猫の病気・健康

【獣医師執筆】猫の目やにの原因とは?考えられる病気と予防法

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猫の目やにの原因とは?考えられる病気と予防法

猫も人間同様、寝起きには少量の目やにがみられることがあります。

目やにが出ていても元気な場合はありますが、病気などのサインである場合もあるため注意が必要です。

今回は猫の目やにの原因や、気をつけるべき目やにの特徴についてまとめました。

自宅でできる目やにの予防法や、目薬の具体的なさし方などについてもご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

この記事の結論

  • 目やには生理的なものだけでなく、ケガや病気によるものもある
  • 鼻の短い短頭種は、目やにが出やすい子が多い
  • 目やにの予防には、目の周りを清潔に保ったり、予防接種、キャットフードを変更などが効果的である
  • 濃い黄色や緑色の目やにや、量が多い目やに、粘稠性の高い目やにがみられたら早目に動物病院を受診する

西岡 優子

執筆・監修

西岡 優子

ライター/獣医師

北里大学獣医学科を卒業後、出身の高知県近県である香川県の動物病院にて、小動物の診療に携わる。
結婚を機に、都内の獣医師専門書籍の出版社で編集者として数年勤務し、現在は動物病院で時短で獣医師として働く傍ら、犬・猫・小動物系のライターとして活動している。

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猫の目やにとは

目も体の他の部分と同じように代謝をしており、古くなった細胞を入れ替えています。

目やには皮膚でいう垢のようなもので、古くなり剥がれ落ちた細胞と、目に付着したホコリやゴミなどの老廃物が涙に混じってたものです。

このように、目やには古くなった目の細胞やホコリやゴミなどを体の外に出す働きをしており、生理現象によって出るものなので、少量であれば愛猫に目やにが出ていても心配する必要はありません。

前述した寝起きに出る目やにも、就寝時にまばたきをしないことで、目頭にある鼻涙管に流されるべき分泌物が目頭にたまってしまうことによるものなので少量であれば問題はないのです。

しかし、目やにの量が増えたり、目やにの色や臭いなどといった状態がいつもと違う場合には、重大な病気が隠れていることもあるため注意しましょう。

猫の目やにの原因

目やにがでる原因はいくつかありますが、大きく分ければ2つです。

前述したような生理現象によって出る目やにと、病気やケガなどによって見られる目やにです。

生理現象によるもの

生理現象による目やには、白色や赤褐色、こげ茶などの色合いをしていて、量は少なく固まっているか、固まっていなくても1日に1回拭き取れる程度です。

例えば、寝起きに猫の目頭や目尻に少量の目やにがついていることがあるかと思います。

これは、就寝時にまばたきをしないことで、目頭にある鼻涙管に流されるべき分泌物が目頭にたまってしまうことによるものなので、少量であれば問題ありません。

また、生活環境がホコリっぽかったり、砂ボコリが舞うような場所にお散歩に行った場合にも、一時的に目やにが出る場合があります。

病気やケガによるもの

健康な猫であれば目やには少量しか出ませんが、目やにの量が増えたり、目やにの色や臭いなどといった状態がいつもと違う場合には注意が必要。

感染症や結膜炎などの目の病気や、猫同士のケンカによって角膜が傷ついていることもあるため注意しましょう。

注意するべき目やにには、以下のようなものがあります。

  • 濃い黄色や緑色の目やに
  • 血液が混ざった目やに
  • ドロドロ、ネバネバで粘稠度が高い目やに
  • 1日に3回以上でる目やに
  • ニオイが臭い目やに

