つぶらな瞳と愛嬌たっぷりの顔、そして独特のしわが魅力的なパグ。「いつかパグと一緒に暮らしたい!」と考えている方も多いのではないでしょうか?
しかし、いざパグを家族に迎え入れるとなると、「どんな性格をしているの?」「毎日のケアって大変?」「どんな病気にかかりやすい?」など、さまざまな疑問や不安が浮かんでくるかもしれません。
この記事では、そんなパグをこれから飼う方、すでに飼っているけれどもっと快適に暮らしたいと考えている方のために、パグの飼い方に関する情報を網羅的に解説します。
この記事を読めば、パグとの暮らしがもっと豊かで楽しいものになるはずです。さあ、一緒にパグとの素晴らしい毎日を始めていきましょう!
この記事の結論
- 愛らしいパグは短頭種ゆえの健康リスクや皮膚ケア、快適な室内環境と適切な温度管理が重要
- 肥満になりやすいため、年齢に合わせた食事量と、熱中症に注意した短時間の散歩が欠かせない
- 顔のしわ、耳、爪の手入れを怠らず、呼吸器や皮膚、目の異常に早期に気づくことが大切
- 根気強いしつけで良い関係を築き、シニア期には食事や環境を調整し、変化に寄り添った介護を行う
目次
パグってどんな犬?性格と特徴、飼い方の基本

愛嬌たっぷりの顔立ちとユニークな表情で世界中の人々を魅了するパグは、その見た目だけでなく、穏やかで陽気な性格も大きな魅力です。
中国が原産とされるこの犬種は、古くから愛玩犬として人々に愛されてきました。室内での飼育が基本となり、家族とのコミュニケーションを非常に喜びます。
特に子犬の頃から適切な社会化と基本的なしつけを行うことで、より良い家庭犬へと成長してくれます。
初めて犬を飼う方でも比較的飼いやすい犬種ですが、特有の健康管理が必要となるため、事前にしっかりと知識を身につけることが大切です。
パグの特性を理解し、愛情を注ぐことで、かけがえのない家族として充実した日々を送ることができるでしょう。
愛嬌たっぷり!パグの基本的な性格
パグは非常に友好的で愛情深く、穏やかな性格が特徴です。飼い主や家族に対して強い絆を抱き、常にそばにいたがります。甘えん坊で人懐っこく、子供や他のペットとも比較的良好な関係を築きやすい傾向があります。
また、遊び好きで陽気な一面も持ち合わせており、飼い主を楽しませるのが得意です。しかし、時に頑固な一面を見せることもあり、しつけの際には根気が必要です。
基本的に攻撃性は低く、無駄吠えも少ないため、集合住宅での飼育にも向いています。彼らの愛らしい仕草とユニークな表情は、多くの飼い主の心を癒し、日々の生活に笑顔をもたらしてくれることでしょう。
見た目の特徴と平均的な寿命
パグは、その特徴的な顔立ちと体格から「小さな哲学者のような犬」とも称されます。最も目を引くのは、つぶれた鼻と大きく丸い目、そして顔全体に刻まれた深いしわです。
耳は「ボタン耳」と呼ばれる垂れ耳で、丸い体つきに短い四肢、そしてくるりと巻いた尻尾が特徴的です。被毛は短く滑らかで、色はフォーン(淡い茶色)やブラックが一般的です。
体高は約25~33cm、体重は6.3~8.1kg程度の小型犬に分類されます。平均寿命は12~15歳とされていますが、適切な飼育環境と健康管理を行うことで、さらに長生きするパグも少なくありません。
定期的な健康チェックと早期発見・早期治療が長寿の秘訣です。
パグを飼う前に知っておきたいこと
パグを家族に迎える前に、その特性や飼育に必要な準備について理解しておくことが非常に重要です。
パグは愛らしい見た目とは裏腹に、短頭種ゆえの健康リスクや、皮膚のしわのお手入れなど、特有のケアが必要となります。特に呼吸器系のトラブルや皮膚炎は注意が必要です。
