家族として一緒に暮らしている愛犬・愛猫に、人間と同じように手作りごはんを食べさせてあげたいですよね。
しかし、栄養バランスが心配、人間用の食事と同じ作り方でいいのかといった不安を抱いてしまう方は多いのではないでしょうか?
そんな方のために、ペットの手作りごはんの注意点や実際に作るときのポイントについてまとめました!
一般社団法人愛玩動健康管理協会 代表理事/犬の管理栄養士/愛玩動物救命士
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目次
愛犬・愛猫の手作りごはんを作る前に知っておくべきこと
「愛犬・愛猫にも、自分たちが食べるような美味しくて新鮮なものを食べさせてあげたい!」と思っている飼い主さんは多くなってきているはず。
ドライフードが主食になりがちな愛犬・愛猫にとって、より新鮮で香りの良い手作りごはんは魅力的です。
手軽に購入するだけでも与えられる手作りごはんもありますが、より手間暇かけて作る手作りごはんも魅力的。
しかし、そんな手作りごはんも簡単ではなく、知っておくべきこともたくさんあります。
意識せずに独自のレシピで作った手作りごはんを与え続けていると、危険なケースもあるため、詳しくご紹介します。
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手作りごはんのみで必要な栄養素を摂るのは難しい
犬と猫に共通して言えることですが、手作りごはんだけではそれぞれの固体に必要な栄養素を摂取させることは極めて困難です。
市販のドッグフードの裏ラベルを見ていただくと明確ですが、ほとんどの総合栄養食が、犬においてはビタミン類・ミネラル類、猫においてはビタミン類・ミネラル類・タウリンが添加されています。
一例として、肉食だと考えられている猫に関しても日本が採用しているAAFCOのキャットフード栄養基準には、肉類だけでは満たすことができないビタミン類・ミネラル類・タウリンが含まれています。
犬猫共に手作りごはんだけで必要な栄養素を摂るのは難しい上、多く摂りすぎると、特定の栄養素が過剰になって病気の原因となるケース、病気になりやすい体にしてしまうこともあります。
与える頻度は週数回にとどめよう
上記を踏まえて、犬や猫に手作りごはんを与えるときは週に数回にとどめるか、総合栄養食のトッピングごはんとして手作りごはんを活用しましょう。
手作りごはんは、うまく活用できれば愛猫や愛犬の健康維持に効果的で、手作りごはんを与えた方が寿命が長くなったという研究結果もあります。
せっかく愛犬や愛猫のために、愛情や時間をかけて作ってあげる手作りごはんです。
与える頻度や与え方をしっかりと見極めて、最大限に手作りごはんを活用していきましょう。
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犬は肉食寄りの雑食、猫は肉食
犬はもともと狩りをして生活していましたが、実際には狩りをした動物の胃の内容物の草なども摂取してきました。
また、人と暮らしてきた歴史も長く、肉食寄りではありますが、基本的には雑食です。
猫に関しては、昔はネズミ狩りを中心としたハンター(待ち伏せ型ハンター)として使われてきました。
その他、腸の長さや腸内に存在する細菌数によって肉類の消化に適している肉食動物です。
こうした経緯からも、食事を一から作るとしたら体の構造に適した食事を用意しなければいけません。
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愛犬・愛猫に手作りごはんを作って与える際の注意点
愛犬・愛猫用の手作りごはんとは言っても、なんでもかんでも人間と同じものにしてはいけません。
犬には犬の体に適したものを作る必要がありますし、猫には猫の体に適したものを作る必要があります。
ここでは、手作りごはんを作る上での注意点に加えて、与える際の注意点についてもご紹介します。
味付けはしない
犬や猫の手作りごはんでは、味付けをしないようにしましょう。
