マスティフという名前を聞くと、その堂々とした体格と力強さを想像するかもしれません。この記事で主に解説するのは、「イングリッシュ・マスティフ」と呼ばれる、非常に穏やかで愛情深い性格を持つ巨大な犬種です。
しかし、「マスティフ」という言葉は、実は非常に多くの犬種を包括する大きなグループ名でもあります。世界には、イングリッシュ・マスティフの他にも、ボルドー・マスティフとして知られるドーグ・ド・ボルドーや、威厳ある姿が特徴のナポリタン・マスティフ、強靭な体を持つブルマスティフなど、さまざまなマスティフ種が存在します。それぞれが独自の歴史と特性を持っていますが、共通して言えるのは、その圧倒的な存在感と、内面に秘めた優しい心です。
この記事では、特に愛玩犬としての歴史が長く、家庭犬としての人気も高いイングリッシュ・マスティフに焦点を当て、その性格、特徴、正しい飼い方、平均寿命、そして誕生の歴史までを詳しく解説していきます。
この記事の結論
- マスティフはとても長い歴史を持ち、当時は闘犬として活躍していた
- 見た目とは違って非常に温厚で、筋肉質な上にとても力強い
- 攻撃性はかなり改善されてきており、友好的な個体が多くなってきている
- イギリス原産の犬種ではあるものの、現在では絶滅に近い個体となっている
マスティフの特徴

イギリス原産のマスティフは、非常に古い歴史を持つ犬種で、番犬や闘犬として活躍していました。野生の馬やライオンを狩りする目的でも活躍してきており、攻撃性の高い個体が多かった犬種です。
どの犬種でもこういった攻撃性は少しずつ減少してきていますが、マスティフでも同様。見た目とは裏腹に、現在では攻撃性がかなり減っており、家庭犬としても迎えられるようになっています。
「マスティフ」とだけ呼ばれることもあれば、「イングリッシュ・マスティフ」「オールド・イングリッシュ・マスティフ」とも呼ばれています。
忠誠心が強く、知能が高い
家族には従順で、番犬向き
本能的に無駄吠えしやすい
適度な運動を必要とする
その他情報
原産地 | イギリス |
犬種グループ | 2G:使役犬 |
大きさ | 大型 |
平均寿命 | 9歳~11歳 |
なりやすい病気 | 股関節形成不全,胃拡張捻転症候群,眼瞼内反症,眼瞼外反症,外耳炎 |
参考価格 | 30万円~50万円 |
被毛
抜け毛 | 多い |
毛質 | ダブルコート |
毛色 | アプリコット・フォーン,シルバー・フォーン,フォーン,ダーク・フォーン・ブリンドル |
マスティフの誕生の歴史
マスティフの祖先犬とされているのがチベタン・マスティフで、紀元前700年頃にはすでに描かれていたという記録があります。
イギリス原産で人間と共に2000年以上を生きてきているので、番犬や闘犬として幅広く活躍していました。
ローマの政治家でもあるジュリアス・シーザーがイングランド遠征時に持ち帰ったと言われており、闘犬として活躍。軍用犬としても活躍していましたが、闘技が禁止されると徐々に個体数も減少していきます。
これと同時に攻撃性が少しずつ減少するよう改良されていき、100年ほど前には現在の姿形となっています。
マスティフの身体的特徴
非常にゴツゴツとした体型をしており、どの角度から見ても正方形に近いような体躯をしています。
しわがあるため太っているようにも見えるかもしれませんが、実際にはとても筋肉質です。
耳は垂れ耳でしっぽはやや短め、手足の細さに対して体がとてもがっしりとしています。
マスティフのサイズ(体高・体重)
体高 | 男の子:75cm~ 女の子:70cm~ |
体重 | 75kg~ |
マスティフの体高は最低でも70cm以上で、体重は75kgから100kg程度が一般的です。
体高は超大型犬と言えるサイズ感であるものの、体重が大柄な人間と変わらない点には注意が必要。
仮に子どもにでも乗っかってしまうと、危険な状態になる可能性のある犬種です。
マスティフの毛色・被毛
マスティフの毛色は3種類ほどが基本となっており、フォーンとブリンドルとアプリコットです。これらの毛色を基本とし、いくつかのパターンがあります。
- アプリコット・フォーン
- シルバー・フォーン
- フォーン
- ダーク・フォーン・ブリンドル
マズルや耳、目の周りなどはブラックとなっているのもマスティフの特徴と言えるでしょう。
マスティフの運動能力
十分な運動が必要な犬種である一方で、激しい運動は必要ありません。
特に体が大きすぎるため、激しい運動を繰り返してしまうと体に必要以上の負荷がかかってしまいます。
子犬の頃は特に元気で運動好きですが、成犬になると運動量が少し減ってくるでしょう。
マスティフの見分け方
同じマスティフの名を持つ犬種とは似ている面も大きいですが、マスティフほどに大きい犬種はなかなかいません。
チベタン・マスティフとは被毛量や長さが異なりますし、ボルドー・マスティフやブル・マスティフとはサイズが異なります。
世界でもっとも重い犬種として記録されており、343ポンド(155kg)がギネスブックに登録されています。
マスティフの登録頭数
日本における犬種別犬籍登録頭数では、実は毎年のように登録されています。とは言ってもやはりとても希少な犬種であるため、数匹から数十匹程度の登録しか見られていません。
マスティフの価格
マスティフは現在のところ、お迎えできる経路がほとんどなく、また個体価格もやや高め。お迎え方法にもよりますが、一般的に30万円~50万円程度の個体価格になると考えて良いでしょう。
ペットショップでお迎えできる可能性はほぼなく、専門のブリーダーを探すことになります。
マスティフの性格・習性

