「自分で体をなめてグルーミングする猫に、ブラッシングは必要ないのでは?」…そう考える飼い主さんもいらっしゃるかもしれません。
ですが、グルーミングする習慣があるからこそ、愛猫に対してブラッシングやコーミングは必要なのです。
なぜなら、グルーミングの際になめ取った被毛がお腹に蓄積されると毛球症(もうきゅうしょう)になる可能性があり、重症化すると腸閉塞や腹膜炎の危険も。
愛猫の健康のため、また飼い主さんと愛猫とのより良いコミュニケーションのためにも、今回は上手なブラッシングのコツをお伝えします。
この記事の結論
- 猫のブラッシングは、皮膚の健康維持や毛球症の予防など多くのメリットがある
- ブラッシングの頻度は、長毛種は毎日、短毛種は週1~2回を目安に
- 猫用ブラシは主に5種類あり、愛猫に合うものや目的によって使い分ける
- 長毛種と短毛種では使うブラシとブラッシング手順が多少異なる
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目次
猫にブラッシングが必要な理由
すでに猫を飼っている人ならご存知かと思いますが、猫は自分の被毛を舐めてキレイにします。
そのため、一般的にはお風呂やシャンプーなどが必要なく、常日頃から舐めて清潔な状態を維持することができるのです。
しかし、これとは別で飼い主さんによるブラッシングも必要です。ではなぜ必要なのか。
それには大きく分けて3つの理由があります。
毛玉ができるのを防ぐため
愛猫をブラッシングせずに放っておくと、毛が絡まって毛玉ができやすくなります。
毛玉ができてしまったら皮膚を引っ張らないようにして、毛先のほうから毛の流れに沿って少しずつブラシやコームでほぐしていきます。
頑固な毛玉はハサミの先で皮膚を傷つけないよう、十字に切り分けてからコームで優しくほぐすか、それでもダメな場合は切り取るしかありません。
毛質は猫種によって異なりますが、長毛種は特に毛玉ができやすく、こまめなブラッシングは必須のお手入れです。
また、子猫や高齢猫はグルーミングするのが苦手なので、飼い主さんによるブラッシングを必要とします。
毛玉を吐く頻度が多ければ病気の可能性がある
突然「ゲコッゲコッ」とえずいて吐くことがあり、吐いたものを確かめると飲み込んだ毛が含まれていることが往々にしてあります。
猫はよく吐く動物ですが、1日に何度も吐いたり、毎日続けて何日も吐いたりした場合は、病気の可能性もあるのですぐに動物病院へ。
ブラッシングする習慣のない猫に多いのが毛球症です。グルーミングで舐め取った毛がお腹に溜まり、胃や腸の中で大きな球状になってしまいます。
毛球症(もうきゅうしょう) | 飲み込んだ毛を排出できずに、胃や腸で毛が絡み合って大きくなることにより引き起こされる病気。 |
そのため、猫が吐き出したり排泄したりできず、悪化すると逆流性食道炎や腸閉塞を起こし、「嘔吐・痛み・発熱・食欲不振・下痢」などを伴います。
腸閉塞になってしまうと内視鏡で検査し、外科治療による開腹手術が必要です。
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被毛や皮膚の健康を保つため
猫は冬毛から夏毛へと抜け替わる3月頃、夏毛から冬毛へと抜け替わる11月頃に換毛期があります。
この時期は抜け毛が増えるので、古い毛を取り除くブラッシングが特に必要です。
ブラッシングすると被毛のもつれを防ぐほか、毛についた埃や汚れも取り除かれ艶が出て、猫本来の美しさや可愛さが一層増しますよ。
また、ブラッシングすることで皮膚の異常がないかなど、愛猫の健康状態も確かめることができます。
毛球症を予防するため
猫に舐められると、舌がザラザラしてちょっと痛いなと感じたことはありませんか?もともと狩猟動物だった猫の舌は特殊な構造をしています。
ネコ科動物の舌には糸状乳頭(しじょうにゅうとう)という極小の突起が喉の方向に生えていて、獲物の骨についた肉をこそぎ取ることができます。
これが自ら体を舐めて被毛を清潔にするセルフグルーミングにも適しているのですが、同時に毛を絡め取って飲み込んでしまうと毛球症の原因に。
飼い主さんによるブラッシングやコーミングには、毛球症を防ぐほかにも愛猫の美と健康を保つためのさまざまな目的と効果があります。
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猫にブラッシングをするメリット・デメリット