人間が使用する塩や胡椒、香辛料など、犬猫の体に必要以上の塩分を与えてしまったり、人間用調味料は刺激が強いものが多いので、基本的には調味料は一切使用しません。
食べムラがある犬や猫の場合は、ナチュラルチーズ(モッツァレラ等)や原料がカツオのみのカツオ粉末などを使用して、工夫してあげましょう。
食べムラがあって味付けが必要な場合は、あくまで食材単体の原料で作られている食品か否かを判断して手作り食に使ってあげることが重要です。
特に、腎臓病が問題視されている猫に関しては、塩分量には細心の注意が必要です。
犬・猫が食べてはいけない食材を把握しておく
犬・猫に与えてはいけない食材
タマネギ、ネギ、ブドウ、チョコレート、お酒(アルコール) など
犬猫に与えてはいけない代表的な食材は、タマネギを含む全てのネギ類、ブドウ(レーズン含む)、チョコレート、お酒(アルコール)、アボカド(品種による)、ココア、キシリトール等です。
上記は摂取量にもよりますが、中毒症状が出て死に直結しやすい食材です。
中でも一般的に料理に使われやすいタマネギを始めとしたネギ類は注意が必要で、絶対に避けなければいけません。
上記以外にも注意が必要な食材は数多くありますので、愛犬や愛猫に手作りごはんを作る場合は、食材選びに十分注意しましょう。
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与える際は人肌程度の温度を目安に
犬猫に手作りごはんを与える時は、35℃~36℃程度の人肌温度がおすすめです。
冷えと免疫には大きな関わりがあり、体内を冷やすことで愛犬や愛猫の免疫力が低下しやすくなるのに対して、体内を温めてあげることで免疫力維持に効果的です。
人でも冷えは万病のもとと言われますが、この見解は犬猫にも当てはまります。
また、食べムラが多い犬猫については人肌温度にすることで若干香りが豊かになります。
愛犬に手作りごはんを作るときのポイント
まずは愛犬用の手作りごはんについて、作る際のポイントをご紹介します。
重要な部分も非常に多くなっていますので、ぜひ最後までチェックしてみてくださいね。
犬の手作りごはんに使用する食材の割合は『肉:野菜=1:1』
犬の手作りごはんを作る時の食材の割合については、『肉:野菜=1:1』を目安に目分量で使用します。肉の代わりに、加熱魚を使用しても良いでしょう。
厳密には、タンパク質1に対して、野菜類1、炭水化物0.5程度が目安とされています。
しかし、栄養素で換算すると飼い主さんにとっては分かりにくい上、理想的な炭水化物量に関しては犬の運動量によって大きな差が生じます。
一例としてタンパク質原材料で牛肉を使用する場合、炭水化物が100g中0.3g程度(かた/脂身つき/生のケース)入っています。
ビタミン類・ミネラル類原材料でかぼちゃを使用する場合、炭水化物が100g中13.3g(日本かぼちゃ/果実/ゆでのケース)含まれています。
このように、肉類や野菜の種類によって炭水化物が含まれているケースも多いので、炭水化物について、毎日愛犬に手作りご飯を与えることがなければ深く考える必要はありません。
炭水化物が多くなりすぎると肥満の原因になる
ただし、炭水化物が主な栄養素である米類を多く使用すると、運動量がそれほど多くない通常の家庭犬の場合は肥満の原因になります。
このような理由から、基本的には肉(または魚)と野菜の比率で手作りごはんの栄養バランスを考えると良いでしょう。
その他、最近では肉や魚のタンパク質が多いドッグフードが好まれているため、メーカーの総合栄養食の栄養設計時も肉や魚を多く使用します。
しかし、実際に犬の手作りごはんに使用する食材の割合をg数ではなく、目分量で考える場合は、野菜の水分量の多さに配慮して、「肉:野菜=1:1」で使用しても十分なタンパク質が摂取できます。
参考:文部科学省 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
