愛猫が壁や大切な家具で爪とぎをしてしまい、お困りではありませんか。
この記事を読めば、猫が爪とぎをする理由から、子猫・成猫に合わせた正しいしつけのステップ、猫が気に入る爪とぎ器の選び方と最適な設置場所、そして困った時の具体的な対策まで、爪とぎに関する悩みを解決する全てが分かります。
爪とぎは猫の大切な本能です。「やめて欲しい」と思っても、爪とぎ自体をやめることはできません。
叱るのではなく、適切な場所へ上手に誘導するコツを学び、猫との快適な毎日を実現しましょう。
この記事の結論
- 猫は本能的に爪とぎをする動物であり、メンテナンスやマーキングを目的としている
- 爪とぎはね子の本能でやっている行動であるため、叱ることは逆効果になる
- 爪とぎ器は複数設置しておき、誘導し、成功したら褒めてあげることが重要
- 爪とぎ器の種類や形状は好みが分かれるため、その子ごとに使い分ける
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目次
なぜ猫は爪とぎをするのか?理由を知ってしつけに活かす

愛猫が家のあちこちで爪とぎをしてしまい、壁や家具がボロボロに…そんな悩みを抱える飼い主さんは少なくありません。
しかし、猫にとって爪とぎは、叱ってやめさせられるような単なる「イタズラ」ではないのです。
爪とぎは猫が持つ本能的な行動であり、いくつかの大切な理由があります。
なぜ猫が爪とぎをするのか、その理由を深く理解することが、効果的なしつけへの第一歩となります。
理由を知れば、叱るのではなく、猫の習性を尊重しながら正しい場所へと導く方法が見えてくるはずです。
爪のメンテナンス:古い層を剥がすため
猫の爪は、玉ねぎのように何層にも重なってできています。
一番外側の古い爪の層(爪鞘:そうしょう)は、時間とともに劣化し、自然に剥がれ落ちる必要があります。
爪とぎは、この古くなった外側の層を剥がし、常に鋭く健康な爪を維持するための大切なメンテナンス行動なのです。
爪とぎをすることで、狩りに使う武器であり、木登りなどに使う道具でもある爪を、いつでも最高の状態に保っています。
これは猫が生きていく上で欠かせない、生理的な欲求の一つと言えるでしょう。
マーキング:縄張りを主張する本能
猫は縄張り意識が非常に強い動物です。爪とぎは、自分の縄張りを主張するためのマーキング行動としての役割も担っています。
爪とぎをすることで、柱や壁に目に見える爪痕を残す「視覚的マーキング」を行います。
さらに、猫の肉球には臭腺(しゅうせん)と呼ばれる、においを分泌する器官があります。
爪とぎの際には、この臭腺から出るフェロモンを含む分泌物をこすりつけ、「嗅覚的マーキング」も同時に行っているのです。
これにより、「ここは自分の縄張りだ」と他の猫に対してアピールしたり、自分のにおいをつけることで安心感を得たりしています。
特に、家の出入り口付近や窓の近くなど、他の猫の気配を感じやすい場所で爪とぎをする場合は、このマーキングの意味合いが強いと考えられます。
ストレス発散や気分転換
私たち人間が気分転換に伸びをしたり、運動したりするように、猫も爪とぎを通じてストレスを発散させたり、気分を切り替えたりします。
例えば、寝起きに体を大きく伸ばしながらバリバリと爪をとぐ姿はよく見られますが、これは凝り固まった体をほぐし、活動モードへと切り替えるための行動です。
また、運動不足や退屈、環境の変化などによるストレスを感じたときにも、爪とぎをすることで気持ちを落ち着かせようとします。
遊びに夢中になって興奮したときや、何か嫌なことがあった後などにも、爪とぎをすることで感情を整理していると考えられています。
飼い主へのアピール
猫は賢い動物であり、学習能力も持っています。時として、飼い主さんの注意を引くためや、何かを要求するために爪とぎを利用することがあります。