このような目やには、ウイルスや細菌感染を引き起こしていたり、ケガによって目の周りに出血がみられる可能性があるのです。

子猫の目やには細菌感染の可能性がある

子猫はまだ免疫力が低いため、ウイルスや細菌感染によって結膜炎を引き起こし、目やにが増える場合があります。

なかでも最も多い原因は、猫ヘルペスウイルス、猫カリシウイルス、クラミジアなどのウイルスが、上部気道から感染することによって発症する、「猫風邪」によるものです。

子猫の場合は、親猫やほかの猫から感染してしまうケースも少なく、白や黄色、緑色の目やにが両目から出ると同時に、流涙や結膜の充血などの症状も多くみられます。

子猫にこれらの症状がみられたり、生後10日経っても目を開けづらそうにしている場合は、なるべく早く動物病院を受診するようにしましょう。

猫種によっては目やにが出やすい子もいる

実は猫種によっては目やにが出やすいこともあり、特に習慣的に注意すべきと言えます。

ペルシャ、ヒマラヤン、スコティッシュフォールド、エキゾチックショートヘアといった短頭種の猫は、鼻涙管が詰まりやすいという特徴があります。

それにより、涙やけや涙が止まらないといった症状がよくみられ、これに細菌感染が加わると、目やにが出やすくなるのです。

猫の目やにから考えられる病気

目やにがもし、病気によって引き起こされている症状であれば、次のような病気が考えられます。

病気かどうかを自己判断することはできませんので、必ず動物病院を受診して、獣医師の診断を受けましょう。

猫風邪(ねこかぜ)

猫風邪は、猫ヘルペスウイルスと猫カリシウイルスなどのウイルス感染で起こります。

症状としては、くしゃみや鼻水、食欲不振などがみられ、同時に目やに、目がしょぼしょぼする、目が赤い、涙が出るといった目の症状があらわれるのです。

症状が酷い場合には、目やにが固まることで瞼が開かなくなってしまうこともあります。

結膜炎(けつまくえん)

結膜は白目の部分とまぶたの裏側の膜組織で、結膜炎とは結膜に起こる炎症のことです。

結膜炎には感染性と非感染性の2つのタイプがありますが、猫では猫ヘルペスウイルスや猫カリシウイルスなどの感染によるものが多いです。

充血や目やに、痒み、まぶたが赤く腫れて涙が出るなどの症状があらわれます。

ひどい場合には、瞼がくっついてしまい眼が開かなくなってしまうこともあるので注意が必要です。

角膜炎(かくまくえん)

角膜とは眼球の中央部分(黒目部分)表面を覆っている透明な膜状の組織のこと。

外からの刺激や、細菌やウイルスなどの微生物が侵入しないように黒目を守る役割をしています。

角膜に傷がついてしまい、そこから微生物が侵入し、角膜に炎症が起こったものが角膜炎です。

角膜炎の原因には他の猫とのケンカによる傷や、異物が目に入ったり、目を強くこすったりすることなどさまざまなものがあります。

角膜炎では、目やにの他、結膜の充血、痛みで目が開かない、流涙などが特徴的な症状です。

流涙症(りゅうるいしょう)

流涙症とは目から涙が溢れ出て涙の異常流涙を起こす病気で、常に涙を流しているので、目から鼻にかけての皮膚は涙やけで赤茶色に変色していきます。

また、ゼリー状の目やにが出ることも多く、目をこする動作が増えたり、眩しそうなまばたきを繰り返したりする様子が特徴的です。

乾性角結膜炎(かんせいかくけつまくえん)

乾性角結膜炎とは、角膜や結膜が乾燥している状態のことをいいます。

乾性角結膜炎になる理由は、涙腺から分泌される涙の量が不足したり、目の形状の不具合などから涙が角膜や結膜に十分に行き渡らなかったりなどです。

乾性角結膜炎の原因としては、免疫細胞の異常な働きによる涙腺の破壊、ウイルス性疾患、アレルギーなどさまざまなものがあります。

黄色や緑色のネバネバした目やにや、結膜の充血などがみられます。

眼瞼内反症(がんけんないはんしょう)

眼瞼内反症とは、まぶたが内側にめくれている状態のことです。

先天性のものが多いですが、重度の結膜炎や外傷などによるまぶたの変形、目の回りの筋肉や神経の異常などが原因で起こることもあります。

眼瞼内反症では、角膜や結膜が刺激を受けることによって痛みや痒みが生じ、目やにだけでなく涙の量も多くなるのです。

ぶどう膜炎(ぶどうまくえん)