多くのメリットがあるブラッシングですが、ブラッシングのやり過ぎはデメリットを生むこともあります。
その両方について理解し、メリットを活かすブラッシングで愛猫も飼い主さんも快適で健康的な毎日を過ごしましょう。
メリット1:被毛や皮膚を清潔・健康に保てる
一般社団法人ペットフード協会「令和5年 全国犬猫飼育実態調査」によると、室内のみで飼育されている飼い猫は全体の約83%で2016年以降増加。ここ数年では横ばいとなっています。
その分、外猫のようにノミなどの害虫に悩まされる可能性は減りましたが、家族が外出の際、衣服に付けて帰ることもあります。
また、住宅の気密性が増し、家ダニは1軒に数百万匹~数億匹も存在しているといわれます。
ブラッシングはこうした害虫を取り除くためにも必要です。猫の抜け毛が埃となって、その中にダニが潜むことも防げます。
ブラッシングで抜け毛や汚れを除去することにより、皮膚が蒸れることなく清潔を保てるので、皮膚病予防にもなります。
メリット2:愛猫との信頼関係を深められる
ブラッシング好きな子は、自分からブラッシングやコーミングを要求してくることもあります。
ブラシやコームで優しく毛を梳かれると、気持ちいいことを知っているからでしょう。
愛猫が心地よいと感じるように、優しくブラッシングしてあげてください。
そして、ブラッシングしながら穏やかな声で話しかけ、いい子でブラッシングできたら思いきり褒めてあげましょう。
ブラッシングは愛猫と飼い主さんとの信頼関係を深める、絶好のコミュニケーションタイムです。
メリット3:グルーミング時に飲み込む毛の量を減らせる
ブラッシングの第一のメリットは、何といっても毛球症予防になることです。
グルーミングという習性がある猫は、体を舐めた際に抜け毛も飲み込み、お腹に溜まって球状の毛玉になると排出できなくなってしまいます。
愛猫が苦しい思いをするだけでなく、最悪の場合、腸閉塞を起こして死亡のリスクも高まります。
吐き出せるうちは、飲み込んだ毛の排便を促すフードやサプリメントで対策でき、軽症なら投薬による治療もあります。
しかし、重症の場合は外科手術を要します。検査や診療、手術のための費用や治療期間も多く必要となり、愛猫はもちろん、飼い主さんにとっても大きな負担となってしまいます。
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メリット4:体調変化に気付きやすくなる
ブラッシングしながら愛猫と触れ合うことで、体調の変化に素早く気付くこともできます。
皮膚に湿疹や傷はないか、脱毛している部分はないか、体のどこかに腫れやしこりはないか、触れると妙に痛がったりしないか、発熱していないか…など。
ブラッシングしながら触れ合うことで、いち早く異変に気付くことができます。「おかしいな」と思ったら、すぐかかりつけの動物病院へ。
早期治療につながり、命の危険を伴う重病から救えることだってあるのです。
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デメリット1:やり方によっては愛猫の肌を傷めるリスクもある
愛猫へのブラッシングは「優しく」「少しずつ」がポイント。やり方次第では逆効果にもなってしまいます。
一所懸命ブラッシングするあまり、健康な毛まで抜いてしまったり、愛猫の皮膚を傷つけたりしては元も子もありません。
嫌がったら続きはまた明日に。痛がるようなら力加減をゆるめ、ブラシやコームを愛猫好みのものに変えてみましょう。
デメリット2:ブラッシング嫌いな猫もいる
そもそも体を触られることがあまり好きではない子もいます。猫も性格や好き嫌いは、個体によって千差万別。
愛猫のほうから体をすり寄せてきたり、頭を押し付けてきたりしたら、ブラッシングに慣れさせるチャンスです。
まずは頭や首の後ろ、尾の付け根の腰の上など、なでられると喜ぶ部分を手でなでることから始め、徐々にブラシやコームに変えていきましょう。
嫌がったら即ストップ。また、ブラッシング中に大きな物音は厳禁。嫌なことがあるとそれがトラウマになり、ブラッシング嫌いになってしまいます。
猫のブラッシング頻度
ブラッシング頻度も、短毛種か長毛種かによって異なります。
やりすぎもやらなさすぎもNG。同じ猫種でも個体差はあるので、自分の子に合ったやり方、ペースを見つけていきましょう。
短毛種は1週間に1~2回、長毛種は毎日が理想的
愛猫のブラッシングは、優しく少しずつが基本。嫌がったらストップして、ブラッシングできなかった部分は翌日にしてもかまいません。
