ドーベルマンとの生活は大きな喜びですが、その特性を理解した正しい飼い方が欠かせません。
この記事では、ドーベルマンを迎える準備から日々の世話、賢さを活かすしつけ、病気の予防と健康管理まで、飼い主さんが直面するあらゆる疑問に答えます。
網羅的な情報と具体的な手順を学ぶことで、ドーベルマンとの充実した毎日を送るための知識が身につき、後悔のない選択ができるでしょう。
この記事の結論
- ドーベルマンは非常に賢く忠誠心が高い反面、警戒心も非常に強い面を持っている
- 大型犬らしく、平均寿命は10歳~13歳程度と、全体的に見れば短命になりがち
- その生涯にきちんと責任を持ち、一生涯のお世話をすることを覚悟する
- 飼い主や家族ときちんと信頼関係を築き、無用なトラブルを避けるようにする
目次
ドーベルマンを飼う前に知っておきたい基本情報

ドーベルマンとの生活を夢見ているあなたが、まず知っておくべき基本的な情報をまとめました。
歴史的背景から性格、健康面、そしてドーベルマンと暮らすことの喜びと覚悟まで、深く理解することが後悔しないための第一歩となります。
ドーベルマンの歴史と特徴
ドーベルマンは、19世紀末にドイツで誕生した比較的新しい犬種です。作出者の名前はカール・フリードリヒ・ルイス・ドーベルマン氏で、彼は収税吏として働く傍ら、自身の身を守るための警備犬として、勇敢で知的な犬の作出を目指しました。
その結果、ジャーマン・ピンシャー、ロットワイラー、ワイマラナー、マンチェスター・テリアなど、さまざまな犬種の優れた特性を掛け合わせてドーベルマンが誕生したと言われています。ドーベルマンの身体的特徴は以下の通りです。
特徴項目 | 詳細 |
---|---|
体高 | 男の子:約68~72cm 女の子:約63~68cm |
体重 | 男の子:約40~45kg 女の子:約32~35kg |
体型 | 筋肉質で引き締まり、力強さと優雅さを兼ね備えたスクエアな体型。 |
被毛 | 短く硬い光沢のあるシングルコート。 毛色はブラック、ブラウンが主流で、他にブルーやイザベラ(フォーン)などがあります。 胸やマズル、四肢などに見られる特徴的なタン(黄褐色の斑)もドーベルマンの魅力のひとつです。 |
断尾・断耳 | かつては警戒心を高め、作業効率を上げる目的や外見上の理由から断尾・断耳が行われていました。 近年では動物愛護の観点から、多くの国で禁止または推奨されていません。 日本でも、自然な姿のドーベルマンが増えています。 |
その洗練された外見と高い能力から、警察犬や軍用犬、ショードッグとしても活躍してきました。日本でもその精悍な姿と賢さで人気のある犬種のひとつです。
ドーベルマンの性格 賢さと警戒心
ドーベルマンは非常に賢く、学習能力が高い犬種として知られています。スタンレー・コレン博士の犬の知能ランキングでは常に上位に位置し、飼い主の指示をよく理解し、訓練にも意欲的に取り組みます。飼い主や家族に対しては深い愛情と忠誠心を示し、時には甘えん坊な一面も見せることがあります。
一方で、警戒心が強く、見知らぬ人や物音に対して敏感に反応する傾向があります。これは護衛犬としての本能的な性質であり、番犬としての適性が高いことを意味します。しかし、この警戒心が過度にならないよう、子犬の頃からの適切な社会化トレーニングが非常に重要です。他の犬や人、さまざまな環境に慣れさせることで、落ち着きのある頼れるパートナーへと成長します。
活発でエネルギッシュな面も持ち合わせているため、毎日の運動や遊びを通してエネルギーを発散させてあげることも、精神的な安定につながります。ドーベルマンの性格は、飼い主の接し方や環境によって大きく左右されることを理解しておきましょう。
ドーベルマンの平均寿命と健康
ドーベルマンの平均寿命は一般的に10歳から13歳程度とされています。これは大型犬としては平均的な長さですが、個体差や飼育環境、健康管理によって大きく変わってきます。
遺伝的にかかりやすいとされる病気もいくつか存在します。代表的なものとしては、拡張型心筋症(DCM)や股関節形成不全、ウォブラー症候群(頸部脊椎不安定症)、胃捻転・胃拡張症候群などが挙げられます。
これらの病気については、後の章で詳しく解説しますが、定期的な健康診断や適切な食事管理、適度な運動を心がけることで、リスクを軽減したり早期発見につなげたりすることが可能です。
健康で長生きしてもらうためには、日頃からの細やかな観察とケアが欠かせません。信頼できる獣医師を見つけ、定期的に健康状態をチェックしてもらうことが大切です。
ドーベルマンを飼う魅力と大変なこと
ドーベルマンとの生活は、多くの魅力に溢れていますが、同時に大変な面も理解しておく必要があります。これらを総合的に考慮し、ご自身のライフスタイルや覚悟と照らし合わせて判断することが重要です。
ドーベルマンを飼う魅力
知性と忠誠心:非常に賢く、訓練性能が高いため、信頼関係を築ければ最高のパートナーになります。飼い主や家族に対しては非常に忠実で、深い愛情を示します。
洗練された容姿:筋肉質で引き締まった体は美しく、その立ち姿は気品に満ちています。一緒にいるだけで誇らしい気持ちにさせてくれるでしょう。
頼りになる存在:警戒心と護衛本能から、家族を守ろうとする頼もしさがあります。適切な訓練を行えば、心強い番犬にもなります。
