犬の病気・健康

犬のてんかん発作が起きたらどうする?症状・原因・治療・ケアを徹底解説

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犬

突然、愛犬が倒れ込み、体を震わせ、意識を失う……。そんな恐ろしい光景に直面したら、多くの飼い主さんはパニックになってしまうでしょう。この「突然の発作」は、もしかしたらてんかんかもしれません。

てんかんは犬にとって一般的な神経疾患の一つですが、適切な知識と対処法を知っていれば、愛犬が発作を起こしても冷静に対応し、生活の質を維持することができます。

この記事では、てんかん発作のサインから原因、発作中の適切な対応、診断方法、治療、そして飼い主さんができる日々のケアまで、てんかんを持つ愛犬と飼い主が安心して暮らすための情報を網羅的に解説します。愛犬のてんかんと向き合い、共に支え合うための第一歩を踏み出しましょう。

この記事の結論

  • 犬のてんかんは脳の異常興奮で発作を繰り返し、全身性や焦点性など種類がある
  • てんかんの原因は特定できない特発性と、脳疾患や代謝異常による症候性がある
  • 発作時は安全確保を最優先し、時間や症状を正確に記録することが重要
  • 治療は投薬が基本であり、副作用に注意しつつ獣医との連携が不可欠

nademo編集部

担当執筆者

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犬の「てんかん」とは?基礎知識と発作の種類

犬

突然、愛犬が倒れ痙攣する姿は、飼い主さんにとって衝撃的で、どうすればよいか分からずパニックに陥ってしまうかもしれません。このような症状は、犬のてんかん発作である可能性があります。

てんかんは犬において比較的よく見られる神経疾患の一つであり、適切な知識を持つことで冷静に対応し、愛犬の生活の質を保つことができます。

ここでは、てんかんとは具体的にどのような病気なのか、その定義と脳内で何が起こっているのか、そして発作にはどのような種類があるのかについて詳しく解説します。

てんかんの定義と脳のメカニズム

てんかんとは、脳の神経細胞が異常かつ過剰に興奮することで、一時的に脳機能が障害され、さまざまな発作症状を繰り返して引き起こす病気です。一度や二度の一過性の発作であればてんかんとは診断されず、反復して発作が起こる場合に「てんかん」と診断されます

犬の脳内では、約1000億個もの神経細胞が互いに電気信号をやり取りすることで、思考や運動、感覚などあらゆる生命活動を司っています。この電気信号のバランスが何らかの原因で崩れ、一部の神経細胞が「ショート」した状態になることで、全身あるいは体の一部に異常な動きや意識障害が生じるのがてんかん発作のメカニズムです。

発作は短時間で治まることがほとんどですが、脳への負担は大きく、繰り返すことで脳にダメージを与える可能性もあります。

てんかん発作の種類と症状

てんかん発作は、その症状の現れ方によって大きく2つの種類に分けられます。

それぞれ特徴的な症状を示すため、愛犬が発作を起こした際に冷静に観察し、獣医師に正確に伝えることが診断の助けとなります。

全身性発作(大発作:強直間代発作など)

全身性発作は、犬のてんかん発作の中で最もよく見られ、飼い主さんが目にする機会が多い発作です。

特に「強直間代発作」と呼ばれるものが代表的で、まるで感電したかのように体が硬直し(強直)、その後手足をバタつかせて痙攣する(間代)のが特徴です。具体的な症状は以下の通りです。

  • 意識の消失:呼びかけに反応せず、目が開いていても焦点が合わない。
  • 体の硬直:全身の筋肉が硬く突っ張る。
  • 痙攣:手足が激しくバタつき、全身が震える。
  • 失禁・脱糞:意識がないため、尿や便を漏らしてしまうことがある。
  • 流涎(よだれ):口から泡状のよだれを大量に出す。
  • 舌を噛む:舌を噛んでしまい、出血することもある。

これらの症状は通常、数秒から数分で治まりますが、非常に長く感じるかもしれません。発作中は愛犬の安全を最優先し、見守ることが大切です。

焦点性発作(部分発作:顔面の痙攣、行動の変化など)