愛猫とのコミュニケーションも兼ねて1日ちょっとずつがベター。逆に、一度にやり過ぎないよう注意が必要です。
長すぎるブラッシング時間は愛猫にとってストレスになり、ブラッシング嫌いになるばかりか、肌を傷つけて皮膚病の原因にもなりかねません。
短毛種は1週間に1~2回、長い毛に汚れが溜まりやすい長毛種は毎日を目安にすると良いでしょう。
換毛期は毎日行うのが良い
冬毛から夏毛に生え変わる3月頃、夏毛から冬毛に生え変わる11月頃の春と秋の2回、猫には換毛期があります。
換毛期には抜け毛が多くなるので、短毛種でも毎日ブラッシングしてあげましょう。
特にダブルコートの長毛種は、オーバーコート(上毛)とアンダーコート(下毛)の二重構造なので抜け毛が増えます。
毛球症になるのを防ぐためにも、換毛期のブラッシングは毎日行ったほうが良いでしょう。
ブラッシングの目安時間は3~5分程度
ブラッシングは猫に必要なケアのひとつですが、長時間にわたってやりすぎるのはむしろ逆効果。1回に3~5分程度が目安です。
愛猫が嫌がって鳴いたり、噛んだり引っ掻いたりしてきたら「もうやめて」の合図。また逃げて行ったら、追いかけてブラッシングするのはNG。
「続きはまた明日」と、飼い主さんも心に余裕を持ってすることが、愛猫との信頼関係を築くためにも大切です。
ただ、これはあくまで目安。ブラッシングがうまくできれば、マッサージにもなるため、気持ちよく感じてくれる子もいますよ。
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猫用ブラシの選び方
生後まもなくの子猫は自ら排泄することができず、母猫に舐められることによって排便や排尿が促されます。
授乳後や睡眠前にも母猫は子猫をよく舐めますが、母猫から十分にグルーミングされた子猫は成長後も精神的に安定し、攻撃性が低くなると言われています。
母猫の舌の感触に似ているのが歯ブラシです。生後3か月~4か月頃から、あまり硬すぎない歯ブラシでブラッシングして慣れさせると良いでしょう。
慣れてきたら、ブラシやコームに切り替えます。生後1年になったら成猫ですから、体も大きくなるのでそれまでに切り替えを。
短毛種か長毛種か、愛猫の毛質に合わせて使いやすいものを選びましょう。
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愛猫の毛の長さに合わせる
猫の毛の長さは、短毛種と長毛種に分かれます。その名の通り、毛の短い猫種を短毛種、毛の長い猫種を長毛種と言います。
それぞれの代表敵機な猫種は以下です。
短毛種には肌を傷つけないようピンが短めのクシのものを、長毛種向きのブラシやコームはピンの長いものを選ぶと良いでしょう。
ブラシの種類ごとの用途
ブラシは全て同じもの、というわけでもありません。いくつかの種類があり、それぞれ用途が異なっています。
後ほど詳しくご紹介しますが、基本的な抜け毛を除毛するブラシ、毛並みを整えるブラシ、アンダーコートを整えるブラシなど、いくつかの種類があります。
これらの用途に応じてブラシを使い分けることが必要なので、ブラシは複数持っていることになります。
使いやすいもの
飼い主さんが使いにくいと感じるブラシやコームは、上手にブラッシングできない要因となります。
うまくブラッシングできないと愛猫も痛がったり不快に感じたりしますから、ブラッシング嫌いになってしまうかもしれません。
無理に押さえつけてブラッシングするのは、トラウマを与えてしまうだけで絶対にタブーです。
まずは飼い主さんが使いやすそうだと思うものを選びましょう。スムーズにブラッシングできれば、愛猫も心地よいと感じてくれます。
猫用ブラシの種類ごとの用途
近頃では、多種多様なペット用のブラシやコームがあり、どれを選んだら良いか迷ってしまいますよね。
主なものは以下の5種類で、使用される素材によって特徴も異なります。
何種類か用意して、用途に合わせて使い分けると良いでしょう。また、使用しているうちに愛猫の好みもわかってきます。
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ピンブラシ:長毛種にも短毛種にも使える基本の1本
まずは基本の1本として用意するなら、こちらのようなピンブラシがおすすめ。愛猫の肌を傷つけない先丸ピンで、長毛種・短毛種問わず使えます。
毛を梳かした後、先丸ピンで軽くポンポンと地肌に当てるようにするとマッサージ効果も。
