猫の病気・健康

猫の皮膚の赤み、これって病気?原因と対策、病院に行く目安まで解説

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猫

愛猫の毛をかき分けてみたら、皮膚が赤くなっていた…そんな経験はありませんか?

猫の皮膚の赤みは、一見すると些細な変化に見えても、実は深刻な病気のサインであることも少なくありません。

この記事では、猫の皮膚に赤みが見られる際に飼い主さんが知っておくべき症状の種類から、考えられるさまざまな原因、そして自宅でできる応急処置や、動物病院を受診するべきタイミングまで、詳しく解説していきます。

大切な愛猫の健康を守るために、ぜひ最後までお読みください。

この記事の結論

  • 猫の皮膚の赤みは、アレルギー、感染症、寄生虫など多岐にわたる原因で発生する
  • 自宅ケアで改善しない場合や全身症状がある場合は、迷わず速やかに動物病院を受診する
  • 病院では皮膚検査や血液検査を行い、原因に応じた投薬や食事療法で治療する
  • 愛猫の皮膚の異変に気づいたら、早期に獣医師に相談し、適切な対応をすることが大切

nademo編集部

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猫の皮膚に赤みが見られるときの主な症状

白猫

愛猫の皮膚に赤みが見られる場合、それは単なる炎症だけでなく、さまざまな体の不調を示すサインである可能性があります。

一般的に見られる赤みの症状としては、皮膚が部分的にピンク色や赤色に変色している、毛が薄くなったり抜け落ちて皮膚が露出している箇所が赤くなっている、などが挙げられます。

また、赤みがある部分を猫が頻繁に舐めたり、掻いたり、噛んだりする行動が見られることも多く、これはかゆみを伴っている可能性を示唆しています。

皮膚の表面に湿っぽい状態や、フケ、かさぶたが伴うこともあり、これは二次的な細菌感染などが起きている場合もあります。

これらの症状は、病気の初期段階であることもあれば、慢性的な皮膚疾患のサインであることもあります。

重症度が高い赤みの症状

猫の皮膚の赤みの中には、早急な獣医師の診察が必要な重症度が高い症状も存在します。

例えば、皮膚全体が広範囲にわたって真っ赤に腫れ上がっている場合や、熱を持っているような熱感を伴う場合、また、皮膚から膿や体液が滲み出ている、悪臭がするといった症状は、重度の感染症やアレルギー反応の可能性が高いです。

さらに、赤みが潰瘍化してただれていたり、深い傷になっている場合は、激しい痛みや出血を伴うことがあり、猫の体力を著しく消耗させ、食欲不振や元気消失といった全身症状を引き起こすこともあります。

これらの症状が見られる場合は、迷わずすぐに動物病院を受診し、適切な診断と治療を受けることが愛猫の命を守る上で非常に重要です。

赤みの他に確認したい症状

猫の皮膚の赤みを見つけた際、その赤み単体で判断するのではなく、他にも以下のような症状がないかを確認することが、原因を特定する上で非常に重要です。

かゆみや脱毛を伴う赤み

猫の皮膚の赤みが、かゆみや脱毛を伴う場合、それはアレルギー性皮膚炎や外部寄生虫の感染が強く疑われます。

激しいかゆみがある場合、猫は患部を執拗に舐めたり掻いたりするため、その刺激によってさらに皮膚炎が悪化し、脱毛や二次的な細菌感染を引き起こすことがあります。

特に、ノミやダニ、疥癬(かいせん)などの寄生虫が原因の場合、寄生虫の唾液や糞便に対するアレルギー反応で強烈なかゆみが生じ、特定の部位(背中、首周りなど)に脱毛と赤みが集中することが多いです。

また、食物アレルギーや環境アレルギー(アトピー性皮膚炎)の場合も、慢性的なかゆみが全身に見られ、その結果として脱毛や皮膚の赤みが発生することがあります。

これらの症状が見られる場合は、原因を特定するために専門的な検査が必要となります。

ブツブツやただれがある赤み

猫の皮膚の赤みに加えて、ブツブツとした隆起や、ただれ(潰瘍)が見られる場合、これは細菌や真菌(カビ)による感染症、または重度のアレルギー反応を示している可能性が高いです。

ブツブツ(丘疹、膿疱):

