金魚の稚魚というライフステージは成長期なので、食べるものや与え方にはより一層の注意が必要です。
何をあげたらいいのか?どんな与え方が適切なのか?稚魚が孵化したばかりだと、気になるポイントもたくさんあります。
そこで今回は、金魚の稚魚にはどんな餌が必要なのか、種類や与え方をまとめました。
大事な成長期である稚魚。しっかり育ってもらうために、適切な餌のあげ方を確認しておきましょう。
この記事の結論
- 稚魚はお腹にヨークサックという栄養袋がついており、孵化から2~3日は餌がなくても大丈夫
- 餌の種類は大きく分けて4種類あり、孵化から3~5日が経過したあたりから与え始める
- もっともスタンダードで与えやすいのが、金魚の人工餌になる
- 成魚に向けて体を大きくするため、1日2~3回は餌を与える
目次
金魚の稚魚の餌は?

金魚は体の丈夫な魚ですが、まだまだ体が小さい金魚の稚魚については気を付けることがたくさんあります。
稚魚はまだ体がしっかり作られていないため、成長していくスピードに必要な量の餌が適切です。
生まれたばかりでは数ミリ程度しか体のサイズがないため、目で追うのも大変な金魚の稚魚。生まれたことにすぐ気付ければ良いですが、最初の2日~3日ほどは大丈夫です。
金魚の稚魚にはお腹部分にヨークサックという袋が付いており、このヨークサックには栄養が蓄えられています。
ヨークサックの栄養によって数日は生きられるようになっているため、孵化から2日~3日は大丈夫なのです。
ではこの時期を過ぎたらどうするのか。ヨークサックの栄養がなくなったら、しっかり餌を与えなければいけません。
金魚の稚魚の餌の種類

金魚の稚魚の餌にはいくつかの種類があり、大きく分けて4種類ほどとなっています。
ヨークサック内の栄養が2日~3日で尽きてしまうため、このタイミングからスタートです。
ブラインシュリンプ(アルテミア)
ブラインシュリンプと呼ばれる餌は、小型の甲殻類です。生きている化石とも呼ばれるこのブラインシュリンプは、細長く透明感のある体をしています。
塩分濃度の高い水中に生息しており、主にヨーロッパや北アメリカなどの塩水湖に生息している甲殻類です。
とても稚魚の食いつきがよい餌としても知られており、栄養価も高いので稚魚に与える適切な餌のひとつ。
乾燥した卵を購入してエアレーションという空気を送る方法で孵化させて与える、という与え方になります。
ゾウリムシ
ゾウリムシも稚魚の餌のひとつとして知られており、満腹にはなりませんが成魚にも与えることができます。
田んぼや沼などに生息しているゾウリムシですが、こちらも栄養価が高いので稚魚の餌として適しています。
人工餌をなかなか食べてくれない稚魚だったとしても、生き餌であるゾウリムシは食べてくれる、といったことも。
また、食べ残したゾウリムシは水の中で生きてくれるため、水質が悪化しづらいという特徴もあります。
ミジンコ
ミジンコも生き餌のひとつで、田んぼなどの自然界から簡単に採取できる稚魚の餌のひとつ。
コストがかからない餌としても非常に人気が高く、田んぼを所有している人なら楽ちんですね。このミジンコも生き餌なので、水質が悪化することの少ない餌です。
コストはやや高くなるものの、冷凍ミジンコなどもあるので都会でも入手することができます。冷凍とはいえ、生きたまま冷凍されているので高い栄養価などはそのままです。
人工餌
ホームセンターやネットショップなどで購入できる、金魚の稚魚の人工餌。金魚を飼育する上でもっとも手軽な餌となっており、生き物をあげるということに抵抗感がある人にもおすすめ。
コストが生き餌と比べて安くなっており、サッと餌を与えることができるものでもあります。
生き餌の場合には切らしてしまったとき、すぐに入手することが難しいでしょう。人工餌ならボタンひとつで注文も可能です。
稚魚の成長をサポートしてくれる餌になっているため、生き餌でなければいけないというわけでもなく、人工餌でもすくすくと育ってくれます。
ただ、生き餌と比べて稚魚の食いつきが悪い、というデメリットもあります。最初から人工餌に慣れてくれる子も多くなく、時間をかけてゆっくりと慣れていってもらう必要があることも。
金魚の稚魚の成長段階に応じた具体的な餌の与え方