「ねぇ、こっちを見て!」「遊んでほしいな」「お腹が空いたよ」といった気持ちを、爪とぎという行動で表現しているのです。
特に、飼い主さんが見ている前で、わざとソファや壁など「してはいけない」と分かっている場所で爪とぎをする場合は、このアピールの意味合いが強い可能性があります。
「ここで爪とぎをすれば、飼い主さんがすぐに反応してくれる」と学習してしまった結果かもしれません。
このような場合は、爪とぎ自体を叱るのではなく、猫の要求のサインとして受け止め、適切に対応することが求められます。
爪とぎの理由とまとめ
このように、猫の爪とぎにはさまざまな理由があります。
これらの理由を理解した上で、それぞれの猫の状況に合わせてしつけや対策を行うことが重要です。
以下の表に、爪とぎの理由とその目的、しつけへのヒントをまとめました。
理由 | 主な目的 | しつけへのヒント |
---|---|---|
爪のメンテナンス | 古い爪を剥がし、鋭く健康な状態を保つ | 爪とぎは止められない本能。 適切な場所(爪とぎ器)を用意することが最も重要です。 |
マーキング (縄張り主張) | 視覚と嗅覚で自分の縄張りを示す、安心感を得る | 猫が安心できる場所や、縄張りの境界線となりそうな場所(部屋の入口、窓際など)に爪とぎ器を設置すると効果的です。 |
ストレス発散・気分転換 | エネルギー発散、気分転換、リラックス、感情の整理 | 運動不足や退屈を解消する工夫(遊びの時間を増やす、キャットタワー設置など)も大切。 寝起きによく爪とぎする場所に設置するのも良いでしょう。 |
飼い主へのアピール | 注意喚起、要求(遊び、かまってほしい、ごはんなど) | 爪とぎ自体を叱るのではなく、正しい場所へ誘導し、できたら褒めることが基本。 要求に応えすぎると行動が強化される可能性も。 |
これらの理由を踏まえ、次の章では、実際に爪とぎのしつけを始める前に知っておきたいことについて詳しく解説していきます。
猫の爪とぎのしつけを始める前に知っておきたいこと

猫の爪とぎは、飼い主さんにとって悩みの種になることもありますが、しつけを始める前にいくつか大切な心構えがあります。
猫の習性を理解し、適切な準備をすることで、しつけはよりスムーズに進むでしょう。
適切でない場所で爪とぎをされると困ってしまいますが、焦らず、猫の気持ちに寄り添うことが成功への近道です。
爪とぎは猫の本能 叱るだけでは逆効果
まず最も重要なのは、爪とぎは猫にとって生まれ持った本能的な行動であり、完全になくすことはできないという点です。
前章で解説したように、爪のメンテナンスやマーキング、ストレス発散など、猫が生きていく上で欠かせない意味を持っています。
そのため、爪とぎをしたこと自体を頭ごなしに叱るのは逆効果です。
叱られた猫は「爪とぎ=悪いこと」ではなく「飼い主さんの前で爪とぎ=叱られること」と学習し、隠れて壁や家具で爪とぎをするようになる可能性があります。
また、恐怖心から飼い主さんとの信頼関係が損なわれる恐れもあります。
爪とぎのしつけは「やめさせる」のではなく、「決められた場所でしてもらう」ことを目標にしましょう。
しつけ開始のベストタイミング 子猫と成猫の違い
爪とぎのしつけを始めるタイミングは、猫の年齢によって少し異なります。
子猫と成猫、それぞれの特徴を理解して、適切なアプローチを心がけましょう。
子猫の爪とぎのしつけはいつから始める?
子猫の爪とぎしつけは、一般的に爪とぎ行動が見られ始める生後2~3か月頃から始めるのが理想的です。
この時期の子猫は好奇心旺盛で、新しいことをどんどん吸収していきます。
早い段階で爪とぎ器の存在と使い方を教えることで、正しい場所での爪とぎが自然な習慣として身につきやすくなります。
母猫や兄弟猫がいる環境であれば、その行動を真似て覚えることもあります。
まだ特定の場所へのこだわりも少ないため、しつけが比較的スムーズに進むことが多いでしょう。
成猫からでも爪とぎしつけは可能?
