ペットコラム

【医師執筆】猫アレルギーでも猫を飼うには?可能な対処法と予防策

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人の猫アレルギーとは?原因や症状、対処策について

アレルギーの原因となるアレルゲンには、薬剤や食べ物など色々な種類があります。

アレルゲンになり得る抗原のひとつに動物の体毛やふけ、飼育しているペットの体液や排泄物などと接触する、あるいは飛沫やエアロゾルを吸い込む。

これらが発端となり、人体の免疫機能が過剰に反応してアレルギー症状に苦悩することもあります。

特に、猫を飼い始めてから初めてアレルギー症状が出現して、猫アレルギーと診断された場合にはどうすればいいのか。

猫アレルギーの人が快適に猫をペットとして飼育して暮らしていくためには、どのような対処方法があるのかなど疑問は尽きません。

今回は猫アレルギーの発症原因や体にどのような影響があるか、猫アレルギーの対処策などについて詳細に解説していきます。

この記事の結論

  • 猫アレルギーだと思っていても、別のアレルギーだったというケースも多々ある
  • 猫アレルギーは、猫の毛やフケに付着したアレルゲンが原因で引き起こされる
  • 花粉症の症状と似ているが、重篤化すると命に関わる恐れもある
  • 部屋のこまめな掃除や、愛猫の体のお手入れを行うことで猫アレルギーを軽減できる

甲斐沼 孟

執筆・監修

甲斐沼 孟

国家公務員共済組合連合会大手前病院 救急科医長

これまでに臨床医師として15年以上キャリアを積み重ねて、主に消化器外科や心臓血管外科、救急診療を中心に実践して参りました。

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猫アレルギーの発症頻度や疫学調査について

猫アレルギーが発症する頻度は、過去の疫学調査によれば成人の5人に1人程度の割合と考えられていて、決して珍しい病気ではありません。

遺伝性の疾患であるとは考えられていませんが、両親が猫アレルギーで自分も同様にアレルギー持ちであると思い込んでいるケース。

実際にアレルギーに関連する血液検査をしてみたら、別のアレルギーだったという場合も少なくありません。

東京都の調査では、アレルギー患者の発症原因は次の通り。

アレルギーの発症原因割合
花粉約70%
ハウスダスト約38%
ダニ約15%
猫を含むペット約10%程度

という統計結果が過去に報告されています。

毎年、春先になると花粉症に悩まされる人が多く出てきますが、猫などのペットによるアレルギーは少ない方だとも言えるでしょう。

猫アレルギーが起こる原因について

猫アレルギーが引き起こされる主な原因物質は、猫の体表面や唾液中に含まれる「Feld 1」(カナ表記:フェルディーワン)という物質です。

猫アレルゲンは、ダニアレルゲンよりも非常に小さな粒子であると考えられています。

猫の体に付着しているアレルゲン物質が、空中を長く浮遊して吸い込んでしまう、あるいは天井や壁・床やカーテンに猫の体毛が付着している空間で居住している人は、抗原物質に常に曝露される危険性があります。

