ペットコラム

【医師監修】飼い主さんの犬アレルギー発症後は愛犬とどう関わる?

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愛犬との暮らしは幸せなものですが、大きなケガや病気がなくても、悲しい出来事も当然あります。

そのひとつが、せっかくお迎えしたというのに「アレルギーかもしれない…」ということ。

愛犬と触れ合って目がかゆくなったりする、もしくは家族や自身がアレルギー持ちで、これから犬を迎え入れたいけど犬アレルギーかどうか心配と悩んでいませんか?

この記事では、犬アレルギーとは何なのか?どんな症状が出るのかを解説するとともに、犬アレルギーの確認方法や症状を軽減するための対処法についてもご紹介しています。

この記事の結論

  • 犬のフケや抜け毛に付着したアレルゲンが原因で、犬アレルギーは引き起こされる
  • フケや抜け毛以外にも、尿や唾液などからでも犬アレルギーは起こりうる
  • 犬を迎え入れる前に、アレルギー検査はしておくと良い
  • 犬アレルギーは発症すると治ることがなく、症状を軽減することしかできない

甲斐沼 孟

監修者

甲斐沼 孟

国家公務員共済組合連合会大手前病院 救急科医長

これまでに臨床医師として15年以上キャリアを積み重ねて、主に消化器外科や心臓血管外科、救急診療を中心に実践して参りました。
2019年より2023年現在に至るまで大阪市内を中心に様々な業種の企業様や会社法人20社以上と産業医顧問契約を締結して職員の方々と保健衛生課題を共有して健康増進維持に寄与できるように精進しております。

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人が発症する犬アレルギーとは

人の犬アレルギーとは、犬のフケや抜け毛に付着したアレルゲンが原因で引き起こされる、アレルギー症状のことを言います。

人間も花粉が原因で花粉症になることがあるように、犬も花粉やハウスダストなどの異物が体内に入り、免疫機能が過剰に働くことによってアレルギーを発症します。

犬のいる部屋に入ったら急にアレルギー症状が出てしまうことがあるのは、アレルギー症状を持った犬のフケや抜け毛などを吸い込んだり触れたりするためです。

犬アレルギーの症状や症状の重さは人によって異なり、幼少期から発症する人もいれば突然発症する人もいます。

犬を飼い始めてから発症することも当然ありますし、数十年飼ってから発症するという人もいるほどです。

人間が発症する犬アレルギーの原因

人間が発症する犬アレルギーは、犬アレルゲンが体内に侵入することで症状を引き起こします。

主なアレルゲンとなる「犬の皮脂やフケ、尿、唾液」について順に見ていきましょう。

犬のフケや抜け毛

犬のフケや毛には、犬の体内で生成される「Can f1」と「Can f4」というアレルゲンが含まれており、特に「Can f1」は非常に小さく粘着性もあることが特徴です。

