犬の食事

子犬のご飯をふやかすのはいつまで?切り替え方と注意点【獣医師監修】

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おうちに子犬を迎えるとき、お店や譲渡元から「赤ちゃんの間はペットフードをふやかして与えてくださいね」と言われます。

このとき、具体的なふやかし方であったり、いろいろ分からないことが出てきて不安になっている方は多いのではないでしょうか。

一度ふやかしごはんを始めたらいつまで続けるべきなのか?通常のごはんへ移行するタイミングを悩んでしまう飼い主さんも多いはず。

そこでこの記事ではごはんのふやかし方や与え方、ふやかさないごはんへの切り替え方などについてお伝えします。

この記事の結論

  • 子犬にふやかしたごはんをあげるのは、生後3か月から4か月頃までが目安
  • 離乳期の子犬にカリカリのままあげるのは、消化不良や喉に詰まらせる危険性がある
  • 子犬に与えるドライフードは、お湯やレンジでふやかし、人肌程度の適温にする
  • ふやかしたフードからカリカリへの切り替え時には、少しずつカリカリ量を増やす

宮崎 謙二郎

監修者

宮崎 謙二郎

獣医師

東京農工大学附属動物医療センター全科研修医課程終了後、同施設腫瘍外科にて勤務。2023年4月、東京都江戸川区に小岩どうぶつ診療センターを開業。

nademo編集部

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子犬のごはんをふやかすのはいつまで?

子犬にふやかしたごはんを与える期間は、生後3か月から4か月頃までが目安です。

一般的に乳歯が生えそろい、普通のフードを食べられるくらいまでに消化器官が成長するのがこの頃だと言われているからです。

乳歯が生え揃っていないうちは通常のドッグフードだと食べづらいこともあります。

そのため、ドッグフードの芯が残らないぐらいにふやかすというのがおすすめ。

でも人間同様、犬も成長の速度はそれぞれ。愛犬の成長をみながら、その子にあったふやかしごはんの与え方、普通のフードへの切り替え方などを判断しましょう。

生後3~4か月を過ぎてすぐ切り替えるのではなく、少しずつふやかす時間を短くして硬めにしてみたり、愛犬の体調を確認しながら固形フードに切り替えていきます。

離乳期の子犬に硬いごはん(固形フード)を与えてはいけない理由

母乳や犬用ミルクを卒業する離乳期の子犬に、成犬が食べるような普通の硬さのごはんを与えてはいけない理由は主に3つあります。

  • 消化器官が未発達で消化不良を起こしやすい
  • フードを丸飲みして、喉に詰まらせてしまう可能性がある
  • 歯茎を傷めて、永久歯の生え方に影響を及ぼすおそれがある

人間の赤ちゃんでも、離乳期には離乳食を与えるのと同じように、離乳期の子犬には離乳期に適した食事が必要です。

この中でも特に注意したい2点について、より詳しく解説します。

未発達の消化器官では消化不良に陥る

硬くて食べづらい状態のドッグフードだと、食べづらいからと丸飲みしてしまうこともあります。

もともと犬はほとんど噛まずに丸飲みする習性があり、野生では食事を横取りされないように急いで食べる習慣がありました。

ですが、しっかり噛んで胃の中に入れなければいけないのに、丸飲みでは消化器官に負担がかかってしまいますよね。

人間の赤ちゃんに離乳食があるように、子犬にも離乳食のような柔らかくて消化のいいごはんを食べながら、 徐々に普通のごはんを食べられるように慣れさせていく移行期が必要です。

