大型犬の中でも一際目立つ大きさで知られている、中国の犬種チベタン・マスティフ。中国のチベット高原を原産とする犬で、非常に大きな体が特徴的です。
超大型犬ということもあって、もしお迎えするとなったら注意したいポイントもたくさんあります。チベタン・マスティフの特徴を理解し、魅力を知っていきましょう!
この記事の結論
- チベタン・マスティフは世界的な大型犬の原種であると言われているほど、長い歴史を持つ
- 高貴な犬種でもあることから、過去最高額では2億円規模にもなっている
- 番犬や護衛犬として活躍してきたため、警戒心が強く懐きにくい
- 大型犬ではあるものの、平均寿命は10歳~15歳とやや長めである
目次
チベタン・マスティフの特徴

チベタン・マスティフは、ユーラシア大陸の中央部に広がっている世界最大級となる高原、中国チベット高原で誕生しています。
全身がたっぷりの被毛で覆われており、さらには超大型犬という体格なのでより一層、大きく見えます。
その歴史はとても長く、世界的な大型犬の原種のひとつであると言われています。
また、高貴な犬種であることも有名で、一時は個体価格が2億円規模になり、高級犬種としても知られています。
思慮深く、とても温和な正確
とても警戒心が強く、しつけが重要
護衛犬でもあったため、吠えやすい
短時間ではなく、長時間の運動を好む
その他情報
原産地 | 中国 |
犬種グループ | 2G:使役犬 |
大きさ | 大型 |
平均寿命 | 10歳~15歳 |
なりやすい病気 | 股関節形成不全,皮膚炎,外耳炎 |
参考価格 | 80万円~2億円 |
被毛
抜け毛 | 多い |
毛質 | ダブルコート |
毛色 | リッチブラック,ブラウン,ゴールド,ブラック&タン,グレー&ブルー,グレー&ブルー&タン |
チベタン・マスティフの身体的特徴
チベタン・マスティフと言えば、やはりそのフサフサとした被毛の量と、体の大きさが特徴的。
特に首周りの被毛の量が多く、また吠え方もライオンのように強いことから、見た目はまるでライオン。
大型犬ではあるものの手足が特別長いわけではないため、体高の高さも大きいとは言えません。
チベタン・マスティフのサイズ(体高・体重)
体高 | 男の子:66cm以上 女の子:61cm以上 |
体重 | 64kg~82kg |
超大型犬とは言っても、体高が格段に大きいというわけではありません。男の子なら66cm以上、女の子なら61cm以上が基本的に認められています。
ただ、体重はまさに超大型犬というだけある60kg超えです。場合によっては100kgを超える子もいるほどです。
あくまでもこの上記の体高は目安となり、体高と体重のバランス良く成長することも多いです。
チベタン・マスティフの性格・習性
チベタン・マスティフは番犬や護衛犬として活躍してきたため、警戒心がとても強く、あまり人に懐きません。
独立心がとても高く常に周りを警戒し、物怖じしない性格はとても頼もしいでしょう。
警戒心は強いものの飼い主さんに対しては従順で、家族には愛情深く接することができる犬種です。
基本的には温厚な性格ですが、しつけが適切でないと攻撃的になることもあります。
チベタン・マスティフの毛色・被毛
毛色はとても種類が多く、ブラックやブラウン、ゴールドなどをベースにした毛色となっています。
- リッチブラック
- ブラウン
- ゴールド
- ブラック&タン
- グレー&ブルー
- グレー&ブルー&タン
胸元に白い模様が見られる個体もいますが、これは許容されています。
被毛は毛量たっぷりのダブルコートで、首周りの毛の特徴にも注目。その見た目からもわかるように、ライオンのような見た目です。
獅子型と呼ばれるタイプには、毛が長い大獅子頭型と、毛が短い小獅子頭型があります。
チベタン・マスティフの平均寿命
チベタン・マスティフは大型犬ですが、中には長く生きてくれる子も存在します。
平均寿命は10歳~15歳と幅広く、大型犬の特徴でもあるやや短い子もいれば、一般的な犬種と同じく15歳頃まで生きてくれる子もいます。
大型犬なのでそもそもの平均寿命は長いと言えません。病気にも注意して、長生きしてくれるように管理する必要があるでしょう。
チベタン・マスティフの注意したい病気
まずは大型犬・超大型犬などによく見られる、関節系については要注意です。
骨格形成期において股関節が異常形成されてしまう股関節形成不全(こかんせつけいせいふぜん)などは、特に注意が必要です。
歩行異常やふらつきなどが見られるようになるため、事前の予防が大切。幼齢期において過剰なまでの栄養摂取をすると、肥満になることで関節への負担が増えます。
フローリングなどの滑りやすい床だとこれもまた関節に負担がかかるので、滑りづらい環境を整える必要があります。
チベタン・マスティフの見分け方
チベタン・マスティフは見た目がとても特徴的であるため、ひと目見ればわかるほどに判断が簡単です。
体の大きさはもちろんのこと、首周りの被毛の多さやフサフサ具合をチェックしてみましょう。
ただ、実際に見てみると思った以上に体高がないように見えるかもしれませんね。
チベタン・マスティフの登録頭数
JKCの「犬種別犬籍登録頭数」によると、血統登録・血統証明書が発行されたチベタン・マスティフは、日本国内に存在しません。
体が非常に大きな犬種ですし、攻撃性の高さからもなかなか飼いづらい犬種だと言えます。
チベタン・マスティフの価格
チベタン・マスティフは2010年頃から価格が高騰し、2014年には個体価格が2億円にものぼる価格帯となっていました。
このことから現在でも高級犬種として知られていますが、現在ではこの流れも落ち着いてきています。
やはりしつけが少し難しく、トラブルにもなりやすいことから高騰が抑えられており、100万円台に下がっています。
それでも生息頭数が少ないため希少価値は高く、一般的な犬種よりもかなり高額だと言えるでしょう。
チベタン・マスティフを飼うのに向いている人の特徴

