猫は犬と違って叱り方が難しいと感じる方も多いのではないでしょうか。間違った方法で叱ると、猫との信頼関係を壊したり、ストレスを与えてしまうこともあります。
この記事では、猫の習性を理解した上での正しい叱り方や、やってはいけないNG行動、状況別のしつけ方法まで詳しく解説します。
愛猫とのより良い関係を築くために、ぜひ参考にしてください。
この記事の結論
- 猫を叱る際には正しい叱り方を理解し、叱ることが関係値を崩さない重要なポイント
- 叱っっても「悪いこと」と理解できるわけではないため、「不快」だと感じてもらうことが必要
- 大声で怒鳴ったり手を出したり、時間を空けてから叱るのは逆効果になる
- 現行犯で叱り、正しい行動をしたときには褒めたりご褒美で成功体験を積ませる
目次
猫の叱り方の基本を知ろう

猫を叱る際に最も大切なのは「タイミング」と「方法」です。
猫は人の言葉を理解しているわけではないため、感情的に怒鳴ったり叩いたりしても逆効果になります。叱るときは、悪い行動をした“その瞬間”に、短く静かに注意するのがポイントです。
また、猫は恐怖を感じると人間との信頼関係を壊しやすいため、叱るよりも望ましい行動を促す「正の強化(ほめる・報酬を与える)」を中心にしつけていくことが理想です。
叱りたくなる気持ちもわかりますが、猫の気持ちに寄り添った対応を心がけましょう。
猫は叱っても理解できる?叱る意味と限界
猫は人間のように「何が悪いか」を理解するわけではありません。叱ることには限界があり、猫が学ぶのは「ある行動をすると嫌なことが起こる」という因果関係です。
そのため、間違ったタイミングで叱ると意味がなく、ただ人間を怖がるだけになってしまいます。
猫にとって「今この瞬間」に起こる出来事しか記憶として結びつかないため、数分前の悪さを後から叱っても効果はありません。
叱りの限界を理解するポイント:
- 猫は過去の行動を反省しない
- 威圧的な叱りは信頼を壊す
- 一貫性がないと学習できない
叱ることに過度な期待をせず、環境を整える・褒めるしつけを重視するほうが長期的に見て効果的です。
叱る前に知っておきたい猫の習性
猫を正しく叱るには、猫の本能的な習性を理解することが大前提です。
例えば、家具をひっかくのは爪とぎによる縄張り主張であり、排泄の失敗もストレスや体調不良が原因の場合があります。
人間の「イタズラ」とは意味がまったく異なるのです。これらを理解せずに叱ってしまうと、猫は不安や不信感を覚えるだけになってしまいます。
行動 | 習性・理由 |
---|---|
爪とぎ | 爪の手入れ・マーキング |
高い所に登る | 安全確認・本能的な習性 |
隠れる | 警戒心・落ち着く場所を求めている |
噛む・引っかく | 遊び・不満・恐怖のサイン |
猫の行動には意味があるという前提で向き合うことが、正しい対応への第一歩です。
猫に「しつけ」はできる?犬との違い
猫にもある程度のしつけは可能ですが、犬とはしつけ方の考え方が大きく異なります。
犬は群れの中で生きてきた動物のため、指示に従う性質がありますが、猫は単独行動を好む動物で、人間に従うという発想がそもそもありません。
そのため「指示に従わせる」よりも、「望ましい行動を自然に選ばせる」環境づくりがカギとなります。
項目 | 犬 | 猫 |
---|---|---|
しつけのしやすさ | 高い(命令に従う) | 低め(自主性重視) |
教え方 | 命令と報酬 | 行動と報酬の因果関係 |
必要なアプローチ | 指示と従属の関係 | 環境と選択の工夫 |
猫の場合は「してほしい行動をとったときにすぐ褒める」「問題行動を防ぐ環境を整える」といった工夫が有効です。
やってはいけない猫の叱り方

猫を叱る際にもっとも注意すべきなのは、「人間の感情で叱る」ことです。