ホコリなどの微粒子に付着して空気中を漂うだけでなく、衣類や手など色々なところに付着します。

人がこれを吸い込んだり、皮膚に触れることによってアレルギーを引き起こしてしまいます。

犬が体を掻いたりブルブル体を振ったりするときだけではなく、ブラッシングのときもアレルゲン物質が空中に舞って浮遊する可能性は高いため注意が必要です。

犬の尿

犬の尿には、尿に含まれるタンパク質から生成される「Can f1」、前立腺由来の「Can f5」といったアレルゲンを含んでいます。

今では室内で犬を飼う家庭が多く、トイレシーツを敷いているから直接肌に触れることはないと考えるかもしれません。

しかし、尿が乾くとアレルゲン物質が空気中で舞ってしまうため、人の手や衣類に付着してアレルギー反応が出ることもあります。

犬の唾液

犬の唾液にもフケや尿と同様に、犬アレルギーの原因となるアレルゲン「Can f1」を多く含んでいます。

犬と触れ合ったときに、顔や皮膚を舐められるとアレルゲン物質が付着してしまい、体内に侵入することで犬アレルギーを引き起こします。

人懐っこい犬であれば顔をペロペロと舐めてくれることも多いですよね。嬉しい反面、こうしたアレルギーの可能性にも注意が必要となっています。

人の犬アレルギーの主な症状と対策法

アレルギー

犬アレルギーは犬アレルゲン物質が鼻や喉、皮膚などから体内に侵入することで引き起こりますが、症状は人によって異なります。

どのような症状があるのか見ていきましょう。

目の痒みや充血

目から犬アレルゲン物質が侵入すると、目の痒みや充血を引き起こすことがあります。

これを防ぐためには、犬を触った手で目を触ったり擦ったりすることは避けてください。

メガネを着用することで、多少はアレルゲン物質の侵入を防ぐことができます。

しかし酷いと目が腫れることもあるので、症状が出たらできるだけ早めに眼科で診てもらいましょう。

鼻の痒みや鼻水、くしゃみ

鼻から犬アレルゲンを吸い込むことにより、鼻がムズムズしてくしゃみや鼻水が出ることがあります。

犬を触ったときだけでなく、同じ空間にいることで症状が出ることも考えられます。

マスクをするなどして、犬アレルゲンの侵入を防ぐ対策を行いましょう。

花粉症の症状と似ているため犬アレルギーと気付かないこともありますが、おかしいと感じたら早めに耳鼻科で診てもらってください。

喘鳴

犬アレルゲンを吸い込むことで、気道に炎症が起こって咳が出たりゼーゼーと息苦しくなることがあります。

喘息持ちじゃないのに、犬と触れ合ったり同じ空間にいることで咳が続いたりする場合は、犬アレルギーを疑ったほうがいいでしょう。

もともと喘息を患っている場合は、症状が悪化することがあるので注意が必要です。

マスクをして犬アレルゲンを吸い込まないようにすることが望ましいでしょう。

じんましん

犬に直接触れた部分に痒みや赤み、腫れを伴うほか、空気中に浮遊しているフケや抜け毛が皮膚に触れることでも、じんましん症状が出る場合があります。

また皮膚の乾燥や、引っ掻いて赤くなっている部分に犬アレルゲンが接触すると症状が出やすい傾向にあります。

そして症状が悪化すると、アナフィラキシーを起こす危険もあるため注意が必要です。

犬アレルギーの中でも比較的多く見受けられる症状で、肌が弱かったりアレルギー持ちの人はできるだけ犬に触れない、犬のいる場所に近づかないようにしましょう。

下痢

犬アレルギーの症状が悪化すると、下痢などの重い症状を引き起こすことも考えられます。

下痢は普段の生活でも起こりえる症状のため、犬アレルギーだと気付かず放置してしまう人も多いです。

大人だけではなく乳幼児でも引き起こす可能性のある症状なので、少しでもおかしいと感じたら内科やアレルギー科で診てもらいましょう。

可能な限り犬のいる環境を避けることを考慮してください。

呼吸困難

犬アレルギーの重い症状は下痢のほかに、犬のフケや抜け毛などの犬アレルゲンに対する慢性的な気道の炎症が原因で、呼吸困難を起こすこともあります。

犬と接触する機会が多く、アレルギー症状が悪化するようであれば犬アレルギーを疑ったほうがいいでしょう。

呼吸困難は命に関わる症状のひとつなので、犬のいる環境に近づかないようにして症状が出たら早めに病院で診てもらってください。

犬を迎え入れる前に犬アレルギーであるか確認する方法

検査

新しい家族として犬を迎え入れたいけど、自分が犬アレルギーなのか分からないという人はいるでしょう。

せっかく迎え入れても犬アレルギーが辛くて手放してしまう、なんてことは避けなければいけません。

ここでは、ご自身が犬アレルギーか見極める方法をいくつかご紹介するので、参考にしてください!

病院で検査してもらう

最も有効なのが内科・耳鼻科・皮膚科・アレルギー科などの病院で検査をしてもらう方法です。

皮膚検査によるプリックテストと、血液検査のRAST(Radio Allergo Sorbent Testの略称)などがあります。

プリックテストRAST
検査方法皮膚にアレルゲンを触れさせる皮膚検査血液を採取してアレルゲン反応物質を調べる
検査結果約15分約1週間
料金約200円~400円13項目までは約5,000円
1項目の場合は約300円~800円

