猫の病気・健康

猫が食欲不振になる原因は?考えられる病気や受診目安、対処法

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猫が食欲不振になる原因は?考えられる病気や受診目安、対処法

猫は気まぐれと言われますが、必ずしもそうとは言い切れません。環境の変化を嫌いますし、自分の縄張りや1日のスケジュールはほぼ一定です。

ただ、フードに関しては個体差があり、飽きっぽい子がいるかと思えば、お気に入り以外は一切食べない頑固な子もいるようです。

そんな愛猫が突然ご飯を食べなくなったら…気まぐれなのか、それとも、どこか具合が悪いのかと、飼い主さんとしては戸惑いますよね。

そこで、今回は、猫の食欲不振について原因と対策を探ってみました。

この記事の結論

  • 成猫は1日以上、子猫やシニア猫が半日以上何も食べないと、肝リピドーシスを発症する恐れがある
  • 愛猫の食欲不振の原因は、誤飲・誤食、合わないフード、ストレス、季節の変化、加齢、発情期、病気など
  • 命に関わる疾病が原因の場合もあるので、愛猫の食欲不振は看過しないで動物病院へ
  • 単なる好き嫌いと食欲不振の見分け方は、ほかにも症状があるかどうかがポイント

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猫の食欲不振とは

猫がいつものご飯を食べてくれない場合、多くの飼い主さんがまずやってみるのはフードの種類を変えたり、おやつを与えてみたりすることでしょう。

それでも、食べてくれなかったら…。

若くて健康な猫なら2日ぐらいは食べずに生き延びられると言われますが、成猫なら1日以上、子猫やシニア猫なら半日以上何も食べないのは危険。

なぜなら、絶食することで脂肪が肝臓に蓄積して肝機能を低下させる、「肝リピドーシス」を発症する恐れがあるからです。

愛猫が半日~丸1日何も口にしなかったら、これはもう、気まぐれではなく食欲不振。病気予防のためにも、すぐ動物病院へ連れて行きましょう。

猫が食欲不振になる原因

愛猫の食欲不振には、何らかの原因があります。もちろん、もともと食の細い子もいますが、全然口をつけないとなると体調不良が懸念されます。

中には、病気以外にも、愛猫の命を危うくする原因もあります。

また、愛猫自身やフードそのものに原因はなく、その原因を取り除けば食欲が回復するという場合もあります。

愛猫の様子をよく観察して、メモしておきましょう。動物病院で獣医師に相談する際にも役に立ちます。

異物の誤飲・誤食

ビニールやダンボールなどを噛んでしまう猫は多く、誤飲・誤食に注意が必要です。

少量なら便と一緒に排出される可能性もない訳ではありませんが、飲み込んだ異物が口腔内や喉、消化器官の粘膜を傷つける危険性もあります。

床に落とした糸くずや紐、輪ゴムなどを愛猫が口にすることも。お尻から出ているのを引っ張って取ろうとすると、かえって内臓を傷めるのでNGです。

愛猫が異物を誤飲・誤食すると食欲不振になり、腹痛、嘔吐、発熱などの症状が見られることもあります。気づいたら、すぐ動物病院へ。

フードが合わない、飽きて食べない

ネオフィリア(新しいものへの好奇心)、ネオフォビア(新しいものへの恐怖心)という心理学用語があり、どちらが強く働くかで性質や習慣が異なります。

猫にもこの心理があり、いつものフードにすぐ飽きる子はネオフィリアが強く、フードを変えると食べなくなる子はネオフォビアが強いのかもしれません。

ただし、年齢によって好みが変わることもありますし、体質の変化で求める栄養素が変わることもあります。

新しいフードに切り替える場合は、いきなり全取り替えすると体調不良を起こすこともありますので、新フードの割合を少しずつ増やして様子を見ましょう。

また、猫は旨味に通じる甘味センサーが舌にないため、その分、香りと食感には敏感。温めやトッピングで香りを強調すれば食欲増進することがあります。

ストレス

猫は環境の変化が苦手で、そのストレスのために食欲不振になってしまうことがあります。

食欲が低下したのは、以下の出来事がきっかけになっていませんか?

