普段は自分で舐め取ってしまうため、愛犬の鼻水を見る機会というのはあまり多くありません。
しかし、ふとしたタイミングで鼻水が出ていることを確認したり、明らかに調子が悪そうなこともあるでしょう。
そんなときに気になる、「病院へ連れて行くべきか?」という判断ポイントなどをまとめました。
犬の鼻水にはどんな原因があるのか、考えられる病気などから詳しくご紹介していきます。
この記事の結論
- 犬の鼻水には、生理現象によるものと病気が疑われるものがある
- 黄色・緑色・赤色などの色がついた鼻水は、すぐに動物病院を受診すべき症状
- 鼻水と一緒に「くしゃみ・咳・発熱・目やに」などが見られると注意が必要
- 鼻水が透明ですぐに治まってくれているならば、様子見しても良い
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目次
犬の鼻水の原因
一般的に犬は、仮に鼻水が出たとしてもそのまま舐め取ってしまうことがあるため、飼い主さんが気付くケースは多くありません。
くしゃみの直後などには生理現象として見られるかもしれませんが、もし鼻水が垂れていたらすぐに気付くでしょう。
犬の鼻水には大きく分けて2種類あり、生理的な現象で起こる鼻水と、病気を発端とする鼻水があります。
これらについては人間と同じく、生理的なものであれば問題ないと判断することができ、病気を疑うようなものであれば動物病院を受診すべきだと言えます。
生理現象の鼻水
私たち人間でもあるように、鼻水は生理現象のひとつとして出ることがあります。
これは犬の場合でも同様で、生理現象の鼻水としては、主に下記のようなものが考えられます。
- 異物が鼻に入った
- 寒さによるもの
犬の鼻の位置は人間よりも低いため、室内飼いでもホコリが入りやすかったり、散歩中に草むらに突撃して反応してしまうことがあります。
その結果、くしゃみと同時に鼻水が出てくる、といったことは生理現象のひとつとして考えられるでしょう。
また、寒い環境にいると、冷気が体内に入らないよう、鼻水でガードするような仕組みも備わっています。
病気を疑う鼻水
前述したような生理現象の鼻水でない場合は、その多くを病気として疑って問題ないでしょう。
生理現象によるものは一時的なものが多く、そのときどきで治まっているものです。しかし、長く続くものであれば病気を疑う必要があります。
鼻水が垂れてくるまで鼻水の量が多くなる原因はさまざまで、病気ごとに重症度も異なります。
鼻水の色や状態を確認しながら、2~3日以上続くようなら早めに動物病院を受診すべきです。
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犬の鼻水の状態から考えられる病気
鼻水がどのように出ているのか、というのは病気の判断に繋がるひとつのポイントです。
特に鼻水の色は注視すべきポイントとなるので、よく確認してみましょう。
透明のサラサラした鼻水
一般的な鼻水は、透明でサラサラとした鼻水なので、生理現象の範囲内であると考えられます。
ただし、病気の初期症状としての鼻水は透明でサラサラしていることもあるため、全く問題ないというわけでもありません。
鼻水が長く続く場合や、子犬やシニアであればより注意して観察しておきましょう。
粘り気のある鼻水
ネバネバとした粘り気のある鼻水については、副鼻腔炎の疑いや初期症状から病気が進行している可能性があります。
透明のままということもありますが、次にご紹介するような黄色や緑色がかった鼻水に変わっていきます。
泡状の鼻水
色自体は透明なものの、空気が入っているような鼻水が見られた場合には注意が必要。
泡状の鼻水は命にかかわることもある、肺水腫の症状として知られています。
泡状の鼻水に加え呼吸が苦しそうな場合は、すぐに動物病院を受診してください。
黄色・緑色がかった鼻水
ウイルスや感染症を始めとした風邪の症状などから見られるのが、黄色や緑色をした鼻水です。
色が変わってくると鼻炎などから始まっていても、細菌が増殖していると考えられます。
「色がついている」と言うだけで危険度は上がりますので、すぐに動物病院を受診しましょう。
赤みがかった鼻水
出血を始めとする赤みがかった鼻水については、ウイルスや感染症に加えて外傷なども考えられます。
鼻腔内腫瘍などの可能性もあるので、油断できない鼻水と言えます。
病気が進行しているときには出血が見られることもあるため、手遅れにならないようすぐに動物病院を受診しましょう。
犬の鼻水から考えられる病気
病気を疑うべき鼻水が見られた場合、すぐに動物病院を受診するのが良いです。
鼻水を始めとして考えられる病気の中には、命にかかわることもある、次のような病気が考えられます。
ケンネルコフ
生後6週から6か月までの間によく見られる鼻水の病気が、ケンネルコフ(犬伝染性気管気管支炎)と呼ばれるものです。
水様性の鼻水から始まり、徐々に粘り気と色のある鼻水に変わっていくケースもあります。
多くの犬が密集する場所でも広がりやすく、子犬を迎えたときにはかかっている、ということも。
その他にもウイルス感染で鼻水症状が現れるものとして、「パラインフルエンザウイルス、犬ジステンパーウイルス、犬ヘルペスウイルス」などがあげられます。
