ペットフードを選ぶ際に、「FEDIAFの基準をクリアした~」といった表示を見たことはないでしょうか。
このFEDIAFはペットフードと深い関わりを持っており、ペットフードを選ぶ際のひとつのポイントになってきます。
そんなFEDIAFと一緒に語られるAAFCOとの違いも明確で、正しいペットフード選びには知っておきたい情報ばかり。
今回はFEDIAFとは何か、その特徴や日本での扱いについて詳しく見ていきましょう。
この記事の結論
- FEDIAFというのは、ヨーロッパを中心にガイドライン制定している欧州ペットフード工業会連合のこと
- ヨーロッパにおいては、多くの国内業界団体やペットフード企業が加盟している
- 加盟した製造工場にはHACCPシステムの導入を義務化しており、徹底したフード製造を目指している
- 日本ではFEDIAFの定める栄養基準は採用されておらず、AAFCOの栄養基準を採用している
プレゼント企画やお友だち限定企画も用意してありますので、友だち追加お待ちしております!
目次
FEDIAFとは欧州ペットフード工業会連合のこと
FEDIAF(European Pet Food Industry Federation)というのは、ヨーロッパのペットフード基準を制定している団体のことです。
欧州ペットフード工業会連合とも言い、2024年5月現在で15の国内業界団体と5つの企業が参加しています。
ペットの健康と、健康に貢献するペットフードを生み出していくため、適切なペットフードが流通されるような基準を制定しています。
欧州委員会や欧州議会、欧州食品安全局(EFSA)などとも協力して活動しており、信頼できる団体と言えるでしょう。
ヨーロッパでは多くの国内業界団体・企業が加盟している
ヨーロッパを中心として活動している団体でもあるため、ヨーロッパでは多くの国内業界団体や企業がFEDIAFに加盟しています。
加盟国内業界団体 | ・オーストリア(ÖHTV) ・ベルギー(BEPEFA) ・チェコ共和国(SVPDZ) ・デンマーク(NPFA) ・フランス(FACCO) ・ドイツ(IVH) ・ハンガリー(FHFI) ・アイルランド(PFAI) ・イタリア(ASSALCO) ・オランダ(NVG) ・ポーランド(POLKARMA) ・ルーマニア(ARPAC) ・スペイン(ANFAAC) ・スイス(VHN) ・イギリス(UK Pet Food) |
加盟企業 | ・ネスレ ピュリナ ペットケア ・ヒルズ ペット ニュートリション ・マースペットケア ・ウェルペット ・アフィニティ ペットケア |
こうした各国の業界団体に加えて、日本で流通しているペットフードでも見かける企業が参加しています。
ヨーロッパはアメリカと同じくペット先進国でもあるため、こうした団体が多いのです。
HACCP(ハサップ)を義務化している
HACCPとは食品製造時の徹底した管理システムのことです。原材料の入荷から最終出荷に至るまで、その全てを管理し、「危険分析・衛生管理・記録化」などに重点を置きます。
FEDIAFに加盟しているペットフードの製造工場には、このHACCPシステムを義務付けています。
実はこのHACCPシステムは日本でも導入されています。ただ、人間用の食品のみとなっており、ペットフードに関しては義務化されていません。
こうした違いも、日本がペット後進国だと言われる原因になっています。
参考:厚生労働省「HACCP(ハサップ)」
日本ではFEDIAFの栄養基準が採用されていない
FEDIAFはヨーロッパを中心として活動している団体で、世界的に見ると後述のAAFCO(アフコ)がスタンダードとされています。
AAFCOはアメリカを中心として活動しており、FEDIAF同様にペットフードの栄養基準や表示基準を制定しています。
そして日本ではこのAAFCOの制定した栄養基準を採用しており、FEDIAFの制定した栄養基準は採用されていません。
この2団体で大きく栄養基準が異なるというわけではありませんが、このために「総合栄養食」と表記できるのは、AAFCOの制定した栄養基準をクリアした場合のみです。
FEDIAFの役割
FEDIAFはさまざまな基準を制定している団体で、ペットの健康長寿を守るためには、日頃からのペットフードが大切だと考えています。
- ペットフードの工場運営に関する要件
- ペットフードのラベル表示規制
- 動植物由来の原材料
- 添加剤は有用性、有効性、安全性に応じて
- 最終製品の管理をするためのサンプリングと分析方法
安全であり栄養価も高い、美味しいペットフードを供給するために各局と協力して、ペットフード業界の信頼できる団体となれるよう、こうした提案や改善を進めています。
これだけではなく、ペットの飼い方や動物の福祉、ペットの社会的な役割についてもミッションとして取り組んでいます。
あわせて読みたい
あわせて読みたい
FEDIAFは審査機関ではない
勘違いしやすいポイントのひとつではありますが、FEDIAFはガイドラインを制定している団体です。