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野菜類は色別で選ぶのがベスト
肉類については1種類でも問題ありませんが、全体の目分量が「肉:野菜=1:1」になることを前提に、野菜類については5~6種類使うのがおすすめです。
野菜については、緑黄色野菜(人参、ブロッコリー、パプリカ等)を多めにして、少量の淡色野菜(キャベツ、かぶ、レンコン等)やきのこ類(椎茸や舞茸など)を使用するとバランスが良くなります。
基本的に野菜類は、犬の手作りごはんの栄養バランスを考えて、様々な色の野菜を使用するのがベストです。
一例として、赤い色の野菜(トマトや赤パプリカ等)には、抗酸化作用が期待できる栄養素が豊富に含まれています。
オレンジ色の野菜(かぼちゃや人参等)については、免疫力維持が期待できる栄養素が豊富に含まれています。
このように、食材の色によって様々な栄養素の特徴があるので、特定の栄養素の過剰リスクや不足リスクを犬の手作りごはんで減らすためには、様々な色の野菜を使用できるとベストです。
食材はミキサーで細かく刻むのがベスト
犬が消化を得意としない野菜類、果物については、ミキサーで細かくしてあげましょう。ミキサーの代わりに3mm以下を目安にカットしてあげても大丈夫です。
ミキサーについては、食材が持つ本来の栄養素が少なくなってしまうという見解があるものの、食材によって栄養素が減るものがあったり、増えるものがあります。
一例として、人参の例では、免疫力を維持するために効果的だと考えられているβ-カロテンと呼ばれる栄養素の生体利用率は、大幅に高まります。
一方、青菜類やトマト、オレンジなどに含まれるビタミンCについては減少する傾向にあります。
これら全てを把握するのには時間がかかりますし、例えミキサーによって栄養素が多少減ったとしても、消化しにくい状態で野菜類や果物類を与えて、愛犬の体で吸収できる栄養素を大幅に減らしてしまっては元も子もありません。
そのため、ミキサーを使用して栄養素が食材別で減る可能性があるか否かを考えるよりも、愛犬の体が栄養素を吸収できる状態で与えられるかの方が重要です。
毎日続けられる手作りごはんのためにもミキサーの使用がおすすめ
手作りごはんを作る時間を削減するという意味でも、愛犬の手作りごはんで使用する肉や魚以外の野菜類、果物類については、ミキサーの使用がおすすめです。
ミキサーを使わずにカットしたい場合は、細かくみじん切りをすることは必須ですが、野菜類は冷凍によって細胞壁が壊れて消化しやすくなります。
そのため一度冷凍するか、オクラなどの冷凍食材がある場合は冷凍食材を解凍してカットしてあげるのもおすすめです。
アスパラガスなど基本的に加熱が必要な冷凍食材については、加熱後にミキサーにかけるかカットしてから、愛犬の手作りごはんに利用しましょう。
生食材を取り入れよう
愛犬の手作りごはんのメリットのひとつに、生食材を取り入れることができるという点があります。
基本的に愛犬の手作りごはんでは、栄養バランスの乱れが極めて生じやすく、ビタミン類・ミネラル類の不足が問題視されます。
もちろん特定栄養素の過剰リスクが高い食材もありますので、使用するバランスは重要です。
ただ、野菜類を先述でご紹介させていただいた色別でバランスよく使用することで、過剰リスクを減らすことができます。
ビタミン類・ミネラル類
ビタミン類・ミネラル類については、加熱によって減少してしまう栄養素も多く、加熱方法によって上下します。
ただ、一般的には水溶性ビタミン(ビタミンC・ビタミンB群・ナイアシン・パントテン酸など)、水に流れ出やすい水溶性ミネラル(カリウム)が、加熱によって減少しやすい栄養素の一例です。
愛犬の手作りごはんで総合栄養食基準を満たすのは、ほぼ不可能に近いとも考えられます。
しかし、週に数回与える手作りごはんであっても、できるだけ愛犬の栄養バランスを考える上では、使用できる生食材はミキサーを使用するか擦りおろすなどして、消化吸収しやすい状態で与えるのがおすすめです。
