愛犬が嬉しそうにくるくる回る姿は微笑ましいですよね。
ただし、犬が回るときは嬉しくて興奮しているだけでなく、病気やストレスが原因で回っている場合があるので注意が必要です。
今回は犬がくるくる回る理由と対処法について解説していきます。
それぞれの理由に応じて適切な対応ができるようにしましょう。
この記事の結論
- 犬がくるくる回るのは嬉しいときや興奮しているとき、不安を感じているときなどさまざま
- ストレスが原因でくるくる回るときは、ストレスの原因を取り除くことが解決に繋がる
- 排泄時や就寝前にくるくる回るのは、野生の本能的な行動から
- 「認知症」「前庭疾患」「てんかん」などの病気が原因の場合もある
- 犬がくるくる回っているとしても、無理に止めたり叱ったりしてはいけない
ライター/ドッグトレーナー/ドッグトリマー
ずっと犬のいる環境で育ってきて、私にとって犬は親友のような存在。
現在は元保護犬のミニチュアダックス(推定7歳)の男の子と暮らしています。
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目次
犬がくるくる回る理由
犬がくるくると回る行動を取るときには、いくつかの理由が考えられます。
これをひとつに特定することは難しいものの、その前後の状況から想定することは可能です。
くるくると回ることが問題のないケースもありますが、その一方で注意が必要なケースも考えられます。
嬉しい、興奮している
犬は嬉しい時や興奮している時、その場でくるくると回ります。
飼い主さんが帰ってきたとき、食事の前、おもちゃを見たとき、散歩に行くときなど、体全体で嬉しい気持ちを表すのです。
この時、嬉しさのあまり興奮している状態なので、犬は感情のコントロールができません。
これ以上興奮させないため、飼い主さんはすぐに次の行動に移さないことが大切です。
犬の気持ちが落ち着くまで待つようにしましょう。
このときのくるくる回る犬の行動は、感情表現であるため特に問題はありません。
退屈、ストレス
犬は退屈している時やストレスを感じている時に、くるくると回ることがあります。
回って気持ちを落ち着かせようとして、自分なりにストレスを発散しようとしているのです。
長い時間くるくる回っていたり、自分の尻尾を噛んだりするような行動があれば注意してください。
この問題を解決するためには、原因となっているストレスを取り除いてあげることが重要です。
原因として考えられるのは、運動不足や飼い主さんとのコミュニケーション不足、長時間の留守番や急な環境の変化などです。
思い当たる原因を取り除いてもまだ回り続ける場合は、かかりつけの動物病院で相談してみてください。
排泄の準備
排泄する前に、くるくる回る犬も多いです。
犬が排泄の前に回る理由には、主に2つの理由が考えられます。
排泄の前にくるくる
- 安全を確認するため
- 地磁気を探るため
犬は自分が何か行動する場所を決める際、その場所が安全かどうか確かめる習性があります
野生では、排泄をしている間に敵に狙われる可能性が高く、くるくる回って周りの様子を見たり、においを嗅ぐことで安全を確認します。
犬が排泄前にくるくる回るのは、そのような野生時代の名残だと考えられています。
もうひとつの理由に「地磁気を確認するため」という説があります。
地磁気とは、地球が持つ磁石としての性質で、それによってつくられる磁場のことをいいます。
犬がくるくる回った後に排泄をする姿勢の方向が必ず南北を向いているという研究結果があるのです。
なぜ犬が南北を向いて排泄するのかは明らかになっていませんが、この研究は2014年のイグノーベル賞を受賞しています。
どちらにしても、犬が排泄の前にくるくる回るのは、本能的な行動なので特に心配はいりません。
寝床を整えている
犬は寝る前に寝床でくるくる回るという行動がよく見られます。理由には主に2つのことが考えられます。
