ペットコラム

犬猫の腫瘍(しこり)の原因は?良性・悪性の種類や予防&治療法

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犬猫の腫瘍(しこり)

犬や猫の体に「しこり」を見つけると、多くの飼い主は不安を感じるでしょう。

ただ、腫瘍(しこり)には良性のものと悪性のものがあり、その違いを理解することが大切です。

良性腫瘍は比較的進行が遅く、転移の可能性が低いですが、悪性腫瘍は増殖が早く、転移のリスクがあるため注意が必要です。

腫瘍の原因には、遺伝的要因や加齢、環境要因やホルモンの影響などが関与しており、完全に予防することは難しいものの、適切な生活管理でリスクを軽減できます。

本記事では、犬猫の腫瘍の原因や種類、予防法や治療法について詳しく解説します。

この記事の結論

  • 犬や猫の腫瘍には、成長が遅く転移しにくい良性と、急速に増殖し転移のリスクが高い悪性がある
  • 代表的な症状には、しこりの発見、食欲不振や体重減少、ただれや出血、呼吸・排泄異常などがある
  • 腫瘍の発生には遺伝的要因、環境要因、ウイルス感染、加齢による細胞のダメージ蓄積が関与している
  • 獣医療の発展により、細胞診や画像診断などで腫瘍の発見が容易になり、早期治療の機会が増えた

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犬や猫の腫瘍(しこり)とは

犬と猫

腫瘍(しこり)とは、犬や猫の体の組織が異常に増殖してできた塊のことです。

腫瘍には「良性」と「悪性(がん)」の2種類があり、それぞれ特徴や進行の仕方が異なります。

良性腫瘍は比較的成長が遅く、周囲の組織に広がりづらい腫瘍で、他の臓器へ転移することはありません。

悪性腫瘍(がん)は急速に増殖し、周囲の組織に浸潤したり、血液やリンパを介して遠隔の臓器へ転移する可能性があります。放置すると命に関わることもあります。

人間と同じように犬や猫、その他の動物でも悪性腫瘍が見られることはありますので、どのような動物であっても起こり得るものです。

悪性腫瘍がペットの高齢化により増加傾向にある

近年、犬や猫の平均寿命は大きく伸びており、それに伴い悪性腫瘍(がん)の発生率も増加しています。

かつては10歳を超えると高齢とされていましたが、現在では15歳から16歳が平均寿命となってきています。

平均寿命が延びたことで、がんのような加齢に関連する疾患が増えているのです。

特に悪性腫瘍は高齢になるほど発生しやすいです。細胞の老化に伴い遺伝子の異常が蓄積し、制御不能な細胞増殖が起こるためです。

若い頃には抑えられていた腫瘍の発生が、免疫力の低下やホルモンバランスの変化により進行しやすくなるのです。

また、高品質なフードの普及や適切な医療管理によって寿命は延びましたが、その一方で、がんを発症する機会も増えました。

獣医療の発展により、発見も多くなった

獣医療が進歩することは飼い主さんにとって嬉しいことで、この進歩により、犬や猫の腫瘍は従来よりも早期に発見されるケースが増えています。

かつては「ペットにがんはない」と考えられていた時代もありましたが、現在では細胞診や画像診断技術の発展により、がんの診断が一般的になっています。

細胞診や組織検査、X線検査や超音波検査、CT、MRIなどの診断技術の向上により、腫瘍の発見率が大幅に向上しているのです。

特にCTやMRIは、体内の腫瘍を詳細に調べるのに適しており、転移の有無を確認する際にも重要です。

これにより、目に見えない内臓のがんも発見しやすくなり、早期治療につながることが増えました。

犬猫の腫瘍(しこり)の症状

犬と猫

腫瘍は体内のさまざまな場所に発生しうるため、症状も多岐にわたります。

中でも腫瘍はしこりとして見つけやすいため、日頃から愛犬・愛猫の体に触れて健康チェックをしていれば気づきやすいです。

どのような病気であっても、仮に無症状であっても、早期発見・早期治療が何よりも大切。ここでは代表的な例をいくつか挙げます。

しこりや腫れの発見

犬や猫の腫瘍の最も一般的な初期症状は、しこり(腫瘤)や腫れの発見です。

特に皮膚や皮下組織、口の中、乳腺、リンパ節などに発生しやすく、飼い主さんが撫でているときに偶然見つかることが多いです。

良性腫瘍の場合、しこりは柔らかく動くことが多く、成長速度も遅い傾向があります。一方、悪性腫瘍は短期間で大きくなったり硬くて動かない、周囲と癒着していることが特徴です。

