愛犬の健康的な暮らしを維持する上で、注意したいのは病気やケガだけではありません。
そのひとつが寄生虫。完全室内飼いをすることがない犬にとって、寄生虫との関わりは少なからず存在します。
どんな寄生虫に注意すべきなのか、感染経路や主な症状についてまとめました。
寄生虫ごとの予防策などもまとめていますので、ぜひ確認しておいてください。
この記事の結論
- 猫とは違って犬は散歩の習慣があるため、外に出て寄生虫に感染する可能性が高くなる
- 蚊が媒介するフィラリアは、突然の呼吸困難を引き起こして、死亡するケースもある
- 犬猫ともに注意すべきノミ・ダニは、一年中感染するリスクのある寄生虫
- 症状が出てからの対処では手遅れになるケースもあるため、予防接種がとても重要
獣医師/ペット管理栄養士/ペット用品取扱士
現在ではオンラインペットショップを運営する25Holdings Japanにてグローバル全体の自社ブランドの商品開発をする傍ら、”現役の臨床医”であり続けることにこだわり非常勤獣医師として動物病院に勤務も続ける。
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目次
犬の寄生虫はお出かけにつきもの
愛犬との生活で大きな楽しみのひとつが、一緒にお出かけをすることではないでしょうか?
しかし、猫に比べて外にお出かけをする機会が多いからこそ、寄生虫に関するトラブルがよく起こります。
外にさえ出なければ寄生虫リスクは減りますが、それでも寄生虫に感染するリスクをゼロにできるわけではありません。
どんな小型犬であっても散歩時間は必要になり、外に出ることは少なからずあります。
この記事では、遭遇することの多い犬の寄生虫について、感染経路や見られる症状、治療や予防の方法について解説します。
犬の寄生虫:蚊が媒介するフィラリア
すでにワクチンなども広まってきているフィラリアは、犬の寄生虫として知られています。
なかなか気付きづらい寄生虫ではありますが、具体的な感染経路や症状を見ていきましょう。
感染経路
フィラリアは日本の多くの地域で見られる寄生虫で、主に蚊を媒介して感染が広がります。
フィラリアの幼虫は蚊の中で繁殖し、蚊が犬を吸血するタイミングで体内に侵入、その後数ヶ月をかけて犬の血管の中で大きくなっていきます。
症状
感染してからフィラリアが十分な大きさに成長するまでは、基本的に無症状です。
十分に成長し、その寄生数も増えてくるとさまざまな症状を引き起こすため、発見時には手遅れになっていることも。
食欲不振や咳の症状が見られたり、はたまた尿が茶褐色になる、お腹が急激に膨らんでくる(腹水貯留)などの症状がみられることも多く、突然の呼吸困難を引き起こし、亡くなってしまう危険もあります。
治療、予防方法
フィラリアは一度、体の中で大きく成長してしまうと治療が大変難しくなってしまいます。
そして屋内、屋外問わず“蚊”に出会わない生活は難しく、感染を完全に防ぐことは非常に困難です。
そのため治療の中心は蚊の活動期間に合わせて月に一度、駆虫のお薬を飲むことで予防を行うことが重要になってきます。
予防の方法は飲み薬だけでなく注射や垂らすタイプのお薬なども最近では出てきていますので、気になる方はかかりつけの先生に相談をしてみましょう。
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犬の寄生虫:痒いノミ・ダニ
人も気を付けたいノミやダニは、愛犬・愛猫にとっても天敵です。
目にはほとんど見えないサイズの寄生虫なので、予防方法をしっかりと確認しておきましょう。
感染経路
ノミやダニは地面や草のかげにひそんでいることが多く、散歩などで通りかかった公園や道沿いで犬にとびついて寄生をします。
ただ、これ以外にも野良猫や野生動物の体について家の敷地内に侵入してくることもあれば、家族の方の衣服にひっついて家の中に侵入してくることもあります。
そのため、外に出ないペット(猫など)でも寄生されることもあります。
症状
ノミやダニの感染によってよく見られる症状として、痒みや皮膚炎、それらが原因となって起こる脱毛などがあります。
その他にもノミやダニに噛まれたことでアレルギー症状を起こしてしまったり、最近だとマダニを介してSFTS(重症熱性血小板減少症候群)という、人にも感染しうる病気に感染してしまうことがあります。
治療、予防方法
まずなるべく感染リスクを下げるため、できる限り愛犬の体が隠れてしまうような背丈の高い草むらの中に入らないようにしましょう。