丸飲みすると喉に詰まらせる可能性もある

犬は歯や体の構造的に、人間のようにしっかりと噛み砕いてから飲み込む、ということはありません。

ほとんど噛まずに飲み込んでしまう、というのが一般的な食べ方なので、ほぼ丸飲みになるのです。

しかしまだ食道が細く体が完成しきっていない子犬期は、小さなドッグフードの粒でも丸飲みすると詰まってしまうことがあります。

そのため、丸飲みしても喉に詰まらないよう、しっかりとふやかして詰まりづらいように準備してあげる必要があるのです。

子犬にふやかしたごはんを与えるメリット

多くの人がイメージする愛犬の食事といえば、やはりドライフードです。

しかし前述したように、子犬に対しては硬いままのドライフードをあげるのではなく、ふやかしてからあげるようにします。

子犬にふやかしたごはんを与えるメリットは5つあります。順番にご説明しましょう。

胃腸に優しく消化吸収がしやすくなる

ふやかしたごはんは、ドライフードをぬるま湯で柔らかくして作るのが一般的です。

人間の赤ちゃんに作る、風味を抑えた雑炊やパンがゆというとイメージしやすいでしょうか。

ふやかしたごはんは胃腸にやさしく、消化器官が発達途上の子犬にも安心して与えることができます。

一般的なドッグフードはカリカリと音を立てて食べているイメージもあると思いますが、子犬にとってのごはんはしっかりとふやかしてあげることが大事です。

ごはんと一緒に水分も摂れる

生後3か月くらいの子犬は成犬以上に遊んだり走り回ったりして、消耗していることも多いもの。体内の水分量も失われやすい状態にあるでしょう。

お水を与えるほかに、ふやかしたごはんでたっぷりと水分を与えてあげることで、子犬の水分摂取を補えます。

ドライフードには水分が含まれていないため、食事と同時に水分を摂ることができません。

その点、ふやかしたごはんであれば、食事の際に水分摂取を補ってあげることができます。

一気に食べても喉に詰まらない

ごはんの食べ方を学び始めたばかりの子犬のなかには、食べたフードがおいしくてついガツガツと食べ急いでしまう子もいます。

子犬は食べ物をかんで飲み込むことに慣れていないので、一度に飲み込む量が多すぎるととても危険です。

その点、ふやかしごはんなら一気に食べたとしても、喉に詰まりづらく事故も起こりづらいです。

最初はたっぷりの水分でふやかして、一度にいっぱい食べたとしても飲み込みに影響がないよう配慮してあげましょう。

水分によってごはんがかさ増しされ、満足感がアップする

生後3か月~4か月の子犬の頃は、元気に遊びまわってたくさん寝て過ごす子がほとんど。よく寝てよく遊んで、お腹が空いていることも多いでしょう。

とはいえ、まだまだ小さな子ども。一度に食べられる量には限りがあります。

水分によってごはんのかさが増すことで満足感が得られて、食べすぎや肥満を防げます。

子犬の頃は成長に向けて多めのドッグフードを用意することになりますが、与え過ぎも禁物。

場合によっては体調不良にも繋がるため、適度な満足感を与えてあげることが大事です。

歯がなくても食べられる

生後間もない子犬は、乳歯も生えそろっておらず硬いものを咀嚼して食べることができません。

フードを十分ふやかすことにより歯で噛まなくてもいいくらいにすると、歯がない時期や、十分に生えそろっていない時期でもおいしく食べられます。

このころに食べるごはんが食べやすければ、ごはんをおいしいものだと認識して、ちゃんと食べる子に育ってくれますよ。

ごはんがおいしい生活を送れる子になるよう、離乳期のごはんはしっかりふやかしましょう。

子犬に与えるごはんの正しいふやかし方

子犬に与えるごはんのふやかし方はとても簡単です。いくつかのステップを覚えれば、すぐに作れますよ。

さっそくトライしてみましょう。

ぬるま湯でのふやかし方

ふやかしごはんを作る際には、ぬるま湯で作るのがベストです。

ぬるま湯で作れば冷ます時間を減らせますし、作る過程や食べる際に火傷しづらくなります。

ふやかすごはんをぬるま湯で作るときは、以下の手順で行いましょう。

① 1食分のフードをお皿に入れる

② 30℃~40℃のぬるま湯を、ドッグフードがひたひたになるように注ぐ

③ 10分~15分ほど放置する

④ 粒を指でつぶして、柔らかくなっているか確認する

⑤ ふやかし終わったら食べやすいように、さらに少しつぶしてから与える

ふやかす際にはぬるま湯にすることが大事です。熱すぎると食べられません。

ふやかすために使ったお湯が30℃~40℃程度であれば、5分も放置すればすぐに食べやすい熱さに変わります。

放置したあとには必ず自分の指で確認して、柔らかさと温度を確認しておきましょう。

電子レンジでのふやかし方

電子レンジでは、種類によっては温めムラができやすいフードもあるでしょう。

最初は、全体的に温まっているか、確認しながら作ることをおすすめします。

① 1食分のフードを耐熱容器に入れる

② 常温の水をドッグフードがひたひたになるように注ぐ

③ 容器にラップをして500Wで約20秒温める(600Wなら約16秒、700Wなら約14秒)

