愛犬にナスを与えても良いのか、気になる飼い主さんもいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事を読めば、犬にナスを与える際の安全性、ナスに含まれる栄養とメリット、そしてシュウ酸やアレルギーといった注意点、さらには適切な量や調理法まで網羅的に分かります。
ナスは基本的に犬に与えても安全な野菜ですが、与え方にはいくつかの大切なポイントがあります。正しい知識で、愛犬との食生活をより安心で豊かなものにしましょう。
この記事の結論
- 犬にナスを適切に与えるのは問題なく、安全で栄養価も高い
- ナスには抗酸化作用や血圧維持に役立つ栄養素が含まれる
- 多量のシュウ酸やアレルギー反応に注意が必要な食べ物ではある
- 味付けせず少量ずつ与え、腎臓病の犬には避けるべきである
目次
犬にナスを与えるのは基本的に安全?

愛犬の食事やおやつに新しい食材を取り入れる際、その安全性が気になるのは飼い主さんにとって当然のことでしょう。
夏野菜の代表格であるナスは、私たち人間にとっては身近な食材ですが、犬に与えても問題ないのでしょうか。
結論から申し上げますと、ナスは犬にとって基本的に安全な野菜の一つです。適切な量と調理法を守れば、犬の健康維持に役立つ栄養素を摂取することができます。
ただし、与え方や愛犬の体質によっては注意が必要な点もありますので、正しい知識を持つことが大切です。
ナスに含まれる犬に良い栄養素
ナスには、犬の健康をサポートするさまざまな栄養素が含まれています。特に注目したいのは、ナスの皮の紫色の色素成分である「ナスニン」です。
ナスニンはポリフェノールの一種で、強い抗酸化作用を持つことで知られています。
その他にも、犬の体にとって有益な栄養素がバランス良く含まれています。主な栄養素とその働きを以下にまとめました。
栄養素 | 犬への主な効果や期待できる働き |
---|---|
ナスニン | 強力な抗酸化作用により、細胞の酸化を防ぎ、老化やさまざまな病気の予防をサポートすると期待されます。 また、眼の健康維持にも良い影響を与えると考えられています。 |
カリウム | 体内の余分なナトリウムを排出し、血圧を正常に保つ働きをサポートします。 利尿作用もあるため、老廃物の排出を促す効果も期待できます。 |
食物繊維 | 腸内環境を整え、便通を良くする働きがあります。 満腹感を得やすいため、食べ過ぎの防止や体重管理にも役立つでしょう。 |
ビタミンB群(B1, B2, B6, ナイアシンなど) | エネルギー代謝を助け、皮膚や粘膜の健康維持に不可欠な栄養素です。 疲労回復のサポートも期待できます。 |
ビタミンC | 抗酸化作用があり、免疫力を高める働きをサポートします。 コラーゲンの生成にも関与し、皮膚や関節の健康維持にも役立ちます。 ただし、犬は体内でビタミンCを合成できるため、過剰摂取には注意が必要です。 |
葉酸 | 赤血球の形成を助け、貧血予防に役立ちます。 また、細胞の分裂や成長に重要な役割を果たし、特に成長期の子犬や妊娠中の母犬にとって大切な栄養素です。 |
モリブデン | 微量ミネラルの一つで、体内の酵素の働きを助け、鉄分の利用を促進したり、有害物質の分解をサポートしたりする役割があります。 |
これらの栄養素は、犬の健康を多角的にサポートしてくれるでしょう。
ただし、ナスだけですべての栄養が完璧に補えるわけではありませんので、あくまでバランスの取れた食事の一部として取り入れることが大切です。
犬がナスを食べるメリット
ナスに含まれる栄養素から、犬がナスを食べることで期待できる具体的なメリットをいくつかご紹介します。愛犬の健康状態やライフスタイルに合わせて、ナスを上手に活用してみましょう。
抗酸化作用による健康維持のサポート
ナスニンをはじめとする抗酸化物質は、体内の活性酸素を除去し、細胞のダメージを防ぐ働きが期待できます。これにより、老化の進行を緩やかにしたり、生活習慣病の予防をサポートしたりする効果が見込めます。
腸内環境の改善と便秘予防
豊富な食物繊維は、腸の蠕動運動を活発にし、便通をスムーズにする手助けをします。善玉菌のエサとなり腸内環境を整えることで、免疫力の向上にもつながる可能性があります。
水分補給のサポート
ナスは約90%が水分で構成されているため、特に暑い季節や水をあまり飲みたがらない犬にとって、食事やおやつから手軽に水分を補給できるというメリットがあります。