アクティブな生活:エネルギッシュな犬種なので、一緒にドッグスポーツを楽しんだり、アウトドア活動を共にしたりと、アクティブなライフスタイルを送りたい方に最適です。
ドーベルマンを飼う上で大変なこと
十分な運動量の確保:毎日かなりの運動量を必要とします。朝晩の散歩はもちろん、時には思い切り走り回れるような運動も取り入れる必要があります。
一貫したしつけと社会化:賢い反面、力も強く警戒心も持つため、子犬の頃からの一貫したしつけと十分な社会化トレーニングが不可欠です。飼い主にはリーダーシップと忍耐力が求められます。
遺伝性疾患への配慮:かかりやすい遺伝性疾患があるため、定期的な健康診断や医療費への備えが必要です。信頼できるブリーダーから迎えることも重要になります。
周囲からの誤解:その精悍な外見から「怖い犬」というイメージを持たれがちです。飼い主は周囲への配慮を忘れず、ドーベルマンの正しい姿を理解してもらう努力も必要になることがあります。
飼育スペースと費用:大型犬であるため、ある程度の飼育スペースが必要です。また、食費や医療費、しつけにかかる費用なども小型犬に比べて高くなる傾向があります。
ドーベルマンは、飼い主の愛情と努力に応えてくれる素晴らしい犬種です。しかし、その特性を十分に理解し、責任を持って終生飼育できるか、慎重に検討することが何よりも大切です。
ドーベルマンの飼い方 準備編

ドーベルマンとの生活を夢見ているあなたへ。この章では、ドーベルマンを家族として迎える前に知っておくべき準備について、具体的なステップを追いながら詳しく解説します。
しっかりとした準備が、ドーベルマンとの幸せな共生への第一歩となります。後悔しないためにも、一つ一つの項目を丁寧に確認していきましょう。
ドーベルマンを迎えるための心構え
ドーベルマンを迎えるということは、ひとつの命を預かり、その生涯に責任を持つということです。ドーベルマンは非常に賢く、身体能力も高い犬種ですが、その特性を理解し、適切に接する必要があります。
まず、家族全員がドーベルマンを迎えることに賛成し、協力体制を築けるかを確認しましょう。また、毎日の散歩や運動、しつけ、そして時には高額になる可能性のある医療費など、時間的、体力的、経済的な負担を長期にわたって負う覚悟が必要です。
特に、ドーベルマンの力強さと警戒心をコントロールできるだけの知識と体力、そして忍耐強い愛情が求められます。
ドーベルマンの飼育に必要な環境づくり
ドーベルマンが安心して快適に暮らせる環境を整えることは、飼い主の重要な責任です。安全でストレスの少ない住環境は、ドーベルマンの心身の健康を維持する上で不可欠と言えるでしょう。
室内飼いのポイント
ドーベルマンは家族とのコミュニケーションを重視する犬種であり、基本的には室内での飼育が推奨されます。暑さ寒さにそれほど強くないため、エアコンなどで室温を適切に管理できる環境が必要です。床材は滑りにくいものを選び、関節への負担を軽減しましょう。
フローリングの場合は、カーペットやマットを敷くなどの対策を講じると良いでしょう。また、ドーベルマンが落ち着いて過ごせる自分だけのスペースとして、ケージやクレートを用意してあげることが大切です。
必要なスペースと安全対策
ドーベルマンは大型犬であり、成犬になるとかなりの大きさになります。室内で飼育する場合でも、ある程度の広さを確保できることが望ましいです。ケージやサークルは、ドーベルマンが立ったり伏せたり、方向転換したりするのに十分な大きさのものを選びましょう。
また、室内には誤飲の危険があるもの(電気コード、薬品、小さな小物など)を置かない、あるいはドーベルマンの手の届かない場所に保管するなど、徹底した安全対策が求められます。特に子犬のうちは好奇心旺盛で何でも口にしてしまう可能性があるため、注意が必要です。
ドーベルマン飼育に必要な用品リスト
ドーベルマンを迎えるにあたり、事前に揃えておくべき用品がいくつかあります。快適で安全な生活を送るために必要な基本的なアイテムをリストアップしました。これらを参考に、抜け漏れなく準備を進めましょう。
用品カテゴリ | 主な用品 | 備考 |
---|---|---|
居住スペース | ケージ、サークル、クレート、ベッド、マット | 成犬時のサイズを考慮して選びましょう。 |
食事関連 | ドッグフード、食器(フード用・水用)、おやつ | 食器は安定性があり、洗いやすいものがおすすめです。 |
トイレ関連 | トイレトレー、ペットシーツ、消臭スプレー | 室内での排泄トレーニングに必要です。 |
散歩・運動関連 | 首輪、ハーネス、リード、うんち袋 | 成長に合わせてサイズ調整できるものが便利です。 |
お手入れ用品 | ブラシ、シャンプー、リンス、爪切り、イヤークリーナー、歯ブラシ | 定期的なケアで健康を維持します。 |
おもちゃ | 知育トイ、ボール、ロープなど | ストレス解消やコミュニケーションに役立ちます。 |
その他 | キャリーバッグ(通院時など)、温度計・湿度計 | 必要に応じて準備しましょう。 |
これらの用品は、ペットショップやオンラインストアなどで購入できます。ドーベルマンの成長に合わせて買い替えが必要になるものもあるため、計画的に準備しましょう。
ドーベルマンの入手方法と選び方