マスティフは見た目の印象と少し異なる犬種なので、これを知っておくだけで全く違った魅力が見えてきます。
主に2つほどありますが、とても可愛らしく家庭犬としてもお迎えできてしまう犬種です。
穏やかでとても落ち着いている
子犬の頃はまだ少し活発な時期があるものの、成犬になるにつれて徐々に大人しくなっていきます。
場合によっては少しよそよそしく感じることもあるほど、基本的にはとても穏やかでおとなしい犬種です。
優しい巨人と呼ばれるように、優しく穏やかで攻撃性の少ない犬種になっています。
飼い主さんに対して愛情深く従順
闘犬としても活躍していたマスティフですが、現在では飼い主さんに対して従順になっています。
家族に対しても愛情深く接することができて、とても優しい心の持ち主であることがわかるはずです。
ただ、今でも番犬として非常に優秀な犬種とされており、単に優しいだけということもありません。
マスティフの注意したい病気・平均寿命・適切なケア方法

「穏やかな巨人」として知られるイングリッシュ・マスティフは、その大きな体に似合わず非常に穏やかで愛情深い犬種です。
しかし、その巨体ゆえに注意すべき特定の健康問題や、長生きさせるための適切なケアが不可欠です。
ここでは、マスティフが特に注意したい病気、平均寿命、そして日々の適切なケア方法について詳しく解説します。
マスティフが注意したい病気
マスティフはその体格ゆえに、他の犬種と比べて特定の病気にかかりやすい傾向があります。これらの病気を理解し、早期発見・早期治療に努めることが、マスティフの健康寿命を延ばすために重要です。
股関節形成不全・肘関節形成不全
- 概要: 大型犬に非常によく見られる遺伝性の疾患で、股関節や肘関節の骨の形成異常により、関節に炎症や痛みが起こります。進行すると歩行困難になることもあります。
- 症状: 散歩を嫌がる、座り方や立ち方がおかしい、足を引きずる、階段を避ける、体を触ると痛がるなどの症状が見られます。
- 注意点とケア:
- 遺伝的要因: 親犬がこの病気でないことを確認することが重要です。信頼できるブリーダーは、親犬の股関節・肘関節のX線検査を行っています。
- 体重管理: 肥満は関節への負担を大きくし、症状を悪化させます。適切な体重を維持することが非常に重要です。
- 過度な運動の制限: 特に子犬期には、急激な成長期の関節に過度な負担をかけないよう、激しい運動は避けましょう。ジャンプや滑りやすい床での運動は控えるべきです。
- サプリメント: 獣医師と相談の上、関節の健康をサポートするグルコサミンやコンドロイチンなどのサプリメントを検討することも有効です。
胃拡張捻転症候群
- 概要: 大型犬に特に多く見られる、命に関わる緊急性の高い病気です。胃がねじれてしまうことで、ガスや内容物が排出されなくなり、胃が膨らみ、血流が阻害されます。数時間以内に死に至ることもあります。
- 症状: 突然の大量のよだれ、吐こうとするが吐けない(空嘔吐)、お腹が張って硬くなる、苦しそうにうろうろする、元気がない、横になりたがらない、呼吸が速いなどの症状が見られたら、すぐに動物病院へ連れて行ってください。
- 注意点とケア:
- 食後の運動制限: 食後すぐに激しい運動をさせないことが最も重要です。食後1~2時間は運動を控えましょう。
- 食事の与え方: 1日1回ではなく、複数回(2~3回)に分けて少量ずつ与えることで、一度に大量の空気を飲み込むのを防ぎます。
- 早食い防止: 早食い防止用の食器を使用したり、フードを広げて与えたりする工夫も有効です。
- 水分補給: 食事中や食後すぐに大量の水を飲ませないよう注意しましょう。
腫瘍
- 概要: 大型犬は、高齢になると骨肉腫やリンパ腫などの腫瘍のリスクが高まると言われています。
- 症状: 体にしこりが見つかる、食欲不振、元気消失、体重減少、足を引きずるなどの症状が見られます。
- 注意点とケア:
- 定期的なボディチェック: 日頃から体を触り、しこりがないか、リンパ節が腫れていないかなど、定期的にチェックしましょう。
- 早期発見・早期治療: 異常が見られたらすぐに獣医師に相談し、早期に検査・治療を開始することが重要です。
