人間と一緒に暮らす上で愛犬が噛む、ということはさまざまなトラブルを招くことがあります。
しかし、手を使えない代わりに口を使って何かをすることは愛犬にとって自然なことでもあります。
愛犬の噛み癖で困っている、という飼い主さんはたくさんいます。
特に犬と一緒に暮らすのが初めてという方は心配だったり悩みの種になってしまいますよね。
この記事では犬が噛むことについて詳しく解説しています。
また自分の体を噛んでしまう場合についても分かるようになっていますよ。
さらにしつけの方法・噛み癖の対処法についても説明していきます。
私たち飼い主が上手に対応してあげることで、愛犬との生活がより楽しくおだやかになればうれしいですね。
担当ライター
もくじ
犬にとって噛むことはごく自然な行動

犬にとって噛むということは攻撃するため、ということだけではありません。
人間のように自由に手を使えない分、口を使って器用にものを運んだりします。
また、言葉を話せない分おもちゃなどを噛むことでストレスを発散しています。
愛犬にとっては噛むことはごく自然であり、生活の上で必要なこと。
噛むことはさまざまな場面で見られるので、決して特別な行為ではないことがわかります。
しかし、犬種や体の大きさでも差は当然ありますし、犬の噛む力は強く、歯は尖っています。
本気で噛まれてしまうとケガにつながってしまう恐れがありますよね。
自分や家族だけならまだしも、状況によっては他人をケガさせてしまう可能性すらあります。
噛むことは犬の習性なので、完璧にゼロにするというわけにはいきません。
しかし、私たちの愛犬は人間社会で暮らしているためマナーも守らなければなりません。
私たち飼い主がそれぞれの愛犬に合った対処法を見つけてあげることが、とても大切になります。
飼い主は犬が噛む気持ちを知ることが大切
噛むこと=いけないこと、として愛犬を叱る前になぜ噛むのか?ということをきちんとわかってあげることが重要です。
私たち飼い主が家族である愛犬の気持ちを分かろうとしなければ、根本的な解決にはつながらないでしょう。
また、犬が噛んでしまう理由は1つだけではありません。
どんな場合・場面で噛む行為が起きているか、しっかり観察することも大切になります。
普段と違う様子がないか、などもしっかりと見てあげたいですね。
私たち飼い主がなぜ噛むのか?という点を理解し、適切に対処することで愛犬をトラブルから守ってあげられるようにしましょう。
本気噛みか、甘噛みかを判断する
「愛犬に噛まれる」といっても、それが本気噛みなのか甘噛みなのかによって、理由や対処法も変わってきます。
甘噛みとはじゃれるように噛む行為のことで、本気噛みとは違って痛くないことが大半です。
言葉を使ってコミュニケーションを取ることができず、手を使って器用に表現することもできない犬は、口を使って表現します。
そのひとつが甘噛みで、特別な危険性はないものの最初はビックリすることでしょう。
ただ、痛くない甘噛みだからといって放置しておくのもよくありません。
甘噛みであっても本気噛みであっても、しつけで直していくことが大切です。
犬が飼い主を噛む主な理由

では愛犬が飼い主を噛んでしまう主な理由をチェックしていきましょう。
全てではありませんが、以下のような原因が考えられます。
- 犬の本能から
- 恐怖心から身を守るため
- 歯が生え変わって痒い
- ストレスを抱えている
- 甘えている
- しつけが不十分
噛んでしまう場所や場面などさまざまな点から考えることで、愛犬の噛む原因を見つけてあげられるようにしたいですね。
犬の本能から
まずは本能的につい噛んでしまうケースが考えられます。
寝ている時に急に触ったりしてはいないでしょうか?また愛犬から見えない角度である後ろからなど、触ってはいないでしょうか。
