犬の呼吸が「ハァハァ」とずっと荒いのを見ていると、飼い主としては心配になりますよね。
犬が正常な呼吸をしているかどうかを把握し、異常な場合には迅速に対処することは愛犬の健康を守るために非常に重要です。
この記事では、犬の呼吸が荒くなる原因、正常な呼吸と危険な呼吸の違いについて詳しく解説します。
日頃から犬の呼吸状態を注意深く観察してあげることで、異変に気づいた時にすぐに対処できるようになります。
愛犬の健康管理に役立つ知識を身につけてあなたの愛犬の命と健康を守ってあげてくださいね。
この記事の結論
- 犬の正常な呼吸数は安静時で1分間に10回~35回程度
- 安静時の犬は基本的に鼻呼吸を行うが、体温調節のためにパンティングすることもある。
- 呼吸が荒くなる原因には運動、興奮、ストレス、体温調節、誤飲、病気やケガがある。
- 呼吸が荒い時は、室温を適切に保ち、うつ伏せなど楽な姿勢を取らせる。
- 呼吸異常に伴う他の症状が見られた場合や原因が不明な場合は速やかに動物病院を受診する。
ライター/愛玩動物飼養管理士2級、猫検定 初級・中級/ペット看護師/動物介護士
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目次
犬の正常な呼吸
犬の正常な呼吸は、安静時において細かく観察することで分かります。
健康な犬の呼吸数は、通常1分間に10~35回程度。
耳を澄ましてみると呼吸音はほとんど聞こえず、胸部や腹部が軽く動く程度で、口を閉じた状態でもスムーズに呼吸が行われているのがわかります。
ただし、運動後や暑い日には大きく口をあけて「ハアハア」と舌を出して早く呼吸をします。
これはパンティングと呼ばれ、体温調節の一環なので一時的なものであれば問題ありません。
しかし、一定時間を過ぎてもずっと荒い呼吸が続くような場合は注意が必要です。
飼い主さんは日頃から犬の正常な呼吸状態を理解し、異常を感じた場合はすぐに対処できるようにしておきましょう。
呼吸の基本は犬も鼻呼吸
犬も基本は鼻呼吸です。
通常、安静時の犬は口を閉じ鼻を使って静かに呼吸をしますが、運動やストレス、暑さにより犬はパンティング(口呼吸)を始めます。
これは体温調節のための一時的なものであり、安静時には再び鼻呼吸に戻ります。
犬は人と違ってほとんど汗をかきません。「ハァハァ」と口呼吸をすることで、体温調節をしているのです。
これは舌や口の中の水分が蒸発する時におこる気化熱を利用し、体内の熱を吐き出すことで涼しい空気を吸い込み、体温調節をします。
飼い主さんはこのような犬の体温調節のしくみも覚えておくと、異常が見られた場合に早めに対策してあげられるようになるので、ぜひ頭の片隅に置いておいてくださいね。
愛犬の呼吸数を確認する方法
愛犬の呼吸数を確認するには、胸やお腹が上下に動く回数を1セットとして数えます。
長毛種で胸やお腹の上下運動がわかりづらい場合は、犬の鼻の前にティッシュをかざしたり、鏡を置いて息で白く濁る回数を数えましょう。
15秒で数えた回数を4倍、20秒で数えた回数を3倍すると1分間あたりの呼吸数がわかるようになります。
安静時の呼吸数を確認することが重要で、安静時に呼吸が早い場合は何らかの病気である可能性が高くなります
定期的に愛犬の安静時にはどれくらいの呼吸数なのかを把握しておくと、異常時に気づきやすくなるでしょう。
犬の呼吸が荒い原因
呼吸が荒くなる原因はさまざまですが、その全てが危険な原因というわけではありません。
犬の呼吸が荒くなる原因として考えられる6つの事例を紹介しますので、普段から注意深く観察し、呼吸が荒いなと感じたらすぐに対処できるようにしておきましょう。
運動後
運動後は呼吸が早く荒くなります。これは運動で酸素を消費した体に、体外から酸素を出来るだけ早く補給しようとするためです。
一時的に見られるパンティングは自然なことなので心配はありません。
息が上がっているときはひとまず休憩をさせてみて、数分から数十分ほど呼吸を落ち着かせてあげてみてください。
ストレス
犬はさまざまな原因がストレスに繋がり、例えば恐怖・緊張・不安などを感じることで息が荒くなることもあります。
大きな音や、初めての場所ではストレスを感じやすく、交感神経が優位になり一時的に呼吸が速くなります。
ストレスの原因が解消されれば正常に戻ることがほとんどですが、何が精神的な要因となっているかを突き止めて解消してあげることが必要です。
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興奮
遊びや散歩、見知らぬ人や動物との接触など犬が興奮状態にあると、そのエネルギーを発散するために呼吸が速く荒くなります。
興奮で体温が一時的に上昇することでパンティングは、犬にとって体温を調節するための大事なことなので過度に心配する必要はないでしょう。
ただし、興奮が続く場合や異常に激しい場合は注意が必要です。
過度のストレスや不安が潜んでいる可能性もあるため、飼い主さんは原因を見極め、適切な対応を心掛けるようにしてあげましょう。
