「我が家の愛猫は完全室内飼いだから、ノミなんている訳ない」と思っていらっしゃる飼い主さんは多いことでしょう。
ところが、皮膚病で動物病院を訪れる猫のうち、5匹に1匹がノミの被害に遭っているというデータもあります。
ネコノミは気温13℃を超えると活発に活動し寄生するとされていますが、真冬でも暖房の効いた室内なら十分に繁殖可能です。
では、ネコノミはどうやって防いだら良いのでしょう。愛猫に対する予防と対策、気を付けたい病気についても調べました。
この記事の結論
- ネコノミは猫だけでなく、犬や人間にも寄生して吸血する寄生虫
- ネコノミは13℃以上の気温で生息し、春~夏が活発な活動期だが、真冬の室内でも繁殖可能
- 飼い主さんが外出の際や同居の犬が散歩の際に持ち込み、室内飼育の猫がノミ被害に遭うこともある
- 愛猫にノミが寄生したらすぐ動物病院で駆虫剤を投薬してもらうこと
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目次
猫に寄生するのは主にネコノミ
ネコノミという名前がついてはいますが、寄生するのは猫のみではありません。
ヒト、イヌ、ネズミ、タヌキ、イタチ…哺乳類や鳥類なら相手かまわず寄生し、吸血する体長1mm~3mmほどの害虫です。
繁殖力が非常に強く1か月で2万匹ほどに増えることもあり、メスは土のある場所に卵を産むので、身近な庭や公園などで刺される可能性があります。
人間が刺されてもその場では気づかず、1日~2日後に痒みや赤い湿疹ができて、ひどいときは水ぶくれになることもあります。
ネコノミは春~夏が最も繁殖しやすい
ネコノミは気温が13℃あれば繁殖可能で、最も好条件なのが気温18℃~27℃、湿度75%~85%なので、梅雨時や夏は大量に増える可能性があります。
では、真冬ならいなくなるかと思えば、暖房の効いた室内に一度持ち込まれればカーペットの下などに寄生して吸血と繁殖のチャンスを伺っています。
つまり、人間や猫が暮らしやすい環境は、ネコノミにとっても暮らしやすい環境だということです。
ネコノミは人間にもうつる
ネコノミのメスが土の中に産んだ卵はやがて幼虫となり、サナギとなって、成虫になると土から跳び出してきて、人間の足や猫の体に寄生して吸血します。
土の中だけでなく、室内に持ち込まれたネコノミがカーペットの下や畳の隙間などに産んだ卵も、同様の成長を経て人間や猫を吸血します。
体長1mm~3mmのネコノミですが、30cmほども跳べるくらいジャンプ力に優れ、動物の体温や吐く息の二酸化炭素に反応して人間や猫の体に跳びつくのです。
成虫はオスもメスも吸血し、人間や猫の体表に噛みついた際に出る唾液がアレルゲンとなって、猛烈な痒みを引き起こします。
人間がノミに刺されるとノミ刺咬症といって、ひどい場合は水ぶくれを起こし、ネコノミが媒介するバルトネラ菌による猫ひっかき病にも注意が必要です。
猫にノミが寄生する原因
ネコノミは吸血後、24時間~48時間で産卵し、早ければ12日~14日間で卵は成虫にまで成長します。
猫や犬の体に卵を産み付けることもありますが、動物の体温は卵にとっては高温です。
そのためカーペットや畳、あるいは土に落下し、孵化して育ちます。
室内に持ち込まれて幼虫となると、人間やペットの食べこぼし、フケ、成虫の糞などを食糧として成長するとされています。
では、どうやってネコノミは室内に持ち込まれるのでしょうか。
飼い主さんが外から持ち込む
ネコノミは人間にもうつると述べましたが、経路は逆となっている可能性もあります。
「愛猫が完全室内飼いなのにノミの被害に遭う…」その理由は、飼い主さんが持ち込んだ可能性が大きいでしょう。
土のある場所ならどこでもネコノミは生息していると思ったほうが良く、自宅や近所の庭、公園、草むら、藪、畑や田の畦道、縁の下…などにいます。
人間の体に跳び移ったネコノミは室内に持ち込まれると、カーペットの下、畳の隙間、部屋の隅、ソファやベッドの物陰などに身を潜めて生き延びます。
気温13℃以下では卵や幼虫は生存できませんが、サナギや成虫なら上記のような場所やペットの被毛の中に寄生し、生存することが可能なのです。