そのため制定したガイドラインに準拠しているかどうかを判断する、いわゆる審査機関ではないということです。
「FEDIAFの基準をクリアした~」という表記があっても、それはFEDIAFが定めたガイドラインをクリアしているというもので、FEDIAF自体が審査をして可否判定したわけではないのです。
成分分析については成分分析センターにペットフードを送り、そこで検査してもらうような流れとなっています。
FEDIAF基準を満たしていても安全というわけではない
FEDIAFが定めたガイドラインをクリアしていたとしても、そのペットフードが絶対に安全ということはありません。
使用している原材料の栄養価や表示基準をクリアできても、その原材料が安全であることを証明するものではないからです。
ただ、これは後述のAAFCOでも同様のことです。
私たち飼い主がペットフードを選ぶときには、より高い基準で適切なペットフードを選ぶ必要があります。
「AFFCOだから大丈夫」「総合栄養食と記載されているから大丈夫」「FEDIAFだから大丈夫」ということではないのです。
あわせて読みたい
あわせて読みたい
FEDIAFの栄養基準(2019)
FEDIAFが制定している栄養基準について、現時点では最新の2019年verをご紹介します。
栄養バランスの整った愛犬・愛猫の食事を作り出すためには、こうした基準をクリアしていなければいけないのです。
犬のFEDIAFの栄養基準
栄養素 | 単位 | 成犬 (95kcal/kg 0.75) | 成犬 (110kcal/kg 0.75) | 子犬 (生後14週未満) | 子犬 (生後14週以上) | 最大値 L = EU法規制値 N = 栄養学 |
---|---|---|---|---|---|---|
タンパク | g | 21.00 | 18.00 | 25.00 | 20.00 | - |
アルギニン | g | 0.60 | 0.52 | 0.82 | 0.74 | - |
ヒスチジン | g | 0.27 | 0.23 | 0.39 | 0.25 | - |
イソロイシン | g | 0.53 | 0.46 | 0.65 | 0.50 | - |
ロイシン | g | 0.95 | 0.82 | 1.29 | 0.80 | - |
リジン | g | 0.46 | 0.42 | 0.88 | 0.70 | 成長期:2.80 N |
メチオニン | g | 0.46 | 0.40 | 0.35 | 0.26 | - |
メチオニン+シスチン | g | 0.88 | 0.76 | 0.70 | 0.53 | - |
フェニルアラニン | g | 0.63 | 0.54 | 0.65 | 0.50 | - |
フェニルアラニン+チロシン | g | 1.03 | 0.89 | 1.30 | 1.00 | - |
トレオニン | g | 0.60 | 0.52 | 0.81 | 0.64 | - |
トリプトファン | g | 0.20 | 0.17 | 0.23 | 0.21 | - |
バリン | g | 0.68 | 0.59 | 0.68 | 0.56 | - |
脂肪 | g | 5.50 | 5.50 | 8.50 | 8.50 | - |
リノール酸 | g | 1.53 | 1.32 | 1.30 | 1.30 | 成長初期:6.50 N |
アラキドン酸 | mg | - | - | 30.00 | 30.00 | - |
αリノレン酸 | g | - | - | 0.08 | 0.08 | - |
EPA+DHA | g | - | - | 0.05 | 0.05 | - |
ミネラル類 | g | - | - | - | - | - |
カルシウム | g | 0.58 | 0.50 | 1.00 | 0.80a 1.00b | 成犬:2.50 N 成長初期:1.60 N 成長後期:1.80 N |
リン | g | 0.46 | 0.40 | 0.90 | 0.70 | 成犬:1.60 N |
カルシウム:リン | - | 1:1 | 1:1 | 1:1 | 1:1 | 成犬:2:1 N 成長初期:1.6:1 N 成長後期:1.8:1a N or 1.6:1b N 繁殖期:1.6:1 N |
カリウム | g | 0.58 | 0.50 | 0.44 | 0.44 | - |
ナトリウム | g | 0.12 | 0.10 | 0.22 | 0.22 | - |
塩素 | g | 0.17 | 0.15 | 0.33 | 0.33 | - |
マグネシウム | g | 0.08 | 0.07 | 0.04 | 0.04 | - |
銅 | mg | 0.83 | 0.72 | 1.10 | 1.10 | 2.80 L |
ヨウ素 | mg | 0.12 | 0.11 | 0.15 | 0.15 | 1.10 L |
鉄 | mg | 4.17 | 3.60 | 8.80 | 8.80 | 68.18 L |
マンガン | mg | 0.67 | 0.58 | 0.56 | 0.56 | 17.00 L |
