犬の病気・健康

【獣医師監修】犬の発情期はいつから?性別による行動や症状の違い

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性成熟を迎えた犬には、発情の兆候が現れます。

はじめて愛犬の発情を見た飼い主さんは、いつもと違う様子に驚いてしまったこともあるのではないでしょうか。

発情は犬の本能的な症状であり心配はいりませんが、望まない妊娠・繁殖を避けるためには男の子・女の子双方の飼い主さんがお互いに配慮し合う必要があります。

今回は、犬の発情の仕組みやサイクル、発情時の症状と注意点などを解説します。

愛犬がはじめての発情を迎える前の飼い主さんは特に、参考にしてみてくださいね。

この記事の結論

  • 犬にも発情期は存在しており、生後6か月頃から性成熟を迎える
  • 厳密にいうと、犬の女の子には発情期があるものの、犬の男の子に発情期はない
  • 発情期には体調不良や異常行動が見られることもあるため、注意深く観察する
  • 発情期の悪影響を防ぐには、事前の避妊手術(不妊手術)・去勢手術が適切

原 駿太朗

監修者

原 駿太朗

獣医師/ペット管理栄養士/ペット用品取扱士

大学卒業後、総合診療に加え夜間救急、整形外科の専門治療、東南アジアでの診察指導などに従事。
現在ではオンラインペットショップを運営する25Holdings Japanにてグローバル全体の自社ブランドの商品開発をする傍ら、”現役の臨床医”であり続けることにこだわり非常勤獣医師として動物病院に勤務も続ける。

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目次

犬の発情期とは交尾をして妊娠できる期間のこと

犬の発情期とは、男の子と女の子が交尾をして妊娠できる期間のことです。

いつでも妊娠できるわけでなく、生殖機能が整い発情期のあいだのみ妊娠可能となります。

体が生殖可能な状態となり、性成熟を迎えることで発情期が訪れます。

ここでは、犬の発情期にまつわる基本的な知識について解説します。

性成熟を迎えるのは生後6か月~12か月頃が一般的

犬の体が生殖可能な状態になり、性成熟を迎えるのは生後6か月~12か月頃といわれています。

性成熟期は犬によって異なり、小型犬は比較的早く、大型犬は遅めに訪れることが多いです。

大型犬の初めての発情期は生後12か月~24か月に訪れることも。

犬の発情は6か月~10か月の周期で起こり、1年に1~2回(春・秋)の発情期が訪れるのが一般的です。

人間でいう閉経にあたるものはなく、全身の機能が低下していなければ高齢になっても発情します。

女の子の生理は「ヒート」と呼ばれる

犬用施設を利用するときには目にすることも多い「ヒート」とはなんなのか。実は、女の子の発情期にあたる生理のことを「ヒート」と呼びます。

ヒートを迎えると外陰部が腫れて大きくなったり、10日程度の出血がみられます。

初めてのヒートの際は発情兆候が目立たないこともあり、飼い主さんも気が付かないうちに終わってしまっていることも珍しくありません。

犬用施設のルール内にはヒートに関する情報が記載されていることも多いため、知っておくと便利です。

男の子は発情期がない

男の子には、発情期はありません。生後6か月頃を目安に性成熟を迎え生殖可能となった男の子は、いつでも交尾が可能となります。

男の子の場合は、発情期の女の子のニオイに誘発されて発情が起こります。

発情した男の子は女の子を追いかけたり、女の子を巡って男の子同士でケンカをしたりすることも。

子孫繁栄の予定がなく、男の子の犬の発情を避けたい場合には去勢手術をするか、発情中の女の子に近づかせないようにすることが重要です。

バセンジーという犬種は発情期が年に一度しかない

犬の発情期は年に2回訪れるのが一般的ですが、バセンジーという犬種は発情期が年に1回しか訪れません。

通常であれば春と秋に発情期が訪れますが、バセンジーは秋のみ発情を示します。

バセンジーはとても古い歴史をもつ犬種の1種であり、発情期が年1回というのは犬の祖先であるオオカミと同じ特徴であるといわれています。

繁殖を考えている場合は年に一度しかチャンスがないので、女の子の発情の兆候を見逃さないようにしましょう。

犬の発情期間と周期

女の子の犬の発情期は大きく4つの段階に分かれており、体の中で繁殖に関する機能が働いたりホルモンバランスが変わったりしていきます。

ここでは、各段階ごとに起きる体の変化や現れる症状について解説していきます。

女の子の犬と暮らしている飼い主さんは、特にしっかりチェックしてみてくださいね。

発情期間は約2週間、1年に1回~2回の周期で繰り返す

愛犬と過ごしていくうえで、発情期の期間がどれくらいどの頻度であるのかを理解しておくと、事前に準備することができます。

個体差は多少ありますが、一般的に犬の発情期間は約2週間であり、1年に1~2回の周期で繰り返し訪れるのが一般的。

大型犬に比べると、小型犬はもう少し頻繁に発情期が訪れる子もいますので、個体差があることを覚えておきましょう。

女の子の発情期は春と秋に訪れます。

しかし現代は冷暖房が完備され、室内飼いの場合は気温の変化が感じれず季節感がないため、季節を問わず発情期が来る場合も。

発情前期(約9日間)