すでに成猫になっている場合でも、爪とぎのしつけを諦める必要はありません。
時間はかかるかもしれませんが、根気強く教えれば、新しい場所で爪とぎを覚えてくれる可能性は十分にあります。
ただし、成猫の場合はすでに特定の場所(壁や家具など)で爪とぎをする習慣がついてしまっていることが多いです。
そのため、新しい爪とぎ器を用意するだけでなく、これまで爪とぎをしていた場所への対策も同時に行う必要があります。
猫の好みや性格をよく観察し、その子に合った方法で、焦らず気長に取り組む姿勢が大切です。
爪とぎのしつけに必要な準備物
爪とぎのしつけをスムーズに進めるためには、事前にいくつかのアイテムを準備しておくと良いでしょう。
猫が快適に爪とぎを覚え、飼い主さんもストレスなくしつけに取り組める環境を整えましょう。
準備物 | 目的・ポイント |
---|---|
爪とぎ器 | 猫が気に入る素材や形状のものを選びましょう。 最初は段ボール製など手軽なもので試し、好みが分かれば麻縄や木製なども検討します。 複数種類用意して選ばせるのも効果的です。 |
またたび・キャットニップ | 新しい爪とぎ器に興味を持たせ、誘導するために使用します。 粉末タイプやスプレータイプがあります。 ただし、すべての猫が反応するわけではなく、子猫には効きにくい場合もあります。 与えすぎにも注意が必要です。 |
爪とぎ防止グッズ | 壁や家具など、爪とぎをしてほしくない場所を保護するために使います。 壁紙保護シート、家具用カバー、猫が嫌がる匂いのスプレー(天然成分のものを選ぶなど配慮が必要)、ツルツルした素材のシートなどがあります。 |
ご褒美 | 正しい場所で爪とぎができた時に、すぐに褒めるために用意します。 猫が好きなおやつや、お気に入りのおもちゃ、優しい声かけや撫でることなどがご褒美になります。 |
これらの準備物を揃え、猫と飼い主さん双方にとって負担の少ない方法でしつけを始めていきましょう。
【実践】猫に爪とぎの場所を教えるしつけステップ

猫の爪とぎは本能的な行動ですが、適切な場所に導くことは可能です。
ここでは、猫に爪とぎ器を使ってもらうための具体的なしつけのステップを解説します。焦らず、猫のペースに合わせて進めていきましょう。
ステップ1. 魅力的な爪とぎ器を用意する
まず、猫にとって「ここで爪とぎしたい!」と思えるような、魅力的な爪とぎ器を用意することが大切です。
猫によって爪とぎの好みはさまざまです。素材(段ボール、麻、木材など)や形状(縦置き、横置き、コーナー型など)、安定感を考慮し、愛猫が興味を示しそうなものを選びましょう。
最初は複数の種類を用意して、どれを好むか観察するのも良い方法です。
猫が安心して力を入れて爪とぎできるよう、ぐらつかない安定したものを選ぶことも重要なポイントとなります。
ステップ2. 適切な場所に爪とぎ器を設置する
爪とぎ器を用意したら、次は設置場所です。猫が自然と使いたくなるような場所に置くことが成功の鍵となります。
効果的な設置場所としては、以下のような場所が挙げられます。
- すでに壁や家具などで爪とぎをしてしまっている場所のすぐそば
- 猫が寝起きによく伸びをする場所(寝床の近くなど)
- 猫がよく通る場所や、リラックスしている場所
- 窓際など、外を眺めるのが好きな猫がお気に入りの場所
最初は、問題行動が見られる場所の近くに設置し、徐々に飼い主が望む場所へ移動させていく方法も有効です。
また、一箇所だけでなく、家の複数箇所に設置することで、猫が爪とぎしたいと思ったときにすぐに使える環境を整えてあげましょう。
ステップ3. 猫を爪とぎ器に誘導するコツ
新しい爪とぎ器を用意しても、猫がすぐに使い始めるとは限りません。
最初は飼い主が上手に誘導して、爪とぎ器に興味を持たせることが大切です。
無理強いはせず、遊びの延長のような感覚で、爪とぎ器が「楽しい場所」だと認識してもらえるように工夫しましょう。
またたびやキャットニップの活用
多くの猫が好む「またたび」や「キャットニップ」の粉末やスプレーを爪とぎ器に少量ふりかける、またはこすりつけると、猫の興味を引きつけやすくなります。
匂いに誘われて近づいてきた猫が、そのまま爪とぎを始めることがあります。
ただし、またたびやキャットニップへの反応には個体差があり、全く興味を示さない猫や、逆に興奮しすぎてしまう猫もいます。
また、子猫には効果がない場合もありますので、少量から試してみて、愛猫の反応を見ながら使用しましょう。