セレン(ウェット) | µg | 27.00 | 23.00 | 40.00 | 40.00 | 56.80 L d |
セレン(ドライ) | µg | 22.00 | 18.00 | 40.00 | 40.00 | 56.80 L d |
亜鉛 | mg | 8.34 | 7.20 | 10.00 | 10.00 | 22.70 L |
ビタミン類・その他 | - | - | - | - | - | - |
ビタミンA | IU | 702.00 | 606.00 | 500.00 | 500.00 | 40000 N |
ビタミンD | IU | 63.90 | 55.20 | 55.20 | 50.00 | 227.00 L 320.00 N |
ビタミンE | IU | 4.17 | 3.60 | 5.00 | 5.00 | - |
ビタミンB1(チアミン) | mg | 0.25 | 0.21 | 0.18 | 0.18 | - |
ビタミンB2(リボフラビン) | mg | 0.69 | 0.60 | 0.42 | 0.42 | - |
ビタミンB5(パントテン酸) | mg | 1.64 | 1.42 | 1.20 | 1.20 | - |
ビタミンB6(ピリドキシン) | mg | 0.17 | 0.15 | 0.12 | 0.12 | - |
ビタミンB12(シアノコバラミン) | µg | 3.87 | 3.35 | 2.80 | 2.80 | - |
ビタミンB3(ナイアシン) | mg | 1.89 | 1.64 | 1.36 | 1.36 | - |
ビタミンB9(葉酸) | µg | 29.90 | 25.80 | 21.60 | 21.60 | - |
ビタミンB7(ビオチン) | µg | - | - | - | - | - |
コリン | mg | 189.00 | 164.00 | 170.00 | 170.00 | - |
ビタミンK | µg | - | - | - | - | - |
猫のFEDIAFの栄養基準
栄養素 | 単位 | 成猫 (75kcal/kg 0.67) | 成猫 (100kcal/kg 0.67) | 成長期 / 繁殖期 | 最大値 (L) = EU法規制値 (N) = 栄養学 |
---|---|---|---|---|---|
タンパク | g | 33.30 | 25.00 | 28.00 / 30.00 | - |
アルギニン | g | 1.30 | 1.00 | 1.07 / 1.11 | 成長期:3.50 N |
ヒスチジン | g | 0.35 | 0.26 | 0.33 | - |
イソロイシン | g | 0.57 | 0.43 | 0.54 | - |
ロイシン | g | 1.36 | 1.02 | 1.28 | - |
リジン | g | 0.45 | 0.34 | 0.85 | - |
メチオニン | g | 0.23 | 0.17 | 0.44 | 成長期:1.30 N |
メチオニン+シスチン | g | 0.45 | 0.34 | 0.88 | - |
フェニルアラニン | g | 0.53 | 0.40 | 0.50 | - |
フェニルアラニン+チロシン | g | 2.04 | 1.53 | 1.91 | - |
トレオニン | g | 0.69 | 0.52 | 0.65 | - |
トリプトファン | g | 0.17 | 0.13 | 0.16 | 成長期:1.70 N |
バリン | g | 0.68 | 0.51 | 0.64 | - |
タウリン(ウェット) | g | 0.27 | 0.20 | 0.25 | - |
タウリン(ドライ) | g | 0.13 | 0.10 | 0.10 | - |
脂肪 | g | 9.00 | 9.00 | 9.00 | - |
リノール酸 | g | 0.67 | 0.50 | 0.55 | - |
アラキドン酸 | mg | 8.00 | 6.00 | 20.00 | - |
αリノレン酸 | g | - | - | 0.02 | - |
EPA+DHA | g | - | - | 0.01 | - |
ミネラル類 | g | - | - | - | - |
カルシウム | g | 0.53 | 0.40 | 1.00 | |
リン | g | 0.35 | 0.26 | 0.84 | f |
カルシウム:リン | - | 1:1 | 1:1 | 1:1 | 成長期:1.5/1 N 成猫:2/1 N |
カリウム | g | 0.80 | 0.60 | 0.60 | - |
ナトリウム | g | 0.10 | 0.08 | 0.16 | e |
塩素 | g | 0.15 | 0.11 | 0.24 | - |
マグネシウム | g | 0.05 | 0.04 | 0.05 | - |
銅 | mg | 0.67 | 0.50 | 1.00 | 2.80 L |
ヨウ素 | mg | 0.17 | 0.13 | 0.18 | 1.10 L |