  • 引越し
  • 模様替えをする
  • 新しい家族が増える
  • 室外の騒音(工事音や花火など)
  • 猫が苦手なニオイがする
  • 長時間の留守番 など

転居やリフォームなどの際、愛猫がお気に入りのベッドや食器、トイレ、おもちゃなどは捨てないで、引き続き愛用してもらいましょう。

新しい家族や同居のペットが増えたときのお引き合わせは少しずつ行い、お留守番も短い時間から徐々に慣れてもらいます。

また、猫は人間の約8倍も耳が良く、ニオイを嗅ぎ分ける能力は人間の数万~数10万倍あると言われるので、防音に努め、香水や芳香剤は使わないこと。

愛猫が居心地よく健全に過ごせる環境を整え、ストレスがかからないようにすれば、食欲も取り戻せるはずです。

季節の変わり目

人間も季節の変わり目は調子を崩すことが多いですが、猫も季節の変化が体調に影響を及ぼすことがあります。

原産国や体型、長毛か短毛か、シングルコートかダブルコートかによっても異なりますが、夏~秋の変わり目に不調を起こす猫が多いようです。

日本の夏は湿度も高く、最近では猛暑日も増えたため、エアコンなどを活用して温度・湿度を管理し、愛猫が熱中症にならないよう気をつけましょう。

さらに、近頃は秋を飛び越していきなり冬の気配がやってくることも多く、猫の体がその急激な変化について行けず、体調不良を起こすこともあり得ます。

引き続き温湿度管理を徹底し、消化の良い食事を与え、愛猫好みのトッピングや温めたウェットフードなどで食欲アップのための工夫をしましょう。

加齢・老化

愛猫も年齢を重ねると運動量が減り、消化能力も低下するので、食事量も次第に少なくなります。

7歳以上の中・高齢期になると一度にたくさん消化できなくなるので、1回分の量を減らしたり、徐々にシニア用フードに切り替えたりしましょう。

一般的にシニア用キャットフードは成猫用フードより脂質やカロリーが控えめで、免疫力や消化力、関節などに配慮した栄養素を含むものもあります。

また、食器の位置や餌台の高さを、愛猫が食べやすいように変えてみることも大切です。

人間も歳を取ると座ったり立ったりが億劫になりますが、猫も同じ。シニア猫が立ったまま、少し首を傾ければ食べられる位置に食器を置きましょう。

中には座って食べるのが好きな子もいますが、いずれにせよ、猫の頭が胃よりも下がっていないことがポイントです。

発情期

避妊・去勢手術をしていない愛猫が発情期(ヒート)を迎えると食欲が低下し、体重が落ちて痩せてしまう子もいます。

女の子猫は発情期間中に出血を伴わない生理があり、ホルモン分泌量の変化により食欲不振になると考えられます。

女性ホルモンのうちエストロゲンは過剰な食欲を抑制する作用、プロゲステロンは胃腸の働きを鈍くする作用があり、食欲中枢に働きかけます。

生理中にこれら2種類の女性ホルモンの分泌量がアンバランスになり、愛猫の食欲に影響を与えると考えられるからです。

男の子猫の発情にはテストステロンという男性ホルモンが関与しますが、分泌量が増えると興奮状態が続き、寝不足や食欲不振に陥ることがあります。

発情期のホルモン変化は自然現象ですが、愛猫にとってストレスにもなります。繁殖の予定がないなら、適切な時期に避妊・去勢手術をしてあげましょう。

病気

愛猫の食欲不振の原因として、飼い主さんにとって最も心配の種となる病気が隠れている可能性もあります。

人間も病を得たり体調不良になったりすると、食欲がなくなりますね。それと同じです。

愛猫にできる限り長生きしてもらおうと思ったら、早期発見・早期治療が肝心

繰り返しになりますが、成猫なら1日以上、子猫やシニア猫なら半日以上、何も食べなかったらすぐに動物病院へ!

