猫の病気・健康

猫に生理はない?出血で考えられる病気や発情期との関係を解説

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猫に生理はない?出血で考えられる病気や発情期との関係を解説

人間の場合は、女性には月に一度生理が訪れますが、猫の場合はどうなのでしょうか。

猫と暮らしている飼い主さんは「猫にも人間のように生理がくるのかな?」と疑問に思ったことのある人もいるかもしれません。

しかし、猫には発情期はあるものの生理はないといわれています。

本記事では猫に生理が来ない理由や、出血がある際に考えられる病気などをご紹介します。

発情期のサイクルや症状なども解説しているので、猫の飼い主さんはぜひ最後まで目を通してみてくださいね。

この記事の結論

  • 犬や人間と違って、猫は交尾排卵動物であるため、生理はない
  • 猫の陰部から出血が見られた場合には、病気を疑う必要がある
  • 猫(女の子)には発情期があり、猫(男の子)には発情期がない
  • 発情期の問題行動予防や、生殖器関連の病気予防には避妊手術が効果的

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猫は交尾排卵動物のため生理はない

犬(女の子のみ)や人間の女性には生理がありますが、猫の女の子には生理がありません。

その理由は、猫は犬や人間とは排卵の仕組みが違うという点にあります。

犬や人間は一定の間隔で排卵がある「自然排卵」が起こる動物であり、妊娠が成立しなかった際に子宮内膜がはがれ落ちて出血します。

対して猫は、交尾の刺激によって排卵が起こる「交尾排卵」の動物です。

そのため一定のサイクルで出血する生理は起こらず、また効率的に妊娠できるため、猫は繁殖力が高いといわれています。

猫が陰部から出血している場合は生理ではなく、病気の可能性が非常に高いです。出血を発見したら早めに動物病院を受診しましょう。

猫の陰部から出血が見られたときに考えられる病気

犬や人間と違って生理が起こらない猫は、健康な状態であれば陰部から出血が認められることはありません。

愛猫の陰部に血がついていたり尿に血が混ざっていたりする場合は、なにか病気を抱えている可能性が考えられます。

日々愛猫の体や排尿状況を確認し、異常があれば直ちに動物病院を受診しましょう。

ここでは、陰部からの出血が見られる際に考えられる病気について解説するので、愛猫の健康チェックの際の参考にしてみてください。

子宮蓄膿症

子宮蓄膿症(しきゅうちくのうしょう)とは、子宮内の差に菌感染により、子宮内に膿が溜まる病気です。

陰部から膿を含んだ血が見られるのが主な症状。ほかにも食欲不振やお腹の張りなどの症状が現れます。

5歳~7歳以上の比較的高齢な猫に多いとされていますが、避妊手術をしていない場合は若い猫が発症することも。

放置すると命に関わる病気のため、なにか変わった様子があれば早めに動物病院を受診しましょう。

膀胱炎

猫が膀胱炎(ぼうこうえん)になると血尿の症状が現れることが多く、陰部から出血しているようにも見受けられます。

膀胱炎は性別に関わらずかかる病気であり、血尿のほかにも頻尿や食欲不振・1回の排尿量の減少など、さまざまな症状が現れます。

陰部をしきりに気にしたり舐めたりするような仕草が見られることも。

膀胱炎にかかる原因はさまざまであり、尿路結石症や細菌感染などが考えられます。

猫は泌尿器系の病気が多い動物なので、排尿の状況や尿に異常が見られたら動物病院に相談してくださいね。

尿路結石症

尿路結石症(にょうろけっせきしょう)にかかっている場合も、赤色やピンク色の尿が出ることがあり、「陰部からの出血と思ったら血尿だった」というケースも珍しくありません。

