人間にはなかなか見られない寄生虫ですが、犬や猫の場合は注意が必要なポイントのひとつです。
そんな寄生虫にもさまざまな種類があり、寄生虫の種類によって対応方法が異なってきます。
基本的には完全室内飼いとなる猫ですが、室内であっても寄生虫のリスクは存在しています。
犬や猫にとっては当たり前に警戒すべき寄生虫について、この記事では詳しくまとめました。
この記事の結論
- 寄生虫とは、他の生物の体の表面や体内に棲みつき、栄養素を奪うなどして生活する生物のこと
- 寄生虫には外部(体の表面)に棲みつくものと、内部(体の内側)に棲みつくものがいる
- 代表的な外部寄生虫はノミやダニで、痒みや皮膚炎を引き起こすことがある
- 代表的な内部寄生虫は回虫・条虫・原虫などで、検査をしないと気付けない
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目次
猫には見えない寄生虫もつく
寄生虫とは、「他の生物の体の表面や体内に棲みつき、栄養素を奪うなどして生活する生物」のこと。
文字通り虫のものもあれば顕微鏡でしか見ることのできない微生物までさまざまです。
現代の日本での生活でこの“寄生虫”を目にすることはあまり多くありませんが、犬や猫にとってはまだまだ身近な存在。
肉眼で見えるものばかりではないため、気付いたときには病気が進行しているようなこともあり、早期発見と治療が大切です。
今回はそんな寄生虫の中でも猫でよく見られるものについてお話しします。
猫の寄生虫の種類
一言に“寄生虫”といってもその中身はさまざま。ざっくりと寄生する場所によって2つに分けられます。
外部寄生虫
皮膚や毛の中などの体の表面に棲みつく寄生虫で、寄生されると痒みの症状が見られることが多いです。
吸血された際に、寄生虫の唾液に対してアレルギー反応が起きたりすることも。
さらに、寄生虫が媒介する病原体が原因となり別の感染症を引き起こす、重度に寄生されると貧血を起こすなど怖い一面もあります。
寄生虫と言えば体の内側に棲みつくイメージがあるかもしれませんが、体の外側についている寄生虫も存在します。
内部寄生虫
腸管など体の内側に棲みつく寄生虫で、寄生されると下痢や嘔吐などの消化器症状や食欲不振、痩せるなどの症状が見られることがあります。
一般的には経口感染(口から取り込む)が多いですが、母猫の胎盤を通して子猫に感染することもあり、その種類や寄生部位も多岐に渡ります。
また子猫での感染の場合、寄生虫の種類や量によっては重症化し、命に関わることもあるので注意が必要です。
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猫の外部寄生虫の種類
体の表面に寄生するのでパッと見てすぐにわかる外部寄生虫。
では、猫によく見られる外部寄生虫にはどのようなものがあるのでしょうか?
実際の診療でよく遭遇する代表的な寄生虫をご紹介します。
ノミ
寄生虫といえば真っ先に思い浮かぶノミ、中でも猫で見ることが多いのはネコノミと呼ばれる種類です。
外に出る猫は寄生されていることがとても多く、非常に繁殖力が強いので一匹ずつ取り除いていては駆除しきれません。
また、飼い主さんや犬にも取りつくことがあるので、愛猫が外に出るのであれば注意しましょう。
ノミに噛まれると痒みの症状が見られることが一般的ですが、ノミの唾液が体内に侵入し、アレルギー反応が起こると激しい痒みや皮膚炎など全身的なアレルギー症状を起こすこともあります。
さらに、大量のノミに寄生されていると血を吸われ過ぎて貧血に陥ることもある、意外と怖い寄生虫です。
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ダニ
もうひとつの代表的な外部寄生虫にダニがあります。
ダニはノミと比べると遭遇する機会は多くはないですが、ノミと同じように痒みや皮膚炎などを起こします。
また、それだけではなくダニは様々な病原体を媒介することが知られており、中には人獣共通感染症として人に感染するものもあります。
そういった病気のひとつに重症熱性血小板減少症候群(SFTS)があり、命に関わることがある怖い病気として近年注意喚起がなされています。