感染症

世界を席巻した、SARS-CoV-2を病原体とする新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、犬や猫などのペットにも感染すると言われています。

猫が感染した報告事例では、呼吸器症状や消化器症状があったそうで、人から猫、猫から猫へ感染する可能性もあるそうです。

猫の感染症として多いのは、俗に「猫風邪」と呼ばれる上部気道感染症ですが、発症するとくしゃみ、鼻水、目やになどの症状とともに食欲不振に陥ります。

感染症は手遅れになると、命を脅かす重症化や完治できない慢性化の可能性もあります。症状が現れたら、すぐ動物病院に相談し、処置を受けましょう。

猫の食欲不振から考えられる病気

猫の食欲不振の原因となる疾病は実に多種多様です。すべての病気、すべての体調不良が食欲不振を招く原因であると言っても過言ではありません。

まさに健全な食欲は健康な身体に宿り、健康のバロメーターとなるものなのです。

愛猫が食欲不振になったら、自己判断や様子見はタブー。動物病院できちんと検査を受けましょう。

消化器の病気

消化器官とは、食物を摂取し、栄養素に分解(消化)して、栄養素を吸収、不消化物は排泄、およびその運搬を行うための体内臓器を指します。

具体的には食道、胃、肝臓、膵臓、小腸、大腸などで、雑食の人間や犬に比べると肉食の猫の腸管は短く、盲腸がほとんどありません。

猫がなりやすい消化器系の病気としては、以下が挙げられます。

猫はグルーミングで舐め取った毛を出すため頻繁に吐きますが、1日に何回も吐く、あるいは連日吐くというのは明らかに体調不良のサインです。

また、猫の便秘は侮れません。3日以上排便がないのは危険。外科手術が必要な巨大結腸症になる可能性もあり、場合によっては命に関わります。

肝臓の病気

肝臓も消化器のひとつで、猫が食欲不振になって何も食べない日が続くと、脂肪肝とも呼ばれる肝リピドーシスを引き起こします。

特に肥満や高齢の猫が急な絶食で発症しやすく、食欲不振のほか、嘔吐、目の結膜や口腔内の粘膜に黄疸の症状が現れ、意識障害を起こすこともあります。

肝リピドーシスになると自力での回復はまず不可能で、集中治療を必要とし、最悪の場合には命を落としてしまいます。

肝臓は「沈黙の臓器」という異名があるように、初期の肝臓病は無症状が多いのですが、猫が食欲不振になったら特に疑われるのは以下の肝臓病です。

  • 慢性肝炎
  • 肝硬変など

慢性肝炎は、ウイルスや細菌感染、薬剤の投与、銅の蓄積、免疫異常などによって引き起こされます。

慢性肝炎が長期化すると、肝臓が固く変質して全体の構造が変化してしまい、肝硬変となります。

肝硬変は現代獣医学をもってしても回復は難しいとされる、非常に恐ろしい病気です。

腎臓の病気

猫の死亡原因となる病気で、常に上位に入るのが腎臓疾患です。

なぜ猫が腎臓病になりやすいか、詳しい原因は未解明なのですが、砂漠暮らしにルーツのある猫はあまり水を飲まず、尿が濃くなるためと言われています。

猫が以下のような腎臓病になると、体内の毒素を尿とともに排出できなくなり、元気を失い、口腔内や食道・胃・腸の粘膜がただれて食欲不振になります。

なお、猫と愛猫家にとって夢の腎臓病治療薬になるのではないかと、今最も注目されているのが血中タンパク質「AIM(Apoptosis Inhibitor of Macrophage)」。

