猫がブルブルと震えるのには理由があり、深刻な問題が隠れている場合があるため、気をつけなければなりません。
病気が原因で震えることもあり、適切な処置をしなければ、命にかかわる重大なケースもあります。
そもそも、震えと痙攣とは異なり、見分け方にポイントがあるのをご存知でしょうか。病理的な痙攣でなければ、不安要素が少なく安心できるでしょう。
そこで震えと痙攣の違いや、猫が震える原因のほか、震えが見られる病気の種類と具体的な症状について、分かりやすく解説します。
今すぐ動物病院へ連れて行くべきかどうかを判断する方法までご紹介しますので、大切な愛猫のためにどうぞご確認ください。
この記事の結論
- 猫の震えと痙攣は異なり、意識がはっきりしていて体を支えられるかどうかで震えと判断できる
- 猫が震えるのには6つの原因があり、寒さ・痛み・恐怖心や警戒心・ストレスなどがある
- 震えが病気の可能性もあり、「中毒症状や低血糖・脳障害・内臓疾患・椎間板ヘルニア」などがある
- 寒さやストレスからくる一時的なものであれば様子見、繰り返すときや他の症状が併発するときは動物病院へ
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目次
猫の震えと痙攣の違い
猫の震えと痙攣の見分け方のポイントは、次の2つの症状によっておおよそ判断することができます。
症状 | 震え | 痙攣 |
---|---|---|
意識がはっきりしている | ○ | × |
体を支えられる | ○ | × |
震えは意識がはっきりしており、歩行やお座りなど、体を支えることが可能です。
猫が背を丸めてうずくまり、体をブルブルと小刻みに振動を起こしているときは震えといえます。
一方で、痙攣の場合は意識がはっきりしておらず筋肉がこわばっているため、自分の意思で体を支えることや、自由に身動きができません。
痙攣やひきつけは、横たわったり伏せた体勢でガタガタやピクピクする動きで、四肢のみが痙攣する場合もあります。
白目をむいたり口から泡を吹いたりするのは、明らかに痙攣です。
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猫が震える原因
猫がブルブルと震えている原因は、次の6つのような理由があります。
ひと目で判断することは難しいと思いますが、まずは心当たりがあるかどうかを確認してみましょう。
寒さ
猫は人間と同じように寒さを感じると体が震えるので、室温が低すぎると震える原因になります。
気温の寒い冬場や夏のエアコンで冷えた室内、雨に濡れたときやシャンプーの後など、体温が下がって震える場合があります。
体温が低下すると筋肉が小刻みに震えるのは、脳の視床下部から骨格筋に指令が行き、筋肉を動かすことで熱をつくり、体温を維持するためです。
このような震えは悪寒にあたり、医学用語でシバリングと呼ばれています。温度に注意して、愛猫が暖を取れるようにしてあげてください。
なお、猫にとっての適温は21℃~28℃前後と言われています。
春や秋の寒暖差が激しい季節は、朝晩の寒さで震えるケースがあるため、寝床に毛布やブランケットを用意しましょう。
特に子猫は体温調節がままならずに低体温症を起こしやすく、命にかかわる危険性があるため、ペット用ヒーターを活用してあげてください。
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痛み
猫が震える原因には病気やケガによる痛みの場合もあるため、気をつけなければなりません。
四肢の骨折や捻挫では、痛みと腫れを伴って手足を地面に着けなかったり、外傷によるケガでは傷口をペロペロと舐めたりするため、比較的分かりやすいでしょう。
また、猫は虫歯や歯周病などの口腔内の炎症によって、あごが震えることがあり、歯ぎしりやよだれなどを伴う場合もあります。
一方で、嘔吐や下痢などの症状を伴って震えるときは、病気や誤飲などによる腹痛の可能性もあり、身動きができない場合には早急に処置が必要です。
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恐怖心・警戒心
猫は基本的に臆病で慎重な性格のため、恐怖心や警戒心といった心理的な原因によって、プルプルと震える場合があります。
飼い主さん以外の人に威嚇をするような気性が荒い子でも、恐怖を感じると震えることがあります。
予測不能な地震や雷、大きな音やインターホンなどに怯えるケースは多いです。
恐怖心や警戒心によって震えるのは、一過性の生理現象のため、基本的に心配はいりません。
ただし、トラウマやストレスにならないよう、猫にとっては逃げ場が必要となります。
いつでもすぐに身を隠せるよう、静かな部屋へ段ボールなどを用意して、飼い主さんの声がけによって、落ち着かせてあげてください。
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ストレス
来客が多いご家庭や、工事音などの不快な音が続く環境にいると、猫はストレスを感じて震える場合があります。