寝る前の寝床でくるくる
- 安全を確認するため
- 心地よい寝床を確保するため
排泄前と同じように、野生時代の名残で、寝る前にくるくる回って寝床の周りの状況が安全であることを確認しているのです。
また、寝床にあるタオルや毛布を、足や口を使って動かし、寝心地が良くなるように寝床を整える行動も、野生時代の本能的行為といえます。
犬は野生時代、寝る前には足で草を踏み潰し、地面にある石や棘、小枝などを取り除いて、快適な睡眠スペースをつくっていました。
その名残から、心地よい寝床を整える習慣が今でも身についているのでしょう。
しっぽを追いかけて遊んでいる
犬は自分のしっぽを追いかけてくるくると回って遊ぶことがあります。
これは「テイルチェイシング」と呼ばれる行動で、好奇心旺盛な子犬の時期によく見られることです。
動くしっぽをおもちゃのように捉えて遊んでいるだけですが、飼い主さんの気を引きたい時に「かまって!」とアピールしていることもあります。
テイルチェイシングは、成長とともに自然と減っていきます。
しかし、成犬になってもしっぽを追いかけてくるくる回っている時は、ストレスが原因の可能性があるので注意してください。
行動がエスカレートすると、しっぽを噛んで自分で自分を傷つけてしまうケースもあるので、早めに対処するようにしましょう。
お尻周りにトラブルがある
犬がお尻周りに何かトラブルがあって、痒みや違和感を感じ、お尻を舐めようとしてくるくる回ることがあります。
お尻歩きをしたりお尻を地面にこすりつけたりするのも、お尻周りにトラブルがある時によく見られる行動です。
一時的な行為であれば、それほど心配する必要はありませんが、頻繁であれば注意してください。
原因には、皮膚アレルギーや寄生虫、便秘などが考えられます。
また、肛門腺に分泌液がたまっていて、違和感を感じている可能性もあるでしょう。
肛門腺に分泌液が溜まりすぎると、肛門嚢炎を引き起こしたり、肛門周りの臭いが強くなることもあります。
月1回を目安にして、定期的に肛門腺絞りをするようにしましょう。
なんらかの病気
犬が特に理由もなく、くるくる回るときは、病気の可能性もあるので注意が必要です。
これまでに紹介したケースに当てはまらず、原因が分からないときは、放っておかず動物病院で獣医師に相談するようにしましょう。
次の章で、犬がくるくる回るときに考えられる病気について詳しく解説するので参考にしてください。
犬がくるくる回るときに考えられる病気
犬がくるくる回るとき、病気の可能性もあるので注意しなければなりません。
見た目からはなかなかわからないようなケースもありますので、気になる際は獣医師の診察を受けることが重要。
ここでは、犬がくるくる回るときに考えられる病気について解説します。
認知症
犬が理由もなく、くるくる回るときに考えられる病気のひとつは「認知症」です。
犬が認知症になると、自分の居場所や周りの環境、方向などが分からなくなります。
症状として、頭を下げて同じ場所をヨタヨタと回ったり、家具や壁にぶつかっても歩き続けようとしたり、明らかに狭い場所を通ろうとするなど、異常な行動が見られるようになります。
他にも排泄を失敗するようになる、大きな音に反応しなくなるなど、症状はさまざまです。
認知症を放っておくと進行し、症状はどんどん悪化してしまいます。
愛犬の認知症に早めに気付き、ケアをしてあげることで、進行を遅らせ症状を緩和することが期待できます。
もし異常に気付いたら、早めに動物病院で相談してください。
前庭疾患
犬の前庭疾患とは、耳の中の器官のひとつの前庭が正常に動かなくなることで、平衡感覚を失ってしまう疾患です。
中耳炎や内耳炎から引き起こされることもありますが、「突発性前庭疾患」は、10歳以上の高齢犬に多い病気で、突然発症します。