与えすぎは避け、あくまで興味付けのきっかけとして活用するのがポイントです。
爪とぎのポーズを優しく教える
猫が爪とぎ器の近くにいるときに、飼い主が爪とぎの真似をしてみせたり、猫の前足を持って優しく爪とぎ器にこすりつけたりする方法もあります。
このとき、決して無理強いはしないでください。猫が嫌がるそぶりを見せたらすぐにやめましょう。
あくまで「ここで爪とぎすると気持ちいいよ」と、優しく教えてあげるイメージです。
猫がおもちゃで遊んでいる流れで、爪とぎ器におもちゃを誘導し、遊びながら爪とぎを促すのも効果的な場合があります。
ちなみに筆者はこれを2~3回ほど実践してみたところ、それ以降問題なく爪とぎしてくれるようになっています。
ステップ4. 上手にできたらしっかり褒める
猫が爪とぎ器で爪とぎをしたら、すかさず褒めてあげることが非常に重要です。
「えらいね!」「上手だね!」と優しい声で褒めたり、撫でてあげたり、おやつを少量与えたりすることで、猫は「ここで爪とぎをすると良いことがある」と学習します。
このポジティブな関連付けが、爪とぎ器を継続して使ってもらうための強い動機付けとなります。
タイミングが重要なので、爪とぎをしている最中か、終わった直後に褒めるようにしましょう。
ステップ5. 根気強く続けることが大切
猫の爪とぎのしつけは、一朝一夕に成功するものではありません。すぐに覚えてくれる猫もいれば、時間がかかる猫もいます。
大切なのは、根気強く、一貫した態度で続けることです。
もし、間違った場所で爪とぎをしてしまっても、大声で叱ったり叩いたりするのは逆効果です。
猫はなぜ叱られているのか理解できず、飼い主に対して恐怖心や不信感を抱いてしまう可能性があります。
代わりに、爪とぎ器へ静かに誘導し、そこで爪とぎができたらたくさん褒めてあげる、というサイクルを繰り返しましょう。
諦めずに愛情を持って接し続けることが、しつけ成功への一番の近道です。
猫が喜ぶ爪とぎ器の選び方とおすすめ設置場所

愛猫が気持ちよく爪とぎをしてくれるかどうかは、爪とぎ器そのものと、それが置かれている場所が大きく関わってきます。
ここでは、猫が喜んで使ってくれる爪とぎ器を選ぶためのポイントと、効果的な設置場所について詳しく解説します。
爪とぎは猫にとって大切な習性ですから、快適な環境を整えてあげましょう。
爪とぎ器の種類 素材別の特徴
素材 | メリット | デメリット | おすすめの猫 |
---|---|---|---|
段ボール | 安価、手軽、軽い、人気が高い | 研ぎカスが多い、消耗が早い | 多くの猫、初めての爪とぎ器 |
麻縄 | 耐久性が高い、研ぎごたえがある、研ぎカスが少ない | 価格がやや高め、重い | 活発な猫、木登り好きな猫 |
木材 | 自然な感触、インテリア性が高い、耐久性が高い | 高価、好みが分かれる | 自然素材が好きな猫、インテリア重視の方 |
カーペット | 布製品で研ぐ猫向け、ソファなどの代わりになる | 耐久性は素材による、掃除の手間がかかる場合がある | ソファや絨毯で爪とぎする癖のある猫 |
爪とぎ器にはさまざまな素材が使われており、それぞれに特徴があります。
猫の好みや性格、そして飼い主さんのライフスタイルに合わせて最適なものを選ぶことが、しつけ成功への第一歩となります。
主な素材の特徴を知っておきましょう。
段ボールタイプ:手軽さと人気
段ボール製の爪とぎ器は、多くの猫に人気があり、最もポピュラーなタイプと言えるでしょう。
価格が手頃で、さまざまな形状やデザインのものが市販されています。軽くて扱いやすく、不要になった際の処分も比較的簡単です。
ただし、研ぎカスが出やすく、消耗も早い傾向にあります。頻繁に交換して清潔に保ってあげることが大切です。
麻縄タイプ:耐久性と研ぎごたえ
麻縄をポールなどに巻き付けたタイプは、耐久性に優れているのが特徴です。
しっかりと爪を研ぐことができるため、活発な猫や、木で爪とぎをするのが好きな猫に向いています。
段ボールタイプに比べて研ぎカスが出にくい点もメリットです。
一方で、やや価格が高めで、重量がある製品も多いです。安定感のあるものを選びましょう。
木材タイプ:自然な感触
自然の木に近い感触が楽しめるのが木材タイプの爪とぎ器です。
インテリアに馴染みやすいデザインのものも多く、耐久性も高い傾向にあります。研ぎカスも比較的少ないでしょう。
