犬や猫も人間と同じように、自己免疫疾患にかかることがあります。
その中でも「血小板減少症」は、免疫の異常によって体内の血小板が破壊され、出血や内出血を引き起こす深刻な病気です。
特に症状が見えづらく、発見が遅れると命に関わるリスクもあります。
この記事では、「血小板減少症」の基礎知識から、主な原因、代表的な症状、検査・診断方法、治療法、そして飼い主ができる対策までを詳しく解説します。
この記事の結論
- 自己免疫疾患である血小板減少症とは、誤作動により自身の血小板を攻撃・破壊してしまう病気
- 血小板は止血のために欠かせない成分であるため、出血が止まらなくなる
- 血小板減少症になると、出血しやすくなり、内出血や元気消失が見られるようになる
- 早期発見・早期治療が重要になるため、飼い主として異変に気づくことが重要
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目次
犬や猫の自己免疫疾患(血小板減少症)とは?

犬や猫の自己免疫疾患である血小板減少症は、体内の免疫システムが誤作動し、自身の血小板を攻撃・破壊してしまう病気です。
血小板は血液を固めて止血する役割を担っており、その数が著しく減少すると、出血や皮下出血が起こりやすくなります。
症状に気づかず放置すると、内臓出血など命に関わる事態を引き起こすこともあるため、早期発見・治療が重要です。
発症の原因は明確に特定できない場合もあり、遺伝的要因や感染症、薬剤の影響などが関与すると考えられています。
血小板の役割と重要性
血小板は、血管が傷ついた際に素早く集まり血液を凝固させる、いわば「止血」のために欠かせない血液成分です。
犬や猫においても血小板の働きは極めて重要で、少しの傷からでも過剰な出血を防ぎ、体を守る役割を果たしています。
また、血小板は傷口の修復過程にも関与しており、損傷した血管を修復するための信号を他の細胞に送る働きも担っています。
血小板の数が減少すると、通常では止まるはずの小さな出血すら止めにくくなり、深刻な出血障害へとつながる危険性が高まります。
血小板減少症のメカニズム
血小板減少症のメカニズムは、血小板の破壊や産生低下によって体内の血小板数が異常に減少することにあります。
特に自己免疫性の場合、犬や猫の免疫システムが誤って自らの血小板を「異物」と認識し、攻撃してしまいます。これにより血小板が破壊され、体内での止血機能が著しく低下します。
加えて、骨髄での血小板の産生が阻害される場合もあり、感染症やウイルス、特定の薬剤が引き金となることもあります。
こうしたメカニズムによって出血症状が現れ、早期診断と治療が必要となります。
自己免疫性血小板減少症(ITP)とは
自己免疫性血小板減少症(通称ITP)とは、犬や猫自身の免疫システムが血小板を攻撃してしまう自己免疫疾患のひとつです。
ITPは一次性(特発性)と二次性に分類され、一次性は明確な原因が不明なケース、二次性は感染症、がん、薬剤反応などに伴って発症するケースを指します。
症状は出血斑、歯茎からの出血、血尿、血便などが代表的で、重度になると内臓出血により命に関わることもあります。
治療には主にステロイド剤や免疫抑制剤が使われ、症状の重症度や再発リスクに応じて治療方針が決定されます。
犬猫の自己免疫疾患(血小板減少症)の症状