体のバランスがとれないため、まっすぐ歩くことができずふらふらしたり、同じ方向にくるくる回るなどの症状が見られます。
他にも、眼球が横一定に揺れる、顔が傾むく、食欲不振、嘔吐などの症状を伴うことも多いです。
重症化すると回復までに時間がかかったり、回復しても後遺症が残ってしまうことがあります。
愛犬の異常に気付いたら、様子見せずに早めに動物病院で診てもらうようにしましょう。
てんかん
犬の「てんかん」は、発作的に何度も繰り返される全身性の痙攣や意識障害を主な症状とする脳疾患です。
犬が同じ場所をくるくると回る場合、てんかん発作を起こす前兆で初期症状の可能性があります。
てんかん発作は通常2~3分程度で落ち着くことが多いです。
発作中に飼い主さんができることは、愛犬の身の周りの安全を確保し、落ち着いて経過を観察することです。
愛犬の名前を呼んだり抱きかかえるなどの行動は、かえって犬の脳に刺激を与えてしまい、次の発作を誘発してしまう恐れがあります。
獣医師に相談する際、「どのようにして起こったのか」「どのくらい続いたのか」などをメモしておき、発作時の状況を正確に伝えられるようにしておきましょう。
脳腫瘍
脳に腫瘍がある場合に、運動失調のひとつとして、その場をくるくると回る行動を繰り返すことがあります。
腫瘍ができた部分によって、さまざまな神経症状が現れるのが特徴です。
例えば、脳幹に腫瘍があると平衡感覚に異常が現れ、大脳の後頭部に腫瘍があると視覚異常を起こします。
腫瘍が小さいうちは特に症状に現れず、異常に気付いた時は、すでに腫瘍が大きくなった状態だったというケースも多いです。
治療は、腫瘍そのものを除去するための外科手術や放射線治療、化学療法などを行います。
予防法がなく早期発見・早期治療が重要となるため、日頃から愛犬の様子を観察し、気になることがあれば早めに獣医師に相談するようにしましょう。
脳梗塞
脳梗塞は、なんらかの原因で脳の血管が詰まって、血液が行き渡らず、脳組織が破壊される病気です。
血管が詰まると、数時間から数日のうちに壊死した部分の機能に関わる神経症状があらわれます。
- その場でくるくる回る
- ふらついてうまく歩けない
- 頭が傾いている
- 目が揺れる など
犬の脳梗塞は、発症の原因がよく分かっていないため、予防が難しいです。
人間の脳梗塞と違って、死につながることは少ないですが、後遺症が残る可能性はあります。
症状は急に起こるので、もし異常が見られたらすぐに動物病院で診てもらいましょう。
脳炎
脳炎は、脳に炎症が起こっている状態をいい、髄膜にも炎症が生じている場合は、髄膜脳炎と言います。
症状は、炎症が起こっている部位に応じた症状が現れます。
- 旋回
- 痙攣
- 震え
- てんかん発作
- 視覚障害 など
原因は、ウイルスや細菌、真菌、寄生虫などによる感染症が原因となる「感染症脳炎」と、感染症以外の原因で免疫の異常などによって発症する「非感染症脳炎」に分けられます。
犬の場合、非感染症脳炎の方が多く、特にチワワ、ヨークシャー・テリア、パグなどの小型犬に多いです。
治療は免疫抑制性とステロイドによる内科治療がメインとなりますが、完治は難しく、進行を遅らせることが目的となります。
病気の進行程度によっても治療効果に幅があるため、早期発見・早期治療に努めることが重要です。
内耳炎
内耳炎は、中耳のさらに奥の内耳が炎症を起こしている状態をいいます。
内耳は音の伝達と平衡感覚を保つ働きをする場所なので、内耳炎になると神経症状や難聴が起こります。
具体的な神経症状は、一方向をくるくる回る旋回、歩き方がおかしくなる、頭が傾く、眼が揺れるなどです。
内耳炎の多くは、中耳炎を発端として炎症が広がったものですが、感染症や腫瘍が原因の場合もあります。
中耳炎に繋がるその多くは外耳炎で、そこから炎症が拡大して中耳炎となります。
そのため、内耳炎を予防するためには、外耳炎を早期に治療することが大切です。