プリックテストは針で皮膚に小さな穴を開けてアレルゲンを投与する検査方法です。

約15分ほどで検査結果が分かり、約200円~400円(税込)の料金がかかります。

RASTは血液を採取してアレルゲンの有無を検査する方法です。

検査結果は約1週間かかり、13項目までは約5,000円、1項目なら約300円~800円の料金がかかります。

ただしアレルギー症状が出ていない場合や、多数の項目を調べたい場合は保険適用外になるので注意してください。

犬を飼っている人に頼んで触らせてもらう

犬を飼っている友人がいるのであれば、実際に触らせてもらえるか聞いてみましょう。

まずは人と犬が過ごした部屋にお邪魔させてもらって、実際にアレルギー反応が出ないか確認をしてみましょう。

問題なければ友人の愛犬に触らせてもらってみてください。

ここで注意してほしいのが、急に犬に飛びつかれたり顔を舐められたりしないようにすることです。

これらは犬の喜びや愛情表現のひとつですが、その行為によってアレルギー反応が出てしまう危険性は十分に考えられます。

「犬アレルギーかもしれないから、自分から触らせてほしい」と、あらかじめ友人に伝えるといいでしょう。

ドッグカフェ(犬カフェ)を利用してみる

お住まいの近くにドッグカフェがあるか調べて行ってみるのも、犬アレルギーを確認するのに有効です。

ドッグカフェは愛犬を店内に入れて一緒に食事ができるカフェですが、ほかのお客さんの愛犬に勝手に触れることはNG!

