リクガメが日本に輸入され始めたのは1980年代。特にギリシャリクガメなどが人気に火を点け、爬虫類愛好家の間で少しずつ人気が広がり始めました。
1990年代に入ると、リクガメはペットショップでも取り扱われるようになり、ヒョウモンリクガメやアフリカリクガメも人気に。
2000年代には、リクガメの飼育方法についての専門書やネットの情報も充実し、リクガメはペットとして市民権を得るようになりました。
現在では、リクガメの種類も多様化し、SNSでも人気が高まっています。今回は、そんなリクガメのお迎え方法などについてご紹介します。
この記事の結論
- リクガメの価格は種類やサイズ、年齢によって異なり、1万円~数100万円まで幅広い
- 主なお迎え場所は、大型ペットショップやエキゾチックアニマル専門店など
- リクガメは非常に長寿で、中には100年近く生きる種もあり、長期間お世話する覚悟が必要
- お迎えする際に、爬虫類用ケージ、シェルター、ヒーター(保温球)、紫外線ライトなどが必要
目次
リクガメの値段相場は1万円~3万円

リクガメの値段相場は、種類やサイズ、年齢によって大きく異なります。ですが、犬や猫などのペットと比べれば生体価格は高くなく、安ければ1~2万円程度でお迎えできるケースが多いです。
リクガメの種類 | 価格帯 |
---|---|
ヘルマンリクガメ | 2万円~6万円程度 |
ギリシャリクガメ | 2万円~5万円程度 |
ホルスフィールドリクガメ (ロシアリクガメ) | 1万円~4万円程度 |
ケヅメリクガメ | 10万円~30万円程度 |
アルダブラゾウガメ | 数十万円~数百万円 |
種類によっては高くなることがあるものの、通常は数万円程度でお迎えできるケースが多いです。
リクガメの中でもギネス記録に載っているほど長生きしたと言われている、アルダブラゾウガメに至っては数百万円規模となっています。
リクガメ飼育にかかる初期費用(目安)
リクガメの飼育に必要な初期費用は、飼育するリクガメの種類(サイズ)や選ぶ用品のグレードによって大きく変動します。
ここでは一般的な小型~中型リクガメ(ヘルマンリクガメ、ギリシャリクガメ、ホルスフィールドリクガメなど)を想定した目安を提示します。
項目 | 具体的なアイテム例 | 価格帯の目安(円) | 備考 |
---|---|---|---|
生体費用 | リクガメ本体(種類による) | 10,000~60,000 | 小型~中型の一般的な種類の場合。 大型種は数十万円以上。 |
ケージ | 爬虫類用ガラスケージ、木製ケージ、衣装ケース | 5,000~30,000 | 飼育するリクガメの成長後のサイズを考慮して選ぶ。 DIYなら安価。 |
シェルター | 隠れ家、素焼きの鉢、ココナッツの殻など | 1,000~3,000 | リクガメが落ち着ける場所として必須。 |
照明器具 | バスキングライト(保温球)+ソケット、カバー | 3,000~8,000 | 体を温めるための熱源。 |
紫外線ライト(UVBライト)+ソケット、カバー | 3,000~8,000 | くる病予防に必須。 蛍光灯タイプやコンパクトタイプなど。 | |
保温器具 | パネルヒーター or ヒートケーブル | 2,000~5,000 | ケージ内の底面から温める。 種類によっては不要な場合も。 |
サーモスタット | 3,000~7,000 | 温度管理を自動化し、過熱・冷却を防ぐ。必須。 | |
床材 | 爬虫類用ヤシガラ、バークチップ、デザートソイルなど | 1,000~3,000 | 湿度維持や掘れる環境作りに必要。 |
水入れ | 浅く広い皿、爬虫類用水皿 | 500~2,000 | 水浴びも兼ねられるよう、体が浸かる深さで安定したもの。 |
餌皿 | 平らな皿、ペット用食器 | 500~1,500 | 食べやすいように浅く安定したもの。 |
温度計・湿度計 | デジタル式、アナログ式 | 1,000~3,000 | ケージ内の環境管理に必須。 複数設置が理想。 |