犬よりも猫の方がアレルギー症状を引き起こしやすい

猫アレルギーは疫学的にも決して珍しいものではなく、人は猫に対して犬に対するアレルギー反応よりも2倍程度アレルギー症状を引き起こしやすいと考えられています。

ヒトの免疫系は、自分とは異なる異物を見つけて体外に排出するように機能していますが、その免疫系の構造が通常よりも敏感なアレルギー体質の方々が存在します。

特に、猫アレルギーを所有している人の免疫系は、猫のフケや皮膚細胞、唾液や尿などの排泄物によって放出された極めて小さい粒子のタンパク質に反応してしまいます。

それにより鼻汁や目のかゆみなど、様々なアレルギー症状を引き起こすことが知られています。

室内飼いが多いからこそ、家中のさまざまな場所にアレルゲンが存在する

犬と比べて室内で生活する時間が特に長い猫は、家中のさまざまな場所を探検します。

その結果、ペットの毛にフケなどの浮遊物が集結して、猫が生息している家の空間のあちらこちらにアレルゲンがばらまかれるのです。

家具や寝床、カーペットに抗原物質が溜まる、あるいは空中に長時間フケが漂うことによってアレルギー反応が出現すると思われます。

猫アレルギーの症状や身体に与える悪影響

猫アレルギーの典型的な症状は、花粉症などと類似しており、目のかゆみと眼球の充血、鼻汁やくしゃみ、鼻閉感、喉の炎症や咳嗽など多彩な症状が認められます。

ペットのふけや体毛などに触れた直後から、顔全体や舌がむくんで血管浮腫を引き起こす、あるいは皮膚が掻痒感(そうようかん)を伴って皮膚炎を起こして、全身の皮膚に赤みが生じることも見受けられます。

猫アレルギーの症状は、猫を飼っている家庭に限って起きるのではありません。

「知り合いが猫を飼っている、または自分の周囲に猫が存在する」だけで、抗原に暴露されてアレルギー症状が認められることも経験されます。

猫という生き物が普段は大好きなのにもかかわらず、猫と接触するだけでくしゃみや鼻汁が出る、あるいは猫が生息している空間にいるだけで息苦しさや呼吸困難などアレルギー症状が出現する人も存在します。

日によって症状の重さが変わることもある

nademo編集部メンバーの中にも猫をお迎えし、実際に猫アレルギーを発症したメンバーもいます。

花粉症でもあったため、最初こそすぐに猫アレルギーだと気付けましたが、何も対処しないままだとすぐに症状が重くなりました。

鼻水やくしゃみ、鼻詰まりはもちろんのこと、これらが続くことで頭痛や頭がぼーっとするような感覚にもなっています。

日によってこれらの症状の重さが変わることもあり、全く症状がない日もあります。

どの程度の症状であるか、自分にとって安全だと思える症状かを判断し、病院に行くべきかを検討する必要があります。

アレルギー症状が重篤化すると喘息を発症するおそれがある

猫アレルギーの症状が重篤化すると、気管支喘息が発症することもあると指摘されています。

そのため、猫アレルギーの人には日常生活において気をつけなければならないことが多くあります。

アレルギー症状が重度になって喘息を引き起こすと、命に関わる恐れも想定されるため、軽視することはできません。

猫に付着しているアレルゲンに度々曝露されるごとに、アレルギー反応が悪化していくケースもあります。

猫が近くにいるだけでアレルギー症状が出るようになった人は、アレルギー専門外来を標榜しているクリニックなどの医療機関で、アレルギー検査を前向きに受けられることを推奨します。

猫アレルギーの対処法

猫アレルギーの人にとって飼いやすい猫の選び方や、家庭内のフケや体毛をできるだけ少なくする手段。

また、猫の普段のお手入れの方法など猫アレルギーの対処策を多く知っておくと、猫アレルギーを所有しながらでも症状とうまく付き合うことが期待できます。

部屋の掃除

猫をペットとして家庭に迎えいれた後は、フィルター付きの掃除機を使用しながら家中の掃除をこまめに行います。

壁や床を含めて、家の中の平らな面を定期的にクリーニングすることが重要なポイントです。

また、猫のベッドや毛布を頻繁に洗濯する、あるいはアレルギーを持っている人の寝室などには猫が侵入しないように立ち入り禁止の空間と決めて対応することも、猫アレルギーのひとつの予防策となります。

布張りの家具やカーテンは猫の毛が普段から付着しやすいです。

ブラインドやロールスクリーンなど掃除しやすい家具へ交換する、あるいはカーテンをどうしても使用したい際には定期的に洗濯するように心がけましょう。

愛猫の入らないスペースを確保しておく

猫は自分のテリトリーを縄張りを考えて大切にするため、移動できる範囲内は全て見て回ろうとします。

しかし、寝室にまで入れるようにしておくと、睡眠中にも猫アレルギーの症状が起きてしまい、生活にも支障が出てしまいます。

猫の毛や唾液などの付着を掃除する部屋も増えてしまうため、飼い主さんの負担は大きいでしょう。

入ろうとしても入れないように対策しておく、そして飼い主さんにとっての専用スペースもきちんと確保しておくと生活しやすくなります。

掃除機の買い替えによって快適さもアップ

出典 :https://www.amazon.co.jp/

参考価格 58,900円(税込)