金魚の稚魚はまだ体が小さいため、成長には食事が必要とは言ってもあげすぎもよくないのです。
体の小ささによって食べきれないことも多いので、食べ残しがないような量で調整していってあげましょう。
また、生き餌だけや人工餌だけ、というのも栄養が偏ってしまいがちです。あげるときには生き餌と人工餌を交互にあげるなど、食事で成長していくからこそ細かく調整してあげると良いでしょう。
稚魚の成長段階と餌の与え方
孵化直後(約0~2日):ヨークサックのある期間
餌の種類と与え方: この期間、稚魚はお腹に付いている「ヨークサック(栄養袋)」の栄養を吸収して生きるため、餌は基本的に不要です。
稚魚が泳ぎ始めた頃(孵化後約3~5日目):遊泳開始期
- 餌の種類:
- 生き餌(初期の最適解): ブラインシュリンプ(アルテミア)、ゾウリムシ、ミジンコなどが非常に栄養価が高く、稚魚の食いつきも良好です。この時期は特に栄養摂取が重要なので、生き餌が推奨されます。
- 人工餌(補助的に): 稚魚用のパウダーフードなども利用できますが、生き餌に比べて食いつきが悪く、栄養不足になる可能性もあるため注意が必要です。
- 餌の粒度: 非常に細かいパウダー状、または生き餌のサイズ。
- 与え方: 1日最低2~3回、稚魚の目の前に餌が来るように少量ずつ与えます。稚魚の胃袋は小さいため、1回に与える量は1分前後で食べきれる量を目安にし、食べ残しがないように注意しましょう。
生後約2週目頃:成長期初期
- 餌の種類: ブラインシュリンプを継続しつつ、ミジンコを導入したり、徐々に稚魚用人工飼料を混ぜて慣れさせる時期です。ブラインシュリンプと人工餌を混ぜて与えることで、稚魚が人工餌も餌だと認識しやすくなります。
- 餌の粒度: 細かいパウダー状の人工飼料。もし粒が大きいと感じる場合は、すり鉢などでさらに細かくすりつぶして与えることが効果的です。
- 与え方: 1日3~4回程度、食べ残しが出ないよう少量ずつ与えましょう。
生後約1ヶ月頃:成長期中期(稚魚用人工飼料への移行期)
- 餌の種類: 稚魚用人工飼料への本格的な切り替えを進めます。タンパク質が豊富な餌は稚魚の成長を促進するため、意識して与えましょう。体格が大きくなってきた稚魚には、ミジンコや細かく刻んだ赤虫などを与え始めることもできます。
- 餌の粒度: 稚魚用の細粒タイプが適しています。もし稚魚にとってまだ大きいようであれば、引き続きすりつぶして与えてください。
- 与え方: 1日3~4回、数分で食べきれる量をこまめに与えることが大切です。一度に大量に与えると消化不良や水質悪化の原因になります。
体長約4~5cm頃(生後約5週目以降):親魚用餌への移行期
- 餌の種類: 個体差はありますが、この頃から徐々に親魚用の餌に移行させることができます。浮上性の色揚げ用餌なども検討しても良いでしょう。
- 餌の粒度: 親魚用の粒状の餌。まだ大きすぎると感じる場合は、すり鉢などを使って粉末状や細かく砕いて与えることで、稚魚が食べやすくなります。
- 与え方: 親魚と同様に1日2~3回を目安に与えますが、稚魚の成長段階や食べ残しの有無を観察しながら量を調整してください。
餌を選ぶ上でのポイント
稚魚の健全な成長には、タンパク質が豊富で栄養バランスの取れた餌が不可欠です。特に初期は生き餌が優れていますが、人工餌を選ぶ際も栄養成分表示をよく確認しましょう。
稚魚の口の大きさに合った粒度の餌を選ぶことが重要です。食べにくい餌は消化不良や食べ残しにつながります。
食べ残しは水質悪化の大きな原因となります。稚魚が食べきれる量を与えることを常に心がけ、水を汚しにくい餌を選ぶことも大切です。
金魚の稚魚に餌を与える際の注意点

稚魚に餌を与えるときは、1回に与える量を1分~2分で食べきれるように調整してあげます。
どれだけ長くても5分以内。これを超えて食べきれない場合には、その量は多すぎるということです。
最初は難しいかもしれませんが、徐々に量を調整しながら食べ残しがないようにしていきましょう。
また、成長期とはいえ食べ過ぎてしまうこともあります。量の限度は、餌のパッケージなどに記載してある量を上限としましょう。
金魚の稚魚だけに向けた餌ではないことも多いため、体の大きさに対して上限の量が合わないこともあります。
最大でもその量が上限であると考え、食事の量が多くなりすぎないように注意しましょう。
金魚の稚魚の餌で水を汚さない方法