また、食欲旺盛なため肥満になりやすく、適切な食事管理と運動が欠かせません。これらの特性を理解し、日々のケアを怠らない覚悟が必要です。迎え入れる前に、獣医師や経験豊富なブリーダーから情報を得ることも大切でしょう。
長期にわたる責任と愛情を注ぎ続ける準備ができてから、新しい家族を迎える計画を立てましょう。
パグの飼育環境の準備
パグを迎え入れるためには、快適で安全な飼育環境を整えることが不可欠です。
まず、室内で安心して過ごせるクレートやケージを用意し、パグが自分のスペースだと認識できるようにしましょう。
夏場の熱中症対策として、エアコンや扇風機は必須です。パグは暑さに非常に弱いため、室温は常に25度前後を保つように心がけてください。冬場は寒さに震えないよう、暖房器具や毛布などで温度管理を徹底しましょう。
また、滑りにくい床材を選ぶことで、関節への負担を軽減できます。誤飲を防ぐために、手の届く範囲に危険なものや小さなものを置かないように整理整頓することも大切です。
子犬の選び方とブリーダー・保護施設からの迎え入れ
健康で性格の良いパグの子犬を選ぶことは、その後の生活の質を大きく左右します。信頼できるブリーダーを選ぶ際は、親犬や兄弟犬の様子、飼育環境を直接見学し、質問に丁寧に答えてくれるかを確認しましょう。また、遺伝性疾患の検査結果などを開示してくれるブリーダーは信頼性が高いです。
保護施設から迎え入れる場合は、その犬の過去の経緯や性格、健康状態を詳しく聞くことが重要です。子犬を選ぶ際には、活動的で好奇心旺盛、人懐っこい子が健康的である傾向があります。
いずれの場合も、急がずに慎重に選び、新しい家族の一員として長く愛情を注げる子犬を見つけることが大切です。
パグの毎日のケアと健康管理

パグは他の犬種とは異なる特性を持つため、日々のケアと健康管理には特別な注意が必要です。
特に、特徴的な顔のしわや短頭種ゆえの呼吸器系の問題、そして食欲旺盛な性格からくる肥満傾向など、さまざまな健康リスクを抱えています。これらの問題を未然に防ぎ、パグが健康で快適な生活を送るためには、毎日の食事管理、適切な運動、そして定期的なお手入れが欠かせません。
また、小さな異変に気づけるよう、日頃からボディチェックを行い、異常があればすぐに獣医師に相談することが重要です。適切なケアと愛情を注ぐことで、パグは健康寿命を延ばし、長く幸せな日々を飼い主と共に過ごすことができるでしょう。
毎日の食事と体重管理
パグは非常に食欲旺盛で、食べることが大好きです。そのため、適切な食事管理を行わないとあっという間に肥満になってしまいます。
肥満は関節への負担増大、呼吸器系の悪化、糖尿病などさまざまな健康問題を引き起こす原因となるため、日々の食事量には細心の注意を払いましょう。高品質な総合栄養食を選び、パッケージに記載されている推奨量を守ることが基本です。
おやつを与える場合は、カロリーの低いものを選び、総摂取カロリーの一部として計算に入れることが大切です。定期的に体重を測定し、理想体重を維持できているかを確認しましょう。必要に応じて、獣医師と相談しながら最適な食事プランを立てることをおすすめします。
年齢に合わせたドッグフードの選び方
ドッグフードは、パグの年齢や活動量に合わせて選びましょう。子犬期は成長に必要な栄養を多く含む子犬用フード、成犬期には維持期用の成犬用フード、そして高齢期には消化吸収に配慮されたシニア犬用フードに切り替える必要があります。
子犬期(~1歳頃) | 高タンパク・高カロリーで、骨や筋肉の発育を助けるDHAなどが含まれたフードを選びましょう。 |