焦点性発作(部分発作)は、脳の一部分の神経細胞の異常興奮によって起こるため、全身ではなく、体の一部に症状が現れるのが特徴です。

症状が軽微であるため、飼い主さんが発作と気づきにくいこともあります。典型的な症状の例は次の通りです。

  • 顔面や体の一部がピクつく:片側の顔、まぶた、口元、あるいは手足の一部だけが痙攣する。
  • 無目的な行動:その場をグルグル回る、空気を噛む、一点を見つめる、特定の場所に顔を押し付けるなど。
  • 異常な感覚:幻覚を見ているかのように吠える、異常に落ち着きがなくなる、怯えるなどの行動変化。
  • 意識の混濁:完全に意識を失うわけではないが、ボーっとして呼びかけに反応しない、いつもと違う様子が見られる。

これらの発作は数秒で治まることもあれば、数分続くこともあります。些細な行動の変化であっても、繰り返し見られる場合は注意が必要です。

前兆(数分~数時間前)

てんかん発作は、突然起こるように見えますが、実は発作の前後で特有の症状が見られることがあります。

これらを「前兆(発作前駆期)」と「発作後症状(発作回復期)」と呼び、知っておくことで発作への心構えや、愛犬への適切なケアに繋がります。

  • 落ち着きがなくなる:普段よりもソワソワする、興奮する。
  • 飼い主に甘える:異常に甘えたり、後を追いかけたりする。
  • 隠れる:普段入らない場所に隠れたり、暗い場所に行きたがったりする。
  • 呼吸の変化:浅く速い呼吸をする。
  • いつもと違う行動:理由なく吠える、震えるなど。

発作後症状(数分~数時間、長いと1日以上続くことも)

  • 意識の混濁:ボーっとして、飼い主の呼びかけに反応しにくい。
  • 徘徊:意味もなく部屋を歩き回る。
  • 食欲・飲欲の変化:異常に喉が渇く、大量に水を飲む、空腹を訴える。
  • 排泄の失敗:トイレの失敗が増える。
  • 一時的な視力・聴力障害:壁にぶつかる、指示が聞き取れない様子。
  • ぐったりする:疲れて眠り続ける。

これらの症状は個体差が大きく、全く見られない犬もいます。しかし、愛犬のわずかな変化に気づくことが、てんかんと向き合う上で非常に重要です。

犬のてんかんの主な原因と診断方法

犬

愛犬がてんかん発作を起こす原因は、一つではありません。脳の構造的な問題から、他の病気の影響、さらには原因不明の場合まで多岐にわたります。

原因を特定することは、適切な治療方針を立てる上で非常に重要となります。

ここでは、犬のてんかんの主な原因と、獣医師がどのようにてんかんを診断していくのか、そのプロセスと必要な検査について解説します。

特発性てんかん(真性てんかん)とは

特発性てんかんは「真性てんかん」とも呼ばれ、脳に明らかな構造的異常や基礎疾患が見つからないにもかかわらず発作を繰り返すてんかんのことを指します。

簡単に言えば、「原因不明のてんかん」です。遺伝的な要因が強く関与していると考えられており、特定の犬種に多く発生する傾向があります。

発症は通常、生後6か月から6歳くらいまでの若い犬に多く見られます。診断は、他の原因(症候性てんかん)を全て除外した上で、「特発性てんかん」と判断されます。治療は、主に抗てんかん薬による発作の抑制が中心となります。

症候性てんかん(二次性てんかん)の主な原因

症候性てんかん(二次性てんかん)は、脳に何らかの病変がある場合や、全身の疾患が原因となって引き起こされるてんかんです。

こちらは原因が特定できるため、その原因となる病気を治療することで、てんかん発作が改善する可能性があります。

脳の病気(脳腫瘍、脳炎、水頭症など)

脳自体に構造的な異常がある場合、それが発作の原因となることがあります。これらは、てんかんの中でも重篤なケースに分類されます。

  • 脳腫瘍:脳の中に腫瘍ができることで、周囲の神経細胞を圧迫したり、異常な電気信号を発したりして発作を引き起こします。老犬に多く見られます。
  • 脳炎:感染症(ウイルス、細菌、真菌など)や免疫介在性の炎症により脳が障害され、発作が起こります。
  • 水頭症:脳室内に脳脊髄液が過剰に溜まることで、脳を圧迫し、発作を引き起こします。
  • 脳血管障害:脳梗塞や脳出血など、脳の血管に問題が生じることで発作が起こることがあります。

これらの病気が疑われる場合、MRIやCTなどの高度な画像診断が必要となります。

代謝性疾患(肝臓病、腎臓病、低血糖など)