感情的に怒鳴ったり、物を投げたり、長時間叱り続けたりする行為は、猫にとっては意味が通じないどころか恐怖体験になります。これにより、飼い主との信頼関係が崩れ、今後の接し方にも悪影響が出る可能性があります。
叱るというより「猫にとって不快な状況を一瞬だけ与える」程度の対応が基本。
猫は恐怖や痛みによる記憶ではなく、環境との因果関係で学習する生き物であることを理解しましょう。
大声で怒鳴る・叩くのは逆効果
猫に対して大声で怒鳴ったり、叩いたりするのは、絶対に避けるべき行為です。猫は非常に聴覚が優れており、大きな声は強いストレスになります。
さらに、叩くなどの身体的な罰を与えると、人間そのものを「怖い存在」と認識するようになり、寄り付かなくなったり攻撃的になることもあります。
逆効果となる理由
- 猫は何に怒られているか理解できない
- 恐怖心だけが残り、信頼関係を損なう
- 攻撃性や隠れがちになるなどの問題行動に発展
愛猫を守るためにも、叩いたり怒鳴ったりといった行動はやめ、冷静で短い対応を心がけましょう。
「現行犯」以外の叱り方は無意味
猫を叱るときに大切なのは「タイミング」です。猫は記憶をつなげて理解する能力があまり高くないため、数分前にした行動を後から叱っても意味がありません。
例えば、帰宅後にソファがひっかかれていたとしても、その場で怒っても猫は「なぜ怒られているのか」を理解できません。
現行犯での叱り方のコツ
- 問題行動の「瞬間」を捉えて注意する
- 行動をやめたらすぐに褒めることで学習効果UP
- 過去の行動への叱責は避ける
現行犯であれば、猫も「この行動のときに嫌なことが起きた」と結びつけて理解しやすくなります。
罰として無視するのは有効?リスクは?
猫が悪さをしたとき、「無視する」という方法を取る飼い主もいます。確かに、猫によっては構ってもらえないことがストレスになり、行動を改めるきっかけになる場合もあります。しかし、無視をし続けることで「愛情がなくなった」と感じさせてしまうリスクもあります。
項目 | 内容 |
---|---|
メリット | 過度な構って要求行動を減らす場合がある |
デメリット | 猫が不安を感じ、ストレスや問題行動が増すことも |
無視が有効かどうかは猫の性格によります。構ってほしくてイタズラをするような猫には一時的に効果がありますが、繊細な子には逆効果です。
無視をする場合も、時間を限定するなどバランスを取ることが大切です。
猫に効果的な叱り方としつけのコツ

猫に対して効果的に叱るためには、「恐怖で従わせる」のではなく「行動と結果の関係」を猫に学ばせることが重要です。
叱る際は、現行犯で静かに注意し、望ましい行動をしたときには積極的に褒めることが基本。音やスプレーなど間接的な方法も、猫が人間を怖がらないように工夫すれば有効です。
大切なのは、猫が自然に「やっていいこと」「やってはいけないこと」を判断できる環境を整えることです。
現行犯で注意するタイミングと方法
猫を注意する際は、問題行動をしている「まさにその瞬間」に対処することが不可欠です。猫は一連の行動の中で原因と結果を学ぶため、時間がずれると理解できません。
爪とぎや飛び乗りなどの行動を見かけたら、すぐに低い声で「ダメ」や「コラ」と短く伝えましょう。ただし、叫んだり怒鳴ったりしてはいけません。
猫が行動をやめたら、すぐに褒めて落ち着かせることで、学習効果が高まります。
音やスプレーを使った間接的な叱り方
猫に直接怒るのではなく、「嫌なことが起きた」と感じさせる間接的な方法も有効です。これは、猫が人間を怖がらず、行動そのものに注意を向けるメリットがあります。
例えば、猫が乗ってほしくない場所に上ったときに以下のような方法が使えます。
- 小さな音が出る缶や鈴を鳴らす
- 手を「パンッ!」と鳴らす
- 水スプレーを1回シュッと吹きかける(顔以外)
