう。

その際に室内全体を暖める必要はなく、タオルで包んだ湯たんぽを近くに用意するなど猫の居場所を主に温めてあげれば十分です。

本来、子猫は親猫や家族と寄り添うことで体温を保って過ごしている動物です。それくらいの暖かさをイメージしてみてください。

シニア猫は筋肉量や発熱量が減少している

一方で猫はシニアになると筋肉量と発熱量が減ります。

次第に体力も落ちてくるため、自力で心地良い温度の場所に移動できなくなり、急激な温度変化にも弱くなっています。

成猫よりも少し暖めの28℃くらいが適温です。

冬場でも25℃~28℃を目安にして、年間を通じて一定の室温を保ってあげましょう。

脱水を防ぐためには、給水場所が複数あると良い

脱水を防ぎ、健康維持のために水を飲むことが大切です。

複数の場所に水を用意しておき、少しでも飲みやすいように飲み口の広いボウルや高さのあるボウルを用意してあげるなど、愛猫が水を飲むように促しましょう。

寒い季節は水を飲む回数が減ってしまいがちです。冷たい水ではなく、ぬるま湯にしてみるなど工夫してみるのも良いでしょう。

暑い季節は水も傷みやすくなります。朝晩で新鮮な水に取り替えるようにしてください。

見落としがちなのが乾燥です。猫も人間と同様、乾燥した環境にいると風邪をひきやすくなったり、皮膚トラブルなどを起こしやすくなります。

加湿器や濡れタオルを干すなどして、湿度50~60%くらいを保てるようにしましょう。

愛猫の体温の変化を確認したら

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  いざ愛猫の体温に異変があった場合に、どのように行動すればよいのでしょうか。ひとつずつチェックしていきましょう。

すぐに動物病院へ連れて行く

猫を獣医師に診てもらう際には、発熱以外の症状も病気を絞り込む助けになります。

以下のポイントをよく確認しておくことで、スムーズに病状を伝えることができます。

  • 食欲はあるか
  • 元気はあるか
  • 下痢や嘔吐はしていないか
  • 鼻水やくしゃみがあるか
  • お腹の張りはあるか
  • 呼吸は早くないか
  • 怪我をしている可能性はないか
  • どこか気にして舐めていないか
  • 歩き方はおかしくないか

上記のポイントに注目しておき、また写真や動画に撮っておくと伝わりやすいでしょう。

また、嘔吐や下痢をしている場合は、ペットシーツに包むなどして、吐しゃ物やうんちを持参しましょう。

体温が高い場合の応急処置

猫に熱中症が疑われる場合には、一刻も早く熱を下げる必要があります。

熱を下げるためには、まずタオルで巻いた保冷剤で脇の下や首を冷やすこと、濡れたタオルで体を包む方法が挙げられます。

まず応急処置をしてから動物病院に連絡をしつつ、急いで向かいましょう。

また最近では猫用のスポーツドリンクも販売されています。人間用のものよりカロリーが低く、猫の体液に近い電解質(イオン)組成のため安心して与えられます。

猫が発熱や下痢があり、重度の脱水の可能性があると思われる場合があり、猫用のスポーツドリンクがなくても代用品があります。

この場合人間用のポカリスエットを猫に飲ませても大きな問題はありません。ただし人間用は糖分が多いため、水で薄めたものを飲ませてあげましょう。

体温が低い場合の応急処置

低体温に関しては、原因を探すと同時に温めてあげることが重要になります。

また病院に行くまでに体温の上昇を抑えるために以下のような対処をしてあげるといいです。

  • 部屋の温度を上げる
  • 猫が濡れているときはタオルドライで体を乾かす
  • 毛布などで全身を包む

急激に温めると温度差で状態を悪化させる場合があるため注意が必要です。

ドライヤーやホッカイロなどを直接当てて温めるのではなく、毛布などで包んでからドライヤーなどで優しく暖かい空気を入れたり、毛布にホッカイロを貼るなどゆっくり温めてあげましょう。

まとめ

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話すことができない動物は、どうしても体の不調を発見するのが遅くなりがちです。

さらに猫は動物の中でもとても繊細な動物。熱が高い場合や低い場合、どちらも注意が必要です。

また、日常的に体温を測るのはなかなか難しいかもしれません。

そのため、わたしたち家族ができることは、日頃から愛猫の体にたくさん触ること。耳に限らず体や足など、愛猫の体の「普段の状態」を把握しておくといいでしょう。

いつもより元気や食欲がないとき、呼吸が苦しそうなときは発熱を疑い、耳の付け根や肉球を触って体温を確認しましょう。

猫の様子がいつもと違うと感じたら、普段の状態と比較して様子を見て、判断に迷ったら動物病院に連絡をしてください。

定期的な健康診断など、動物病院を受診したときに、合わせて検温も行うことをおすすめします。

この記事の執筆者

鈴木 夏奈子

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鈴木 夏奈子

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愛犬はトイ・マンチェスター・テリアの"もぐ"です。小型犬ですが好奇心旺盛で楽しいことが大好き。

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