脳自体に問題がなくても、全身の代謝に異常があることで、脳の機能に影響が及び発作を引き起こすことがあります。

  • 肝臓病:肝臓の機能が低下すると、体内で生成されたアンモニアなどの毒素が分解されず、脳に到達して神経症状(肝性脳症)として発作が現れることがあります。
  • 腎臓病:腎臓の機能が低下し、体内の老廃物が蓄積することで、脳機能に悪影響を及ぼし発作を引き起こすことがあります。
  • 低血糖:血糖値が異常に低下すると、脳へのエネルギー供給が不足し、意識障害や痙攣発作を引き起こします。

これらの代謝性疾患は、血液検査などの一般的な検査で発見されることが多いため、てんかん発作が起きた際には必ず検査を行う必要があります。

中毒や外傷によるもの

犬が何らかの有毒物質を摂取したり、頭部に強い衝撃を受けたりした場合も、てんかん発作のような症状を引き起こすことがあります。

  • 中毒:殺虫剤、農薬、人間の薬、チョコレート、キシリトールなど、犬にとって有毒な物質を誤って摂取することで、神経系が刺激され、発作を引き起こす可能性があります。
  • 頭部外傷:交通事故や高所からの落下など、頭部に強い物理的な衝撃を受けることで脳が損傷し、その結果として発作が起こることがあります。

これらの原因による発作は、原因物質の特定や外傷の評価が治療の鍵となります。

てんかんの診断プロセスと必要な検査

てんかんの診断は、発作の症状だけでなく、その原因を特定するために多角的なアプローチで行われます。飼い主さんの詳細な情報が診断に大きく役立ちます。

詳細な問診

  • 発作が初めてか、繰り返しているか、頻度はどうか。
  • 発作中の具体的な様子(全身か部分か、意識はあるか、痙攣の仕方、持続時間など)。
  • 発作の前兆や発作後の症状はあったか。
  • 発作を起こす時間帯や誘発する要因(興奮、睡眠中など)はあったか。
  • 過去の病歴、外傷、中毒の可能性。
  • ワクチン接種歴、旅行歴、犬種など。 飼い主さんが発作中の様子を動画で撮影しておくと、非常に重要な情報となります

身体検査・神経学的検査

全身の状態、意識レベル、歩行、姿勢、反射などを確認し、脳や神経系に異常がないかを確認します。

血液検査・尿検査

肝臓病、腎臓病、低血糖などの代謝性疾患や、感染症など、発作の原因となりうる全身性の病気がないかを確認します。

画像診断

MRIやCT検査:脳腫瘍、脳炎、水頭症など、脳の構造的な異常がないかを詳細に調べます。特に症候性てんかんが疑われる場合に必須となる検査です。

脳波検査(EEG)

脳の電気活動を測定し、異常な波形がないかを確認します。てんかん発作時の脳波は特徴的なパターンを示すことがあります。

これらの検査の結果、明らかな原因が見つかれば「症候性てんかん」、原因が見つからなければ「特発性てんかん」と診断されます。

診断には時間と費用がかかることもありますが、愛犬に最適な治療を行うためには非常に重要なステップです。

愛犬にてんかん発作が起きた時の飼い主の正しい対処法

犬

愛犬がてんかん発作を起こした際、その衝撃的な光景に冷静でいることは難しいかもしれません。しかし、発作中の適切な対応は、愛犬の安全を守り、その後の治療方針を決定する上で非常に重要です。

パニックにならず、冷静に状況を判断し、愛犬のために最善を尽くすための知識を身につけましょう。

ここでは、発作中に飼い主さんがすべきこと、避けるべきこと、そして獣医師に伝えるべき情報の記録方法について詳しく解説します。

発作中の安全確保と注意点

てんかん発作中に最も重要なのは、愛犬の安全を確保することです。発作によって愛犬が自分自身を傷つけたり、周囲のものにぶつかったりしないよう、細心の注意を払いましょう。