低カロリーでヘルシーなおやつ
ナスは100gあたり約22kcalと非常に低カロリーな野菜です。そのため、体重管理が必要な犬や、ダイエット中の犬でも比較的安心して与えられるおやつの一つとなるでしょう。
夏バテ予防のサポート
ナスに含まれるカリウムは、体の熱を逃がすのを助けると言われています。また、水分も豊富なため、食欲が落ちやすい夏の時期の栄養補給や夏バテ予防にも役立つ可能性があります。
これらのメリットを考慮すると、ナスは犬にとって魅力的な食材の一つと言えるでしょう。しかし、メリットを最大限に活かすためには、後述する注意点や適切な与え方を守ることが重要です。
犬にナスを与える際の注意点 必ず知っておきたいこと

ナスは犬にとって栄養価の高い野菜の一つですが、与える際にはいくつかの大切な注意点があります。
愛犬の健康を守り、安全にナスを楽しんでもらうために、飼い主さんが必ず知っておくべきポイントを詳しく解説します。
ナスに含まれるシュウ酸 犬への影響は
ナスには「シュウ酸」という成分が含まれています。シュウ酸は、体内でカルシウムと結合するとシュウ酸カルシウムという不溶性の結晶を形成する性質があります。
健康な犬であれば、ナスに含まれる程度のシュウ酸は少量であれば問題なく排出されることが多いですが、過剰に摂取したり、特定の体質の犬が摂取したりすると、尿路結石(特にシュウ酸カルシウム結石)のリスクを高める可能性があります。
特に、過去に尿路結石を患ったことのある犬や、腎臓に持病がある犬、また特定の犬種(ミニチュア・シュナウザー、ヨークシャー・テリア、シー・ズーなど、シュウ酸カルシウム結石ができやすいとされる犬種)には、ナスを与える際に特に注意が必要です。
シュウ酸は水に溶けやすい性質があるため、ナスを茹でることで含有量を減らすことができます。心配な場合は、かかりつけの獣医師に相談することをおすすめします。
犬に与えるナスのアク抜きは必要か
ナス特有のえぐみや苦味の原因となるのが「アク」です。ナスの主なアク成分には、ポリフェノールの一種であるナスニンやクロロゲン酸などがあります。
これらの成分自体は抗酸化作用を持つなど、少量であれば犬にとって有益な面もありますが、アクが強いと犬が食べたがらない原因になったり、消化に負担をかけたりする可能性があります。
そのため、犬にナスを与える際には、アク抜きをすることが推奨されます。アク抜きの一般的な方法は以下の通りです。
- 水にさらす:カットしたナスを5~10分程度、水にさらします。
- 塩水にさらす:少量の塩を加えた水にさらすと、より効果的にアクが抜けますが、塩分の摂りすぎにならないよう、さらした後は水でよく洗い流しましょう。
アク抜きをすることで、ナスの苦味やえぐみが和らぎ、犬が食べやすくなるだけでなく、消化吸収の助けにもなります。
ただし、アク抜きによって水溶性の栄養素が一部失われる可能性もあるため、長時間の水さらしは避けるようにしましょう。
犬のナスアレルギーの可能性
ナスは、ナス科の野菜にアレルギーを持つ犬にとってはアレルゲンとなる可能性があります。
食物アレルギーは、特定の食べ物に含まれるタンパク質に対して免疫系が過剰に反応することで起こります。ナスアレルギーの症状は個体差がありますが、以下のようなものが代表的です。
症状の現れる場所 | 具体的な症状の例 |
---|---|
皮膚 | かゆみ、発疹、赤み、じんましん、脱毛 |
消化器 | 嘔吐、下痢、軟便、食欲不振 |
その他 | 目の充血、くしゃみ、元気がなくなる |
初めて犬にナスを与える場合は、ごく少量から試し、食後の様子を注意深く観察することが重要です。
アレルギー反応は、食べてすぐに現れることもあれば、数時間後から数日後に現れることもあります。もし上記のような症状が見られた場合は、すぐにナスを与えるのを中止し、動物病院を受診してください。
アレルギー体質の犬や、過去に他のナス科の野菜(トマト、じゃがいも、ピーマンなど)でアレルギー症状が出たことのある犬には、特に慎重な判断が必要です。
ナスの与えすぎによる消化不良のリスク
ナスには食物繊維が比較的多く含まれています。適量の食物繊維は犬の腸内環境を整え、便通を良くする効果が期待できますが、一度に大量のナスを与えすぎると、消化器系に負担をかけてしまうことがあります。