特に脇の下や首のリンパ節の腫れは、リンパ腫などの血液のがんを疑うべき重要なサインです。

しこりが見つかった場合、自己判断せず、早めに動物病院を受診することが重要。細胞診や組織検査によって、腫瘍の良性・悪性を判断することができます。

食欲不振や体重減少

がんを含む悪性腫瘍の進行に伴い、食欲の低下や体重減少が見られることがあります。

特に腫瘍が胃や腸、口の中にできると、食事をとること自体が困難になることがあります。

例えば、口腔内にできる悪性黒色腫(メラノーマ)や扁平上皮癌は痛みや出血を伴うため、食事を避けるようになることがあります。

内臓の腫瘍は栄養の吸収がうまくいかず、急激な体重減少を引き起こすことがあります。

がん細胞は大量のエネルギーを消費するため、食事量が減らなくても体重が落ちることもあります。

食欲が落ちた場合は単なる体調不良と考えず、特に1週間以上続く場合や、急激な体重減少が見られる場合は早急に動物病院を受診しましょう。

元気・活動量の低下

腫瘍が進行すると、犬や猫の元気や活動量が低下することがあります。

これは腫瘍によって体力が消耗するためだけでなく、痛みや貧血、内臓機能の低下などが影響している可能性があります。

例えば骨肉腫の場合、腫瘍が骨を破壊するため、歩くのを嫌がったり足を引きずる、ジャンプを避けるなどの行動が見られます。

脾臓の血管肉腫などの腫瘍では、貧血が進行し、ぐったりしたり立ち上がるのを嫌がるといった症状が現れることがあります。

このような変化は加齢によるものと見過ごされることもありますが、いつもと違う動きの鈍さが続く場合は、腫瘍の可能性も考慮しなければいけません。

体表にできた腫瘍がただれる・出血する

皮膚や皮下にできる腫瘍の中には、進行すると表面がただれたり、出血するものがあります。

特に悪性の腫瘍では、表皮が破れて細菌感染を起こし、膿が出たり異臭を伴うことがあります。

代表的な例として、肥満細胞腫は皮膚にできるがんの一種で、しこりの表面が赤く腫れ、潰瘍化しやすい特徴があります。

また、扁平上皮癌も皮膚や口腔内に発生しやすく、進行すると表面が崩れて出血を繰り返します。

こうした症状がある場合、放置すると二次感染や出血多量につながるため、早急に動物病院で適切な処置を受けることが重要です。

呼吸や排泄の異常

腫瘍が肺や気道、消化器、泌尿器にできると、呼吸や排泄に異常が現れることがあります。

  • 呼吸が荒い、ゼーゼーする
  • 鼻血が出る(鼻腔内腫瘍の可能性)
  • 咳が続く(肺腫瘍や気管の腫瘍)

肺にできる腫瘍は初期症状が出にくいですが、進行すると慢性的な咳や息苦しさが見られます。

特に高齢の犬や猫が安静時でも呼吸が荒い場合は、早めの検査が必要です。

膀胱や尿道に腫瘍ができると排尿時に痛みを感じるため、頻繁にトイレに行くが尿が出ない、血尿が混じるなどの症状が見られます。

  • 血尿が出る(膀胱がん、前立腺がん)
  • 便秘や血便が続く(腸の腫瘍)
  • 排尿しづらそうにする(泌尿器系のがん)

大腸や直腸に腫瘍がある場合、便が細くなる、出にくい、血が混じることが特徴です。

このような症状が続く場合は早めの診察が重要。がんの発見が遅れると手術が困難になったり、治療の選択肢が限られる可能性があるため、早期診断・早期治療がカギとなります。

犬猫の腫瘍(しこり)の原因

犬と猫

犬や猫の腫瘍(しこり)の原因は、遺伝的要因や加齢、ホルモンバランスの変化に環境要因、慢性的な炎症などが関与します。

特定の犬種や猫種には腫瘍が発生しやすい遺伝的傾向があり、加齢とともに細胞の異常な増殖が起こりやすくなります。

ホルモンの影響で乳腺腫瘍などが発生することもありますし、紫外線、受動喫煙、化学物質、ウイルス感染が発がんの要因となることもあります。

現在のところ、腫瘍のはっきりした原因はまだ完全に解明されていませんが、主に以下のような要因が関係すると考えられています。

免疫システム

犬や猫などの伴侶動物において腫瘍が形成される原因のひとつとして、免疫システムが関与していることは広く知られています。

腫瘍は本来、免疫系による監視が適切に機能することで排除されうる存在ですが、この免疫監視から逃れたり、正常な免疫機能が破綻することで腫瘍細胞が増殖・進行しやすくなります。