周囲の危険物を取り除く

発作中は意識がないため、テーブルの角、家具、階段、鋭利なものなど、ぶつかってケガをする可能性のあるものは速やかに遠ざけてください。

例:家具を移動させる、クッションで囲む、階段に近づかせない。

首輪を外す

首輪が気道を圧迫し、呼吸を妨げる可能性があるため、可能であれば外しましょう。

口の中に手を入れるのは厳禁

「舌を噛むのを防ぐ」などの目的で、発作中の犬の口の中に指や物を入れるのは絶対にやめてください。

強く噛まれて飼い主が大怪我をするだけでなく、愛犬の口内を傷つけたり、物を誤嚥させたりする危険があります。犬は発作中に舌を噛むことはほとんどありません。

無理に押さえつけない

発作中の犬を無理に押さえつけようとすると、犬がパニックになったり、骨折などの二次的な怪我を負う可能性があります。見守ることに徹しましょう。

声をかける

静かに優しく声をかけ続けることで、発作が治まった後に愛犬が落ち着きやすくなります。

発作時間の計測

発作が始まってから終わるまでの時間を正確に測りましょう。これは獣医師に伝えるべき非常に重要な情報です。タイマーやスマートフォンのストップウォッチ機能を使うと便利です。

発作中は愛犬にとって苦しい時間ですが、飼い主さんが冷静に対応することが、愛犬の命を守ることに繋がります。

発作の記録の重要性

てんかんの診断や治療においては、発作の詳細な記録が非常に重要な情報となります。

獣医師は、この記録に基づいて診断を下し、適切な薬の選択や投与量を決定するため、できるだけ具体的に記録を残すよう努めましょう。

記録すべき主な項目は以下の通りです。

  • 日付と時間:発作が始まった正確な日時と時刻。
  • 発作の持続時間:痙攣が始まってから完全に意識が戻るまでの時間。
  • 発作の種類と症状
    • 全身性か焦点性か。
    • 体のどの部分がどのように動いたか(例:前足だけ痙攣、全身が硬直した後にバタついた)。
    • 意識はあったか、失禁や脱糞はあったか、よだれはどうか。
    • 目の動き、呼吸の状態など。
  • 発作の前兆:発作が起きる前に、いつもと違う行動やサインはなかったか。
  • 発作後の症状:発作が治まった後、どのくらいの時間ぐったりしていたか、徘徊、多飲多尿、食欲の変化など、愛犬の様子を具体的に記録。
  • 発作の誘発要因:発作が起こる前に、何か変わったことがあったか(例:大きな音、興奮、特定の食事、薬の飲み忘れなど)。
  • 飲んでいる薬の種類と量:投薬中の場合は、どの薬をどれくらい飲ませていたか。

可能であれば、発作中の様子をスマートフォンなどで動画撮影しておくと、獣医師が視覚的に症状を確認でき、診断の助けになります。

ただし、愛犬の安全を確保することを最優先し、無理のない範囲で行いましょう。この記録は「てんかんダイアリー」として継続的に残しておくことをおすすめします。

発作後にすべきことと避けるべきこと

発作が治まった後も、愛犬は混乱していたり、疲れていたりすることがほとんどです。発作後のケアも、愛犬の回復と次への備えのために非常に重要です。

発作後にすべきこと

  • 静かで安全な場所に移動させる:愛犬を刺激しないよう、静かで落ち着ける場所に移動させてあげましょう。
  • 保温する:発作後は体温が下がりやすいことがあります。毛布などで優しく包んで体を温めてあげましょう。
  • 水分補給:発作で脱水していることがあるため、落ち着いてから少しずつ水を与えてあげましょう。無理に飲ませようとしないこと。
  • 安静にする:発作後は疲労困憊しているため、十分な休息を与えてください。無理に話しかけたり、遊んだりするのは避けましょう。
  • 獣医師に連絡する:初めての発作であったり、発作が頻繁に起こる、または5分以上続く場合は、すぐに獣医師に連絡し指示を仰ぎましょう。

発作後に避けるべきこと

  • すぐに食事を与える:発作後は誤嚥のリスクがあるため、完全に意識が戻り、落ち着くまでは食事を与えないでください。
  • 過度に刺激する:興奮させたり、騒がしい場所に連れて行ったりするのは避けましょう。
  • 体を揺さぶる、叱る:発作は犬の意思とは関係なく起こるため、決して叱ったり、体を揺さぶったりしないでください。

発作後の愛犬は、普段とは違う行動をとることがあります。飼い主さんが落ち着いて愛情を持って接することで、愛犬も安心して回復に向かうことができます。

犬のてんかんの治療法と薬との付き合い方

動物病院

てんかんと診断された犬にとって、適切な治療は発作の頻度や重症度を軽減し、生活の質を向上させるために不可欠です。

てんかん治療の目的は、発作を完全に止めることだけでなく、発作による脳へのダメージを最小限に抑え、副作用を管理しながら愛犬が快適に暮らせる状態を維持することにあります。