犬や猫の血小板減少症は、目に見える症状が出にくい場合も多く、発見が遅れることがあります。
代表的な症状としては、少しの怪我でも出血が止まらなかったり、皮膚の下に小さな赤紫色の斑点(点状出血)が現れることがあります。
また、歯茎や鼻からの出血、血便や血尿などの内出血症状も見られる場合があり、特に歯茎となると気づきづらいでしょう。
病状が進行すると、全身のだるさや食欲の低下、呼吸困難を引き起こすこともあり、命に関わる危険もありますので、早期の異常発見と適切な治療開始が極めて重要です。
出血しやすい、血が止まりにくい
血小板減少症にかかった犬や猫は、軽微な衝撃や小さな傷でも出血が止まりにくくなります。
通常であれば短時間で血が固まるような小さな傷でも、血小板が不足しているため止血がうまく行われず、出血が長引きます。
また、爪切りや歯磨きなどの日常ケアでも出血することがあり、飼い主が異変に気づくきっかけとなることもあります。
さらに進行すると、自然発生的な鼻出血や歯茎出血が見られ、放置すると重大な内出血へと進展する恐れがあるため、注意が必要です。
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皮下出血・内出血のサイン
血小板が不足すると、体内での小さな血管損傷を止めることができず、皮下出血や内出血を引き起こします。
皮膚の表面に現れる赤紫色の斑点(点状出血)は、血小板減少症の典型的なサインです。腹部や内腿、耳の裏側など皮膚が薄い部分に出現しやすく、触れても痛がらないことが多いため見落としがちです。
特に犬や猫の場合、人間とは違って被毛に覆われているというのが一般的であるため、より見落としやすいでしょう。
また、内出血が進むと腹部膨満や呼吸困難、血尿、血便といった深刻な症状が現れることもあります。
見た目だけでは気づきづらいケースも多いため、体調変化にも細かく目を配ることが重要です。
元気消失・食欲不振などの一般的な症状
血小板減少症の犬や猫は、出血症状だけでなく、全身状態の悪化による一般的な不調も現れます。特に目立つのが元気消失や食欲不振です。
内出血や慢性的な出血によって貧血状態に陥るため、常にぐったりしている、運動を嫌がる、呼吸が浅く速いといったサインが見られることがあります。
また、体のどこかに痛みを感じている場合もあり、触られるのを嫌がるようになることもあります。
こうした微細な変化を見逃さず、早めに動物病院を受診することが重要です。
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犬猫の自己免疫疾患(血小板減少症)の原因とリスク要因

犬猫の血小板減少症は、多くの場合、免疫システムの異常によって引き起こされますが、他にも感染症、薬剤の副作用、遺伝的要因などが関係して発症します。
特に自己免疫異常が原因の場合、明確な誘因が特定できないこともあり、慢性的に症状がみられることもあります。
また、感染症や特定の治療薬がきっかけで免疫機能に異常が生じ、血小板が破壊されるケースも見られます。
さらに犬種や猫種によるリスクの違いも知られており、特定の犬種では発症率が高い傾向にあることも覚えておきましょう。
自己免疫異常による原因
自己免疫異常とは、体の免疫システムが誤って自らの細胞や組織を攻撃してしまう状態を指します。
血小板減少症の場合、本来なら異物だけを攻撃する免疫が、自身の血小板を敵と認識して破壊してしまいます。
この異常な免疫反応の原因は完全には解明されていませんが、遺伝的素因やストレス、環境要因などが関与していると考えられています。
特発性と呼ばれる明確な原因が不明なケースも多く、完治が難しいことから、長期的な管理と治療が必要になることが多い疾患です。
感染症・ウイルスとの関連性
犬や猫の血小板減少症の発症には、ウイルス感染や細菌感染が引き金になることがあります。
代表的な感染症として、犬ではエーリキア症やバベシア症、猫では猫白血病ウイルス(FeLV)や猫免疫不全ウイルス(FIV)が知られています。
これらの病原体は免疫機能を攪乱し、結果的に自己免疫異常を引き起こすことがあります。感染症に伴う免疫系の過剰反応が血小板の破壊を促進し、出血傾向を招くのです。
感染症予防のためにワクチン接種や予防薬を適切に行うことが重要です。
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薬剤の副作用が原因となるケース
一部の薬剤が、犬猫の免疫系に影響を与え、血小板減少症を引き起こすことが知られています。
特に、特定の抗生物質、抗てんかん薬、抗がん剤などが自己免疫反応を誘発し、血小板を誤って攻撃することがあります。
また、ワクチン接種後にまれに免疫異常が生じるケースも報告されています。
薬剤性の場合、投与を中止することで症状が改善することもありますが、重症化してしまうと治療に時間を要する場合もあります。
使用する薬剤については獣医師と十分相談し、副作用にも注意を払いましょう。
犬種・猫種による発症リスクの違い
血小板減少症は、すべての犬猫に発症する可能性がありますが、特定の犬種では遺伝的に発症しやすい傾向が確認されています。
特にキャバリア・キング・チャールズ・スパニエル、プードル、コッカー・スパニエルなどはリスクが高いとされています。
猫においては血小板減少症単独での発症リスク差は明確ではないものの、ウイルス感染症のキャリアである猫種(例:純血種)では免疫異常が起こりやすい傾向があります。
これらの種類だけが発症する病気ということではありませんが、犬猫の種類に応じた健康管理と定期検診が、早期発見・予防に大きく役立ちます。
犬猫の自己免疫疾患(血小板減少症)の注意点