ドーベルマンを家族に迎えるには、いくつかの方法があります。それぞれの方法にメリットとデメリットがあるため、ご自身の状況や考え方に合わせて最適な選択をすることが大切です。どのような方法で迎えるにしても、健康で性格の良いドーベルマンを選ぶことが重要です。
信頼できるブリーダーの見つけ方
ドーベルマンの犬種標準を深く理解し、健全な繁殖を心がけているブリーダーから迎えることは、健康面や気質面で安心感が高い選択肢のひとつです。
信頼できるブリーダーは、親犬の遺伝的疾患の検査結果を開示し、飼育環境を清潔に保ち、子犬の社会化にも力を入れています。犬舎を見学させてもらい、親犬や兄弟犬の様子、ブリーダーの知識や人柄などを直接確認することが推奨されます。
インターネットの口コミだけでなく、犬種クラブや動物病院などからの情報も参考にすると良いでしょう。
保護犬を迎えるという選択肢
さまざまな事情で飼い主を失ったドーベルマンが、新しい家族を待っている場合があります。保護犬を迎えることは、命を救うという大きな意義のある選択肢です。保護団体や動物愛護センターなどで情報を得ることができます。
成犬の場合、性格や健康状態がある程度把握できているというメリットがありますが、過去の経験からトラウマを抱えている可能性も考慮し、専門家のアドバイスを受けながら慎重に関係を築いていく必要があります。譲渡には審査や条件がある場合が一般的です。
ドーベルマンを飼うための初期費用と年間費用
ドーベルマンを飼育するには、相応の費用がかかります。迎える前の初期費用だけでなく、生涯にわたって必要となる年間費用もしっかりと把握しておくことが大切です。計画的な資金準備は、安心してドーベルマンとの生活を送るために不可欠です。
費用の種類 | 主な内訳 | おおよその目安(大型犬の場合) |
---|---|---|
初期費用 | ・生体価格 ・ワクチン接種費用 ・畜犬登録費用 ・飼育用品一式購入費用 | 20万円~60万円以上 (生体価格により大きく変動) |
年間費用 | ・ドッグフード代 ・おやつ代 ・ペットシーツなどの消耗品費 ・定期的なワクチンなどの医療費 ・トリミング代 ・ペット保険料 ・しつけ教室やドッグラン利用料 など | 年間20万円~40万円程度 (健康状態やライフスタイルによる) |
これらの費用はあくまで目安であり、個体差や飼育環境、利用するサービスによって変動します。特に、ドーベルマンは大型犬であるため、食費や医療費が他の小型犬・中型犬に比べて高額になる傾向があります。
万が一の病気や怪我に備えて、ペット保険への加入も検討しておくと安心です。経済的な見通しを立て、無理なく飼育を続けられるかしっかりと確認しましょう。
ドーベルマンの飼い方 実践編 日常の世話

ドーベルマンとの生活を豊かで健やかなものにするためには、日々の適切な世話が欠かせません。
エネルギッシュで知的な彼らの特性を理解し、愛情を持って接することで、ドーベルマンは最高のパートナーとなってくれるでしょう。
この章では、食事、運動、お手入れといった日常の世話について、具体的な方法を詳しく解説します。
ドーベルマンの食事選びと与え方
ドーベルマンの健康を維持し、その能力を最大限に引き出すためには、バランスの取れた質の高い食事が非常に重要です。
食事は体を作る基本であり、活動的なドーベルマンにとってはエネルギー源そのものです。ここでは、適切な食事選びと与え方について見ていきましょう。
ドッグフードと手作り食の比較
ドーベルマンの食事には、主に市販のドッグフードと手作り食の選択肢があります。それぞれにメリットとデメリットがあるため、愛犬の状況や飼い主のライフスタイルに合わせて選ぶことが大切です。
食事の種類 | メリット | デメリット |
---|---|---|
ドッグフード | ・栄養バランスが調整されている ・手軽に準備できる ・種類が豊富で選びやすい ・保存性が高い | ・添加物が含まれる場合がある ・個体のアレルギーに対応しにくいことがある ・原材料の品質が見えにくい場合がある |
手作り食 | ・食材を自分で選べるため安心 ・アレルギーに対応しやすい ・添加物を避けられる ・愛犬の好みに合わせやすい | ・栄養バランスの調整が難しい ・調理に手間と時間がかかる ・食材の知識が必要 ・コストが高くなる場合がある |
ドッグフードを選ぶ際は、ドーベルマンのような大型犬に適した、高品質なタンパク質を主原料とするものを選びましょう。「総合栄養食」と記載された製品であれば、それと水だけで必要な栄養が摂取できます。
手作り食に挑戦する場合は、必ず獣医師に相談し、栄養バランスについて指導を受けるようにしてください。栄養の偏りは、深刻な健康問題を引き起こす可能性があります。
年齢や活動量に合わせた食事量
ドーベルマンに与える食事の量は、年齢、体重、活動量、健康状態によって調整する必要があります。成長期の子犬、活動的な成犬、運動量が減る老犬では、必要とするカロリーや栄養素が異なります。
子犬期(生後2か月~1歳半頃)は、成長のために高タンパク・高カロリーな子犬用フードを、パッケージに記載された量を目安に1日3~4回に分けて与えます。急激な成長は骨関節に負担をかけるため、適切な体重管理が重要です。