ただし、他の素材に比べて価格が高価なものが多く、猫によっては好みが分かれることもあります。
天然木や集成材など、使われている木材の種類も確認すると良いでしょう。
カーペットタイプ:ソファ好きの猫に
カーペット生地を使った爪とぎ器は、ソファや絨毯など、布製品で爪とぎをしてしまう癖のある猫におすすめです。
似た感触の専用の場所を用意してあげることで、そちらへ誘導しやすくなる場合があります。
耐久性は使用されているカーペットの素材によります。毛足の長いタイプは、爪が引っかかりすぎないか注意が必要です。
猫の好みに合わせた形状選び
形状 | 特徴 | メリット | おすすめの猫 |
---|---|---|---|
縦置き型 | ポール状、壁掛けなど | 体を伸ばして研げる | 立ち上がって研ぐのが好きな猫 |
横置き(床置き)型 | マット状、箱型など | 安定感がある、省スペース | 低い姿勢で研ぐのが好きな猫 |
コーナー設置型 | L字型など | 部屋の角を活用、壁の保護 | 部屋の角で研ぐ癖のある猫 |
爪とぎ器は素材だけでなく、形状もさまざまです。複数あってもいいので、種類の異なるものを置いておくと良いでしょう。
猫がどのような体勢で爪とぎをするのが好きか観察し、そのスタイルに合った形状のものを選んであげると、より使ってもらいやすくなります。
縦置き型
体をぐっと伸ばして爪をとぐのが好きな猫には、縦置き型の爪とぎ器が適しています。
ポールタイプや、壁に立てかけるタイプ、壁に取り付けるタイプなどがあります。
猫が立ち上がってもしっかり体重を支えられるよう、安定感のあるものを選ぶことが重要です。
ある程度の高さと設置スペースが必要になります。
横置き(床置き)型
床に置いて使う横置き(床置き)型は、低い姿勢でバリバリと爪を研ぐのが好きな猫に向いています。
安定感があり、猫が力を入れてもずれにくいのがメリットです。
マットタイプや、緩やかなカーブがついたもの、箱型で中に入れるタイプなど、バリエーションが豊富です。省スペースで設置できるものも多いでしょう。
コーナー設置型
部屋の角(コーナー)は、猫が爪とぎ場所に選びやすいポイントのひとつです。
壁や柱の角で爪とぎをしてしまう猫には、コーナー設置型の爪とぎ器が効果的です。
デッドスペースになりがちな部屋の角を有効活用でき、壁の保護にも役立ちます。L字型になっており、壁に固定できるタイプもあります。
形状ごとの特徴も比較してみましょう。
爪とぎ器の最適な設置場所
せっかく猫好みの爪とぎ器を用意しても、置く場所が適切でなければ使ってもらえないことがあります。
猫の習性や行動パターンを考慮して、最適な場所に設置してあげましょう。
いつも爪とぎしてしまう場所の近く
もし既に、壁や家具など、爪とぎをしてほしくない特定の場所で研いでしまう場合は、まずその場所のすぐ近くに新しい爪とぎ器を設置するのが効果的です。
「ここで爪とぎしても良いんだよ」と、代わりの場所を分かりやすく提示してあげるのです。
問題行動の場所を一時的にカバーなどで保護しつつ、新しい爪とぎ器へ誘導しましょう。
猫がリラックスできる場所 寝床のそばなど
猫は、寝起きやリラックスしているとき、遊びの前後などに爪とぎをすることが多いと言われています。
そのため、猫が普段くつろいでいる場所や、寝床の近くに爪とぎ器を置くのもおすすめです。
リビングのソファの横や、ケージの近く、日向ぼっこをする窓辺など、愛猫のお気に入りのスペースに設置してあげると、自然な流れで使ってくれる可能性が高まります。
複数箇所に置くのも効果的
可能であれば、爪とぎ器は1箇所だけでなく、複数箇所に設置するのが理想的です。
猫の生活動線上や、縄張りのポイントとなる場所、例えば部屋の出入り口付近などにも置くことで、猫が「爪とぎしたい」と思った時にすぐに使える環境を用意できます。
複数の選択肢を与えることで、お気に入りの爪とぎ器や場所を見つけやすくなり、結果的に壁や家具での爪とぎ防止につながります。
どうしても猫が壁や家具で爪とぎする場合のしつけと対策

適切な爪とぎ器を用意し、場所も工夫したにもかかわらず、愛猫がどうしても壁や家具など、困った場所で爪とぎをしてしまうことがあります。
猫の本能的な行動とはいえ、大切な家が傷つくのは避けたいものです。
ここでは、そのような場合の具体的な対策としつけの考え方について解説します。諦めずに根気強く向き合いましょう。