成犬期(1歳~7歳頃) | バランスの取れた栄養素を含み、活動量に応じたカロリーのフードを選びます。 肥満になりやすいパグには、低脂肪・低カロリーのフードも検討しましょう。 |
シニア期(7歳頃~) | 消化しやすい低カロリーで、関節ケア成分(グルコサミン、コンドロイチンなど)が配合されたフードが適しています。 |
フードの切り替えは、急に行うと消化器に負担をかける可能性があるため、1週間程度かけて徐々に新しいフードを混ぜていくようにしてください。
肥満予防のための食事量と与え方
パグの肥満予防は、食事量と与え方の工夫にかかっています。
食事量を守る | ドッグフードのパッケージに記載されている推奨量を厳守しましょう。 おやつは極力控えるか、ご褒美として少量に留め、その分メインの食事量を減らすなど調整が必要です。 |
回数を分ける | 1日の食事量を2~3回に分けて与えることで、満腹感を与えやすく、消化器への負担も軽減できます。 |
早食い防止 | 早食いは胃捻転のリスクを高め、消化不良の原因にもなります。 早食い防止用の食器を使用したり、知育玩具にフードを入れて与えたりするのも有効です。 |
人間の食べ物を与えない | 塩分や脂肪分が多く、犬の健康に悪影響を及ぼす可能性のある人間の食べ物は与えないようにしましょう。 |
これらの工夫により、パグの健康的な体重維持に繋がります。
効果的な運動と散歩のポイント
パグは活発なイメージが少ないかもしれませんが、適度な運動は健康維持に不可欠です。
しかし、短頭種であるパグは、激しい運動や高温多湿な環境での運動は呼吸器に大きな負担をかけるため注意が必要です。
散歩は、心肺機能の維持やストレス解消、そして社会性を育む上で重要な時間となります。理想的な散歩は、無理なく行える範囲で、毎日継続することが大切です。単に歩くだけでなく、気分転換になるような場所を選んだり、軽く遊ぶ時間を取り入れたりするのも良いでしょう。
運動量を誤ると、肥満や体調不良に繋がるため、パグの様子を常に観察しながら適切な運動量を調整してください。
パグに適した散歩の時間と回数
パグにとっての理想的な散歩は、1回あたり15~30分程度の短い時間で、1日2回が目安です。
個体差や年齢、その日の気候によって調整が必要ですが、無理なく続けられる範囲で行うことが重要です。
時間帯 | 気温が比較的穏やかな早朝や夕方が適しています。 特に夏場は、日中の暑い時間帯は避けてください。 |
距離 | 長距離の散歩よりも、短距離を複数回行う方がパグの体には負担が少ないです。 |
ペース | パグの歩調に合わせて、ゆっくりと散歩を楽しみましょう。 急ぎ足は呼吸器に負担をかけます。 |
リードを引っ張らず、楽しく歩けるようなリードワークを心がけましょう。
熱中症対策と寒い日の注意点
パグは短頭種のため、体温調節が苦手で熱中症になりやすい犬種です。
熱中症対策 | 夏場の散歩は、早朝や夜間の涼しい時間帯を選び、日中の外出は避ける。 アスファルトは高温になるため、土や草の上を歩かせる。常に新鮮な水を持参し、こまめに水分補給をさせる。 体温が上昇しているサイン(パンティングが激しい、よだれが多い、ぐったりしているなど)が見られたら、すぐに涼しい場所に移動させ、体を冷やす。 |
寒い日の注意点 | 冬場は体温が下がりすぎないよう、洋服を着せるなど防寒対策を行う。 冷たい地面に長時間座らせない。体調の変化に注意し、無理のない範囲で散歩を行う。 |
季節の変わり目や気温の変化には特に気を配り、パグが快適に過ごせるよう環境を整えましょう。
しつけの基本とトラブル対策
パグは賢く、飼い主に従順な一面も持ち合わせていますが、時に頑固な性格を見せることもあります。
