猫は人間のように一度に何時間も眠るわけではなく、深い眠りと浅い眠りを短時間に繰り返しながら睡眠をとります。
猫にとって睡眠は本能にも関わる重要なライフサイクルのひとつです。
一般的には1日の2/3を寝て過ごすと言われていますが、実際にはどれくらい眠っているのでしょう。
また、どうしてそんなにも沢山眠る必要があるのでしょうか。
ここでは人間とは違う睡眠サイクルをとる猫の睡眠や、その理由について解説していきましょう。
この記事の結論
- 猫は年齢により平均睡眠時間が異なるものの、1日の半分以上は寝ていることが多い
- 睡眠時間が長いのは肉食動物の本能であり、レム睡眠とノンレム睡眠を断続的に繰り返している
- 眠っている時の寝姿でリラックスしているのか警戒しているのかがわかる
- 複数のお気に入りの場所に寝床を用意することで安心させることができる
ライター/愛玩動物飼養管理士/トリマー/グルーマー/ベテリナリーテクニシャンズ
地元の動物園や水族館に観察しに行ったり、遠方の生物イベントまで足を運んだりしています。
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目次
猫の睡眠時間はライフステージによって異なる
猫の睡眠時間は年齢によって違うものの、基本的に人間の倍程度は眠っているものです。
離乳期や幼猫期のように成長期の頃は、成長ホルモンが分泌がされるために睡眠時間が長くなりがち。
成猫になると身体が安定するので行動が活発になり、離乳期や幼猫期よりも自然と睡眠時間が短くなります。
逆に高齢期に入ると今度は身体能力や神経が衰えるために、人間と同じように体力を温存する必要が出てくるでしょう。
そのため活動時間が短くなり、再び睡眠時間が長くなる傾向があります。
子猫・シニア猫の平均睡眠時間は18時間~20時間
子猫は1日の大半を寝て過ごします。
特に生後10日までは眠りが浅いレム睡眠が占める割合はほぼ100%で、ノンレム睡眠と切り替わる時に見られる睡眠相が見られません。
体の成長とともに脳も発達し、少しずつ成猫のような睡眠サイクルが構築されると考えられています。
また、シニア猫も子猫同様に睡眠時間は長めになるでしょう。
しかし、眠りが深いノンレム睡眠が長く、眠りが浅いレム睡眠が短い傾向があります。
子猫も老猫も平均睡眠時間が18時間~20時間と同じくらいですが、睡眠の質が違うでしょう。
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成猫の平均睡眠時間は14時間~16時間
成猫の平均睡眠時間は、子猫やシニア猫よりも短いでしょう。
レム睡眠は全睡眠時間の約25%と言われており、ノンレム睡眠の方が長い傾向があります。
ただし短い睡眠を繰り返しており、人間のように何時間も眠り続けているわけではありません。
断続的な睡眠を繰り返すのは、異常事態や危険を察知するために常に警戒心を怠っていない表れになります。
飼い猫は自然界のような危険が少ないです。飼い主の生活に合わせて睡眠サイクルを変化させることもあるでしょう。
猫の睡眠時間が長い理由
猫の睡眠時間が長いのは、狩りの時間に備えていると言われています。
ライオンやトラのような大型ネコ科にも見られる行動で、ネコ科全般で睡眠時間は長いでしょう。
とくにお腹いっぱいの時はノンレム睡眠時間が伸びたという研究結果もあります。
しかし動物全般で見ると猫よりも寝て過ごす動物も多く見られ、一概に猫の睡眠時間が長いというわけでもありません。
余計なエネルギーを使わないようにするのは、厳しい自然界で生きのびるための知恵なのでしょう。
肉食動物の本能でエネルギーを蓄えるため
肉食動物は狩りをするために十分なエネルギーが必要になります。
その代わり、狩りに成功すると高カロリーな肉を食べられるので、十分なエネルギーが摂取できるのです。
猫は完全に肉食ですので、動物性タンパク質を中心としたカロリーが必要な動物。
食事の後は消化による消耗を減らすために睡眠を取りながら消化を促し、エネルギーの減少を抑えます。