爪とぎしてほしくない場所への対策
対策グッズ | 主な素材・種類 | メリット | デメリット・注意点 |
---|---|---|---|
保護シート・カバー | ビニール、プラスチック、布(爪が引っかかりにくい素材) | 物理的に爪とぎを防げる、デザインを選べるものもある | 設置の手間、見た目の変化、猫が剥がしてしまう可能性 |
猫が嫌がるスプレー | 柑橘系、メントール、木酢液など | 手軽に試せる、広範囲に使える場合も | 効果に個体差がある、猫や人にストレスを与える可能性、匂い、シミの可能性、根本解決ではない |
ツルツルした素材 | アクリル板、養生テープ、アルミホイルなど | 安価で試せる場合がある、爪が引っかからないようにできる | 見た目が悪い、一時的な対策、テープは剥がす際に注意が必要 |
まず、物理的に爪とぎができないようにしたり、猫がその場所を嫌うように仕向けたりする対策が有効です。
いくつかの方法を組み合わせることで、より効果を高めることができます。
保護シートやカバーを活用する
爪とぎされやすい壁の角や家具の側面には、専用の保護シートやカバーを取り付けるのが最も直接的な対策です。
ビニール製やプラスチック製の透明なシートなら、お部屋の見た目を大きく損なわずに壁を保護できます。
ソファなど布製の家具には、爪が引っかかりにくい素材の専用カバーをかけるのも良いでしょう。
猫が爪とぎを諦めるまで、根気強く設置しておくことが大切です。
最近では、デザイン性の高いものや、貼ってはがせるタイプの製品も市販されていますので、お部屋の雰囲気や使い勝手に合わせて選んでみてください。
猫が嫌がるスプレーを使う際の注意点
猫が嫌がる匂い(柑橘系、メントール、木酢液など)を利用したしつけ用スプレーも市販されています。
爪とぎしてほしくない場所に吹きかけることで、猫を遠ざける効果が期待できます。ただし、効果には個体差があり、全く気にしない猫もいます。
また、匂いに敏感な猫にとっては強いストレスになる可能性も考慮しなければなりません。
使用する際は、まず目立たない場所で試してみて、猫の反応や家具への影響(シミなど)を確認しましょう。人間にとっても不快な匂いである場合もあります。
スプレーはあくまで補助的な手段と考え、根本的な解決のためには、魅力的な爪とぎ器を用意し、正しい場所へ誘導するしつけと並行して行うことが重要です。
ツルツルした素材で覆う
猫は爪が引っかからない、研ぎ心地の悪い場所では爪とぎをしません。
そのため、爪とぎをしてしまう箇所に、一時的にツルツルした素材を貼り付けるのも効果的な方法です。
例えば、アクリル板や硬質プラスチックのパネル、幅広の養生テープ、あるいは意外なところではアルミホイルなども有効な場合があります。
ただし、見た目が悪くなりがちな点や、粘着テープの場合は剥がす際に壁紙や家具を傷めないよう注意が必要です。
あくまで一時的な対策として活用し、その間に正しい爪とぎ場所に慣れてもらうようにしましょう。
爪とぎをやめない原因を探る
さまざまな対策を講じても、猫が壁や家具での爪とぎをやめない場合、その行動の裏には何か原因が隠れている可能性があります。
叱る前に、なぜそこで爪とぎをするのか、猫の気持ちになって考えてみましょう。
爪とぎ器が気に入らない?
用意した爪とぎ器が、猫の好みや習性に合っていないのかもしれません。
素材(段ボール、麻縄、木材、カーペット地など)、形状(縦置き、横置き、ポール型、マット型など)、安定性(グラグラしないか)などを再確認してみましょう。
猫によっては特定の素材や形状に強いこだわりを持つことがあります。現在の爪とぎ器とは違うタイプのものを試してみる価値はあります。
例えば、壁で縦に爪とぎをする猫には、安定感のある縦置き型やポール型が好まれるかもしれません。
ストレスが溜まっている?
猫は環境の変化や不安、退屈などからストレスを感じると、問題行動として爪とぎをすることがあります。
引っ越し、模様替え、新しいペットや家族の登場、飼い主とのコミュニケーション不足、運動不足などがストレスの原因になりえます。
愛猫の様子をよく観察し、ストレスサイン(過剰なグルーミング、食欲不振、隠れるなど)がないか確認しましょう。
もしストレスが疑われる場合は、遊びの時間を増やしてエネルギーを発散させたり、隠れられる安心できる場所を用意したりするなど、生活環境を見直すことが大切です。
設置場所が悪い?
