はちみつは人間にとって栄養価が高く、健康にも良いとされる食品です。しかし、大切な愛猫にも与えてよいのか、不安に感じる飼い主さんも多いのではないでしょうか。
猫にはちみつを与える際の安全性や注意点、与えても良い場合の適量、そしてはちみつが猫に与える影響について、詳しく解説していきます。
この記事の結論
- 猫にはちみつは基本的に不要であり、与える必要性は低い
- ボツリヌス菌や糖分過多による健康リスクが高い
- 与える場合は極少量に限定し、体調を慎重に観察する必要がある
- 安全性の高い市販や手作りの猫専用おやつが推奨される
目次
猫にはちみつを与えても大丈夫?基本的な考え方

はちみつは人間にとっては健康食品として知られていますが、猫にとっては必ずしも必要な食品ではありません。
基本的に、猫は肉食動物であり、動物性タンパク質を中心とした食事が最適です。はちみつは糖分を多く含むため、猫の体に負担をかける場合もあります。
しかし、ごく少量であれば健康被害を起こさないケースもあります。ただし、与え方を誤ると健康リスクが生じるため、注意が必要です。
特に子猫や持病のある猫には与えないほうが安全です。愛猫の健康を守るためには、はちみつの性質を理解し、慎重に対応しましょう。
猫にはちみつは基本的に不要な食品
猫は本来、糖質を多く必要としない肉食動物です。はちみつに含まれる糖分や栄養素は、猫の健康維持には必須ではありません。むしろ過剰な糖分摂取は肥満や糖尿病の原因になる可能性もあります。
また、はちみつに含まれるボツリヌス菌が猫の体内で悪影響を及ぼすリスクもゼロではありません。そのため、特別な事情がない限り、猫にわざわざはちみつを与える必要はありません。
愛猫の健康を第一に考え、基本はバランスの取れたキャットフード中心の食生活を心がけましょう。
少量なら与えても問題ないケースもある
猫によっては、獣医師の指導のもとで少量のはちみつを与えることが許容されるケースもあります。
たとえば、喉の炎症や軽い咳の緩和目的など、一時的な健康補助として利用される場合があります。ただし、以下の条件を満たす場合に限ります。
- 成猫で健康状態が安定している
- アレルギー歴がない
- 1回あたり耳かき1杯程度まで
- 毎日ではなくあくまで一時的使用
上記条件を満たしても、与えた後の体調に変化がないか十分に観察することが大切です。不安がある場合は、事前に必ず獣医師に相談しましょう。
与えてはいけない猫のケース
次のような猫には、はちみつを絶対に与えないでください。
| 猫の状態 | 理由 |
|---|---|
| 子猫(生後12か月未満) | 免疫力が未発達でボツリヌス菌のリスクが高い |
| 糖尿病や肥満の猫 | 糖分が血糖値や体重管理に悪影響を与える |
| アレルギー体質の猫 | はちみつ由来の成分でアレルギー反応を起こす可能性 |
| 持病のある猫 | 持病を悪化させる恐れ |
特に子猫は免疫機能が未熟なため、少量でも深刻な中毒症状を引き起こす危険性があります。はちみつを与えるか悩む際は、獣医師の診断を受けるのが安全です。
はちみつに含まれる栄養素と猫への影響

はちみつにはさまざまな栄養素が含まれており、人間には健康効果が期待されています。
しかし猫にとっては、これらの栄養素が必ずしも必要とは限りません。むしろ猫の生理機能に負担となる場合もあります。
猫に与える前に、栄養素の特徴と猫への影響を理解しておくことが重要です。
はちみつの主な栄養成分
はちみつに含まれる主な栄養成分は以下の通りです。
- 糖類(ブドウ糖・果糖):約80%
- ビタミン(B群・Cなど):微量
- ミネラル(カリウム・カルシウムなど):微量
- アミノ酸・酵素類:微量
- ポリフェノール・抗酸化物質:微量
これらは人間の健康維持には役立つ成分ですが、猫の場合はほとんどの栄養素が通常のキャットフードで十分に摂取できます。特に糖分の多さが問題となるため、安易な摂取は避けるべきです。
猫にとってのメリットとデメリット
はちみつを猫に与えた場合のメリットとデメリットをまとめると以下のようになります。
メリット
- 一部の抗菌作用が口内炎や喉の炎症緩和に役立つことがある
- ごく少量であれば嗜好性が高く食欲促進になる場合がある
デメリット
- ボツリヌス菌中毒のリスク
- 高糖分による肥満・糖尿病リスク
- 消化不良や下痢を起こす可能性
- アレルギー症状の誘発
デメリットが多く、一般的にははちみつを猫に与える必要性はほとんどありません。
猫の消化器官に与える影響
猫は糖質の消化・代謝が得意ではありません。はちみつのように高糖分の食品を摂取すると、以下のような影響が生じる可能性があります。
- 血糖値の急上昇
- 消化不良による下痢・嘔吐
- 膵臓への負担増加
- 長期的な肥満・糖尿病リスクの上昇
特に猫の膵臓はインスリンの分泌能力が限られており、過剰な糖分は膵炎や糖尿病のリスク要因になります。
消化管も糖質の大量摂取に適応していないため、下痢や軟便が続くこともあります。こうした負担を避けるためにも、基本的にははちみつは与えないほうが安全です。
猫にはちみつを与えるリスクと注意点