小さく赤いブツブツが広範囲に発生している場合、アレルギー性皮膚炎や疥癬などの寄生虫感染が考えられます。

白い膿を持ったブツブツ(膿疱)がある場合は、細菌性皮膚炎(膿皮症)の典型的な症状です。

ただれ(びらん、潰瘍):

皮膚の表面がただれて、じゅくじゅくしている場合は、アレルギーによる湿潤性皮膚炎や真菌感染症の可能性があります。

皮膚が深くえぐれたような潰瘍を形成している場合は、重度の感染症、自己免疫疾患、あるいは慢性的な自傷行為(舐めすぎ、掻きすぎ)が原因であることもあります。

これらの症状は猫に強い痛みやかゆみを与え、悪化すると全身に影響を及ぼす可能性もあるため、早期に動物病院を受診することが重要です。

熱を持っている赤み

猫の皮膚の赤みが熱感を伴う場合、それは皮膚の炎症が活発に進行していることを示唆しており、特に細菌感染や真菌感染といった感染症が強く疑われます。

炎症が起きている部位では、血流が増加し、免疫細胞が集まることで熱を帯びることが一般的です。触ると明らかに熱いと感じる場合、また、猫自身がその部分を触られるのを嫌がる場合は、痛みを伴う重度の炎症が起きている可能性が高いです。

例えば、膿瘍(膿が溜まった塊)が形成されている場合や、蜂窩織炎(皮膚の深い部分で広範囲に炎症が起きる状態)などの細菌感染では、強い熱感を伴うことがよくあります。

このような症状が見られる場合、抗生物質や抗真菌薬などの治療が必要となるため、速やかに動物病院を受診してください。

特定の部位にだけ見られる赤み

猫の皮膚の赤みが体の一部分、特定の部位にのみ見られる場合、その原因はいくつか考えられます。

部位考えられる原因(例)
耳の内側耳ダニ、外耳炎(細菌・真菌感染)、アレルギー
顎(あご)猫ニキビ、真菌感染
首周り・背中ノミ・マダニなどの外部寄生虫アレルギー、接触性皮膚炎(首輪など)
お腹・内股アレルギー性皮膚炎(食物アレルギー、アトピー性皮膚炎)、自己舐めによる刺激、真菌感染
足の裏・指の間趾間皮膚炎(細菌・真菌感染)、異物の刺入、アレルギー

このように、赤みが見られる部位によってある程度の原因を推測することが可能です。しかし、自己判断せずに、まずは動物病院で正確な診断を受けることが、適切な治療への第一歩となります。

特に、猫がその部位を執拗に舐めたり掻いたりする場合は、痛みやかゆみが強い可能性があるため、早めの受診をおすすめします。

猫の皮膚の赤みの原因として考えられること

猫の皮膚に赤みが見られる場合、その原因は非常に多岐にわたります。

大きく分けると、アレルギー反応、細菌や真菌、ウイルスなどの感染症、外部寄生虫の寄生、内分泌系の疾患、そして物理的な刺激やストレスによる行動障害などが挙げられます。

これらの原因は単独で発生することもあれば、複数の要因が絡み合って皮膚炎を引き起こすことも少なくありません。例えば、アレルギーによって皮膚のバリア機能が低下し、そこに細菌が二次感染するといったケースです。

正確な原因を特定するためには、症状の観察だけでなく、獣医師による詳細な検査が不可欠となります。

原因が異なれば治療法も異なるため、愛猫の皮膚の赤みに気づいたら、早めに動物病院を受診することが大切です。

アレルギー性の皮膚炎

アレルギー性の皮膚炎は、猫の皮膚の赤みや痒みの主な原因のひとつです。

猫の免疫システムが特定の物質(アレルゲン)に過剰に反応することで、皮膚に炎症が起こります。アレルゲンは食事に含まれる特定のタンパク質であったり、ノミの唾液、花粉やハウスダストなどの環境中の物質であったりします。

アレルギー性の皮膚炎は、強い痒みを伴うことが多く、猫がその痒みから皮膚を舐めたり、掻いたり、噛んだりすることで、脱毛や皮膚のただれ、さらには細菌の二次感染を引き起こし、症状をさらに悪化させることがあります。