④ 粒を指で潰して、柔らかくなっているか確認する

⑤ ふやかし終わったら食べやすいように少し潰して与える

こちらも熱すぎないか、必ず指で確認してからあげるようにします。容器をそのまま使う場合には、必ず冷ましてからです。

指で柔らかさを確認してみて、もし芯が残っているようであれば数分ほどそのまま放置してみてください。

子犬にふやかしたごはんを与える際の注意点

ドライフードのままでは危険ですが、ふやかす際にもルールがあります。

事前にルールを確認しておき、後から「あっ!」とならないようにしておきましょう。

なるべくぬるま湯でふやかす

電子レンジは便利ですが、加熱したときにムラができやすいという難点があります。

均等にふやかすことができれば問題ないものの、電子レンジでは加熱しすぎてしまう、という可能性もあります。

また場合によっては焦げてしまうこともあるため、ぬるま湯を使うのがベストです。

ぬるま湯の温度を測ることが難しければ、人肌程度のぬるま湯と覚えておくとやりやすいです。

指を浸けてみて多少の熱さを感じる程度が人肌程度。熱さを感じなければ、すでに冷えているぐらいになっています。

ふやかすときは水道水を使う

ミネラルウォーターはミネラルが豊富なお水なので、お水を飲むときは常にミネラルウォーターを選択する、という方もいらっしゃるでしょう。

しかし犬を始めとした動物にミネラルウォーターを与え過ぎると下痢を引き起こしたり、尿路結石症のリスクを高めてしまう恐れがあります。

良かれと思ってミネラルウォーターを使ってしまうことがないよう、同居のご家族がいれば情報共有しておきましょう。

特に硬水のミネラルウォーターはミネラル成分が非常に多く含まれますので、注意が必要です。

日本の場合は水道水が軟水なので、基本的には水道水で問題ありません。一部地域では硬度が高い水道水もありますので、確認してみましょう。

人間用のミネラルウォーターを選択するぐらいであれば、ペット用飲料水を検討するのが良いでしょう。

ふやかしたときのお湯は捨てないようにする

ドッグフードをぬるま湯でふやかすと、フードに含まれる栄養分が流れ出てきます。

この流れ出た栄養分も子犬にとっては大事な栄養源。見た目が悪いからとは言っても、捨てずに与えてください。

そしてしっかり栄養分が流れ出たお湯まで完食するよう、見届けましょう。

一度に食べる量だけふやかす

ふやかしたフードは雑菌が繁殖しやすいため、作り置きはできません。多少面倒でも与えるたびに、作ってあげましょう。

面倒を感じるようならパウチ入り、缶入りの子犬向けフードを用意してもよいでしょう。

ただ、パウチや缶入りはドライフードよりコストが高い傾向にあります。

ふやかす必要のある期間は子犬期の最初の6か月程度なので、そのあいだは食事のたびに用意してあげる必要があります。

フードを残してしまった場合は破棄する

ふやかしたフードを残してしまった場合でも、そのフードを使い回すのは絶対にNGです。

食べ残したフードは愛犬の唾液が混ざっており、そのまま置いておくと雑菌が繁殖する危険性があります。

「食べずに捨てるのはもったいない」と思ってしまう気持ちもわかりますが、そこは安全性を優先してあげてください。

雑菌が繁殖したフードでは食中毒などのリスクが高まるため、残したフードは必ず捨てましょう。

毎日歯磨きを行う

人間同様、犬も小さい頃から歯磨きの習慣をつけることは大事です。

ふやかしフードを与えるくらいまで成長したら、歯磨きも毎日行うようにしましょう。

水分を多く含んだごはんは歯垢が付きやすくなるので、歯石になる前にしっかりと汚れを落とせるようにしてあげるのが理想的。