ここでは、てんかん治療の開始時期、主な抗てんかん薬の種類と副作用、正しい薬の飲ませ方、そして代替療法や補助的な治療について詳しく解説します。

てんかん治療の目的と開始時期

てんかん治療の主な目的は、発作の頻度を減らし、発作の重症度を軽減することです。

発作を完全にゼロにすることは難しい場合もありますが、薬によってコントロールすることで、愛犬が発作による苦痛や危険から守られ、より快適な日常生活を送れるようになります。

治療の開始時期は、獣医師が以下の要素を総合的に判断して決定します。

発作の頻度

  • 月に1回以上発作が起こる場合。
  • 発作が群発(24時間以内に2回以上)する、または重積状態(発作が5分以上続く、あるいは意識回復前に次の発作が起こる)になる場合。

発作の重症度

発作による意識障害が長く続く、激しい痙攣で体に大きな負担がかかっている場合。

犬の年齢と犬種

若い年齢で発症し、将来的に発作が重症化する可能性が高い犬種の場合。

飼い主の意向と生活環境

飼い主が治療に積極的に取り組む意思があるか、薬の投与を継続できる環境か。

全てのてんかん犬がすぐに薬物治療を開始するわけではありません。獣医師と十分に話し合い、愛犬にとって最適な治療開始時期を見極めることが重要です。

主な抗てんかん薬の種類と副作用

犬のてんかん治療には、主に抗てんかん薬が用いられます。これらの薬は脳の異常な電気活動を抑えることで発作を抑制します。

複数の種類の薬があり、愛犬の状態や発作の種類によって最適なものが選択されます。

薬の種類(一般名)特徴主な副作用
フェノバルビタール最も古くから使われる、安価で効果が高い。眠気、多飲多尿、多食、ふらつき、肝臓への負担。
臭化カリウム(KBr)フェノバルビタールと併用されることが多い。多飲多尿、多食、眠気、ふらつき、胃腸症状。
ゾニサミド新しいタイプの薬。副作用が比較的少ないとされる。眠気、食欲不振、ふらつき、嘔吐など。
レベチラセタム緊急時や他の薬が効きにくい場合に用いられることも。眠気、ふらつき、食欲不振など。
ガバペンチン疼痛管理にも用いられる。眠気、ふらつき。

抗てんかん薬は、発作を抑える効果がある一方で、さまざまな副作用を引き起こす可能性があります。特に肝臓への負担が大きいため、定期的な血液検査で肝機能の状態をモニタリングすることが不可欠です。

副作用の症状(元気がない、食欲不振、黄疸など)が見られた場合は、すぐに獣医師に相談してください。自己判断で薬の量を調整したり、投薬を中断したりすることは絶対にやめましょう。

薬の飲ませ方と注意点

抗てんかん薬は、効果を最大限に引き出し、副作用を最小限に抑えるために、正確な量を決まった時間に飲ませ続けることが非常に重要です。

正確な量を決まった時間に

獣医師から指示された量を、毎日同じ時間に飲ませることが鉄則です。薬の血中濃度を一定に保つことで、発作を効果的に抑制できます。

飲ませ方の工夫

  • フードに混ぜる(嫌がらない場合)。
  • 投薬補助おやつや、少量のおやつで包んで与える。
  • 口を開けさせて、喉の奥に入れる。
  • 液体状の薬の場合は、シリンジを使って口の横からゆっくり与える。
  • 無理強いすると薬嫌いになることがあるので、工夫して飲ませる。

絶対に自己判断で中断しない

発作が落ち着いたからといって、飼い主の判断で薬を中断したり、量を減らしたりするのは非常に危険です。

発作が再発したり、より重い発作を引き起こしたりする可能性があります。薬の増減は必ず獣医師の指示に従いましょう。

飲み忘れに注意

日々の投薬は忘れやすいため、リマインダーを設定したり、カレンダーにチェックを入れたりするなど、工夫して飲み忘れを防ぎましょう。

薬を正確に、継続して飲ませることは、てんかんを持つ愛犬の生活の質を維持するために最も大切なことです。

代替療法や補助的な治療について

抗てんかん薬による治療が基本となりますが、てんかんを持つ犬の生活の質をさらに向上させるために、代替療法や補助的な治療が検討されることもあります。

これらはあくまで補助的なものであり、薬物治療の代わりにはならないことを理解しておくことが重要です。

食事療法

  • ケトン食:脳のエネルギー源をブドウ糖からケトン体に切り替えることで、発作を抑制する効果が期待される特殊な食事療法です。ただし、獣医師の厳密な管理のもとで行う必要があります。
  • サプリメント:脳の健康をサポートするDHA/EPA(オメガ3脂肪酸)、MCTオイル、特定のビタミン(ビタミンEなど)などが検討されることがあります。