慢性化すると皮膚が厚く硬くなったり、色素沈着を起こしたりすることもあります。

正確なアレルギーの原因を特定するためには、食事療法やアレルギー検査などが行われることがあります。

食物アレルギー

食物アレルギーは、特定の食べ物に含まれるタンパク質に対して、猫の免疫システムが過剰に反応することで起こるアレルギー反応です。

主な症状は皮膚の痒みや赤みですが、消化器症状(下痢や嘔吐)を伴うこともあります。特に、鶏肉、牛肉、乳製品、魚などの一般的な食材に含まれるタンパク質がアレルゲンとなることが多いとされています。

症状は体のさまざまな部位に現れることがありますが、顔や耳、首、足の裏などに強い痒みと赤みが見られることが多いのが特徴です。

診断には、通常8週間程度アレルゲンとなりうるタンパク質を含まない「除去食」を与え、その後元の食事に戻して症状が再発するかを確認する「除去食試験」が用いられます。

ノミ・ダニなどの寄生虫アレルギー

ノミやダニの寄生は、猫にとって非常に一般的な皮膚トラブルの原因であり、特にその唾液成分に対するアレルギー反応が「ノミ・ダニ寄生虫アレルギー」として皮膚炎を引き起こすことがあります。

ノミの場合、たった一匹のノミに刺されただけでも激しい痒みと赤みが生じ、背中から尻尾の付け根にかけて強い痒みと脱毛、粟粒性皮膚炎(小さなブツブツが広範囲にできる状態)が見られることが特徴です。

マダニの場合は、吸血部位に腫れや赤み、痒みが生じます。また、目に見えないほどの小さな疥癬(かいせん)ダニの寄生も、耳の縁や肘、かかとなど、体の一部に激しい痒みと赤みを伴う皮膚炎を引き起こします。

これらの寄生虫の予防と駆除は、皮膚炎の改善に不可欠です。

環境アレルギー(アトピー性皮膚炎)

環境アレルギー、またはアトピー性皮膚炎は、花粉、ハウスダスト、カビの胞子など、空気中に浮遊する環境中のアレルゲンを吸い込んだり、皮膚から吸収したりすることで引き起こされるアレルギー反応です。

遺伝的な体質も関連していると考えられており、慢性的な痒みと皮膚の赤みが主な症状です。特定の季節に症状が悪化したり、年間を通して症状が見られたりすることがあります。

顔、耳、脇の下、股の付け根、足の裏など、比較的広範囲に痒みと赤みが出やすい傾向があります。

猫自身が痒みから過剰に舐めたり掻いたりすることで、皮膚がただれたり、色素沈着を起こしたり、二次的な細菌感染や真菌感染を併発することも少なくありません。

治療は、アレルゲンの特定と回避、痒みを抑える薬の投与、スキンケアなど多岐にわたります。

感染症による皮膚炎

猫の皮膚の赤みや痒みは、細菌、真菌(カビ)、ウイルスといった病原体の感染によって引き起こされることも非常に多いです。

健康な皮膚にはこれらの病原体が少量存在することもありますが、皮膚のバリア機能の低下、免疫力の低下、アレルギーによる掻き壊しなどがあると、これらの病原体が増殖し、感染症として皮膚炎を発症します。

感染の種類によって症状はさまざまですが、一般的には赤み、痒み、脱毛、フケ、かさぶた、膿疱(膿を持ったブツブツ)、ただれなどが見られます。

感染症は適切な治療を行わないと悪化し、慢性化したり、全身に影響を及ぼしたりする可能性もあるため、早期の診断と治療が重要です。

細菌性皮膚炎(膿皮症など)

細菌性皮膚炎は、皮膚の常在菌であるブドウ球菌などが、何らかの原因で過剰に増殖することで引き起こされる皮膚炎です。

特に皮膚の免疫力が低下している場合や、アレルギー、寄生虫による掻き壊しなどで皮膚のバリア機能が損なわれた際に発症しやすくなります。

症状としては、皮膚の赤み、小さな赤いブツブツ(丘疹)、膿を持ったブツブツ(膿疱)、かさぶた、フケなどが見られ、痒みを伴うことが多いです。

症状が進行すると、毛包にまで炎症が及ぶ毛包炎や、さらに深い部分に膿が溜まる膿瘍を形成することもあります。治療には、抗生物質の内服や外用薬、薬用シャンプーなどが用いられます。