ダニがもたらす健康被害は、もはや猫だけの問題ではなく、私たち飼い主もしっかりと注意しなければなりません。
猫の内部寄生虫の種類
見た目にすぐわかる外部寄生虫と違い、お腹の中は簡単に気付けないもの。
猫で見ることが多い内部寄生虫についてご紹介します。
回虫
回虫(かいちゅう)とは線虫の一種で実際の診療で最も遭遇率が高く、5cm~10cmぐらいの細長い形状をした寄生虫です。
主に小腸に寄生するので、感染したときの症状としては下痢や嘔吐などの消化器症状、食欲不振、発育不良などが見られます。
虫そのものが便に混じって出てくるのを発見されることもありますが、動物病院では便の中の卵を顕微鏡で確認する検査を行います。
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条虫
条虫(じょうちゅう)は別名サナダムシとも呼ばれ、米粒のような大きさでお尻周りについているのを発見されることが多いです。
主には小腸に寄生し、こちらも便の中の卵を顕微鏡で確認します。
命に関わる重篤な症状は示しませんが、下痢や嘔吐を引き起こしたり、お尻周りに痒みを感じることがあります。
原虫
原虫(げんちゅう)は上記2種類の寄生虫よりも小さく、肉眼では見ることができないサイズで主に小腸の細胞内に寄生します。
原虫とは総称でコクシジウム、ジアルジア、トリコモナスなど様々な種類のものがあり、どれも顕微鏡でないと確認ができない大きさです。
便がゆるくなりがちだったり、下痢を繰り返してしまう子では感染が隠れているかもしれないので動物病院で糞便検査を行いましょう。
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室内猫でも寄生虫には要注意
普段、外に出ない猫なのに便に虫が混じっていたり、お尻にうねうねした虫がついていたり、完全室内飼育の猫でもお腹の寄生虫が隠れていることがあります。
「寄生虫がつくような場所には行っていないはずなのに…」と思うでしょう。
その答えは“過去”にあります。
子猫の頃から完全に室内飼育であったり、外に出る猫と接触がなければ寄生虫がいることは少ないです。
しかし、保護猫出身であったり、何かしら外の世界と繋がりがあった子だと、潜在的に寄生虫が隠れていることがあります。
過去に思い当たる節があったり、お腹の調子が悪いことが多いのであれば、動物病院で一度便検査をしてあげましょう。
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愛猫に寄生虫を見つけた場合の対応と治療法
実際に飼い主さんが愛猫に寄生虫がいるのを発見した場合、どうすればいいのでしょうか。
まずは落ち着いて、寄生虫の種類や形を覚えて動物病院に相談しましょう。
スマホのカメラを使って写真を撮っておくと、より正確に伝えることができます。
寄生虫の治療法
寄生虫の種類によって使う薬が変わってくることもありますが、基本的にはオールインワンで駆虫することが多いです。
様々な寄生虫に対応できるスポットタイプや、スプレータイプの外用薬を使用します。
多頭飼いは要注意
おうちに複数の愛猫がいる場合、猫同士で感染している可能性が高いです。
みんな一斉に駆虫してあげないと、感染が残る原因にもなりかねません。
どのような薬を使うのか、その方法についてはかかりつけの先生とよく相談しましょう。
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まとめ
最後に、ペットショップなどで売られている、いわゆる虫除けスプレーでは、完全に駆除しきることは難しいです。
市販品は誰でも手軽に使えて体に大きな影響を与えないように作られているため、必要な効果や駆除は期待しづらいです。
適切な治療法でなければ悪化させてしまう可能性もあるため、まずは動物病院で相談することが大切。
必ず動物病院で、動物用医薬品を処方してもらうようにしてくださいね。
この記事の執筆者・監修者
獣医師/潜水士/株式会社Ani-vet代表取締役/犬猫生活財団評議員
獣医学生時代に保護猫を迎えたことから猫にどハマりして、今では3頭の元保護猫と暮らしています。
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