鼻炎
鼻の粘膜が炎症を起こすことによって、鼻水や鼻詰まりが発生する鼻炎。
こちらも水様性の鼻水から始まることが多く、場合によっては出血性の鼻水が見られることもあります。
くしゃみや発熱を伴うこともあるため、併発している症状についても確認が必要です。
鼻腔内腫瘍
鼻腔内に腫瘍ができることは多くないものの、その多くが悪性腫瘍だと言われています。
膿のような鼻水が出てきたり、出血を伴う鼻水が見られ、くしゃみや発熱を伴うことも多いです。
悪性腫瘍の場合には進行が早いため、早急な精密検査が必要になります。
歯周病
虫歯になることは非常に珍しい犬ですが、適切に磨けていないと歯周病になることはよくあります。
歯垢の細菌が原因となって炎症を起こし、その炎症が鼻にも波及していきます。
最初は水様性の鼻水であることが多いものの、徐々に色味がある鼻水に変わっていき、鼻血が見られることも。
重症になると顔の皮膚に穴が開くこともあるため、歯周病というイメージ以上に注意すべき病気です。
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肺水腫
肺の中に水が溜まることで呼吸が苦しくなり、命を落とすこともある肺水腫。
水様性の鼻水であることが多いものの、空気が混じった泡状の鼻水である、というのが特徴的です。
アレルギー(花粉症、ハウスダストなど)
犬にもアレルギーがあることは広く知られていると思いますが、花粉症やハウスダストなどもアレルギーのひとつです。
鼻水だけではなく、くしゃみが同時に見られることも多く、その原因となるものはさまざま。
アレルギーとは言っても、慢性化したり重症化することもあるため、症状の強さによっては受診が必要です。
犬の鼻水と合わせて注意したい症状
愛犬に見られる症状が鼻水だけではない、ということも多いはず。
鼻水が透明だったとしても、次のような症状を併発しているようであれば動物病院を受診するのがおすすめです。
鼻水と一緒に見られる症状について、詳しく見てみましょう。
くしゃみ
鼻水と一緒に見られる症状のひとつで、特に多いのがくしゃみです。
くしゃみをすることによって鼻水が出てくる、というのは人間でも思い当たるケースではないでしょうか。
アレルギー反応で出ていることも多いですが、生理現象のひとつとして出ることもあります。
咳
心臓病や肺水腫などの可能性があるのが、咳を伴う鼻水です。
くしゃみなどと比べてより注意が必要なので、早めの受診が必要になります。
犬の咳は最初こそわかりにくいと思いますが、「ケホッ」「カハッ」という音がします。
熱
鼻水と一緒に発熱しているケースでは、ウイルスや細菌に感染していると考えられます。
犬の体温を測るときには体温計を肛門から入れることが多く、犬によっては測定が難しい場合もありますので、動物病院でお願いするのが良いでしょう。
非接触型体温計など肛門以外でも熱を測る方法はありますが、正確に測るためには肛門から測る必要があります。
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目やに
鼻に入ったウイルスや細菌は鼻涙管を通り、目に波及することがあるため、目も影響を受けやすいです。
鼻水だけでなく、結膜炎になることもありますので、よく目やにが出ているようであれば感染症が疑われます。
目やには病気でなくとも見られることはありますが、色がついている目やにであれば注意が必要です。
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呼吸
呼吸がいつもより荒くなっている、というのも鼻水以外に確認したいポイントです。
安静時や激しい運動・散歩をしていない状態で息を切らしていることがあれば、呼吸困難に陥っている可能性もあります。
激しい運動をすれば息を切らすものですが、そうでない状況であればすぐに動物病院へ。
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様子を見ていい犬の鼻水
一言で言うならば、生理現象の鼻水については様子を見て良い、と言えるでしょう。
鼻に入ったホコリを出すためのくしゃみや鼻水、鼻についた水による刺激からの鼻水など。
鼻水自体も透明で治まってくれるならば問題ないケースも多く、すぐに動物病院を受診する必要はありません。
また、同時に「元気がなくなっていないか、食欲が落ちていないか」といったポイントも確認し、いつも通りに元気ならば心配することもないでしょう。
時間の経過とともに治ってくれれば良いですが、鼻水の色が変わってきたり、他の症状を併発してくるようであれば一度動物病院を受診するのがおすすめです。
病院を受診すべき犬の鼻水
動物病院を受診すべき鼻水としては、以下のようなものが挙げられます。
- 黄色や緑色、赤みがかった鼻水
- 粘り気のある鼻水
- 泡状の鼻水
- くしゃみや咳との併発
- 元気消失、食欲不振など
一般的な鼻水とは違い、明らかに病気であることがわかる鼻水は、すぐに動物病院へ。