人が苦手な犬もいるので人を怖がっている様子であれば無理やり触ることは避けて、必ず飼い主さんの許可をとってから触らせてもらうようにしましょう。

また、勝手に食事を与えることもしてはいけません。

病気を患って食事を制限されている子もいますし、特定の食材でアレルギーが出てしまう犬もいます。

いずれにせよドッグカフェでは、自分勝手な行動や判断は避けて最低限のマナーを守るよう心がけましょう。

ペットショップで触らせてもらう

ペットショップでは、生まれて数か月の子犬に触らせてもらうことができます。

多くのお店で抱っこをすすめられますが、何しろ体が非常に小さいので絶対に落とさないようにしましょう。

不安であれば頭や体だけ撫でさせてもらうよう、店員さんにお願いしてみるといいでしょう。

この短時間で症状が出る人もいますが、短時間ではわからないケースも多いため、この時間で判断するのは難しいとも言えます。

ドッグランに行って触らせてもらう

ドッグランは犬が元気に走り回ったり遊んだりできるように広範囲を柵で囲ったスペースのことで、非常に多くの犬種と触れ合うことができます。

しかし、犬を飼っていない人は入場できないドッグランがほとんど。

柵越しに触れ合ったりすることしかできませんが、寄ってきてくれる犬はいますので、飼い主さんの許可をもらえれば触れられる可能性はあるでしょう。

どうしても直接触れたいのであれば、ドッグランスペースの外周りを散歩している人に声をかけてみるのもアリ。

間違っても勝手に触ったり、相手の愛犬の反応を見ずに無理やり触るようなことは絶対にしないようにしましょう。

犬と触れ合える施設に行ってみる

テーマパークや動物愛護センターといった施設も犬と触れ合える場所になります。

テーマパークでは動物と触れ合えるスペースを設置している所も数多くあり、人に慣れているため比較的触りやすいのが特徴。

動物愛護センターは野良犬や人に捨てられた犬を収容している施設で、主に保護や譲渡活動を行っています。

人に不慣れな犬が多いため、むやみに触ることで噛みつかれたりする危険性があることから、犬を迎え入れたことがない人にはやや敷居が高いかもしれません。

最近では、動物愛護センターが主催するふれあい体験のイベントなども増えています。

実際に犬を触る前には、職員の方やボランティアスタッフさんに相談してみるのもおすすめです。

事前検査をしても飼い始めてから発症することもある

さまざまな方法で事前に検査することはできるのですが、これらの検査も完璧なわけではありません。

実際にnademo編集部内でも、事前に「View39アレルギー検査、保護猫カフェの利用」などでアレルギー反応が出ないことを確認した上で、猫をお迎えしています。

View39アレルギー検査

しかし、お迎えしてから3日後には鼻水や鼻詰まりなどのアレルギーを発症しています。

もちろん事前検査をしておけばそこで反応する可能性もありますので、より精度高くお迎えするかどうかの判断をすることは可能です。

ただし、何が原因で発症するかはわかりませんので、その覚悟を持ってお迎えを検討するのが良いでしょう。

犬アレルギーは慣れたり治ることはない

残念ながら犬アレルギーは時間とともに、慣れることも治すことも難しいと言われています。

そもそもアレルギーは、アレルギー物質である花粉やダニなどのアレルゲンが体の中に入り、許容範囲を超えることにより発症するもの。

一般的な治療法としてはアレルギー源となる物質を、皮下注射で少しずつ体内に入れる、口に含んで飲むことでアレルギー反応を弱めていくなどの方法があります。

これらの治療法は、2~3年以上かけて行うことで体がアレルゲンに慣れていくとされていますが、犬アレルギーの場合はこの治療法を使うことができません。

しかし、犬アレルギーの症状を軽減することは可能なので、具体的な対処法を次の項でお伝えしていきます。

犬アレルギーの症状を軽減するための対処法

犬アレルギーの症状は慣れたり治すことは難しいですが、工夫してお世話することで犬アレルギーの症状をいくらか軽減することは可能です。

主に犬を迎え入れた後の方法になりますが、いくつか対処法をご紹介します。

室内の掃除と換気を心がける

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愛犬と一緒に過ごしていると、フケや唾液が飛散する状況が発生します。抜け毛が多い犬種であれば、あらゆる場所に毛が散乱することになるでしょう。

犬のフケや唾液、抜け毛はアレルゲン物質を含んでいるので、犬アレルギーの人がこれらを放置すると症状を引き起こす可能性が高くなります。

こまめにフローリングやカーペットを掃除したり、換気をすることで犬アレルギーの症状を軽減することに繋がるでしょう。

真夏や真冬など換気が難しければ、空気清浄機を活用するのも有効ですよ。

シャンプーして愛犬の体を清潔に保つ

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愛犬の体も、洗ってあげないと体に汚れが溜まることはもちろん、皮膚病やノミやダニが繁殖する原因になります。

犬アレルギーの人だけではなく、愛犬にも悪影響を与えてしまうので定期的にシャンプーしてあげましょう。

できることならトリミングサロンで、月に1回はシャンプーを頼むことをおすすめします。

素人がシャンプーをすると細部まで綺麗に洗うことが難しく洗い残しが出がちになるので、プロに任せるほうが安心ですよ。

ブラッシングで愛犬の皮膚トラブルを防ぐ

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愛犬をこまめにブラッシングしてあげることは、フケや抜け毛を減らすことに役立ち、ひいては皮膚病予防や毛玉予防、被毛を清潔に保つことに繋がります。

ブラッシングを怠ると皮膚の通気性が悪くなり、ノミやダニが繁殖しやすい環境に。その結果、皮膚トラブルを招きかねません。

理想は1日1回ブラッシングしてあげるのが望ましいですが、難しければ多少間隔をあけてもいいでしょう。

ブラッシングが苦手な子であれば、無理に行わずおやつをあげたり、狭い範囲を少しづつ行って慣らしてあげるといいですよ。

また犬アレルゲンを吸ってしまわないように、ブラッシングする際はメガネやマスクの着用を忘れずに実践しましょう。

愛犬に服を着せて毛が舞うのを防ぐ

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服を着せるのは愛犬を可愛く見せてくれますが、毛が抜けやすい犬種であれば抜け毛の飛散も防げます。