ここで言う免疫による監視(免疫監視機構)は、体内で生じる異常細胞・腫瘍細胞などをT細胞やナチュラルキラー細胞が検知して排除するシステムのことです。

通常であれば、DNA損傷や異常増殖シグナルをもつ細胞はアポトーシス(細胞の自然死)や免疫系によって処理されます。

しかし、何らかの要因で免疫細胞の機能低下や、腫瘍細胞自体の免疫逃避機構の獲得が起こると、免疫の監視から逃れ、腫瘍が形成・進行する可能性が高まります。

参考:Schreiber RD, Old LJ, Smyth MJ. Cancer immunoediting: integrating immunity’s roles in cancer suppression and promotion. Science. 2011;331(6024):1565–1570.

免疫システムに影響を与える要因

加齢に伴って免疫機能が全般的に低下することを免疫老化と呼びます。これは犬や猫も含む多くの哺乳類で見られる現象です。

ウイルス感染による慢性的な免疫抑制も腫瘍発生リスクを高めます。猫の例では、猫免疫不全ウイルスや猫白血病ウイルス感染が代表的です。

免疫システムの破綻を促進する要因

大きく分けてその要因は2種類あり、遺伝と生活環境が要因となると言われています。

遺伝では、ゴールデン・レトリーバーやボクサーなどの特定の犬種において、リンパ腫や骨肉腫などの発生率が高いことが知られています。

こうした犬種特異性は、遺伝的要因に加え、免疫応答のしやすさが影響している可能性があります。

そして生活環境における要因としては、農薬やタバコの副流煙など、化学物質への暴露が挙げられます。

皮膚炎や口腔内炎症が長期化することで腫瘍発生リスクが高まりますし、ワクチンや免疫療法の有無によっても影響を受けることがあるのです。

遺伝的要因

犬や猫の腫瘍(しこり)の発生には、遺伝的な要因が深く関係しています。特定の犬種・猫種では、特定の腫瘍が発生しやすいことが知られています。

例えば、犬ではゴールデン・レトリーバーラブラドール・レトリーバーはリンパ腫や血管肉腫の発生リスクが高く、ボクサーやブルドッグは肥満細胞腫が多いとされています。

大型犬では骨肉腫の発症率が高く、小型犬では乳腺腫瘍や肝臓がんのリスクが上がることが分かっています。

猫の場合、シャムはリンパ腫や乳腺腫瘍のリスクが高いとされ、その他の純血種でも特定のがんが発生しやすい傾向があります。

これらの傾向は、遺伝子レベルでの腫瘍関連遺伝子の異常が影響していると考えられています。

特定の遺伝的変異を持つ個体は、がんの発生リスクが高く、同じ血統の家系でがんが多発することもあるのです。

遺伝的な要因を完全に防ぐことはできませんが、発生しやすい腫瘍の種類を知り、早期検査を行うことで、早期発見・早期治療が可能になります。

環境要因

犬や猫の腫瘍は、生活環境の影響も大きく受けます。発がん性のある物質や紫外線、喫煙環境、肥満などが腫瘍の発生に関与することが分かっています。

発がん性物質(化学物質、農薬、食品添加物)

殺虫剤や農薬に含まれる化学物質は、長期間の暴露によって発がんリスクを高めると言われています。

これと同様に、一部のドッグフードやキャットフードに含まれる酸化防止剤や、添加物の影響にも注意しなければいけません。

海外では禁止されつつある添加物も多く、日本ではまだこうした規制が緩い面もあり、飼い主さん自身が正しく選ぶ必要があります。

紫外線(皮膚がんの原因)

白毛の犬や猫は紫外線の影響を直に受ける被毛をしており、皮膚がん(扁平上皮癌)になりやすいと言われています。

このこともあり、屋外飼育の動物は、鼻や耳など毛が薄い部分に腫瘍ができやすいと言われています。

受動喫煙(タバコの煙)