こちらのピンブラシは飼い主さんが握りやすい形状で、ブラッシング初心者にもおすすめです。
スリッカーブラシ:抜け毛の多い換毛期にあると便利
ピンがクッション部分に埋まっていて、ポンとボタンを押せばブラッシングで取れた抜け毛が片手で捨てられます。
先端丸形加工された柔軟性のあるピンは愛猫の肌を傷つけにくく、体にフィットして隅々までブラッシングOK。
こちらのブラシはペットサロンのトリマーさん監修により開発されたので、飼い主さんにも使いやすいと評判です。
ラバーブラシ:主に短毛種の抜け毛をごっそりからめ取る
力を入れなくても、ラバー(ゴム)が吸い付くように抜け毛や埃を絡め取ります。やわらかいので愛猫の肌を傷つけにくい構造です。
こちらのラバーブラシは、軽くなでるだけで細かな汚れも取れる二股ピンが特徴。同じ箇所を何度も梳かさず、毛流れに沿ってやさしく梳かすのがコツです。
最近ではなでるようにブラッシングできるグローブタイプもありますが、握りやすい形状のほうが力加減もしやすいというメリットがあります。
獣毛ブラシ:毛艶を良くする仕上げに最適
豚毛や猪毛を使用しているブラシは、適度な脂分や水分も含まれているので、静電気が起きにくく艶出しに最適。
ピンブラシやコームで梳かした後、毛の流れに沿って優しくなでるように仕上げると、被毛表面の埃も取り除いてツヤツヤに。
こちらのブラシは天然竹と豚毛を組み合わせた毛を使用。本体にも天然木を使用しているので、握り心地もナチュラルで丈夫です。
コーム:からまりや毛玉ほどきに便利でノミ取りにも活躍
特に長毛の猫種は毛がからまったり毛玉になったりしやすいので、コームがあると便利。クシ先で少しずつ毛をほどくようにします。
もつれやすい毛はコームを45°くらいの角度で当て、根本から毛先に向かって梳かします。
こちらのコームのようにクシ先が丸くなっているものは、愛猫の肌を傷つけにくいので安心。極細ピンは外猫用のノミ取りにも役立ちます。
スクラッチャーブラシ:アンダーコートと抜け毛を除去する
ダブルコートと呼ばれる被毛が上下で重なっている子には特におすすめで、夏場の熱中症を防ぐためにもアンダーコートの処理は必要。
熱がこもってしまわないよう、アンダーコートを効率的に除去するためにはスクラッチャーブラシが最適です。
もちろん抜け毛の除去にも使いやすく、換毛期などの抜け毛が多い時期にはスクラッチャーブラシでごっそり除去するのがおすすめです。
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短毛種の猫に適したブラッシング方法
ブラッシングの基本は、愛猫がさわられて喜ぶ部分から始め、さわられたくない部分はブラッシングに慣れてから後回しにすること。
嫌がった場合は深追いせずにすぐ中止して、続きはまた翌日に。優しく少しずつがブラッシング嫌いの猫にさせないポイントです。
抜け毛だけでなく健康な毛まで取り除いてしまい、皮膚を傷つけてはいけませんから、力加減にも注意。
用意するもの | ・ラバーブラシ ・獣毛ブラシ ・コーム |
ブラシが合っていないと痛がる場合もあるので、愛猫好みのブラシに変えてみましょう。
短毛種と長毛種では適したブラシも違い、ブラッシングのコツも異なります。
ステップ1. ラバーブラシで頭の後ろからお尻にかけてブラッシング
ラバーブラシは短毛種の子におすすめ。中でも手にはめて使うタイプは、愛猫の体をなでるようにするだけで抜け毛が取れるので初心者向きです。
ただし、粘着力が強いので毛がごっそり取れることもあり、ついつい飼い主さんが興奮してやりすぎたり力を入れすぎたりしないようご注意を。
健康な毛まで絡め取ってしまいますので、痛がるようならすぐストップ。ラバーブラシを嫌がる愛猫は、基本のピンブラシに変えてみましょう。
猫は後頭部やお尻をなでられるのが好きなので、まずはここから毛の流れに沿ってブラッシングします。
ステップ2. しっぽの付け根から先端に向かってブラッシング
腰やしっぽの付け根あたりは気持ちよさそうにしてくれて、抜け毛も取れやすい部分なので、優しく丁寧にブラッシングしましょう。
慣れてきたら徐々にしっぽへ移行し、付け根から先へと梳かします。しっぽは触れられるのを嫌がる子も多いので、拒否されたら即中止を。
子猫期からしっぽにも触れるようにしておけば、ブラッシングもしやすくなりますよ。
ステップ3. あごを持ち上げて首周りをブラッシング