周りの人に抜け毛が飛んでいくのを最小限に抑えることもできるでしょう。

また愛犬に服を着せることは暑さを和らげたり、寒いときの体温低下を防ぐことにも役立ちます。

だからといってどんな服でもいいわけではありません。

通気性が悪くなると皮膚病になることもあるため、通気性の良い素材や着心地がいい服を選ぶなど、愛犬の健康を第一に考えてあげてくださいね。

愛犬が立ち入らないスペースを作る

出典 :https://www.amazon.co.jp/

犬アレルギーの場合、アレルギー症状を抑えるためにも愛犬と離れて過ごす場所を作ることをおすすめします。

寝室には人しか入れないようにする、愛犬が自由に遊べるスペースを用意して人は入らないようにするといった具合です。

立ち入れないスペースを作ることで犬アレルゲンに触れる機会を大幅に減らせます。

愛犬と遊んだ後は手を洗う

やはり自分が迎え入れた愛犬は、子犬でも成犬でもたくさん触って愛情を注いであげたいですよね。

しかし、愛犬を触った手で目や鼻などを触ってしまうと、アレルギー症状を引き起こしてしまうことになりかねません。

面倒に感じるかもしれませんが、愛犬を触った後は必ず手洗いをすることを癖付けましょう。

毛が抜けやすい犬種だと顔に毛が付いて、無意識に目を擦ってしまうこともあるので注意してください。

愛犬と人間の洗濯物は分けて洗う

愛犬に着せていた服には、アレルゲン物質となるフケや抜け毛がビッシリと付着しています。

人間の服と一緒に洗うと、アレルゲン物質が愛犬の服から人間の服に移ってしまうため、別々に洗濯するようにしてください。

愛犬の服を洗うときは洗濯機に入れる前にコロコロで抜け毛を取る、屋外ではたいて服に付着したフケを取ることで洗濯機に犬アレルゲンが入ることを軽減できます。

犬アレルギーでも犬を飼うことは可能

犬アレルギーは慣れたり治ることはありませんが、絶対に犬を飼えないわけではありません。

記事前半で解説した「犬アレルギーか確認する方法」と、先ほど解説した「犬アレルギー症状の軽減方法」を実践することで、犬と一緒に生活できる可能性は高くなるでしょう。

そのほかに、犬アレルギーを引き起こしにくい犬種を迎え入れる、という選択肢もあります。

アレルギー症状が全くないというわけではありませんが、症状が軽ければ飼い主さんとしても楽になりますよね。

どのような犬種が該当するのか次で見ていきましょう。

犬アレルギーを起こしにくい犬種

犬アレルギーを引き起こしにくいと言われている犬種をご紹介します。

ただしこれまで解説してきたように、どの犬もアレルゲン物質を保有しており、現段階で犬アレルギーを引き起こさない犬は存在しません。

ここでご紹介するのは、あくまでも「他の犬種と比べて、犬アレルギーの症状を引き起こす原因の抜け毛が少ないから飼いやすい」という意味であることを理解しておいてくださいね。

トイ・プードル

独特のカールを持つ被毛に覆われているトイ・プードルは、抜け毛が少ないことで知られており、犬アレルギーでも飼いやすい犬種だと言われています。

飼い主に忠実で無駄吠えが少ないことに加えて、明るく元気いっぱいな性格で友好的なのもトイ・プードルの特徴。

ただし、甘やかすとわがままになりやすい傾向があるので、飼い主がしっかりとしつけを行うことが大切になります。

好奇心が強く、非常に賢い

他人や犬に対しても懐く

臆病な面もあるため吠えやすい

とにかく体を動かすのが大好き

 その他情報

原産地 ドイツ,フランス
犬種グループ 9G:愛玩犬
大きさ 超小型
平均寿命 12歳~15歳
なりやすい病気 膝蓋骨脱臼,流涙症,白内障,副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群),外耳炎
参考価格 30万円前後
       

被毛

抜け毛 少ない
毛質 シングルコート
毛色 ブラック,ホワイト,シルバー,グレー,アプリコット,ブラウン,ブルー,カフェ・オ・レ,クリーム

体高

男の子24cm~28cm
女の子24cm~28cm

体重

男の子3kg~4kg
女の子3kg~4kg

マルチーズ

艶やかな白い被毛を持ち「犬の貴族」とも呼ばれるマルチーズ。

毛が絡まりやすいので定期的にトリミングしてあげる必要がありますが、甘え上手な性格で従順、運動量も少ないことからシニア世代でも飼いやすい犬種です。

気を付けたい点としては、甘やかしすぎると気が強くなってしまい吠え癖や噛み癖が出る点。

迎え入れたときから適切なしつけをしてあげましょう。

明るい性格だが、大人しい

とても人に懐きやすい

警戒心から吠えることもある

室内だけでも十分な運動量

 その他情報

原産地 マルタ
犬種グループ 9G:愛玩犬
大きさ 超小型
平均寿命 12歳~15歳
なりやすい病気 膝蓋骨脱臼,心臓病,流涙症,外耳炎
参考価格 20万円~40万円
       

被毛

抜け毛 少ない
毛質 シングルコート
毛色 ホワイト,レモン

体高

男の子21cm~25cm
女の子20cm~23cm

体重

男の子2kg~3kg
女の子2kg~3kg

シー・ズー

鼻ぺちゃで垂れ耳が魅力のシー・ズーは、温厚でフレンドリーな性格の持ち主です。

一方で保守的でプライドが高い面もあるので、甘やかしすぎずに飼い主さんが主導権を持って接してあげるといいでしょう。

抜け毛は少ないですが、長毛で毛玉ができやすかったり毛に異物が絡んだりすることもあるため、こまめにブラッシングをして上げる必要があります。

活発なときと、大人しいときの両面がある

人懐っこいが、マイペースでもある

比較的、吠えることは少ない

一般的な運動量と能力

 その他情報

原産地 中国
犬種グループ 9G:愛玩犬
大きさ 小型
平均寿命 12歳~15歳
なりやすい病気 椎間板ヘルニア,尿路結石症,幽門狭窄,乾性角結膜炎,結膜炎,緑内障
参考価格 15万円〜30万円
       

