猫はその愛くるしい見た目とは異なり、完全肉食動物でもあるため、鋭い歯が特徴的です。
そんな猫に甘噛みでもされたら、多少は痛いもの。エスカレートしていくとトラブルの元にもなるため、適切な対処が飼い主として必要不可欠です。
甘噛みだからといって放置していいものではなく、きちんと直すべき理由があります。そこでこの記事では、猫の甘噛みに関する疑問を解決し、適切な対処法をご紹介します。
この記事の結論
- 痛みのない甘噛みであったとしても、放置はNGで適切に対処すべき
- 甘噛みには状況によって理由があるため、なぜ噛むのかを理解することが大切
- 甘噛みされたときは、噛む理由に適した対処をすることが大事になる
- 甘噛みを含め、噛むという行為は猫にとって自然なので、完全にやめさせることはできない
目次
猫の甘噛みを放置してはいけない

猫にとって噛む行為は、人間のようにいけないことではありません。噛む行為そのものが、当然のことなのです。
そのため甘噛みであっても本気噛みであっても、猫は噛むことに対して罪悪感がありません。
「甘噛みなら痛くないし平気」と思う方もいるかもしれませんが、噛むという行為が一生涯、甘噛みだけに留まるとは限りませんよね。
甘噛みだからといって放置してしまうと、さまざまなトラブルに発展する可能性があるのです。
甘噛みと本気噛みの違いは手加減しているかどうか
甘噛みとはまた異なる本気噛みは手加減をしておらず、噛まれたときに痛みを感じる噛み方です。
甘噛みは痛くありませんが、本気噛みは痛い噛み方だ、と覚えておきましょう。本気噛みの場合、痛みを感じる噛み方であるため、飼い主さん自身もストレスになるでしょう。
いずれにしても噛むこと自体は猫にとって当たり前のことですが、噛んで良い場所とダメな場所を理解してもらう必要はあります。
甘噛みを放置しているとクセになる
甘噛みを「痛くないから」と言って放置していると、噛む行為自体がクセになってしまいます。本能的に噛んでしまうことは当然ありますが、飼い主さんを噛むことがクセになってしまうと問題ですよね。
優しく痛くない甘噛みのうちは問題ないでしょうが、それがどこかで本気噛みに変わってしまう可能性もあり、本気噛みではケガをしてしまいます。
噛むこと自体をやめさせることはできませんが、飼い主さんを噛むことはクセにするべきではありません。
猫の甘噛みを直すべき理由
甘噛みにはこうしたさまざまな理由があるものの、甘噛みは直すべき猫の行動です。その理由について、大きく3つにわけてご紹介します。
甘噛みがいつか本気噛みになる
痛くない甘噛みは、あくまで甘噛みであり、特に子猫期はまだ顎の力も強くありません。
しかし成猫になるにつれて顎の力が強くなっていき、甘噛みから本気噛みへと変わっていきます。本気噛みになってしまうと、本格的に「痛い!」と感じられるようになるでしょう。
そうなってから対処しようとしても上手くいかないことが多く、甘噛みであっても対処すべき理由です。
病気やトラブルの元になる
「猫に噛まれるだけでは、大きなトラブルになることが少ない」と思うかもしれませんが、その限りではありません。
実は猫に噛まれるだけで、感染症などの病気になることもありますし、トラブルの元になることもあります。
詳しくは後述していますが、中には最悪の場合、死亡する可能性もある原因になるのです。
愛猫が発端となって命に関わるというのはお互いに辛いもの。これを避けるためにも、噛まれないようにしておくことが大切です。
噛むことがクセになってしまう
猫の噛むという行為については、その全てをやめさせるわけにはいきません。それは不可能です。
しかし、飼い主さんを含めた人に噛みつくという行為は、やめさせる必要があります。前述の通り、甘噛みがいつかは本気噛みになってしまう可能性があり、そうなってしまうと大変です。
噛む行為を完全にやめさせることはせず、あくまで人や動物に対して噛む行為は対処すべきです。
猫が甘噛みする理由

