「愛猫に手術が必要と言われたけど、何を準備すればいいの?費用は?リスクは?」そんな不安を抱える飼い主さんは少なくありません。
猫の手術には避妊・去勢などの計画的なものから、病気や怪我による緊急性の高いものまでさまざまな種類があります。
本記事では、猫の手術に関する基礎知識から費用、注意点、術後のケア方法までを網羅的に解説します。不安を減らし、愛猫にとって最善の選択ができるようサポートします。
この記事の結論
- 猫の手術は予防や治療目的で行われることが多く、命にかかわるリスクを予防できる
- 避妊・去勢手術には健康面や行動面での利点があるが、獣医師と相談して決める方が良い
- 病気やけがによる手術は早期発見と判断が重要になるため、予防から考えていく
- 腫瘍摘出や異物除去など多様な手術が存在し、その子にあわせて獣医師が判断する
猫の手術とは?基本知識を押さえよう

猫の手術は、健康維持や命を守るために行われる医療行為です。
計画的に行う避妊・去勢手術から、病気や事故による緊急手術までさまざまなケースがあります。
飼い主としては、手術の目的やリスク、費用、術後のケアなどを理解したうえで判断することが大切です。
猫は痛みに敏感で、体調変化がわかりにくいため、獣医師の診断やアドバイスをもとに慎重に対応しましょう。
猫に手術が必要になる主な理由
猫に手術が必要となるのは、大きく分けて予防目的と治療目的の2つです。
避妊・去勢手術のように将来の病気や繁殖を防ぐために行う手術もあれば、すでに発症した病気やけがの治療として手術が必要になる場合もあります。主な理由は以下の通りです。
- 避妊・去勢手術(望まない繁殖の防止)
- 腫瘍の摘出(良性・悪性のしこりの除去)
- 骨折や外傷の修復
- 子宮蓄膿症などの緊急疾患
- 誤飲・異物の摘出
これらの手術は、猫の命や生活の質に直結する重要な医療行為です。早期の発見・判断が猫の健康維持につながります。
避妊・去勢手術の目的とメリット
避妊・去勢手術は、単に子猫が生まれないようにするだけでなく、健康面や行動面で多くのメリットがあります。
特に室内飼育の猫では、不要な発情や攻撃行動の抑制につながります。
項目 | 内容 |
---|---|
望まない繁殖の防止 | 飼い主が管理できない妊娠・出産を避ける |
生殖器系の病気予防 | 子宮蓄膿症・乳腺腫瘍・精巣腫瘍などの発症リスク軽減 |
行動面の安定 | マーキング・発情期の鳴き声・攻撃性の緩和 |
脱走の防止 | 発情による外出欲求が減少し、事故のリスクが減る |
これらの手術は、生後6か月前後で行うのが一般的です。適切な時期に行えば、猫もストレスを少なく過ごせるようになります。
病気・けがによる手術の例
猫は体調の変化を隠す傾向があるため、病気やけがが発覚した時点で手術が必要な状態になっていることも珍しくありません。
特に命に関わるケースでは、迅速な手術が回復の鍵となります。以下は、猫によく見られる手術の一例です。
- 腫瘍摘出手術(乳腺腫瘍や皮膚腫瘍など)
- 異物誤飲による開腹手術
- 骨折・脱臼などの整形外科手術
- 膀胱結石や尿道閉塞の手術
- 子宮蓄膿症手術(命に関わる緊急性あり)
これらの手術は、早期発見と適切な判断が何より重要です。普段から猫の様子をよく観察し、少しの変化も見逃さないことが、重症化を防ぐ第一歩となります。
猫の手術の種類別に解説