- 両面テープやアルミホイルで物理的に不快にする
ただし、スプレーは嫌悪感が強いため、多用しないように注意し、猫がスプレーを人と結びつけない工夫が必要です。
正しい行動を褒めて覚えさせる方法
猫のしつけは「叱る」よりも「褒める」ことが基本です。例えば、トイレでちゃんと排泄できたときや、決められた場所で爪とぎしたときなど、望ましい行動を取った瞬間にしっかり褒めてあげましょう。
猫は褒め言葉だけでなく、トーンや態度、時にはご褒美によって「これをすると良いことがある」と学びます。
褒めるときのポイント:
- 行動直後にすぐに声をかける
- やさしい声・なでる・おやつで伝える
- 一貫性をもって対応することが重要
叱るよりも、褒める機会を意識的に増やすことが、猫にストレスを与えずに行動を定着させる近道です。
ご褒美(フード・おやつ)の使い方
ご褒美は猫のしつけを助ける強力なツールです。良い行動の直後におやつを与えることで、猫は「この行動をすればいいことがある」と理解しやすくなります。
ただし、使い方を間違えると逆効果になることもあるため注意が必要です。
ご褒美を使う際の注意点:
- タイミングは行動の直後が鉄則
- 小さな量でOK(肥満防止のため)
- 毎回でなく「時々あげる」ほうが学習効果が持続
- 目的に合ったおやつを使う(低カロリー・嗜好性の高いもの)
ご褒美はしつけのモチベーションになる反面、依存を防ぐためにメリハリをつけた使い方が大切です。
声のトーンや態度の工夫
猫は言葉の意味を理解していませんが、声のトーンや雰囲気から感情を読み取る力に優れています。
そのため、叱るときは高圧的な大声ではなく、低めで静かなトーンを意識することが大切です。逆に、褒めるときは明るいトーンや高めの声でテンションを伝えると効果的です。
態度でも伝える工夫:
- 落ち着いた表情やジェスチャーで「安心感」や「不満」を伝える
- 怒るよりも無言で行動を止めることで、猫が冷静に学習できる
- 一貫した態度で接することで信頼が安定する
猫は感情に敏感な動物です。声と態度の使い分けが、伝わるしつけの鍵となります。
猫の問題行動とその対処法

猫の問題行動には、爪とぎ・粗相・噛みつきなどさまざまありますが、いずれも「猫なりの理由」が存在します。
人間にとって困る行動でも、猫にとっては自然な行動であることが多く、感情的に叱るのではなく、原因を理解し対処することが重要です。
まずは「なぜその行動をしたのか」を冷静に見極めることから始めましょう。叱るよりも、環境の改善や代替行動の促進が効果的です。
家具をひっかく場合のしつけ方
猫が家具をひっかくのは「爪とぎ」が本能的な習性だからです。爪のメンテナンスやマーキング、ストレス発散などの目的があります。
この行動を完全にやめさせることはできないため、「家具以外で爪とぎをさせる環境作り」が基本となります。
対処法のポイント
- 爪とぎ器を複数設置し、好みの素材を見つける
- 家具に両面テープを貼って触り心地を悪くする
- 爪とぎ場所で爪をといだら褒めてご褒美をあげる
爪とぎ器の場所や素材を工夫することで、自然と家具での爪とぎを減らせます。
やめさせようと思っても不可能だと理解しましょう。やってはいけない場所で爪とぎをさせず、正しい場所で爪とぎをきちんとさせることが大切です。
粗相(トイレ以外で排泄)への対応法
トイレ以外の場所で排泄する「粗相」は、体調不良・ストレス・トイレの不満などが原因の可能性があります。
叱っても猫には伝わらず、かえって不安や混乱を招くことがあります。まずは原因を探ることが先決です。
原因 | 対応策 |
---|---|
トイレが汚れている | こまめに掃除する(1日2回以上) |
トイレの場所が落ち着かない | 静かな場所に移動 |