特に、ナスに含まれる不溶性食物繊維は、摂りすぎると便秘を悪化させたり、逆に下痢や嘔吐、腹部膨満感といった消化不良の症状を引き起こしたりする可能性があります。
犬の消化能力には個体差があり、特に消化器官が未発達な子犬や、消化機能が衰えがちな老犬は、少量のナスでも消化不良を起こしやすい傾向にあります。
ナスを与える際は、必ず犬の体重や体調に合わせた適量を守り、細かく刻んだり加熱したりするなど、消化しやすい形で与える工夫をしましょう。
もしナスを食べた後に下痢や嘔吐などの症状が見られた場合は、与えすぎが原因である可能性も考えられますので、与える量や頻度を見直すことが大切です。
犬に与えても良い安全なナスの量

ナスは犬にとって栄養価の高い野菜の一つですが、与えすぎは禁物です。愛犬の健康を守りながら、安全にナスを楽しんでもらうためには、適切な量を知っておくことが大切です。
ここでは、犬に与えても良いナスの量の目安や、初めて与える際の安全な試し方について詳しく解説します。
犬の体重別 ナスを与える量の目安
犬にナスを与える場合、その量は犬の体重や体格、普段の食事量、運動量などによって調整する必要があります。
ナスはあくまでおやつや食事のトッピングとして考え、主食の代わりにはなりません。一般的に、おやつは1日の総摂取カロリーの10%以内におさめるのが理想的とされています。
以下の表は、あくまで目安であり、愛犬の体調や便の状態を見ながら調整してください。
犬の体重 | 1日に与えても良いナスの目安量(加熱後、細かく刻んだ場合) |
---|---|
超小型犬(例:チワワ、ヨークシャー・テリアなど 体重〜4kg) | 小さじ1杯程度(約5g) |
小型犬(例:トイ・プードル、柴犬など 体重〜10kg) | 小さじ2杯程度(約10g) |
中型犬(例:ボーダー・コリー、ウェルシュ・コーギーなど 体重〜25kg) | 大さじ1杯程度(約15g) |
大型犬(例:ゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバーなど 体重25kg〜) | 大さじ2杯程度(約30g) |
上記の量は、ナス以外の野菜やおやつを与えない場合の目安です。複数の種類のおやつを与える場合は、それぞれの量を減らし、総量が多くなりすぎないように注意しましょう。
ナスは低カロリーな野菜ですが、与えすぎは消化不良の原因になることもあります。特に初めて与える場合や、胃腸がデリケートな犬には、さらに少量から試すようにしてください。
不明な点や心配なことがある場合は、かかりつけの獣医師に相談することをおすすめします。
最初は少量から ナスの安全な試し方
愛犬に初めてナスを与える際は、アレルギー反応や体調の変化に注意しながら、ごく少量から試すことが重要です。安全にナスを試すためのステップをご紹介します。
まず、ナスを犬が食べやすいように加熱し(茹でる、蒸すなど)、皮やヘタを取り除き、細かく刻むかペースト状にします。味付けは一切しないでください。
最初に与える量は、ごく少量、例えば指先に乗る程度や小さじ半分くらいから始めましょう。
特にアレルギー体質の犬や、これまで新しい食べ物で体調を崩したことがある犬の場合は、慎重に量を調整してください。
ナスを与えたあとは様子を確認する
ナスを与えた後は、数時間から1日程度、愛犬の様子を注意深く観察します。嘔吐、下痢、皮膚のかゆみ、元気がない、食欲不振などの異変が見られないか確認しましょう。
特に問題がなければ、翌日以降も同じ量か、少しだけ増やして数日間続けてみてください。この期間は、他に新しい食べ物を与えるのは避け、ナスに対する反応だけを見極められるようにすることが大切です。
数日間試してみて、特に体調に変化がなく、便の状態も良好であれば、その子にとってナスは比較的安全な食材であると考えられます。
ただし、体調が良い時でも、前述の目安量を上限とし、継続的に与える場合は少量に留めるのが賢明です。
もし少量でも何らかの異常が見られた場合は、すぐに与えるのを中止し、症状が続くようであれば動物病院を受診しましょう。
犬が喜ぶナスの調理法 安全な与え方

ナスは調理法によって犬の食べやすさや嗜好性が変わります。愛犬が喜んで、かつ安全にナスを食べられるように、いくつかの調理法と与え方のポイントをご紹介します。
調理の際は、犬の健康を第一に考え、シンプルな方法を選びましょう。
犬に生のナスを与えても大丈夫?