真菌(カビ)による皮膚炎(皮膚糸状菌症など)

真菌(カビ)による皮膚炎は、特に「皮膚糸状菌症(ひふしじょうきんしょう)」が代表的です。これは、特定のカビが被毛や皮膚の角質層に感染することで発症します。

症状としては、円形や不規則な形の脱毛と、その中心部が赤くなったり、フケや白いかさぶたを伴ったりすることが多いです。

痒みはあまりないこともあれば、重度に痒がる猫もいます。子猫や高齢の猫、免疫力が低下している猫に発症しやすい傾向があります。

また、人にも感染する可能性のある人獣共通感染症であるため、注意が必要です。

診断には、ウッド灯検査や真菌培養検査などが行われ、抗真菌薬の内服や外用、薬用シャンプーなどによる治療が行われます。

ウイルス性皮膚炎

猫の皮膚の赤みの原因として、ウイルス性皮膚炎は比較的稀ですが、特定のウイルス感染が皮膚症状を引き起こすことがあります。

代表的なものとしては、猫ヘルペスウイルスや猫カリシウイルス感染症に伴って口内炎や鼻炎といった症状と共に、口周りや鼻、目の周りの皮膚に炎症やただれが見られるケースがあります。

また、猫白血病ウイルス(FeLV)猫免疫不全ウイルス(FIV)感染症のように、免疫力が低下することで、結果的に皮膚の抵抗力が落ち、他の細菌や真菌による二次感染が起きやすくなり、間接的に皮膚炎が悪化するケースも考えられます。

ウイルス性皮膚炎は、そのウイルスに対する治療とともに、対症療法や二次感染の予防が重要となります。

外部寄生虫による皮膚炎

猫の皮膚に赤みが見られる場合、外部寄生虫の寄生は非常に一般的な原因のひとつです。

ノミ、マダニ、疥癬(かいせん)ダニ、ミミヒゼンダニなどが猫の皮膚に寄生し、吸血したり、皮膚の角質を食べたり、アレルギー反応を引き起こしたりすることで、強い痒みや炎症、赤み、脱毛などの皮膚症状を引き起こします。

これらの寄生虫は、他の動物や環境から猫にうつることが多く、特に外に出る猫や、多頭飼育の環境では注意が必要です。

肉眼で見えるものもあれば、顕微鏡でしか確認できないものもあります。定期的な予防薬の投与や、駆除薬の使用が治療と予防の基本となります。

ノミ・マダニ

ノミとマダニは、猫の皮膚に寄生する代表的な外部寄生虫で、特に皮膚の赤みやかゆみの原因として非常に多いです。

ノミ:

ノミは体長1~3mm程度の小さな昆虫で、猫の血液を吸います。ノミの唾液に対するアレルギー反応(ノミ刺咬性過敏症)を起こすと、たった一匹のノミに刺されただけでも背中から尻尾の付け根にかけて激しい痒みと赤み、小さなかさぶた(粟粒性皮膚炎)が広範囲に発生し、脱毛を伴うこともあります。

マダニ:

マダニはクモに近い種類の節足動物で、吸血すると数mmから大きいものでは1cm以上にも膨らみます。吸着部位に炎症や赤み、痒みを引き起こし、時に皮膚炎や感染症の原因となることがあります。

一部のマダニは重篤な病気を媒介することもあるため、発見したら無理に引き剥がさず、動物病院で除去してもらうのが安全です。

どちらの寄生虫も、定期的な予防薬の投与が最も効果的な対策となります。

疥癬

疥癬(かいせん)は、ヒゼンダニという非常に小さなダニが猫の皮膚に寄生して引き起こされる強い痒みを伴う皮膚炎です。

ヒゼンダニは皮膚の角質層にトンネルを掘って寄生し、その活動や排泄物に対するアレルギー反応によって、激しい痒みが生じます。

特に耳の縁、顔、肘、かかとなど、毛の少ない部分に症状が出やすい傾向があります。激しい痒みから猫が皮膚を掻き壊し、脱毛や皮膚の赤み、厚くなる、フケが大量に出る、かさぶたができるといった症状が見られます。