歯磨きは嫌がる子も多いので、小さい頃から少しずつ慣れてもらう必要があります。

生涯を通じた適切なオーラルケアで、元気に長生きできる環境を整えてあげてくださいね。

子犬にふやかしたごはんを与える回数

人間の赤ちゃん同様、胃腸が成長途中にある子犬は、1回の食事量を少なめにしつつ、食事の回数を多めにするのが肝要です。

生後2か月頃までは1日4回。3か月から5か月くらいまでは1日3回を目安に食事を与えましょう。

上記の回数でお腹が空いてしまうような素振りを見せたら、1日に与える量はそのままに、与える回数を多くする、というのも良いです。

生後半年を過ぎたら、基本的には朝晩の1日2回~朝昼晩の1日3回を目安に与えるようにします。

子犬のふやかしたフードから固形フードへの切り替え方

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体が成長するにつれて、体の色々な部位が成犬へと変わっていきます。

その過程でドッグフードの変化も必要。かといってすぐに切り替えてしまうと不調の原因にもなりますので、次の手順を確認しておきましょう。

ふやかす時間を少しずつ短くしていく

ふやかしたフードからドライフードに移行するときは1週間から10日ほどかけて、少しずつ水分量やふやかす時間を減らしていきます。

例えば、最初の頃は「一食分のドッグフードにぬるま湯をひたひたにして10分~15分後に与える」という形です。

これを、

  • ぬるま湯の量を2/3、ひたし時間を10分前後
  • ぬるま湯の量を半分、ひたし時間を7分程度
  • ぬるま湯の量を1/3、ひたし時間を5分前後

と段階的に固形物に近づけていき、最終的にドライフードをそのまま与えられるようになればゴールです。

硬めのフードを嫌がったときは柔らかい状態に戻して、再び少しずつ水分量を減らしていきましょう。

切り替えたときは消化不良が起きていないかをチェック

子犬は消化器官がまだ未発達で、食べたものによっては消化不良を起こす場合もあります。

そのため切り替えの過程はもちろんのこと、ドライフードに完全に切り替えた際は、うんちの状態をチェックしましょう。

便秘気味だったり、逆にゆるかったりする場合は消化不良を起こしている恐れがあります。やわらかめにふやかしたフードに戻して、様子を見ましょう。

切り替えがうまくいかなくても焦らず、1週間から2週間ぐらいの時間をかけて徐々に切り替えします。

ただ、体調の変化が明らかな場合には必ず早めに動物病院を受診しましょう。

固形フードに切り替えるタイミングは愛犬のペースに合わせて

ふやかしたごはんをいつまで与えるかは、愛犬によってバラバラ。 ここでご紹介したステップで、順調に進められるかどうかは分かりません。

硬めのフードを食べてくれなくても慌てずに、じっくりとその子のペースに合わせて進めましょう。

水分量やふやかし時間を減らしたごはんを食べたときには、たくさん褒めてあげてください。

そして、その子が満足のいくまでたっぷりと遊んであげましょう。

ごはんはおいしい!ちゃんと食べたらこんなに褒めてもらえる!!と学習すれば、その後の食育もスムーズに進むことでしょう。

この記事の執筆者・監修者

宮崎 謙二郎

監修者情報

宮崎 謙二郎

獣医師

幼少期よりウェルシュコーギーと育ったことが影響し獣医の道へ。
東京農工大学附属動物医療センター全科研修医課程終了後、同施設腫瘍外科にて勤務。2023年4月、東京都江戸川区に小岩どうぶつ診療センターを開業。

nademo編集部

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