また、ノミとダニは春や夏の暖かい時期だけ予防をしていれば大丈夫と思われている飼い主さんも多いですが、実は感染のリスクは一年中あります。
予防薬はできる限り通年でしてあげましょう。
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犬の寄生虫:お腹の中のウネウネ、回虫
犬によく見られる寄生虫のひとつ、回虫は白い糸状の寄生虫です。
お迎えしたばかりの子犬に寄生していることもありますが、人にも感染する人獣共通感染症として知っておきたい寄生虫です。
感染経路
回虫の卵は感染している犬のウンチの中に排出され、外界のさまざまな環境下で感染の機会を伺います。
そして、通りがかった犬が舐めるなどして口から侵入し、感染を起こします。
また、回虫は母犬からもらっているケースも非常に多いので、子犬では特に注意が必要です。
症状
回虫は主に腸に寄生し、下痢や嘔吐などの症状を引き起こします。
ただ、犬の免疫力がしっかりしていると無症状のまま過ごしていることも多いので、意識的に駆虫を行うことが重要になってきます。
治療、予防方法
回虫は明らかにウネウネした虫が出てくれば発見しやすいですが、無症状の場合は動物病院での糞便検査によって見つかることが多いです。
治療は駆虫薬を使用することが一般的ですが、食べるタイプや背中に滴下するタイプなどさまざまな形があります。
どれが与えやすいか、きちんと飲んでくれるのか、愛犬の性格やあげやすさに応じて選ぶようにしましょう。
犬の寄生虫:肉眼では見えないコクシジウム
犬から人への感染はしないものの、犬や猫に対して重大な疾患を引き起こすことで知られている、コクシジウムという寄生虫。
顕微鏡で確認しなければわからないほどのサイズなので、肉眼で確認できるものではありません。
感染経路
コクシジウムは主に感染した動物のウンチの中に排出され、それを介して他の動物にうつることがある病気です。
「他の犬の糞便なんて触れないよ。」と思いがちですが、実際にはさまざまな場面で遭遇することがあります。
例えば、散歩中のアスファルトの上に糞便の残りが少しついてしまっていたり、ドッグランなどで他の犬のお尻を舐めてしまったり、こういった場面で感染する可能性があります。
また、一度感染が成立してしまうと自分の糞便から排出されたコクシジウムがその糞便から直接もしくは手足を関して口に入り再感染を起こしてしまうリスクもあります。
症状
コクシジウムも回虫同様、犬の免疫力がしっかりしていると無症状のまま感染をしていることがあります。
症状としてよくでるものとしては血の混じった下痢や嘔吐、食欲の低下などが知られています。
治療、予防方法
こちらも回虫と同じく動物病院での糞便検査によって発見し、駆虫薬による駆虫で対処を行いますが、回虫と違い肉眼で見ることができません。
ですので、コクシジウムがおうちの環境中に残り、それを再び口にすることで駆虫後も再感染を起こすケースがよく見られます。
万が一、感染が発覚した場合は愛犬の周囲環境をなるべく綺麗にし、熱湯を用いて消毒、もしくは新しいものに買い換えるなどして清潔な環境を保つようにしましょう。
最後に
今回取り上げた“犬の寄生虫”は特に日常生活の中においてよく感染がおこるものばかり。
一方で、感染した時の症状をみてみると重症化するまで意外と目立った症状が少ないことに気づかれたのではないでしょうか?
特にフィラリアなどについては「症状がでてからの対処」では手遅れになることも少なくなく「感染する前からの定期的な予防駆虫」が非常に重要になります。
ぜひ、かかりつけの先生とも相談しつつ、続けやすい形でこれらの寄生虫に対しての対応を始めてみましょう。
気付きにくいものもありますが、少しずつ対応していくことで、愛犬のより一層の健康長寿に繋がるでしょう。
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この記事の執筆者・監修者
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現在ではオンラインペットショップを運営する25Holdings Japanにてグローバル全体の自社ブランドの商品開発をする傍ら、”現役の臨床医”であり続けることにこだわり非常勤獣医師として動物病院に勤務も続ける。
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