あご下も猫がなでられて好きな部分。顔まわりは自分でなめてグルーミングできない部分なので、たいていの子が喜びます。
後頭部のブラッシングを気持ちよさそうにしてくれたら、そのまま耳の下、首まわり、あご下などを優しく梳かしてあげましょう。
顔まわりは皮膚も薄くデリケートですので、軽く力を入れないようにして行い、ブラシの先で愛猫の目や耳、唇などを傷つけないよう注意しましょう。
ステップ4. 片足を持ち上げて脇の後ろから後ろ足をブラッシング
大切な臓器が詰まったお腹は、多くの猫にとって触られてほしくない部分です。背中をブラッシングしてから徐々に斜め方向の脇腹へと移行。
心地よさそうにゴロンとお腹を見せてくれたら、そのままお腹の脇も軽く優しくブラッシング。嫌がったらすぐにストップします。
手足をつかまれるのも嫌がる子は多いですが、脇をブラッシングさせてくれたら片足を軽く持ち上げて、内股もブラッシングします。
ステップ5. 被毛全体をコームで優しく梳かす
短毛種の場合でも、お尻まわりの毛がからまったり毛玉になったりすることがありますので、コームの先で優しく少しずつほどきます。
そして、ブラッシングした順番に『お尻、しっぽ、後頭部、顔まわり、背中、お腹、内股』などを毛の流れに沿って優しくコーミング。
コームで仕上げることによって被毛に艶が出て、またブラシでは梳かしにくい手足や顔まわりなどの細かい部分はコームだけでも十分です。
長毛種の猫に適したブラッシング方法
トップコートとアンダーコートが二重に生えたダブルコートの長毛種は、毛が絡まりやすく毛玉ができやすいです。
日を空けてしまうと皮膚病の原因にもなりますので、できれば毎日ブラッシングをしましょう。もちろん、無理やりはNG。
長毛種に対しては、以下のようなブラシを使ってあげるのがおすすめです。
用意するもの | ・コーム ・ピンブラシ ・スリッカーブラシ ・スクラッチャーブラシ |
特に春秋の換毛期には抜け毛が増えるので、こまめなブラッシングが推奨されます。
自慢のロングヘアーの魅力と美しさが増す、使いやすいブラシ選びもポイントです。
ステップ1. 長毛種はからまった毛や毛玉をコームでほどくのが先
毛足の長い長毛種はブラッシングをサボると、毛がもつれやすくなります。
からまりや毛玉ができてしまったら毛の根元を指で摘んで抑え、皮膚を引っ張ったり傷つけたりしないようコームの先で毛先から少しずつほどきます。
頑固な毛玉はハサミの先で肌を傷つけないよう注意して、十字に切ってからコームの先で少しずつ丹念にほどきましょう。
もつれや毛玉が取れたら、まずはコームやピンブラシ、スリッカーブラシで全体を毛の流れに沿って優しく梳かします。
ステップ2. スリッカーブラシで頭の後ろからお尻にかけてブラッシング
後頭部やしっぽの付け根のお尻部分をなでられるのが好きなのは、短毛種も長毛種も同じ。
コームやピンブラシで『頭の後ろ、首の後ろ、背中、腰』と、毛の流れに沿って力を入れずにブラッシングしていきます。
夏毛や冬毛に抜け替わる春秋の換毛期は、ピン先が「くの字」になったものや細長いピンがたくさんついたスリッカーブラシがあると便利。
少ない力で抜け毛がより多くかき取れて、ダブルコートの長毛種向きです。痛がらないよう慎重に少しずつ梳かすのがポイント。
ステップ3. しっぽの付け根から先端に向かってブラッシング
短毛種に比べてフサフサの毛と長いしっぽを持つ猫種が多い長毛種。
抜け毛も多いので、舐めてグルーミングした際に毛がお腹に溜まって毛球症にならないよう、丁寧にブラッシングしたい部分です。
尻尾をつかまれるのを嫌がる子も多いので、お尻をブラッシングしたらその延長でしっぽの付け根から先に向かって少しずつ優しく梳かしましょう。
嫌がったり痛がったりしたら、無理強いせずに中止してまた次回に。
ステップ4. あごを持ち上げて首周りをブラッシング
後頭部をブラッシングしたら、耳の後ろ、首のまわり、あご下へと続けます。
首輪やカラー、スタイなどをしている子は、はずしてブラッシングしてあげましょう。
ブラシが大きめで細かな部分をブラッシングしにくい時は、コームを使うと小回りがききます。
愛猫の耳や目、口もとなど、デリケートな部分をクシ先で傷つけないよう注意しましょう。
ステップ5. 片足を持ち上げて脇の後ろから後ろ足をブラッシング
ブラッシングが心地よいとわかると、自ら伸びをして横になったりお腹を見せてくれたりします。
そうなれば、なかなかさわらせてくれないお腹の脇や内股をブラッシングするチャンス!