そのため、しつけは根気強く、一貫性を持って行うことが非常に重要です。子犬の頃から基本的なしつけを始めることで、良好な関係を築き、飼い主との信頼関係を深めることができます。
また、困った行動が見られた際には、叱るだけでなく、なぜそのような行動をするのかを理解し、適切な対処法を実践することが大切です。
ポジティブな声かけやご褒美を使った「褒めて伸ばす」しつけを心がけ、パグが楽しく学習できるような環境を提供しましょう。一貫したしつけは、パグとの共同生活をより豊かでストレスのないものにしてくれます。
子犬期の社会化としつけの始め方
子犬期の社会化は、パグがさまざまな環境や刺激に慣れ、穏やかな成犬に育つために非常に重要です。生後3週齢~16週齢頃の社会化期に、人や他の犬、さまざまな音、場所などに触れさせることで、将来のストレスを軽減できます。
- ワクチン接種後、獣医師の許可を得て、ドッグランやしつけ教室で他の犬と交流させる。
- 家族以外のさまざまな年齢の人に触れさせる。
- 日常生活で発生する音(掃除機、ドライヤーなど)に慣れさせる。
- 短時間から少しずつ車に乗せてみるなど、さまざまな場所に連れて行く。
同時に、トイレトレーニングやお座り、待てなどの基本的なコマンドも優しく教え始めましょう。成功したら大いに褒め、ご褒美を与えることで、学習意欲を高めます。
無駄吠えや噛み癖など困った行動の対処法
パグが無駄吠えや噛み癖などの困った行動を見せる場合、その原因を理解し、適切な対処を行うことが大切です。
行動 | 原因 | 対処法 |
---|---|---|
無駄吠え | 退屈、要求、不安、警戒など。 | 適切な運動や遊びでエネルギーを発散させる。 要求吠えには応じない(無視する)。 不安が原因の場合は安心できる環境を作る。 警戒吠えの場合は、インターホンなどの音に慣れさせる練習をする。 |
噛み癖 | 歯の生え変わり(子犬期)、遊びの延長、ストレス、要求など。 | 噛んでも良いおもちゃを与える。噛んだら遊びを中断し、無視する。 噛んで良いものと悪いものの区別を教える。 決して感情的に叱ったり、体罰を与えたりせず、一貫した態度で根気強く対応しましょう。 必要であれば、専門のトレーナーに相談することも有効です。 |
清潔を保つお手入れ方法
パグは短毛種ですが、その独特のしわや顔の構造から、皮膚炎や目の病気になりやすい傾向があります。
そのため、日々の丁寧なお手入れは、健康を維持するために欠かせません。特に、顔のしわの中は汚れがたまりやすく、湿気がこもりやすいため、細菌が繁殖しやすい環境です。
また、抜け毛も比較的多い犬種なので、定期的なブラッシングで被毛を清潔に保つことも重要です。
耳や爪、歯のケアも忘れずに行い、全身を清潔に保つことで、病気の予防だけでなく、パグとのスキンシップを深めることにも繋がります。
愛情を込めてお手入れを行い、快適な毎日を過ごさせてあげましょう。
シワのお手入れと皮膚トラブル予防
パグの最も特徴的なチャームポイントである顔のしわは、同時に皮膚トラブルのリスクを高める部分でもあります。しわの間に汚れや湿気が溜まりやすく、細菌や真菌が繁殖して皮膚炎を起こすことがあります。
毎日 | 湿らせたコットンや清潔なガーゼで、しわの奥まで優しく拭き取ります。 汚れがひどい場合は、犬用のウェットシートを使用しても良いでしょう。 |
拭き取り後 | 乾いた清潔な布で水分をしっかりと拭き取り、乾燥させます。 湿った状態は菌の繁殖を促します。 |
特別なケア | 獣医から処方されたローションや軟膏がある場合は、指示に従って使用します。 |