猫にはちみつを与える際には、複数の健康リスクが伴います。人間にとっては自然食品で安全なはちみつでも、猫にとっては思わぬ害を及ぼす可能性があります。特に以下の3つのリスクには注意が必要です。
- ボツリヌス菌による中毒
- 高糖分による肥満・糖尿病
- アレルギー反応
これらは命に関わる重篤な症状を引き起こすこともあるため、猫には基本的に与えないほうが安心です。どうしても与える必要がある場合は、リスクを十分に理解したうえで慎重に対応する必要があります。
ボツリヌス菌による中毒の危険性
はちみつの最大のリスクは「ボツリヌス菌」です。はちみつにはごく微量ながらボツリヌス菌の芽胞が含まれている場合があり、特に免疫力の弱い猫にとっては危険です。ボツリヌス菌による中毒は以下の症状を引き起こします。
- 筋力の低下
- 呼吸困難
- 嘔吐や食欲不振
- けいれんや神経症状
特に子猫や高齢猫、持病のある猫は発症リスクが高まります。人間の赤ちゃんに蜂蜜を与えてはいけない理由と同様、猫にも細心の注意が必要です。
市販のはちみつでも完全に無菌とは限らないため、安易に与えることは避けましょう。
糖分過多による肥満や糖尿病リスク
はちみつの約80%は糖分(主にブドウ糖・果糖)で構成されています。猫は本来、糖質の消化を得意としないため、糖分の過剰摂取は以下の健康リスクを引き起こします。
| リスク | 主な影響 |
|---|---|
| 肥満 | 運動不足の猫はすぐに体重増加 |
| 糖尿病 | インスリン分泌能力の低さが影響 |
| 膵炎 | 膵臓に過度な負担がかかる |
これらは一度発症すると長期的な治療が必要になる深刻な疾患です。たとえ少量でも糖分の蓄積はジワジワと影響を与えるため、予防の観点からも与えない方が賢明です。
アレルギー反応の可能性
はちみつには自然由来の成分が多く含まれており、猫によってはアレルギー反応を起こす場合もあります。発症時の主な症状は以下の通りです。
- 皮膚のかゆみ・赤み
- 嘔吐や下痢
- くしゃみ・鼻水
- 呼吸困難(重度の場合)
猫のアレルギーは突然発症することもあり、一度の摂取で重篤化する可能性もあります。
特に初めて与える場合は極めて注意が必要で、できれば事前に獣医師と相談してから与えるようにしましょう。
猫にはちみつを与える際の正しい与え方

どうしてもはちみつを与える必要がある特別な事情がある場合は、細心の注意を払いましょう。与え方を誤ると前述のリスクが高まるため、以下のポイントを守ることが大切です。
与える量の目安
猫にはちみつを与える場合、極めて少量にとどめる必要があります。あくまで一時的な使用を前提とし、以下を参考にしてください。
- 1回あたり:耳かき1杯(約0.1g)まで
- 1日あたり:1回まで
- 連続して与える期間:3日以内が理想
これ以上の量を与えると、消化不良や糖分過多による悪影響が出やすくなります。
また、可能であれば加熱処理された「パスチャライズドハニー(加熱殺菌済はちみつ)」を使用すると、ボツリヌス菌リスクをある程度軽減できます。
頻度と与え方の注意点
与える頻度やタイミングにも注意が必要です。以下のルールを守りましょう。
- 毎日の習慣にはしない
- 喉の炎症など限定的な目的で短期間だけ
- 初回はごく微量で様子を見る
- 食後すぐは避け、空腹時を避けた中間時間帯が理想
また、与える際は指やスプーンで直接舐めさせるのが一般的ですが、フードに混ぜるのは過剰摂取につながるためおすすめしません。
与えた後の健康チェックポイント
はちみつを与えた後は、体調に変化がないか必ず観察しましょう。特に以下の症状が出た場合は、すぐに獣医師へ相談してください。
- 嘔吐や下痢
- 食欲不振
- ぐったりして元気がない
- 呼吸が浅くなる、苦しそうにする
- 皮膚の赤みやかゆみ
初期症状を見逃さず、異常を感じたら速やかに受診することが大切です。たとえ少量であっても、猫は敏感に反応する生き物であることを忘れずに注意深く見守りましょう。
はちみつ以外で猫におすすめの健康おやつ