成犬期(1歳半~7歳頃)は、体格と運動量に見合った量の成犬用フードを1日2回に分けて与えるのが一般的です。理想的な体型を維持できるよう、定期的に体重を測定し、食事量を調整しましょう。肋骨がうっすらと触れる程度が目安です。
老犬期(7歳頃~)は、基礎代謝が落ち、運動量も減るため、消化しやすく低カロリーなシニア用フードに切り替えることを検討します。関節ケア成分や抗酸化成分が配合されたフードも良いでしょう。食事回数は1日2回が基本ですが、消化機能の衰えに合わせて少量ずつ複数回に分けることもあります。
また、避妊・去勢手術後は太りやすくなる傾向があるため、食事量やフードの種類を見直す必要があります。常に新鮮な水が飲めるようにしておくことも忘れないでください。
ドーベルマンに必要な運動量と散歩のコツ
ドーベルマンは非常にエネルギッシュで運動能力が高い犬種です。適切な運動は、彼らの身体的健康だけでなく、精神的な安定にも不可欠です。運動不足はストレスや問題行動の原因となるため、毎日の運動時間をしっかりと確保しましょう。
毎日の散歩時間と内容
ドーベルマンには、1日に最低でも2回、それぞれ1時間以上の散歩が必要です。単に歩くだけでなく、早歩きやジョギングを取り入れたり、安全な場所でボール遊びをしたりするなど、運動強度に変化をつけると良いでしょう。散歩は、運動欲求を満たすだけでなく、社会性を育み、飼い主との絆を深める大切な時間です。
散歩コースは時々変更し、さまざまな刺激に触れさせることで、ドーベルマンの知的好奇心を満たすことができます。ただし、他の人や犬に迷惑をかけないよう、リードは必ず着用し、コントロールできる状態を保つことが重要です。
特に、人や他の犬に対して警戒心を見せる場合は、専門家の指導のもとで散歩トレーニングを行うことをおすすめします。
ドッグランや遊びでの運動
毎日の散歩に加えて、ドッグランなどで自由に走り回る機会を作ることも、ドーベルマンのストレス解消に繋がります。ドッグランを利用する際は、他の犬との相性やマナーを守り、愛犬から目を離さないようにしましょう。
また、アジリティやフライングディスクといったドッグスポーツも、ドーベルマンの知性と運動能力を活かせる素晴らしい活動です。
室内でも、知育トイを使ったノーズワークや、引っ張りっこなどの遊びを取り入れることで、運動不足の解消や退屈しのぎになります。ただし、室内での激しい運動は関節に負担をかける可能性があるため、床が滑らないようにマットを敷くなどの配慮が必要です。ドーベルマンは賢いため、頭を使う遊びも喜びます。
ドーベルマンのお手入れ方法
ドーベルマンは短毛種ですが、定期的にお手入れを行うことで、皮膚や被毛を健康に保ち、病気の早期発見にも繋がります。お手入れは、愛犬とのコミュニケーションの時間としても大切です。
ブラッシングの頻度と方法
ドーベルマンの被毛は短く光沢がありますが、抜け毛はあります。週に2~3回程度、ラバーブラシや獣毛ブラシを使ってブラッシングを行いましょう。
ブラッシングは、抜け毛を取り除くだけでなく、血行を促進し、皮膚の新陳代謝を活発にする効果があります。毛並みに沿って優しくブラッシングし、皮膚を傷つけないように注意してください。換毛期には、ブラッシングの回数を増やすと良いでしょう。
シャンプーと耳掃除 爪切り
シャンプーは、月に1~2回程度、または汚れが気になるときに行います。洗いすぎは皮膚の乾燥を招くため注意が必要です。犬用の低刺激シャンプーを使用し、目や耳にお湯が入らないように気をつけながら、優しく洗いましょう。すすぎ残しがないように、しっかりと洗い流すことが大切です。シャンプー後は、タオルドライとドライヤーで完全に乾かします。
ドーベルマンは垂れ耳のため、耳の中が蒸れて外耳炎などのトラブルを起こしやすい傾向があります。週に1回程度、イヤーローションを染み込ませたコットンで優しく拭き取るように耳掃除をしましょう。耳の奥まで綿棒などを入れるのは危険なので避けてください。耳垢の色や臭いに異常がある場合は、動物病院を受診しましょう。
爪切りは、月に1~2回程度、爪が伸びて床を歩く際にカチャカチャと音がするようになったら行います。犬用の爪切りを使用し、血管や神経を傷つけないように少しずつ切ります。ドーベルマンの爪は黒いことが多く、血管が見えにくいため、自信がない場合は動物病院やトリミングサロンにお願いするのが安全です。狼爪(ろうそう)がある場合は、忘れずに切りましょう。
これらのお手入れは、子犬の頃から慣れさせておくことが重要です。お手入れの時間を楽しいものと認識させることで、成犬になってもスムーズに行えるようになります。
ドーベルマンのしつけ方 賢さを活かす訓練

ドーベルマンは非常に賢く、訓練性能が高い犬種です。その知的好奇心と学習意欲を最大限に引き出すためには、適切な時期に正しい方法でしつけを行うことが重要になります。
飼い主との信頼関係を基盤とし、ドーベルマンの特性を理解した上で、根気強く愛情を持って接することが、成功への鍵となるでしょう。
この章では、ドーベルマンの賢さを活かした効果的なしつけの方法について、具体的なステップを追いながら詳しく解説していきます。
ドーベルマンのしつけを始める時期と基本方針
