赤みがかった美しい被毛と、スラリとした優雅な体型が魅力のアイリッシュ・セター。その気品あふれる姿に憧れを抱く方も多いのではないでしょうか。
しかし、アイリッシュ・セターは、その美しい見た目とは裏腹に、非常にエネルギッシュで活発な一面を持っています。元々は鳥猟犬として活躍していたため、運動欲求が非常に高く、飼い方にはいくつかのポイントがあります。
この記事では、そんなアイリッシュ・セターの歴史や性格、特徴から、具体的な飼い方、しつけのコツ、そして注意すべき病気までを網羅的にご紹介します。アイリッシュ・セターを家族に迎えたいと考えている方、そしてすでにアイリッシュ・セターと暮らしている方も、ぜひ最後まで読んでみてください。
この記事の結論
- とても美しくたくましい体つきで、絹状の被毛を持つアイリッシュ・セター
- 筋肉質でとても引き締まっており、スタミナも非常に豊富
- 大型犬によく見られるような病気では、胃拡張捻転症候群や股関節形成不全に注意
- つややかな被毛を保つために毎日のブラッシングと、垂れ耳が蒸れやすいので耳掃除も必要
ライター/愛玩動物飼養管理士2級
幼いころから動物が好きで、犬4頭とハムスター5匹の飼育経験があります。わんちゃん特有の匂いが大好き…!
目次
アイリッシュ・セターの歴史と特徴

アイリッシュ・セターの特徴は、高い運動能力と忠誠心、そして体長が長く、肩幅は狭いというスリムさが印象的な犬種。首や手足が長くスラっとした姿からは想像できませんが、スタミナたっぷりの筋肉質な体つきをしています。
引き締まったその体が走ったときに発するスピードは「さすが猟犬」と思わず見惚れてしまうでしょう。そして、忠誠心の高さからも猟犬だったことが伺えます。
アイリッシュ・セターの大きな魅力は赤茶の長い被毛。艶やかな絹のような被毛は、つい触りたくなってしまうほど美しいものです。心身ともにたくましいことがアイリッシュ・セターの特徴です。
とても賢く、愛情深い
懐きやすく、社交性も高い
しつけ次第では吠えづらくなる
スポーツや遊ぶことを好む
その他情報
原産地 | アイルランド |
犬種グループ | 7G:ポインター・セター |
大きさ | 大型 |
平均寿命 | 11歳~12歳 |
なりやすい病気 | 外耳炎,進行性網膜萎縮症(PRA),股関節形成不全,甲状腺機能低下症 |
参考価格 | 30万円~40万円 |
被毛
抜け毛 | 平均的 |
毛質 | シングルコート |
毛色 | チェスナット,リッチチェスナット |
歴史と犬種としての役割
アイリッシュ・セターは、18世紀にアイルランドで誕生した犬種で、元々は鳥猟犬として活躍していました。獲物を見つけると伏せ(セット)の姿勢をとることから「セター」という名前がつけられたと言われています。
初期の頃は、レッド&ホワイトの毛色が多く、現在の赤一色の毛色が固定されたのは19世紀に入ってからです。彼らは優れた嗅覚と俊敏な動きで、鳥猟犬として欠かせない存在でした。
アイリッシュ・セターの身体的特徴
アイリッシュ・セターは、他のセター種と比較しても、一際目を引く美しい身体的特徴を持っています。ここでは、彼らの特徴を、被毛と体格に分けて解説します。
被毛の色と手触り
アイリッシュ・セターの最も特徴的なのは、そのゴージャスな被毛です。毛色は光沢のあるマホガニー(赤みがかった茶色)または栗色で、シルクのように手触りが滑らかです。
耳や胸、尻尾には飾り毛と呼ばれる長い毛があり、これが彼らの優雅な雰囲気を一層引き立てています。
被毛の特徴 | 詳細 |
---|---|
色 | 豊かなマホガニー、栗色 |
手触り | シルクのように滑らか |
飾り毛 | 耳、胸、尻尾に豊富 |
この美しい被毛を保つためには、日頃からの丁寧なお手入れが欠かせません。