背中から脇に向かって毛の流れに沿って優しく梳かしましょう。嫌がったらすぐストップです。
手足をつかまれるのが嫌いな子も多いのですが、くつろいでいたら片足を上げさせて内股もブラッシング。
トイレの後、お尻まわりを上手になめることができない子は毛玉ができやすいので、コームなどを使って毛先を梳かしてあげましょう。
ステップ6. 被毛全体をコームでとかす
仕上げにコームで全体を毛の流れに沿って優しく梳かしてあげましょう。
長毛種には粗目タイプがおすすめ。皮膚を傷つけないよう、クシの先が丸くなっているものを選びましょう。
毛艶が出て、被毛自慢の長毛種の美しさが引き立ち、ますますチャーミングになりますよ。
愛猫がブラッシングを嫌がるときの対処法
初めてブラッシングする時は、まず飼い主さんの手でなでてあげることから始めましょう。
ブラシのニオイを嗅がせたり、なめさせてみたり、ブラシに慣れてもらうことも大切です。
嫌がる場合は、ブラシを変えてみるのも効果的。愛猫のお気に入りのブラシを使うことも、ブラッシング好きにさせるポイントです。
また、嫌がる素振りや態度をしたら、無理強いしてはいけません。
最初は数秒~数分のブラッシングから始める
繰り返しになりますが、愛猫へのブラッシングは1回に3~5分程度が目安。慣れてもらうことが大切ですから、最初は数秒でもかまいません。
数秒程度から数十秒、そして1分までやってみましょう。そこから最長で3~5分程度は慣れてもらえると楽です。
ブラッシングが痛くなければ気持ちよく感じてもらえるため、愛猫にとって気持ち良いと思えるブラッシングを飼い主さんが見つけてあげましょう。
さわっても平気なところから始める
猫にはなでられるとうれしい部分、逆にさわられると嫌な部分があります。
なでられると喜ぶ主な部分は、頬、あご、耳の付け根などの顔まわり。お尻ポンポンが好きな猫もいて、腰はあまり嫌がりません。
肩や背中は個体差があるようですが、お腹は大切な臓器が収納されているのでほとんどの猫がさわられるのを嫌がります。
手足やしっぽをつかまれるのは、危険を察知した時にすぐに逃げられないことから、多くの子が嫌う行為。
ブラッシングの鉄則は猫が好きな部分から始め、さわられるのが嫌な部分は後回しにすると覚えておきましょう。
嫌がったら無理に続行しない
掻いたり引っ掻いたりするのは、「嫌だ、やめてほしい」とアピールしている合図です。
「イカ耳」と呼ばれる耳が左右平行になる、さらに耳が後ろに倒れる、しっぽをパタンパタンと大きく打ち付けるのも嫌がっているサインなので、すぐに中止。
逃げ出した場合は、追いかけて無理にブラッシングをしないようにしましょう。
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猫用ブラシのおすすめ3選
猫の毛質特徴に合わせて作られたスイス製ラバーブラシ
短毛種におすすめなのがラバーブラシですが、こちらはやわらかく飼い主さんの手にフィットして使いやすいのが特徴。
手で握りやすいとブラッシングの力加減もコントロールしやすく、愛猫に負担をかけません。
短毛種の子の毛足に合わせ、シリコンの突起がやや短めで、突起のすき間もやや狭くなっています。ペット先進国のスイス製。
本体サイズ | 6.0×2.5×10.5cm |
---|---|
本体重量 | 96g |
種類 | ラバーブラシ |
毛・ピンの長さ | - |
毛先のやわらかさ | やわらかめ |
対象年齢 | - |
素材 | シリコーン |
適合種 | 短毛の猫種 |
ワンプッシュで抜け毛が捨てられるスリッカーブラシ
換毛期の長毛種におすすめなのがこちら。ビーズの付いた細かなクシが密集したスリッカーブラシです。
ワンプッシュで取れた抜け毛が簡単に捨てられ、丸洗いもOKと、お手入れのしやすさも魅力。