体温調節
犬は汗をかくことが出来ず、「ハァハァ」とパンティングをすることで体温を調節します。
熱い時期や場所では体温が上がるため呼吸が荒くなり、体温を下げようとするのです。
体温調節のためのパンティングは、少しでも涼しい日陰に移動するところから始めてみてください。
空調を管理した涼しい場所で安静にしていれば、基本的には次第に落ち着いてきます。
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誤飲
異物誤飲や誤食は息が荒くなる原因のひとつで、非常に危険な状態とも言えます。
喉に異物が詰まって息がしにくくなっているケースや、犬にとって危険な食材の中毒症状によるケースが考えられます。
犬にとって危険な食材を食べた可能性があるときは、自己判断でむやみに吐かせようとせず、すぐに動物病院を受診しましょう。
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病気
怪我や病気による痛みを我慢していると息が荒くなることもあります。
怪我であれば目で見て判断できることもありますが、病気の場合は獣医師でない一般の方が判断するのは難しいでしょう。
病気に早く気づくためには、日頃から愛犬の体に触れて異変がないかチェックしておくことが重要です。
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犬の呼吸が荒いときに注意したい病気
犬の呼吸が荒くなる原因には、さまざまな病気が関与していることがあります。
これから、犬の呼吸が荒い症状を引き起こす可能性のある8つの病気をご紹介します。
可能性のある病気を知っておくことで、早期発見と適切な対処を行うことができるので愛犬の健康を守るためにぜひ覚えておきましょう。
熱中症
夏の暑い時期に犬が口を大きく開けたまま苦しそうに早い呼吸をする場合、熱中症になっている可能性があります。
犬は人のように汗で体温調節ができないため、パンティングをして涼しい空気を取り込み体温を下げようとします。
しかし、まわりの気温が高いと暑い空気を取り込むことになってしまうので体内の熱をうまく下げられず、熱中症にかかりやすくなってしまいます。
特に短頭種や肥満気味の子はバテやすく、夏には熱中症になりやすいのでしっかり対策をしましょう。
熱中症は重症化すると嘔吐や下痢、痙攣を起こしたり、さらに悪化すると意識がなくなったりし、ショック症状から死に至ることもあるので早めに対処するようにしましょう。
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気管支炎
気管支炎はウィルスやハウスダストなどが原因となり、気管支に炎症が起きている状態です。
主な症状は、呼吸を苦しそうにする、何度も咳をする、運動を嫌がるなどがあります。
特に子犬は免疫力が低く、気管支炎にかかる可能性が高いとされています。
また、人間用の消臭スプレーや殺虫剤は犬にとってとても刺激が強く危険です。
これらの強いガスや化学物質を吸うことで炎症を起こすこともあるので、愛犬の近くでスプレーを使用するのは避けましょう。
肺炎
肺炎はウィルスや細菌感染が主な原因で、肺に炎症が起きている状態です。
他にも、誤嚥した場合や、刺激性のものを吸い込むなどした場合も肺炎の原因になります。
症状は気管支炎や鼻炎の時よりも重く、咳き込んだり、鼻水が出たりし、重症化するとパンティングや呼吸困難を引き起こし死に至ることがあります。
早めの対応が必要な緊急疾患なので、これらの症状が見られたら速やかに動物病院を受診しましょう。
鼻炎
鼻炎は鼻腔内の粘膜に何らかの原因で炎症が起きる病気です。
主な症状は、くしゃみをしたり、鼻水に異変が現れたりします。
鼻水は、水のような粘り気のないものと粘着性のあるものとがあり、血が混ざることもあるので注意して観察しましょう。
鼻炎による炎症で鼻腔が腫れ、鼻呼吸がしづらくなると口呼吸をするようになります。
対処が遅れると慢性化して副鼻腔炎になる場合があるので、必ず動物病院で診てもらいましょう。
短頭種気道症候群
短頭種気道症候群(たんとうしゅきどうしょうこうぐん)は、短頭種の犬に多くみられる病気です。
短頭種とはパグやブルドッグなど平たい顔で、短い鼻の犬種のことをいいます。
短頭種
- パグ
- ブルドッグ
- ボクサー
- ペキニーズ
- シー・ズー
- ボストン・テリアなど
短頭種の犬は生まれつきの顔の特徴や体の構造により、短頭種気道症候群になりやすく予防法がありません。
若いうちから発症し、重症化することもあります。
短頭種気道症候群の犬は気道の通りが狭いためふさがりやすく、症状の特徴としては安静時にも「ブーブー」や「グーグー」といったいびきのような音を出します。
また、「ヒューヒュー」といった喘息のような音が聞こえる時もあります。
重症化すると「ガーガー」といったパンティングや、体温上昇も見られ、呼吸困難や失神が起こります。