尿路結石症の場合、頻尿になったり粗相を繰り返したりといった症状が見られます。

それまできちんとトイレで排泄していたのに頻繁に粗相を繰り返すようになったら、病気のサインかもしれません。

猫の尿路結石症は再発率が高く、一度発症すると慢性化することも多い病気です。

水を飲む量を増やすことで予防につながるため、いつでも新鮮な水が飲めるようにしてあげましょう。

子宮腫瘍

猫の子宮腫瘍(しきゅうしゅよう)の発生率はそれほど高くないといわれていますが、腫瘍が見つかった場合は悪性腫瘍(がん)である場合が多いとされています。

悪性腫瘍は卵巣やリンパ腺・脳細胞などに転移します。

初期症状があまりなく、飼い主さんが発見したときにはすでに進行していることも、珍しくありません。

定期的に健康診断を受けて、早期発見に努めることが重要です。血尿・お腹の張りやしこりといった症状が見られたら、早めに動物病院を受診してください。

陰部からの出血を発見したらすぐに動物病院へ

生理が訪れない猫の場合、陰部から出血するということは正常ではありません。

出血や血尿の症状がある際は、病気が潜んでいる可能性が非常に高いです。

泌尿器系や生殖器官の病気は命にかかわることもあるので、様子がおかしいと感じたら躊躇することなくすぐに動物病院を受診してください。

猫に生理はないが発情期はある

猫に生理は訪れませんが、女の子に関して言えば発情期が存在します。

性成熟を迎えた猫は特定の季節に年1~2回ほど発情期が訪れ、その期間はさまざまな発情行動が見受けられます。

猫と暮らしている飼い主さんは、発情期に現れる症状やサイクルをよく把握しておきましょう。

ここでは、猫の発情のサイクルについて解説します。

発情期間は平均7日~20日、1年に1回~2回の周期で繰り返す

猫は「季節性繁殖動物」といわれ、決まった季節に繁殖をする動物です。

猫は女の子の場合、生後5か月~12か月で性成熟を迎え、日本では日照時間の長くなる1月~8月に繁殖季節を迎えるといわれています。

繁殖季節内で年に1回~2回ほど発情を繰り返し、発情期間は7日~20日ほどです。

しかし、完全室内飼いの猫は季節や昼夜関係なく照明を浴びているため、1年中発情することもあります。

対して男の子の場合は、近くに発情している異性の猫がいることで発情が誘発されます。

発情前期(約1~5日間)

発情がはじまる発情前期は、1~5日間にわたって続きます。いつもより活発になったり、飼い主さんにしつこく甘えるような様子が見られます。

頭を擦り付けてきたり床にゴロゴロと転がったり、お尻を高く上げながらうずくまったりすることも。

中には食欲不振や頻尿といった症状が現れる子もいます。

この時期はまだ相手を受け入れず、交尾を拒否するのが特徴です。

発情期(約4~10日間)

相手を受け入れ、交尾を許容するのが発情期であり4~10日間ほど続きます。

発情前期で見られた症状がより強く現れるようになり、いつもは聞かないような大きな声で鳴いたり、あちこちに尿をかける「スプレー」というマーキング行為を行うようになります。

特に鳴き声は飼い主さんの睡眠を妨害したり、集合住宅に住んでいる場合はご近所トラブルに発展する可能性も。

発情期に見られる行為はどれも本能的な行動であり、止めさせることはできないので、気になる場合は避妊手術を検討しましょう。

発情後期(約1~3日間)

相手との交尾のあとに排卵し、卵胞が退行する時期が発情後期。猫は異性の猫との交尾を受け入れなくなります。

この期間は1~3日ほど。それまで現れていた発情行動が少なくなり、発情も収まっていきます。

交尾が行われず排卵が起こらなかった場合は、発情期が1週間ほど続いた後、卵胞は発情後期の最初の1週間ほどで退行します。

猫には閉経がないため避妊手術を行わない限り、高齢になっても発情季節になると繰り返し発情期が訪れます。

発情休止期(排卵しなかった場合は約5~16日間)