体格と平均寿命
アイリッシュ・セターは、筋肉質で引き締まった体格をしています。男の子は体高が64〜69cm、体重は29〜32kg、女の子は体高が61〜66cm、体重は25〜28kgと、大型犬に分類されます。
彼らの平均寿命は11〜12歳と、大型犬の中では平均的な寿命の傾向にあります。
アイリッシュ・セターの性格と飼い方のポイント

アイリッシュ・セターは、美しい外見だけでなく、その性格も大きな魅力です。しかし、元々猟犬だった彼らの特徴を理解した上で、適切な飼い方をすることが、穏やかで幸せな関係を築く鍵となります。
ここでは、アイリッシュ・セターの性格と、それに合わせた飼い方のポイントを解説しますので、お迎えの際には参考にしてみてください。
アイリッシュ・セターの代表的な性格
アイリッシュ・セターの性格は、以下のようなものが挙げられます。
- 陽気で遊び好き:常に明るく、家族と遊ぶのが大好きです。
- 知的で学習能力が高い:指示をすぐに理解し、物覚えが早いので、しつけやすい犬種です。
- 愛情深い:飼い主さんや家族に対して、深い愛情を示します。
- 繊細で寂しがり屋:一人でいるのが苦手で、長時間留守番させると分離不安になることがあります。
これらの性格から、アイリッシュ・セターは、家族との時間を大切にし、活発な遊び相手になってくれるでしょう。
特徴を理解した飼い方のポイント
アイリッシュ・セターを飼う上で、彼らの特徴を理解した飼い方を実践することが大切です。特に、運動とお手入れは、彼らの健康と幸せな生活に直結します。
十分な運動量が必須
アイリッシュ・セターは、鳥猟犬として活躍していたため、非常に高い運動能力と体力を持ちます。そのため、彼らにとって十分な運動量は必須です。
- 散歩:1日2回、1回あたり1時間程度の散歩を欠かさず行いましょう。ただ歩くだけでなく、ジョギングやボール遊びを取り入れるとより効果的です。
- ドッグラン:自由に走り回れるドッグランで遊ばせることは、彼らのストレス解消に非常に役立ちます。
運動不足になると、ストレスから問題行動に繋がる可能性があるため、注意が必要です。
優雅な被毛のお手入れ方法
アイリッシュ・セターの美しい被毛は、適切にお手入れをしないと、毛玉になったり、皮膚病の原因になったりします。
- ブラッシング:毎日のブラッシングは欠かせません。飾り毛は特に毛玉になりやすいため、丁寧にコームでとかしましょう。
- シャンプー:月に1〜2回程度、定期的にシャンプーをすることで、被毛の清潔を保ちます。
- トリミング:飾り毛が伸びてきたら、定期的にトリミングサロンで手入れをしてもらいましょう。
これらのお手入れを日頃から行うことで、アイリッシュ・セターの美しさと健康を保つことができます。
アイリッシュ・セターのしつけ方

アイリッシュ・セターは、賢く学習能力が高い犬種ですが、元猟犬のため、活発で遊び好きな一面を持っています。そのため、子犬の頃から一貫性のあるしつけをすることが非常に重要です。
ここでは、アイリッシュ・セターのしつけ方について、効果的な方法と、うまくいかないときの対処法を解説します。
効果的なしつけの方法
アイリッシュ・セターのしつけには、彼らの陽気で活発な性格を考慮した方法が効果的です。褒めて伸ばすしつけを心がけ、愛犬との信頼関係を築きながら行うことが大切です。
- 褒めて伸ばす:成功した時は、オーバーなくらいに褒めてあげましょう。おやつやおもちゃを使い、犬のモチベーションを高めるのも有効です。
- 短い時間で集中:集中力が持続しないため、1回あたり5〜10分程度の短いしつけを毎日続けることが大切です。
- 一貫性のある指示:家族みんなで同じ言葉やジェスチャーを使い、一貫性のあるしつけを心がけましょう。