ぶどう膜とは、目のなかの虹彩(こうさい)と毛様体(もうようたい)、脈絡膜(みゃくらくまく)を指します。

この中のどれかまたはすべてに炎症が起こった状態が、ぶどう膜炎です。

感染症からぶどう膜炎を発症することが多いですが、全身的な病気が発端となり、全身疾患のひとつの症状としてぶどう膜炎を発症しているケースもみられます。

ぶどう膜炎にかかると瞳孔が小さくなったり、充血がみられたり、涙や目やにが多く出たりなどといった症状が特徴です。

猫クラミジア

猫クラミジアは細菌のひとつで、猫に感染すると人間の風邪と似たような症状があらわれます。

猫ヘルペスウイルスや猫カリシウイルスと並び、「猫風邪」とも呼ばれます。

猫クラミジアや猫ヘルペスウイルス、猫カリシウイルスが重なって感染していることもあるのです。

症状としては、くしゃみや鼻水、食欲不振などがみられ、同時に目やにや充血、結膜の腫れ、流涙などの目の症状もあらわれます。

特に生まれて間もない子猫は重度の結膜炎になりやすく、結膜同士がくっついてしまうこともあるのです。

アレルギー

猫は食べ物や、花粉などの環境中の物質が原因でアレルギーを起こします。

アレルギーによる目の症状としては、強い痒み、目の充血、涙が多くなるなどです。

もし、愛猫が目をしきりにこすっているようであれば、アレルギーの可能性があるかもしれません。

アレルギー症状が長く続くと猫が強い痒みから目をこすりすぎて、目の周りが赤くなったり、脱毛するなど皮膚炎を起こす場合があります。

そして、アレルギーによる目の痒みと目の周りの皮膚の痒みから、猫がさらに目をこすることで、結膜炎を引き起こし、目やにや流涙などの症状があらわれるのです。

猫の目やにの予防法

自宅で病気を完璧に予防することはできませんが、できる限りの予防は可能です。

普段から自宅でできることばかりなので、ぜひ愛猫の目の健康のためにも覚えておきましょう。

愛猫の目の周りを清潔に保つ

愛猫の目の周りが汚れていたら、定期的に拭き取ってあげるというのがまずは第一です。

特に子猫や高齢では自分でグルーミングが十分にできないため、飼い主さんがいつもきれいな状態を保つように心がけることが大切です。

目の周りを触られるのを嫌がる場合も多いので、ストレスにならないよう、少しずつお手入れに慣れさせるようにしましょう。

触らせてくれたら大好きなおやつをあげるなど、お手入れに良いイメージを持ってもらうとスムーズです。

ほかの猫と喧嘩しないように注意する

外に出ることは、ほかの猫と喧嘩し、目を傷つけるリスクが高くなるため、完全室内飼いをおすすめします。

また、棘やゴミなどの異物混入などによって目を傷つけたり、目に症状が出る感染症をもらう可能性もあるのです。

多頭飼いの場合はウイルス感染した猫からうつる可能性もあるため、感染猫は隔離するようにしましょう。

部屋はこまめに掃除する

生活環境がホコリっぽい場合は、目にホコリや抜け毛などのゴミが入り、目やにが出る場合があります。

特に猫は狭い場所や隅っこも好きなので、普段なかなか掃除しきれていない場所にはホコリがたまりがちです。

そのため、部屋はこまめに掃除し、清潔な状態を心がけるようにしましょう。

キャットフードを見直す

猫がアレルギーを持っていると、目の周りの痒みから、目やにが出る場合があります。

例えば、動物性の肉に対してアレルギーを持っている場合、魚肉を使用したキャットフードに変えることで、症状が改善することもあるのです。

また、小麦などにアレルギーを持っている場合もあり、この場合はグルテンフリーのキャットフードを試してみましょう。

どの食材がアレルゲンとなっているのかは簡単に判断できないので、なるべく使われている食材の少ないキャットフードを選ぶと特定しやすいですよ。

予防接種をする

猫ヘルペスウイルス、猫カリシウイルスなどの感染症は、予防接種によって症状の軽減や感染を回避できる病気です。

子猫のときからしっかり予防し、定期的に予防接種をするようにしましょう。

また、できるだけ室内で飼育するようにし、感染症にかかっている猫との接触を断つことも大切です。

猫の目やにの取り方

目やにを見つけたらそのままにしておくのではなく、次の手順でお手入れしてあげましょう。

  • ステップ1. コットンに人肌程度のぬるま湯を染み込ませる
  • ステップ2. 目やにをふやかしながらやさしく拭き取る
  • ステップ3. 終了後は目の周りの水分が残らないように拭き取る