ではそもそも、猫はどんな理由で甘噛みしてしまうのでしょうか。表現方法として、人間の言葉を話すことができない以上は手足や口を使って表現することが多くなります。
噛んでしまう理由を知ることで、理由に応じた解決方法を実践していくことができます。愛猫の行動をよく観察することで、その理由を特定できるようになります。
遊びたい
子猫によく見られるのが、狩りの本能を満たすための甘噛みです。動くもの(人の手や足など)を獲物と見なしてじゃれつき、甘噛みをします。
- 付随する行動の例: 楽しそうにジャンプする、尻尾を振る、瞳孔が大きくなる、獲物を見つけたときのように身を低くする。
痛みや病気
体に痛みや不調があるとき、触られるのを嫌がって甘噛みすることがあります。特に、普段は甘噛みをしない猫が急に噛むようになった場合は、病気のサインかもしれません。
- 付随する行動の例: 特定の場所を触られると唸る、体を触られるのを嫌がる、食欲がない、元気がなくなる。
ストレスや不満
引っ越しや新しい家族の増加、環境の変化などでストレスを感じると、不安や不満を甘噛みで表現することがあります。
- 付随する行動の例: 執拗なグルーミング、粗相、食欲不振、いつもと違う場所で隠れる。
要求
「ごはんが欲しい」「遊んでほしい」といった要求を伝えるために甘噛みすることがあります。甘噛みをして要求が通ると、猫は「甘噛みすればいい」と学習してしまいます。
- 付随する行動の例: 飼い主の周りで鳴く、足にまとわりつく、物を落とす、じっと見つめる。
恐怖や威嚇
慣れない人や物、大きな音など、恐怖を感じたときに自分を守ろうとして甘噛みすることがあります。
- 付随する行動の例: 耳を伏せる、体を低くする、瞳孔が大きくなる、唸る、「シャーッ」と威嚇する。
甘噛みは、猫からの大切なメッセージです。愛猫の行動をよく観察し、その原因を理解した上で、適切な対処を心がけましょう。
猫が甘噛みをするときの対処法・しつけ方

それでは実際に愛猫に甘噛みをされたとき、どうすればよいのか確認しておきましょう。大変なことではなく、とっさにできるものばかりなので、ぜひ覚えておいてください。
反応しない
構ってほしくて甘噛みをしてきているようなときには、反応しないことが大切です。
噛むことによって「構って欲しい」「遊んで欲しい」という意思表示をしているので、リアクションは逆効果。
ここで手を瞬時に引っ込めたりリアクションをしてしまうと、「遊んでくれている!」と勘違いしてしまいます。
「噛むことによって遊んでもらえている」という認識になってしまうので、反応しないほうが良いでしょう。
噛まれた手を押し込む
遊んでいる最中や、じゃれあっているときに噛まれた場合には、手をグッと押し込みます。
突然噛まれたらついつい手を引っ込めてしまうと思うのですが、そこは反対に押し込むのです。
手を瞬時に引っ込めると「獲物が逃げた!」と思い、反対にヒートアップしてしまうこともあるため、あまり適していません。
口の中に押し込むことで、猫を冷静にさせます。ただし、ケガをしないように手は押し込みすぎず、力を入れすぎないことも大切です。
そっと手を隠す
手足を獲物だと思わせないことが大切ですが、獲物だと思われているなら見せないことも大事。噛んできそうだなというタイミングで手は隠し、代わりにおもちゃを与えましょう。
このとき、おもちゃのように瞬間的に動くと追っかけられることもあるため、「遊ばないよ!」という意思表示ができればOKです。
手を隠すだけでなく、同じ空間から去るというのも効果的です。噛まれてから手を隠すのではなく、噛まれる前に対策をするということです。
「痛い」「ダメ」と低い声で発する
猫は叱られるという習慣がそもそもないため、叱られることに慣れておらず、叱られても「何が悪いことなの?」という動物です。
そのためガミガミと叱っていても効果はなく、短い言葉だけで学習してもらう必要があります。
もし噛まれたら、「痛い」「ダメ」のようにいい、決して叩いたりガミガミと叱り続けることはないようにしましょう。
嫌だという意思表示としては、低い声を発するというのがポイントになります。
噛むおもちゃを与える
噛んではいけないものを噛んだときの対処法とは別に、噛んで良いものを与えるということも大切。
噛んで良いものがひとつもなくなってしまうと、猫にとってはストレスで結果的にまた噛み始めることになります。
そのため適度なバランスが大切になり、噛んでもよいおもちゃを用意しておくと便利です。
おもちゃによって噛めないということに対するストレスを発散し、人や動物に対する甘噛みの回数を減らします。
遊ぶ時間を増やす
そもそも一緒に遊んでいる時間がないために、構ってほしくて甘噛みをするということも十分ありえます。
日中はどうしても仕事や家事によって時間が取りづらいですが、それがストレスに繋がります。
だからこそ一緒にいられる時間帯は、短時間でも遊んであげることが甘噛みを減らす大事なポイントに。
ストレスによっても甘噛みは起こるため、ストレスを溜めないことで甘噛みを減らします。
多頭飼いならじゃれあってもらう
本来、子猫のうちから子猫同士でじゃれあっていると、噛んだときの加減を覚えます。どこまでが痛く、どこまでなら大丈夫なのか、子猫同士で理解し合うのです。
こうした機会がないと、甘噛みからエスカレートして本気噛みになりやすかったり、噛むときの加減がわからなくなります。
もし多頭飼いをしているならば多少のじゃれあいは良しとし、エスカレートしてきたら割って入る程度にしましょう。
猫に噛まれることで考えられる病気