次の狩りや縄張り争いが起こった時のために、エネルギーを常に蓄える野生の本能が残っているのでしょう。
レム睡眠(浅い眠り)の時間が多い
1日のほとんどを睡眠に費やす猫ですが、深い眠りのノンレム睡眠の時間は短いです。
眠っているように見えても耳を動かしたり、異変を感じるとパッと起きるのは眠りが浅いためだと言われています。
また、猫のレム睡眠時の覚醒は、ノンレム睡眠時よりも約300倍目覚めやすいという研究結果もあります。
これは外敵などに狙われた時にすぐ対応できるよう、常に周囲に気を配っているからです。
時々寝ぼけたような行動を取ったり寝言を言ったりするのは、睡眠が浅い証拠でしょう。
体調不良で長時間寝ている可能性も
猫はよく眠る動物ですが、怪我をしたり体調が悪い時もうずくまって隠そうとする動物でもあります。
いつもみたいに長時間眠っていると思ったら、実は体調が悪いということもあるかもしれません。
呼吸が早い、震えている、触ると痛そうにするなどの症状がある時は要注意。
食事の時間になっても起きてこなかったり、遊びに誘っても反応しないのも体調不良のサインだということがあります。
様子がおかしいと感じたら、早めに動物病院で診察してもらいましょう。
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猫の寝姿で安心度・警戒度がわかる
体が柔らかい猫はさまざまな寝姿で睡眠をとります。
丸くなっていたり、横になっていたり、仰向けになっていたり、時にはユニークな寝姿で寝ていることもあるでしょう。
猫の寝姿は愛らしく、見ているだけで幸せな気持ちになります。
しかし自由な姿で眠っているように見えても警戒している時もあれば、リラックスしている時もあります。
寝姿でどんな気持ちで過ごしているのかわかると、愛猫の気持ちも理解できるようになりますので、よく観察しましょう。
リラックスしている寝姿
猫の寝姿というと、丸くなっている姿がパッと思い浮かぶ人が多いのではないでしょうか。
しかし、実際はさまざまな姿で眠っています。
特に警戒心を解いている時はさまざまな寝相をしており、とても外敵に狙われてすぐ動けるとは思えないこともあります。
心を許している飼い主の傍やお気に入りの場所では、のびのびと寝ている姿が見られるでしょう。
どんな寝姿がリラックスしているのかを知ることで、猫の気持ちに近づくことができるようになります。
お腹を出して寝る
お腹を上に向けて寝る仰向けは、警戒心を解いています。
愛猫が飼い主の傍で寝ている時によく見られる寝姿ではないでしょうか。
撫でても起きなかったり、嬉しそうにゴロゴロ喉を鳴らす子もいるでしょう。
この時は外敵に襲われることはないと考えており、睡眠を楽しんでいるとも言えます。
急所であるお腹を無防備にしている姿は、最大限にリラックスしていないと見ることができません。
安全な場所だと信用している証でしょう。
香箱座りで寝る
香箱座りは、前足と後ろ足をお腹に隠して眠っている姿のことを言います。
猫が寝ていると聞くと、香箱座りを想像する人も多いのではないでしょうか。
足をしまって丸いフォルムが愛らしい猫の象徴のような寝姿は、危険を察しても直ぐ動ける状態ではありません。
外敵に襲われることがない安心した環境で、まったりしている時に見られる寝姿になります。
警戒心を解いて安心している寝姿と言えるでしょう。
体を伸ばした状態で寝る
体を伸ばして眠っている姿は、その長さに驚かされることもあります。
人間が背伸びをして力を抜いたような寝姿は、リラックスしているからこそ見せる寝姿でしょう。
しかし夏場などの暑い時期は、体の熱を放出するために伸ばしていることがあります。
この時は、部屋の温度が高くて暑がっているサインでもあります。
室温を確認をして、猫が快適に過ごせるようにしましょう。
またお水も十分に用意して、愛猫が熱中症にならないように注意しましょう。
警戒している寝姿
1日の大半を寝て過ごす猫ですが、いつでもリラックスしているわけではありません。
周囲を警戒しながら、まどろんでいることもあります。