眼瞼内反症
- 概要: 遺伝性の病気で、まぶたが内側に巻き込まれることで、まつ毛が眼球に接触し、角膜に傷をつけたり炎症を起こしたりします。
- 症状: 目やにが多い、涙が多い、目をしょぼしょぼさせる、目をこするなどの症状が見られます。
- 注意点とケア:
- 子犬期のチェック: 生後数か月から症状が出ることがあります。ブリーダーから親犬の目の健康状態を確認することも有効です。
- 早期治療: 症状が軽いうちは点眼薬で対処できますが、重度の場合は外科手術が必要になります。
マスティフの平均寿命
マスティフ(イングリッシュ・マスティフ)の平均寿命は一般的に9歳~11歳と言われています。大型犬は小型犬に比べて寿命が短い傾向にあり、マスティフも例外ではありません。
しかし、これはあくまで平均値であり、個体差や飼育環境、適切なケアによって寿命は大きく変動します。愛情深いケアと適切な健康管理を行うことで、平均寿命よりも長く生きるマスティフも多く存在します。
マスティフの適切なケア方法
マスティフが健康で快適な生活を送るためには、日々の適切なケアが不可欠です。
適切な食事管理
- 高品質な大型犬用フード: 成長段階(子犬、成犬、シニア)に合わせた、高品質な大型犬用のドッグフードを選びましょう。特に子犬期は、急激な成長を避けるため、高カロリーすぎないフードを選ぶことが関節疾患のリスク軽減につながります。
- 量と回数: 肥満防止と胃捻転予防のため、フードの量には注意し、1日2~3回に分けて与えるのが理想的です。
- 早食い防止: 早食い防止用の食器を使用したり、フードを広げて与えたりする工夫をしましょう。
適度な運動と体重管理
- 運動量: 見た目に反して運動量はそれほど多くありませんが、毎日適度な運動は必要です。1日2回、各30分~1時間程度の散歩を目安にしましょう。走るというよりは、ゆっくりと歩く運動が適しています。
- 子犬期の運動: 成長期の子犬は、特に股関節形成不全のリスクを考慮し、激しい運動やジャンプ、滑りやすい場所での運動は避けましょう。
- 階段の昇り降り: 股関節に負担がかかるため、できるだけ抱っこしたり、スロープを利用したりすることをおすすめします。
- 体重管理: 肥満は関節や心臓に大きな負担をかけ、様々な病気のリスクを高めます。獣医師と相談しながら、常に適切な体重を維持することが重要です。
被毛と皮膚のケア
- ブラッシング: 短毛ですが、抜け毛はそれなりにあります。週に数回のブラッシングで、抜け毛を取り除き、皮膚の健康を保ちましょう。特に換毛期は頻度を増やしてください。
- シワのケア: 顔や首、体にたるんだ皮膚のシワがある場合、その間に汚れや湿気が溜まりやすく、皮膚炎の原因となることがあります。毎日清潔な布でシワの間を優しく拭き、乾燥させることが重要です。
- シャンプー: 定期的なシャンプー(月に1回程度)で体を清潔に保ちましょう。シャンプー後は、皮膚病予防のため、しっかりと乾燥させることが大切です。
歯と耳、目のケア
- 歯磨き: 歯周病予防のため、毎日歯磨きを行いましょう。子犬の頃から慣れさせることが重要です。
- 耳のケア: 垂れ耳なので、通気性が悪くなりがちです。週に1回程度、耳の中をチェックし、汚れがあれば優しく拭き取りましょう。異臭や赤みがあれば獣医師に相談してください。
- 目のケア: 目やにが出やすい犬種ではありませんが、目元を清潔に保ち、異常がないか確認しましょう。
暑さ対策
- 体温管理: マスティフは暑さに非常に弱いです。高温多湿の環境では熱中症になりやすいため、夏場はエアコンなどで室内の温度管理を徹底し、散歩は早朝や夜間の涼しい時間帯に行いましょう。
- クールグッズの活用: クールマットやクールベストなどのクールグッズも有効です。
マスティフは、その大きな体ゆえに注意すべき病気がいくつかありますが、飼い主がそれらを理解し、適切なケアを継続することで、穏やかで健康的な生活を送ることができます。
日々の観察、適切な食事と運動、そして定期的な獣医師による健康チェックが、マスティフの長寿と幸せな暮らしの鍵となります。
マスティフの飼い方

