犬の食事

【獣医師執筆】愛犬の手作りご飯は大丈夫?メリットと注意点について

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近頃、愛犬のために飼い主さんがご飯を作ってあげる、「手作りご飯」が注目される機会も増えてきました。

手作りの方が「新鮮」「無添加」「ヘルシー」「安心」「美味しそう」「温かい」というイメージがあるからでしょうか。

茶色いドライフードより、いわゆる「手作りご飯」の方が見た目も良く、SNSでの投稿も増えているそうです。

今回は「手作りご飯」について、獣医師目線でお話をさせていただきます。

この記事の結論

  • 愛犬のご飯を手作りする場合、総合栄養食と同等の栄養バランスにすることは難しい
  • 必要な栄養素を必要な量だけ与えてあげないと、栄養不足になることも
  • 犬の手作りご飯は、工夫次第でメリットになることもある
  • 愛犬の手作りご飯を用意する際、アレルギー食材や与えてはいけない食材の確認は必須

執筆・監修

山本 幸穂

山本 幸穂

獣医師、ペット栄養管理士

大学卒業後、動物病院での診療経験を経てペット保険会社に入社。
保険金の給付適正化業務のほか、秘書や簿記資格を有し、現在は株式会社VNN所属の獣医師として多方面に活躍している。

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愛犬の手作りご飯、栄養管理は大丈夫?

実は、栄養学の専門的な知識がないまま手作りご飯を与えると「栄養素の過不足」が生じることがあります。

このことから私は、毎日のご飯には“ドライフード”をおすすめしています。

その理由は「手作りで、総合栄養食と同じレベルの栄養バランスを作ることは難しい」からです。

犬猫の体づくりや健康を維持するためには、人間とは異なる“犬猫に特化した栄養バランスで食事管理”をする必要があります。

さらに、犬猫になりやすい代表的な病気がいくつかありますが、それらの病気と栄養管理はとても密接に関係しています。

ですので、犬猫を病気から守るためには、日々の栄養管理が重要と言っても過言ではありません。

日々の栄養管理のためのフードがいわゆる「総合栄養食」であり、水とこのフードを摂取することができれば必要な栄養を満たすことができるように設計されています。

ですが、手作りご飯は総合栄養食のような栄養管理を、簡単に再現できるものではありません。

ドッグフードにはそれぞれ目的がある

ドッグフードの種類と目的

まず、そもそもペットフードにはフードごとに目的が決まっており、大きく分けると4種類あります。

  • 主食となる総合栄養食
  • トレーニングやコミュニケーションに適したおやつ
  • 獣医師の指示の下、病気や体質改善に適した療法食
  • トッピングや栄養を補う目的の副食、一般食

この中で日頃の食事として適しているものが、総合栄養食と呼ばれるものです。

前述の通り、総合栄養食であればこのフードと水だけで必要な栄養を満たすことができるため、日常的な食事にもっとも適しています。

反対に必要な栄養を満たすことができない主食以外については、日常的な食事に適しているとは言えません。

人と犬猫では必要な栄養の量が異なる

人・犬・猫の必要な3大栄養素
出典:環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン ~犬・猫の健康を守るために~」

手作り食が簡単に思えてしまう理由のひとつは、「人間の食事も栄養バランスを考えて作ることができるから」というのもあるでしょう。

ただ、人と犬・猫では必要な栄養量が異なっており、特に炭水化物や脂質などは重要なポイントです。

必要となる3大栄養素は人と同じく「炭水化物・タンパク質・脂質」の3つですが、その量が異なっているため、人の食事同様に作っても適した食事とは言えないのです。

犬の食事の理想的な栄養バランス

日々の栄養管理のため、研究された理想的な栄養バランスとは何でしょうか。

そもそも、人間と犬・猫を比較すると、当然ながら食性が異なります。

人間は「雑食」、猫は「肉食」、犬は「 “体の構造的には”肉食だけど、進化の過程で雑食となった動物」なので、当然それぞれが必要とする栄養素も異なるわけです。

人間・犬・猫は、この食性の違いから“栄養素を吸収する能力”もそれぞれ異なります。

人間の食べ物と同じものを食べても、彼らの胃腸ではそれをうまく吸収できなかったり、逆に取りすぎになってしまうことも。

また、栄養は多ければ多いほど良い訳ではなく、必要な栄養素を必要な量だけ摂取しなくてはなりません。

何らかの栄養素が多すぎると、他の栄養素の吸収を妨げてしまい、結果的に栄養不足になってしまう、ということも起こり得ます。

この栄養素のバランスを作るのはとても難しいので、それが手軽に叶う総合栄養食は非常に便利というわけです。

犬の総合栄養食のメリット

犬用総合栄養食

総合栄養食の利点をもっと深く見ていきましょう。

総合栄養食には様々なバリエーションがあるので、その子にあったものを与えることができます。

犬猫の年齢期(成長期・成犬成猫・高齢期など)や、犬種別に必要な栄養バランスは異なってきます。

例えば、成長期では消化性の良いタンパク質や、免疫を高める栄養等をバランスよく必要とします。

高齢になると、腎臓に負担がかからないようタンパク質の量を調整したり、しっかりと関節や筋肉を維持しつつ肥満を防ぐような栄養バランスを配慮します。

さらに、関節疾患になりやすい犬種と、皮膚病になりやすい犬種では、それぞれ異なった成分がしっかり補填されているフードを与えることで、“より病気の予防に繋がる”というわけです。