犬がくるくる回っているときの対処法
犬がくるくる回っているとき、その理由によって対応の仕方は変わってきます。
まずはどんな理由でくるくると回っているのかを理解することが重要で、理由がわからないと対処のしようがありません。
多くのケースで多大な心配には繋がりませんが、気になるところがある際には検査を受ける方が安心でしょう。
嬉しい、遊んでいる、寝床を整えているなら見守る
嬉しいときや遊んでいるとき、また自分の寝床を整えるために愛犬がくるくる回っているときは、特に心配いらないので穏やかに見守るようにしましょう。
もし愛犬がごはんの前や散歩前に興奮してくるくる回っているようなら、愛犬が落ち着くまでは行動に移さないようにしてください。
愛犬が落ち着いたところで、ごはんを出したり、散歩に連れて行ったりしましょう。
また、排泄の前にくるくる回っているときに、様子を伺ったり声を掛けたりすると、犬は排泄に集中できなくなってしまうので、静かに見守ってください。
退屈やストレスを感じているなら原因を取り除く
愛犬がストレスを感じてくるくる回っているようなら、まずはその原因が何なのかを探ることが大切です。
運動不足やコミュニケーション不足は多く考えられますし、そのほかにも環境の変化などの思い当たる原因を考えてみてください。
ストレスの元となっているものを取り除いてあげれば、問題行動は解消されます。
運動不足の場合は、長めの散歩に連れていったり、退屈を感じているようであれば、一緒に遊ぶ時間を多めにとってあげるようにしましょう。
周りの音などの刺激に反応して回っているときは、できる限り刺激が届かない場所に移動させてあげると落ち着くはずです。
原因がわからず、一方向に回るなら病院へ
愛犬がくるくる回る原因が何なのか分からず、無表情で一方向に回っているなら、できるだけ早く動物病院で診てもらってください。
病気の可能性がある場合、くるくる回る以外にも他の症状があるかもしれません。
他にも何か症状がないかどうかをチェックしてみてください。
もし愛犬の様子や行動に異変を感じたら、様子見せずに早めに受診することが大切です。
愛犬がくるくる回っているときの様子を動画に撮っておいて、診察の際、獣医師に見せるとスムーズです。
犬がくるくる回っているときにやってはいけないこと
愛犬がくるくる回るのが気になるからといって、余計なことをしてはいけません。
犬にもくるくると回る理由があって回っているので、その理由を理解してから対処することが大切。
飼い主さんに対して何かしらのアピールをしているケースもありますので、以下のようなことはやらないようにしてください。
無理に止める
愛犬がくるくる回っているのを見て、飼い主さんは無理に止めたくなるかもしれません。
しかし無理に止めようとすると、犬は興奮してかえって行動がエスカレートしてしまう可能性があります。
前述したように、ストレスがある場合は、原因を解消してあげることでくるくる回る行動はおさまるはずです。
どうしても止められない時は、かかりつけの獣医師に相談するようにしましょう。
叱る
愛犬がくるくる回っているときに、「叱る」という行為も絶対にNGです。
「無理に止める」のと同じように、叱られたことでさらに興奮や不安が増して、ますます回るようになってしまいます。
本能や感情表現で回っているなら、それほど心配はいらないので、ときには構わずに放っておくことも大切です。
ただし病気が原因で回っている場合は、放置してしまうと悪化する恐れがあります。
普段から愛犬の様子をよく観察していれば、何の理由で回っているのか判断できるはずです。
愛犬の気持ちに寄り添い、理由によって適切な対応を取れるようにしましょう。
この記事の執筆者
ライター/ドッグトレーナー/ドッグトリマー
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