一般的に“検査”とはそれぞれの項目の基準を元に異常がないか、適切かどうか調べるために行われます。
特に動物病院でペットに対して行われる検査は臨床検査と呼ばれ、健康診断、病気の診断を行います。
それだけでなく治療方法を選んだり、その治療の効果を判定したりと実にさまざまな目的で行われます。
今回は動物病院で日々行われている検査を、特に猫にフォーカスしてお話しします。
この記事の結論
- 猫の主な検査内容は、触診・血液検査・画像検査・尿や便の検査
- おしっこは身体全体の病気診断に役立つため、尿検査は特に重要
- 猫がストレスを抱えた状態で検査をすると、結果に影響することもある
- 愛猫の健康のために、日頃から体重の増減や尿の状態を確認することが大切
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目次
猫の検査の種類
一口に“検査”といっても多種多様。そのときの症状や必要性によって、どんな検査をするのか変わってきます。
見られる症状に応じて適切な検査が行われるので、実際には動物病院を訪れてからすべき検査が変わるのです。
ここではよく行われている代表的な検査について解説します。
身体検査
体重や体温測定、視診、触診、聴診など体の外からわかる異常がないか、調べる基本の検査です。
視診では見た目を中心とした検査になるため、皮膚や被毛、目や耳、口などを検査していきます。
血液検査
血球検査、生化学検査、ホルモン検査など血液中の成分を測定・分析し、総合的にどの器官が異常を起こしているかを調べます。
赤血球や白血球といった血液を構成する成分の検査に加えて、内臓に異常がないか、調べられます。
画像検査
画像検査とは外から診ただけではわからない体の内部の様子を画像化し、異常がないか調べる検査です。
画像検査にはさまざまな種類がありますが、一般的によく行われるのはレントゲン検査と超音波検査になります。
レントゲン検査はX線(放射線)を使った検査で動物の全身状態を知るためにとても役立ち、胸部や腹部、手足を撮影することで各種臓器の大きさや形の異常、骨折、結石の有無などを調べます。
一方で、超音波検査は超音波を発生させる装置を使って身体の内部を観察する検査で、超音波の反響が画像化され、身体の断面がモニターに映し出されます。
特に臓器の内部構造や血液の流れる様子を調べることに長けた検査です。
尿検査
尿検査は尿中のさまざまな成分を検出することで、全身や各臓器の異常を調べる検査です。
特に腎臓や尿管、膀胱、尿道など泌尿器の病気の診断に欠かせない検査で、血液検査と一緒に行うことで総合的に体の状態を判断します。
猫は水分不足になりがちなため、下部尿路疾患になりやすく、定期的な検査と日常からのケアが重要です。
糞便検査
糞便検査は便の色・ニオイ・形から内臓機能を確認するだけでなく、糞便中に寄生虫や病原菌がいないかどうかや、腸内細菌のバランスなど異常がないかを調べます。
検査時には糞便をマナー袋等で簡単に採取できますが、尿についてはかかりつけの動物病院に相談してみるのがよいでしょう。
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猫特有でもある検査ストレスの影響
“犬は人につき、猫は家につく”という言い習わしにもあるように、猫は家から出るととても緊張してしまう動物。
特に動物病院では過去に嫌なことをされた記憶から強くストレスを感じてしまう子が多く、そんな状態で検査をすると結果も少し変わってくることもしばしばです。
代表的な例では、猫は緊張や興奮からストレスを感じると生理的に心拍数や血圧が上昇しやすいので、病気による異常なのか、病院でのストレスによるものなのか判断が難しくなります。
その他にもストレスから一時的に血糖値が上がったり、おしっこに糖分が出てくることもあります。
性格やストレスの感じやすさによって、検査結果の考え方が違ってくることがあるので注意が必要です。
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猫では必須の尿検査
動物病院での検査と言えばまずは血液検査をイメージされる飼い主さんも多いかと思いますが、猫の場合は特に尿検査も重要な検査であることをご存知でしょうか?
尿検査は血液検査と比べるとどこか脇役的な印象があり、その大切さがあまり飼い主さんに知られていませんが、猫では特に気をつけたい検査なのです。
おしっこは腎臓で血液をろ過して老廃物として作られるものなので、おしっこの状態は腎臓などの泌尿器だけでなく、肝臓などそのほかの臓器や、体全体の状態をそのまま表している、とも言えるでしょう。
尿検査で検査できる項目は様々ありますが、大きく分けると以下の3つになります。
尿比重
尿比重とは水の比重を“1”とした時に、水と比べておしっこがどれくらい濃いか数値で表したもので、主に腎臓のろ過・吸収機能の指標となります。
腎臓病の猫の場合、おしっこに対して老廃物の割合が減ってきます。
正常な猫であれば尿比重は1.035より高い数値になるため、反対に数値が低いと腎臓病の疑いがあります。
化学的性状
尿蛋白、尿糖、pH、ビリルビン、潜血、亜硝酸塩などの化学的性状を調べたもので、泌尿器疾患だけでなく様々な病気に関わってきます。
尿試験紙に尿をかけるだけ、といった手軽な検査になっており、尿試験紙検査とも言います。
顕微鏡検査
おしっこの中に結石や結晶、細菌、腫瘍細胞などが出てきていないか顕微鏡で調べ、尿石症や細菌感染、腫瘍性疾患など幅広い病気の診断に役立ちます。
特に気をつけてあげたい点として、例えば高齢猫に多い慢性腎臓病。
病気がある程度進行して初めて血液検査に異常が表れますが、おしっこの濃さである尿比重の低下がそれよりも早く見られることも多いです。
つまり血液検査で異常がわかるよりも早く、尿での異常が見られるということなので、猫では特に大切な検査というわけです。
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おうちでできる愛猫の検査ポイント
動物病院での検査とまではいかなくとも、おうちでチェックできることもあります。
では日々の生活の中でどういったところをよく見ればよいのでしょうか?
体重
猫はケガや病気を隠す動物だと言われていますが、特に症状が見られず健康なフリをしていても“体重”は誤魔化せません。
体重の変化は健康のバロメータと言われるように、体の状態を正直に教えてくれます。
与えているフードの量は変わらないのに体重が減っていれば、脱水や食べているように見えても量が少なかったり、どこかで隠れて吐いているなど体調不良が隠れている可能性も考えられます。
毎日でなくとも定期的に体重を量っておき、体重の増減がないかチェックしてみましょう。
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おしっこ
特に泌尿器疾患が多い猫ではおしっこも重要なサインです。
いつもより量が多く色が薄ければ、慢性腎臓病や糖尿病といったいわゆる“多飲多尿”を示す病気、異常に黄色が濃ければ肝障害、血尿であれば腎臓や膀胱など泌尿器からの出血、おしっこからだけでもさまざまなことが疑われます。
このようにおうちでの日々のチェックだけでも気付けることもたくさんあります。
体重であればお家で簡単に量ることができますし、毎日のトイレ掃除でもよく観察をしておきましょう。
体重が減ったりおしっこに違和感を感じたら、動物病院の受診を考えてあげてください。
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この記事の執筆者・監修者
獣医師/潜水士/株式会社Ani-vet代表取締役/犬猫生活財団評議員
獣医学生時代に保護猫を迎えたことから猫にどハマりして、今では3頭の元保護猫と暮らしています。
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