犬や猫は人間よりも鼻がいいので、そもそもタバコなどのきついニオイは避ける傾向にあります。

ただ、同じ空間でタバコを吸っていたり、タバコの煙がついたカーテンや床、食器などを舐めると三次喫煙をすることになります。

こうした受動的な喫煙により、鼻腔がんや肺がんのリスクが上昇すると言われており、特に猫は毛づくろいの際に煙に含まれる有害物質を摂取し、リンパ腫リスクが上がります。

肥満と腫瘍の関係

肥満は乳腺腫瘍、膵臓がん、肝臓がんのリスクを高めると言われており、余分な脂肪組織がホルモンバランスを乱し、腫瘍の発生を促します。

これらの環境要因をできるだけ避けることで、腫瘍のリスクを軽減できます。

例えば、安全な食事を与える、直射日光を避ける、受動喫煙を防ぐことが重要です。

ウイルス感染

一部のウイルス感染が、犬や猫の腫瘍の発生を引き起こすことがあります。特に猫では、ウイルス感染ががんの主な原因となることもあります。

  • 猫白血病ウイルス(FeLV)
  • 猫免疫不全ウイルス(FIV)
  • パピローマウイルス(犬・猫)

ウイルス感染による腫瘍は、適切なワクチン接種や感染している猫との接触を避けることで予防が可能です。

感染している猫がわかっていれば当然隔離されますが、放し飼いにしたり外出させないことが最適です。

特にFeLV(猫白血病)ワクチンは、リンパ腫の予防に非常に有効です。

加齢による細胞のダメージ蓄積

犬や猫の腫瘍は、高齢になるほど発生率が高くなります。これは、細胞の老化によるダメージの蓄積が主な原因です。

細胞分裂のたびにDNAにエラー(突然変異)が起こり、若いうちは修復機能が働いています。

ですがこれも、加齢とともに修復能力が低下していきがん抑制遺伝子の機能が低下することで、異常な細胞が増殖します。

老化により免疫機能が衰えて、がん細胞を排除しにくくなっていたり、ホルモンバランスの変化によっても影響を受けると言われています。

特に乳腺腫瘍(乳がん)はホルモンの影響を受け、避妊手術をしていない子は、乳腺腫瘍のリスクが大幅に上がります。

犬猫の腫瘍(しこり)で考えられる病気

腫瘍には良性のものと悪性のものがあり、どちらであるかは健康上とても重要なことです。

しこりが気になったらすぐに悪性と判断するようなものでもなく、きちんとした検査を経たうえで判断することになります。

良性腫瘍

脂肪腫

脂肪腫(しぼうしゅ)は脂肪細胞が増殖してできる良性腫瘍で、転移せず緩やかに成長するため良性とされます。

主に高齢犬や高齢猫に見られ、皮下に柔らかく可動性のあるしこりとして現れます。

痛みはなく、健康に影響を及ぼさないことが多いですが、大型化すると運動の妨げになることがあります。

原因は明確ではありませんが、肥満や遺伝的要因が関与すると考えられています。

皮膚組織球腫

皮膚組織球腫(ひふそしききゅうしゅ)は、若い犬猫に多く発生する免疫細胞由来の良性腫瘍です。

急速に成長する赤みを帯びたドーム状のしこりとして現れますが、通常は自然に縮小・消失するため良性とされます。

特に短頭種やレトリーバー種に発生しやすい傾向があり、原因は明確ではありませんが、免疫系の反応が関与していると考えられています。

乳頭腫(イボ)

乳頭腫(にゅうとうしゅ)は主にパピローマウイルス感染によって生じるイボ状の良性腫瘍で、特に若齢犬の口腔や皮膚に多く見られます。

多くは数か月以内に免疫応答により自然に消失するため、基本的に良性です。

ただし、免疫不全の犬では増殖が続くことがあります。原因はウイルス感染であることが多く、特に接触感染が関与します。

過形成性ポリープ

過形成性ポリープ(かけいせいせい)は粘膜の慢性的な刺激や炎症により発生する良性の突起状病変で、特に消化管や膀胱などに見られます。

転移せず、炎症が収まれば縮小することがあるため良性とされます。

症状としては出血や軽度の不快感があり、大きくなると排泄障害を引き起こすことがあります。原因は慢性的な炎症や刺激です。

子宮筋腫

子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)は子宮の平滑筋細胞が増殖してできる良性腫瘍で、ゆっくりと成長し、他の組織への浸潤や転移がないため良性とされます。