生食材には少しずつ慣れてもらう
肉や野菜について生食材に慣れていない愛犬の場合は、下痢や嘔吐防止のため少しずつ生食材に慣れさせましょう。
その他、生で使用できる食材について調べる必要もあり、特に肉や魚は注意が必要な食材です。
通常、総合栄養食や一般食を設計して製造会社に製造依頼をかける場合、菌検査の問題で生食材を加熱しないと製造してもらえません。
仮に製造できる会社があったとしても、メーカーのリスク(主に食中毒)を減らすために生食材を加熱せずに使っているドッグフードは少なく、不足する栄養素を補うためにビタミン類・ミネラル類の添加をします。
そのため、せっかく愛犬に手作りごはんを新鮮な状態で与えられるのであれば、生食も取り入れると良いでしょう。
ここでは、人が食べられる状態の新鮮な生食材を利用することが重要です。
魚を使う時は加熱処理を行おう
愛犬の手作りごはんの肉類の代わりに魚を使用する場合は、骨に十分注意して、加熱をしてから使用しましょう。
生のまま使用してしまうと、生食に慣れていない犬の場合は下痢の原因になります。
その他にも、サルモネラ、カンピロバクター、腸炎ビブリオを中心に細菌による食中毒リスクが生じます。
その他、魚にはチアミナーゼと呼ばれる酵素が豊富に含まれています。少量与えただけでは大きな問題ありませんが、愛犬の手作りごはんで多く使用するとビタミンB1欠乏症リスクを高めます。
私の場合は、愛犬の手作りごはんで魚を主原料にする場合は、骨のない人用の刺身(サーモンやカツオ、ブリなど)を加熱して週1~2回与えます。
ただ、基本的には愛犬たちが食物アレルギーにならないように、様々な肉類を主原料にした手作りごはんにしています。
給与量は愛犬の頭のハチの大きさ程度を目安に
愛犬の手作りごはんの時に困るのが、与える量だと思いますが、一般的には愛犬の頭のハチのサイズを目安にすると分かりやすいでしょう。
給与量の考え方については、総合栄養食の裏ラベルに記載されている量でさえ目安値で、その量を与えていても太る犬も痩せてしまう犬もいます。
手作りごはんは水分量が多くなりやすい
手作りごはんに関しては、愛犬の頭のハチのサイズを目安にするとドライフードと比較して、量が多すぎるのではないか?と不安になるかもしれません。
ただ、ドライフードに含まれる水分量がおおよそ10%前後なのに対して、水分量の多い食材を最大限に活かす愛犬の手作りごはんに関しては、水分量だけで80%を超えることもあります。
実際に、愛犬の手作りごはんに近いフレッシュドッグフード(冷凍)の開発を行って外部の分析に出すと、水分量は70~90%程度、またはそれ以上になります。
水分量が多いということは、それだけ給与量が多くなるということですので、この辺りは特に心配する必要はありません。
給与量はBCSを参考にするのがベスト
ただし、少量で給与量が済むドライフードを長期間食べていた犬の場合は、急な手作りごはんへの切り替えは下痢や嘔吐の原因になります。
量が多くなることで食べきれなくなることもあることだけ注意してください。
また、給与量に関しては、手作りごはんでも市販ドッグフードでも、何より愛犬のBCSという指標を参考に管理するのがベストです。
BCSは、ボディコンディションスコアと呼ばれる理想体型の評価方法のひとつですが、下記を参考に愛犬の体を日々触ったり見たりして理想体型か確認しながらご飯の調整をしましょう。
なお、BCSについては5段階評価のものが日本では主流ですが、9段階評価のものも存在します。5段階評価の場合は、BCS3の体型を目安に給与量管理を行っていきましょう。
犬におすすめの食材
犬におすすめの食材は、個々の犬の運動量、体質、病気、個体差によって異なります。
しかし、食物アレルギーや尿路系の結石、腎臓病を中心に病気発症中でない全ての犬に共通しておすすめの食材は、腸の健康維持ができる食材です。
一例として、キャベツ(キャベジン=ビタミンU)やオクラ(ペクチン)、長芋(レジスタントスターチや食物繊維)が挙げられます。