発情による出血が起こる、いわゆる生理の時期。ただ、犬の生理は人間の生理とはメカニズムが異なります。

人間の場合は妊娠が成立せず厚くなった子宮内膜が剥がれ落ちることで出血しますが、犬は妊娠準備のために厚くなった子宮内膜が充血し、血液がにじみ出ることで出血します。

犬の場合は発情出血のあとに排卵が起こるという仕組みです。

発情前期は外陰部が腫れ、陰部を舐めたり気にするような仕草が見られます。

ほかにも気分が落ち込む、食欲が落ちるもしくは旺盛になる、頻尿になるなどの症状が出ることもあります。

発情期(約10日間)

発情期とは、女の子が交尾可能になる時期。発情期に入ると出血量が減り、発情期に入って3日目頃には排卵が起こります。

交配に適している時期は、発情出血がはじまってから15日目~17日目といわれており、排卵後約4日間は受精が可能。

発情期の女の子は積極的にほかの犬に近寄ったり、お尻を向ける仕草をします。

反抗的になったり甘えん坊になったりと性格にも変化が現れ、鳴き声や夜鳴きが激しくなることも。

発情休止期(約2か月間)

卵巣で受精卵の着床や妊娠の維持に必要な働きをする黄体を作る期間を、発情休止期もしくは黄体期といいます。

男の子との交尾を許容しなくなってから約2か月間に及び、発情休止期感が続きます。

妊娠していなくても黄体は2か月ほどは機能し、しばらくすると退行してまた次の妊娠に備えて新たな卵胞が育つ仕組みです。

発情前期から発情期にあらわれていた症状は落ち着きますが、体の中はまだ妊娠期に近いような状態のため、ホルモンの影響で偽妊娠の症状が現れる子もいます。

また、発情休止期の終わり頃には、子宮内で細菌が繁殖しやすくなるため子宮蓄膿症のリスクが上がります。

陰部から黄色い膿が出たりお腹が張っている様子があれば、動物病院に相談してみてください。

無発情期(約4か月~8か月間)

発情休止期のあと、次の発情前期が訪れるまでの時期を無発情期といいます。

犬によって個体差はありますが、大体4か月~8か月続くといわれています。

この期間は繁殖に関わる機能は停止しており、妊娠はできません。

犬(女の子)の発情期の特徴

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妊娠を希望している場合もそうでない場合も、愛犬の発情期のタイミングは見逃さないよう気にかけておく必要があります。