外敵を警戒している時は物音に敏感に反応したり、直ぐ動ける態勢で目を閉じているでしょう。
またうっかり手を出すと、猫をびっくりさせてしまうこともあります。
反射的に攻撃してしまう子もいますので、警戒している時は注意してなるべく見守るようにしましょう。
体を丸めて寝る
猫が体を丸めて眠っていても、リラックスしていないことがあります。
警戒して体を守ろうとしていたり、気温が低くて体の体温を逃さないように守ろうとする時も体を丸めます。
一見ではリラックスして丸くなっているのか警戒して丸くなっているのか判断しづらいかもしれません。
部屋の温度や警戒する要因がないか周囲を確認したり、普段から寝姿を観察するようにして、どちらなのか気をつけるようにしましょう。
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座った状態で寝る
猫が座ったまま目を閉じて座り寝をしていたり、船を漕いでいる様子を見ることがあります。
この時は周りを気にかけて直ぐ動けるような態勢で眠っており、警戒を怠っておりません。
眠りも浅い状態のため、物音にも敏感に反応します。急に近寄るとびっくりして逃げ出すこともあるでしょう。
どんなことを気にしているのか猫の様子を観察して不安な要素を取り除き、安心できる環境を整えてあげましょう。
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高所・閉所で寝る
猫は高いところや狭い場所を好む傾向がある動物です。
これは外敵から身を守るために、襲われにくい場所で眠るようになった野生の名残でしょう。
しかし室内で過ごす飼い猫は外敵に狙われることがありません。
クッションやお気に入りの毛布を置くことで、警戒心を解いて過ごすようになります。
この時にキャリーバッグも置いて慣らしておくと、病気の時の通院や災害時の避難の時にも役立ちます。
警戒心を解いて眠れる場所だと認識できるように工夫すると良いでしょう。
愛猫に快適な睡眠をしてもらうための環境作り
寝ている時間が長い猫にとって、リラックスして眠れる環境はとても重要です。
リラックスして眠ることは睡眠の質を高められ、肉体的にも精神的にも健康に過ごせるようになり、長生きにも繋がるでしょう。
警戒状態が続くような落ち着いて過ごせない環境では常に緊張している状態になってしまい、心身に悪い影響が出かねません。
愛猫が警戒することなくゆっくり眠れるように、寝る場所の環境を工夫して整えてあげましょう。
騒がしい場所に寝床を設置することは避ける
猫の耳はとてもよく聞こえます。人間の3倍の高い音が聞こえており、聴神経も1万倍多いことが研究で判明しています。
人間が気にならないような小さな音でも反応して、警戒してしまうでしょう。
そのために、人の出入りが激しい場所や騒がしい場所は警戒心を刺激してしまい、ゆっくり眠ることができません。
落ち着いて眠れない状況ではストレスがたまったり、過剰に攻撃的になることもあります。
物音が少なく、静かで落ち着けるところに猫ベッドを用意してあげましょう。
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寝床は愛猫の好みの場所に設置
猫は自由に行動することを好み、寝る時も自分で落ち着ける場所を探す傾向があります。
飼い主が場所を決めるよりも自分で選んだ場所に寝床を設置してあげる方が喜ぶでしょう。
また、気温や時間に合わせて快適な場所に移動して眠り始めますので、寝床はひとつに限定せずに複数設置するようにしましょう。
特に日の当たる場所は日向ぼっこにも最適で、猫の健康にも繋がります。
よく日向ぼっこする場所には、必ずひとつは寝床を用意しましょう。
ベッドは体に負担がかからないものを選ぶ
猫は体が柔らかくしなやかな動物のため、骨格は犬よりも細い動物です。
ベッドやクッションはクッション性が高く体に負担がかからない物を選ぶようにしましょう。
また広々としたベッドよりも体がスッポリおさまるような閉塞感がある寝床を好む傾向があります。
愛猫の体のサイズに合わせてベッドを選ぶと良いでしょう。