鍼治療

鍼を特定のツボに刺激することで、神経系のバランスを整え、発作の頻度や重症度を軽減する効果が期待されることがあります。

ハーブ療法・アロマセラピー

ストレス軽減やリラックス効果を目的として用いられることがありますが、使用する際には必ず獣医師と相談し、犬にとって安全なものを選びましょう。

環境エンリッチメント

ストレスの軽減が発作の抑制に繋がるため、適切な遊びや運動、精神的な刺激を与えることで、生活の質を高める工夫をします。

これらの代替療法や補助的な治療を検討する際は、必ず獣医師に相談し、愛犬の状態や薬との相互作用などを考慮した上で、安全に行うようにしましょう。

てんかんを持つ犬との暮らし|飼い主ができる日々のケア

犬

てんかんと診断された愛犬との暮らしは、飼い主さんにとって不安や戸惑いがあるかもしれません。しかし、適切な治療と日々のケアによって、愛犬は発作の頻度を抑え、穏やかで幸せな生活を送ることができます。

飼い主さんができる日々のケアは多岐にわたりますが、これらは愛犬のてんかんと向き合い、共に支え合うために非常に重要です。

ここでは、発作を誘発する要因の回避から、食事や環境の工夫、ストレス軽減、そして獣医師との連携の重要性まで、てんかんを持つ愛犬との豊かな暮らしをサポートするための具体的なケア方法を解説します。

発作を誘発する要因の特定と回避

てんかん発作は、特定の要因によって誘発されることがあります。これらの要因を特定し、できる限り避けることで、発作の頻度を減らすことができる可能性があります。

ストレス

  • 大きな音(雷、花火、工事の音など)。
  • 見慣れない来客や環境の変化(引っ越し、新しいペットの迎え入れなど)。
  • 過度な興奮や遊び。
  • 家族構成の変化や飼い主の長期不在。 これらを避ける、あるいは愛犬が安心できる環境を整える工夫が必要です。

光刺激

テレビやゲーム画面の点滅、強い光の点滅。特定の模様や光の反射。 これらの刺激を避けるため、テレビの位置を変える、カーテンを閉めるなどの対策が有効です。

睡眠不足・疲労

十分な睡眠を確保し、過度な運動や興奮は避け、規則正しい生活を心がけましょう。

投薬忘れ

抗てんかん薬の飲み忘れは、発作を誘発する最も直接的な原因の一つです。毎日決まった時間に、正確な量を忘れずに飲ませましょう。

低血糖

食事の間隔が空きすぎたり、食事量が不足したりすることで低血糖になり、発作を誘発することがあります。規則正しい食事を心がけ、必要であれば獣医師と相談して食事回数を調整しましょう。

愛犬のてんかんダイアリーに、発作が起きた際の状況やその前の出来事を記録することで、誘発要因を特定しやすくなります。

食事や環境の工夫で発作リスクを軽減

日々の食事内容や生活環境を工夫することも、てんかん発作のリスク軽減に繋がると考えられています。

低炭水化物・高脂肪食

脳のエネルギー源を糖質からケトン体に切り替えることで、発作を抑制する効果が期待される食事療法です。ただし、獣医師の指導のもとで慎重に行う必要があります。

DHA/EPA(オメガ3脂肪酸)