家庭犬としては難易度の高いチベタン・マスティフ。どんな人が飼うのに向いているのでしょうか。
大型犬を飼ったことがある人
チベタン・マスティフはトレーニングがしっかりとできていれば、特別なトラブルも少なく、暮らしていくことができるでしょう。
しかし、小型犬とは違って大型犬のトレーニングはまた別物ですし、お手入れやケアも負担が大きくなります。
大型犬の中でもトレーニングしやすい子とではまた異なりますが、一度も大型犬を飼ったことがない人にとっては難しい面もあります。
他の大型犬と一緒に暮らしたことがある、という経験が快適なチベタン・マスティフとの暮らしに繋がるでしょう。
広い飼育スペースを用意できる人
チベタン・マスティフは高温多湿に弱いので室内飼いが必須です。
ただ体がとても大きいので、ストレスを溜め込まないためにも広い飼育スペースを用意できる人に向いています。
またチベタン・マスティフは股関節形成不全など関節トラブルになりやすいため、関節に負担のかからない室内環境を用意してあげましょう。
力や体力に自信のある人
体の大きいチベタン・マスティフはスタミナも非常に豊富なので、多くの運動量を毎日確保するため、飼い主さんもたくさん動く必要があります。
また力も強いので、散歩中に愛犬がひっぱってきてもリードを制御できる力や体力が求められるでしょう。
そのため、力や体力に自信のある人がチベタン・マスティフを飼うのに向いているといえます。
経済的な余裕がある人
チベタン・マスティフは個体価格が暴落してきてはいるものの、それでもまだ他の犬種と比べれば高い価格帯です。
そして体の大きな大型犬でもあるので、食べる量や飲む量は多いというのもポイントのひとつ。
お迎え時だけでなく、一生涯にわたって一緒に暮らしていくためには、経済的な余裕も必要不可欠です。
チベタン・マスティフの正しい飼い方:巨大な体を支える深い愛情と理解

チベタン・マスティフは、その圧倒的な体格と堂々とした風格、そして忠実な性格で知られる犬種です。しかし、その飼育は決して容易ではありません。
ここでは、チベタン・マスティフを家族に迎える上で知っておくべき正しい飼い方と、特に初心者の方には難しいとされる理由と対策について詳しく解説します。
初心者には難しいとされる具体的な理由と対策