ドーベルマンのしつけは、子犬が新しい環境に慣れた生後2~3か月頃から始めるのが理想的です。この時期の子犬は吸収力が高く、社会性や基本的なルールをスムーズに学ぶことができます。成犬になってからでもしつけは可能ですが、子犬の頃から始める方がより効果的でしょう。
しつけの基本方針として最も大切なのは、一貫性を持った態度で接することです。家族全員が同じルールでしつけを行い、犬を混乱させないようにしましょう。
また、ドーベルマンは賢いが故に、飼い主の矛盾した指示や甘やかしを見抜きます。そのため、褒める時と叱る時のメリハリをつけ、犬が理解しやすいように導くことが求められます。
ポジティブリンフォースメント(陽性強化)、つまり良い行動をしたら褒めたりご褒美を与えたりする方法を中心に、楽しく学習できる環境を作ってあげることが、ドーベルマンの能力を伸ばす上で非常に効果的です。
信頼関係を築くための接し方
ドーベルマンとの強固な信頼関係は、すべてのしつけの基礎となります。彼らは飼い主に対して忠実で愛情深い反面、感受性が豊かで警戒心も持ち合わせています。そのため、日々のコミュニケーションを通じて安心感と愛情を伝えることが不可欠です。
具体的には、優しく声をかけながら撫でたり、一緒に遊んだりする時間を大切にしましょう。ドーベルマンは飼い主との触れ合いを喜びます。また、食事や散歩など、日常の世話を通じて、あなたが頼れるリーダーであることを示していくことも重要です。
ただし、力で押さえつけるような威圧的な態度は逆効果となり、恐怖心や不信感を抱かせてしまう可能性があります。常に冷静で、愛情深く、そして毅然とした態度で接することで、ドーベルマンはあなたを信頼し、喜んで指示に従うようになるでしょう。
ドーベルマンの基本的なしつけコマンド
日常生活や安全のために、基本的なコマンドを教えることは非常に重要です。ドーベルマンは学習能力が高いため、正しい方法で根気よく教えれば、比較的スムーズに覚えてくれるでしょう。コマンドを教える際は、短い言葉で、はっきりとした声で指示を出すことがポイントです。
おすわり ふせ まて
これらのコマンドは、犬の興奮を抑えたり、安全を確保したりする上で役立ちます。ご褒美(おやつや褒め言葉)を使いながら、楽しくトレーニングを進めましょう。
コマンド | 教え方のポイント | 期待する行動 |
---|---|---|
おすわり | おやつを犬の鼻先から頭の上へゆっくり移動させると、自然にお尻が下がる体勢になります。 お尻が地面に着いたら「おすわり」と言い、すぐに褒めてご褒美を与えます。 | 指示で座った状態になる。 |
ふせ | 犬がおすわりした状態で、おやつを犬の鼻先から地面へ、そして手前へゆっくりと誘導します。 犬が前足を伸ばして伏せの体勢になったら「ふせ」と言い、褒めてご褒美を与えます。 | 指示で腹ばいの状態になる。 |
まて | 「おすわり」や「ふせ」をさせた後、手のひらを犬に向けながら「まて」と指示します。 最初は数秒から始め、できたら褒めてご褒美を与えます。 徐々に時間を延ばしたり、飼い主が離れたりする距離を伸ばしていきます。 | 指示された場所で動かずに待つ。 |
リーダーウォーク 散歩のしつけ
ドーベルマンは大型犬であり、力も強いため、散歩のしつけは特に重要です。飼い主の横について歩く「リーダーウォーク」を教えることで、犬が飼い主を引っ張ることなく、安全で快適な散歩ができるようになります。リーダーウォークは、飼い主が主導権を握っていることを犬に理解させる上でも効果的です。
練習を始める際は、静かで落ち着いた環境を選びましょう。犬が前に出ようとしたら、リードを軽く引いて制止し、正しい位置に戻ったら褒めます。
犬が飼い主のペースに合わせて歩けるようになったら、徐々に散歩の時間を延ばしたり、さまざまな場所に連れて行ったりして慣らしていきましょう。一貫した指示と根気強い練習が成功の鍵となります。
ドーベルマンの社会化トレーニングの重要性
ドーベルマンの警戒心の強さを考慮すると、子犬期の社会化トレーニングは非常に重要です。社会化とは、犬が人間社会のさまざまな刺激(他の犬や人、物音、場所など)に慣れ、適切に対応できるようになるための学習過程を指します。社会化が不足すると、過度な警戒心や恐怖心から、吠え癖や攻撃性などの問題行動に繋がる可能性があります。
社会化トレーニングは、ワクチンプログラムが完了し、獣医師の許可が得られたら、できるだけ早い時期から始めましょう。具体的には、さまざまな年齢の人々や、他の犬と穏やかに触れ合わせる機会を作ることが大切です。公園やドッグラン、パピークラスなどを利用するのも良いでしょう。
また、車の音やサイレン、雷の音など、日常生活で遭遇するさまざまな音にも慣れさせておくことが望ましいです。これらの経験を通じて、ドーベルマンは新しい環境や状況に対して落ち着いて対応できるようになり、より穏やかで社交的な性格に育ちます。
ドーベルマンの問題行動と対処法
どれほど賢いドーベルマンでも、接し方や環境によっては問題行動が見られることがあります。早期発見と適切な対処が、問題の深刻化を防ぐために重要です。問題行動の背景には、ストレス、運動不足、退屈、コミュニケーション不足、あるいは誤った学習などが考えられます。
吠え癖 噛み癖の予防と対策
ドーベルマンの吠え癖や噛み癖は、飼い主にとって大きな悩みのひとつとなり得ます。これらの行動は、警戒心、縄張り意識、不安、興奮、あるいは遊びの延長など、さまざまな原因によって引き起こされます。