東京大学大学院の宮崎徹教授により発見されたAIMは、腎臓の働きを改善する遺伝子であることがわかったのです(東京大学広報誌「淡青」37号より)。

2021年8月出版の宮崎教授による著書「猫が30歳まで生きる日 -治せなかった病気に打ち克つタンパク質」(時事通信社)は、たちまち話題となりました。

宮崎教授は2022年に東京大学を退職、一般社団法AIM医学研究所を設立し、AIMの創薬を目指しておられます。

口腔内の病気

もしかしたら、食欲不振に見えるけど、実は口の中の異常で食べられないだけ、食欲がない訳じゃないのに…と、愛猫は苦しい思いをしているのかも。

口の中の痛みや違和感で、ご飯が食べられないだけでなく、毛づくろいもできなくなります。

愛猫の口臭がきつくなったり、粘りのある唾液を流していたり、歯茎が腫れていたりしたら、以下の口腔内の病気を疑いましょう。

  • 口内炎
  • 歯周病など

猫の口内炎は歯石による刺激も原因になりますが、火傷や誤飲・誤食によって口腔内に傷がつくことで引き起こされることもあります。

また、猫が歯周病になりやすいのは、猫の唾液がアルカリ性で歯周病菌が繁殖しやすいからとも言われています。

いずれも、糖尿病などの慢性疾患、猫白血病ウイルス(FeLV)感染症、猫免疫不全ウイルス(FIV)感染症などが原因の場合もあるので、一度検査を。

呼吸器の病気

ウイルスや細菌などによる呼吸器感染症が悪化してこじらせると、気管支炎や肺炎になり、重篤化することがあります。

愛猫が食欲不振になって、苦しそうな息をするようになったら、以下の呼吸器疾患の可能性があるので、すぐ動物病院へ。

  • 気管支炎
  • 肺炎
  • 猫喘息
  • 膿胸 など

愛猫の呼吸困難を伴う食欲不振は、心臓病が隠れているケースもあります。実は、心筋症は猫に発症しやすい病気のひとつで、突然死する原因のトップです。

前兆としてフードの選り好みから始まり、偏食気味になり、ご飯を食べなくなって元気もなくなり、症状が進むとじっとしていることが多くなります。

こうした兆候にできるだけ早く気づき、適切な治療を受けさせることが愛猫の命を守ります。

生殖器の病気

愛猫(女の子)が多飲多尿になり、妊娠していないのにお腹が膨らんで、食欲不振や吐き気を伴うようなら、子宮や卵巣の病気の可能性があります。

子宮蓄膿症などの病気は命に関わる緊急性がありますので、すぐ獣医さんに診てもらいましょう。

猫(男の子)の場合、生殖器に発症しやすい病気は包皮炎、精巣腫瘍、前立腺炎、前立腺膿瘍などです。

女の子も男の子も、生殖器を気にして頻繁に舐めるなどの行為が目立ったら、できるだけ早く動物病院で受診することをおすすめします。

また、繁殖の予定がないようでしたら、適切な時期に避妊・去勢手術を受けさせることが生殖器の病気予防にもなります。

感染症の病気

一般的に「猫風邪」や「猫インフルエンザ」として知られる猫の上部気道感染症は、正式な病名を「猫ウイルス性鼻気管炎」と言います。

猫風邪の主な原因はヘルペスウイルスやカリシウイルスで、外猫の50%が罹患しているとも言われ、感染力が強いので注意が必要です。

  • 猫パルボウイルス感染症
  • 猫カリシウイルス感染症 など

猫パルボウイルス感染症の初期症状は食欲不振で、進行すると嘔吐や下痢などの消化器症状が現れます。

猫カリシウイルス感染症は、猫ヘルペスウイルス感染症とともに猫風邪と呼ばれ、口腔内に潰瘍ができ、食欲不振や発熱などの症状が出ます。

なお、猫クラミジア感染症、猫引っかき病、パスツレラ症、トキソプラズマ症、瓜実条虫症、猫回虫 、Q熱、皮膚糸状菌症は人間にもうつります。

最近、社会問題ともなっているマダニによるSFTSウイルス媒介で発症する重症熱性血小板減少症候群も食欲不振となり、猫と人間共通の感染症です。

愛猫はできれば完全室内飼育で環境の清潔を保ち、愛猫との濃厚接触は避け、飼い主さんも手洗いなどを心がければ予防することができます。