爪とぎ器の設置場所が適切でない可能性も考えられます。
猫が普段あまり通らない場所や、落ち着けない騒がしい場所に置いていても、使ってもらえないことがあります。
猫がよく爪とぎをしてしまう壁や家具のすぐそばや、寝起きに伸びをしながら爪とぎをする習性を考慮して寝床の近くなど、猫の生活動線上に設置し直してみましょう。複数箇所に設置するのも効果的です。
猫にとって「ここで爪とぎしたい」と思える場所に置くことが重要です。
間違った場所で爪とぎした時の正しい対応
もし愛猫が壁や家具で爪とぎをしている現場を見つけたら、感情的に叱るのではなく、冷静に、かつ適切に対応することがしつけの成功につながります。
大きな音で注意をそらす
爪とぎをしている最中に、手を「パン」と叩いたり、少し低い声で「ダメ」「こら」など短い言葉で注意を促したりして、行動を中断させます。
猫を驚かせて、「ここで爪とぎをすると嫌なことがある」と学習させるのが目的です。
ただし、大きな声で怒鳴ったり、叩いたりするなど、猫に恐怖心を与えるような叱り方は絶対にやめましょう。飼い主さんとの信頼関係が損なわれる原因になります。
現行犯以外で叱らない
猫は、行動とその結果をすぐに関連付けて学習します。
そのため、爪とぎが終わった後や、時間が経ってから発見して叱っても、猫は何に対して叱られているのか理解できません。
それどころか、「飼い主さんは理由もなく怒っている」と混乱し、不安を感じさせてしまいます。叱る場合は、必ず爪とぎをしているその瞬間、つまり現行犯の時だけにしましょう。
そして、行動を中断させたら、すぐに正しい爪とぎ器の場所へ連れて行き、そこで爪とぎをするように優しく促し、少しでも爪をかけたらたくさん褒めてあげることが大切です。
「叱る」ことよりも「正しい行動を教え、褒める」ことに重点を置きましょう。
猫の爪とぎしつけ よくある質問
猫の爪とぎのしつけに関して、飼い主さんが抱きやすい疑問についてお答えします。正しい知識を持つことで、よりスムーズにしつけを進めることができるでしょう。
爪切りをすれば猫は爪とぎしなくなる?
いいえ、爪切りをしても猫が爪とぎをしなくなるわけではありません。爪切りと爪とぎは、猫にとって目的が全く異なる行為です。
爪切りは、伸びすぎた爪の先端を切って短く整えるためのお手入れです。これにより、人が怪我をするリスクを減らしたり、カーテンやカーペットなどに爪が引っかかるのを防いだりする効果が期待できます。
しかし、猫が爪とぎをするのは、爪の古い層を剥がして鋭く保つ、自分の匂いをつけて縄張りを主張する(マーキング)、ストレスを発散する、あるいは飼い主さんの注意を引くためなど、本能に基づいたさまざまな理由があります。
したがって、定期的に爪切りを行うことは、家具などへのダメージを最小限に抑える上で有効ですが、爪とぎという行動そのものをなくすことはできません。
大切なのは、爪切りというケアと並行して、猫が安心して爪とぎできる専用の場所を用意し、そこで爪とぎするように正しくしつけてあげることです。
猫の爪とぎをどんなに教えても覚えてくれない場合は?
根気強くしつけを続けても、なかなか爪とぎ器を使ってくれない、あるいは壁や家具で爪とぎをやめてくれない場合、いくつかの原因が考えられます。諦めずに原因を探り、対処法を試してみましょう。
・爪とぎ器が好みでない可能性:
素材(段ボール、麻、木材など)、形状(縦置き、横置き、コーナー型など)、安定感(グラグラしないか)などが猫の好みに合っていないのかもしれません。さまざまなタイプの爪とぎ器を試してみる価値があります。
・設置場所が不適切:
猫がリラックスできない場所や、普段あまり近寄らない場所に置いていませんか?猫がよく爪とぎをしてしまう場所の近くや、寝床のそばなど、猫にとって魅力的な場所に設置し直してみましょう。
・ストレスや不安:
引っ越し、新しいペットや家族の登場、騒音など、環境の変化によってストレスを感じている場合、問題行動として爪とぎが増えることがあります。ストレスの原因を特定し、可能な限り取り除いてあげることが大切です。
・過去の経験:
以前、爪とぎ器を使おうとした時に嫌な経験(大きな音がした、不安定で倒れたなど)をした、あるいは間違った場所での爪とぎを強く叱られた経験があると、爪とぎ自体にネガティブなイメージを持っている可能性があります。
・体調や年齢:
関節の痛みなど、体調の変化によって特定の姿勢での爪とぎが難しくなっている可能性も考えられます。高齢の猫の場合、以前は使っていた爪とぎ器が使いにくくなることもあります。
これらの原因を探りながら、爪とぎ器の種類や設置場所を見直したり、ストレスケアを行ったりすることが重要です。
決して叱らず、正しい場所で爪とぎができた時にたくさん褒めてあげることを根気強く続けましょう。
どうしても改善が見られない場合は、かかりつけの動物病院や、猫の行動に詳しい専門家(獣医師行動診療科認定医など)に相談することも検討してください。
猫の多頭飼いの場合、爪とぎのしつけの注意点は?