犬に生のナスを与えること自体は、少量であれば中毒などを起こすわけではなく、絶対にダメというわけではありません。
しかし、生のナスは硬く、犬にとっては消化しにくい食材です。特に、消化器官が未熟な子犬や、消化機能が低下している老犬には、生のまま与えるのは避けた方が賢明です。
また、ナスにはアクが含まれていますが、これは犬にとって大量に摂取しなければ大きな問題にはなりにくいとされています。
それでも、個体差や体調によってはアクが刺激となり、口内にかゆみを感じたり、消化不良を起こしたりする可能性も否定できません。
もし生で与える場合は、皮をむき、ごく少量を細かく刻んで与え、食後の様子をしっかり観察するようにしましょう。しかし、基本的には加熱調理した方が犬にとっては安全で消化にも優しいと言えます。
犬のためのナスの加熱調理 メリットと方法
犬にナスを与える場合、加熱調理が最も推奨される方法です。加熱することでナスが柔らかくなり、消化吸収が格段に良くなります。
また、ナス特有のえぐみが減り、甘みが増すため、犬の食いつきが良くなることも期待できます。
さらに、加熱によってアクの影響をさらに低減できるというメリットもあります。ここでは、犬に適したナスの加熱調理法とそれぞれのポイントを具体的に解説します。
茹でる方法とポイント
ナスを茹でる方法は、手軽で犬にも与えやすい基本的な調理法です。油を使わないためヘルシーで、柔らかく仕上がります。
①下準備
ナスを流水でよく洗い、ヘタを切り落とします。皮はむいてもむかなくても構いませんが、消化を考慮するならむいた方がより安心です。犬が食べやすいように、1cm角程度のサイコロ状や薄いいちょう切りなど、細かくカットします。
②茹でる
鍋にカットしたナスと、ナスがひたひたに浸るくらいの水を入れ、火にかけます。沸騰したら弱火にし、ナスがクタクタに柔らかくなるまで5分から10分程度茹でます。アクが気になる場合は、茹でる前に数分水にさらすか、茹でこぼしを行うと良いでしょう。
③冷ます
茹で上がったナスはザルにあげて水気を切り、犬がやけどをしないように必ず人肌程度までしっかりと冷まします。
④与え方
そのまま少量をおやつとして与えるか、細かく潰していつものドッグフードにトッピングしたり、手作りごはんの具材として混ぜたりするのもおすすめです。
蒸す方法とポイント
蒸し調理は、ナスの栄養素が水に溶け出しにくく、効率よく摂取できる調理法です。風味も残りやすく、ナスの自然な甘みを感じやすくなります。
①下準備
茹でる場合と同様に、ナスをよく洗い、ヘタを取り、犬が食べやすい大きさにカットします。皮をむくかどうかも同様に判断してください。
②-①蒸す(蒸し器の場合)
蒸し器に水を張り、沸騰させます。ナスを蒸し器に並べ入れ、フタをして5分から10分程度、ナスが十分に柔らかくなるまで蒸します。
②-②蒸す(電子レンジの場合)
耐熱皿にカットしたナスを並べ、大さじ1程度の水を振りかけ、ふんわりとラップをします。電子レンジ(500W~600W)で2分から3分程度加熱し、竹串がスッと通るくらい柔らかくなるまで、様子を見ながら加熱時間を調整してください。加熱ムラを防ぐため、途中で一度取り出してナスを混ぜると良いでしょう。
③冷ます
加熱後のナスは非常に熱いため、やけどに注意し、人肌程度までしっかりと冷ましてから与えます。
④与え方
蒸したナスは柔らかく甘みも増すため、嗜好性が高い傾向にあります。小さくカットしてそのまま与えるほか、マッシュしてペースト状にし、フードに混ぜ込むのも良いでしょう。
焼く方法とポイント
ナスを焼くと香ばしさが増し、犬の食欲を刺激することがあります。ただし、油の使用量や焦げ付きには十分な注意が必要です。
①下準備
ナスを洗い、ヘタを切り落とし、5mm~1cm程度の厚さの輪切りや半月切り、いちょう切りなどにします。
②-①焼く(フライパンの場合)
