ペットコラム

【獣医師執筆】ペットの健康診断は必要?検査項目や受診時期について

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ペットの健康診断とは?どんなことをいつからすべきなのか

「健康診断、きちんと受けていますか?」これは飼い主である私たち人間でもよく耳にする言葉です。

健康診断はさまざまな病気の早期発見・早期治療だけでなく、病気そのものを予防するために行われている大切な検査です。

見た目には変わりなく、大きな症状が出ないまま進行する病気を見逃さないためにも、定期的な健康診断は必要不可欠。 

今回はそんな知っているようで実はよくわかっていない、健康診断について詳しく見ていきましょう。

この記事の結論

  • ペットの健康診断は、病気の発見ではなく健康状態を確認するための検査
  • 検査内容は、血液検査・レントゲン検査・尿検査など獣医師と相談のもと決める
  • 健康診断の受診目安は最低年1回、シニア期は3か月~半年に1回以上を推奨
  • ペットの健康診断は、病気の予防や早期発見につながるため実施が望ましい

長谷川 諒

執筆・監修

長谷川 諒

獣医師/潜水士/株式会社Ani-vet代表取締役/犬猫生活財団評議員

大学卒業後、動物病院での診療や保護猫活動の支援に携わる傍ら、現役獣医師によるメディアでの知識啓蒙にも取り組んでいる。

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ペットの健康診断は必要なこと

ここで再び、みなさんの愛犬、愛猫は定期的に健康診断を受けていますか?

人間にも共通していることですが、若かったり、健康なうちにはなかなか病院にかかることも少ないものです。

中にはワクチンなどの、いわゆる予防医療でしか動物病院に行ったことがないということもあるのではないでしょうか。

「まだまだ若いから」「食欲もしっかりあり元気だから」という理由で健康診断を見送る飼い主さんもいらっしゃいます。

ですが、元気で健康そうに見えても思わぬ病気が隠れていることもあるので注意が必要です。

では一言で健康診断と言っても実際にどんなことをするのでしょうか?