その他(必要に応じて) | 温浴用容器、ピンセット、サプリメント(カルシウム、ビタミンD3)など | 1,000~5,000 | 総合栄養食を与えていてもサプリメントは推奨される場合が多い。 |
合計目安 | 生体費用を除く用品のみ | 20,000~70,000円程度 | 選ぶ製品のグレードや種類によって大きく変動します。 |
全体合計目安 | 生体費用含む | 30,000~130,000円程度 | あくまで目安です。 |
初期費用を抑えるポイント
- 中古品やDIY: ケージや一部の器具は、フリマアプリなどで中古品を探したり、衣装ケースなどで自作したりすることで費用を抑えられます。ただし、衛生面や安全面には十分配慮しましょう。
- セット商品: 爬虫類ショップなどで、必要なものが一式揃った飼育セットが販売されていることがあります。個別に購入するよりも安価な場合があります。
- セール期間の利用: 大型ペットイベントや年末年始のセールなどで、用品が安くなることがあります。
これらの初期費用は、リクガメが快適に、そして健康に過ごすために必要な投資です。生体をお迎えする前に、すべての準備を整えておきましょう。
リクガメのお迎え方法

リクガメのお迎え場所は大型ペットショップや爬虫類専門店が一般的ですが、最近ではホームセンターでも取り扱われるようになりました。
また、日本国内でも専門ブリーダーが増え、オンラインショップなどで直販されることも増えました。
以下はリクガメの主なお迎え場所とお迎えする際のチェックポイントです。
大型ペットショップ
大型ペットショップでは、さまざまな種類のリクガメに出会うことができます。
専任のスタッフが常駐している大型ペットショップもあり、リクガメの健康管理がしっかりと行われていることが期待できます。
また、リクガメの飼育に必要なアイテムなども一緒に購入できるため、すぐに飼育をスタートできます。
特に珍しい種類のリクガメの場合には輸入されていることが多いので、輸送中のストレスや環境の変化で体調を崩していないかどうか、健康状態のチェックを。
ネットショップ
ネットショップは便利さと選択肢の多さが魅力です。ネットショップごとに異なる多様な種類のリクガメを取り扱っているので、希少種や特定の品種を見つけるのにも便利ですし、価格も比較できます。
ブリーダー直売のネットショップでは、リクガメの詳細な情報(種類、年齢、サイズ、性別、性格など)や飼育アドバイスも掲載されています。
実際に購入した人のレビューや評価を参考にすることで、ショップの信頼性やリクガメの状態も確認できます。
リクガメを自宅まで配送してくれるため、近くにペットショップがない場合でもリクガメをお迎えすることができますが、配送方法は要チェック。
リクガメは繊細な生き物で、輸送中のストレスに敏感です。温度管理や衝撃対策など、適切な配送方法が取られているか確認しましょう。
また、リクガメには輸入規制や飼育に関する法律が適用される場合があるので、輸入許可証やワシントン条約に基づく証明書などがあるかも要確認です。
エキゾチックアニマル専門店
エキゾチックアニマル専門店は、一般のペットショップよりも爬虫類などの特定の動物に特化しているため、リクガメに出会える確率が高いでしょう。
スタッフは、取り扱う動物の詳しい知識と経験を持っていることが多いので、具体的で専門的な飼育方法のアドバイスが得られます。
エキゾチックアニマル専門店ではリクガメに適した環境で飼育されていることが多く、健康状態も良好であることが期待できます。
また、リクガメの専門店であれば、最適なケージや照明、ヒーターなどの飼育用品が揃っており、種類やサイズに合わせたカスタマイズも可能です。購入後のサポート体制がしっかりしていることも期待できます。
ただし、店員さんにお任せするのではなく、甲羅や肌の状態、目の輝き、動きが活発であるかどうかなど、リクガメの健康状態はその場でしっかり確認しましょう。
専門店では輸入個体も多く取り扱っていますので、輸入元や輸送中の管理状態についても確認することが大切です。
レプタイルズイベント