手術の種類によって、目的や手法、回復期間が大きく異なります。主な手術の種類は以下の通りです。
- 避妊・去勢手術:望まない繁殖を防ぎ、病気の予防にも効果的
- 腫瘍摘出手術:良性・悪性にかかわらず、成長を防ぐために実施
- 整形外科的手術:骨折や関節疾患などに対処
- 緊急手術:事故や急性疾患への迅速な対応
手術の必要性やリスクは猫の年齢や体調によっても変わるため、個別に獣医師と相談することが重要です。
避妊・去勢手術
避妊・去勢手術は、多くの飼い猫が経験する基本的な手術です。発情によるストレスや、将来的な病気(子宮蓄膿症、精巣腫瘍など)の予防効果もあるため、実施する飼い主が増えています。
手術は全身麻酔下で行い、日帰りまたは1泊入院となるケースが一般的です。術後の体調管理や傷口のチェックをしっかり行えば、比較的安全に回復できます。
手術の流れ
避妊・去勢手術は、以下のような流れで行われます。
- 事前の健康診断(血液検査など)
- 手術当日:麻酔下で手術を実施(30分~1時間程度)
- 回復室での安静
- 飼い主への引き渡しと自宅ケアの説明
手術自体は短時間で終わりますが、術後のケアが回復を左右します。
手術時期の目安
一般的に、生後6~8か月頃が手術に適した時期とされています。早すぎると体の成長に影響が出る可能性があり、遅すぎると発情や望まない妊娠のリスクが高まります。
特に女の子の場合、初めての発情前に手術を受けることで、乳腺腫瘍などの予防効果が高まるとされています。
腫瘍や内臓疾患に伴う手術
腫瘍(しこり)や内臓の病気による手術は、猫の命に関わるケースも多く、早期発見・早期治療がカギになります。
例えば乳腺腫瘍、肝臓腫瘍、腸閉塞などが該当します。こうした手術は避妊・去勢よりも手術時間が長く、入院期間も長くなる傾向があります。
費用も高額になるため、事前の説明を十分に受けておきましょう。
骨折や怪我の整形外科的手術
交通事故や高所からの落下により骨折や脱臼をした場合には、整形外科的な手術が必要になります。
金属プレートやピンで骨を固定する「内固定術」などが行われ、回復には時間と注意深いケアが求められます。
術後は運動制限や通院による経過観察が必要となり、完全な回復には数週間~数か月を要することもあります。
緊急手術とその対応方法
突然の嘔吐やぐったりした様子、激しい痛みを伴う症状は、緊急手術が必要なサインかもしれません。
異物誤飲や子宮蓄膿症、急性の消化器疾患などが原因となることがあります。こうした場合、迅速に動物病院へ連絡し、時間外対応が可能な施設を把握しておくことが重要です。
飼い主の早期判断が猫の命を左右する場面もあるため、日頃から備えておきましょう。
猫の手術にかかる費用の目安

猫の手術費用は、手術の種類や動物病院の設備、地域差によって大きく異なります。
避妊・去勢のような定型手術でも、費用は5,000円~30,000円程度と幅があります。一方で、腫瘍摘出や骨折などの複雑な手術になると、10万円以上かかるケースも珍しくありません。
費用には、麻酔代、検査代、入院費、薬代なども含まれるため、事前に明細を確認しておくことが大切です。
手術の種類ごとの費用相場
以下は、猫の代表的な手術費用の目安です。
避妊手術(雌猫) | 15,000~30,000円 |
去勢手術(雄猫) | 10,000~20,000円 |
腫瘍摘出手術 | 30,000~100,000円以上 |
骨折手術 | 80,000~200,000円前後 |
子宮蓄膿症手術 | 50,000~120,000円程度 |
あくまで目安であり、病院ごとの設備・手法で差が出るため、複数の動物病院で見積もりを取るのもひとつの方法です。
動物病院による費用の違い
手術費用は、病院の規模や地域、獣医師の経験によっても差が生じます。
例えば、都市部の動物病院では家賃や人件費が高いため、手術費用も高めに設定されている傾向があります。
また、夜間・緊急手術を行っている病院では、対応料や時間外料金が加算されることがあります。
事前に価格帯や対応内容を確認しておくことで、安心して任せることができます。
公的支援や助成金制度について
地域によっては、避妊・去勢手術に対して補助金や助成金制度が設けられている自治体もあります。
例えば、「飼い猫の不妊手術に対し数千円~1万円を支給」といった内容で、申請には事前登録が必要なケースもあります。
また、動物愛護団体やボランティア団体が主催する格安手術キャンペーンなどもあります。自治体や保護団体のホームページを定期的にチェックしましょう。
手術前に飼い主が準備しておくべきこと