脳機能のサポートに良いとされる脂肪酸を積極的に摂取することも検討されます。魚油やサプリメントで補給できます。

特定の食材の避ける

個体によっては、特定の食材が発作を誘発する可能性も指摘されています。獣医師と相談し、アレルギーや不耐性の有無も考慮しましょう。

静かで落ち着ける場所

愛犬が安心して過ごせる、騒音や刺激の少ない場所を用意しましょう。

安全な空間

発作中にぶつかっても安全なように、家具の角にガードをつけたり、クッションを置いたりして、室内の危険物を最小限に抑えましょう。

規則正しい生活

食事、散歩、睡眠の時間をできるだけ一定に保ち、生活リズムを安定させることで、愛犬の心身の安定に繋がります。

温度・湿度管理

極端な暑さや寒さ、乾燥は犬にとってストレスになることがあります。快適な温度・湿度を保ちましょう。

これらの工夫は、直接的な治療ではありませんが、愛犬の全体的な健康とストレス軽減に貢献し、結果として発作の抑制に繋がる可能性があります。

ストレスを軽減する生活と穏やかなコミュニケーション

てんかんを持つ犬にとって、ストレスは発作の大きな誘発要因の一つです。飼い主さんが愛犬のストレスを理解し、できる限り軽減する生活を送ること、そして穏やかなコミュニケーションを心がけることが非常に重要です。

適切な運動と遊び

ストレス発散のためには、適切な運動と遊びが欠かせません。ただし、過度な興奮を伴う遊びは避け、愛犬がリラックスして楽しめる範囲に留めましょう。

安心できる環境

静かで落ち着ける「自分の居場所」を提供し、いつでもそこで休めるようにしてあげましょう。

穏やかな接し方

大きな声を出したり、急な動きをしたりせず、常に穏やかなトーンで話しかけ、優しく撫でてあげることで、愛犬は安心感を得られます。

ポジティブな強化

良い行動をしたときに褒めたり、ご褒美を与えたりすることで、愛犬に自信を持たせ、精神的な安定に繋げましょう。

社会化の継続

過度なストレスにならない範囲で、他の犬や人との穏やかな交流を続けることも、精神的な安定に役立ちます。ただし、相性の悪い犬との接触は避けましょう。

マッサージやリラックス

優しく体をマッサージしてあげることで、リラックス効果を高め、ストレスを軽減できることがあります。

飼い主さんが常に愛犬の感情に寄り添い、安心できる環境と安定した心の状態を保つことが、てんかんのコントロールに大きく貢献します。

定期的な通院と獣医師との連携の重要性

てんかん治療は長期にわたることが多く、定期的な通院と獣医師との密な連携が非常に重要です。飼い主さんの情報提供と獣医師の専門知識が合わさることで、愛犬に最適な治療を継続することができます。

定期的な通院

抗てんかん薬の血中濃度チェックや肝機能などのモニタリングのため、獣医師から指示された頻度で定期的に通院しましょう。

発作の状況や愛犬の体調について、獣医師に正確に報告することが大切です。

てんかんダイアリーの活用

前述の「発作の記録」をまとめたてんかんダイアリーは、獣医師が治療方針を決定する上で不可欠な情報源となります。必ず持参し、内容を共有しましょう。

疑問や不安の解消

治療に関して疑問に思うこと、不安なこと、副作用と思われる症状など、どんな些細なことでも遠慮せずに獣医師に相談しましょう。

セカンドオピニオンを検討する際も、まずはかかりつけの獣医師に相談し、紹介してもらうのがスムーズです。

専門医の紹介

複雑な症例や治療が難しい場合、獣医師から神経科専門医がいる病院への紹介を受けることもあります。専門性の高い診断や治療を受けられる場合があります。

獣医師を信頼し、チームとして協力し合うことで、愛犬のてんかんを効果的に管理し、愛犬が発作に悩まされることなく、快適な生活を送るための最善の道を歩むことができます。

まとめ:てんかんと向き合い、愛犬と安心して暮らすために

愛犬がてんかんと診断されることは、飼い主さんにとって大きな不安と責任を伴うことでしょう。しかし、てんかんは適切な知識と日々のケア、そして獣医師との密な連携によって、多くの場合コントロール可能な病気です。

発作が起こった際の冷静な対処法、正確な記録の重要性、そして薬との正しい付き合い方を理解することは、愛犬の安全と生活の質を守る上で不可欠です。

発作の頻度や重症度を軽減するためには、投薬の継続はもちろんのこと、発作を誘発する要因を特定し回避する努力、食事や環境の工夫、そして何よりも愛犬のストレスを軽減する穏やかな生活環境が重要となります。

てんかんは一生涯にわたる付き合いとなることが多いですが、飼い主さんの愛情と根気強いケアがあれば、てんかんを持つ愛犬も他の犬と変わらない、豊かで幸せな毎日を送ることができます。

この情報が、あなたが愛する家族の一員である愛犬と、てんかんと上手に付き合いながら、安心して笑顔で暮らしていくための一助となれば幸いです。

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