犬では比較的まれで、無症状のことが多いですが、大型化すると腹部膨満や排尿・排便障害を引き起こすことがあります。

ホルモンの影響が発生要因と考えられており、予防には避妊手術が効果的だと言われています。

悪性腫瘍

肥満細胞腫

肥満細胞腫(ひまんさいぼうしゅ)は免疫系の肥満細胞が異常増殖する悪性腫瘍で、局所浸潤や転移しやすいため悪性とされます。

皮膚にできることが多く、赤く腫れたり、かゆみを伴うことがあります。

進行するとリンパ節や脾臓、肝臓に転移し、全身症状を引き起こします。

原因は不明ですが、遺伝や慢性的な炎症が関与すると考えられています。早期発見と外科的切除が重要です。

扁平上皮癌

扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)は皮膚や口腔、鼻腔、消化管などに発生し、浸潤性が高く周囲組織を破壊する悪性腫瘍です。

特に高齢の猫に多く、口腔内では出血やよだれ、食欲低下が見られます。

紫外線曝露や慢性的な刺激が原因とされ、口腔内のものはタバコの煙との関連も指摘されています。

切除が困難なことが多く、早期治療が重要です。

悪性黒色腫(メラノーマ)

メラノーマは皮膚や口腔、眼、指に発生するメラニン細胞由来の悪性腫瘍で、非常に転移しやすい特徴があります。

特に口腔や爪周囲にできるものは進行が早く、肺やリンパ節に転移しやすいです。

原因は不明ですが、遺伝や紫外線が関与すると考えられています。

外科手術や放射線治療が有効ですが、再発率が高いため注意が必要です。

乳腺腫瘍

乳腺腫瘍(にゅうせんしゅよう)とは犬では50%が悪性、猫では80~90%が悪性とされる腫瘍で、しこりとして触知されます。

進行すると潰瘍化し、肺やリンパ節に転移します。発情ホルモンが関与し、未避妊の雌で発生率が高いです。

避妊手術によって発生リスクを大幅に減らせます。早期発見と外科的切除が重要で、悪性の場合は再発のリスクが高いです。

肝細胞癌

肝細胞癌(かんさいぼうがん)は肝臓に発生する悪性腫瘍で、転移の可能性があるものの、比較的ゆっくり成長します。

食欲不振、黄疸、腹水などの症状が現れ、発見時には進行していることが多いです。

原因は不明ですが、慢性肝炎や毒素の影響が関与すると考えられています。

外科手術が可能な場合は切除が有効ですが、進行がんでは治療が難しいです。

腎臓腫瘍

腎臓腫瘍(じんぞうしゅよう)は腎臓に発生する腫瘍で、犬では腺癌が多く、猫ではリンパ腫が多く見られます。

進行すると血尿、体重減少、食欲不振が現れ、肺などへの転移が多いです。

原因は不明ですが、慢性的な腎疾患との関連が指摘されています。

早期発見が困難なため、定期的な健康診断がとても重要です。外科手術や化学療法が用いられます。

リンパ腫

リンパ系の悪性腫瘍で、多発性に発生しやすく、進行が早いのが特徴です。

リンパ節の腫れ、食欲不振、体重減少、貧血などが見られます。

猫では猫白血病ウイルス(FeLV)が関連し、犬では特定の品種で遺伝的要因が指摘されています。

化学療法が有効ですが、完全治癒は難しく、早期治療が重要です。

血管肉腫

血管肉腫(けっかんにくしゅ)は血管内皮細胞由来の悪性腫瘍で、特に脾臓や心臓、皮膚に発生します。

進行が早く、破裂すると大量出血を引き起こすため、突然死の原因になることもあります。

特にゴールデン・レトリーバーやジャーマン・シェパード・ドッグで発生率が高いと言われています。

原因は不明ですが、遺伝的要因が関与すると言われています。手術や化学療法が行われますが、予後は悪いことが多いです。

白血病

骨髄で異常な白血球が増殖する血液の悪性腫瘍で、慢性型と急性型があります。