赤み、かゆみ、異臭など皮膚トラブルのサインが見られたら、すぐに獣医師に相談しましょう。
ブラッシング、シャンプー、爪切り、耳掃除のコツ
パグの清潔を保つためには、日々の細やかなケアが大切です。
頻度 | コツ | |
---|---|---|
ブラッシング | 週に2~3回、換毛期は毎日行いましょう。 | 獣毛ブラシやラバーブラシを使って、抜け毛を取り除きます。 皮膚を傷つけないよう優しく行いましょう。 |
シャンプー | 月に1回程度が目安です。 皮膚の状態によっては、獣医師と相談して頻度を調整してください。 | 低刺激性の犬用シャンプーを使用し、シャンプーがしわの間に残らないよう丁寧に洗い流します。 シャンプー後は、タオルドライとドライヤーで完全に乾かしましょう。 特にしわの間はしっかりと乾かしてください。 |
爪切り | 2週間に1回程度、伸び具合を見て行います。 | 血管や神経が通っている「クイック」を切らないよう注意が必要です。 自信がない場合は、動物病院やトリミングサロンでお願いしましょう。 |
耳掃除 | 週に1回程度、汚れ具合を見て行います。 | 犬用イヤークリーナーを耳に入れ、優しくマッサージしてからコットンで拭き取ります。 綿棒は耳の奥を傷つける可能性があるため避けましょう。 |
これらのお手入れを定期的に行うことで、パグの健康を維持し、快適な生活をサポートできます。
パグがかかりやすい病気と予防法

パグは愛らしい見た目ですが、そのユニークな体の構造ゆえに、いくつかの病気にかかりやすい傾向があります。
特に短頭種特有の呼吸器系の疾患や、皮膚のしわに起因する皮膚病、目のトラブルなどが挙げられます。
これらの病気は、パグの生活の質を大きく左右するため、飼い主がそれぞれの病気について深く理解し、早期発見・早期治療に努めることが非常に重要です。
日頃からパグの様子をよく観察し、異変に気づいたらすぐに獣医師に相談する習慣をつけましょう。
定期的な健康診断や予防接種も欠かさずに行い、パグが長く健康でいられるよう最大限の努力を払いましょう。
短頭種特有の呼吸器系の病気
パグは、マズルの短い「短頭種」であるため、一般的な犬種に比べて呼吸器系の問題を抱えやすい傾向があります。これは、鼻腔が狭い、軟口蓋(口の奥のやわらかい部分)が長い、喉の奥が狭いなど、複雑な構造が原因です。
これらの構造的な問題により、呼吸がしにくく、特に運動時や興奮時、高温多湿な環境下では呼吸困難に陥りやすくなります。いびきや呼吸音の異常は日常的に見られることがありますが、それが悪化すると命に関わる場合もあります。
日頃から呼吸の状態をよく観察し、少しでも異常を感じたら速やかに獣医師に相談することが重要です。
短頭種気道症候群とは
短頭種気道症候群は、短頭種に特有の呼吸器系の複合的な異常を指す病気です。複数の要因が組み合わさって呼吸困難を引き起こします。
鼻腔狭窄(鼻の穴が狭い) | 鼻の穴が小さく、呼吸がしにくい。 |
軟口蓋過長症(軟口蓋が長い) | 口の奥にある軟口蓋が長すぎて気道を塞ぎやすい。 |
喉頭虚脱(喉頭の軟骨が潰れる) | 呼吸時の陰圧で喉頭の軟骨が内側に引き込まれて気道を狭める。 |
気管低形成(気管が細い) | 生まれつき気管が細い。 |
症状としては、いびき、パンティング(ハアハアと激しく息をする)、呼吸困難、舌が紫色になるチアノーゼ、失神などがあります。
重症化すると命に関わるため、症状が見られたら早めに獣医師の診察を受け、必要に応じて外科手術などの治療を検討します。
熱中症のサインと緊急時の対応
パグは体温調節が苦手なため、特に夏場は熱中症のリスクが非常に高いです。