健康な猫でも目やにがついた状態のままにしておくと、雑菌が繁殖し、目の病気になってしまうことがあります。

そのため目やにが付いていたら、ぬるま湯で濡らしたコットンを用意し、目やにをふやかしてから優しく取り除いてあげましょう。

この時、ゴシゴシこすってしまうと猫の目の周りの皮膚に炎症が起こったり、目の表面に傷がつく場合があるため注意が必要です。

猫の目薬のさし方

大人しくしていることが難しい子だと、目薬をさすときには少し苦労するでしょう。

普段からお手入れ中は一時的にでも大人しくすることに慣れてもらうことはもちろん、目薬の適切なさし方についても確認しておきましょう。

  • ステップ1. 猫の背後に回り、お尻を自分のお腹にくっつけるように支える
  • ステップ2. 利き手に目薬を持ち、別の手で顔を少し上に向ける
  • ステップ3. 目薬を持った手で上まぶたをそっと持ち上げて目薬をさす
  • ステップ4. 目からあふれた目薬はコットンで拭き取る

動物病院で受診をした際には、目薬を処方されることもあります。

いざという時にスムーズに点眼できるように、目薬のさし方の手順を覚えておきましょう。

ある程度は固定して、ほかのものを気を引く

暴れてしまう場合には椅子に座り、猫を脚の間に挟んで固定させると点眼しやすくなります。

もしも、怖がっていたら、タオルでくるんであげるのも効果的です。

おもちゃや興味を引くものを使って、手が触れない程度の場所に固定し、気を引いているうちに目薬をさすという方法もあります。

上手に点眼させてくれたらおやつをあげたり、おもちゃで遊んだり、愛猫の喜ぶことをして褒めてあげましょう。

人間用の目薬は使用しない

人間用の薬は猫に適していませんので、目薬のみならず、猫に人間用の目薬を使用してはいけません。

動物用と人間用の目薬では、含まれる成分の量が異なるため、人間用の目薬を使用すると、炎症が起きたり、最悪の場合には失明にも繋がる危険があります。

愛猫の目に異変を感じた際は、動物病院で診察をしてもらい、愛猫に合った目薬を処方してもらいましょう。

愛猫の目やにが多いときの病院受診目安

もし愛猫の目やにが多く見られたら、どれくらいまで様子見をしていいのか。

飼い主さんとして心配になるラインについて、次の通りご紹介します。

様子を見ていい目やに

目やにの色目やにの状態
・茶色
・赤褐色
・白色
・少量
・少量で固まっている
・乾燥している

上記の目やには生理現象によって出るものなので、少量であれば心配する必要はありません。

しかし、目やにの量が増えたり、目やにの色や臭いなどといった状態がいつもと違う場合には、重大な病気が隠れていることもあるため注意しましょう。

早急に動物病院を受診すべき目やに

  • 目やにに血液が混ざっている
  • 緑色や黄色の目やにが出ている
  • ネバネバしていたりゼリー状の目やに
  • 片目だけ目やにが出ている
  • 目やにとともにくしゃみや咳もしている

上記のような目やにが見られた場合は、できるだけ早く動物病院に連れていくことをおすすめします。

重症化すると症状が悪化したり、最悪の場合には失明する場合もあるため、注意が必要です。

執拗に目を気にしているならエリザベスカラーを着ける

執拗に目を気にする場合は、悪化を防ぐため、エリザベスカラーを装着しましょう。

エリザベスカラーを着けることで、足で顔を掻いたり、目を床に擦り付けることを防げます。

最初は装着することを嫌がるかもしれませんが、2~3日様子を見ながら、少しずつ慣れさせていきましょう。

この記事の執筆者・監修者

西岡 優子

執筆者情報

西岡 優子

ライター/獣医師

北里大学獣医学科を卒業後、出身の高知県近県である香川県の動物病院にて、小動物の診療に携わる。
結婚を機に、都内の獣医師専門書籍の出版社で編集者として数年勤務し、現在は動物病院で時短で獣医師として働く傍ら、犬・猫・小動物系のライターとして活動している。

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