愛犬が吐いてしまったら、とても心配になるものですが、飼い主として焦ってはいけません。
犬はもともと吐きやすい動物ではありますが、緊急性が高い場合の判断などは難しいかと思います。
そこで本記事では犬が吐く原因や、緊急度について解説していきます。
特になにを吐いてしまったのか、色や形状によって緊急度が変わってくるため、緊急時に備えて覚えておくと良いです。
この記事の結論
- 犬は人間よりも吐きやすい動物と言われており、過度に心配する必要はない
- 緊急性の高い嘔吐も中にはあるため、何に気をつけるべきかを理解しておく必要はある
- 嘔吐と吐出は似ているものの、吐出では未消化のものを吐き出す
- 嘔吐したものが「茶色、赤色、異物」であった場合には、緊急性が高い
獣医師
その後、ペット保険会社、動物病院向けの専門商社に勤務。現在は2児の母で子育て奮闘中です。
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目次
犬が吐く5つの原因
犬は人間よりも吐きやすい動物と言われていますので、過度に心配する必要はありませんが、緊急性の判断に関する基本的な知識を持つことはとても大切です。
「吐く」と言ってもその原因や理由はさまざまで、空腹から吐くこともあれば、食物アレルギーによって吐くこともあります。
生理現象としての「吐く」行動であればまだ安心ですが、何を吐き出したかによって危険度は変わってきます。
空腹
犬の生理現象のひとつで空腹時に胃酸が溜まり、吐いてしまうことがあります。
空腹時間が長すぎると、黄色い液体・泡を吐き出すことがあり、胆汁嘔吐症候群が疑われます。
また、胃の調子が悪いときなどには、お散歩時に草などを食べて吐くことがあります。
食物アレルギー
フードに含まれる卵や肉などに対して、食物アレルギーが起こると嘔吐することがあります。
食物アレルギーの場合は、嘔吐以外に下痢や皮膚の炎症などを併発するケースが多いです。
嘔吐直前に何を食べていたのか、特にドッグフードを切り替えた際には確認と把握が必要です。
誤飲誤食
中毒性物質
殺虫剤や殺鼠剤、チョコレートや玉ねぎなど、犬に有害な成分を誤飲することで嘔吐が起こります。
誤飲による中毒は家庭内で起こりやすいため、代表的なものを理解しておく必要があります。
- ネギ類(ネギ、長ネギ、玉ねぎ、ニラ、にんにく等)
- チョコレート
- キシリトール
- ぶどう、レーズン
- アボカド
- コーヒー、紅茶、緑茶
いずれも動物が食べることのできないものばかりで、犬猫共通のものも非常に多いです。
人間用の食べ物はもちろんのこと、中毒を避けるためにも必要以上に人間用の食事を与える必要はありません。
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おもちゃ
犬が飲み込めるサイズのおもちゃなどの誤飲によっても吐き出そうとするため、嘔吐がみられます。
遊んでいると思って目を離してしまうと、いつの間にか勢い余って食べてしまっていることもあります。
大きいおもちゃでも噛みちぎって食べてしまうことがあるため、目を離さないように注意が必要です。
病気
消化器系の疾患はもちろんですが、糖尿病や腎臓・肝臓の疾患でも嘔吐がみられます。
また、子宮蓄膿症や胃拡張捻転症候群のような病気でも嘔吐がみられます。
決して「いつも通り吐いただけ」と思わず、いつもと何か違うことはないかを確認してあげる必要があります。
感染症
パルボウイルスやジステンパーウイルス、アデノウイルスなどに罹患した場合に嘔吐がみられます。
こちらも嘔吐だけでなく下痢や元気消失、食欲不振などが同時に見られることの多い症状。
早めに治療することが症状の悪化を防ぐポイントになるため、すぐに気づいてあげられるように日頃からの観察が必要です。
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犬の嘔吐と吐出の違い
犬は吐き気を催したときに、人間よりも吐きやすい動物だと言われています。
犬が口からものを吐く場合は「嘔吐」と「吐出」の2パターンがあります。
「嘔吐(おうと)」とは、胃や十二指腸の内容物が脳からの信号で吐き出される現象です。
吐き気を催してから下向きに吐くのが特徴です。吐いたものは胃の中にあった消化された食物や液体です。
「吐出(としゅつ)」とは、胃に入る前に食道から吐き出される現象です。
前に飛ばすように吐くのが特徴です。吐いたものは未消化の状態です。
吐出はものを食べた直後に起こることが多く、食道の病気や早食いなどが原因となります。
犬が吐いたもので変わる危険度と動物病院受診の判断
愛犬が何を吐いたかによって、その危険性は変わってきます。
危険度が高い嘔吐・吐出物には【危険】マークを付けていますので、これらがみられた際は動物病院を受診しましょう。
毛玉
換毛期など抜け毛が増えるときや、生活環境にある抜け毛やホコリを飲み込んでしまうことがあります。
被毛は消化されないため多くは便に排出されますが、嘔吐で吐き出す場合もあります。
定期的なブラッシングや生活環境を綺麗にしておくことで予防できます。