猫の食欲不振の対処法・予防

元気はあるし、特にどこか具合が悪いところはなさそうなのに、愛猫がいつものフードをあまり食べてくれなくなった。

…そういうときは、まず以下の方法を試してみましょう。食欲不振を未然に防げるかもしれません。

フードを見直す

今のフードが、愛猫の年齢や体調に合わなくなっていませんか?猫も成長段階に応じて必要なカロリーや栄養素は違ってきますし、好みも変化します。

たとえば、子猫なら成長に十分なカロリーを必要とし、成猫は良質なタンパク質と脂質のバランスを重視、シニア猫は消化がよく脂質控えめ…という具合。

今や、年齢やライフステージに合わせたキャットフードがいろいろありますので、愛猫の成長に合わせて切り替えを検討してみてはいかがでしょう。

また、妊娠・授乳中や避妊・去勢後の猫用、体重管理、下部尿路疾患(FLUTD)予防など、愛猫の体調に合わせて選べるフードや猫種別のフードもあります。

なお、フードは一気に変更せず、今までのフード9:新フード1の割合から始め、愛猫の様子を見ながら徐々に新しいフードを増やしていきましょう。

フードの与え方を工夫する

猫にはニオイを嗅ぎ取る細胞が人間の約2倍あると言われ、ニオイを嗅ぎ分ける力は人間の数万~数10万倍あるそうです。

ですから、食べ物の香りには敏感。かつお節やチキンなど、愛猫好みの香りがするトッピングをフードに振りかけてあげましょう。

また、高齢になると嗅覚も衰えるので、フードを人肌に温めてあげると香りが立って食欲を刺激します。

あごの力が弱くなった老猫には、カリカリをぬるま湯でふやかしたり、ウェットフードと混ぜたりしてあげるのも良いでしょう。

食事環境を見直す

愛猫の食事場所とトイレの場所が接近していませんか?人間だってトイレの近くで食事するのは嫌ですよね。ニオイに敏感な猫ならなおさらです。

また、猫の聴覚音域は人間の3倍以上あるとされ、人間には聞こえない微かな音も聞き取れますので、静かな場所を選んで食事させてあげましょう。

食器が愛猫の胃より低い位置にあると、吐き戻しの原因に。首を下げずに前に出せば食べられる高さで、食器の深さは3cm~5cm程度が食べやすい目安です。

猫種や年齢の異なる猫を多頭飼いしている場合は、それぞれに食器とフードを用意しましょう。

誤飲・誤食しそうな物は片付ける

猫が誤飲・誤食しやすい代表は、糸くず、紐、ビニール、輪ゴム、ティッシュ、タオルや布の端切れ、楊枝、魚の骨、ネジや釘、針、ボタン、人間の薬…。

猫が食べると健康を害する恐れがある危険な食品、タマネギやニンニク、チョコレート、牛乳、柑橘類などにも要注意。

猫の手の届く場所に出しっぱなしにせず、床に落としたら、すぐに拾って片付けるか捨てるかしましょう。

また、猫じゃらしなどのオモチャに付いた羽やリボン、プラスチックなどを噛みちぎって飲み込んでしまうこともあります。

すぐに吐き出してくれれば良いですが、万が一、愛猫が誤飲・誤食したら急いで動物病院へ。場合によっては内視鏡での摘出が必要になります。

歯磨きはなるべく毎日行う

歯肉炎や口内炎、歯周病などを原因とする食欲不振を予防するなら、愛猫のデンタルケアに努めること。

できれば乳歯が生え始める頃から子猫の口を触ることに慣れさせ、永久歯に生え変わる生後3ヶ月頃から歯磨きを始めると良いでしょう。

歯石が付着してしまうと歯ブラシでの除去は不可能で、動物病院やペット専門の歯科医院で全身麻酔をかけて取り除く処置を行うことになります。

ブラッシングはこまめに行う

猫の換毛期である冬毛から夏毛に変わる春、夏毛から冬毛に変わる秋に、愛猫がよく吐く素振りを見せ、食欲不振になることがあります。

抜け毛が多いこの時期、グルーミングした被毛がお腹に溜まるからです。放っておくと、お腹の中で大きな毛玉(ヘアボール)になる毛球症を発症します。