チベタン・マスティフの飼育は、その身体的・精神的特性から、犬の飼育経験が豊富な方でも試行錯誤が必要な場合があります。特に初心者には、以下のような点が難しいと感じられるかもしれません。
強力な防衛本能に対する早期からの社会化としつけの重要性(服従訓練ではなく信頼関係の構築)
チベタン・マスティフは、古くから家畜や財産を守る番犬として活躍してきました。そのため、見知らぬ人や物、他の動物に対して強い警戒心や防衛本能を持つことがあります。
この本能は、適切な社会化と訓練がなされない場合、攻撃性として現れるリスクをはらんでいます。 対策として、子犬期からの徹底した社会化が不可欠です。
ワクチン接種後からすぐに、様々な人(子供、高齢者、異なる服装の人など)、他の犬(友好的な犬を選ぶ)、様々な場所や音に慣れさせましょう。
大切なのは、服従訓練のように一方的に命令するのではなく、犬との間に深い信頼関係を築くことです。褒めること(ポジティブ・レイフォースメント)を基本とし、犬が自ら考え、飼い主の指示に従うことを「良いこと」だと認識させるように導きます。専門のドッグトレーナーや行動療法士のサポートを受けることも強く推奨されます。
頑固な性格への根気強いアプローチ(ポジティブ・レイフォースメントの徹底)
チベタン・マスティフは非常に賢いですが、同時に独立心が強く、頑固な一面も持ち合わせています。そのため、「命令だから従う」というよりも、「自分が納得したから従う」という傾向が強いです。
しつけの際に無理強いしたり、感情的に叱ったりすると、心を閉ざしてしまうことがあります。 対策としては、根気強いポジティブ・レイフォースメントが鍵となります。
成功した行動に対しては、惜しみなく褒め、最高のご褒美(おやつ、おもちゃ、熱烈なスキンシップなど)を与えましょう。彼らのモチベーションを刺激し、訓練を楽しいものだと感じさせることで、自発的に学習するようになります。
また、短時間のセッションを頻繁に行い、飽きさせない工夫も重要です。
広大な敷地以外での飼育における工夫(室内での十分なスペース確保と安全対策)
体が非常に大きいため、広大な敷地が理想とされますが、それが難しい場合でも室内での工夫が必要です。 対策として、まず室内にはチベタン・マスティフが体を伸ばしてくつろげる十分なスペースを確保しましょう。
狭い空間に閉じ込めるとストレスが溜まりやすくなります。滑りやすいフローリングは関節に負担をかけるため、ラグやカーペットを敷くなどの工夫が必要です。
また、彼らは破壊力も持ち合わせているため、家具の配置や倒れやすいものの撤去、電気コードの保護など、徹底した安全対策が求められます。大きなクレートやハウスを用意し、犬が安心できる「自分だけの場所」を提供することも重要です。
日々のケア:被毛の手入れと健康管理
チベタン・マスティフの美しい被毛と頑丈な体格を維持するためには、日々の丁寧なケアが欠かせません。
被毛の手入れ

豊富なダブルコートを持つため、定期的なブラッシングが必須です。特に換毛期には大量の毛が抜けるため、毎日念入りに行いましょう。
スリッカーブラシで下毛(アンダーコート)をしっかりとかし、ピンブラシで上毛(オーバーコート)を整えます。これにより、皮膚の通気性を保ち、皮膚病の予防や毛玉の形成を防ぎます。
シャンプーは月に1回程度を目安に、体格が大きい分、専門の大型犬用シャンプー台やプロのトリミングサロンを利用することも検討しましょう。
健康管理
大型犬に多い股関節形成不全や肘関節形成不全、そして甲状腺機能低下症や眼瞼内反症などにかかりやすい傾向があります。
これらの病気を早期に発見するため、定期的な健康診断と、愛犬の歩き方や目の状態、被毛の艶などを日頃から観察することが重要です。
特に股関節や肘の形成不全は遺伝的要因も大きいため、ブリーダー選びの際は親犬の健康状態を必ず確認しましょう。
運動:十分な運動量を確保する
チベタン・マスティフは、見た目とは裏腹に、意外と室内では落ち着いて過ごせる犬種ですが、健康維持のためには十分な運動が必要です。
散歩