レプタイルズイベントとは主に爬虫類や両生類など、エキゾチックアニマルに特化した展示即売会や交流イベントのことです。
リクガメをはじめとした多彩な爬虫類を購入できるだけでなく、飼育に関する情報交換や飼育グッズの購入、専門家の講演やワークショップも行われます。
以下は日本でリクガメを購入できる主なレプタイルズイベントです(変更になる場合もありますので、来場前に必ずご自身でご確認をお願いします)。
イベント名 | 開催場所 | 開催時期 |
---|---|---|
東京レプタイルズワールド | 東京都(サンシャインシティなど) | 毎年夏(5月から7月の間)に開催 |
ジャパンレプタイルズショー | 静岡県(ツインメッセ静岡など) | 毎年夏(7月または8月)と冬(1月)の年2回開催 |
ナゴヤレプタイルズワールド | 愛知県名古屋市(ポートメッセ名古屋など) | 毎年秋(9月または10月)に開催 |
大阪レプタイルズフィーバー | 大阪府(インテックス大阪など) | 毎年夏(7月または8月)に開催 |
九州爬虫類フェス | 福岡県(マリンメッセ福岡など) | 毎年春(5月から6月)と秋(11月)の年2回開催 |
レプタイルズイベントは毎年、定期的に開催されているので、近場の日程を確認してみましょう。
お迎え前に知りたいリクガメの基本情報

カメというと水辺に暮らすイメージがありますが、リクガメはその名の通り陸上で生活するカメの一種でほとんど水に入りません。
自然に暮らすリクガメは主に乾燥した地域や草原、森林に生息していますので、飼育環境も水槽ではなく広いケージやテラリウムが適しています。
日本ではよく「鶴は千年、亀は万年」などと言って、おめでたい長寿の象徴とされていますが、リクガメは多くの種が数十年生きることがあります。
特に大型のリクガメは100年以上生きることもあるため、長期間にわたって飼育の責任を負えるかどうかの考慮が必要です。
リクガメと長きにわたって仲良く暮らすためには、あらかじめ以下のようなリクガメの特徴を心得ておきましょう。
一般的なリクガメの種類別比較表
この比較表は、リクガメを選ぶ際の目安としてご活用ください。個体差や飼育環境によって異なる場合もあります。
種類 | 最終的な大きさ(甲長) | 飼育難易度 | 主な性格の特徴 | 推奨温度(日中) | 推奨湿度 | 備考 (寿命、注意点など) |
---|---|---|---|---|---|---|
ヘルマンリクガメ | 15~25cm程度 | ★☆☆ (初心者向け) | 温厚で人懐っこい。 比較的活発。 | 25~30℃ | 40~60% | 丈夫で飼育しやすい。 欧州原産で日本の気候にも順応しやすい。 |
ギリシャリクガメ | 15~30cm程度 | ★☆☆ (初心者向け) | 温厚で穏やか。好奇心旺盛な一面も。 | 25~30℃ | 40~60% | 比較的丈夫で飼育しやすい。 個体差が大きい。 |
ホルスフィールドリクガメ (ロシアリクガメ) | 15~25cm程度 | ★☆☆ (初心者向け) | 活発で好奇心旺盛。 他のリクガメより乾燥を好む傾向。 | 25~30℃ | 30~50% | 地中海性気候出身で乾燥に強い。 冬眠させる場合もある。 |
ケヅメリクガメ | 50~90cm以上 | ★★☆ (中級者向け) | 温厚で懐きやすいが、非常に大きく成長。 広大な飼育スペースが必要。 | 28~33℃ | 60~80% | 世界で3番目に大きいリクガメ。 寿命が非常に長い。 |
アルダブラゾウガメ | 100cm以上 | ★★★ (上級者向け) | 温厚で非常に長寿。 飼育スペースとコストが桁違い。 | 28~35℃ | 70~90% | 世界で2番目に大きいリクガメ。 特別な施設や環境が必要。 |
ロシアリクガメ | 15~25cm程度 | ★☆☆ (初心者向け) | 活発で好奇心旺盛。 掘るのが好き。 | 25~30℃ | 30~50% | ホルスフィールドリクガメと同種。 乾燥を好む。 |