貧血、免疫力低下、出血傾向が見られ、進行すると多臓器不全を引き起こします。

猫では猫白血病ウイルス(FeLV)が原因となることが多いです。

治療は化学療法が中心ですが、治癒は難しく、対症療法が主になります。

骨肉腫

骨肉腫(こつにくしゅ)は骨に発生する悪性腫瘍で、大型犬に多く見られます。非常に転移しやすく、特に肺に転移しやすいです。

初期症状は足の腫れや跛行で、進行すると痛みが増します。

原因は不明ですが、遺伝や骨の微細損傷が関与する可能性があります。

治療は断脚や化学療法が行われますが、再発率が高く、予後は不良というのが一般的です。

神経鞘腫

神経鞘腫(しんけいしょうしゅ)は神経を覆う鞘の細胞から発生する腫瘍で、局所浸潤性が高く、神経を圧迫して麻痺や痛みを引き起こします。

四肢や脊髄に発生することが多く、進行すると運動障害が現れます。

原因は不明ですが、遺伝的要因や慢性的な刺激が関与する可能性があります。

外科手術が主な治療ですが、完全切除が難しく、再発リスクが高いです。

犬猫の腫瘍(しこり)の注意点

動物病院

犬や猫の腫瘍(しこり)において、特に注意すべき点は「再発」と「転移」です。

これは獣医師からの説明もあると思いますが、腫瘍は1度切除をしても、完全な切除ができていないと再発する可能性があります。

また、悪性腫瘍はその多くが転移すると言われており、初期症状が見られないことも多いのが特徴です。

再発のリスク

腫瘍は一度切除しても、完全に取り除けなかった場合や腫瘍細胞が残存していた場合、再び同じ部位に発生することがあります。

特に、「肥満細胞腫、乳腺腫瘍、悪性黒色腫(メラノーマ)、扁平上皮癌」などは再発しやすいとされています。

外科手術の際、腫瘍の周囲の正常組織まで十分に切除することが重要ですが、部位によっては完全切除が難しく、再発率が高くなります。

また、放射線治療や化学療法を併用しても、体質や腫瘍の種類によっては再発することがあります。

転移の危険性

悪性腫瘍の多くは血流やリンパ管を通じて遠隔部位へ転移します。

転移しやすい腫瘍として、「血管肉腫、骨肉腫、悪性黒色腫、乳腺腫瘍、リンパ腫、扁平上皮癌」などが挙げられます。

転移が進行すると、肺・肝臓・脳・脾臓・リンパ節などに腫瘍が広がり、症状が悪化。初期には無症状なことも多く、転移が見つかった時点で治療が困難になるケースもあります。

そのため、腫瘍の診断後は定期的な画像診断(X線、CT、超音波検査)を行い、転移の有無をチェックすることが大切です。

早期発見と予防の重要性

再発や転移を防ぐためには、早期発見・適切な治療・術後の経過観察が不可欠です。

定期的な健康診断や、日頃のスキンシップで小さなしこりも見逃さないことが重要。

また、ホルモンが影響する乳腺腫瘍の予防には、若いうちの避妊手術が有効です。

しこりが見つかった際は「良性だから放置する」と判断せず、動物病院で診断を受け、適切な対応を取ることが大切です。

犬や猫の悪性腫瘍の予防法

犬と猫

残念ながら、犬や猫の悪性腫瘍を完璧に予防することはできません。

腫瘍の発生には、遺伝的要因、加齢、環境要因などが複雑に関与しており、これらを完全にコントロールすることは難しいためです。

ですが、リスクを減らすための対策はいくつかありますので、次のような方法で発症リスクを最小限に抑えましょう。

健康診断

犬や猫の腫瘍は初期段階では症状が現れにくいため、定期的な健康診断が重要です。

一般的には1年に1回の健康診断で良いですが、特に7歳以上のシニア期には、半年~1年ごとの血液検査、X線検査、超音波検査を受けることで、内臓にできる腫瘍の早期発見が可能になります。