放置してしまうと死に至る可能性もあるので、短頭種を飼っている方は症状が現れたら早めに動物病院を受診しましょう。
心筋症
心筋症は、心臓の筋肉に異常が起こり心臓の機能が低下してしまう病気です。
心臓の働きが悪くなると、酸素を含んだ血液が体内をうまく循環できなくなります。
これにより体内に酸素が不足するため、呼吸数が増えたり、息が荒くなってしまったりとパンティングの症状が現れます。
初期は無症状ですが、徐々に元気や食欲の低下がみられ、運動を嫌がり咳をするようになります。
大型犬の中年齢(3歳から10歳)で多く見られ、特に男の子に多い病気です。
気管虚脱
気管虚脱(きかんきょだつ)や気管支虚脱は、気管や気管支が潰れた状態のことを指し、空気の通り道が狭くなることで咳や呼吸困難といった症状が見られます。
遺伝によるものだけでなく、肥満や気管の圧迫によっても引き起こされるので注意が必要です。
気管虚脱の主な症状は以下の通り。
症状
- 首の圧迫や興奮時に軽く咳をする
- 口を開けた状態で「ガーガー」という音や咳をする
- パンティングをずっとしている
- 呼吸困難
- チアノーゼ(舌が青紫色になる)
ヨークシャー・テリア、ポメラニアン、チワワなどに多くみられますが、全犬種で見られる病気です。
梅雨や夏場、季節の変わり目や乾燥がはげしい場合にも症状がでやすくなります。
ガーガーという特徴的な呼吸音を出すようになったら、動物病院に相談しましょう。
肺水腫
肺水腫(はいすいしゅ)とは、肺の肺胞やその他の肺を支える部分に液体がしみだし、溜まった状態のことを指します。
肺水腫になると呼吸困難や咳などが見られ、呼吸器症状が多く見られるようになります。
主な症状は以下のようなものがあります。
症状
- 息をするのが速い
- 肩で息をする
- すぐ息が上がる
- 咳
- 呼吸困難
- チアノーゼ
重度になると横向きに寝ることができず、座った状態や立った状態でないといられなくなってしまいます。
これは想像するだけでもつらい状態ですよね。
愛犬が息を苦しそうにしていたり、犬の様子がおかしかったりする場合はすぐに動物病院を受診しましょう。
愛犬の呼吸が荒いときの対処法
犬の呼吸が荒い時には、まずエアコンを使用して室温を一定に保つことが大切です。
また、基本的にはうつ伏せがもっとも呼吸しやすい姿勢だと言われています。
この状態をさらに楽にするためには、顎の下にタオルや低めの枕を置いてあげると呼吸が楽になります。
飼い主さんは犬にとって楽な姿勢を取れるようにサポートしてあげましょう。
横向きや仰向けの姿勢では肺が圧迫されやすいため可能な限り避けるべきですが、胸の下に痛みがある場合には例外的に横向きが適していることもあります。
犬が苦しそうにしていたら、これらの応急処置を行いなるべく早く獣医に相談しましょう。
運動後や興奮時は様子見
犬の運動後や興奮時など、原因が明らかで落ち着かせると症状が治まる場合は、自宅で様子を見ても問題ありません。
安静にし、室温を下げて5分以上経過しても犬の呼吸状態が落ち着かない時や、パンティングの症状が悪化するような時はすぐに動物病院を受診しましょう。
運動後から時間が経過しても呼吸が荒いようであれば、様子を見ずに病院に連絡することをおすすめします。
原因がわからないときは呼吸数や持続時間を測る
犬の安静時における1分間の呼吸数を数えてみましょう。
犬の正常な呼吸数は小型犬で20~30回、大型犬で15回程度です。
夏場は体温調節のために正常時より少し呼吸が早くなりがちなので、休んでいたり寝ている状態など安静時の呼吸数をカウントしてみてください。
呼吸をすると犬の胸が上下に動くので、上下で1セットとしその回数を数えます。
1分間ずっと数えていなくても、15秒間数えて4倍する、10秒間数えて6倍にするなどの方法でカウントすると楽に測ることができます。
病院に慣れていない子は緊張して心拍数や呼吸数が上がってしまうこともあるため、自宅での安静時の状況を把握しておくことは愛犬の健康管理に役立ちます。
ぜひ普段から愛犬の呼吸数を数える習慣をつけておきましょう。
併発している症状が見られるときはすぐ動物病院へ
愛犬がパンティングのほかに次の症状がある場合は注意が必要です。
注意したい症状
- 上を向いて呼吸している
- 努力呼吸が続いている
- 伏せることができない
- 咳が続いている
- 舌の色が青や紫色になっている
- 歯茎や頬の内側などの粘膜が蒼白い
などの症状があれば、すぐに動物病院を受診しましょう。
受診の際は愛犬の呼吸状態を動画で撮影しておくと獣医師に症状が正確に伝わり、適切な診察や治療ができます。
また服用している薬があれば病院に持参しましょう。
呼吸の異常は様々な病気が背景にあることが考えられるので、あまり様子を見ることはすすめられません。
対応が遅れると命に関わることが多いので、できるだけ早く病院に連絡して獣医師の指示に従いましょう。
この記事の執筆者
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