熱中症の主なサイン | 激しいパンティング(口を開けてハアハアと荒い息をする) よだれが大量に出る舌の色が濃い赤色や紫色になるぐったりして元気がない 意識が朦朧としている足元がふらつく 痙攣を起こす嘔吐や下痢 |
緊急時の対応 | すぐに涼しい場所に移動させる:エアコンが効いた室内や日陰に移動させます。 体を冷やす:濡らしたタオルで体を包んだり、冷たい水で濡らしたタオルで首元、脇の下、股の付け根などを冷やします。保冷剤を使用する場合は、凍傷に注意し、タオルで包んで使用します。 水分補給:飲めるようであれば、冷たい水を少量ずつ与えます。 動物病院へ:応急処置をしながら、すぐに動物病院へ連れて行きましょう。熱中症は進行が早く、命に関わるため、迅速な対応が不可欠です。 |
予防が最も重要なので、暑い時期の散歩は避け、室内の温度管理を徹底してください。
皮膚疾患と目の病気
パグはそのユニークな顔立ちと体質から、皮膚疾患や目の病気にかかりやすい傾向があります。顔の深いしわは汚れや湿気が溜まりやすく、細菌やカビが繁殖して皮膚炎を引き起こすことがあります。
また、目が大きく突出しているため、傷つきやすく、さまざまな目のトラブルに見舞われることも少なくありません。
これらの病気は、パグの快適な生活を妨げるだけでなく、慢性化すると治療が難しくなる場合もあります。日頃からパグの皮膚や目をよく観察し、清潔を保つためのケアを怠らないことが予防に繋がります。
少しでも異変を感じたら、速やかに獣医師に相談し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。
皮膚炎やアレルギー
パグは遺伝的にアレルギー体質の子も多く、皮膚炎は飼い主にとって悩ましい問題のひとつです。
主な症状:
- 体のどこかを頻繁に掻く、舐める、噛む
- 皮膚の赤み、湿疹、かさぶた、フケ
- 脱毛や色素沈着
- 耳の炎症(外耳炎)
- 皮膚から異臭がする
原因と対策:
アレルギー性皮膚炎 | 食物アレルギーや環境アレルゲン(花粉、ハウスダストなど)が原因となることがあります。 アレルゲンを特定し、避けることが根本的な対策です。 食事療法や抗アレルギー薬の投与も検討されます。 |
細菌性・真菌性皮膚炎 | しわの間の湿気や汚れ、免疫力の低下などが原因で発症します。 日々のしわのお手入れを徹底し、清潔を保つことが予防になります。抗生剤や抗真菌剤による治療が必要です。 |
脂漏症 | 皮膚の脂質分泌が過剰になり、ベタつきやフケが生じます。 薬用シャンプーによる定期的なケアが有効です。 |
皮膚トラブルは慢性化しやすいので、早期発見と継続的なケアが重要です。
チェリーアイ(第三眼瞼腺逸脱)
症状 | 目頭の内側にある瞬膜の腺が赤く腫れ上がり、サクランボのように飛び出す病気です。 |
対策 | 外科手術で元の位置に戻すことが一般的な治療法です。 放置すると炎症やドライアイの原因になることがあります。 |
ドライアイ(乾性角結膜炎)
症状 | 涙の分泌量が減少することで、目が乾燥し、角膜や結膜に炎症が起こります。 充血、目やにの増加、目の痛みなどが見られます。 |
対策 | 点眼薬による治療が中心となります。 定期的な点眼で目の潤いを保ち、角膜の損傷を防ぎます。 |
角膜潰瘍
症状 | 目に傷がつき、角膜に潰瘍ができる病気です。 目をしょぼつかせる、涙が出る、目を気にするなどの症状が見られます。 |
対策 | 点眼薬による治療が中心です。 重症の場合は外科手術が必要になることもあります。 |
目の病気は視力低下や失明につながることもあるため、異常に気づいたらすぐに動物病院を受診しましょう。
その他注意したい病気