愛犬が予期せぬタイミングで触ってしまったとき「びっくりした」「おもちゃを取られたくない!」などと身を守るための行動として、反射的に噛んでしまうことがあります。
本能的に身を守る・攻撃としての噛み癖は直すことが大変な場合があります。
そういった時は獣医師やドッグトレーナーなど専門家への相談も考えてみましょう。
恐怖心から身を守るため
例えば愛犬が見知らぬ人に恐怖心を持つタイプの場合、知らない人が触ろうとして、恐怖心から噛むということが多くあります。
また棒などのもので叩かれる経験をした犬は、その棒を見るだけで攻撃することもあります。
家族や他人、他の動物や物などさまざまなものが恐怖対象となり得ます。
怯えて物陰に隠れる・逃げるなどの行動の他にも、身を守るために咄嗟に噛んでしまうことがあるのです。
私たちも恐怖を感じた時に咄嗟に手で顔を覆ったりすることがあります。
愛犬が恐怖心から噛んでしまうことは、それと同じようなものなのです。
歯が生え変わってかゆい
子犬の場合は、乳歯からの生え変わりの時期、かゆみなどの違和感で飼い主さんの手や家具を噛んでしまうこともあります。
生後1ヶ月ごろから乳歯が生え始め、生後6~7ヶ月ごろには永久歯に生えかわります。
この月齢に噛んでくる場合は歯がムズムズとして痒みがあるような状態になっている、ということが多いようですよ。
ストレスを抱えている
恐怖心と同じように愛犬もストレスを抱えていることで、咄嗟に噛んでしまうなどの場合があります。
ストレスの要因はさまざまですが、引っ越しや家族が増えるなどの生活環境の変化・運動や飼い主さんとのスキンシップが不足しているなども原因になります。
愛犬がゆっくりと過ごせるような静かな寝床であるかを見直したり、散歩やスキンシップなどの一緒に過ごす時間を増やすなどの対処をしてみましょう。
何が愛犬のストレスになっているかを考え、気持ちを考えてあげることが大切です。
敏感な子は少しの変化でも影響することがあるようです。
どんな原因があるのかを丁寧に探してあげることでストレスを取り除いてあげたいですね。
甘えている
怖がって噛むこととは反対に飼い主さんに甘えていたり、遊びで興奮しているといった場合でも強く噛んでしまうことがあります。
こういったポジティブな感情で噛んでしまうこともあるのですね。
本来は親や兄弟などの、犬同士のじゃれあいで噛む加減を覚えていきます。
しかし人間が愛犬に加減を教えるのは難しく、また親犬と離れる時期が早いとこの加減を学習できないまま育ってしまいます。
飼い主さんは甘えて噛んでいることを「仕方ないこと」と捉えずに、子犬の頃から噛んではいけないものを教えるようにしていく必要があります。
しつけが不十分
親や他の犬とのじゃれあいで噛む加減を学習してできない環境である場合など、しっかりと飼い主さんがしつけをする必要があります。
しかし気をつけたいのが誤ったしつけ・不十分なしつけによる噛み癖です。
しつけとしてマズルを力任せに掴んだり、強く叩いてしまうという誤ったしつけを行うと逆効果です。
一時的に噛まなくなっても、攻撃されると思い、自分の身を守るために噛み癖がひどくなる子もいます。
さらに飼い主さん以外の人の手を噛むようになる可能性もあるので要注意です。
犬が自分の体を噛む主な理由

愛犬が自分の体を噛んでしまっていることはないでしょうか。
少々なら気にならなくても、頻繁だったり強く噛んで傷つけてしまうことがあればとても心配ですよね。
大きく分けて以下3点の原因が考えられます。
- 暇つぶし
- ストレス
- 病気やケガ
愛犬がいずれかに当てはまってはいないか良く確認しましょう。
私たち飼い主ができるものはすぐに対処してあげたいですね。
健康な場合でも、あまりにしつこく足を噛んだり舐めたりすると、毛の変色や皮膚炎にもつながるため、不安が解消されない場合は動物病院を受診することも視野に入れましょう。
暇つぶしとして