一方で、手作りで犬猫の総合栄養食に相当するごはんを作ることは非常に難しく、手作りご飯を与えていたら知らず知らずのうちに内臓の負担になり、健康診断で異常が見つかってしまったなんてケースもみられます。

犬の手作りご飯のメリット

さて、獣医師から見た手作りご飯への考えをお話ししましたが、絶対に与えてはいけないというわけではありません。

ではどんな時に手作りご飯を考えるのでしょうか。

現実的に考えると、細かな点に配慮した手作りフードを作るのは難しいものの、手作りご飯のメリットもあります。

食いつきが良く、色々な食感・匂いや見た目を楽しめるため、脳にも良い刺激となります。さらに食事を通し、飼い主さんとのコミュニケーションにもなります。

このあたりをうまく活用すれば、体にもたくさん良い影響を与えることができます。

では、その場合どれくらいの頻度で手作りご飯を与えると良いのでしょうか。

お誕生日や記念日、ドッグカフェに出かけた際など、月に1、2回手作りご飯を食べる程度なら、食中毒やアレルギーに気をつければ大きな問題ありません。

コンスタントに作りたい場合でも、手作りご飯初心者の場合は、8割程度は総合栄養食、2割程度は手作りご飯にするくらいの頻度にとどめておくのが良いでしょう。

あるいは、ドライフードに手作りご飯をトッピングする形でも、十分喜んでもらえると思います。

また、最近では総合栄養食の手作り風ご飯が市販でも手に入れることができるので、試しに取り入れてみてもいいかもしれませんね。

犬の手作りご飯の注意点

もし、愛犬用に手作りご飯を用意するのであれば、次の点に注意して作ってみてください。

人間用の食事と同じように作ることはNGなので、重要なポイントとして確認しておきましょう。

適切な食材を使う

犬猫に与えてはいけない食材や、アレルギーが出やすい食材を避けなくてはなりません。

専門家が作った適切なレシピを参考にすると良いでしょう。

食材によっては少量であっても洗ったり加熱をしても、命に関わるようなものもあるため、必ず把握しておきましょう。

少しずつ始めよう

ドライフードから急に手作りフードに変わると、胃腸に負担がかかったり、アレルギーが出たりする可能性があります。

一気に切り替えるのではなく、まずご飯の半分を手作りフードにするなどから体調を見ながら進めて行きましょう。

一般的なドッグフードを切り替えるようなときにも少量ずつを切り替えていく必要があるため、これと同様です。

味付けは不要です

犬猫のご飯には、塩や砂糖などでの“味付け”はあまり必要ありません。素材の味のみで十分美味しく感じてくれます。

また、万が一何らかの病気になったときに動物病院で処方される療法食を食べてくれるように、手作りご飯しか食べないという状況に慣れさせない方が得策です。

自宅でボディチェックをしよう

体調のみならず、体重、体脂肪や筋肉のつき具合を確認し、小さな変化に気づくことが大切です。

その子にあった適切なごはんの量やカロリーを見つけていきましょう。

総合栄養食とは違って必要なカロリー量をコントロールしづらいので、日々チェックしておくことが大切です。

健康診断を忘れずに

動物病院でどのようなご飯を与えているか獣医さんに伝え、定期的に健康診断を受けましょう。

体格から栄養状態に過不足がないかも確認してもらいましょう。

さいごに

医食同源という言葉がありますが、栄養管理は犬猫の健康を守り、病気の治療にも一役買う、いわばお家で実践できる一番のプレゼントです。

我が子にあったフードを選んでしっかり与えること、手作りご飯の知識をつけて実践すること、どちらも素晴らしい愛情です。

それぞれのメリット・デメリットをしっかりと踏まえ、検討してあげてくださいね。

この記事の執筆者・監修者

執筆・監修者の情報

山本 幸穂

山本 幸穂

獣医師、ペット栄養管理士

大学卒業後、動物病院での診療経験を経てペット保険会社に入社。
保険金の給付適正化業務のほか、秘書や簿記資格を有し、現在は株式会社VNN所属の獣医師として多方面に活躍している。

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