室外に出て野良猫やほかの動物と接触した
日本ペットフード協会「全国犬猫飼育実態調査」によると、猫の主な飼育場所が室内のみは83.7%でした。
完全室内飼いが圧倒的とはなってきていますが、散歩・外出時以外は室内9.5%、室内・屋外半々5.3%、主に屋外1.6%と、外に出る飼い猫もまだまだいます。
人間に飼われたことのない、いわゆる野良猫のほとんどがネコノミに寄生されていると言われます。
愛猫がこうした野良猫と体を擦り付け合ったり、ケンカしたりと接触した際に、必ずと言っていいほどノミをもらってきます。
また、公園や草むらを歩いたり縁の下に潜り込んだりすると、ネコノミが体に付くことがあります。
愛猫にネコノミを寄生させたくなければ、できれば完全室内飼育にしたほうが良いと言えるでしょう。
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愛犬の散歩時に愛犬に付着して持ち込まれる
日本にいる主なノミの種類は、ヒトノミ、イヌノミ、ネコノミ、ネズミノミ…など、約80種とされています。
ただし、ヒトノミやイヌノミは減少傾向にありますが、ネコノミが全体のほとんどを占め、犬に付くのもほとんどがネコノミです。
犬と猫を多頭飼育しているお宅で、愛犬のお散歩の際にネコノミが体に付き、帰宅した際に室内に持ち込んでしまうというケースがあります。
お散歩した後は、屋内に入る前に必ず愛犬をブラッシングしてあげるのを習慣にしましょう。
室内環境が劣悪
室内に持ち込まれたネコノミはホコリの中にも潜り込んで生息しますので、家の中はいつも清潔に保っておくことが肝心です。
こまめに掃除機をかけ、吸い取ったホコリは密閉できるビニール袋などに入れて捨てましょう。
カーペットやソファ類はコロコロなどで掃除し、使い終わって剥がした粘着紙も密閉袋に入れて捨てることをおすすめします。
ノミは60℃~70℃の熱で死滅しますので、洋服や寝具などの布類は洗濯後、60℃以上の乾燥機やアイロンを掛けてコロコロしましょう。
なお、ノミ用の燻煙剤は一般的に成虫には効きますが、卵や幼虫には効きにくく、燻煙剤を炊いた部屋に愛猫が入らないようにするなど注意が必要です。
ブラッシングやシャンプーを怠っている
外と家とを出入りしたりお散歩が習慣だったりする子は、帰宅したらできれば屋内に入る前のブラッシングを習慣にしたいものです。
ブラッシングする際はノミ取り用のブラシやノミ取りコームを使います。
ブラッシングして取れたノミは潰さずに、そばに中性洗剤を溶かした水を用意しておいてブラシやコームごと浸けて退治します。
ネコノミは水に弱いためシャンプーも効果的ですが、愛猫の被毛に付いた成虫は24時間~48時間で体表に産卵しますので素早い対応を要します。
猫にノミが寄生したときに見られる症状
気を付けていたつもりでも、愛猫にノミが付くこともあります。特に室内外を行き来する愛猫は、飼い主さんの目の届かない場所でノミをもらうことも。
体長1mm~3mmと小さく、跳躍力に優れているためすぐに跳んで行ってしまうネコノミは、肉眼では実体を見つけにくいものです。
ですが、愛猫に以下のような様子があったらノミの寄生が疑われます。
- 頻繁に顔や体、足を痒がる
- 掻きすぎによる脱毛が見られる
- 毛づくろいの回数や時間が増える
- 貧血
- 下痢
- 嘔吐
ネコノミは愛猫の股の間、腹部の被毛に寄生しやすいと言われます。
次に首の後ろ、尾の付け根などですので、重点的にチェックしてみましょう。
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猫にノミが寄生したときに引き起こる病気
ネコノミは激しい痒みをもたらすだけではありません。ときには、愛猫に恐ろしい疾病を発症させることもあります。
大量のノミに吸血されれば貧血を起こすこともありますし、ノミに刺された箇所を愛猫が掻きむしって傷をつくり、細菌に感染して化膿することもあります。
特に以下のような病気を発症すると深刻ですので、すぐ動物病院で治療を受けさせましょう。
瓜実条虫症