猫の手術に向けて、飼い主ができる準備は多岐にわたります。手術当日だけでなく、事前の検査や体調管理、術後の環境整備も含めて入念な準備が必要です。
また、不安がある場合は獣医師に質問を重ね、納得したうえで手術に臨むことが大切です。事前準備の質が、猫の回復にも大きく影響します。
事前検査と注意点
手術前には、猫の体調確認のために血液検査・尿検査・X線検査などを行うのが一般的です。これにより、麻酔が安全に使えるか、体に異常がないかをチェックします。
前日は食事制限(絶食)が必要になる場合が多く、指示されたスケジュールを厳守することが重要です。持病のある猫や高齢猫は、追加検査が求められることもあります。
手術当日の流れと持ち物
手術当日は、猫を落ち着かせて動物病院に連れていくことが最優先です。持ち物としては以下のものを準備しましょう。
- キャリーバッグ(安全で通気性の良いもの)
- 病院から指示された同意書・診察券
- 術後に使うエリザベスカラー(必要な場合)
- 好きなおやつや毛布(安心材料として)
時間厳守や当日の体調変化の有無なども、獣医師にしっかり伝えることが大切です。
手術を受けるか迷ったときの判断ポイント
猫の手術を受けるか迷う場合は、「手術によって得られるメリット」「受けない場合のリスク」「猫の年齢や体力」などを総合的に判断しましょう。
緊急性がない場合は、セカンドオピニオンを求めるのも選択肢のひとつです。飼い主自身が納得して手術を決断することが、猫にとっても最善の結果につながります。
猫の術後ケアと注意点

手術後のケアは、猫の回復を左右する大切なプロセスです。傷口のチェックや投薬の管理、猫のストレスを軽減する工夫が必要です。
特に、術後数日は注意深く観察し、異変があればすぐに病院に連絡しましょう。術後のケアが行き届いていれば、回復も早くなり、再手術や合併症のリスクも低くなります。
入院期間と自宅療養の流れ
避妊・去勢手術などは日帰りまたは1泊の入院で済みますが、大型手術や高齢猫の場合は数日~1週間の入院が必要となることがあります。
退院後は、猫がリラックスできる静かな場所で過ごさせ、必要に応じてケージでの安静管理を行います。
傷口を舐めたり暴れたりしないよう、エリザベスカラーや包帯で保護することもあります。
術後に気をつけたい合併症や感染症
術後は、以下のような症状に注意が必要です。
- 傷口の腫れや出血
- 食欲不振・嘔吐・下痢
- 高熱や震え
- 呼吸の乱れやぐったりした様子
これらは感染症や合併症の兆候である可能性があるため、異変を感じたらすぐに病院へ相談してください。適切な対応をすれば、多くの場合は早期に回復します。
猫のストレスを軽減する工夫
猫は環境の変化に敏感な動物です。術後の不安や痛みからストレスを感じやすくなるため、以下のような工夫をしてあげましょう。
- 静かで安心できる場所に寝床を設置
- 他のペットや子どもとの接触を控える
- 好きな香りや毛布を用意する
- 甘やかしすぎず、普段通りの距離感を意識する
安心できる環境が、回復を助ける最大のサポートになります。
猫の手術に関するよくある質問(Q&A)
猫は手術を受けないとどうなる?
手術が必要と判断された場合、それを受けないと症状が進行し、命に関わるリスクが高まる可能性があります。
例えば子宮蓄膿症や腫瘍は、手術を行わなければ完治が難しく、猫の苦痛も長引きます。
不要不急の手術でなければ様子を見る選択肢もありますが、獣医師との相談が不可欠です。
猫に麻酔は大丈夫?リスクは?
全身麻酔には少なからずリスクが伴いますが、現在では安全性の高い麻酔薬やモニタリング技術の向上により、多くの手術で安全に使用されています。
特に高齢猫や持病がある猫ではリスクが増すため、事前の健康チェックが非常に重要です。
不安な場合は、麻酔の種類や安全対策について詳しく説明を受けましょう。
高齢猫でも手術できるの?
高齢猫でも手術は可能ですが、年齢に応じたリスクと回復力の差を考慮する必要があります。
健康状態が良好であれば、避妊手術や腫瘍摘出なども問題なく行える場合があります。
ただし、麻酔や術後管理には特に注意が必要なため、事前の精密検査と獣医師との綿密な相談が欠かせません。
この記事の執筆者
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