猫を飼っているとフローリングでは危険で、走ると滑ってしまうので足腰を痛めることになります。

ですがカーペットを使い始めると、特に猫の落ちた毛が絡まってしまい、掃除機をかけても取り切れないことが多くなってきます。

nademo編集部メンバーでもこうした経緯から、7年ぶりに掃除機を買い替えました。するとそれまでの古い掃除機より、やはり吸引力が圧倒的に違ってかなり快適になりましたよ。

ペットの毛をしっかり絡め取ってくれるメーカーとしては、代表的なSharkやDyson、Panasonicなどが挙げられます。

猫のお手入れ

猫アレルギーの症状を少しでも緩和して軽減する方法としては、日常的な猫のケアが挙げられます。

定期的に猫の体をブラッシングすることで抜け毛を減らして、猫アレルギーの症状を改善する効果が期待できます。

特に、毛が抜ける春先などの季節には、屋外などでいつも以上に猫の体をブラッシングする回数を増やしましょう。

猫の唾液やフケに認められるものと、同様のタンパク質の物質が猫の尿や排泄物にも含まれます。

そのため、猫のトイレをこまめに掃除することも猫アレルギーの症状を軽快させるために一定の効果を発揮します。

また、ペットにも安全なシャンプーを用いて猫を入浴させるなどの対策を実践しながら、アレルギー症状に対しては医師に体質に合った医薬品を処方してもらうなど専門家に相談するように意識しましょう。

ブラッシング中やブラッシング後は特に毛の処理が必要

ブラッシングは猫にとっても猫アレルギーの飼い主さんにとってもメリットがたくさんある一方で、ブラッシング中やブラッシング後のお手入れも重要になります。

毎日、ブラッシングをしている子でも、毎日のように抜け毛があります。これをそのままにしておくと、猫アレルギーが酷くなるでしょう。

ブラッシング中にはマスクや毛が触れないようにするメガネ、場合によってはエプロンや作業着のようなものを使うのもおすすめです。

ブラッシングによって処理した毛がそのままにならないよう、コロコロを使ってお手入れすることも大事です。

まとめ

猫アレルギーでは、抗原やアレルゲンに曝露されるごとにアレルギー反応が悪化して悪循環に陥ることも想定されます。

それまで猫にアレルギーを起こしたことがない人が、急にアレルギー症状が出現し始めることも経験されます。

猫の近くにいると突然、鼻汁やくしゃみ、鼻づまりや呼吸困難感を認める際には、アレルギー専門の医療機関などでアレルギー検査を積極的に行いましょう。

猫アレルギーに対して適切に対策を講じることで、猫アレルギーと長く付き合っていくことが期待できます。

猫を飼育する場合には、家庭内のアレルゲンを出来る限り減らして猫のお手入れと猫のトイレ掃除を他の人にも手伝ってもらいながら怠らないように注意しましょう。

万が一、強いアレルギー症状が出現した場合に備えて、抗アレルギー薬などを家に常備しておくこともあわせてお勧めします。

猫アレルギーの人が猫と共同生活を送るうえでは、大変なことも多々あるかもしれません。

ですが、猫と長期的に快適に暮らしていくために、様々な努力を積み重ねて適切に対応しましょう。

今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。

この記事の執筆者・監修者

甲斐沼 孟

執筆者情報

甲斐沼 孟

国家公務員共済組合連合会大手前病院 救急科医長

これまでに臨床医師として15年以上キャリアを積み重ねて、主に消化器外科や心臓血管外科、救急診療を中心に実践して参りました。
2019年より2023年現在に至るまで大阪市内を中心に様々な業種の企業様や会社法人20社以上と産業医顧問契約を締結して職員の方々と保健衛生課題を共有して健康増進維持に寄与できるように精進しております。
様々な病気や健康の悩みに対して、培ってきた経験と専門的な医学知識を最大限に活用して周囲の方々の不安を払拭して、問題解決に導けるように医療記事を執筆・監修しています。

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