複数の猫と一緒に暮らしている場合、爪とぎのしつけにはいくつか注意したい点があります。
猫は縄張り意識を持つ動物なので、それぞれの猫が安心して使える環境を整えてあげることが大切です。
・爪とぎ器の数:
最低でも「猫の数+1個」を目安に爪とぎ器を用意するのが理想的です。これにより、猫同士が爪とぎ器の取り合いになるのを防ぎ、それぞれがお気に入りの場所で気兼ねなく爪とぎできるようになります。
・設置場所の分散:
それぞれの猫のお気に入りの場所や、猫たちがよく集まるリビング、寝床の近くなど、複数の場所に分散して設置しましょう。通路や部屋の角なども効果的な場合があります。
・種類の多様性:
猫によって爪とぎの好み(素材、形状)は異なります。段ボール、麻縄、カーペット生地など、さまざまな種類の爪とぎ器を用意して、それぞれの猫が好みのものを選べるようにしてあげると良いでしょう。
・個別のしつけと報酬:
しつけは基本的に個別に行います。それぞれの猫が指定の場所で上手に爪とぎができたタイミングで、しっかりと褒めてあげることが重要です。おやつを与える場合も、他の猫に邪魔されないように配慮しましょう。
・相性の観察:
猫同士の力関係によっては、特定の猫が爪とぎ器を独占してしまうこともあります。それぞれの猫が平等に爪とぎ器を使えているか、日頃からよく観察しましょう。必要であれば、設置場所や数を調整してください。
多頭飼いの環境では、それぞれの猫の個性と縄張りに配慮した環境設定としつけが、成功の鍵となります。
おすすめの猫の爪とぎ防止グッズは?
どうしても壁や家具で爪とぎをしてしまう場合の対策として、さまざまな爪とぎ防止グッズが市販されています。
ただし、これらはあくまで一時的な対策、あるいは補助的な手段として考え、根本的な解決のためには魅力的な爪とぎ器を用意し、そこで研ぐようにしつけることが最も重要です。代表的なグッズとその特徴をまとめました。
グッズの種類 | 主な特徴 | メリット | デメリット・注意点 |
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保護シート・フィルム | 壁や柱などに貼り付けて物理的に爪とぎを防ぐ。 透明または半透明のシート。 | ・目立ちにくい。 ・広範囲を保護できる。 ・貼り直し可能なタイプもある。 | ・粘着力が弱いと剥がれることがある。 ・壁紙の種類によっては剥がす際に傷める可能性。 ・猫によってはシートの上からでも研ごうとすることがある。 |
爪とぎ防止スプレー | 猫が嫌がる匂いをスプレー。 その場所に近づけないようにする。 | ・手軽に使用できる。 ・家具など凹凸のある場所にも使いやすい。 | ・効果に個体差が大きい。 ・持続時間が短く、定期的なスプレーが必要。 ・匂いが人に不快な場合がある。 ・猫の嗅覚への影響やストレスに配慮が必要。 ・安全な成分か確認する。 |
家具カバー・ソファカバー | ソファや椅子などを覆っておく。 直接爪とぎされるのを防ぐ布製のカバー。 | ・広範囲を保護できる。 ・インテリアに合わせてデザインを選べる。 | ・カバーの上から爪とぎされる可能性。 ・爪が引っかかりにくい、丈夫な素材を選ぶ必要がある。 ・定期的な洗濯が必要。 |
ツルツルした素材のボードやシート | アクリル板、プラスチック段ボール、養生プラダンなど。 爪が引っかからない滑らかな素材で覆う。 | ・物理的に爪とぎを不可能にする。 ・比較的安価でDIYも可能。 | ・見た目が損なわれる場合がある。 ・設置に手間がかかることがある。 ・猫が別の場所で爪とぎを始める可能性。 |
これらのグッズを使用する際は、猫がなぜそこで爪とぎをするのか、他に魅力的な爪とぎ場所がないか、ストレスはないかなど、根本的な原因を探ることも忘れないでください。
防止グッズだけに頼るのではなく、猫の気持ちに寄り添った対策を心がけましょう。
まとめ
猫が爪とぎをするのは、爪のお手入れやマーキングといった本能的な行動です。
そのため、叱るのではなく、その習性を理解し、適切な場所へ導くことが大切になります。
愛猫に合った爪とぎ器を用意し、好む場所に設置して、上手にできたら褒めることを根気強く続けましょう。
もし壁や家具で爪とぎをしてしまう場合は、原因を探りながら保護シートなどで対策し、猫が安心して爪とぎできる環境を整えてあげることが、共に快適に暮らすための鍵となります。
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