血小板減少症を始めとした自己免疫疾患は、治療をしないまま時間が経過すればするほど、リスクが高まっていきます。
そのため、飼い主として何よりも重要なことは、少しでも早く異変に気づいてあげるということです。
どのようなものが初期症状にあたるのか、日常生活での配慮と共に確認しておきましょう。
早期発見・早期治療が重要
犬猫の血小板減少症は進行すると命に関わるリスクが高まるため、早期発見と早期治療が非常に重要です。
特に初期症状はわずかな出血や皮下斑点など目立ちにくいことが多く、注意深い観察が求められます。
異変に気づいたら速やかに動物病院を受診し、血液検査などを受けることが推奨されます。
早期の段階で診断と治療を開始すれば、回復率が高まるだけでなく、重篤な内出血や多臓器障害を防ぐことにもつながります。
日常の小さな変化を見逃さない意識が飼い主には求められることになるのです。
ストレス管理が重要
犬猫にとってストレスは免疫バランスを崩す大きな要因となっており、ストレスはさまざまな体調不良を引き起こします。
特に血小板減少症など自己免疫疾患では、ストレスによって症状が悪化するケースが珍しくありません。
そのため、生活環境を整え、静かで安心できる場所を用意すること、無理な運動や過剰な刺激を避けることが大切です。
また、治療中もできる限り愛犬・愛猫に負担をかけないよう配慮し、日常生活を安定させることが回復を早めるポイントとなります。
新たな環境変化や家族構成の変動もストレス要因になるため、細心の注意を払いましょう。
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出血リスクに対する日常生活での配慮
血小板減少症の犬猫は、わずかな外傷でも出血リスクが高まるため、日常生活において細心の注意が必要です。
フローリングの滑り止め対策、鋭利な家具の角の保護、階段や段差からの転落防止策など、物理的な怪我を防ぐための工夫が欠かせません。
さらに、激しい運動やジャンプを控えさせ、散歩時には無理な引っ張りを避けるようにします。
日常的なケア(例:ブラッシングや爪切り)でも、過度な刺激や出血を招かないよう慎重に行うことが重要です。
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定期的な検査と経過観察
血小板減少症は、一度回復しても再発する可能性があるため、定期的な血液検査や健康チェックが欠かせません。
治療後も一定期間ごとに血小板数や全身状態を確認し、再発の兆候を早期に察知することが大切です。
特に自己免疫疾患の場合、季節や体調の変化によって免疫バランスが崩れやすくなるため、普段から注意深く経過を観察する必要があります。
動物病院での定期健診に加え、家庭での行動変化や食欲、出血傾向なども日常的にチェックする習慣をつけましょう。
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犬猫の自己免疫疾患(血小板減少症)の予防と対策

犬猫の血小板減少症は、完全に防ぐことが難しい疾患ですが、発症リスクを下げたり、早期発見につなげたりするための予防・対策は可能です。
日常生活では、体調や出血傾向などの細かなサインに気づけるよう注意深く観察し、少しの異変でも早めに動物病院で診てもらうことが大切です。
また、ストレスを最小限に抑え、免疫機能を正常に保つ生活環境を整えることも重要。定期検診を通じて健康状態を常に把握し、未然に重症化を防ぐ意識を持ちましょう。
早期発見のための観察ポイント
血小板減少症は初期症状がわかりにくいため、飼い主の細かな観察が重要です。
特に注目すべきポイントは、歯茎や鼻からの出血、皮膚に現れる小さな赤紫色の斑点(点状出血)、血尿や血便などです。
また、食欲不振や元気の消失、呼吸が浅くなるといった全身状態の変化にも敏感になる必要があります。
小さな傷でも出血が長引く場合は、すぐに動物病院を受診しましょう。
日頃から犬猫の体をなでる習慣を持ち、皮膚や粘膜の異常を早期に察知できる体制を整えることが大切です。
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ストレスを避けた環境作り
ストレスは自己免疫疾患の発症・悪化に大きく影響を与えるため、犬猫にとって快適な生活環境を整えることが非常に重要です。
静かで安心できる寝床の確保、適度な運動と遊び時間の確保、無理のない生活リズムを意識しましょう。
また、家族構成の変化や引っ越し、大きな音などの環境変化は大きなストレスになるため、変化がある際はできるだけ配慮して対応することが求められます。
信頼できる家族との絆を深めることも、精神的な安定につながり、免疫力維持に役立ちます。
定期検診と健康管理の重要性
自己免疫疾患は進行するまで気づきにくい特徴があるため、定期検診による健康チェックが欠かせません。
半年~1年に1回程度、血液検査や健康診断を受け、血小板数や内臓機能を確認しておくことで、血小板減少症の早期発見が可能になります。
特に過去に自己免疫疾患を発症したことがある犬猫や、リスクの高い犬種・猫種の場合は、より頻繁な健康チェックが推奨されます。
日頃の食事管理や適度な運動習慣も合わせて行い、免疫バランスを整えた生活を心がけましょう。
犬猫の自己免疫疾患(血小板減少症)の治療法と予後