診断は皮膚の掻爬(そうは)検査でダニを検出し、駆虫薬の投与で治療します。人にも一時的に感染することがあるため、注意が必要です。

その他の原因

猫の皮膚の赤みは、上記のアレルギーや感染症、寄生虫以外にも、以下のようなさまざまな原因で引き起こされることがあります。

これらの原因は比較的稀なケースですが、診断が難しい場合もあるため、一般的な治療で改善が見られない場合は、獣医師がこれらの可能性も考慮して検査を進めることがあります。

早期に正確な診断を得ることが、愛猫の健康を守る上で非常に重要です。

自己免疫疾患

自己免疫疾患は、猫自身の免疫システムが誤って自分の体の細胞や組織を攻撃してしまうことで起こる病気です。

皮膚に症状が現れる自己免疫疾患にはいくつかの種類がありますが、例えば「天疱瘡」や「エリテマトーデス」などが挙げられます。

これらの疾患では、皮膚に赤み、ただれ、かさぶた、水ぶくれ、潰瘍などが広範囲に発生することがあります。痒みを伴うこともあれば、痛みや全身的な不調が見られることもあります。

診断には、皮膚生検(皮膚の一部を採取して検査)や血液検査が必要となり、治療は主に免疫抑制剤の投与が行われますが、長期的な管理が必要となるケースが多いです。

ホルモン疾患

猫の皮膚の赤みは、ホルモンのバランスの乱れ、つまりホルモン疾患が原因で引き起こされることもあります。

例えば、甲状腺機能亢進症副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)といった内分泌疾患では、全身の代謝に影響が及び、皮膚のバリア機能が低下したり、毛周期に異常が生じたりすることで、皮膚が薄くなり、脱毛や赤み、フケなどの皮膚症状が見られることがあります。

痒みが伴わないこともありますが、皮膚が脆弱になることで二次的な細菌感染を起こしやすくなる場合もあります。

ホルモン疾患は血液検査で診断され、ホルモンの分泌を調整する薬の投与や、原因となる腫瘍の外科的切除などが行われることがあります。

物理的な刺激(舐めすぎ、擦れなど)

猫の皮膚の赤みは、アレルギーや感染症といった病的な原因だけでなく、物理的な刺激によっても引き起こされることがあります。

最も一般的なのは、猫が特定の部位を頻繁に舐めすぎたり、掻きすぎたりすることによる「舐性皮膚炎」や「掻爬(そうは)性皮膚炎」です。

痒みがなくても、退屈、ストレス、不安などの心理的な要因から過剰にグルーミングを行い、その結果として皮膚が刺激され、赤みや脱毛が生じることがあります。

また、首輪の摩擦や、固い場所での擦れなども、皮膚に炎症を引き起こし、赤みや脱毛の原因となることがあります。

これらの場合、根本的な原因(ストレスなど)の解消とともに、皮膚の保護や炎症を抑える治療が必要となります。

ストレスによる行動障害

猫は非常に繊細な動物であり、環境の変化や生活の中のストレスが、皮膚の赤みを伴う行動障害として現れることがあります。

特に多いのが、ストレスによる過剰なグルーミングです。引っ越し、家族構成の変化、新しいペットの迎え入れ、騒音、退屈など、猫がストレスを感じる要因は多岐にわたります。

ストレスを感じた猫は、不安や不満を解消するために、特定の部位(お腹、内股、手足など)を執拗に舐め続けたり、毛をむしったりする行動を繰り返すことがあります。これにより、その部分の皮膚が赤くなり、ただれ、脱毛が見られるようになります。

このような場合、皮膚の治療と同時に、ストレスの原因を探り、環境エンリッチメント(環境改善)や行動療法、場合によっては鎮静剤の投与など、心の問題へのアプローチも必要となります。

猫の皮膚の赤み、自宅でできるケアと注意点

愛猫の皮膚に赤みを見つけた時、すぐに動物病院に行けない場合や、病院での治療と並行して自宅でできるケアはたくさんあります。

しかし、間違ったケアはかえって症状を悪化させる可能性もあるため、正しい知識を持つことが非常に重要です。

自宅でのケアは、主に皮膚の清潔を保ち、刺激を避け、猫が掻き壊さないようにすること、そしてストレスを軽減する環境を整えることに重点を置きます。

ただし、あくまで応急処置や補助的なケアであり、症状が改善しない場合や悪化する場合には、迷わず速やかに動物病院を受診することが最も大切です。

ご自宅でできる応急処置

猫の皮膚に赤みを見つけた際の自宅での応急処置は、症状の悪化を防ぎ、猫の不快感を軽減することを目的とします。

まず、赤くなっている部分がどこかを確認し、他の症状(かゆみ、脱毛、ブツブツなど)がないか観察してください。猫が患部を舐めたり、掻いたりしないように、エリザベスカラーを装着するなどの工夫も有効です。