環境ホルモンやアレルギー物質を含まない素材を使用しているので、愛猫も飼い主さんも安心してお使いいただけます。
本体サイズ | 約21x10cm |
---|---|
本体重量 | 120g |
種類 | スリッカーブラシ |
毛・ピンの長さ | 9cm |
毛先のやわらかさ | やわらかめ |
対象年齢 | - |
素材 | ステンレス、合成ゴム(TPR)、アクリロニトリルブタジエンスチレン |
適合種 | 中毛~長毛犬、中毛~長毛猫 |
ブラッシングが苦手な子にはこれ
「ブラッシングを嫌がる猫もとろける」と評判のブラシです。その秘密は、適度なブラシ圧とクッションの効いたソフトタッチのピン。
ブラシピンは1本1本職人が丁寧に植毛し、均一で心地よいブラシ圧を実現しました。
ブラシ中央に除電繊維(ナスロン)を埋め込み、静電気が発生しにくく、ブラシ毛には遠赤外線効果のある天然鉱石を配合。
本体サイズ | 22.8cm×5.8cm |
---|---|
本体重量 | 100g |
種類 | ピンブラシ |
毛・ピンの長さ | ~4cm |
毛先のやわらかさ | やわらかめ |
対象年齢 | - |
素材 | ナイロン、ステンレス、NBR、ABS樹脂 |
適合種 | 各種猫 |
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シニア猫はグルーミングが苦手になることもある
猫種によって平均寿命は異なりますが、一般的に7歳~10歳が中高齢猫、11歳~14歳が高齢猫、15歳以上になると老齢猫といわれます。
高齢期、老齢期のシニア猫になると体力や体の柔軟性が衰え、グルーミングもしなくなり、被毛の艶もなくなってパサつき、フケなども目立ってきます。
ゆったり過ごしたいシニア猫の負担になるようなら、毎日や1日おきにする必要はありませんが、週に2~3回はブラッシングしてあげましょう。
ピンブラシやコームで毛の流れに沿って優しくなでるようにブラッシングしながら、愛猫の体調をチェックするのも兼ねられます。
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愛猫の爪は1か月に1回を目安に切ってあげる
ブラッシング時には、先に猫の爪の伸び具合もチェックしておくと安心です。
爪が伸びたままだと、飼い主さんやご家族などが引っ掻かれる危険性だけでなく、猫自身もカーテンなどに爪を引っ掛けてケガする可能性があります。
また、年齢を重ねた猫は巻き爪になりやすく、長く伸びた爪が内側に入り込み、肉球に刺さってしまいます。
飼い主さん自身で爪切りしてあげるのが難しければ、1か月に1回を目安にかかりつけの獣医さんやトリマーさんに切ってもらうと良いでしょう。
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猫はよく吐く動物で、1ヶ月~数ヶ月に一度はグルーミングで飲み込んだ毛を吐き出します。換毛期にはもっと頻繁に吐く場合も。
けれど、うまく毛が吐き出せなかったり、排泄したりができなくなくなると、胃や腸に溜まった抜け毛が大きな球状になって毛球症を発症します。
悪化すると外科手術で取り除かなければならなくなり、最悪の場合は腸閉塞を起こして生命に危険さえ及ぼしてしまいます。
愛猫の健康のため、ブラッシングは必要なお手入れです。
正しく上手なブラッシングは猫にとっても快適で、飼い主さんと愛猫とが触れ合うコミュニケーションタイムでもあり、習慣化したいものです。
ブラッシングを通して、あなたと愛猫との信頼関係がますます深まりますように。
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この記事の執筆者
nademo編集部
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