犬猫の自己免疫性血小板減少症の治療では、主に免疫反応を抑える薬物療法が中心となります。
治療の反応は個体差が大きく、短期間で回復するケースもあれば、慢性的に再発を繰り返す場合もあります。
もし、早期に治療を開始できれば、血小板数の回復が見込め、良好な予後が期待できます。
しかし、重度の出血や内臓への影響がある場合は予後が悪化することもありますので、継続的な管理と、再発リスクを見据えた長期的なケア体制が非常に重要となります。
ステロイドや免疫抑制剤による治療
血小板減少症の第一選択薬はステロイド剤で、免疫系の過剰な攻撃を抑える効果があります。
治療初期は高用量から開始し、症状が改善してきたら徐々に減薬していくのが一般的な流れです。
ステロイド単独で効果が不十分な場合には、免疫抑制剤を併用することもあります。
副作用として、食欲増進、飲水量増加、感染症リスク増加などが見られるため、定期的な血液検査と副作用チェックが欠かせません。
輸血や血小板輸注が必要な場合
重度の血小板減少症で出血が止まらない場合、緊急対応として輸血や血小板輸注が行われることがあります。
特に、生命を脅かすような重度の貧血や内臓出血が見られる場合には、即座に血液製剤を用いて症状の安定を図る必要があります。
ただし、犬猫用の血小板製剤は入手が難しいため、一般的には全血輸血や濃厚赤血球輸血で対応することが多いです。
輸血後も根本治療には至らないため、並行して免疫抑制療法を行い、血小板の自己破壊を抑える治療を継続する必要があります。
慢性化した場合の長期的ケア
自己免疫性血小板減少症が慢性化した場合、生涯にわたる管理が必要になるケースもあります。
慢性期ではステロイドを低用量で維持したり、免疫抑制剤を継続使用したりして、再発を防ぐ治療を行います。
副作用による体調変化をこまめにチェックし、定期的な血液検査で血小板数や全身状態をモニタリングすることが欠かせません。
食事管理、運動制限、ストレス軽減といった生活面での配慮も非常に重要で、飼い主の根気強いサポートが犬猫の生活の質向上につながります。
ステロイド治療に伴う副作用で多くの犬猫が苦しんでいる
治療の第一選択としてステロイド(副腎皮質ホルモン)が用いられます。しかし、ステロイド治療には多くの副作用が伴い、特に長期使用時には深刻な健康被害を引き起こす可能性があることがわかっています。
①免疫力の低下と感染症のリスク
ステロイドは免疫抑制作用があるため、感染症のリスクが増加します。特に尿路感染症や呼吸器感染症などが発生しやすくなります。
②内分泌系への影響
長期使用により副腎皮質機能不全を引き起こすことがあります。これは、ステロイドの外部投与によって体内の副腎が萎縮し、自己のホルモン分泌が抑制されるためです。
③代謝異常
体重増加、食欲亢進、高血糖(ステロイド糖尿病)、脂質異常症などの代謝異常が報告されています。
④精神神経系への影響
不眠、興奮、抑うつ、イライラなどの精神症状が現れることがあります。
⑤骨・筋肉への影響
骨粗しょう症や筋肉の萎縮が進行する可能性があります。
⑥消化器系への影響
胃潰瘍や消化管出血などの消化器症状が発生することがあります。ステロイドは血小板減少症の治療において効果的な薬剤ですが、その副作用は多岐にわたり、患者の生活の質を著しく低下させる可能性があります。
したがって、治療にあたっては副作用のリスクを十分に理解し、必要に応じて代替療法の導入を検討することが重要です。