腸管には犬の免疫細胞の半数以上(6~7割程度)が存在します。
そのため、健康体の犬であっても常に腸を健康な状態に保っておけるような食材をバランスよく使用することで、免疫力を維持できるようにして様々な病気対策を行うことをおすすめします。
人参、かぼちゃ、ほうれん草もおすすめ
また、免疫力単体で考える場合は、β-カロテンが含まれる人参やかぼちゃ、ほうれん草の使用もおすすめです。
ただし、人参やかぼちゃなどビタミンAが多く含まれる食材はたくさん与えてしまうと過剰リスクが高まるので、少量にとどめましょう。
愛犬の手作りごはんでは、この過剰リスクや特定栄養素の不足リスクを考えて、腸の健康に役立つ食材を取り入れながら、様々な食材をバランスよく使います。
手作りごはんのレシピ例(体重5kgの犬)
ここでは、総合栄養食の設計を行っている専門家が、愛犬の手作りごはんのレシピ例を体重5kgの犬を目安に栄養バランスに配慮してご紹介します。
ただし、こちらは総合栄養食基準ではありませんので、毎日与えないようにしてください。
今回のレシピの特徴は、前述でご紹介した腸の健康維持(免疫力維持)にフォーカスして作成しています。
用意する食材(1日2回与える場合の1食分)
食材
- カツオ(加熱) :45g
- 鶏肉(加熱) :25g
- 人参(加熱) :5g
- 小松菜(加熱) :5g
- キャベツ(加熱) :5g
- 減塩煮干し(擦る):3g
- 必要に応じて水を5cc程度追加
(野菜類と煮干しをミキサーにかける場合)
食材のg数については目安ですので、前述でご紹介させていただいたBCSに注意して管理してあげてください。
作り方
作り方
- ささみを加熱して、愛犬が食べやすいサイズにカットする
- かぼちゃの皮を綺麗に洗って皮ごと加熱する
- ほうれん草は水茹でをしてから、冷水につけて揉むように水洗いしてから水切りをする
- (シュウ酸を取り除く)
- キャベツ、オクラをカットする
- かぼちゃ、ほうれん草、キャベツ、オクラ、黒ゴマをミキサーに入れて細かくする
- (野菜は細かくカットしてもOK!ただし、小型犬の場合は3mm以下にしましょう)
- ささみとミキサーにかけた食材を食器に移して与えましょう
愛猫に手作りごはんを作るときのポイント
続いて愛猫への手作りごはんについて、詳しくポイントを見ていきましょう。
こちらも重要なポイントをまとめていますので、最後までぜひチェックしてみてください。
猫の手作りごはんに使用する食材の割合は『肉魚:野菜=8:2』
猫の手作りごはんを作る時の食材の割合については、『肉魚:野菜=8:2』を目安に目分量で使用します。
猫は完全な肉食動物(真性肉食性)ですが、野菜や海藻類に多く含まれるビタミン類やミネラル類も総合栄養食基準に含まれています。
そのため、愛猫に手作りごはんを作ってあげるときは、野菜も取り入れてあげることをおすすめします。
猫の総合栄養食を設計するときは、一般的に肉類で足りないビタミン類やミネラル類、タウリンを添加してAAFCO(日本が採用している総合栄養食の栄養基準を定めているアメリカの団体)の栄養基準を満たすように設計します。
しかし、愛猫に手作りごはんを作る場合、一般的にはビタミン類やミネラル類、タウリンを添加することができません。
そこで、野菜を中心としたこれらの栄養素が含まれる食材を使用してあげましょう。
なお、タウリンについては猫にとって必須栄養素となるので、週数回の手作りごはんでも気をつけてあげる必要があります。
タウリンを摂取するための食材
タウリンが多い食材として血合い(カツオ・ブリ等の血合い部分)を使用することができますが、骨を取り除くなどの処理があるため、カツオやイワシの刺身を加熱して活用しても良いでしょう。
また、猫の手作りごはんのミネラル類の中では特にカルシウムが不足しやすいので、『肉魚:野菜=8:2』を目安にすることを前提に、カルシウムが含まれる食材(小松菜や青梗菜等)を使うと良いでしょう。
私の愛猫の場合は、添加物が入っていない乾燥桜エビや、減塩煮干しを手作りごはんに少量活用する等の工夫をしています。