個体差はあるものの、発情期を迎えた女の子にはいつもと違った様子・症状がいくつも現れます。

体に変化が現れ愛犬自身も戸惑いやストレスを感じる時期なので、飼い主さんがいち早く気がつきサポートしてあげてくださいね。

ここでは発情期の女の子に見られる特徴をご紹介します。

陰部を気にしたり舐めたりする

発情前期から発情期にかけて、外陰部が膨らんだり出血したりします。

陰部が気になり、頻繁に舐める様子が見られることも多いです。

陰部の大きさが通常の2倍~3倍になることも。病的な変化ではないので心配する必要はありません。

食欲が増える、減る

発情期の前後はホルモンのバランスが大きく乱れるため、食欲が不安定になることも。

食欲がなくなってまったくご飯を食べなくなってしまう子もいれば、逆に食欲が止まらなくなってしまう子もいます。

食欲不振の場合は、ドライフードをお湯でふやかしたり香りの強めなウェットフードを与えてみたり、食欲を取り戻せるよう工夫してみましょう。

食欲が旺盛になっている場合は、1日の摂取カロリーや給餌量をオーバーして肥満にならないよう注意が必要です。

元気がなくなる

人間の女性の場合も生理前後は体調を崩しやすいのと同じで、犬も発情期前後は具合が悪くなったり気分が落ち込んだりします。

中には散歩へ行くのを嫌がる子もいます。

これはホルモンバランスの乱れによるものであり、病的なものではないので心配する必要はありません。

飼い主さんがマッサージをしたりスキンシップをとってあげることで、リラックスできる子もいますよ。

落ち着きがなくなる

ホルモンバランスが変化することでストレスを感じやすくなり、神経質になったりイライラしやすくなります。

落ち着きがなくソワソワしたり男の子のところへ行こうとしたり、夜中になると大きな声で夜鳴きをはじめる子も。

特に夜鳴きは飼い主さんの睡眠妨害や近隣への騒音問題にもつながるため、悩みを抱える人が多いです。

おやつを与えたり遊んだりすることで一時的に気を紛らわせることはできますが、根本的解決にはなりません。

落ち着きのなさや夜鳴きがひどく、繁殖の予定がない場合は避妊手術も視野に入れてみることをおすすめします。

おしっこの回数が増える

発情期の女の子はおしっこの回数が増えたり、粗相を繰り返す場合もあります。

おしっこの量が増えるため、その分、失敗の回数も多くなってしまう傾向があります。

ホルモンバランスの変化により排泄量が増えるのは仕方のないことなので、叱らずに速やかに片付けましょう。

マナーパンツやおむつを使用するのもおすすめ。

おしっこでお腹が蒸れてしまうことがないよう、こまめにチェックして取り替えてあげてくださいね。

外陰部が腫れたり出血する

妊娠準備のために厚くなった子宮内膜が充血して血液がにじみ出ることで出血したり、外陰部がぷっくりと腫れたりします。

出血により床や家具などを汚してしまうこともあるので、マナーパンツを着用するのもおすすめです。

長時間履きっぱなしの状態にしてしまうと、おしっこでおむつの中が蒸れて皮膚炎につながるため、こまめに取り替えてあげてくださいね。

犬(男の子)の発情時の特徴

オーストラリアン・キャトル・ドッグ

男の子の発情は、発情期の女の子のニオイに誘発されて起こります。

興奮状態になった男の子は、しつけでは手に負えないような行動を起こすことも。

愛犬を危険に晒したりほかの犬に迷惑をかけてしまうことがないよう、発情の兆候を見逃さないようにしましょう。

ここでは男の子の犬の発情期の症状について解説します。

落ち着きがなくなる

発情中の女の子のニオイを察知した男の子は性的に興奮し、それ以外考えられなくなるほど落ち着きを失う子も多いです。

食欲不振になったり、遠吠えを繰り返す子も。

しっかりとしつけをされていて、普段はお利口に飼い主さんのいうことを聞いている子でも、手に負えない状態になってしまうことも珍しくありません。

本能的なものであり、しつけでどうにかできるものではないので、あまりにも症状がひどい場合には去勢手術を検討しましょう。

マウンティングする

飼い主さんの脚やぬいぐるみなどに覆いかぶさり腰をふる「マウンティング」という行為がみられます。

これは男の子が交尾のときに行う行為であり、「子孫を残したい」という犬の本能的な行動です。

もしくは、ほかの犬に対して「自分のほうが強い」とアピールするために行うこともあります。

散歩中などに女の子を追うような素振りを見せたら、近づかないように注意しましょう。

マーキングが増える

男の子は片足を上げておしっこをしますが、これは女の子にアピールをするための行為です。

自分をより大きい犬だと見せかけるため、なるべく高い場所におしっこをかけます。

発情中の男の子は、女の子にアピールするためにマーキングの回数が増える傾向があります。

最終的には、もうおしっこは出ていないのに足だけをあげていることも。

散歩中もあちこちにマーキングしてしまうため、なるべく家でおしっこを済ませてから出かけましょう。