次の発情期が訪れるまでの休憩期間が発情休止期。この時期は異性の猫に興味を示さず、交尾を行いません。

交尾をしなかったり、しても排卵がなかった場合は5日~16日を目安にまた発情前期へと移行し、再び発情します。

妊娠している場合は、次の繁殖季節が訪れるまで発情しません。

猫の発情期に見られる主な行動

発情期の猫に見られる行動はちょっとした変化ですが、よく観察していれば気付けるものです。

普段は見られないようなさまざまな行動をとるようになり、それに応じて飼い主さんも気をつけなければいけないことがあります。

発情期に見られる症状や行動を把握し、愛猫の様子をよくチェックしておきましょう。

甘えてくることが増える

特に発情前期によく見られる行動であり、いつも以上に飼い主さんに甘えてきます。

頭や体を擦り付けてきたり、飼い主さんの脚に体を絡ませたりと甘えてくる様子はとても可愛らしいですよね。

ですが、あまり頻繁に撫でてしまうと、それが刺激になりさらに発情が激しくなる子もいます。

甘えてきても過剰に撫でたりスキンシップを取りすぎることは避けましょう。

普段聞かない大きな声で鳴く

発情期の猫は、異性の猫を呼ぶために普段は聞かないような大きな声で鳴きます。

発情期の猫の鳴き声は人間の赤ちゃんの泣き声によく似ており、近隣にも響くのでご近所トラブルの原因となることも。

発情期の猫が鳴くとそれに応えるように近くの異性の猫が鳴きはじめ、このような状況が続くと飼い主さんにとっても近所の人にとっても大きなストレスとなります。

発情期の愛猫の夜鳴きによる睡眠妨害に悩む飼い主さんも、少なくありません。

子猫を産ませる予定がない場合は、トラブル回避のためにも避妊手術を検討しましょう。

スプレー行動をする

猫は縄張り意識の強い動物であり、自分の縄張りを主張するために尿をかける「スプレー」というマーキング行為を行います。

発情期の猫は、異性の猫を引きつけるためにスプレーを頻繁に行うようになり、粗相が増えるのが特徴です。

本能的な行動であり止めさせることはできないので、粗相をした際も叱るのはNG。

大きな声を出したり愛猫を責めたりせず、速やかに片付けましょう。

排泄物のニオイが残っていると同じ場所に粗相を繰り返してしまうため、ニオイが残らないようにしっかりと消臭しましょう。

毎回同じ場所にスプレーをする場合は、あらかじめペットシーツや防水シートを貼っておくのもおすすめです。

伏せた状態で腰を少し高くして足踏みする

体を伏せた状態で腰を高く上げ、足踏みをするといった行動が見られます。

発情前期ではまだ異性の猫を受け入れませんが、尻尾を外に倒してお尻を上げるような仕草が見られたら、相手を受け入れる合図です。

発情期を終わらせる方法として、湿った綿棒で陰部を刺激して排卵を促す方法が紹介されていることがあります。

しかし、素人が安易に真似をすると愛猫の体を傷つけてしまう恐れがあるので、おすすめできません。

背中を床につけてゴロゴロ転がる

背中を床につけて、ゴロゴロと転がるのも発情期に見られる大きな特徴です。体をくねらせるような動きをすることも。

猫は興奮状態になると体をくねくねと動かすことがあり、発情期にもそのような行動が目立ちます。

このような仕草が見られるときは発情しているサインであり、愛猫はイライラしたり気持ちが落ち着かない状態になっているといえるでしょう。

一緒に遊んであげたりおもちゃを与えたり、なるべくストレスを発散できるようにしてあげてくださいね。

外に出たがる

発情期の猫は落ち着きがなくなり、興奮状態で家の中を走り回ることも。中には外に出たがる子もいます。

窓や玄関のドアを開ける際には、愛猫が脱走をしないよう十分に注意しましょう。

猫には犬ほどの帰巣本能はないため、自分の縄張りから外れてしまうと帰って来れなくなる可能性が高いです。

カーテンで窓を覆ったりキャットタワーを窓際に置かないようにしたりと、外が見えないようにするのもよいでしょう。

脱走できないように防止柵を設置するのもおすすめです。

愛猫の子宮の病気を予防するなら避妊手術が有効

病院

愛猫に子猫を産ませる予定がない場合は、避妊手術を受けさせることが推奨されます。

避妊手術を行うことによって乳腺腫瘍・子宮内膜炎・子宮蓄膿症などの生殖器に関する病気のリスクを軽減できます。

乳腺腫瘍や子宮蓄膿症など命にかかわる危険な病気もあるので、少しでも発症リスクを軽減するのがおすすめです。

また、交尾を行えず動物本来の生殖本能を満たすことができないのは、愛猫にとって大きなストレスとなります。

猫には閉経がなく高齢になっても発情を繰り返すため、避妊手術をしない限りは一生発情期のストレスを抱え続けることに。

愛猫のストレス軽減のためにも、避妊手術は有効だといえます。

猫の避妊手術は卵巣のみ、もしくは卵巣と子宮を摘出する方法で行われ、費用は10,000円~40,000円ほどが平均です。

発情期の問題行動を防ぐことにも役立つ

発情期の猫は、大きな声で泣き続けたりスプレー行為をしたりと、問題行動が目立ちます。

しかし、これらは人間にとっては問題行動ですが、猫にとっては本能的な行動であり、止めさせたりしつけによってどうにかできるものではありません。

飼い主さんが遊んであげて一時的に気をそらしたりストレス発散をさせたりすることはできても、根本的な解決には繋がらず発情のたびに問題行動を繰り返します。

避妊手術を行い発情がなくなればこのような行動に悩まされることはなくなり、飼い主さんのストレス・負担軽減にも繋がるでしょう。

望まない妊娠を防ぐこともできる

完全室内飼いを徹底しているご家庭においても、同居猫や意図しない脱走によって妊娠してしまう可能性があります。

短時間だけの脱走だったとしても、たった数分ほど目を離していただけだったとしても、猫の交尾は数秒で終わります。気付いたときには交尾が終わっているのです。

猫の妊娠確率はほぼ100%とも言われているので、望まない妊娠だったとしたら困りますよね。

事前に避妊手術をしておくことで、愛猫を守ることにも繋がります。

まとめ

猫の発情行為は本能的なものであり、叱ったりしつけで止めさせようとしても猫には伝わりません。

無理に止めさせようとキツく叱ったりすると猫にとってストレスとなり、より問題行動を助長することも。

飼い主さんが愛猫の行動を正しく理解してあげることが重要です。

避妊手術には費用もかかりますが、愛猫のことを一番に考えて対応方法を検討してあげましょう。

はじめての発情期を迎えたあとの猫は、避妊手術を受けたあとも発情中と同様の行動をとってしまうこともあるので、最初の発情期を迎える前に手術を済ませるのがおすすめ。

また、出血などの異常があった場合には、ためらわずに動物病院を受診してくださいね。

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