油は使用しないか、ごく少量の犬に安全な植物油(オリーブオイルや亜麻仁油など)をキッチンペーパーで薄くのばす程度にします。ナスをフライパンに並べ、弱火から中火でじっくりと両面を焼きます。焦げ付かないように、時々様子を見てください。
②-②焼く(オーブントースターやグリルの場合)
アルミホイルを敷き、ナスを並べて焼きます。焦げやすいので、加熱時間や温度には注意し、こまめに確認しましょう。
③注意点
焦げた部分は犬の消化に悪影響を与える可能性があるため、必ず取り除いてから与えてください。油を多く使用すると下痢や膵炎のリスクが高まるため、基本的には油なし、または最小限の使用に留めましょう。
④冷ます
焼いたナスも熱いので、人肌までしっかりと冷ましてから与えます。
⑤与え方
香ばしく焼いたナスは、食欲がない時のトッピングとしても役立つことがあります。細かく刻んでフードに混ぜたり、少量をおやつとして与えたりしましょう。
犬に与えるナス 味付けは基本的に不要
人間がナスを調理する際には、醤油、味噌、油、砂糖、香辛料などさまざまな調味料を使いますが、犬にナスを与える際にはこれらの味付けは一切不要です。
犬の腎臓やその他の内臓に負担をかける塩分や糖分、消化器系を刺激する香辛料は、犬の健康を損なう原因となります。
特に、玉ねぎやニンニク、ニラといったネギ類は犬にとって中毒を引き起こす非常に危険な食材であり、これらを使用した料理や調味料は絶対に与えてはいけません。
ナスそのものの自然な風味や、加熱することで増す甘みだけで、犬は十分に美味しく食べることができます。
人間の食卓に出る味付けされたナス料理(例えば、麻婆茄子、ナスの揚げ浸し、味噌炒めなど)は、塩分や油分が過多であるだけでなく、犬に有害な成分が含まれている可能性が高いため、絶対に取り分けて与えないでください。
愛犬には、犬のために調理した、味付けなしのナスを与えるのが最も安全で健康的です。
こんな犬にはナスを与えない方が安全

ナスは栄養価が高く、犬に与えても基本的には安全な野菜ですが、全ての犬に適しているわけではありません。
特定の健康状態にある犬や、年齢によっては、ナスを与えることでかえって体調を崩してしまう可能性があります。
愛犬の健康を守るためにも、どのような場合にナスを避けるべきか、あるいは特に注意が必要なのかを理解しておきましょう。
腎臓に持病がある犬へのナスの影響
ナスには「シュウ酸」という成分が含まれています。健康な犬であればシュウ酸を適切に処理できますが、腎臓に疾患を抱えている犬や腎機能が低下している犬の場合、シュウ酸の排泄がうまくいかず、腎臓にさらなる負担をかけてしまう可能性があります。
シュウ酸は体内でカルシウムと結合しやすく、シュウ酸カルシウム結晶として腎臓に沈着し、腎臓結石や尿路結石のリスクを高めることも考えられます。
また、ナスには比較的多くの「カリウム」も含まれています。カリウムは生命維持に不可欠なミネラルですが、腎臓病が進行し、高カリウム血症のリスクがある犬にとっては、摂取量を制限する必要があります。
愛犬が慢性腎臓病やその他の腎疾患と診断されている場合は、ナスを与える前に必ずかかりつけの獣医師に相談し、その指示に従ってください。
尿路結石の既往歴がある犬とナス
犬の尿路結石にはいくつかの種類がありますが、その中でも「シュウ酸カルシウム結石」は、ナスに含まれるシュウ酸が原因で形成されるリスクがあります。
過去にシュウ酸カルシウム結石と診断されたことがある犬や、尿検査でシュウ酸カルシウム結晶がよく見られる犬に対しては、ナスを与えることは推奨されません。
シュウ酸カルシウム結石は一度できると食事療法だけでは溶けにくく、再発しやすいという特徴があります。そのため、結石の成分がシュウ酸カルシウムであった場合は、シュウ酸を多く含む食品の摂取を控えることが予防の観点から重要になります。