毎日、最低でも1回1時間以上の散歩を2回行うのが理想です。体力があるので、平坦な道だけでなく、緩やかな坂道などを取り入れると良いでしょう。
リードをしっかり握り、万が一の際に制御できる体力も飼い主には求められます。他の犬とのトラブルを避けるため、人や犬が少ない時間帯や場所を選ぶ配慮も必要です。
暑さ対策
寒さには強いですが、暑さには非常に弱い犬種です。夏場の運動は、早朝や夜間の涼しい時間帯に限定し、日中の散歩は避けるべきです。
熱中症予防のため、散歩中の水分補給を徹底し、アスファルトの熱による肉球の火傷にも注意しましょう。
食事:成長段階に合わせた食事管理
巨大な体を支えるには、質の高い食事と適切な管理が不可欠です。
高品質なフード
大型犬専用の、成長段階(子犬用、成犬用、シニア用)に合わせた高品質なドッグフードを選びましょう。特に子犬期は骨や関節の急激な成長を支えるため、栄養バランスが非常に重要です。
肥満予防
運動量が不足したり、食事を与えすぎたりすると、肥満になりやすい傾向があります。肥満は関節疾患などを悪化させる原因となるため、体重管理には十分注意し、獣医師と相談しながら適切な給餌量を守りましょう。
チベタン・マスティフは、その雄大な姿と深い愛情で、飼い主にとってかけがえのない存在となるでしょう。彼らの特性を深く理解し、適切な飼育を行うことで、素晴らしいパートナーシップを築くことができます。
室内環境:滑りにくい床を用意して負担を減らす

前述のように、大型犬や超大型犬は関節への負担が高く、股関節形成不全などになりやすいと言われています。
関節への負担を減らす方法のひとつとして、フローリングなどは避けることが重要。特にツヤありのフローリングは滑りやすいので注意が必要です。
他の犬種にも言えることではありますが、タイルカーペットを追加するなどの施策で、足腰への負担を軽減させましょう。
また、爪が伸びすぎているとひっかかってケガをしてしまうこともあるため、爪切りも2週間に一回程度は行わなければいけません。
チベタン・マスティフにおすすめのドッグフード・アイテム
チベタン・マスティフの誕生の歴史

チベタン・マスティフの歴史はとても古く、正確にいつ頃から存在していたのかはわかっていません。
しかし、紀元前300年代からすでに歴史的な文書において存在が明らかとなっているため、長い時を人間とともに過ごしてきた犬種であることがわかります。
モンゴル帝国における初代皇帝のチンギス・ハーンや、ヴェネチア共和国の商人であったマルコ・ポーロなどの文献で確認されています。
その頃から体の大きさやライオンのような咆哮であると記述されており、特殊な犬種であることが記されていました。
19世紀初めにはチベット高原においてほぼ絶滅していますが、当時のイギリス国王が所有しており、ヴィクトリア女王にも献上。
その結果、ヨーロッパでも定着したことから生息頭数は少ないものの、現在でも姿が確認できます。
チベタン・マスティフの理解度チェック
この記事の執筆者
nademo編集部
編集部
「いつまでも どこまでも」必要な情報を理解するだけではなく、心もお腹も満たされるような日々のために。
&nademo(アンドナデモ)のコンセプトをもとに、飼い主さんとペットが安堵できる時間を演出します。
※ 当コンテンツで紹介する商品は、実際に社内で利用した経験と、ECサイトにおける売れ筋商品・口コミ・商品情報等を基にして、nademo編集部が独自にまとめています。
※ 本記事はnademoが独自に制作しており、メーカー等から商品提供を受けることもありますが、記事内容や紹介する商品の意思決定には一切関与していません。
※ 記事内で紹介した商品を購入すると、売上の一部がnademoに還元されることがあります。
※ 監修者は掲載情報についての監修のみを行っており、掲載している商品の選定はnademo編集部で行っております。
※ 掲載している商品の順番に意図はなく、掲載の順番によってランク付けしているものではありません。