また、患部が汚れている場合は、ぬるま湯で優しく拭き取るなどして清潔に保つことが重要ですが、刺激の強いシャンプーや消毒薬の使用は避けてください。

これらの応急処置はあくまで一時的なものであり、根本的な治療には獣医師の診断と指示が必要です。

患部を清潔に保つ

猫の皮膚の赤みがある場合、患部を清潔に保つことは二次感染を防ぎ、症状の悪化を抑えるために非常に重要です。

ただし、ゴシゴシ擦ったり、刺激の強い消毒液を使ったりするのは逆効果です。基本的には、清潔なガーゼやコットンをぬるま湯で湿らせ、優しく拭き取るようにして汚れや滲出液、フケなどを取り除いてください。

炎症がひどい場合は、獣医師から指示された薬用シャンプーや消毒液があるかもしれませんので、その指示に従いましょう。

拭き取った後は、優しくドライヤーの冷風などでしっかりと乾燥させ、湿った状態が続かないように注意することも大切です。清潔を保つことで、細菌や真菌の増殖を抑え、皮膚の回復を助けることができます。

刺激を与えないようにする

猫の皮膚に赤みがある場合、患部へのさらなる刺激は炎症を悪化させる原因となります。最も重要なのは、猫自身が掻き壊したり、舐めすぎたりするのを防ぐことです。

激しい痒みがある場合は、エリザベスカラーを装着して患部へのアクセスを制限するのが効果的です。

また、首輪やハーネスが赤みのある部位に当たって擦れる場合は、一時的に使用を中止するか、当たらないタイプの物に変更することを検討してください。

シャンプーやボディブラシの使用も、皮膚が炎症を起こしている間は刺激になる可能性があるため、獣医師に相談してから行いましょう。

衣類や寝具も清潔に保ち、刺激の少ない素材を選ぶことも大切です。

食事や環境の見直し

猫の皮膚の赤みが続く場合、食事内容や生活環境を見直すことで症状の改善に繋がる可能性があります。

食事の見直し:

食物アレルギーが疑われる場合、特定のタンパク質を排除した「療法食」や「低アレルゲン食」への切り替えが有効です。

獣医師と相談し、愛猫に合った食事を選びましょう。消化しやすい食事や、皮膚の健康をサポートするオメガ3脂肪酸などが豊富に含まれるフードも選択肢になります。

環境の見直し:

ハウスダストやカビがアレルゲンとなる場合もあるため、こまめな掃除、換気、空気清浄機の使用などで清潔な環境を保ちましょう。

ストレスが原因で皮膚炎が悪化することもあるため、猫が安心して過ごせる隠れ家を用意する、遊びの時間を増やす、多頭飼育の場合は個々のスペースを確保するなど、ストレスを軽減する工夫を取り入れましょう。

また、過度な乾燥や湿気も皮膚トラブルの原因になることがあるため、適切な温度と湿度を保つことも重要です。

これらの見直しは、長期的な皮膚の健康維持にも繋がります。

絶対にやってはいけないこと

愛猫の皮膚に赤みを見つけた時、良かれと思って行う行動が、かえって症状を悪化させたり、適切な診断を妨げたりする可能性があります。以下の行為は絶対に避けてください。

自己判断での投薬

人間用の薬や、以前処方された残りの薬を自己判断で猫に与えることは非常に危険です。

猫の体質や代謝機能は人間とは異なり、中毒症状を引き起こしたり、症状を悪化させたりする可能性があります。

過度な洗浄や刺激

清潔にすることは大切ですが、ゴシゴシ擦る、熱すぎるお湯を使う、刺激の強いシャンプーや消毒液を使う、頻繁に洗いすぎるなどは逆効果です。

皮膚のバリア機能をさらに傷つけ、炎症を悪化させたり、二次感染を招いたりすることがあります。

適度なお風呂は問題ありませんが、汚れが目立つからといってやりすぎは良くありません。

掻き壊しを放置する

猫が痒がって患部を掻き壊しているのを放置すると、皮膚がただれ、傷口から細菌感染を起こし、重症化する可能性が高まります。エリザベスカラーなどで掻き壊しを防ぐ対策を講じましょう。