犬や猫は人間と違って1年で約4歳の歳を取っていくということを理解し、1年に数回の健康診断も視野に入れていきましょう。

また、口腔内や皮膚の異常も見逃さないように、獣医師による視診や触診を受けることも効果的です。

日常的な健康チェック

飼い主さんが日頃からしこりの有無、皮膚の異常、口腔内の状態、体重の変化などをチェックすることも予防に役立ちます。

特に肥満細胞腫や乳腺腫瘍、悪性黒色腫(メラノーマ)などは皮膚や粘膜に発生しやすいため、定期的に触診して異常がないか確認しましょう。

食欲や元気がない、便や尿の変化がある場合は、内臓の腫瘍の可能性も考えられるため、早めに受診することが大切です。

ワクチン接種

猫では猫白血病ウイルス(FeLV)や猫免疫不全ウイルス(FIV)がリンパ腫の発症リスクを高めることが知られています。

これらのウイルスを予防するために、適切なワクチン接種を行うことが重要です。

また、狂犬病やその他のウイルス疾患の予防も、免疫力を維持し、病気のリスクを減らす助けになります。

生活環境の改善

犬や猫が有害な物質や紫外線にさらされないようにすることも、腫瘍の予防に役立ちます。

たとえば、扁平上皮癌は紫外線の影響を受けやすいため、白毛の動物や鼻の色素が薄い猫は、直射日光を避ける環境を整えることが大切です。

また、受動喫煙は口腔内の扁平上皮癌のリスクを高めるため、タバコの煙を避けることも重要です。

タバコの煙は副流煙だけでなく、三次喫煙にも注意が必要。タバコの煙に含まれるニコチンや化学物質が、愛犬・愛猫の被毛や部屋のカーテン、ソファなどの表面に付着するリスクがあり、セルフグルーミングをすると意図せず摂取してしまうことがあります。

適切な食事管理

バランスの取れた食事は免疫力を高め、腫瘍のリスクを減らします。

高品質のタンパク質、抗酸化作用のあるビタミンA・C・E、オメガ3脂肪酸を含むフードを与えることで、細胞の健康を維持できます。

肥満は乳腺腫瘍や肝臓癌のリスクを高めるため、適正体重を維持することも重要です。

粗悪な原材料が使われているペットフードや添加物の多い食事を避け、必要に応じて獣医師の指導のもとでサプリメントを取り入れることも効果的です。

犬や猫の悪性腫瘍の治療法

動物病院

悪性腫瘍に対してどのような治療法が選択されるかは、かかりつけの獣医師の判断によります。

あくまでもここでは、飼い主さんの事前知識として知っておくと良い治療法として、その一例をご紹介します。

外科手術

外科手術は悪性腫瘍の治療において、最も一般的で効果的な方法です。

腫瘍を完全切除することで根治が期待できるため、腫瘍が局所にとどまっている場合に適応されます。

ただし、転移がある場合や完全切除が困難な場合は、化学療法や放射線治療との併用が必要になります。

特に骨肉腫や血管肉腫では、断脚や臓器の摘出が選択されることもあります。

化学療法(抗がん剤)

化学療法は、体内のがん細胞を抑制する抗がん剤を投与する治療法で、リンパ腫や転移を伴う腫瘍に有効とされています。

点滴や経口投与で行われ、副作用として食欲不振、嘔吐、白血球減少などが見られることがあります。

一方、分子標的薬はがん細胞の特定の分子を狙い撃ちする薬で、副作用が比較的少なく、肥満細胞腫などで使用されています。

ただし、高価な薬剤が多いため、治療計画を慎重に立てる必要があります。

放射線治療

放射線治療は腫瘍細胞を破壊するために高エネルギーの放射線を照射する治療法で、特に「扁平上皮癌、鼻腔内腫瘍、口腔内腫瘍、脳腫瘍」に有効とされています。

外科手術が困難な部位の腫瘍や、手術後に再発リスクを低下させるために用いられることもあります。

副作用として皮膚炎や粘膜の炎症が見られることがあり、複数回の通院が必要となるため、動物にとって負担が大きい治療法です。

免疫療法

免疫療法は、自身の免疫システムを活性化し、がん細胞を攻撃する力を高める治療法です。

副作用が少ないのが利点ですが、現時点では単独での効果が限定的な場合が多く、他の治療法と併用するのが一般的です。

今後の研究により、さらに有効な免疫療法の開発が期待されています。

犬や猫のがんに対する先進的な免疫療法の例

生薬

近年、犬や猫の悪性腫瘍に対する治療補助や代替療法として、日本国内の動物病院で使用されているもののひとつに、フアイア(Huaier)という生薬があります。

フアイアの人における研究結果は、イギリスの国際的な一流医学誌GUTや、アメリカの歴史と権威ある化学誌JBCにも掲載されており、人の医療でエビデンスが認められています。

すでに中国では第一類抗がん新薬として認可されており、西洋医が、肝臓がん、胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、膵臓がん、前立腺がん、膀胱がん、甲状腺がんなど、様々な悪性腫瘍の治療で使用されています。

中国では医薬品として使用されており有効性、安全性も確認されています。日本では健康食品として当局の許可を得て販売されています。

過剰摂取による副作用について試験も実施されており、安心して食品として摂取することができます。

参考:港北ハートクリニック フアイア(抗がん生薬)

参考:りんくうメディカルクリニック がん治療への 生薬フアイア

生薬フアイアの期待できる効果

生薬フアイアの有効成分「TPG-1」は、体の免疫を司る生体物質(糖鎖)の一種で、悪性腫瘍(がん)に深く関わっています。

アメリカの著名な化学誌(JBC)で2019年に発表された内容では、フアイアに含まれる糖鎖「TPG-1」が「抗腫瘍」「抗炎症」作用があることが、動物、人の試験において示されています。

参考:新見正則医院 フアイアの抗がん作用の作用機序は?