ストラバイト結石など、他の種類の結石であった場合でも、結石の既往歴がある犬に新しい食材を与える際は慎重になるべきです。
いずれの場合も、獣医師に相談し、食事管理についてのアドバイスを受けるようにしましょう。
アレルギー体質の犬とナス
ナスはナス科の植物です。ごく稀に、ナス科の野菜に対してアレルギー反応を示す犬がいます。
ナス科の野菜には、ナスの他にトマト、じゃがいも、ピーマンなどがあります。これらの野菜でアレルギー症状が出たことがある犬は、ナスに対しても同様の反応を示す可能性があります。
犬がナスアレルギーを発症した場合、以下のような症状が見られることがあります。
- 皮膚のかゆみ、赤み、発疹
- 目の充血、涙や目やにの増加
- 口の周りや顔の腫れ
- 嘔吐、下痢などの消化器症状
- くしゃみ、咳
初めてナスを与える際は、アレルギー反応が出ないかを確認するため、ごく少量から与え、数時間から1日程度は愛犬の様子を注意深く観察してください。
もし上記のようなアレルギーを疑う症状が見られた場合は、すぐに与えるのを中止し、動物病院を受診しましょう。
もともとアレルギー体質の犬や、食物アレルギーの経験がある犬にナスを与える場合は、特に慎重な判断が必要です。
子犬や老犬にナスを与える際の配慮
子犬や老犬は、成犬に比べて消化機能や免疫機能が未熟であったり、低下していたりする場合があります。そのため、ナスを与える際には特別な配慮が必要です。
子犬への配慮
子犬は消化器官がまだ十分に発達していません。ナスは食物繊維が豊富ですが、子犬にとっては消化しにくく、下痢や嘔吐などの消化不良を引き起こす可能性があります。
また、アレルギー反応も成犬より出やすい傾向があります。もし子犬にナスを与える場合は、生後3か月を過ぎ、普段のドッグフードをしっかり食べられるようになってから、ごく少量をおやつ程度にとどめ、必ず加熱して柔らかくし、細かく刻んで与えるようにしましょう。与えた後は体調に変化がないか、注意深く観察してください。
老犬への配慮
老犬は加齢に伴い、消化機能や腎機能が低下していることが少なくありません。腎機能が低下している場合、前述の通りナスに含まれるシュウ酸やカリウムが負担になることがあります。
また、噛む力や飲み込む力も弱くなっているため、ナスをそのまま与えると喉に詰まらせる危険性も考えられます。
老犬にナスを与える際は、少量にし、消化しやすく、安全に食べられるように、加熱して柔らかくし、細かく刻んだりペースト状にしたりするなどの工夫をしましょう。
持病がある場合や、健康状態に不安がある場合は、事前に獣医師に相談することが大切です。
犬がナスを食べて体調不良になった場合の対処法

愛犬がナスを美味しく食べた後でも、万が一体調に異変が見られた場合には、飼い主として冷静かつ迅速な対応が求められます。
ここでは、ナスが原因で体調不良になった際に考えられる症状と、その具体的な対処法について詳しく解説します。
犬のナスによる主な中毒症状 嘔吐や下痢など
ナスは犬にとって比較的安全な野菜とされていますが、与えすぎやアクの処理が不十分だった場合、またはアレルギー反応によって、消化器症状を中心とした体調不良を引き起こすことがあります。
ナスを食べて体調を崩した場合にみられる可能性のある主な症状は以下の通りです。
症状 | 観察ポイント・考えられる原因 |
---|---|
嘔吐 | 食べたものを繰り返し吐き出す、吐瀉物に未消化のナスが含まれる、泡や黄色い液体(胃液)を吐くなどの状態が見られます。 消化不良や胃腸への刺激、アレルギー反応などが考えられます。 |
下痢 | 軟便や水様便、粘液状の便、場合によっては血便が見られることもあります。 こちらも消化不良や腸への刺激、アレルギーが主な原因として疑われます。 |
食欲不振 | いつもは喜んで食べるご飯やおやつに見向きもしなくなる、あるいは食べる量が極端に減る状態です。 胃腸の不快感や吐き気、全身倦怠感などが影響している可能性があります。 |