マスティフをお迎えしたならば、気をつけておきたいのがお手入れの方法やしつけ面です。
かかりやすい病気は前述の通りですが、予防するために日頃のお手入れが特に重要です。
一部地域では特定犬の扱いのため要注意
穏やかな性格のマスティフですが、日本の一部地域では『特定犬』に指定されており、地域によってルールが設けられているため飼育方法には注意が必要です。
また、超大型犬のため、公共施設やペットサロンなどでも利用制限や条件が他の犬種とは異なります。
お迎え前には必ず、住んでいる地域や利用したいサービスなどのルールをしっかりと確認しておきましょう。
穏やかだが、超大型犬であることを忘れない
マスティフは穏やかでおとなしくはあるものの、あくまでも超大型犬と言えるサイズ感です。
どれだけしっかりとトレーニングをしていても、小さい頃から一緒に生活をしていても、超大型犬であることを忘れてはいけません。
ふとしたタイミングでスイッチが入ってしまう可能性もありますし、攻撃性が全くないわけでもありません。
飼い主さんがきちんとコントロールし、トラブルや咬傷事故に繋がらないよう管理する必要があるのです。
子犬の頃から徹底したしつけを行う

マスティフをきちんとコントロールするためには、子犬の頃からしっかりしつけをしていくことが大事です。
成犬になってからではなかなか難しいものの、子犬の頃から行っておけばスムーズに学習してくれやすいです。
学習能力が低いわけではありませんので、適切なしつけ手順とやり方であれば時間は多くかかりません。
激しい運動ではなく、適度な散歩を行う

体がとても大きいため、激しい運動をしてしまうと股関節や肘関節に大きな負荷がかかってしまいます。
そのため日常の散歩は徒歩を基本として、時間をしっかりと確保してあげる方がおすすめです。
走る必要はありませんので、1回あたり1時間程度を目標として1日2回をこなしてあげてください。最低でも1回あたり30分程度の散歩は必要で、不足しすぎるとストレスに感じます。
夏の暑さに弱いため、熱中症に注意する

実は暑いのが苦手なマスティフは、寒い季節や少し涼しいぐらいの時期を好みます。
被毛は短いのですが、夏の暑さはかなり苦手なので熱中症になるリスクもあります。
特に普段からよだれを垂らしやすい犬種でもあるため、暑さによるものかどうかの判断が難しくなります。
室内飼いは基本ではあるものの、室温や湿度の管理も非常に大切だと言えます。
食事はドカ食いを防ぐための工夫が必要
成犬のマスティフになると、1日に食べる量がとても多くなってきますが、一度に一気に与えるのは危険です。
胃拡張捻転症候群の原因は、早食いやドカ食い、食事後すぐの運動などと言われています。
食器は早食いを防げるような早食い防止のものにし、食事量も少しずつ与えるのがおすすめ。場合によっては1日2回ではなく、複数回にまでわけてコントロールすると良いでしょう。
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