犬は退屈になると四肢(手や足)の裏をペロペロと舐めたり噛んだりしてしまうことがあります。
前肢(前足)の舐めやすい場所を一生懸命に舐めているような場合は、暇つぶしの可能性が高いでしょう。
ケージに入れると足を噛んだりし始める・飼い主さんが就寝中や留守にしている間に噛むようなケースも多いようです。
ひとりで退屈な時間を過ごす時に、暇つぶしで噛んだり舐めたりしてしまうことがあるのです。
ストレスを抱えている
強いストレスを受けた・受けているときに犬は足を噛んだり舐めたりして気を紛らわせている場合も考えられます。
何かストレスがかかるようなことや環境などは思い当たらないでしょうか。
例えば新しいペットをお迎えしたり、引っ越しをしたりなどはなかったでしょうか。
また、大きな音のする場所などに行ったりはしなかったでしょうか。
ストレスの原因はさまざまで、色々なケースが考えられます。
しかし普段から愛犬の様子をしっかりと観察して、何がストレスになっているかを見極めてあげる必要があります。
病気やケガをしている
病気やケガが原因で噛んだり舐めたりしていることもあります。
真っ赤になったり血が出るほど噛んでしまう場合は動物病院を早めに受診しましょう。
アレルギーや皮膚炎などのかゆみから噛んでいる場合が考えられます。また痛み・しびれがあるために噛んでいることも。
骨折や打撲・手足のねんざ・爪が折れているなど、ケガが原因で手足に痛みがあると、患部を舐める・噛む場合があります。
また、関節炎や関節リウマチといった関節に痛みが出る病気では、関節を噛んでその部位を脱毛させてしまう場合もあります。
椎間板ヘルニアのような神経疾患や血栓塞栓症など、重篤な病気が隠れている可能性も考えられるため、舐めたり噛んだりとあわせて、以下のような症状がある場合は動物病院へすぐ連れていきましょう。
- 前足や後ろ足を引きずっている、または持ち上げるようにして歩く
- 手足が震えている
- 足先が冷たくて肉球の色が薄くなってきている
愛犬の噛み癖を直すしつけ方

では噛み癖を直すために私たち飼い主はどんなポイントに注意したら良いのでしょうか。
しつけは間違った対応をしたり、きちんと理解していないと余計にひどくなってしまう可能性もあります。
またしつけをすれば1日で直る、というわけではありません。
私たち飼い主が愛犬のタイプや性格を把握して、丁寧に行うことも必要です。
愛犬の噛む理由を把握する
なぜ噛むのか?という理由をまずはしっかりと探しましょう。
例えば、運動不足でストレスが溜まっているなら運動時間を増やす。
皮膚病で全身がかゆくイライラしているなら病院へ連れて行ってあげます。
なぜ噛むのか?を探り、それを改善することから始めなければいけません。
いくらしつけをしても、根本的な部分を解消しないとトレーニングの効果は出にくいです。
適切な対処ができるようにしっかり愛犬と向き合うこと・気持ちに寄り添うことがとても大切です。
噛まれたらすぐにアクションを起こす
噛まれた時に重要なのが「噛まれたらすぐリアクションする」ということです。
これにより「噛んだら飼い主がいなくなっちゃう」と学習し、噛み癖の改善が期待できます。
このとき、部屋の中に愛犬しかいない状態にしましょう。おもちゃなども全て取り除いておきます。
遊べる環境にあると学習しないからです。
また、リアクションする時も大声で叱責するのはNGです。
かえって委縮して防衛のために噛むようになるので、少し驚かせる程度を心がけましょう。
噛むおもちゃで欲求を発散させる
全ての噛む行為を禁止してしまうことはやめましょう。
あまり抑え込まず、適度におもちゃを与えてエネルギーやストレスを発散させてあげることも大切です。
ロープ状のおもちゃは引っ張りあいっこをして一緒に遊べますよ。
また留守中や愛犬から目を離すときは、おやつ内蔵型のおもちゃを与えるのもおすすめです。