被毛

抜け毛 少ない
毛質 ダブルコート
毛色 ゴールド,ブラック,ホワイト,ブルー,シャンパン,ホワイト&ゴールド,ホワイト&ブラック

体高

男の子20cm~27cm
女の子20cm~27cm

体重

男の子4.5kg~8kg
女の子4.5kg~8kg

ヨークシャー・テリア

ヨーキーの愛称で知られるヨークシャー・テリアは、美しく細長い被毛が特徴的です。

用心深く気の強い面もありますが、好奇心旺盛で飼い主に忠実で甘えん坊な性格も。

抜け毛は少なく犬アレルギーでも飼いやすいですが、美しい被毛を保つためにも定期的にトリミングやシャンプーを行ってください。

暑さに弱いのでエアコンを適温に調整してあげましょう。

用心深さと勇敢さを持つ

少しずつ懐いていくタイプ

警戒心から吠えやすい

活発だが運動量は多くない

 その他情報

原産地 イギリス,イングランド
犬種グループ 3G:テリア
大きさ 超小型
平均寿命 13歳~16歳
なりやすい病気 門脈体循環シャント,膝蓋骨脱臼,レッグ・カルベ・ペルテス病,気管虚脱,尿路結石症
参考価格 30万円~40万円
       

被毛

抜け毛 少ない
毛質 シングルコート
毛色 ブラック&タン,スチールブルー,ゴールド,シルバー,ブラック&ゴールド,ブルー&タン,ブルー&ゴールド,ダークスチールブルー&タン

体高

男の子15cm~23cm
女の子15cm~23cm

体重

男の子2kg~3kg
女の子2kg~3kg

ミニチュア・シュナウザー

ミニチュア・シュナウザーはとても頭がよく、甘えん坊で忠誠心が強い犬種です。

一方で臆病で警戒心が強い一面もあり、知らない人や犬に対して吠えることもありますが、従順なのできちんとしつけを行えばコントロールは可能でしょう。

毛が抜けにくくニオイも少ないと言われていますが、毛玉や毛の絡みを予防するためにも、こまめなブラッシングと定期的なトリミングが必要です。

勇敢であり警戒心も強い

愛情深く従順

無駄吠えをしてもしつけはしやすい

多くはないが、適度なお散歩が必要

 その他情報

原産地 ドイツ
犬種グループ 2G:使役犬
大きさ 小型
平均寿命 12歳~14歳
なりやすい病気 レッグ・カルベ・ペルテス病,進行性網膜萎縮症(PRA),若年性白内障,尿路結石症
参考価格 30万円~40万円
       

被毛

抜け毛 少ない
毛質 ダブルコート
毛色 ブラック,ホワイト,ソルト&ペッパー,ブラック&シルバー,ウィートン

体高

男の子30~35cm
女の子30~35cm

体重

男の子4kg~8kg
女の子4kg~8kg

犬アレルギーの検査を行い、適切な対応をして愛犬と暮らそう!

犬アレルギーを完治することは難しいですが、犬と共に過ごすことは不可能ではありません。

適切な対策を実施することで、犬アレルギー症状を最小限に抑えながら飼うことができるでしょう。

しかし、まずはご自身が犬アレルギーかをチェックし、どの程度の症状が出るのか確認しておくことが最重要です。

何も知らずに犬を迎え入れたとして、実は重度の犬アレルギーだったとしたら一緒に過ごすことは厳しくなるでしょう。

そのときに悲しい思いをするのは愛犬だということを肝に銘じて、病院でアレルギー検査を実施してから犬を迎え入れることを強くおすすめします。

この記事の執筆者・監修者

甲斐沼 孟

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甲斐沼 孟

国家公務員共済組合連合会大手前病院 救急科医長

これまでに臨床医師として15年以上キャリアを積み重ねて、主に消化器外科や心臓血管外科、救急診療を中心に実践して参りました。
2019年より2023年現在に至るまで大阪市内を中心に様々な業種の企業様や会社法人20社以上と産業医顧問契約を締結して職員の方々と保健衛生課題を共有して健康増進維持に寄与できるように精進しております。
様々な病気や健康の悩みに対して、培ってきた経験と専門的な医学知識を最大限に活用して周囲の方々の不安を払拭して、問題解決に導けるように医療記事を執筆・監修しています。

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