ヒョウモンリクガメ | 30~60cm程度 | ★★☆ (中級者向け) | 温厚で人懐っこい。 比較的大きく成長し、高温多湿を好む。 | 28~35℃ | 70~90% | 美しい甲羅の模様が特徴。 広いスペースが必要。 |
フチゾリリクガメ | 20~35cm程度 | ★☆☆ (初心者向け) | 温厚で比較的丈夫。 フチが反り返る独特な甲羅が特徴。 | 25~30℃ | 40~60% | ギリシャリクガメに似た飼いやすさ。 |
各項目のポイント
- 最終的な大きさ(甲長): リクガメは種類によって最終的な大きさが大きく異なります。飼育スペースの確保に直結するため、必ず確認しましょう。子亀のうちは小さくても、成体になったときの大きさを考慮する必要があります。
- 飼育難易度:
- ★☆☆(初心者向け): 比較的丈夫で環境変化に強く、飼育情報も豊富。
- ★★☆(中級者向け): 特定の環境条件(高温多湿など)の維持や、大型化に対応できるスペースが必要。
- ★★★(上級者向け): 非常に大きく成長するか、特殊な環境設定、専門的な知識と経験が必要。
- 主な性格の特徴: 一般的な傾向を示しています。個体差もありますが、温厚な種が多いです。
- 推奨温度(日中): リクガメは変温動物なので、ケージ内に温度勾配を作り、この範囲で体を温める場所とクールスポット(涼しい場所)を設けることが重要です。
- 推奨湿度: 種類によって乾燥を好むか、多湿を好むかが異なります。適切な湿度維持は、呼吸器疾患や甲羅の病気予防に不可欠です。
- 備考: 寿命は非常に長い種が多く、何十年も一緒に暮らすことになるため、長期的な飼育を覚悟する必要があります。
リクガメを選ぶ際は、見た目だけでなく、最終的な大きさや飼育難易度、必要な飼育環境が自分のライフスタイルや住環境に合っているかを慎重に検討することが大切です。
疑問や不安があれば、必ず専門のペットショップやエキゾチックアニマルを診てくれる獣医師に相談しましょう。
リクガメの性格
リクガメの性格は種類や個体によって多少異なりますが、一般的には非常に温厚で穏やかです。
攻撃性が低く、他のペットや子どもに対しても基本的に友好的。意外にも好奇心旺盛で、飼い主さんや環境に対して興味を抱きます。
飼い主さんが近づくと顔を上げて反応し、周囲を探索する姿が見られることもあり、愛すべきキャラクターです。
イメージ通りのんびりとした生き物で、日中はゆっくりと歩き回り、日光浴を楽しんだりエサを食べたりして、非常にマイペースに過ごします。
臆病な一面も持っていて、見知らぬ環境は苦手。大きな音や突然の動きには敏感に反応し、びっくりすると頭や脚を甲羅に引っ込めます。
飼い主さんやご家族に慣れるまで時間がかかることもありますが、徐々にゆっくりと信頼関係を築くことでリラックスして暮らすようになります。
リクガメの甲長
リクガメの種類 | 甲羅の大きさ |
---|---|
アカアシガメ | 30cm~40cm |
ギリシャリクガメ | 20cm~30cm |
ケヅメリクガメ | 最大約70cm |
ヒョウモンリクガメ | 40cm~70cm |
ヘルマンリクガメ | 20cm~30cm |
ベルセオレガメ | 20cm~25cm |
ロシアリクガメ | 15cm~25cm |
リクガメは陸上生活に適したしっかりと地面を踏みしめられるがっしりした四肢と、捕食者から身を守る役割を果たす厚くて丈夫な甲羅を持っています。
小型のリクガメは手のひらに収まるサイズのままのこともありますが、大型種は子どもが背に乗れるほど非常に大きくなることがあります。
リクガメの成長後の大きさは、上記のように種類によって大きく異なります。
リクガメの体臭
リクガメ自体には強い体臭はありません。ただし、飼育環境やケアの状況によって、独特の臭いを発することがあります。
リクガメの体臭や飼育環境で発生する可能性のある臭いを防ぐには、以下の点に注意しましょう。
排泄物はこまめに片付ける
ケージ内の排泄物はこまめに片付けましょう。特に湿気が多い環境で長時間放置されると、臭いが強くなることがあります。
床材は通気性の良いものを選ぶ