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食材は食べやすい大きさにカットしよう
猫の気管は非常に細く、各食材のカットには十分注意が必要です。
むせたり気管に詰まることがないよう、食べやすいサイズにカットしましょう。魚の骨にも十分な注意が必要です。
細かくする際は、人間の介護食や流動食を作るために使用されるフードプロセッサーやミキサー、ベビーフードブレンダー等を活用することをおすすめします。
肉についてはひき肉をさらにカットして使用したり、魚についても細かくカットしましょう。
その他、野菜に関しては食べやすい形状への配慮だけでなく、肉食の猫であっても消化吸収できるようにミキサーでジュース状にしてあげます。
肉や魚は消化が得意でも、野菜の消化は不得意
なお、猫は体の長さに対して腸の長さが4倍程度です。
この特性から、肉や魚の動物性タンパク質の消化を得意としますが、逆に野菜に関しては腸が短いことから不得意とします。
雑食と言われていても野菜の消化を得意としない犬に関しては、6倍程度。人に関しては10倍程度ですので、いかに猫が肉や魚の消化を得意としないかがわかります。
体の構造を理解した上で食材を調理する
その他、野菜などの細胞は、セルロースと呼ばれる消化しにくい成分で構成されています。
馬やキリン等の草食動物は消化管がとても長く、消化管内には食べ物を発酵させるための腸内細菌が存在しているので、スムーズに野菜類の消化ができます。
この腸内に存在する細菌数が腸の内容物に対して、人が1,000万個程度で猫は1万個程度です(個体差によって変動)。
このような背景から、愛猫に手作りごはんを作ってあげるときは、体の違いについて配慮してあげた上で食材を細かくしてあげることが重要です。
食材は加熱するのがおすすめ
猫に関しては、食材は全て加熱するのが無難です。
食べられる生食材ももちろんありますが、犬と比較しても少なく、食中毒や寄生虫感染リスクも踏まえた上で、猫の手作りごはんに詳しくない飼い主さんは念のため、全て加熱しましょう。
また、猫の体が必要とする栄養素を加熱肉や魚、加熱野菜で満たすことは極めて難しいので、トッピングごはんや一般食(オヤツ)として与えるのもおすすめです。
給与量は愛猫の頭のハチの大きさ程度を目安に
愛猫の手作りごはんの給与額は、一般的に後述のような計算方法があります。
しかし、素人の飼い主さんには難しく、愛猫の運動量の誤差や生活環境、個体差によっても若干変動するので、まずは愛猫の頭のハチのサイズを目安にすると分かりやすいでしょう。
給与量の考え方については、総合栄養食の裏ラベルに記載されている量でさえ目安値で、その量を与えていても太ってしまう猫も痩せてしまう猫もいます。
手作りごはんは水分量が多い
犬用の手作りごはんと同様に、ドライフードに含まれる水分量がおおよそ10%前後。
これに対して、水分量の多い食材を最大限に活かす、愛猫の手作りごはんに関しては、水分量だけで80%を超えることもあります。
実際に、総合栄養食基準に配慮した設計でキャットフードの開発を行って外部の分析に出すと、水分量は90%を超えるものも少なくありません。
水分量が多いために、給与量が多くなるということですので、これが手作りごはんの特徴だと言えるでしょう。
切り替えは徐々に行い、食べきれないケースも出てくる
ドライフードを与えてきている人ならわかると思いますが、ドライフードは少量で済みます。
そのため、長期間にわたってドライフードを食べていた猫の場合は、急な手作りごはんへの切り替えが下痢や嘔吐の原因になることもあります。
また、食べなければいけない量が多くなることで、食べきれなくなることもあることだけ注意してください。
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給与量はBCSを参考にする
給与量に関しては、手作りごはんでも市販キャットフードでも、犬同様にBCSという指標を参考に管理するのがベストです。
