普段犬たちが食べているドッグフードには様々な添加物が含まれています。
食いつきを良くするための香料や、フードの劣化を防ぐための保存料など用途は多様ですが、添加物の中には本来必要のないものや、健康への影響が懸念されているものもあります。
この記事ではドッグフードに含まれている添加物について解説。
添加物の種類や役割、注意が必要なものなどを詳しく説明していきます。
愛犬のドッグフードの添加物が気になる方、安全性の高いフードをお探しの方はぜひ参考にしてくださいね。
この記事の結論
- ドッグフードの添加物は上限が定められており、表記が義務付けられている
- 栄養添加物のように総合栄養食基準を満たすために欠かせない添加物もある
- 無添加と表記されていても、全く添加物が使われていないわけではない
- 添加物の目的や効果を理解し、成分表を確認して愛犬にあったものを選ぶのが大切
ライター
猫を飼うのが初めてで戸惑うこともありましたが、今では日常に欠かせない大切な存在になっています。
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目次
ドッグフードの添加物とは
添加物は食品の品質を維持したり、栄養バランスを整えたりするのに大切なものです。
人間では無添加やオーガニック食品に高い関心を持つ人も多いため、添加物と聞くと健康に及ぼす影響が心配になる方もいるかもしれません。
しかし、フードから摂取しないと不足気味になってしまう栄養素が多い犬にとって、添加物は美味しさと栄養を維持するために非常に有用な存在です。
全ての添加物が悪いものというわけではないのと同時に、全ての添加物が安心して摂取し続けられるものでもありません。
ドッグフードの添加物は上限が定められている
ドッグフードに含まれる添加物は、ペットフード安全法によって上限が定められています。
添加物には栄養バランスを整えるための栄養添加物や、品質の劣化を防ぐための保存料や酸化防止剤などがあります。
しかし、使用上の注意が必要なものに関しては、科学的な知見に基づいて上限値が設定されています。
各メーカーはペットフード安全法を遵守し、添加物量を調整して犬に必要な栄養を安定的に摂取できるドッグフードを製造しています。
参考:環境省 ペットフード安全法基準規格等 [動物の愛護と適切な管理]
使⽤添加物は表記が義務付けられている
ペットフードは添加物を含めた全ての原材料についての記載が義務付けられています。
甘味料、着色料、保存料、増粘安定剤、酸化防止剤、発色剤が使われている場合は、用途名と添加物名の両方の記載が必要とされています。
そのため、気になる添加物が含まれているときは使用用途もあわせて確認しましょう。
パッケージに「酸化防止剤(ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物)」のように記載されていてすぐに判別できるようになっています。
総合栄養食基準を満たすために添加物は大切
ドッグフードには上図のように品質維持を目的とした添加物と栄養補助を目的とした添加物があります。
添加物と聞くと体にあまり良くないイメージを持つ方も多いかもしれませんが、ドッグフードの栄養バランスを整え、品質を維持するためには欠かせないものです。
犬の体に害を及ぼすカビや細菌など繁殖を抑えるための保存料や、フードの酸化を防ぐための酸化防止剤が含まれていないと、ドッグフードはすぐにダメになってしまうでしょう。
また、栄養の面でも添加物は必要です。
犬が自力で合成するのが難しいアミノ酸やビタミン、ミネラルなどを適切な量添加することで、ドッグフードのみで健康を維持できる総合栄養食基準を満たすことができます。
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ドッグフードに入っている添加物の役割
ドッグフードに使われている添加物には栄養価を高めたり、長期間の保存を可能にするなどの効果があります。
ここでは添加物が果たしている役割について解説していきます。
栄養バランスを整える
肉や魚、穀物などの原材料からだけでは摂取できない栄養を補強するために添加物が使用されることがあります。
犬はアミノ酸やビタミン、ミネラル、脂肪酸などを体内で十分に合成できません。
そのため、ドッグフードに添加物を加えることで効率的にバランス良く栄養を摂取できます。
シニア犬や関節に負担のかかる犬種向けに、関節をサポートしてくれる栄養素を添加しているものもあります。
保存性を高める
長期間にわたって安全に食べられる状態を保つためにも添加物は使用されます。
有害な細菌やカビなどによる汚染を防ぎ、ドッグフードの保存性を高めてくれます。
フードの長期保存が可能になり、開封後も比較的長い期間食べられるようになったのも添加物の役割によるもの。
ただし、保存性を高めるための添加物には健康リスクのあるものも含まれるので、フードを選ぶ際は注意が必要です。
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品質の劣化を遅らせる
添加物には品質の劣化を遅らせる働きもあります。
フードの劣化は細菌やカビなどの増殖による場合もありますが、その他にもフードに含まれる脂分の酸化が原因のケースもあります。
酸化が進むと風味が落ちて美味しくなくなるだけでなく、ビタミンや脂肪酸などが壊れやすくなり、ドッグフードの栄養低下の原因に。