これらの行為は避け、必ず獣医師の指示に従って適切なケアを行うことが、愛猫の早期回復に繋がります。

猫の皮膚の赤みでこんな場合は動物病院を受診すべき

動物病院

愛猫の皮膚に赤みを見つけた時、自宅でできるケアもありますが、中には動物病院での専門的な診断と治療が不可欠なケースも多く存在します。

特に、症状が改善しない、悪化する、あるいは全身状態に異変が見られる場合は、迷わず速やかに動物病院を受診することが非常に重要です。

自己判断で様子を見すぎてしまうと、症状が重篤化し、治療が難しくなったり、猫に大きな苦痛を与えてしまったりする可能性があります。

早期に適切な処置を行うことで、猫の回復を早め、深刻な病気の進行を防ぐことができます。

早期受診が推奨される症状

猫の皮膚の赤みに関して、以下のような症状が見られる場合は、できるだけ早く動物病院を受診することが強く推奨されます。

症状が改善しない、または悪化する

自宅でのケアを試みても赤みが引かない、あるいはむしろ範囲が広がったり、ただれがひどくなったりする場合。

広範囲に赤みが広がっている

特定の部位だけでなく、体の広い範囲に赤みが拡大している場合。全身的な炎症や、感染症の可能性が考えられます。

発熱や食欲不振など、全身症状が見られる

赤み以外に、元気がない、ぐったりしている、食欲がない、水を飲まない、下痢や嘔吐がある、呼吸が荒い、熱っぽいといった全身の異常が伴う場合。これは皮膚炎が全身に影響を及ぼしているサインかもしれません。

激しいかゆみで猫が苦しんでいる

猫が寝られないほど頻繁に体を舐めたり、掻き続けたり、皮膚を噛んだりして自傷行為に近い状態になっている場合。ストレスも大きく、早急な痒みのコントロールが必要です。

これらの症状は、単なる軽度の皮膚炎ではない可能性が高く、専門的な治療が必要であることを示唆しています。

動物病院での検査と治療法

動物病院では、猫の皮膚の赤みの原因を特定し、適切な治療を行うためにさまざまな検査が行われます。

問診で飼い主さんから症状や生活環境、食事などの情報を詳しく聞き取った後、身体検査で皮膚の状態を詳細に確認します。

その後、疑われる原因に応じて、以下のような専門的な検査が実施されます。

皮膚検査(顕微鏡検査、培養検査など)

皮膚の表面や毛、フケなどを採取し、顕微鏡で寄生虫(ダニなど)や真菌(カビ)、細菌の有無を確認します。

血液検査、アレルギー検査

全身の健康状態や炎症の有無、内臓機能を確認するほか、アレルギーの原因となる物質を特定するために行われることもあります。

投薬治療

診断された原因に応じて、抗生物質、抗真菌薬、抗炎症剤(ステロイドなど)、抗ヒスタミン剤などの内服薬や外用薬が処方されます。

食事療法

食物アレルギーが疑われる場合、アレルゲンを含まない特別療法食への切り替えが提案されます。

シャンプー療法

薬用シャンプーを用いて皮膚を清潔にし、症状を緩和します。

これらの検査と治療を組み合わせることで、皮膚の赤みの原因を特定し、愛猫の症状を改善していきます。

まとめ:愛猫の皮膚の赤みを見つけたら、早めの対応を

愛猫の皮膚の赤みは、単なる軽度の炎症から、アレルギー、感染症、内分泌疾患、さらにはストレスまで、非常に多くの原因が考えられます。

自宅でできるケアもありますが、症状が改善しない、悪化する、広範囲に広がっている、全身症状を伴う、激しい痒みで苦しんでいる場合は、迷わず速やかに動物病院を受診することが最も重要です。

早期に獣医師による適切な診断と治療を受けることで、病気の重症化を防ぎ、愛猫の苦痛を軽減し、健康な状態を保つことができます。

日頃から愛猫の皮膚の状態をよく観察し、異変に気づいたら「いつもと違う」というサインを見逃さず、早めに対応してあげましょう。

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