瓜実条虫(うりざねじょうちゅうしょう/サナダムシ)とはノミやハジラミが媒介する寄生虫で、消化器に寄生し、軟便や下痢、嘔吐などの症状を発症させます。
愛猫の糞便や肛門のあたりに白くて細長い虫が付着していたり、トイレに茶色いゴマのような粒が落ちていたら、瓜実条虫の寄生が疑われます。
動物病院で瓜実条虫とノミの駆虫薬を投薬してもらい治療します。瓜実条虫症はノミを寄せ付けないことが一番の予防法です。
瓜実条虫症は人間や犬にも感染しますので、感染した愛猫のトイレを掃除した後はすぐ手を洗い、清潔を心がけましょう。
ノミアレルギー性皮膚炎
ノミが吸血する際に出す唾液に対するアレルギー反応として皮膚に炎症を起こし、激しい痒みや湿疹、脱毛などを発症します。
その後、わずかなノミの寄生でも皮膚炎に悩まされるため、アレルギー反応や炎症を抑える治療とともに徹底的なノミ駆除を行います。
人間がノミアレルギー性皮膚炎になることもあり、特にひどい痒みには副腎皮質ホルモン製剤(ステロイド)が用いられることもあります。
また、アトピー性皮膚炎の人や猫がノミに吸血されると、さらに症状が悪化するとの報告もあり、注意が必要です。
愛猫の体でノミを見つけたときの対処法
愛猫の体にノミを発見したら、ノミ取り用のクシやシャンプーで退治することもできますが、それだけで安心してはいけません。
ノミを徹底駆除して愛猫を皮膚病や感染症から守るには、やはり動物病院で検査して治療してもらうことが最も確実です。
また、室内にノミの成虫はもちろん、卵や幼虫が残らないよう掃除も徹底的に行いましょう。
動物病院で診てもらう
愛猫の体だけでなく、室内でノミを見かけたら、すぐ愛猫を病院へ連れて行きましょう。
ノミの駆虫薬としては愛猫の首の後ろへの滴下薬が一般的で、場合によっては内服薬が処方される場合もあります。
瓜実条虫症が疑われる場合は排泄物を顕微鏡で確認し、ノミアレルギー性皮膚炎の可能性がある場合は血液検査によるアレルゲンの特定が行われます。
いずれも駆虫薬による治療とともに、症状に応じて下痢や嘔吐の緩和、外用薬の塗布や経口薬の投与が行われます。
室内を入念に掃除する
ネコノミを徹底駆除するには、室内の隅々まで掃除するしかありません。10匹のネコノミがわずか30日後には2,000匹に増殖するほど、繁殖力は絶大です。
1匹でもネコノミを発見したら、普段は動かさない家具も移動させて掃除機をかけ、吸い取ったゴミは密閉袋に入れて捨てましょう。
掃除機のノズル部分には駆除剤を吹きかけておくという方法もあります。最低でも3週間、継続して徹底的に掃除します。
カーペット、畳、ソファ、ベッド、キャットタワーも粘着ローラーで掃除。寝具には60℃以上の布団乾燥機によるノミ駆除がおすすめです。
愛猫が使っていた毛布やタオル、クッションカバーや布団カバーなども洗濯して、60℃以上の乾燥機やアイロンでノミを死滅させましょう。
見つけたノミは絶対に潰さない
ノミを発見したら指や爪で潰してはいけません。潰した手を洗わずに口元を触ると、人間も瓜実条虫症などに感染するリスクがあります。
また、そのノミがメスで体内に卵を持っていた場合、潰すことで卵を飛び散らせ、かえって繁殖を助長させることにもなりかねません。
ノミを見つけたらガムテープやコロコロの粘着紙などで取って、ビニール袋などに入れて密封し、早めに処分しましょう。
愛猫にノミを寄生させないための予防法
愛猫のノミ対策は多くく分けて3つのステップがあります。
- ネコノミを室内へ入れない
- 衛生的な状態を保つ
- 発見したら即動物病院&徹底駆除
まずは予防が重要ですから、日頃からネコノミを寄せ付けないよう、以下のことを心がけましょう。
室内をこまめに掃除して清潔に保つ
ペット保険契約者のアンケート調査等をまとめたアニコム「家庭どうぶつ白書」アーカイブによると、ペットの飼い主さんの45.3%が掃除は毎日すると回答。
2011年5月30日のお掃除の日にちなんで調査されたもので、ペットを飼育する前と比べて「掃除頻度が増えた」と答えた飼い主さんが62.8%だったとか。