ペットの健康診断の内容

健康診断とは文字通り、“総合的に健康状態を診断すること”です。

つまり病気を見つけるための検査ではなく、健康であることを確認するための検査なのです。

この健康状態を調べるために様々な検査を行いますが、その検査内容は年齢や生活環境、健康状態、犬種猫種などを踏まえて獣医さんと相談して決めていくことが一般的です。

身体検査

体重や体温測定、視診、触診、聴診など体の外からわかる異常がないか検査します。

簡単なものであれば自宅でも日頃から行うことができるので、異常がないか?だけでも確認しておくと良いです。

体に異常があった場合、どこにいつからあったものなのか、獣医師に伝えられるようにしておきましょう。

血液検査

血液の成分を測定・分析する検査で、健康診断では一般的に「血球検査、生化学検査、ホルモン検査」を実施することが多いです。

これらの検査結果を総合的に判断して、どの器官が異常を起こしているかを調べます。

見た目だけでは気付けない大事な部分なので、健康診断の重要なポイントとも言えます。

レントゲン検査

レントゲン検査はX線(放射線)を使った画像検査であり、動物の全身状態を知るためのとても役立つ検査です。

胸部や腹部、手足を撮影することで、各種臓器の大きさや形の異常、骨折、結石の有無などを調べます。

日本で人気の小型犬や超小型犬は、足腰や関節が弱い傾向にあり、ちょっとした段差でも骨折をすることがあります。

猫は下部尿路疾患になりやすいため、結石の確認や後述の尿検査などが重要な検査のひとつになります。

超音波検査

超音波検査は超音波を発生させる装置を使って体の内部を観察するために役立つ検査です。

超音波の反響が画像化され、体の断面がモニターに映し出されます。

特に臓器の内部構造や血液の流れる様子を調べることに長けた検査です。

尿検査

尿検査は血液検査と同様に、全身のさまざまな臓器の異常を調べることのできる検査です。

特に腎臓や尿管、膀胱、尿道など泌尿器の病気の診断に欠かせない検査で、血液検査と一緒に行うことで総合的に体の状態を判断します。

排泄物は体の異常を知るための重要な情報を持っているため、こちらも日頃からチェックしておくと良いです。

もし、排泄物にニオイや色の変化があったり、排泄周期に異変があるようであれば、健康診断よりも先に受診しておきましょう。

糞便検査

糞便検査は便の色・ニオイ・形から内臓機能を確認するだけでなく、糞便中に存在する寄生虫や細菌などの病原体の有無や腸内細菌のバランスなど異常がないか検査します。

定期的に健康診断をすることで、症状が何もない場合でも異常を早期に発見できることもあります。

その一方で、異常が見つかりにくい病気もあるので、決して健康診断で全ての病気がわかるわけではありません。

一回の検査で何も異常がなかったからと終わらせずに、定期的に健康診断を受けるようにすることが一番大切です。

ペットの健康診断は全年齢で行うべき

人間の健康診断は年に1回程度。社会人になると、毎年受けるのが一般的ですよね。

では、愛犬や愛猫の健康診断はいつから?どの程度のペースで行うのでしょうか?

健康診断は可能なら全年齢ですべき

10歳を節目にするようになったという飼い主さんもいれば、1歳から毎年している飼い主さんもいらっしゃいます。

その答えのひとつとして何歳から健康診断を“しなければいけない”ということはなく、可能であれば全年齢からすべきです。

子犬や子猫であっても、病気にならないわけではありません。早期発見ができれば、早期治療も可能になり、早期治療によって治る病気もあります。

どれだけ健康的に過ごしていても年齢とともに体は衰えてくるので、シニア期になってくると特に注意が必要です。

健康診断は最低年1回~3か月から半年に1回のペース

愛犬、愛猫が歳をとるスピードは私たち人間の約4倍とも言われています。つまり私たち人間の1年間は愛犬、愛猫の4年間にも相当するのです。

では一体どれくらいの頻度で健康診断を受けるのが良いのでしょうか?

一般的には年に1回が目安と言われていますが、歳をとるにつれて病気のリスクも増えていくのでシニア期では3か月~半年に1回以上の頻度が推奨されています。

その子の健康状態や持病の有無によっても適正な頻度は変わるので、かかりつけの獣医さんに相談して健康診断の頻度を決めましょう。

ペットと人間の年齢換算表

犬と人間

犬と人間の年齢換算一覧表

小型犬・中型犬と大型犬では年齢の重ね方が少し異なるので、ここがまず第一のポイントになります。

小型犬や中型犬の場合、1歳を迎える頃が人間で言う15歳。そして10歳を迎える頃には、人間が言う56歳頃と言われています。

人間の場合、35歳以上になるとより細かな人間ドックを受けるように、小型犬や中型犬では5歳がそれぐらいの時期になっています。

また大型犬は1歳を過ぎてから1年に7歳ずつ年を取っていくため、5歳時点ですでに人間で言うところの40歳。

10歳を迎える頃には人間で言うところの75歳に差し掛かってくるため、健康診断の頻度やペースが重要になるとわかるでしょう。

猫と人間

猫と人間の年齢換算表

猫は小型犬・中型犬と大きく変わらず、1歳半を迎える頃が人間で言う20歳頃だと言われています。

そこから4歳ずつ年を取っていき、5歳を迎える頃には人間で言う36歳あたりです。

猫は犬よりも長寿な子も多くなってきていますが、11歳時点では人間で言う60歳頃になるのだと理解することが重要です。

かかりつけ病院でのペットの健康診断

愛犬、愛猫のかかりつけはありますか?

一般的ないわゆる“まち”の動物病院であればどこでも健康診断を受けることができますが、かかりつけの病院で継続して受けることも重要です。

過去からの健康診断データがあると、体重や体温などの身体所見や血液検査結果が健康な時と比べてどうなのか、 その子の“いつも”の状態を知らないと判断できないことが多くあります。

今まであまり健康診断を受けてこなかったり、なんとなくでたまに受けていたという飼い主さんも、一度かかりつけの動物病院さんと相談してみてください。

その子にあった頻度、内容で健康診断を受けるようにしてあげましょう。

この記事の執筆者・監修者

長谷川 諒

執筆者情報

長谷川 諒

獣医師/潜水士/株式会社Ani-vet代表取締役/犬猫生活財団評議員

大学卒業後、動物病院での診療や保護猫活動の支援に携わる傍ら、現役獣医師によるメディアでの知識啓蒙にも取り組んでいる。
獣医学生時代に保護猫を迎えたことから猫にどハマりして、今では3頭の元保護猫と暮らしています。

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