床材は通気性が良く、湿気を吸収しやすいものを選びましょう。床材が湿ったままだとカビや細菌が繁殖し、嫌な臭いの原因になります。
フードの食べ残しも即撤去
食べ物の残りがケージ内で腐敗すると、悪臭が発生します。
飼育環境は風通しの良い場所を選ぶ
リクガメの飼育環境は、常に換気が良い状態を保つこと。ケージやテラリウムは風通しの良い場所を選び、湿気がこもらないようにします。
水は頻繁に交換する
リクガメは水浴びをすることがありますが、水は頻繁に交換して清潔に保ちましょう。汚れた水が臭いの原因になる可能性があります。
定期的な健康状態の確認
リクガメに病気や感染症がないか定期的にチェックします。健康状態が悪いと体から異臭がすることがあるので、すぐに獣医師へ相談を。
全く臭いがしないということはありません。それも理解したうえでお迎えを検討しましょう。
リクガメの平均寿命
リクガメは非常に長寿な動物ですが、平均寿命は種類や飼育環境によって大きく異なります。
種類 | 平均寿命 |
---|---|
ギリシャリクガメ | 40~60年(適切なケアと飼育環境が整えば、60年以上生きることもある) |
ヘルマンリクガメ | 50~70年(ギリシャリクガメと同様の寿命で、長期間の飼育が必要となる) |
ホシガメ(インドホシガメ) | 30~50年(リクガメの中ではやや短命だが、数10年生きることが一般的) |
ロシアリクガメ | 30~50年(小型のリクガメだが寿命は非常に長く、50年以上生きることもある) |
ケヅメリクガメ | 50~70年(世界で3番目に大きくなるリクガメで、寿命も非常に長いことで知られる) |
アルダブラゾウガメ | 100年以上(世界最大級のリクガメで寿命も非常に長く、150年以上生きた個体の記録もある) |
アカアシガメ | 40~50年(中型のリクガメで、比較的長寿) |
リクガメに長生きしてもらうには、温度管理、湿度管理、紫外線Bライトの使用など、自然な生息環境に近づけるよう飼育環境を整えることが重要です。
リクガメがストレスを感じないよう静かで落ち着いた環境を提供し、必要なスペースを確保して栄養バランスの取れた食事を心がけましょう。
定期的に健康状態をチェックし、異常があればすぐに獣医師に相談することも大切です。
リクガメの病気
リクガメは比較的丈夫な動物ですが、以下はリクガメがかかりやすいとされている疾病とその症状です。
ビタミンD3欠乏症 (栄養失調) | UVBライトの不足やカルシウム不足が原因で、甲羅の変形や柔らかさが生じ、骨の成長不良、食欲不振になり、元気がなくなる。 |
肺炎 (呼吸器感染) | 適切な温度や湿度が保たれていないと風邪を引き、呼吸困難、くしゃみ、鼻水、食欲不振が生じる。 |
内臓寄生虫感染 | 寄生虫が消化器官に感染し、食欲不振、体重減少、下痢、腹部の膨張を生じる。 |
皮膚疾患(マイコプラズマ感染) | 細菌感染や環境の汚染が原因で、皮膚の炎症、腫れ、かさぶた、脱毛が生じる。 |
甲羅の軟化や感染 | 栄養失調や環境の不適切な管理、傷が原因で、甲羅が柔らかくなったり、変形したりして、甲羅に腐敗や感染が見られる。 |
消化不良 (腸閉塞、便秘) | 不適切な食事、異物の摂取、環境のストレスが原因で、食欲不振、便の排出がない、腹部の膨張を生じる。 |
症状が出た場合はすぐに獣医師に相談し、必要な治療を受けましょう。
リクガメの飼育難易度
リクガメの飼育難易度は種類や飼い主さんの知識と経験、飼育環境によっても異なりますが、一般的には初心者にも育てやすいとされています。
ただし、ケヅメリクガメやアルダブラゾウガメなど、大型のリクガメは、広い飼育スペースや特別な管理が必要なため、経験者向きです。
ギリシャリクガメやヘルマンリクガメ、ロシアリクガメなど、小型のリクガメは、飼育に必要なスペースや管理が比較的容易とされています。
とは言え、リクガメの飼育には温湿度管理が必須です。温度管理にはヒーターやサーモスタットが必要ですし、湿度も調整しなければなりません。