早めに治療してあげられれば、症状が軽いうちに治ることも多いので、様子を見ずに受診しましょう。
その他の違いがなかったとしても、元気がなかったり食欲が落ちているようなケースでは、一度診てもらうのがおすすめです。
愛犬の鼻水を確認したら拭き取ってあげる
鼻水が出ていることに気づいたら、そのまま放置して自分で舐め取るのを待つのではなく、ティッシュなどで拭き取ってあげましょう。
特に粘り気のある鼻水や、色の付いた鼻水などは軽く拭いた程度では残りやすいです。こまめに拭き取ってあげ、鼻詰まりの原因とならないようにケアしてあげてください。
時間が経って固まった鼻水は、40℃ぐらいのお湯で湿らせたタオルを使い、しっかりと拭き取りましょう。
犬の鼻水の対処法・予防策
生理現象の鼻水を防ぐというのは難しいものの、ホコリやハウスダストなどは日常的なお掃除が効果的。
その他の病気を伴う鼻水については、次のような方法で予防していきましょう。
ワクチン接種
ウイルスが原因となる病気については、事前にワクチン接種を済ませておくことがもっとも重要です。
100%防げるというものではありませんが、ワクチン接種をしておくことで症状を軽く済ませることもできます。
定期的なワクチン接種が必要になりますので、忘れずに接種するようにしましょう。
日常的なデンタルケア
歯周病による鼻水の予防策としては、歯周病にならないようなデンタルケアになります。
歯磨きを嫌がる子は多いのですが、子犬期から少しずつでも慣れさせていけば難しくはありません。
デンタルケアを怠ると、歯周病だけでなく口臭の原因になったり、歯茎から出血がしたり、場合によっては歯が抜けることもあります。
毎日全ての歯をケアできればよいですが、嫌がる場合には2~3日で全ての歯をお掃除できるようなペースでやっていきましょう。
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室温湿度の管理
寒さによって見られる鼻水は生理現象ですが、室温や湿度を適切に管理することで、鼻水の回数を減らすことができます。
湿度が低いとウイルスが蔓延しやすくなりますので、50%~60%に保つことで人の風邪予防にもなります。
通常、室温は20℃~28℃程度が理想的だと言われているため、湿度と一緒に保つようにしてあげましょう。
ライフステージごとに知る犬の鼻水
鼻水と軽く考えるのではなく、ライフステージによっては急を要することもあります。
特に注意したいのは子犬期と老犬期。より注意深く観察し、判断しましょう。
子犬期
家に来たばかりの子犬は、すでに風邪にかかっていることもあります。
管理されていた空間でウイルスをもらっていることもありますし、まだワクチン接種が済んでいないこともあるでしょう。
特に子犬期は、ちょっとした症状でも重症になることがあるため、より注意深く見てあげましょう。
成犬期
子犬期や老犬期と比べて、成犬期にはそれなりの体力があるため、体調の変化に気付きづらいケースもあります。
しかし、前述したような症状が見られるときには、早めに動物病院を受診するようにしましょう。
特に持病を持っている子や、妊娠中の子などは、重症になるケースも考えられます。
老犬期
老犬期に入ると体力が落ちてくるため、子犬期同様に早めの治療が大切です。
運動が活発でなくなってくるに連れて気付きづらい部分もあると思いますが、日々観察してあげましょう。
愛犬の鼻水に気づいたら注意すべきこと
一時的な鼻水であれば心配するケースも少ないと思いますが、一緒に確認しておくと良い点がいくつかあります。
見逃してしまうと、気付いたときには症状が重くなっていることも考えられるため、ぜひ確認してみてください。
鼻水の状態はどうなっているか
透明の鼻水であれば、生理現象による鼻水であると考えられます。
しかし、透明の鼻水から始まって、徐々に症状が悪化していくケースも十分にあり得ます。
最初に気付いた鼻水が透明でサラサラしていたとしても、その後の観察を怠ることのないよう注意してください。
他の併発している症状がないか
「鼻水が透明でサラサラしている」ということが確認できた後、その他の症状がないか確認してみてください。
「くしゃみをしていないか、熱が出ていないか、咳をしていないか」といったポイントに注目。
くしゃみに関しては生理現象であることも多く、アレルギーによるものとしても考えられます。
特に呼吸が荒くなっていたり、熱が出ている、咳をしている、といった症状は注意が必要です。
日々、愛犬を観察して異変を察知しよう
なかなか気付く機会のない犬の鼻水ですが、愛犬に異変があればすぐにこれらを確認してみてください。
鼻水の状態によっては様子を見ることができるものもありますし、すぐに動物病院を受診すべきものもあります。
事前の予防策を忘れることなく、健康的な生活ができるようにお手入れしてあげてください。
また、犬の鼻水から考えられる病気については、一般的に人に移るようなものではありません。
愛犬に風邪の症状が見られたとしても、安心してケアしてあげてください。
この記事の執筆者・監修者
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