また、酸化したフードは炎症を起こしやすくするため、慢性病や免疫系の病気にか罹りやすくなります。
酸化防止剤を適切な量使用することでドッグフードの劣化を遅らせ、美味しく栄養価の高い状態を維持できます。
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食いつきを良くする
食いつきを良くするために、犬が好む味や香りを添加しているフードもあります。
食欲増進のための添加物は有用な栄養素が含まれていないものも多いので、食いつきを良くする目的の添加物が入っている場合は注意が必要。
犬は甘い味が好きなため、甘味料が使用されているケースがありますが、与え続けると糖尿病などの健康リスクが上がる可能性もあります。
色を付ける
ドッグフードの中には着色料で色付けされているものもあります。
一見美味しそうですが、犬は人間ほど色を認識できず、見た目のキレイさは嗜好性に影響しないと言われています。
着色料は栄養的に必要なものではなく、飼い主さんに購買を促すために使用されていると言えるでしょう。
人工の着色料の中には健康に与える影響が懸念されているものもあります。
ドッグフードに使用される主な添加物の種類
ドッグフードに使用されている添加物には安全性が高いものと注意が必要なものがあります。
愛犬の健康を守るためには、添加物の使用目的や安全性を理解して選ぶことが重要。
ここではドッグフードに使用される主な添加物について解説していきます。
栄養添加物(サプリメント)
安全性が高い添加物
- ビタミン類
- ミネラル
- タウリン
- L-カルニチン
- グルコサミン など
ドッグフードに使われている栄養添加物は主に上記のようなものがあります。
犬の健康のために添加されているので安全性は高めですし、添加しないと必要な栄養として摂取できないものも多いです。
ドッグフードの製造過程で失われたり、犬が体内で合成できないものが栄養添加物として加えられています。
例えば、ビタミン類はドッグフードの製造過程で加熱するときに壊れやすく、タウリンは体内で合成できる量では十分ではありません。
脂質の代謝を高めるL-カルニチンや、関節サポート成分であるグルコサミンが健康サポート成分として含まれているフードも多くあります。
保存料
注意が必要な添加物
- ソルビン酸カリウム
- プロピレングリコール
- 安息香酸ナトリウム
- 亜硫酸ナトリウム
- ポリリジン など
保存料は細菌やカビの繁殖を抑え、ドッグフードの品質低下を防ぎます。
これらは長持ちするように抗菌作用の強いものが多いですが、体への影響も強くなると想定されるため注意が必要です。
ソルビン酸カリウムや安息香酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムはペットフードに用いられることが多く、適切な量を守れば安全と言われていますが、過剰摂取すると消化器系や神経系に悪影響が出ると懸念されています。
プロピレングリコールはトリーツなどに保湿剤や甘味料として使われますが、猫が食べると貧血を起こしてしまうため、犬と一緒に猫を飼っている方は注意しましょう。
ポリリジンは一般的には安全と言われており、ドッグフードだけでなく人間用の食品にも広く使われている添加物です。
しかし一方で研究が十分でないという声もあり、使用基準の設定もされていません。
いずれの保存料も適切な量を使用する分には問題ないとされていますが、安全性にこだわりたいときは成分表をチェックしてドッグフードを選ぶのも良いでしょう。
酸化防止剤
安全性が高い添加物
- アスコルビン酸
- クエン酸
- トコフェロール
- ミックストコフェロール
- ローズマリー抽出物 など
酸化防止剤はフードの酸化を遅らせることで劣化を防ぐ効果があります。
天然由来のものと化学合成されたものがあり、クエン酸やトコフェロール、ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物などの天然由来の酸化防止剤は安全性が高いとされています。
アスコルビン酸はブドウ糖を発酵させて作られた合成の酸化防止剤ですが、天然のビタミンCと安全性はさほど変わらず、体への影響は少ないと言えるでしょう。
注意が必要な添加物
- エトキシキン
- エリソルビン酸
- BHA
- BHT
- 没食子酸プロピル など
それに対して、上表のエトキシキン、エリソルビン酸、BHA、BHT、没食子酸プロピルは健康への影響が危険視されている酸化防止剤です。
化学合成の酸化防止剤は安価で製造できる反面、主要臓器の障害や染色体異常の原因になるなど、健康へのリスクが高いと言われています。
エトキシキンに至っては人間用の食品添加物や農薬への使用が禁じられているほど。
基準の範囲内であれば問題はないとされていますが、特別なこだわりがなければ上表で安全性が高いとされている酸化防止剤を使用しているものがおすすめです。
安定剤・凝固剤・保湿剤・乳化剤・膨張剤・pH調整剤
ここでご紹介する添加物は主に食感を保つために使われます。
ちゅ~るのような半液体状のおやつや、介護食のようなとろみのあるフードをイメージすると分かりやすいでしょう。
安全性が高い添加物
- グリセリン
- グアーガム
- キサンタンガム
- カシアガム
- ローカストビーンガム など
上記の安全性が高い添加物は、あくまでも下記の注意が必要な添加物に対してマシというものです。
とろみをつけるような食事は犬に必要とせず、ドライフードをふやかすだけで十分ですし、添加物が入っているよりも安心と言えるでしょう。