吠え癖の予防と対策としては、まず、無駄吠えの原因を特定することが大切です。要求吠えの場合は無視を徹底し、警戒吠えの場合は安心感を与えるように努めましょう。十分な運動や遊びでエネルギーを発散させることも効果的です。インターホンや来客に対して吠える場合は、落ち着いて対応できるようにトレーニングを行います。
噛み癖の予防と対策については、子犬の頃から甘噛みを許容しないことが重要です。遊びの中で手や足を噛んできたら、低い声で「いけない」と伝え、遊びを一時中断します。噛んでも良いおもちゃを与え、エネルギーを発散させることも大切です。
成犬になっても噛み癖が治らない場合や、攻撃的な噛みつきが見られる場合は、専門のドッグトレーナーや獣医師に相談することを強く推奨します。自己流の対処は問題を悪化させる可能性があるため、専門家のアドバイスを仰ぎましょう。
ドーベルマンの健康管理と病気対策

ドーベルマンとの暮らしを長く楽しむためには、日々の健康管理と病気への対策が非常に重要です。彼らは遺伝的にかかりやすい病気もいくつか存在するため、飼い主として正しい知識を持ち、愛情を持ってケアすることが求められます。ここでは、ドーベルマンの健康を守るために知っておくべきポイントを詳しく解説します。
ドーベルマンがかかりやすい病気と予防法
ドーベルマンは、特定の病気にかかりやすい傾向がある犬種です。これらの病気について事前に理解し、予防策を講じること、そして万が一発症した場合でも早期発見・早期治療につなげることが、愛犬の健康寿命を延ばす鍵となります。ここでは代表的な病気とその予防法についてご紹介します。
拡張型心筋症 DCM
拡張型心筋症(DCM)は、心臓の筋肉が薄くなり、心室が拡張してしまうことで血液を全身にうまく送り出せなくなる病気です。ドーベルマンが特に注意すべき遺伝性疾患の一つとされています。
初期には症状が現れにくいこともありますが、進行すると疲れやすい、咳が出る、呼吸が苦しそう、失神するなどの症状が見られます。残念ながら完治が難しい病気ですが、定期的な心臓検査(心エコー検査など)による早期発見と、内科的治療による症状のコントロールで、生活の質を維持することが可能です。
予防としては、遺伝的要因が大きいため完全な予防は難しいものの、心臓に負担をかけないバランスの取れた食事管理や適切な運動、定期的な健康診断が重要です。特に血統的にリスクがある場合は、若いうちから獣医師と相談し、検査計画を立てることをおすすめします。
股関節形成不全
股関節形成不全は、股関節の発育異常により、関節が緩くなったり変形したりする病気です。大型犬に多く見られ、ドーベルマンも例外ではありません。
症状としては、歩行時に腰を左右に振る(モンローウォーク)、運動を嫌がる、立ち上がりにくそうにする、後肢の筋肉が落ちるなどが見られます。遺伝的要因と環境的要因(成長期の急激な体重増加、過度な運動、滑りやすい床など)が関与していると考えられています。
予防としては、成長期における適切な体重管理と栄養バランスの取れた食事、関節に負担をかけすぎない運動、そして滑りにくい床材を選ぶなどの環境整備が挙げられます。
子犬の頃にレントゲン検査で早期に発見し、獣医師の指導のもとで適切な管理を行うことが進行を遅らせるために大切です。
ウォブラー症候群(頚部脊椎不安定症)
ウォブラー症候群は、首の骨(頚椎)の奇形や不安定性により、脊髄が圧迫されて神経症状を引き起こす病気です。ドーベルマンやグレートデンなどの大型犬種に好発します。
症状としては、首の痛み、歩行時のふらつき(特に後肢)、四肢の麻痺などが見られ、進行すると起立困難になることもあります。遺伝的な素因が関与していると考えられていますが、明確な予防法は確立されていません。
しかし、首に過度な負担をかけるような遊びや訓練(急な方向転換を伴うものなど)を避けること、体重管理に気をつけることなどが推奨されます。
歩き方におかしな点が見られたり、首を触られるのを嫌がったりするなどの兆候があれば、速やかに獣医師の診察を受けましょう。
胃拡張捻転症候群
胃拡張捻転症候群は、胃がガスや食物で異常に膨らみ(胃拡張)、さらに捻じれてしまう(胃捻転)ことで、命に関わる緊急性の非常に高い病気です。胸の深い大型犬に多く、ドーベルマンも注意が必要です。
症状としては、急にお腹が膨れる、吐こうとしても吐けない、大量のよだれ、落ち着きがない、呼吸が苦しそう、虚脱するなどが見られます。食後の急な運動、早食い、水のガブ飲み、一回に大量の食事を与えることなどが誘因となると言われています。
予防策としては、食事を1日に2~3回に分けて与える、食後1~2時間は安静にさせる、早食い防止用の食器を使用する、ストレスの少ない環境を整えることなどが挙げられます。疑わしい症状が見られたら、一刻も早く動物病院を受診してください。
定期的な健康診断とワクチン接種
ドーベルマンの健康を維持するためには、定期的な健康診断と適切なワクチン接種が不可欠です。健康診断は、病気の早期発見・早期治療に繋がり、愛犬の生活の質(QOL)を高く保つために非常に重要です。