水質の悪化はお手入れの回数を増やすことになりますし、汚い環境で過ごさせてしまうことに繋がります。
これを防ぐためにもっとも最適な方法は、稚魚が食べられるだけの量を与えるということです。
食べ残しがなければどんな餌でも水質を悪化させづらく、なおかつ餌も無駄にならないからです。しかし最初からそうもいきませんよね。
人工餌で水質悪化を防ぐ
水質悪化を防ぐためには、食いつきが良いとされている生き餌よりも人工餌がおすすめ。
生き餌は食べ残しが死んでしまったとき、そのまま沈んで水質を悪化させることがあります。
対してフレークタイプなどの沈みづらい人工餌は、汚しづらい餌となっています。
人工餌と生き餌の両方が食事には最適
ただし顆粒タイプを使う場合には、食べ残してしまうことも少なくないため、食べきれる量を意識しましょう。
基本的には人工餌と生き餌の両方を適度にあげて、栄養不足を防ぐことが大切。
どちらにも良さがありますので、しっかり成長してもらうためにも適切な管理を心がけましょう!
金魚の稚魚が餌を食べないときの原因や対処法

稚魚が餌を食べない場合、いくつかの原因が考えられます。それぞれの原因を特定し、適切な対処を行うことで、稚魚の健康を守り、活発に餌を食べる状態に戻すことができます。
水温の不適合
原因
金魚の稚魚は、適切な水温で最も活発に活動し、餌を食べます。水温が低すぎると代謝が落ち、餌を食べなくなったり、消化不良を起こしたりします。急激な水温変化もストレスの原因です。
対処法
- 適温の維持: 金魚の稚魚が快適に過ごせる水温は、通常 25~28℃ と言われています。水槽用ヒーターを使用して、水温を安定させましょう。
- 水温計の設置: 正確な水温を把握するために、必ず水温計を設置してください。
- 急激な変化の回避: 水換えの際は、新しい水と水槽内の水の温度差をできるだけ少なくするよう注意しましょう。
水質の悪化
原因
食べ残しの餌やフンなどで水が汚れると、アンモニアや亜硝酸といった有害物質が発生し、稚魚にとってストレスとなり食欲不振を引き起こします。酸欠も原因のひとつです。
対処法
- 水換え: 定期的に少量の水換えを行い、常に清潔な水質を保ちましょう。稚魚の飼育密度にもよりますが、毎日1/3程度の水換えが理想的です。
- フィルターの設置: 稚魚を吸い込まない程度の弱い水流のフィルターを設置し、物理的・生物的ろ過を促すことも有効です。
- エアレーション: 酸欠を防ぐために、エアレーション(ぶくぶく)で十分な酸素を供給しましょう。ただし、稚魚にとって強すぎる水流はストレスになるため、調整が必要です。
- 水質検査: 水質検査キットでアンモニア、亜硝酸、硝酸塩の濃度を定期的にチェックし、異常があればすぐに対処しましょう。
病気・体調不良
原因
病気にかかると、食欲がなくなったり、餌を食べたがらないことがあります。体の変色、ヒレの閉じ、異常な遊泳、体表の異物(白い点やカビのようなもの)などが兆候として現れる場合があります。
対処法
- 観察: 稚魚の様子を注意深く観察し、病気の兆候がないか確認しましょう。
- 早期発見と治療: 異変に気づいたら、早めに金魚の病気に詳しい専門家(熱帯魚店や獣医)に相談し、適切な治療を行いましょう。可能であれば、隔離して治療することも検討します。
- 水質の改善: 病気の進行を防ぎ、回復を促すためにも、水質を清潔に保つことが非常に重要です。
ストレス
原因
過密飼育、急激な環境変化(水換え、レイアウト変更など)、大きな音や振動、他の魚からの攻撃などがストレスとなり、食欲不振につながることがあります。
対処法
- 適切な飼育密度: 稚魚の数に見合った十分な大きさの水槽を用意し、過密飼育を避けましょう。
- 静かな環境: 水槽を置く場所は、人通りの少ない静かな場所を選び、急な物音や振動を与えないように配慮します。
- 隠れ家の設置: ストレス軽減のために、水草などの隠れ家を用意することも有効です。
- 丁寧な水換え: 水換えの際は、稚魚に負担がかからないよう、静かに丁寧に行いましょう。
餌のサイズ不適合
原因
稚魚の口の大きさに合わない、大きすぎる餌は食べることができません。また、消化不良の原因にもなります。
対処法
- 適切な粒度の餌: 稚魚の成長段階に合った、口に入るサイズの餌を選びましょう。特に初期の稚魚には、パウダー状や非常に細かい粒度の餌が適しています。
- すりつぶす: 市販の餌が大きすぎる場合は、すり鉢などで細かくすりつぶしてから与えることで、稚魚が食べやすくなります。
金魚の稚魚は非常にデリケートです。餌を食べない状態が続く場合は、複数の原因が複合的に絡み合っている可能性もあります。上記の対処法を参考に、総合的に環境を見直し、稚魚の健康状態を改善できるよう努めましょう。
この記事の執筆者
nademo編集部
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