嘔吐後に元気であれば危険度は低いため、様子見で問題ありません。
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透明な液体・透明な泡
透明な液体は水・唾液・胃液の可能性が高く、水を一気に飲みすぎたときの刺激や空腹時に胃酸が沢山分泌されることでおこります。
水を少量ずつ与える、空腹を避けるために食餌の回数を調整することで予防できます。
透明な泡は吐き気を催している時に出ることが多いです。乗り物酔いや緊張してるときなどにおこります。
原因を取り除いてあげることで吐き気はおさまります。
嘔吐後に元気で食欲があれば危険度は低いため、様子見で問題ありません。
黄色い液体
黄色い液体は、透明な胃液に黄色い胆汁が混ざったものの場合が主です。
犬には空腹になると胆汁が胃に逆流し刺激で吐いてしまう「胆汁嘔吐症候群」があり、空腹になりやすい早朝や食事前に起こりやすいです。
空腹時間を減らすように、食事の回数や時間を見直すことで予防できます。
嘔吐後に元気で食欲があれば危険度は低いため、様子見で問題ありません。
但し、吐く頻度が増えたり、改善がみられない場合は肝臓や腎臓の疾患も疑われるため、動物病院を受診しましょう。
未消化のドッグフード(茶色いドロドロした物)
ドロドロしていて茶色っぽくフードの匂いがしていれば未消化のフードを嘔吐した可能性が高いです。
早食いや食べすぎなどで、食べたフードがうまく消化されずに吐いてしまった可能性が高いのです。
嘔吐後に嘔吐を繰り返すことなく元気や食欲があれば、一過性のものなので危険度は低く、様子見で問題ありません。
【危険】茶色い液体
フードが消化されていて、サラサラとした茶色の液体の場合は、古い血液が胃液に混じって吐き出された可能性があります。
胃潰瘍などの消化器からの出血が疑われるため、動物病院を受診しましょう。
上記の未消化のドックフードとの違いが分かりづらい場合は、嘔吐物を持参して動物病院を受診すると良いでしょう。
【危険】赤色の液体
ピンクや赤色の液体が見られたら、胃液や唾液に血液が混じっている可能性があります。
口腔内や食道、胃などからの出血が考えられますので、動物病院を受診しましょう。
【危険】異物
嘔吐物に異物が混ざっていた場合も、すぐに動物病院を受診しましょう。
放置することで腸閉塞を起こし、命に関わることもあります。
吐き出したからと言って全てを吐き出されているかは判断できないため、必ず病院を受診してください。
吐いた愛犬を動物病院へ連れていく判断基準
前述した吐いたものの危険度での受診判断の他に、以下の場合も動物病院への受診をおすすめします。
要注意
- 吐くものに関わらず繰り返し嘔吐(1日に複数回、連日で吐いている場合など)していて、元気や食欲がない
- 食べ物を飲み込めなかったり、吐こうとしているが吐けない
- 吐くときに痛みや苦痛があり苦しそう
- 下痢や発熱など他の症状も見受けられる
こうした症状が見られる場合には、まずは動物病院を受診し、獣医師の診断を受けましょう。
受診が遅くなればなるほど治療が遅れ、本来ならばすぐに治るような病気でも長引くことがあります。
必要以上の様子見はせず、気になったら一度受診しておくのが安心です。
愛犬が吐いたときに飼い主さんがまずすべきこと
嘔吐の原因を探るためには、どんなものを吐いたのか、吐いた回数や頻度、吐いているときや吐いた後の愛犬の様子はどうか、他に症状はないかといったことを、しっかり確認しておく必要があります。
動物病院へ受診する際も以下を伝えると診察がスムーズです。
また、持参できるのであれば吐いたものを持って行くと良いでしょう。
難しい場合は写真に撮って見せるだけでも大丈夫です。
①吐く前に何をしていたのか
ご飯を食べていた時に吐いたのか、おもちゃで遊んでいたときに突然吐いたのか、草を食べて吐いたのかなど。
何をしていたかがわかれば、吐く原因となったものを特定しやすくなります。
愛犬が行動しているときには、仮に室内であったとしてもどこで何をしているのか把握しておくことが大事です。
②吐いたものの性状の確認
何を吐いたのか、何色のどのような状態のものを吐いたのかなど。
吐いたものがわかれば、どんなものを食べてしまったのかがわかりやすくなります。
どんなポイントを確認しておくべきかは、前述の通りに確認しておくとよいです。
③吐いた回数の確認
嘔吐の回数や頻度を確認します。
特に老犬や子犬の場合は嘔吐を繰り返すことで、脱水症状を起こすことがあります。
全て吐いてしまえば終わり、というわけではありません。
1回に何度か吐くことはありますが、それが何日も続いているようであれば危険であるとわかるでしょう。
④吐いた後の様子の確認
すぐにフードを食べ始めた、元気に走り回った、ぐったりして動けなくなったなど。
吐いてすぐ元気だったとしても、吐く原因となったものによっては、安心できないでしょう。
普段から大人しい子は気付きづらいので、気になるときには病院へ連れて行くほうが良いです。
この記事の執筆者・監修者
nademo編集部
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