愛犬が「おしっこがあちこちにかけて回るもの」と覚えてしまうとその後のしつけが大変。

しかし、マーキング行為をはじめる前に去勢手術を済ませておくと、マーキングの軽減が期待できます。

異性のところに行きたがる

発情期の異性の存在を認知すると、異性のところに行きたがります。

脱走してでも異性のもとへ行きたい衝動に駆られるため、屋外で飼育している場合は特に注意が必要です。

自宅から離れてどこかへ行ってしまったり、衝動的に飛び出して交通事故に遭ったりしないよう気を付けましょう。

未去勢の同性同士でケンカする

異性を巡って、未去勢の同性同士でケンカをすることもよくあります。

普段は穏やかな性格の子でも、発情すると急に攻撃的になることも珍しくありません。

男の子の発情は、発情期の異性に誘発されて初めて起こります。

ほかの犬とケンカしたり異性への欲求が募ることは、男の子にとってストレスです。

繁殖の予定がない場合はむやみに異性に近づけることは避けましょう。

発情期の愛犬(女の子)との過ごし方

発情期の女の子にはさまざまな症状が現れ、男の子の発情を誘発します。

女の子の飼い主さんは愛犬の体調を気にかけるのはもちろんのこと、男の子を刺激しないような配慮も必要です。

ここでは、発情期の女の子の犬との過ごし方を解説します。

女の子の犬と暮らしていく飼い主さんはぜひ目を通していただき、参考にしてみてくださいね。

散歩などで他に犬に会わないようにする

発情期の女の子をお散歩に連れて行く際には、ほかの犬になるべく会わないよう気を付けましょう。

犬の交尾が可能な期間が長く、約7日間といわれています。この期間に交尾をすると妊娠する可能性が高いです。

繁殖を望んでいない場合は、誤って妊娠してしまうことがないよう十分注意しましょう。

また、発情期の女の子のニオイは、男の子の発情を誘発します。

近所にも犬が住んでいる場合はいつもと散歩の時間をズラしたりコースを変えたりして、ほかの犬を刺激しないよう配慮が必要です。

また、おしっこのニオイだけも男の子には発情が分かるため、外でもおしっこはシーツにさせて持ち帰ったりおむつを履かせるのがおすすめ。

ドッグランなどたくさんの犬が集まる場所の利用は避けましょう。

サニタリーパンツやマナーパンツを着用する

出典:Amazon

出血が多い場合は、ソファやカーペット、愛犬のベッドなどに血がつき汚してしまう場合があります。

サニタリーパンツやマナーパンツを着用すると血が付着するのを防げ、とても便利です。

また、同じ散歩ルートや近所に男の子の犬がいる場合は、刺激してしまわないよう配慮が必要です。

散歩に出かける際にもマナーパンツを着用することでおしっこのニオイを抑えたり、ほかの飼い主さんたちに発情中であることを知らせる目印になったりします。

サニタリーパンツやマナーパンツの中は蒸れやすいので、皮膚がかぶれてしまわないようにこまめに取り替え、汚れた毛や皮膚は優しく拭き取ってあげてくださいね。

体調を崩したりしないか常に確認を

発情期のあいだは、陰部の腫れや出血に加え、頻尿・食欲不振といった症状が現れます。

発情期の体調不良があまりにも激しい場合は、動物病院に相談してみましょう。

発情休止期には、黄体から分泌されるホルモンの影響で免疫力が低下し、細菌などに感染しやすくなります。

子宮蓄膿症のリスクが上がるので、お腹が張るなど変わった様子があれば早めに動物病院に相談しましょう。

特に陰部は清潔に保つよう心がけ、膿が出たり異常に舐めたりしていないかなど、よく確認してあげてくださいね。

発情中の愛犬(男の子)との過ごし方

男の子の発情は、異性に誘発されて起こります。

発情した男の子は異性の近くに行きたい衝動に駆られさまざまな行動をとるので、飼い主さんが十分に注意し、コントロールする必要があります。

発情中の愛犬との過ごし方を解説するので、男の子の犬と暮らしている飼い主さんはぜひ参考にしてくださいね。

発情期の異性に近付けない

男の子は、発情中の異性のニオイに誘発されて発情します。

特定の子と繁殖の予定がある場合を除き、発情中の女の子に近付かないことがなにより大切です。

近所の子がマナーパンツを履いているなど発情期と思われる際には、愛犬を異性に近づけないよう注意しましょう。

散歩の時間をズラしたり、いつもと違う散歩ルートを使うのが効果的です。

また、誘発された男の子は異性の近くに行きたがるため、妊娠させてしまうことがないように十分な注意が必要です。

脱走しないように注意する

発情状態になった男の子は、必死に異性のところへ行こうとします。

屋外で飼育している場合、異性を追いかけようと脱走してしまうことも。

衝動的に飛び出してしまった場合、交通事故に遭ってケガをしたり命を落としてしまう可能性もあります。

異性のところに行きたいという欲求は本能的なものであり、抑えることは困難です。

脱走できないように柵の高さや頑丈さをよく見直しておくとよいでしょう。

ストレスを発散できる環境を作っておく

発情中は、攻撃的になったり落ち着きがなくなったりする子が多いです。

