ブラジリアン・ガード・ドッグは、その名の通り「護衛犬」としての能力が非常に高く、家族を守る忠実なパートナーとして注目されています。
見た目は威圧感がありますが、家族に対しては深い愛情を注ぐ性格が魅力です。しかし、その一方で初心者には向かない一面もあるため、正しい知識と理解が不可欠です。
本記事では、ブラジリアン・ガード・ドッグの特徴から飼い方、注意点まで詳しくご紹介します。
この記事の結論
- 家族に対しては忠実で頼れる護衛犬として活躍
- 飼育には高い責任感としつけの知識が必要
- 社会化不足は攻撃性に直結し、事故の原因に
- 正しい管理と接し方で安心して暮らせる犬種
目次
ブラジリアン・ガード・ドッグとは?

ブラジリアン・ガード・ドッグは「フィラ・ブラジレイロ(Fila Brasileiro)」という正式名称を持つブラジル原産の大型護衛犬です。
非常に強い防衛本能と忠誠心を兼ね備えており、家族を守るために行動する性質から、世界中で番犬や護衛犬として活躍しています。
見た目は堂々として筋肉質で、非常に威厳のある体つきをしているのが特徴です。
飼い主に対しては深い愛情を見せますが、見知らぬ人には警戒心を示すため、飼育には経験と知識が求められます。
飼い主さんに忠実で番犬気質
家族に対して愛情深い
警戒時に吠えることがある
運動が得意でスタミナ豊富
その他情報
原産地 | ブラジル |
犬種グループ | 2G:使役犬 |
大きさ | 大型 |
平均寿命 | 9歳~11歳 |
なりやすい病気 | 股関節形成不全,肘関節形成不全,胃拡張捻転症候群,眼瞼内反症 |
参考価格 | 10万円~20万円 |
被毛
抜け毛 | 少ない |
毛質 | スムースコート |
毛色 | ブリンドル,フォーン,ブラック |
原産国と歴史的背景
ブラジリアン・ガード・ドッグはブラジル原産で、そのルーツは17世紀の植民地時代に遡ります。
イギリスのマスティフやブルドッグ、さらにはポルトガルの犬種が交配されて生まれたと考えられています。
主に大農場で家畜の護衛や逃亡奴隷の追跡に用いられていた歴史があり、「猟犬」「番犬」「護衛犬」として多彩な役割を果たしてきました。
この多目的性が、今日の優れたガード性能につながっています。
名前の由来と役割
「フィラ(Fila)」とはポルトガル語で「つかむ」「捕らえる」という意味があり、これは敵や獲物を決して逃がさないという犬の本能的な行動を表しています。
「ブラジレイロ(Brasileiro)」は「ブラジルの」という意味で、つまり「ブラジルのつかむ犬」が直訳的な意味となります。
その名前が示す通り、かつては逃げた奴隷や家畜を「確実に捕まえる」ことを目的に育種されてきました。
他の護衛犬との違い
ブラジリアン・ガード・ドッグは他の護衛犬と比べても、非常に強い「護衛意識」と「不寛容性」が特徴的です。
例えば、ドーベルマンやジャーマン・シェパードは訓練によってある程度友好的に振る舞える一方で、ブラジリアン・ガード・ドッグは本能的に見知らぬ人に強い警戒心を抱き、攻撃的になることがあります。
犬種 | 警戒心の強さ | 飼い主への忠誠心 | 他人への対応 |
---|---|---|---|
ブラジリアン・ガード・ドッグ | 非常に強い | 非常に高い | 極めて警戒的 |
ドーベルマン | 強い | 高い | 社会化次第で友好的 |
ジャーマン・シェパード・ドッグ | 中程度 | 高い | 社会化で友好的 |
このように、訓練や社会化による調整が難しい点が、他犬種との大きな違いです。
ブラジリアン・ガード・ドッグの特徴