猫にとって安全で健康的なおやつは、日々の栄養バランスを補助し、ストレス解消やコミュニケーションの手段としても役立ちます。
はちみつはリスクが高いため、基本的には以下のようなおやつを選ぶと安心です。
- 猫専用に設計された市販おやつ
- 獣医師も推奨する栄養補助食品
- 飼い主が手作りする無添加・安全な食材
これらをうまく活用することで、猫の健康を維持しつつ、満足感も得られます。ただし、おやつはあくまで「補助的な存在」であり、与えすぎには十分注意しましょう。
市販の猫用おやつを選ぶポイント
市販の猫用おやつを選ぶ際には、以下のポイントを意識することが重要です。
1. 主原料を確認する
肉や魚を中心とした高タンパクな製品を選びましょう。植物性タンパクや穀物が主原料のものは避けるのが無難です。
2. 添加物の少なさ
保存料・着色料・人工香料などの添加物は少ない方が安心です。
3. カロリー表示
肥満防止のためにも1粒あたりのカロリーを確認しましょう。高カロリー商品はご褒美用途に限定するのが望ましいです。
4. 機能性成分の有無
毛玉対策、歯磨き効果、関節ケアなど、機能性が付加されたおやつも選択肢に入ります。
5. 信頼できるメーカー品
ペットフードメーカーの評判や製造国などもチェックポイントです。
しっかり選べば、猫の健康に配慮された安全なおやつがたくさんあります。
手作りおやつのアイデア
手作りおやつは安全性を自分で管理できるメリットがあります。以下は猫におすすめの手作りおやつ例です。
| 食材 | ポイント |
|---|---|
| ササミの蒸し焼き | 高タンパク・低脂肪で安心 |
| 白身魚(タラ、鯛など) | 骨と皮を除去して使用 |
| かぼちゃペースト | 食物繊維が豊富で便通改善に |
| 無糖ヨーグルト(極少量) | 乳糖に弱い猫も少量ならOKな場合あり |
※与える量は少量に留め、毎日は与えないよう注意しましょう。
また、加熱調理をしっかり行い、保存状態にも十分注意してください。素材そのままの味を活かしたシンプルなレシピが猫に適しています。
避けるべき食材リスト
猫は人間と違い、食べてはいけない食材が多く存在します。以下は絶対に与えてはいけない食材の一例です。
| 食材 | 危険理由 |
|---|---|
| ネギ類(玉ねぎ・ニラ・長ネギなど) | 貧血や中毒症状を引き起こす |
| チョコレート | 中枢神経に強い毒性 |
| アルコール | 少量でも致命的な中毒に |
| 生の魚介類 | ビタミンB1欠乏症の原因に |
| カフェイン飲料 | 心臓や神経系に悪影響 |
| ぶどう・レーズン | 腎不全を誘発する可能性 |
これらは少量でも重篤な症状を招くため、絶対に避けましょう。手作りおやつの際も誤って使用しないよう注意が必要です。
まとめ:猫にはちみつは基本的に不要だが状況次第で慎重に
はちみつは人間にとって健康効果が期待できる食材ですが、猫にとっては基本的に不要であり、リスクが上回る食品です。特に以下の点を押さえておきましょう。
- 猫は糖質の消化が苦手で、糖分過多は肥満や糖尿病の原因に
- ボツリヌス菌による中毒リスクがあるため、子猫や高齢猫には絶対に与えない
- アレルギーや消化不良を起こす可能性もある
どうしても与える場合は、獣医師の指導のもとでごく少量にとどめ、体調を慎重に観察する必要があります。
基本的には、猫専用の安全なおやつや手作りのおやつで健康管理を行うのが安心です。愛猫の長生きと健康のために、日々の食生活には常に注意を払いましょう。
この記事の執筆者
nademo編集部
編集部
「いつまでも どこまでも」必要な情報を理解するだけではなく、心もお腹も満たされるような日々のために。
&nademo(アンドナデモ)のコンセプトをもとに、飼い主さんとペットが安堵できる時間を演出します。
※ 当コンテンツで紹介する商品は、実際に社内で利用した経験と、ECサイトにおける売れ筋商品・口コミ・商品情報等を基にして、nademo編集部が独自にまとめています。
※ 本記事はnademoが独自に制作しており、メーカー等から商品提供を受けることもありますが、記事内容や紹介する商品の意思決定には一切関与していません。
※ 記事内で紹介した商品を購入すると、売上の一部がnademoに還元されることがあります。
※ 監修者は掲載情報についての監修のみを行っており、掲載している商品の選定はnademo編集部で行っております。
※ 掲載している商品の順番に意図はなく、掲載の順番によってランク付けしているものではありません。