去勢手術をしない限り発情自体を抑えることはできないので、なるべくほかのことでストレス発散ができるよう工夫しましょう。

散歩の時間や回数を増やしたりして、できるだけ気を逸らしたりストレスを溜めさせないようにしてあげてくださいね。

犬の発情期に見られることがある偽妊娠の症状とは

人間にも妊娠していないのにお腹が大きくなったりする想像妊娠がありますが、犬もそれによく似た「偽妊娠」という症状があります。

排卵後に形成される黄体が、犬の場合は約63日間機能するといわれており、妊娠が成立していてもしていなくても、妊娠維持に必要な黄体ホルモンが分泌されます。

こうしたホルモンの作用から、乳腺が張ったり乳汁が出たりとまるで妊娠時のような症状がみられます。

ぬいぐるみなどをケージに持ち込んで、子育てをするような仕草を見せることも。

偽妊娠の症状は時間の経過とともに自然に落ち着くのが一般的ですが、中には食欲が落ちたり元気がなくなってしまう子もいます。

症状が重い場合は避妊手術を検討してみましょう。

愛犬の発情を落ち着かせる方法は避妊・去勢手術が効果的

男の子も女の子も去勢・避妊手術を行うことで発情のサイクルがなくなります。

交尾ができないことは犬にとって大きなストレスとなるため、繁殖を望んでいない場合は去勢・避妊手術が推奨されます。

女の子の場合は出血や夜鳴き、男の子はマーキングやマウンティング・遠吠えといった症状が落ち着くため飼い主さんの負担も軽減できるでしょう。

ここでは、去勢・避妊手術のメリット・デメリットを解説します。

女の子の避妊手術のメリット・デメリット

女の子の避妊手術は、お腹を数センチ切開し、子宮と卵巣もしくは卵巣のみを摘出します。

手術は1時間程度で終了するため日帰りでの処置も可能ですが、1泊の入院をすることが多く、費用は3万円5万円前後が平均です。

避妊手術を行うメリット・デメリットは以下のとおりです。

メリット・病気の予防が期待できる
・発情期のストレスを軽減できる
・望まない妊娠を防げる
・偽妊娠を防げる
デメリット・全身麻酔によるリスクがある
・太りやすくなる
・尿失禁になる可能性がある
・妊娠・出産が望めなくなる

乳腺腫瘍や子宮蓄膿症といった性ホルモンの影響で起こる疾患の発症率が下がるのが、なにより大きなメリットといえるでしょう。

また、発情期のストレスやほかの犬への配慮を考えたりといった負担も軽減できます。

初めての発情期を迎える生後6か月~8か月前後に避妊手術をすると、乳腺腫瘍の発症率が下がるといわれています。

避妊手術を考えている場合は、タイミングなどとかかりつけの獣医師に相談してみるとよいでしょう。

避妊手術を受けた女の子は食欲が旺盛になることがあり、肥満になりやすくなるので注意が必要。

避妊・去勢手術後用のフードを活用するなど、体重管理に努めましょう。

男の子の去勢手術のメリット・デメリット

男の子の去勢手術では、卵巣を摘出して精子を作れないようにします。

皮膚のみを切開する簡単な手術である場合が多く、30分程度で終わるので日帰りも可能です。

手術費用は3万円前後であることが一般的です。

メリット・病気の予防が期待できる
・望まない繁殖を防げる・ストレス軽減が期待できる
・マーキング行為の減少が期待できる・マウンティング行為の緩和が期待できる
デメリット・全身麻酔によるリスクがある
・太りやすくなる
・毛質や毛色が変わることがある
・子孫を残すことが望めなくなる

男の子の場合も前立腺肥大・精巣腫瘍など性ホルモンの影響で発症する疾患がありますが、去勢手術を行うことで発症率が低くなります。

マウンティングやマーキングの回数が減ったり女の子を求める衝動が抑えられたりするので、飼い主さんの負担も軽減するでしょう。

男の子も、女の子同様に去勢後は食欲が増す傾向があるので、肥満にならないようしっかり体重コントロールをしましょう。

まとめ

発情中の症状や行動は病的なものではないものの、いつもと違う様子に飼い主さんも戸惑ってしまいますよね。

発情のサイクルや発情時の行動などを理解し、冷静に愛犬をサポートしてあげましょう。

発情は本能的なものであり、交尾ができないことは男の子にとっても女の子にとっても大きなストレスとなります。

性ホルモンによる疾患のリスクもあるので、子犬を産ませる予定がないのであれば去勢・避妊手術も視野に入れましょう。

望まない妊娠をしたり愛犬にストレスがかかったりしないようにしてあげてくださいね。

この記事の執筆者・監修者

原 駿太朗

監修者情報

原 駿太朗

獣医師/ペット管理栄養士/ペット用品取扱士

大学卒業後、総合診療に加え夜間救急、整形外科の専門治療、東南アジアでの診察指導などに従事。
現在ではオンラインペットショップを運営する25Holdings Japanにてグローバル全体の自社ブランドの商品開発をする傍ら、”現役の臨床医”であり続けることにこだわり非常勤獣医師として動物病院に勤務も続ける。

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