この犬種は「飼い主に絶対的忠誠を尽くす反面、他人には冷酷」と評されることもあるほど、防衛本能が強いことで知られています。その特徴は以下のようにまとめられます。
- 家族への愛情が深く、特に子どもに対して優しく接することも
- 非常に頑強な体格を持ち、力が強い
- 初心者には不向きなほどの強い独立心と警戒心
- 高い防衛本能から、敷地外では制御が難しい場合がある
このように、魅力と扱いにくさが表裏一体となっている犬種です。
体格と外見の特徴
ブラジリアン・ガード・ドッグは大型犬の中でも屈強な体格を持ち、特に筋肉の発達が顕著です。男の子では体高65~75cm、体重50~82kgに達することもあり、非常にパワフルです。
全体的にゆったりとした皮膚を持ち、特に首や顔周辺にはたるみが目立ちます。耳は自然垂れで、尾は長くて太め。歩様は猫のように柔軟で、独特の「ステルス」感があります。この外見は、狩猟や護衛任務に適したデザインと言えるでしょう。
性格や気質の傾向
性格面では「家族には愛情深く、他人には厳しい」という二面性を持っています。以下のような傾向があります。
- 非常に忠誠心が強く、家族を守ろうとする本能が強い
- 飼い主には従順だが、他人には攻撃的になる可能性あり
- 一度信頼した人には深い愛情を注ぐ
- 独立心が強く、自主判断で行動する傾向も
このように、強い個性を持つため、正しいしつけと関係性の構築が不可欠です。
他の犬や動物との関係性
ブラジリアン・ガード・ドッグは、他の犬や動物に対しても警戒心が強く、特に初対面の個体には攻撃的になることがあります。
社会化が不十分な場合、ドッグランや散歩中にトラブルが起きやすいため注意が必要です。多頭飼いを希望する場合は、幼少期から一緒に育てたり、慎重な導入が必要です。
- 初対面の犬に対して攻撃性を見せる場合あり
- 小型動物との共存は基本的に難しい
- 社会化トレーニングは必須
このように、他の動物と共存させるにはかなりの工夫と経験が求められます。
ブラジリアン・ガード・ドッグを飼う前に知っておきたいこと

この犬種は非常に優秀な護衛犬であり、家族を守るという本能が強く表れますが、それは同時に「扱いにくさ」や「飼育の難しさ」とも表裏一体です。
特に他人や他犬への攻撃性が出やすく、きちんとした訓練と強いリーダーシップが不可欠です。
また、力が非常に強いため、物理的な制御ができないと危険な状況になることも。飼い主自身が「この犬を理解し、育てる覚悟があるか」をよく考えることが大切です。
飼育に向いている家庭環境
ブラジリアン・ガード・ドッグは、以下のような家庭環境での飼育に向いています。
- 広い敷地のある一戸建て
- 他人の出入りが少ない静かな環境
- 犬のしつけや大型犬の飼育経験がある家庭
- 1頭飼いを基本とし、他のペットがいない家庭
マンションや集合住宅ではスペース・騒音・他人との接触頻度の面で不向きです。また、近隣トラブルを防ぐためにも、鳴き声や威嚇行動への配慮が必要です。
初心者に向いているかどうか
結論から言えば、ブラジリアン・ガード・ドッグは犬の飼育初心者には不向きです。理由は以下のとおりです。
- 強い防衛本能により、コントロールが難しい
- 社会化の失敗が事故やトラブルに直結する
- 高度なしつけと安定したリーダーシップが必要
- 犬に対する深い理解と経験が求められる
大型犬を飼った経験があり、しっかりとしたしつけを行える自信がある人でなければ、安全に飼うのは難しいでしょう。
法律・条例上の制限について
ブラジリアン・ガード・ドッグは、国や自治体によっては「危険犬種」に指定されており、以下のような制限を受ける場合があります。
地域・国 | 規制内容 |
---|---|
イギリス | 輸入・飼育禁止(危険犬種法) |
一部の日本自治体 | 特定犬種として飼育許可や届出が必要 |
また、公共の場でのリード着用、口輪の装着が義務付けられるケースもあります。飼育前には、居住地域の条例を必ず確認しましょう。
ブラジリアン・ガード・ドッグの飼い方

この犬種を飼うには、力強さと警戒心の強さをしっかり理解した上で、毎日の運動、しつけ、健康管理をバランスよく行う必要があります。特に、信頼関係の構築と社会化のタイミングが鍵です。
また、感情が読みにくい犬種でもあるため、飼い主が冷静かつ的確に対応できるよう、日頃からの観察力も重要です。
日常の世話と運動量

ブラジリアン・ガード・ドッグは運動量が非常に多く、毎日の運動は欠かせません。運動不足になるとストレスがたまり、問題行動の原因になります。
- 毎日1時間以上の散歩(できれば2回)
- 広いスペースで自由運動
- 毛は短毛で抜け毛は少なめ、週1回程度のブラッシングで十分
- 定期的な耳・爪・歯のケア
体力が有り余る犬種なので、心身の刺激を与える遊びやトレーニングも取り入れましょう。
しつけとトレーニングのポイント