BCS(ボディコンディションスコア)を参考にして、愛猫の体型をチェックしてあげましょう。
9段階評価のものも存在しますが、5段階評価の場合は、BCS3の体型を目安に給与量管理を行っていきましょう。
細かな給与量計算方法
- 安静時のエネルギー要求量(RER)(キロカロリー)を算出
体重(kg)×30+70 - 1日あたりのエネルギー要求量(DER)(キロカロリー)を算出
RER×係数
活動係数
愛犬の1日あたりのフードの量
g
2回に分けて与える場合 g/1回
3回に分けて与える場合 g/1回
4回に分けて与える場合 g/1回
愛犬の1日あたりに必要なカロリー
kcal
塩分を控えた食事にする
猫の手作りごはんでは、塩分量を1~2g程度に抑えることをおすすめします。
猫は腎臓の病気の発症率が高いので、特に手作りごはんで使用する食材には注意が必要です。
煮干しを中心に減塩食材があれば、減塩食材を使用しましょう。一例として、真あじ100g中の食塩相当量は0.3gです。
主な食材で魚を使う方も多いかと思いますので、その他の食材に関してはいかに塩分が含まれていないものを選ぶかが重要になります。
猫におすすめの食材
ここでは、猫の体に必要な栄養素にフォーカスして愛猫の手作りごはんにおすすめの食材をご紹介します。
おすすめの食材
- 猫に必要な必須脂肪酸がバランスよく含まれた秋刀魚やマグロなど
- タウリンが含まれる加熱アサリ、カツオやイワシなど
- 手作りごはんで不足しやすいカルシウムが含まれるチーズ、小魚など
なお、アサリについては必ず加熱をして少量を使用してください。
チーズに関してはモッツァレラを中心としたナチュラルチーズ、小魚については乾燥食材が活用できますが、必ず減塩のものを選びましょう。
手作りごはんのレシピ例(体重3kgの猫)
ここでは、愛猫の手作りごはんの一例を猫の体重3kgに対して、1日2回与える場合の1食分の分量目安で紹介させていただきます。
適切な給与量は、愛猫の生活環境や運動量、個体差、体質、年齢など様々な要因によって異なります。
前述で紹介させていただいたBCSを参考に、愛猫の給与量を定期的に見直してあげましょう。
用意する食材(1日2回与える場合の1食分)
食材
- カツオ(加熱) :45g
- 鶏肉(加熱) :25g
- 人参(加熱) :5g
- 小松菜(加熱) :5g
- キャベツ(加熱) :5g
- 減塩煮干し(擦る):3g
- 必要に応じて水を5cc程度追加
(野菜類と煮干しをミキサーにかける場合)
作り方
作り方
- カツオと鶏肉を加熱して細かく刻む
- 人参、小松菜、キャベツを加熱してミキサーにかける
- 減塩煮干しを擦る
- 1、2、3を混ぜ合わせて食器に移して与えましょう
※流動性のある手作りごはんにしたい場合は、ステップ.4でミキサーに水と1、2、3を追加して、ペースト状に近い状態で与えることをおすすめします。
手作りごはんが難しい人にこそ試して欲しい、nademoの手作りごはん
nademoではこの記事を執筆・監修していただいた望月 紗貴氏が開発したレシピで、オリジナルに作り上げた『なでもごはん』を販売開始します。
手作りごはんの需要は高まっている中、どうしても自分で愛犬・愛猫のごはんを毎日作ることは難しいという人に向けたフレッシュフードです。
冷凍なので保管が容易で、必要な分だけを解凍して与えるだけで良いため、手軽に手作りごはんの導入が可能になります。
nademoの公式ホームページ、公式LINEなどで最新情報をお届けしていますので、ぜひチェックしてみてくださいね!
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この記事の執筆者・監修者
一般社団法人愛玩動健康管理協会 代表理事/犬の管理栄養士/愛玩動物救命士
nademo編集部
編集部
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