基本的に猫の病気が人に伝染ることはありませんが、中には伝染るものもあります。代表的な3つの病気について、理解しておきましょう。
パスツレラ症
パスツレラ症はパスツレラ菌による感染症のことで、猫の口腔内にはほぼ100%存在しています。猫にひっかかれたり噛まれるとその傷口から感染し、痛みや腫れなどの症状が出てきます。
噛まれても重症化することは稀ですが、仮に重症化してしまうと敗血症や髄膜炎などを引き起こすこともあり、結果的に命に関わることもあります。
猫だけから伝染る病気だと思われがちですが、実は犬の口腔内にも75%ほどの確率で存在しているので注意が必要です。
カプノサイトファーガ感染症
カプノサイトファーガ感染症とは、犬や猫の口腔内に存在する
- カプノサイトファーガ・カニモルサス
- カプノサイトファーガ・カニス
- カプノサイトファーガ・サイノデグミ
を原因とする感染症のことです。
噛まれたりひっかかれたりすると感染することがあり、発熱や倦怠感、吐き気や頭痛などを引き起こすことがあります。
仮に感染しても稀にしか発症することがないと考えられていますが、重症化すると命に関わる可能性がある病気です。
猫ひっかき病
その名の通り、猫にひっかかれるのはもちろんのこと、噛まれたり傷口を舐められると発症する可能性のある病気。ひっかかれた部位が赤く腫れ上がったり、発熱や頭痛、食欲不振などに繋がることも。
通常であれば自然に治ることが多い病気ではあるものの、免疫機能を低下させる病気がある人や、免疫機能が低下しているときには感染が広がりやすくなります。
そうした場合には重症化してしまい、後遺症が残ってしまったり、死に至る可能性もあります。
猫の気持ちを理解して対処することが大切

「噛むことはダメだから、噛ませないようにしなきゃいけない」と、噛む行為自体をやめさせるのも危険なこと。
噛むという行為は猫にとって自然なことなので、噛んでも良い場所とダメな場所を理解してもらうことが大切です。
猫にとっては自然な行為でも、人間にとっては不自然な行為なので、境界線をきちんと作りましょう。
噛んでも良いものとは何かを覚えてもらい、同時に噛んではいけないものを覚えてもらうことが、お互いに気持ちよく生活できる大事なポイントになります。
この記事の執筆者
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