元気消失 | ぐったりとして動きたがらない、普段より寝ている時間が長い、呼びかけへの反応が鈍いなど、活動性の低下が見られます。 体調不良による全般的な症状です。 |
腹痛のサイン | お腹を触られるのを嫌がる、抱き上げようとすると鳴く、背中を丸めてうずくまる、お腹を床にこすりつけるような仕草をするなど、腹部に痛みを感じている様子が見られます。 胃腸炎や消化不良による不快感が原因と考えられます。 |
皮膚のかゆみ・発疹 | 体を頻繁に掻いたり、舐め続けたりする、皮膚に赤みやブツブツとした発疹が現れるなどの症状です。 ナスに対するアレルギー反応の可能性があります。 |
よだれの増加 | 口から普段よりも多くのよだれが出ている、口の周りが常に濡れているといった状態です。 吐き気や口腔内の不快感、アレルギー反応などが考えられます。 |
これらの症状は、ナスが直接的な原因である場合もあれば、他の病気や体調不良が隠れている可能性も否定できません。
いずれにしても、愛犬の様子に異変を感じたら、自己判断せずに獣医師の指示を仰ぐことが重要です。
すぐに動物病院へ ナスを食べて異変があったら
愛犬がナスを食べた後に上記のような症状が見られたり、普段と明らかに様子が異なる場合には、速やかにかかりつけの動物病院を受診しましょう。
特に以下のような状況では、緊急性が高い可能性があるため、躊躇せずに獣医師の診察を受けることを強く推奨します。
- 嘔吐や下痢が何度も続く、または症状が激しい場合
- ぐったりして全く元気がない、意識が朦朧としているように見える場合
- 呼吸が速い、浅い、または苦しそうにしている場合
- 震えやけいれん発作が見られる場合
- 吐瀉物や便に血が混じっている場合
- 顔や口の周りが腫れる、全身に蕁麻疹が出るなど、明らかなアレルギー症状が見られる場合
- 少量しか食べていないにも関わらず、症状が重い場合
- 子犬や老犬、持病のある犬で症状が出た場合
獣医師に伝えたい情報
動物病院へ行く際には、以下の情報を獣医師に正確に伝えることで、スムーズな診断と治療につながります。
- いつ、どのくらいの量のナスを食べたか(生のままか、加熱調理したか、アク抜きはしたかなども含めて)
- どのような症状が、いつ頃から見られるか(症状の具体的な内容、頻度、程度を時系列で)
- ナス以外に変わったものを食べていないか
- 普段の食事内容、おやつの種類
- 持病の有無、過去の病歴、アレルギー歴
- 現在服用中の薬やサプリメントがあれば、その種類と量
- 可能であれば、食べたナスの一部や嘔吐物、下痢便を持参する(ただし、持参については事前に動物病院に確認し、指示に従ってください)
受診する前には、まず動物病院に電話で連絡を入れ、愛犬の状態を伝え、指示を仰ぐようにしましょう。その際、夜間や休診日であれば、救急対応可能な動物病院の情報を得ることも大切です。
飼い主さんの自己判断で人間用の薬を与えたり、様子を見過ぎたりすることは、症状を悪化させる危険性があるため絶対に避けてください。
愛犬の健康と安全を第一に考え、専門家である獣医師の診断と治療を受けることが最も重要です。
まとめ
愛犬にナスを与えることは、基本的に安全と言えます。ナスには犬の健康維持に役立つ栄養素が含まれているため、上手に取り入れれば食生活を豊かにしてくれます。
しかし、ナス特有の成分であるシュウ酸への配慮や、アレルギー、消化不良のリスクも存在します。
そのため、与える量やアク抜きの必要性、加熱調理といった正しい知識を持ち、愛犬の体調や体質に合わせて少量から試すことが大切です。特に持病のある場合は獣医師に相談しましょう。
この記事の執筆者
nademo編集部
編集部
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