犬猫の自己免疫疾患(血小板減少症)に対する先進的な免疫療法の例

近年、犬や猫の血小板減少症に対する補完免疫療法として、日本国内の動物病院で使用されているもののひとつに、フアイア(Huaier)という生薬があります。
フアイアの人における研究結果は、イギリスの国際的な一流医学誌GUTや、アメリカの歴史と権威ある化学誌JBCにも掲載されており、人の医療でエビデンスが認められています。
すでに中国では第一類免疫調整薬として認可されており、西洋医が、特発性血小板減少性紫斑病、自己免疫性溶血性貧血、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、乾癬、バセドウ病など、さまざまな自己免疫疾患の治療で使用されています。
中国では医薬品として使用されており有効性、安全性も確認されています。日本では健康食品として当局の許可を得て販売されています。
過剰摂取による副作用について試験も実施されており、安心して食品として摂取することができます。
麻布大学獣医学部による新しい治療法開発の研究
麻布大学獣医学部では、ステロイドの副作用に苦しむ犬猫を救うための新たな治療法の研究が進められています。人でエビデンスを得た「フアイア」糖鎖TGP-1を犬猫に使用した結果、患者15例中66.7%が症状改善し、治療薬の大幅な減薬や休薬に成功しました。この研究は、ステロイドに代わる治療法として期待されています。

生薬フアイアの期待できる効果
生薬フアイアの有効成分「TPG-1」は、体の免疫を司る生体物質(糖鎖)の一種で、血小板減少症(特に免疫介在性)に深く関わっています。
アメリカの著名な化学誌(JBC)で2019年に発表された内容では、フアイアに含まれる糖鎖「TPG-1」が「免疫調節」「抗炎症」作用があることが、動物、人の試験において示されています。
免疫調整作用(異常な免疫反応の制御)
フアイアの成分は、過剰な自己免疫反応を抑制する働きがあるとされ、自己の血小板を攻撃する異常な免疫応答を調整する可能性があります。
特にフアイアの成分には、異常な免疫反応を正常化する働きがあり、これによって免疫介在性血小板減少症の進行を抑えると考えられています。
免疫機能の正常化
免疫細胞の過剰な活性化を抑制し、体内の免疫バランスを整えることで、自己血小板への攻撃を弱める働きがあると考えられています。
これにより自然治癒力を高め、血小板減少症の症状改善や回復を促進する効果が期待できます。
抗炎症作用
免疫介在性血小板減少症の発生や進行には慢性的な炎症や免疫系の異常が関与しているため、フアイアの抗炎症作用が症状の改善を促す可能性があります。
炎症を抑える働きによって、血小板減少症の基礎にある炎症プロセスを抑制し、症状の緩和につながると考えられています。
参考:日本獣医フアイア研究会
生薬フアイア(糖鎖TPG-1)の適応と科学研究論文
フアイアは一般的なサプリメントとは異なり、動物病院において、免疫介在性血小板減少症に対する治療補助として使用されます。
特に血小板減少症においては完全寛解ではなく管理を選ぶことも多く、そういった場合には、血小板数の維持、ステロイド薬の減量や副作用軽減、治療中の体力や食欲の維持など、QOLの向上を目的として、治療の中で併用されています。
また、免疫抑制治療をして症状が落ち着いた後は「再発予防」として長期間使用されることもあります。
ステロイド治療に耐えられない(副作用が心配、高齢で体力に不安な)場合には、免疫調整療法あるいは代替補完療法として選択されています。
参考:日本獣医フアイア研究会 ネットワーク薬理学と分子ドッキングを用いたHuaiqihuang顆粒(フアイア)の免疫性血小板減少症治療における有効成分と重要経路の研究
フアイアの安全性と注意点
フアイアの重篤な副作用は、現状報告がありません。
多量投与時に、まれに軽い下痢が生じますが、やめたり、量を減らして慣れれば、次第に下痢は治まるようです。
他の薬やサプリメント、漢方と併用することによる重篤な副作用はなく、薬との併用は問題ないと発表されています。
参考:新見正則医院HP
参考:日本獣医フアイア研究会
生薬フアイア(糖鎖TPG-1)を使用した治療に関するSNSの口コミ
この記事の執筆者
nademo編集部
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