パグは、呼吸器系や皮膚・目の病気以外にも、特定の遺伝的傾向や生活習慣によって注意すべき病気がいくつか存在します。
食欲旺盛なため肥満になりやすく、それに関連して関節疾患や糖尿病のリスクが高まります。また、脳や神経系の病気も報告されており、特に若齢から中年齢のパグに発生することがあります。
これらの病気は、発症するとパグのQOL(生活の質)を著しく低下させる可能性があるため、日頃から健康状態を細かくチェックし、病気のサインを見逃さないことが大切です。
定期的な健康診断に加え、パグの行動や様子に変化がないか注意深く観察し、異変があればすぐに獣医師に相談しましょう。
椎間板ヘルニア
症状 | 背中や首の痛み、足の麻痺、ふらつき、歩行困難、排泄のコントロールができないなど。 重症化すると立てなくなります。 |
対策 | 肥満予防、滑りにくい床材の使用、高い場所からの飛び降りを避けるなど、日常生活での工夫が重要です。 症状が見られたら、早期に獣医師に相談し、内科治療や外科手術を検討します。 |
パグは、体型的に胴が長く、足が短いため、背骨に負担がかかりやすく、椎間板ヘルニアなどの関節疾患を発症しやすい傾向があります。肥満も関節疾患のリスクを高めます。
膝蓋骨脱臼(パテラ)
症状 | 膝のお皿が正常な位置からずれる病気です。 スキップするような歩き方や、足を痛がる様子が見られます。 |
対策 | 遺伝的要因が強いですが、肥満を避け、足に負担をかけない生活を心がけることが大切です。 |
日々の観察で歩き方に変化がないか、痛がる素振りがないか注意深く見守りましょう。
パグ脳炎(壊死性髄膜脳炎)
症状 | 痙攣、旋回、ふらつき、視力障害、行動の変化など。 進行性で、通常は若齢から中年齢で発症します。 |
対策 | 遺伝的要因が関与していると考えられており、予防法は確立されていません。 診断された場合は、ステロイドや免疫抑制剤による治療が行われますが、予後は厳しいことが多いです。 |
パグは、神経系の病気、特に脳炎やてんかんといった病気にかかるリスクがあることが知られています。
てんかん
症状 | 意識を失って全身が硬直する、手足をバタつかせる、よだれを垂らす、排泄を漏らすなどの発作が起こります。 |
対策 | 原因はさまざまですが、遺伝的要因や脳の異常が考えられます。 抗てんかん薬による治療で発作をコントロールすることが可能です。 発作時の様子を記録し、獣医師に伝えることが重要です。 |
これらの病気は専門的な治療が必要となるため、少しでも疑われる症状が見られた場合は、速やかに神経科専門の獣医師に相談することをおすすめします。
パグとの暮らしをより豊かにするために

パグとの生活は、彼らの愛らしい性格とユニークな魅力で、飼い主の日々を豊かに彩ってくれます。
しかし、ただ単に世話をするだけでなく、彼らの個性やニーズを深く理解し、精神的にも満たされるような関係を築くことで、より一層充実した共同生活を送ることができます。
健康管理はもちろんのこと、適切なコミュニケーションや社会化を通じて、パグが安心して暮らせる環境を提供することが大切です。
また、共に新しい体験をしたり、年齢に応じたケアをしたりすることで、パグとの絆はさらに深まります。この記事で紹介したさまざまな知識を活用し、パグとの幸せな毎日を最大限に楽しみましょう。
長生きの秘訣!老犬パグのケア
パグも歳を重ねると、さまざまな体の変化や健康問題に直面します。長生きの秘訣は、老犬期に合わせた適切なケアと、体調の変化にいち早く気づいて対応することです。
食事
消化しやすく、関節ケア成分が配合されたシニア犬用フードに切り替え、食事回数を増やすなど消化器への負担を減らす工夫をします。