また、健康な甲羅を維持するためカルシウムの吸収を助けるUVBライトの設置を要し、適切な照明の設置と管理も重要です。これらの管理が難しいと感じる方には、飼育が困難だと思われます。
リクガメの飼育で必要なもの

大変な飼育が必要ないというイメージのあるカメですが、リクガメも飼育難易度の高いカメではありません。
ただ、リクガメにはリクガメに適した飼い方がありますので、そのポイントはしっかりと押さえておきましょう。
リクガメの飼育に必要なポイント
①適切な気温と湿度の管理
多くのリクガメは温暖な気候を好むため、飼育環境にはヒーターや紫外線ランプが必要です。
寒すぎても暑すぎてもよくありませんが、後述のようにリクガメは30℃以上の室温が適しています。
②十分なケージの広さ
動きが遅いカメとはいえ、動き回るスペースが必要なため、広いケージが推奨されます。
ケージ内には隠れ場所や日光浴用の場所を設けておき、ストレスなく生活できるようなケージにしなければいけません。
③照明の設置
甲羅の健康を維持するため、カルシウムの代謝に役立つ紫外線B (UVB)ライトが必要です。
飼育で必要なものの価格帯
爬虫類用ケージ | 小型:約5,000円~15,000円 中型:約15,000円~50,000円 大型:約50,000円~100,000円以上 |
フード | 100g~500g程度のペレットタイプ:約500円~2,000円 100g~1kg程度の乾燥野菜・乾燥草タイプ:約1,000~3,000円 |
水受け皿 | 陶器やプラスチック製:約500円~2,000円 岩や木製:約1,000円~3,500円 自動給水器: 約2,000円~5,000円 |
床材 | ココナッツファイバー:約500円~2,000円 木片や樹皮チップのレプティバーク:約1,000円~3,000円 カクタスソイルやカレイシャスサンドなど:約1,000円~4,000円 ミックス材:約1,500円~4,500円 |
シェルター | プラスチック製:約500円~2,000円 陶器製やレジン製: 約1,500円~4,000円 岩や木製:約2,000円~5,000円 特注サイズや高級モデル:約5,000円~10,000円以上 |
ヒーター | バスキングライト:約1,500円~4,000円 ランプ型セラミックヒーター:約2,000円~6,000円 ヒートマット:約2,000円~5,000円 温度調節機能付きヒーター:約3,000円~10,000円 サーモスタット:約2,000円~7,000円 |
紫外線ライト | UVBコンパクト蛍光灯:約2,000円~4,000円 UVBチューブタイプ蛍光灯:約3,000円~6,000円 メタルハライドランプ:約8,000円~15,000円 ランプホルダー:約1,000円~3,000円 |
温度計 | アナログ温度計:約500円~2,000円 デジタル温度計:約1,000円~3,000円 デジタル温湿度計:約2,000円~5,000円 非接触型赤外線温度計:約3,000円~8,000円 |
価格帯は幅広くなっていますが、必要な場合に必要な価格帯のものを用意すれば問題ありません。
食事は人工フードに加えて、野菜や果物も与える
リクガメの多くは草食性で、主に草や葉、果物、野菜などを食べます。健康な甲羅と骨を維持するには、カルシウムが豊富な野菜や葉物が必要です。
市販のリクガメ用フードは、リクガメに必要なビタミンやミネラル、カルシウムをバランスよく含んでいます。
乾燥ペレット、ブロック、タブレットなどがありますので、パートナーのリクガメが好むタイプのものを選んであげましょう。
リクガメには、ほうれん草、カブの葉、チンゲンサイ、ニンジン、大根、カボチャやズッキーニなどの野菜を与えることができます。
野菜や果物の与えすぎには要注意
新鮮な野菜を選んで洗ってから与えますが、与えすぎには注意が必要です。
例えば、ほうれん草にはシュウ酸が含まれており、過剰に与えるとカルシウムの吸収を妨げることがあります。
リンゴ、梨、イチゴ、バナナなどの果物もOKですが、糖分を多く含むため、過剰に与えると肥満や消化不良を引き起こす可能性があります。