平日の掃除所要時間は5分~10分が31.7%と最も多く、休日は10分~20分が25.1%ともっとも多かったそうです。
ネコノミは室内のホコリやペットの抜け毛にも潜んで寄生して増殖します。
最近はロボット掃除機などの便利な掃除道具も増えたので、できれば毎日掃除を心がけて、室内の清潔を保つことがノミ予防の第一歩と言えるでしょう。
ブラッシングやシャンプーを定期的に行う
猫種にもよりますが、愛猫のブラッシング頻度は短毛種なら週に2回~3回、長毛種なら毎日または2日に1回が目安です。
ブラッシングすることで愛猫の被毛や皮膚の状態を確かめ、ノミが付いていないかどうかのチェックにもなります。
外猫はできれば外から家に帰ってきたら、室内に上げる前にブラッシングして、ノミが付いていれば落としておきましょう。
猫は必ずしもシャンプーや入浴を必要とはしませんが、外猫の場合は2~3か月に一度はシャンプーして愛猫の体を清潔に保つべきです。
ただし、すでにノミが付いてしまったら、シャンプーだけでは愛猫のノミを完全に駆除することはできません。動物病院での駆虫剤治療が必要となります。
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極力室外には出さない
ネコノミは庭や公園、草むら、縁の下など、身近な土の中に必ず存在しますので、外に出る猫のほうがノミ被害に遭う可能性は圧倒的に高くなります。
日本ペットフード協会「全国犬猫飼育実態調査」によると、外に出ない猫の平均寿命は16.25歳、外に出る猫の平均寿命は14.18歳。
ノミ以外にも外に出る猫は事故や感染症のリスクが高く、愛猫にできるだけ長く生きてもらいたいと願うなら、やはり完全室内飼いが推奨されます。
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猫用ベッドはこまめに洗う
愛猫が愛用しているベッド、タオルや毛布、クッションなども1週間に1回は洗濯して、新しい物と交換しましょう。
ネコノミは60℃~70℃の熱で死滅しますので、洗濯後は乾燥機またはアイロン掛けすることをおすすめします。
さらに、粘着式ローラーなどで表面をキレイにしておけば、より安心でしょう。
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犬を飼っている場合は草むらなどへの散歩を避ける
多頭飼育している愛犬とのお散歩の際は、ネコノミが生息しやすい草むらや藪はできるだけ避けること。
とは言え、ネコノミは庭や公園の土にもいて、犬の体温や呼吸から発せられる二酸化炭素を察知し、得意のジャンプ力を駆使して愛犬に跳び付きます。
お散歩から帰ったら玄関へ入る前に愛犬をブラッシングして、ノミや汚れは取り除き、室内へ持ち込まないようにしましょう。
動物病院で処方された駆除・予防薬を投与する
愛猫にノミが付いてしまったらできるだけ早く動物病院で診てもらって、駆虫剤の投薬を開始することです。
ノミの駆除薬には主に以下の2タイプがあり、愛猫の性格や体調に合わせて処方されます。
薬の種類 | 投与方法 | 特徴 |
---|---|---|
スポットオンタイプ | 首の後に垂らす | 食べる薬が苦手な子に便利 |
錠剤タイプ | 経口 | フードやおやつに混ぜて与えられる |
スポットオンタイプは外用薬ですが、首の後ろに垂らすため愛猫がグルーミングしても舐め取る心配がありません。
ただし、シャンプーを頻繁にする子には流されてしまう可能性のない経口薬のほうが向いていて、錠剤タイプのほか、チュアブルタイプもあります。
薬によって効果の持続期間は異なりますが、1か月程度のものが多く、中には3か月程度効果が期待できるというものもあります。
その後も、予防薬として3月中旬~4月上旬頃から始めて12月頃まで、定期的に投薬することが推奨されます。
猫だけでなく犬や人間にも害を及ぼすネコノミ。愛猫にとっても飼い主さんにとっても厄介な共通の敵は、毎日の心がけでしっかり対策していきましょう。
この記事の執筆者
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