ストレスではしっぽがパタパタと震えることがよくあり、苛立ちから飼い主さんに対して引っ掻いたり噛んだりと、攻撃的になる子も多いです。
猫にとってストレスは大敵で、精神的にも身体的にも病気になりやすくなるため、気をつけなければなりません。
抱っこや爪切り、動物病院での診察で震える子もいらっしゃると思いますが、なるべくストレスを感じないよう、終わったらご褒美におやつを与えるなどの工夫をすると良いでしょう。
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高齢の筋力低下
猫は加齢に伴って筋力が低下し、高齢になると立ち上がろうとしたときやトイレでの排泄時など、足腰に負担がかかって足がガタガタと震える場合があります。
品種や個体差によっても異なりますが、最新の調査によると猫の平均寿命は15.79歳。シニア猫と呼ばれるのは11歳以上で人間でいうと60歳以上となり、15歳では76歳です。
老猫は後ろ足から筋肉が衰え、関節炎を患いやすくなり、高所へのジャンプが困難になることや、立っているだけで震えるようなケースもあります。
一方で、高齢猫は脳腫瘍や心筋症など、震えやふらつきの症状になる病気のリスクが高いため、老化だけが原因とは限らないことに気をつけましょう。
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構ってもらえた経験
猫は嬉しさや甘えによっても震える場合があり、尻尾をピンと立ててプルプルと震えながら飼い主さんに近寄ってくるようなケースがあります。
「撫でてほしい」「ご飯やおやつがほしい」といった飼い主さんに構ってもらえた経験によって興奮状態になると、小刻みに震えるメカニズムです。
喉を鳴らすのと同じように、喜びの感情を表現して起こる震えの場合なら、何も心配する必要はありません。期待をしている証でもあるため、ぜひ愛情を注いであげてください。
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猫の震えが見られる病気
猫が震える病気には、大きく分類して次の4つの種類があります。
病名や病状と原因についても解説しますので、気になる愛猫の症状があればチェックしてみてください。
中毒症状・低血糖
猫が震える場合の病気として、代表的なのが『中毒症状』と『低血糖』です。
いずれも命に関わる可能性が高いため、早期治療が必要になります。
中毒
猫には食べさせてはいけない食べ物があり、体質的に合わない危険な成分の摂取によって、中毒反応として、体の震えを引き起こすケースがあります。
タブーと言われる有名な飲食物は、玉ねぎ・長ネギ・ニラ・ニンニクなどのネギ類や、エビ・カニ・イカ・タコなどの生の魚介類、チョコレート、緑茶・コーヒーなどです。
震えのほか、よだれが出たり、下痢や嘔吐をしたりする症状も多く見られ、重度になると泡を吹き、引きつけや痙攣を起こす症状もあります。
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低血糖
糖を貯蔵する仕組みがしっかりとできていない生後3か月未満の子猫や、食事をきちんと食べられていない成猫が急な運動をしたとき、猫は低血糖によって震える場合があります。
低血糖(ていけっとう)は、肝不全や糖尿病などの病気を患っている場合にも引き起こしやすく、放置していると命にかかわる重大な危険性があるため注意しましょう。
痙攣や震え以外にも、低血糖になるとぐったりとして元気がない場合や、意識を失っていたり、下半身が動かなかったりするケースがあります。
食事量が少なくなると低血糖になる可能性も高くなるので、食欲がちゃんとあるか確認してあげてください。
脳障害
急な震えや嘔吐、部分的な麻痺で体を動かせない場合や、同じ場所をぐるぐると回る旋回行動が伴う震えもあります。
これらの症状が見られる場合は、『てんかん』『脳腫瘍』『水頭症』といった、次のような脳障害の可能性があります。
てんかん
猫のてんかんには、脳の病気や外傷による脳の損傷、感染症による脳障害などの要因によって起こる症候性てんかんと、原因不明の特発性てんかんとの2種類があります。
てんかんの症状は、痙攣による震えのみならず、手足の突っ張りや全身に及ぶ硬直もあります。
一般的に30秒~1分程度で落ち着くケースが多いですが、5分以上長引く場合は危険です。
脳に原因があることで、てんかんは繰り返す可能性が高く、重要なのは病気の解明と適切な治療と処置にあり、愛猫に触れたり動かしたりしないように注意してください。
脳腫瘍
猫の脳腫瘍は中高年に発症することが多く、良性と悪性があり、他の臓器の悪性腫瘍から脳への転移よって発症するケースもあります。
脳腫瘍はCTやMRIによる精密検査によって判断でき、治療には外科手術による切除や、放射線治療や薬物療法が必要となり、再発を防止することが大切です。