成犬であれば年に1回、7歳以上のシニア期に入ったら半年に1回程度の健康診断が推奨されますが、犬の年齢や健康状態によって適切な頻度は異なりますので、かかりつけの獣医師と相談しましょう。健康診断では、身体検査、血液検査、尿検査、糞便検査などに加え、必要に応じてレントゲン検査、超音波検査、心電図検査などが行われます。
また、ワクチン接種は、ジステンパーやパルボウイルス感染症などの致死的な感染症からドーベルマンを守るために非常に重要です。子犬の時期には複数回の混合ワクチン接種が必要となり、その後は年に1回の追加接種が一般的です。
狂犬病予防接種は法律で義務付けられていますので、必ず毎年接種しましょう。どのワクチンをいつ接種するかについては、生活環境や地域での流行状況などを考慮して獣医師とよく相談して決定することが大切です。
ドーベルマンの日常でできる健康チェックポイント
日々の生活の中で飼い主さんが愛犬の様子を観察することは、病気の早期発見に繋がる最も重要な習慣です。
ドーベルマンのちょっとした変化に気づけるよう、以下のポイントを参考に毎日チェックしましょう。何か普段と違う様子が見られたら、自己判断せずに早めに動物病院を受診することが大切です。
チェック項目 | 観察ポイント |
---|---|
食欲・飲水量 | いつも通りの量を食べているか、急に増えたり減ったりしていないか。水の飲み方はどうか。 |
元気・活気 | 普段と比べて元気がない、ぐったりしている、散歩に行きたがらないなどはないか。 |
排便・排尿 | 便の色、硬さ、回数、量に変化はないか(下痢、便秘、血便など)。 尿の色、量、回数、排尿時の様子(痛がる、時間がかかるなど)はどうか。 |
目 | 目やにが多くないか、白目が充血していないか、涙が多くないか、目をしょぼしょぼさせていないか。 |
耳 | 耳垢が多くないか、変な臭いがしないか、赤みや腫れはないか、頻繁に頭を振ったり耳を掻いたりしていないか。 |
鼻 | 鼻水が出ていないか、乾きすぎていないか、くしゃみを頻繁にしていないか。 |
口 | 口臭が強くなっていないか、歯石が付着していないか、歯茎の色はピンク色か、よだれが多くないか。 |
皮膚・被毛 | フケが多くないか、部分的に毛が抜けていないか、赤みや湿疹、しこりなどがないか、体を痒がっていないか。 |
歩行状態 | 足を引きずっていないか、ふらついたり、関節を痛そうにしたりしていないか。 |
呼吸 | 呼吸が速くないか、咳をしていないか、ゼーゼーという音がしないか。 |
体重 | 急激な体重の増減はないか。定期的に体重を測定しましょう。 |
老犬ドーベルマンのケアと注意点
ドーベルマンも7歳を過ぎる頃からシニア期に入り、徐々に老化のサインが見られるようになります。若い頃と同じような生活が難しくなることもありますが、飼い主さんの適切なケアと愛情によって、快適なシニアライフを送らせてあげることが可能です。運動能力の低下、視力や聴力の衰え、免疫力の低下、内臓機能の低下など、さまざまな変化に対応していく必要があります。
食事は、消化しやすく、低カロリーで高品質なタンパク質を含むシニア用のフードに切り替えることを検討しましょう。関節の健康をサポートする成分(グルコサミンやコンドロイチンなど)や、抗酸化成分が配合されたものも良いでしょう。
運動は、若い頃のような激しいものではなく、関節に負担をかけない程度の散歩や、気分転換になるような軽い遊びを心がけましょう。無理強いは禁物です。
足腰への負担軽減は早い時期から
生活環境においては、段差をなくしたりスロープを設置したり、滑りにくい床材に変えたりするなどのバリアフリー化が有効です。寝床も、体圧分散に優れたクッション性の高いものを用意してあげるとよいでしょう。
また、体温調節が難しくなるため、夏場の暑さ対策や冬場の寒さ対策も重要です。定期的な健康診断の頻度も、半年に一度など、獣医師と相談して増やしていくことをおすすめします。認知症の兆候(夜鳴き、徘徊、トイレの失敗など)が見られることもありますので、そのような場合は獣医師に相談し、適切なサポートを受けましょう。
何よりも大切なのは、愛犬に寄り添い、変化を敏感に察知し、愛情を持って接することです。穏やかで幸せなシニア期を過ごせるよう、最善を尽くしてあげてください。
ドーベルマンの飼い方に関するQ&A
ドーベルマンとの生活を始めるにあたり、多くの方が抱く疑問や不安にお答えします。ここでは、代表的な質問とその回答をまとめました。ドーベルマンとのより良い関係を築くための参考にしてください。
ドーベルマンは初心者でも飼える?
ドーベルマンは非常に賢く、訓練性能も高い犬種ですが、その一方でパワフルで警戒心も持ち合わせています。そのため、犬の飼育経験が全くない初心者の方にとっては、ややハードルが高い犬種と言えるでしょう。
しかし、不可能というわけではありません。ドーベルマンの特性を深く理解し、子犬の頃から一貫性のあるしつけと社会化トレーニングを根気強く行う覚悟があれば、初心者の方でも素晴らしいパートナーになれる可能性はあります。
重要なのは、飼育に関する知識を事前にしっかりと学び、必要であればプロのドッグトレーナーの指導を受けることです。
体力に自信があり、十分な時間をドーベルマンとのコミュニケーションや運動、訓練に費やせるかどうかも、検討すべき大切なポイントとなります。
ドーベルマンの飼い方で特に注意すべき点は?