運動
激しい運動は避け、無理のない範囲で短い散歩や室内での軽い遊びを継続し、筋力維持に努めます。
環境
滑りにくい床材の使用、段差の解消、寝床のクッション性を高めるなど、足腰に負担がかからない環境を整えます。
健康管理
定期的な健康診断に加え、目の見え方や耳の聞こえ、排泄の様子、食欲の変化など、日々の細かな変化に注意を払いましょう。認知症のサインにも気を配り、必要に応じて獣医師に相談します。
老犬期は、これまで以上にパグに寄り添い、愛情深いケアで穏やかな日々を過ごさせてあげましょう。
パグとのお出かけや旅行を楽しむ
パグと一緒にお出かけや旅行を楽しむことは、飼い主と愛犬の絆を深める素晴らしい機会です。しかし、パグの特性を考慮し、安全に配慮した計画が不可欠です。
お出かけの準備
移動手段 | 車移動の際は、安全のためにクレートやシートベルトハーネスを使用しましょう。 公共交通機関を利用する場合は、ルールを確認してください。 |
持ち物 | 水、フード、おやつ、おもちゃ、排泄物処理用品、簡易的なクールグッズ(夏場)、防寒具(冬場)、常備薬など、万全の準備を。 |
体調管理 | 出かける前に体調をチェックし、体調が悪い場合は無理させないようにしましょう。 |
お出かけ先の選び方
暑さ対策 | 夏場は気温が低い時間帯を選ぶか、涼しい場所(室内ドッグカフェなど)を選ぶ。 |
短頭種への配慮 | 激しい運動を伴う場所や、興奮しやすい場所は避ける。 |
犬連れOKの施設 | 事前にペット同伴が可能な施設か確認しましょう。 |
無理のない範囲で、パグとの思い出をたくさん作ってください。
パグを多頭飼いする際の注意点
パグは友好的な性格の犬種ですが、多頭飼いにはいくつかの注意点があります。新しいパグを迎え入れる際は、先住犬との相性や、飼い主の管理能力が非常に重要になります。
相性
性別や年齢、性格を考慮し、相性の良い組み合わせを選ぶことが大切です。
初めて会わせる際は、中立の場所で短時間から始めるなど、慎重に行いましょう。
環境
それぞれのパグが安心して過ごせる個別のスペース(クレートや寝床)を確保する。
食事の際には、食器を分け、喧嘩にならないよう見守る。
遊び道具や寝床の数も、犬の数に合わせて用意しましょう。
管理
それぞれのパグに十分な愛情と注意を注ぐ時間があるか確認しましょう。食事量や健康状態を個別に管理することが重要です。
しつけも個々に行い、それぞれの性格に合わせた対応が必要です。
多頭飼いは、犬同士の交流でストレス軽減になる場合もありますが、同時に飼い主の責任も増大します。無理のない計画を立てることが大切です。
まとめ:パグとの幸せな毎日を過ごすために
パグは、その愛らしい見た目と陽気な性格で、私たちの生活にかけがえのない喜びをもたらしてくれる素晴らしいパートナーです。
彼らと幸せな毎日を過ごすためには、パグ特有の体の構造や性格を理解し、適切なケアと愛情を注ぐことが何よりも重要です。
食事管理による肥満予防、熱中症対策を含む適切な運動、そして顔のしわや目のケアといった日々の丁寧なお手入れは、パグの健康寿命を延ばすために欠かせません。
また、短頭種特有の病気やその他の疾患についても知識を深め、早期発見・早期治療を心がけることが大切です。
パグとの絆を深め、共に過ごす時間を最大限に楽しむことで、あなたの日常はより豊かなものになるでしょう。このガイドが、パグとの素晴らしい生活の一助となれば幸いです。
この記事の執筆者
nademo編集部
編集部
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