鉄 | mg | 10.70 | 8.00 | 8.00 | 68.18 L |
マンガン | mg | 0.67 | 0.50 | 1.00 | 17.00 L |
セレン(ウェット) | µg | 35.00 | 26.00 | 30.00 | 56.80 L d |
セレン(ドライ) | µg | 28.00 | 21.00 | 30.00 | 56.80 L d |
亜鉛 | mg | 10.00 | 7.50 | 7.50 | 22.70 L |
ビタミン類・その他 | - | - | - | - | - |
ビタミンA | IU | 444.00 | 333.00 | 900.00 | 成猫:40000 N 成長期:40000 N 繁殖期:33333 N |
ビタミンD | IU | 33.30 | 25.00 | 28.00 | 227 L 3000 N |
ビタミンE | IU | 5.07 | 3.80 | 3.80 | - |
ビタミンB1(チアミン) | mg | 0.59 | 0.44 | 0.55 | - |
ビタミンB2(リボフラビン) | mg | 0.42 | 0.32 | 0.32 | - |
ビタミンB5(パントテン酸) | mg | 0.77 | 0.58 | 0.57 | - |
ビタミンB6(ピリドキシン) | mg | 0.33 | 0.25 | 0.25 | - |
ビタミンB12(シアノコバラミン) | µg | 2.35 | 1.76 | 1.80 | - |
ビタミンB3(ナイアシン) | mg | 4.21 | 3.20 | 3.20 | - |
ビタミンB9(葉酸) | µg | 101.00 | 75.00 | 75.00 | - |
ビタミンB7(ビオチン) | µg | 8.00 | 6.00 | 7.00 | - |
コリン | mg | 320.00 | 240.00 | 240.00 | - |
ビタミンK | µg | - | - | - | - |
FEDIAFとAAFCOの違い
ここまでの内容にも何度か登場したAAFCOは、FEDIAF同様にペットフードの栄養基準や表示基準を制定しているアメリカの団体です。
FEDIAFとAAFCOには複数の違いがありますが、活動内容は基本的に同じです。
大きな違いは3つほどあり、「活動拠点の違い」「制定している基準の違い」「日本での採用状況の違い」などがあります。
AAFCOはアメリカ、FEDIAFはヨーロッパ
AAFCOは全米飼料検査官協会(The Association of American Feed Control Officials)の略称でもあり、アメリカを中心に活動している団体です。
対してFEDIAFは欧州ペットフード工業会連合なので、ヨーロッパを中心に活動しています。
また、アメリカのAAFCOも同様にペットフードの栄養基準や表示基準を制定している団体で、こちらが世界的なスタンダードとなっています。
基準の一部が異なる
栄養基準や表示基準はそれぞれの団体が制定している基準なので、FEDIAFとAAFCOでは基準が異なっています。
大きく基準が異なっているというわけではありませんが、より詳細に公表されているのがFEDIAFの特徴とも言えるでしょう。
反対に表示基準に関しては、FEDIAFよりもAAFCOの方が厳しいと言われています。
AAFCOの栄養基準が日本では採用されている
日本ではFEDIAFよりもAAFCOの表記を多く見かけるはず。それは、日本のペットフード公正取引協議会が、AAFCOの栄養基準を採用しているからです。
そもそもAAFCOの制定した栄養基準は、アメリカだけでなく世界的にスタンダードな基準とされています。
そのため、日本でもAAFCOの定める栄養基準が採用されており、「AAFCO基準」という表記が見られるようになったのです。
また、主食と水だけでOKとされる総合栄養食は、このAAFCO基準に沿ってクリアしたもののみが表記できるルールになっています。
この記事の執筆者
nademo編集部
編集部
「いつまでも どこまでも」必要な情報を理解するだけではなく、心もお腹も満たされるような日々のために。
&nademo(アンドナデモ)のコンセプトをもとに、飼い主さんとペットが安堵できる時間を演出します。
※ 当コンテンツで紹介する商品は、実際に社内で利用した経験と、ECサイトにおける売れ筋商品・口コミ・商品情報等を基にして、nademo編集部が独自にまとめています。
※ 本記事はnademoが独自に制作しており、メーカー等から商品提供を受けることもありますが、記事内容や紹介する商品の意思決定には一切関与していません。
※ 記事内で紹介した商品を購入すると、売上の一部がnademoに還元されることがあります。
※ 監修者は掲載情報についての監修のみを行っており、掲載している商品の選定はnademo編集部で行っております。
※ 掲載している商品の順番に意図はなく、掲載の順番によってランク付けしているものではありません。