参考:日本獣医フアイア研究会 米国国立がん研究所での登録情報

抗腫瘍作用(がん細胞の増殖抑制)

フアイアの成分は、がん細胞の異常な増殖を抑える働きがあるとされ、腫瘍の成長を遅らせる可能性があります。

特にフアイアの成分には、血管新生(がん細胞が新しい血管を作ってい栄養を供給する仕組み)を阻害する働きがあり、これによってがんの進行を抑えると考えられています。

免疫機能の強化

免疫細胞を活性化し、体内の免疫力を向上させることで、がん細胞の攻撃を強める働きがあると考えられています。

これにより自然治癒力を高め、がんの進行を遅らせる効果が期待できます。

抗炎症作用

がんの発生や進行には慢性的な炎症や酸化ストレスが関与しているため、フアイアの抗炎症作用が腫瘍の形成を抑える可能性があります。

炎症を抑える働きによって、がんによる炎症だけでなく痛みの軽減につながると考えられています。

生薬フアイア(糖鎖TPG-1)の適応と科学研究論文

フアイアは一般的なサプリメントとは異なり、動物病院において、さまざまな悪性腫瘍(がん)に対する治療補助として使用されます。

特に悪性腫瘍においては完治ではなく共存を選ぶことも多く、そういった場合には、少しでも進行を遅らせるための免疫力の維持、治療中の体力や食欲の維持など、QOLの向上を目的として、治療の中で併用されています。

また、外科手術をして腫瘍を取り除いた後は「再発予防」として長期間使用されることもあります。

また、外科手術ができない、抗がん剤治療ができない(副作用が心配、高齢で体力に不安な)場合には、免疫療法あるいは代替補完療法として選択されています。

参考:悪性腫瘍とフアイア

参考:抗がん作用を獲得したフアイアのエビデンスについて

以下では実際に使用されている悪性腫瘍(がん)の種類と、それに関連する研究論文をまとめました。

皮膚がん皮膚がんの論文一覧
黒色腫(メラノーマ)メラノーマの犬にフアイア糖鎖TPG-1を使った例
線維肉腫繊維肉腫の猫にフアイア糖鎖TPG-1を使った例
乳がん乳がんの論文一覧
白血病白血病の論文一覧
肝臓がん肝臓腫瘍の犬にフアイア糖鎖TPG-1を使った例
肺がん肺がんの論文一覧
前立腺がん前立腺がんの論文一覧
膵臓がん膵臓がんの論文一覧
大腸がん大腸がんの論文一覧
腎がん腎がんの論文一覧
胃がん胃がんの論文一覧
胆管がん胆管がんの論文一覧
卵巣がん卵巣がんの論文一覧
子宮頸がん子宮頸がんの論文一覧
出典:日本獣医フアイア研究会

フアイアの安全性と注意点

フアイアの重篤な副作用は、現状報告がありません。

多量投与時に、まれに軽い下痢が生じますが、やめたり、量を減らして慣れれば、次第に下痢は治まるようです。

他の薬やサプリメント、漢方と併用することによる重篤な副作用はなく、薬との併用は問題ないと発表されています。

参考:新見正則医院

参考:日本獣医フアイア研究会

生薬フアイア(糖鎖TPG-1)を使用した治療に関するSNSの口コミ

犬や猫の悪性腫瘍のまとめ

悪性腫瘍の完全な予防は不可能ですが、適切なケアを行うことで発症リスクを下げ、早期発見・早期治療により健康寿命を延ばすことは可能です。

日頃からの丁寧なケアが愛犬・愛猫との大切な時間を伸ばすことができ、愛するパートナーの笑顔を守ることに繋がります。

それでも発症してしまうことはありますが、できる限りのリスクを下げられるよう、適切なケアを行ってあげてください。

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