また洗濯できる寝床を用意して清潔に保つことで、不衛生が原因の病気の予防にもなります。
猫の体に負担にならないように複数用意して、快適に過ごせるように整えてあげましょう。
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愛猫が夜の運動会を始める理由と寝かせる方法
愛猫が夜中になると運動会を始める経験をされた方は多いのではないでしょうか。
猫は夜行性と言われますが、実際は明け方と夕方がもっとも活発になる薄明薄暮性です。
そのために、夜中から明け方が一番元気に走り回るでしょう。
しかし、明け方に騒がれると同居している人間の睡眠妨害になってしまい、困ることもあります。
遊びに夢中になっている猫に踏まれたり、爪で引っかかれたりすることもあるでしょう。
集合住宅住まいだと、ご近所への騒音にもなりかねません。
寝る前に運動させて、朝まで愛猫も一緒に眠れるような対策を考えてあげましょう。
昼間にたっぷり運動させる
猫は明け方と夕方がもっとも活動的になりますが、お昼は全く活動しないわけではありません。
お昼におもちゃで沢山遊んであげて、有り余るパワーを発散させることで夜中も寝るようになるでしょう。
また飼い主のライフスタイルに合わせる器用さも持ち合わせています。
遊ぶ時間を決めて習慣づけると、愛猫にも生活サイクルができますので効果的になるでしょう。
毎日遊ぶことで肥満予防にもなり、ストレス発散にもなります。
しっかり遊んで、朝まで一緒にぐっすり眠れるようにしてあげましょう。
キャットタワーを設置する
猫は犬と違って走り回るだけでなく、アスレチックな上下運動も楽しみます。
キャットタワーや棚を利用して遊べるようにすると、ひとりで昇り降りしながら運動するでしょう。
キャットタワーにおもちゃをぶら下げてあげるのも効果的です。
ただし、幼猫期や老齢期は高さのあるキャットタワーだと落ちて怪我をするかもしれません。
年齢にマッチしたキャットタワーを用意して、安全にパワーを発散できるようにしましょう。
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単独で遊べるおもちゃを用意する
猫のおもちゃは壁にくっつけて遊ぶものや、電動で遊べるものもあるため、猫単独で遊べるおもちゃが多くあります。
特に狩りの欲求を満たせるような追いかけるタイプや、カラカラ音が鳴るおもちゃは愛猫の本能を刺激するでしょう。
おやつやカリカリを入れて自分で取る知育系のおもちゃも猫の好奇心を刺激します。
仕事などでお留守番させる時間帯に、安全に遊べる場所に設置してあげると喜ぶでしょう。
また複数のおもちゃを用意しておくと猫が気分でおもちゃも選べるので、飽きさせずに遊ばせることができます。
愛猫が単独でも退屈しないように工夫しましょう。
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まとめ
猫は一日の大半を寝て過ごしますが、レム睡眠とノンレム睡眠を断続的に繰り返しています。
寝姿でリラックスしているのか警戒しているのかがわかります。いつもと様子が違う時は病気かもしれません。
早めに動物病院で診察を受けるようにしましょう。
複数の寝床を用意したりお気に入りの場所にベッドを設置することで、愛猫が快適に過ごせます。
その時の睡眠により温存されたパワーは、遊びで発散させることにより夜の運動会も減らすこともできるでしょう。
好奇心を刺激するおもちゃや猫用の知育系玩具で遊ばせることは、ストレス発散にもなります。
遊びで狩りの本能を満足させて、朝まで一緒に快適な睡眠をとりましょう。
この記事の執筆者
ライター/愛玩動物飼養管理士/トリマー/グルーマー/ベテリナリーテクニシャンズ
地元の動物園や水族館に観察しに行ったり、遠方の生物イベントまで足を運んだりしています。
現在は、保護猫と拾い猫の下僕。毎日布団の奪い合いをしています。
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