国内において指定添加物ではあるものの、海外において発がん性が確認されていないものなどを上記でご紹介しています。
注意が必要な添加物
- カラギーナン
- 膨張剤
- pH調整剤 など
安全性が高いものであれば適量の摂取は問題ありませんが、カラギーナン、膨張剤、pH調整剤などの添加物が含まれているものはできるだけ避けたいもの。
カラギーナンは海藻を由来とする天然の添加物ですが、安全性に確信が持てないことからEUでは乳児用のミルクへの使用が禁止されており、アメリカでは有機食品への使用が許可されていません。
また、膨張剤はふんわりとした食感を出すために用いられますが、パッケージの表示だけでは合成か天然かの判別ができない場合があるので注意が必要です。
pH調整剤に関してもクエン酸や炭酸ナトリウムなど、いくつかの成分を組み合わせて使用するため、パッケージの表示はpH調整剤としか記載されず特定の物質は表示されません。
食品のpHバランスを適切な範囲にとどめて腐敗を防いでくれるpH調整剤ですが、摂り過ぎると腸内の善玉菌を減らしてしまう可能性も指摘されています。
上記の添加物が含まれているドッグフードを購入するときは、安全性の高い添加物が使用されているか確認してから購入すると安心です。
香料・甘味料・調味料・動物性油脂
注意が必要な添加物
- グリシリジン・アンモニエート
- ソルビトール
- トレハロース など
香料や甘味料は犬の食いつきを良くするために使われる添加物で、良質な原材料を使用していれば基本的には必要としないものです。
犬は人間ほど繊細な味覚を持ち合わせていませんが、甘みや油分を好む傾向があるため、犬の好みに合わせて上記の添加物を使用することがあります。
もともと味も食感も優れている上質な素材を使用したドッグフードであれば、香料や調味料で味付けをする必要はありません。
上表の添加物は確かに食いつきを良くしてくれるものですが、犬に対しての危険性や適正量ははっきりと分かっていないところがあります。
安価なドッグフードには使用されていることも多いので、成分表をきちんと確認しておきましょう。
着色料・発色剤
注意が必要な添加物
- 亜硝酸ナトリウム
- 青色2号
- 赤色3号
- 赤色40号
- 赤色102号 など
着色料や発色剤はドッグフードの見た目を鮮やかにし、見た目を美味しそうにするために使われています。
しかし、犬は嗅覚や味覚により食欲を刺激されるため、見栄えで好き嫌いをすることはありません。
そもそも犬は赤い色を判別できずグレーに見えているため、犬の食欲を向上させる効果はないでしょう。
上記のような着色料や発色剤はドッグフードを美味しそうな見た目に整え、飼い主さんの購買意欲を高めるために使用されています。
犬にとって本来は必要のないものであり、特に上の表で取り上げているものは発がん性や腸疾患、肝機能の低下など、様々な健康上のリスクが問題視されているものです。
彩りの鮮やかなドッグフードを見かけた際は、その色が原材料に由来するものなのかチェックしておいた方が良いでしょう。
無添加ドッグフード=添加物ゼロ・安全性が高いではない
ドッグフードには無添加や添加物不使用と記載されているものが数多くありますが、それらの表記は必ずしも添加物を一切使用していないことを意味するわけではありません。
実は、ご紹介してきた保存料・酸化防止剤・香料・着色料などの添加物のうち、ひとつでも使用していないものがあれば無添加と表記できてしまうのが現在の日本のルール。
ドッグフードによっては保存料のみ無添加だったり、香料のみを使用していないケースがあります。
そのため、パッケージに無添加、添加物不使用などと書かれているものを購入しても、実際には安全性に注意が必要な添加物が含まれているかもしれません。
無添加と書かれているドッグフードが必ずしも安全性が高いとは限らないので、注意すべき添加物が含まれていないか、成分表を念の為に確認しておきましょう。
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添加物の目的を理解して愛犬に合ったドッグフードを選ぼう
今までドッグフードの添加物についてご説明してきましたが、フードに使われている添加物は基本的には使用基準に基づいて添加されているので、過剰に心配する必要はないでしょう。
なるべく添加物を抑えてドッグフードを選びたいときは、添加物がどのような目的で使用されているかを理解した上で成分表をチェックし、安全性の高いものを選ぶのがおすすめです。
また、犬の健康に影響を及ぼすのは添加物だけではありません。
愛犬の太り過ぎや痩せ過ぎ、運動不足など、基本的な生活サイクルが上手く回っていないと体調を崩す原因になります。
添加物が使用されているドッグフードでも、食欲がないときは嗜好性の高いフードを、食べきるのに時間がかかってしまう場合は賞味期限の長いフードを選んだ方が良いこともあるかもしれません。
愛犬の好みや、飼い主さんの生活スタイルに合わせて添加物と上手に付き合っていけると良いですね。
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この記事の執筆者
桐谷 肇
ライター
猫を飼うのが初めてで戸惑うこともありましたが、今では日常に欠かせない大切な存在になっています。
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