ドーベルマンの飼育において特に注意すべき点はいくつかあります。これらを理解し、適切に対応することが、ドーベルマンとの幸せな共生には不可欠です。
まず、十分な運動量の確保です。ドーベルマンは非常に活動的な犬種であり、毎日の散歩に加えて、ドッグランでの自由運動や頭を使った遊びなどを取り入れ、エネルギーを発散させてあげる必要があります。運動不足はストレスや問題行動の原因となり得ます。
次に、早期からの適切なしつけと社会化です。賢いがゆえに、悪いこともすぐに覚えてしまう可能性があります。子犬の頃から毅然とした態度で、しかし愛情を持って接し、人間社会のルールや他の犬・人との適切な関わり方を教えることが重要です。特に、その外見から警戒されやすいため、周囲に威圧感を与えないような振る舞いを身につけさせることは大切です。
そして、遺伝性疾患を含む健康管理にも細心の注意を払う必要があります。ドーベルマンは拡張型心筋症(DCM)や股関節形成不全、ウォブラー症候群など、特定の病気にかかりやすい傾向があります。信頼できるブリーダーから迎えること、定期的な健康診断を受けること、そして日々の体調変化に気を配ることが、病気の早期発見・早期治療につながります。
最後に、精神的な充足感を与えることも忘れてはなりません。ドーベルマンは飼い主との強い絆を求める犬種です。十分なコミュニケーションを取り、知的好奇心を満たすような遊びやトレーニングを取り入れることで、精神的に安定した状態を保つことができます。
ドーベルマンの多頭飼いは可能?
ドーベルマンの多頭飼いや他のペットとの共生は、個々の性格や育った環境、そして飼い主の管理能力によって大きく左右されます。一概に可能とも不可能とも言えませんが、いくつかのポイントを押さえておくことが重要です。
ドーベルマン同士の多頭飼い
ドーベルマン同士の多頭飼いは、相性が合えば非常に良い関係を築けることがあります。特に異性の組み合わせは比較的スムーズにいくことが多いと言われています。
しかし、同性同士、特にオス同士の場合は縄張り意識や優位性を巡って衝突する可能性も考慮し、慎重な導入と管理が必要です。それぞれの犬に十分なスペースと飼い主の注意が向けられる環境を整えることが大切です。
他の犬種との同居
他の犬種との同居も、双方の性格や年齢、体格差、そしてドーベルマンの社会化の度合いによります。子犬の頃から一緒に育てるか、先住犬がいる場合は時間をかけて慎重に慣らす必要があります。
ドーベルマンは遊び好きですが、力が強いため、小型犬との同居では特に注意深い監督が求められます。お互いがストレスなく過ごせるよう、個別の休息スペースを確保することも重要です。
猫やその他の小動物との同居
猫やウサギ、鳥などの小動物との同居は、ドーベルマンの狩猟本能を考慮すると一般的に難しいとされています。しかし、ドーベルマンが子犬の頃から一緒に暮らし、飼い主が適切に管理・訓練を行えば、共生できるケースも存在します。
ただし、常に細心の注意を払い、絶対に目を離さない環境づくりが不可欠です。特に初対面時や慣れるまでは、物理的に接触できないようにするなどの配慮が必要です。
いずれの場合も、新しいペットを迎える際は、十分な時間をかけて段階的に慣らし、それぞれのプライベートな空間を確保することが大切です。不安な場合は、動物行動学に詳しい獣医師やドッグトレーナーなどの専門家に相談することをおすすめします。
ドーベルマンの訓練は専門家が必要?
ドーベルマンの訓練において、専門家の指導を受けることは非常に有益であり、多くの場合推奨されます。特に犬の飼育が初めての方や、大型犬の扱いに慣れていない方にとっては、プロのドッグトレーナーや訓練士のサポートが不可欠となるでしょう。
ドーベルマンは非常に賢く学習能力が高い反面、力が強く、時には頑固な一面も見せるため、誤った方法でしつけを行うと問題行動につながる可能性があります。
専門家は、ドーベルマンの犬種特性を深く理解しており、個々の犬の性格や気質に合わせた効果的な訓練方法を提案してくれます。
また、飼い主自身が正しいハンドリング方法やコミュニケーションの取り方を学ぶ上で、実践的なアドバイスを受けることができます。単に犬を訓練してもらうだけでなく、飼い主が主体となって訓練に参加し、犬との信頼関係を深めながら共に成長していく姿勢が大切です。
基本的な服従訓練から社会化トレーニング、さらには家庭犬としてのマナーまで、体系的に学ぶことで、ドーベルマンとの生活がより安全で快適なものになるでしょう。信頼できる専門家を見つけ、積極的に相談することをおすすめします。
まとめ
ドーベルマンとの生活は、その賢さと忠誠心から飼い主に大きな喜びと信頼関係を与えてくれます。
しかし、その力強さと感受性の高さゆえに、適切な飼育環境の整備、十分な運動量の確保、そして一貫したしつけが不可欠です。
この記事で解説した準備から健康管理までの知識を活かし、愛情と責任を持って接することで、ドーベルマンはかけがえのない家族の一員となるでしょう。
この記事の執筆者
nademo編集部
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