これらの方法で、アイリッシュ・セターは楽しくしつけを学ぶことができます。
しつけがうまくいかないときは
アイリッシュ・セターは、しつけがうまくいかないと、飼い主さんのことを試すような行動に出ることがあります。しかし、これは「どうすればいいの?」という不安の表れかもしれません。
原因を探る
- 怒る前に、なぜうまくいかないのか原因を探りましょう。
- 例)運動量が足りていない、しつけが難しすぎる、飼い主さんとの信頼関係が築けていないなど。
プロに相談する
- 自分だけで解決しようとせず、ドッグトレーナーや専門家に相談することも大切です。
しつけは、愛犬とのコミュニケーションです。うまくいかないときは、立ち止まって原因を探ることから始めてみましょう。
アイリッシュ・セターがかかりやすい病気と注意点

アイリッシュ・セターは、比較的健康な犬種ですが、遺伝的にかかりやすい病気がいくつかあります。
これらの病気について知っておくことは、愛犬の健康を守る上で非常に重要です。ここでは、特に注意すべき病気とそのサインについて解説します。
注意すべき遺伝性の病気
アイリッシュ・セターに多い遺伝性の病気を知ることで、早期発見・早期治療に繋がります。
股関節形成不全
股関節形成不全は、大型犬によく見られる遺伝性の病気です。
- 症状:後ろ足を引きずる、立ち上がりにくそうにする、散歩を嫌がるなど。
- 原因:遺伝的な要因に加え、過度な運動や肥満が原因となることもあります。
- 注意点:子犬の頃から激しい運動は避け、適切な体重管理を心がけましょう。
これらの症状が見られたら、すぐに動物病院を受診してください。
甲状腺機能低下症
甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンの分泌が低下する病気です。
- 症状:元気がなくなる、体重が増える、毛艶が悪くなる、皮膚にフケが多くなるなど。
- 原因:自己免疫疾患が原因となることが多いです。
- 注意点:症状がゆっくりと進行するため、日頃からの観察が大切です。
これらの症状は、他の病気と区別がつきにくいため、少しでも気になることがあれば動物病院に相談しましょう。
日頃から注意すべき病気のサイン
アイリッシュ・セターは、かかりやすい病気以外にも、さまざまな病気になる可能性があります。そのため、日頃から愛犬の様子を注意して観察することが大切です。
サインの例 | 疑われる病気 |
---|---|
食欲不振 | 消化器系の病気、全身の病気など |
元気がない | さまざまな病気の初期サイン |
嘔吐や下痢 | 消化器系の病気 |
皮膚の痒み | アレルギー、皮膚炎など |
体重の増減 | ホルモン系の病気、内臓の病気など |
これらのサインに気づいたら、早めに動物病院に連れて行きましょう。
まとめ:アイリッシュ・セターとの生活を楽しむために
アイリッシュ・セターは、その美しい姿と陽気な性格で、家族にたくさんの喜びを与えてくれます。彼らとの生活をより豊かなものにするためには、適切なしつけと健康管理が不可欠です。
- 十分な運動量:元猟犬という特徴を理解し、毎日たっぷりと体を動かす時間を作りましょう。
- 丁寧なお手入れ:美しい被毛を保つために、日頃からのブラッシングを欠かさないようにしましょう。
- 早期発見:かかりやすい病気について知り、日頃から愛犬の様子を観察して、異変に気づけるようにしましょう。
これらのポイントを抑えることで、アイリッシュ・セターとの生活は、より楽しく、そしてかけがえのないものになるでしょう。
アイリッシュ・セターの理解度チェック
この記事の執筆者
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