毛玉が食道にとどまっている場合は内視鏡と鉗子(かんし)で除去する外科治療、胃や腸管内にとどまっている場合は開腹手術が必要となります。

毛球症が進行すると腸閉塞を起こし、1日に何度も吐いて下痢し、さらに重症化すると腹膜炎を起こして発熱し、ぐったりして命を落とすこともあります。

適切な室温と湿度を心がける

私たち人間が夏バテすると食欲が落ちるように、猫も暑い夏は食欲が低下します。

猫種にもよりますが、一般的に温度は20℃~28℃前後、湿度は50%~60%くらいが猫にとって快適な目安です。

特に夏や冬は外出の際や就寝中も、エアコンなどで一定の温湿度を保つことで、愛猫の食欲不振の予防になります。

また、高温多湿となる梅雨は、フードや飲み水が痛みやすい時期でもあります。置きっぱなしにせず、こまめに新鮮なものへ取り替えましょう。

愛猫と遊ぶ時間を増やす

エネルギーを消費しなければ、人間も猫もカロリー摂取を欲しません。運動不足は食欲不振の原因になります。

遊びの時間は猫種や年齢、体格にもよりますが、1日15分程度でも十分と言われます。短く1日数回に分けて良いので、愛猫と遊ぶ時間をつくりましょう。

逆に遊び過ぎても、愛猫が疲れてしまい、食欲不振になることがあります。人間の赤ちゃんや幼児が食事中に寝てしまうのと同じですね。

また、シニア猫は遊びを強要すると、かえってストレスになりますから、乗り気にならないときは無理させないようにしましょう。

ストレスの原因を取り除く

猫は縄張り意識が強いので、自分のテリトリーをほかの猫に荒らされるのを最も嫌がります。新入りをお迎えする場合は慎重に、少しずつ慣れさせましょう。

また、聴覚や嗅覚が鋭いので、ご近所の騒音、インターホン、家電の音、転居先やリフォーム後の家内のニオイ、香水やアロマもストレスになります。

愛猫のストレスの原因を探り、防音・防臭を心がけるだけで、食欲が回復することもあります。

定期的にワクチン接種する

猫のワクチン接種は義務ではありませんが、特に多頭飼いや外に出る愛猫には定期的な接種が推奨されます。

初めてのワクチン接種は8週齢で混合ワクチンの1回目接種を行い、その4週間後に2回目の接種をします。

世界小動物獣医師会(WSAVA)のガイドラインでは、3年毎、3種混合ワクチン(猫ウイルス性鼻気管炎、猫カリシウイルス感染症、猫汎白血球減少症)の接種を推奨。

5種混合ワクチンは、上記に猫白血病ウイルス感染症、猫クラミジア感染症を加えたもので、いずれも免疫力をつけて、これら感染症の重症化を防ぎます。

愛猫の食欲不振に加えてこんな症状があれば即病院へ

愛猫がご飯を気に入らなくて食べないのか、それとも、食欲不振で食べられないのか…。猫は言葉をしゃべれないだけに、飼い主さんは悩みますよね。

単なる好みの問題ならば、フードを変えたり、おやつや副食品を与えたり、温めたりトッピングしたりの工夫で、たいていは食べてくれるようになります。

けれど、食欲不振の場合は、病気や体調不良、ストレスなどの不調が伴いますから、単に食べないだけではありません。

そこで、食欲不振の目安になるチェックポイントをピックアップしました。

愛猫が以下のような状態でしたら、明らかに気まぐれではなく食欲不振。すぐに動物病院へ連れて行きましょう。

ご飯を食べない状態が続く

愛猫がご飯をまったく口にしない状態(食欲廃絶)が続くのは、不調が原因なだけでなく、食べないこと自体が病気の原因になってしまいます。

まず心配されるのが、脂肪肝と呼ばれる肝リピドーシスで、無治療のままだと肝不全となり、命に関わります。

年齢によって食べていない時間が以下の目安を超えると、肝リピドーシスになる可能性があり、早急に動物病院を受診する必要があります。

年齢食べていない時間
生後1-2ヶ月8時間
生後2-3ヶ月12時間
生後3-4ヶ月16時間
1歳以上24時間
参考:一般社団法人 日本臨床獣医学フォーラム「食欲不振」