この犬種には「従わせるしつけ」よりも「信頼関係を築くしつけ」が効果的です。以下のポイントを意識しましょう。
- 幼少期からの社会化が最も重要
- 一貫した態度でリーダーシップを示す
- 他人や他の犬に会わせる際は慎重に
- 罰よりも褒めるしつけを徹底する
信頼を得られると非常に忠実に従いますが、信頼が崩れるとコントロールが難しくなるため、関係構築が第一です。
適切な食事と健康管理
ブラジリアン・ガード・ドッグは大型犬ゆえに、関節や胃腸への負担が大きくなりがちです。健康維持のためには、高品質なフードと定期的な健康チェックが不可欠です。
- 高タンパク・低脂肪のバランス食を基本に
- 子犬期は関節に配慮した食事設計を
- 胃捻転を防ぐために食後の運動は避ける
- 定期的な体重・関節チェックを実施
特に成長期の食事内容が将来の健康を大きく左右します。
肥満対策と食事の量
大型犬は体重管理が健康寿命に直結します。肥満になると股関節形成不全や心臓病のリスクが上がるため、以下を意識しましょう。
- 食事は1日2回に分けて与える
- 与える量は年齢・体重・活動量に応じて調整
- 間食は控えめにし、与えるなら低カロリーのものを
- 週1回は体重測定をしてチェック
運動とバランスの良い食事で、筋肉質で健康的な体型を維持しましょう。
注意したい病気や体質
ブラジリアン・ガード・ドッグがかかりやすい病気には以下のようなものがあります。
これらを予防・早期発見するためにも、定期的な健康診断が欠かせません。体質に合ったケアが必要な犬種です。
ブラジリアン・ガード・ドッグの魅力と注意点

ブラジリアン・ガード・ドッグは、家族を命がけで守る強い忠誠心と護衛能力を持つ犬種です。そのため、家庭犬として非常に頼れる存在にもなります。
しかし同時に、他人や他の動物に対する警戒心が非常に強く、制御を誤るとトラブルや事故につながる危険性があります。
魅力とリスクのバランスを理解し、責任を持った飼育が求められる犬種です。しっかりとした知識と準備をもって迎え入れる必要があります。
家庭犬としての魅力
家庭内では非常に忠実で愛情深く、飼い主に対しては絶対的な信頼を寄せます。特に子どもや弱い立場の家族に対しては、守ろうとする姿勢を見せることもあり、頼もしい存在です。
- 飼い主に強く従う忠誠心
- 番犬として高い能力を発揮
- 家族には優しく落ち着いた性格
- 家にいるときは穏やかで静か
ただし、信頼関係が築けていないときは頑なで警戒的な態度を取るため、長い時間をかけて絆を育てていく必要があります。
飼い主に求められる資質
ブラジリアン・ガード・ドッグを飼うには、一般的な犬の飼い主とは異なる「高い責任感」と「冷静な判断力」が求められます。特に以下のような資質が必要です。
- 一貫性のあるしつけを実行できる
- 犬に対して威圧ではなく信頼で接する
- トラブル時に冷静に対応できる
- 犬の行動変化に敏感である
- 他人や近隣への配慮ができる
甘やかすだけでは制御できず、厳しすぎても信頼を失う繊細な犬種です。経験者向けである理由はここにあります。
トラブルを防ぐためにできること
この犬種を安全に飼育するには、周囲への配慮と正しい管理が不可欠です。以下の点に注意することで、多くのトラブルを未然に防げます。
- 幼少期からの社会化訓練を徹底する
- 散歩中はリードと口輪を必ず装着
- 来客時は隔離スペースを確保
- 他犬との接触は避けるか慎重に対応
- 飼育環境を整備し、脱走防止策を施す
また、地域によっては条例による規制もあるため、事前に確認しておくことが大切です。
まとめ:ブラジリアン・ガード・ドッグと安心して暮らすために
ブラジリアン・ガード・ドッグは、正しく飼えば家族を守る信頼できるパートナーとなります。
しかし、その反面、誤った接し方やしつけの不足は、大きなトラブルにつながる恐れがあります。
大切なのは「犬の特性を理解し、それに合わせた飼育を行うこと」です。力や威厳だけでなく、信頼と愛情をもって接することが、安心して暮らす鍵となります。
この犬種と暮らすには、飼い主としての覚悟と準備が何よりも重要です。
この記事の執筆者
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