1つ注意点として、手でぬいぐるみなどのおもちゃを持って遊ばないようにしましょう。
ぬいぐるみを持った手=おもちゃである・噛んでもいいもの、と認識してしまうためです。
体に異常があるときは動物病院へ
触られることを極端に嫌がったり体の震え・触ると痛がる様子などいつもと違う状態にある場合は、早めに動物病院を受診しましょう。
愛犬の体に痛みや不調があるために攻撃性が高まり、噛んでしまうことが起きている可能性も考えられますよ。
いつまでも不調が続くのは愛犬にとって本当につらい状況です。
体に異常がある場合も視野に入れて、適切かつ迅速な対応ができるようにしましょう。
愛犬が健康・元気でいられる環境であれば、トレーニングの効果も出やすいのではないでしょうか。
愛犬の噛み癖を直すときの注意点

噛み癖を直すしつけの際に、やってはいけない注意点をご紹介します。
ついついやってしまう飼い主さんもいますが、間違った対応をしてしまうと取り返しのつかないトラブルを招く恐れもあります。
愛犬と楽しく健やかな毎日を送ることができるよう、注意したいポイントについてもしっかりとチェックしましょう。
大きな声で叱る、叩く
大きな声で怒鳴ったりすること、愛犬の体を叩いたりすることは絶対に控えるようにしましょう。
これはしつけをする上で最も注意を払わなければいけない点です。
大声を出して叱ることや叩くことで犬が人間に対して恐怖心を感じるようになります。
そして警戒心や防衛反応から行為がさらにエスカレートする危険性があるのです。
たとえ愛犬が全面的に悪いような場面でも、感情のままに怒ったら怯えてしまうだけ。
犬には「毅然とした態度」で示さなければ伝わりません。
また、噛まれたくないものは片づけておく、突然顔の前に手を出さないなど、「噛まれない対策」を飼い主がしてあげることも大切です。
噛まれても甘やかしてしまう
大切でかわいい家族である愛犬ですが、甘すぎる態度もNGです。
噛んだからとわがままなどを放置すると「噛んだら要求が通る」と勘違いしてさらに噛む頻度が増すこともあります。
愛犬がやめるまで根気よく言い聞かせること、やめることができたら、たくさん褒めてあげることが大切です。
「噛むのをやめたら褒められた」と学習することで、噛み癖がだんだんと改善されていきます。
誤食する危険のあるものを噛ませる
噛む要求を満たすためにおもちゃを与えることは良いのですが、破れたり壊れたりして誤食の原因にならないよう、飼い主が見ている間だけ遊ばせ、お留守番や飼い主が見てあげられない場合は片づけておきましょう。
また食品のにおいがついたビニール袋などで遊びたがる場合もありますが、犬の尖った歯で噛めばすぐ破れてしまいます。
誤食は命の危険に関わる場合もあるため、おもちゃの安全性についてはしっかりと注意を払うようにしましょう。
犬用のおもちゃは多種多様に販売されています。
愛犬の好みはもちろんですが、強度や安全性などもきちんと考慮して選んであげたいですね。
血が出るほどの噛みつきはプロに相談を

本能的に噛みついてしまう、という場合やいくらしつけを行ってもなかなか改善しないことも考えられます。
万が一、人やほかの犬に怪我を負わせてしまったら、最悪の場合一緒に暮らすことができなくなってしまうこともあります。
血が出てしまうほどの深刻な噛みつきが起こる場合は、専門家であるドッグトレーナーや獣医師に相談することも考えましょう。
飼い主さんでは難しい場合でも、プロである専門家の意見を取り入れることで改善することがあります。
愛犬が噛んでしまうと愛犬自身もですが、飼い主さんもストレスになってしまいますよね。
大切な家族である愛犬とのおだやかに生活するために、そして予期せぬトラブルを回避するためにも、深刻な場合は専門家の力をかりて解決を目指しましょう。
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