果物はおやつとして与えるか、他の食事に混ぜて少量与えると良いでしょう。
常に新鮮な飲み水を用意し、リクガメが自由に飲めるようにすることも忘れずに。
室温は30℃~33℃、湿度は50%~60%を維持する
リクガメの飼育において、適切な室温と湿度を維持することは、健康を保つために非常に重要です。
種類により好む環境が異なるので、以下を参考に温湿度調整をしてあげましょう。
種類 | 適した環境 | 温湿度の目安 |
---|---|---|
温暖を好む種:ギリシャリクガメ、ヘルマンリクガメ、ロシアリクガメ | 温暖な環境&湿度は比較的低め | 昼間の温度:24℃~30℃ 湿度:40%~60% |
乾燥地帯育ちの種:ケヅメリクガメ | より高温の環境で湿度は低め | 昼間の温度:26℃~32℃ 湿度:30%~50% |
湿度の高い環境を好む種:ホシガメ | 高めの湿度で安定した温度 | 昼間の温度:24℃~28℃ 湿度:60%~80% |
夜間の温度の目安は昼間より少し低めの18℃~22℃が目安ですが、急激な温度変化を避けるため、パネルヒーターやセラミックヒーターを使用しましょう。
リクガメと一緒に暮らすための飼育ポイント

リクガメと一緒に長く幸せに暮らすには、1に「健康管理」、2に「やさしく扱う」、3に「長期的なケア」を心がけることです。
皮膚や甲羅、食欲、便の状態を常にチェックして健康管理を行い、異常があればすぐに獣医師に相談すること。
寄生虫の予防は特に重要です。定期的に便検査を受け、ケージやテラリウムはこまめに清掃して清潔を保ち、換気にも気を配りましょう。
リクガメはストレスを感じやすいため手荒に扱うのは厳禁です。無理に触ったり持ち上げたりせず、リクガメがリラックスしているときに触れましょう。
適度な運動も必要ですので、ケージ内には十分なスペースを確保し、自由に歩き回れるようにします。
リクガメは非常に長寿です。一生を通じてリクガメが健やかに過ごせるよう配慮し、長期間責任を持ってケアする覚悟をしましょう。
汚れが見られたら温浴を行う
リクガメの甲羅や手足の汚れが気になったら、お風呂に入れてあげましょう。適切な温浴はリクガメの消化促進や脱皮の助け、体温調節に役立ちます。
まず、リクガメのサイズに合った浅めの清潔な容器を用意し、25℃~30℃くらいのぬるま湯をリクガメの頭が浸からない程度の高さまで張ります。
リクガメがリラックスしている間に、絞ったタオルや歯ブラシなどのやわらかいブラシで甲羅や皮膚の汚れをやさしくこすって洗います。
石鹸やシャンプーは使わず、目や鼻、口に水が入らないよう気をつけながら、洗い流しましょう。温浴にはあまり時間をかけず、10分~20分程度で終わらせます。
温浴後はリクガメをタオルでやさしく拭きます。乾燥が不十分だと、皮膚や甲羅にカビが発生することがあるので注意しましょう。
ドライヤーは使わず直射日光を避けて、暖かい場所で完全に乾くまで休ませます。
温浴はリクガメの健康状態を確認するにも良い機会です。皮膚や甲羅の異常、寄生虫、傷などがないかチェックし、異常に気づいたらすぐ動物病院へ。
体調の変化に気づきづらいため、日々観察する時間を作る
リクガメは体調変化を示すのが比較的わかりにくいことが多いのですが、以下の点に注意することで早期に不具合を察知し、早期治療が可能です。
食欲の変化 | 食べない、あるいは異常な食欲を示すのは、体調不良の兆候 |
排泄の変化 | 便秘や下痢、尿の量が増えたり減ったり、血液や濁りを含む場合は注意が必要 |
体重の変化 | 急激な体重減少は消化不良や病気の兆候の可能性があり、短期間での体重増加も肥満や内臓の問題の可能性がある |
行動の変化 | 通常より動かない、隠れることが多い、反応が鈍い、またやたらに掘り返す、甲羅をこすりつけるなどの異常行動も体調不良の兆候 |
皮膚や甲羅の変化 | 甲羅の変色、ふくらみ、ひび割れ、剥がれ、皮膚の赤み、腫れ、ただれ、カビのような斑点が見られたら、感染症が疑われる |
呼吸の変化 | 呼吸が浅い、速い、クシャミ、咳などは、呼吸器系の問題や感染症の可能性がある |