症状として最も多いのは痙攣による震えで、焦点が定まらない場合や視力の低下、斜視や眼振といった目の異常のほか、歩行が困難になることや認知機能に障害が生じる場合もあります。
水頭症
水頭症(すいとうしょう)とは、脳と脊髄を循環している脳脊髄液が何らかの理由によって貯留し、脳が圧迫されることによって障害が引き起こされる症状のことをいいます。
品種ではシャム猫が発症する確率が高く、先天性の水頭症は生後3か月~6か月程度の子猫のうちに症状が現れやすいと言われており、人間も発症しうる身近な病気です。
主な症状は痙攣による震えや、食欲不振、寝たきりといった状態で、軽度の場合は内科治療によって脳圧を下げることで症状を緩和することができます。
内臓疾患
猫は内臓疾患によっても震える場合があり、主にかかりやすい病気は、『腎不全』と『肝不全』などがあります。
腎不全
腎不全(じんふぜん)は老齢期での発症が多く、体内で不要になった老廃物や毒素を尿として排泄したり、血圧や血液の成分を調節する腎臓が機能しなくなる死亡率の高い病気です。
毒素が体内に溜まる尿毒症によって体が震える場合があり、尿毒症は腎不全以外にも猫がかかりやすい膀胱炎や尿道結石で、おしっこが出ない場合に引き起こるケースがあります。
腎不全には急性と慢性がありますが、いずれも早期発見による適切な処置が重要。
飼い主さんが気づくタイミングは、多飲多尿や食欲不振のほか、口臭や口内炎などの症状が多いです。
肝不全
肝不全(かんふぜん)とは、肝臓に支障をきたす疾患によって、腸管から吸収した栄養の貯蔵やエネルギー源への変換、老廃物や毒物の分解などを行う肝機能に障害が生じる状態です。
肥満の猫がかかりやすい肝リピドーシス(脂肪肝)や肝不全では、体内の毒素が原因で痙攣によって震える場合があり、食欲や体重の減少や、嘔吐や下痢、黄疸などの症状があります。
肝不全は血液検査で判断することができ、早急であれば、抗生物質や肝機能改善薬の投与や栄養補給、食事療法などによって改善することが可能です。
椎間板ヘルニア
椎間板ヘルニアとは、背骨の椎骨同士の間でクッションの役割をしている軟骨の椎間板が変形して正常な位置から飛び出し、脊髄神経を圧迫している状態のことをいいます。
猫は犬よりも椎間板ヘルニアになりにくいとはいえ、高所からの転落などのトラブルや肥満気味の子に多く見られます。
また、胴長短足のマンチカンは背骨に負担がかかりやすいため、特に注意が必要です。
後ろ足に痺れや痛みが生じて震えや動かなくなる症状があり、悪化すると排泄に支障をきたします。
軽度なら2週間程度の安静で改善し、重度になると手術やレーザー治療が必要です。
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愛猫の震えが危険なものか判断する方法
愛猫の震えが危険なものかどうか判断する方法には、次の2つのポイントがあります。
いずれにしても心配な場合は下手に様子見をせず、早めに動物病院に行くほうが良いでしょう。
寒さやストレスからくる一時的なものであれば様子見
寒さやストレスによって猫が生理的に震える場合は一時的なものと考えられるため、原因を解消して様子見しましょう。
猫にとっては、飼い主さんが動揺せずに冷静に対処することも大切な心構えです。刺激を与えず、静かな環境で穏やかに見守ってあげてください。
寒さは環境依存なので、室温に問題がないかをチェックします。ストレスは原因特定が難しいものの、直近で変化がなかったか確認してみるところから始めてみましょう。
また、重要なのは放置することではなく、しっかりと観察することです。
体調が急変した場合や、改善が見られずに不安要素がある場合には、動物病院へ連れて行ってあげましょう。
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繰り返し見られたり、併発している症状が見られるなら動物病院へ
震えを繰り返す場合や、意識がはっきりしておらずフラフラしたりぐったりしたりしているなど、他の症状を併発していたら速やかに動物病院で診察してもらってください。
ケガや病気の多くは、早期発見と早期治療が大切です。震え方のほか、併発している症状についても具体的に説明して、適切に処置してもらいましょう。
筋肉の低下などの加齢による症状でも、獣医師に相談することで飼育方法の見直すヒントに繋がります。
飼い主さん自身の安心感のためにも、信頼できる獣医師へ打ち明けるのが最良です。
震えているときにはその状態・時間を記録する(動画など)
動物病院を受診する際は愛猫の症状が詳しく確認できるよう、震えている状態を動画に記録しておくことで、診断がスムーズにできます。
動画撮影ができない場合は、メモによって、いつ、どの部分がどのくらいの時間震えるのか、他の症状についてもできるだけ鮮明に記録しておくことがおすすめです。
震えているときの環境(室温や震えている場所)についてもメモしておくと、スムーズでより確度の高い治療に繋がります。
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