また、完全に食欲がなくなっていなくても、食欲低下が72時間以上続くようなら、動物病院へ。

特に肥満気味の猫の場合は、絶食状態の限度は36時間と覚えておきましょう。

元気がなく、ぐったりしている

猫の平均睡眠時間は、成猫で14時間前後、生後5ヶ月未満の子猫や高齢猫は20時間以上眠ることもあり、猫は寝子から名付けられたとも言われます。

けれど、もともと狩猟動物だった猫の睡眠は、深い眠り(ノンレム睡眠)がほんのわずかで、すぐに30分~60分ほどの浅い眠り(レム睡眠)が訪れます。

そんな愛猫が元気をなくし、ぐったりとした様子でピクリともせずに寝ているのは、明らかに体調不良。

また、いつもとは違う場所で身を隠すように寝る、うずくまった姿勢で寝る、急にいびきをかくようになった、呼吸が早いという場合は、すぐ動物病院へ。

水を飲まなくなった、飲む量が増えた

食事量だけでなありません。飲水量も愛猫の健康のバロメーターです。

愛猫が水をあまり飲まなくなって、オシッコの量が減ると、尿路結石症、尿路疾患、慢性腎臓病などになる可能性があります。

逆に多飲多尿は、腎不全、腎盂腎炎、尿崩症、クッシング症候群、アジソン病、ホルモン異常、糖尿病、高カルシウム血症などの原因が考えられます。

猫が健康を保つ飲水量の1日分の目安は、体重1kgあたり約30ml~50mlです。体重3kgの猫なら約90ml~150ml。コップ1杯が200mlと考えるとけっこうな量ですよね。

適切な量を適切に飲んでもらえるよう、飲水環境も整えてあげてください。

熱がある

猫の平熱は人間よりも高く、37℃~39℃くらいとされています。子猫のほうが成猫よりも高い傾向にあります。

1日のうちで多少の変動があり、朝は体温がやや低く、昼から夕方にかけて上がりますが、夜になると低くなります。

日頃から愛猫の体温測定をして平熱を知っておきましょう。平熱より1℃以上熱が高いときは要注意で、39.5℃以上なら発熱していると言えます。

発熱の原因は、炎症性の疾病、熱中症、ストレスなどによりますが、悪性腫瘍による場合もあります。

口臭やよだれ、食べるときに痛がる

愛猫が突然、ビックリするほどいつもとは違う大声をあげたら、それはどこかが痛くて訴えている可能性があります。

食欲不振の原因は、歯周病や歯肉炎、あるいは食道や胃腸に痛みがあって食べられないのかもしれません。

愛猫に顔を近づけたら口臭がする、あるいはよだれを頻繁に流すといった症状があるなら、口腔内に異常が起きている可能性が高く、治療が必要です。

下痢や嘔吐、血尿がみられる

猫は毛玉を吐き出したり、胃液や消化途中のフードを吐いたりすることもよくある動物です。愛猫が吐いたときは、吐いたものをよく確かめることが大切。

白い泡や黄色い液体は、逆流してきた胃液や胆汁の場合が多く、ほとんどは空腹を原因とするので、あまり心配はいりません。

吐瀉物に異物や虫が出てきた場合、血が混じっている場合、下痢や便秘、血尿を伴う場合は緊急を要する疾病の可能性が高いので、すぐ動物病院へ。

体重の減少

体重が減り、脂肪が落ち、ガリガリに痩せてしまうなど、痩せの程度が著しいことを削痩(さくそう)と言います。

食欲不振が続けば、当然、削痩になります。糖尿病や肝臓病、腎疾患、感染症、あるいは精神的ストレスによる原因が考えられます。

また、一見、元気はあるのに食欲不振で削痩する場合は、甲状腺機能亢進症の可能性があります。高齢猫に多く、多飲多尿や大きな鳴き声も見られます。

いずれの場合も、すぐに動物病院で診察してもらいましょう。

愛猫の食欲不振は病気が隠れている場合があるので、「そのうち食べるようになるだろう」と安易に考えないこと。

取り返しのつかないことになる前に獣医師に診てもらうことをおすすめします。何事もなければ、飼い主さんも愛猫も安心して毎日を過ごせるのですから。

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