目や鼻の異常 | 目が閉じたまま、目やにが多い、目の腫れは感染症の可能性、鼻水が多い、鼻の赤い腫れがある場合は呼吸器系疾病の可能性がある |
動きや姿勢の変化 | 足を引きずり歩く、バランスを崩す、不自然な姿勢でじっとしていたり、体を曲げていたりしたら関節や筋肉に問題がある |
以上の兆候に気づいた場合は、いずれにせよ、すぐに爬虫類専門の獣医師に相談することが大切です。
また、リクガメは鳴き声を出すことはほとんどありません。極度のストレスや不安を感じたときには低い音や「ゴロゴロ」といった音を出すことがあり、繁殖期には鳴き声や特定の音を出すことが稀にあります。
リクガメを迎える前の注意点

リクガメは犬のように尾を振ったり、猫のように体を擦り付けたりはしませんが、適切なケアと接し方をすれば飼い主さんと一定の信頼関係を築けます。
例えば、ごはんをあげる際にリクガメの名を呼ぶと自分の名前を認識したり、手から餌を与えることで飼い主さんを覚えることがあります。
リクガメの信頼を得るには、やさしく扱うこともポイントです。急な動きや大きな音を避け、リラックスした状態で接すれば安心感を与えられます。
飼い主さんを信頼するとリクガメはくつろいで近くにいるようになり、自分から近づいてくる場合もあります。
また、温湿度が一定に保てるようにし、食事や水を十分に用意して準備を整えれば、リクガメは2日~3日程度ならお留守番も可能です。
多頭飼いはできれば避け、最低でも同種に留めておく
リクガメは基本的に多頭飼育には向きません。なぜなら縄張り意識が強い動物だからです。
特に同性同士のリクガメを複数飼育すると、争いが起こりやすくなり、ケンカやストレスが健康に悪影響を及ぼします。
また、多頭飼育は感染症のリスクを高めるケースもあります。1匹が病気にかかると他のリクガメにも感染する可能性があるからです。
どうしても複数のリクガメを飼いたい場合は、頭数分の十分なスペースを確保する必要があります。できれば別々のケージで飼育したほうが良いでしょう。
食事や水分の奪い合いにならないように、複数の食事場所や水飲み場を設置する必要があります。
最長50年ほど長生きすることも理解しておく
飼い主さんは長期的に責任を持って飼い続けるという覚悟をすることが何より重要です。リクガメをお迎えする前に、飼い主さんもご自身の年齢を勘案する必要があるでしょう。
特定の種類のリクガメ(ホシガメ、ギリシャリクガメなど)は、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律で規制されている場合もあります。
対象となる種類のリクガメを飼育するには、環境省から特別な許可の取得が必要です。
また、国際的な絶滅危惧種の保護を目的としたワシントン条約によって、多くのリクガメの国際的な取引が規制されています。
これに基づいて、日本にリクガメを輸入する際には輸出国と日本、双方の政府から許可を得る必要があります。
リクガメの飼い主さんになるには、リクガメの飼育に関する知識を持ち、定期的に学習し続ける意欲が求められます。
早めに診てもらえる動物病院を探しておく
リクガメを診察できる獣医師は日本でも増えてきましたが、一般的な動物病院に必ずしもそういう獣医師がいるとは限りません。
リクガメのかかりつけ医を探すなら、爬虫類やエキゾチックアニマル専門の動物病院に問い合わせてみましょう。
また、最近ではオンライン検索もできるようになりました。ネット上でリクガメの飼い主さんのレビューや口コミを参考に、信頼できる病院を見つけるのも良いでしょう。
下記の爬虫類やエキゾチックアニマル専門の獣医師会や協会のサイトには、病院情報が掲載されていることもあるので、チェックしてみると良いでしょう。
専門の獣医師会や協会
信頼できる動物病院は飼い主さんにとって頼れる味方です。リクガメをお迎えする前に、できるだけ通いやすい場所にかかりつけ医を見つけておきましょう。
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