トイレの数が足りない | 猫の数+1つ以上設置 |
病気の可能性 | 動物病院で検査を受ける |
猫が安心して使えるトイレ環境を整えることが最優先です。
噛みつき・引っかき行動の理由と対策
猫の噛みつきや引っかき行動には「遊びたい」「怖い」「触られたくない」などのさまざまな理由があります。
特に子猫や若い猫は加減を知らず、甘噛みがエスカレートすることも。まずは行動の背景を理解し、それぞれに適した対処法を行いましょう。
- 遊びすぎ・興奮 → 手ではなくおもちゃで遊ぶ
- 嫌なことをされた → 撫でるタイミングを見直す
- ストレスや恐怖 → 隠れ場所の確保や環境改善
叱るのではなく、落ち着いた声で「ダメ」と伝え、行動が収まったら静かに距離を取ることが効果的です。しつこく追い詰めると逆効果になるため注意しましょう。
猫との信頼関係を壊さないために

猫は繊細で警戒心が強く、人との信頼関係を築くには時間がかかります。
叱ることでこの信頼が簡単に壊れてしまうため、感情的に怒ったり、怖がらせたりする叱り方はNGです。
猫は人の表情や声のトーンを敏感に読み取るため、「怒っている」「怖い」と感じると距離を置いてしまうことも。しつけと信頼関係の維持を両立させるには、冷静かつ一貫した態度で接することが大切です。
また、叱る回数を減らすためにも、猫が快適に過ごせる環境づくりが重要です。
叱った後のフォローが大切
たとえ正しく叱ったとしても、そのまま放置してしまうと猫は不安になり、人への不信感が残ることがあります。叱った後には「安心しても大丈夫だよ」というフォローが不可欠です。
猫が落ち着いたタイミングでやさしく声をかけたり、そっと近くに寄り添ったりすることで、関係の修復が可能になります。
- 落ち着いてから静かに撫でる
- 名前を呼んでやさしく話しかける
- 好きなおやつやおもちゃで関心を逸らす
フォローのタイミングは、猫が自発的に近づいてきたときがベストです。
日頃からできるコミュニケーションの工夫
猫と良好な関係を築くには、日常的なコミュニケーションの積み重ねが大切です。しつけや叱り方も、普段の信頼関係があってこそ効果を発揮します。無理に触れ合おうとせず、猫のペースに合わせて接することがポイントです。
日頃できる工夫:
- 名前を呼んで声をかける習慣をつける
- 一緒に遊ぶ時間を設ける(1日10~15分でもOK)
- 猫が自分から寄ってきたときにやさしく撫でる
猫が「この人と一緒にいると安心できる」と感じることで、問題行動の予防にもつながります。
問題行動が治らないときの相談先(獣医・専門家)
何をしても猫の問題行動が改善しない場合は、早めに専門家へ相談することが大切です。
体調不良やストレス、脳神経の異常など、しつけではどうにもならない要因が隠れていることもあります。
相談先 | 対応内容 |
---|---|
動物病院(獣医師) | 健康面の確認、ストレスや病気の診断 |
ペット行動学専門の獣医師 | 問題行動のカウンセリングと改善法 |
ペットシッター・トレーナー | 環境や接し方のアドバイス |
問題行動を「性格のせい」と決めつけず、適切な対応を探すことが猫のためにもなります。
猫の叱り方は慎重に!正しい対応で信頼関係を深めよう
猫の叱り方には「正しい方法」と「やってはいけない方法」があります。重要なのは、「猫が何を学ぶか」を意識して接することです。
叱ること自体が目的になってしまうと、恐怖やストレスを与えるだけで逆効果になる可能性があります。
むしろ、環境づくりや望ましい行動を促す工夫こそが長期的なしつけには有効です。
そして、何より大切なのは日々の信頼関係の積み重ねです。慎重で一貫性のある対応を心がけましょう。
この記事の執筆者
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