犬の病気・健康

【獣医師執筆】犬の入院が必要になる症状と入院時の過ごし方

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愛犬の入院が必要なのはどんなとき?入院時の過ごし方や必要な物について

愛犬が入院することになると、とても心配でいてもたってもいられないと思います。

ではそもそも、どんな状況ならば入院が必要になるのか、事前の準備も踏まえて知っておきたいところでしょう。

入院について事前に知っておくことで、少しでも不安を取り除くお手伝いができれば幸いです。

この記事の結論

  • 入院が必要になるケースとは、安静が必要なときや急変する可能性があるときなど
  • 入院施設には3種類あり、「一般入院室、ICU、隔離入院室」と分けられる
  • 入院時は安静にしなければいけないケースが多く、小さめのケージ内で過ごすことになる
  • 入院時には持ち込みNGな病院もあるが、慣れ親しんだものを持ち込んであげるのがおすすめ

杉山 杏奈

執筆・監修

杉山 杏奈

獣医師

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、動物看護士・トリマーの専門学校で教員を行う傍らトリミングのライセンスも取得。
その後、ペット保険会社、動物病院向けの専門商社に勤務。現在は2児の母で子育て奮闘中です。

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犬の入院が必要になる主な3つの症状・ケース

ちょっとしたケガや病気であれば通院だけで済むことも多いため、必要以上に慣れない場所で過ごすような入院は必要ありません。

しかし、犬の入院が必要なときは主に3つあります。

  1. 手術や全身麻酔後などの安静が必要なとき
  2. 急変する疾患など、何かあった際に直ぐに処置が必要となるとき
  3. 通院では対応しきれない投薬や検査が必要なとき

いずれも、体を休めることが必要になるケースで、安静にしておく必要があると、入院という選択になりやすいです。

こうしたケースでは入院が必要になることもあるため、緊急時にも対応できるような準備をしておくと良いでしょう。

犬の入院施設の種類

病院によって入院施設の種類や規模が異なりますので、かかりつけの病院の入院施設状況などは事前に確認しておくとよいでしょう。

ここでは一般的な入院施設の種類について、大きく3つに分けてご紹介します。

一般入院室

一般入院室とは、ステンレス製のケージが並んでいるお部屋です。

犬猫が分かれている施設と、一緒の入院室になっている施設があります。

特別な事情がなければ一般入院室が選択されて、落ち着いて過ごせるような空間を作ってくれています。

ICU(集中治療室)

ICUでは、温度・湿度・酸素濃度が常に一定にコントロールされています。

ケージ内が見やすくなっており、常にスタッフの目に入る場所に設置されています。

命に関わるような緊急度の高い子は集中治療室に運ばれ、症状の重い子が過ごす場所です。

隔離入院室

感染症を患った動物が入院する施設で、一般入院室とは別の部室になっており、他の部屋と空気が遮断されています。

感染が拡大しないように隔離されるため、それぞれが個室で過ごすことになります。

仮に隔離入院室がない動物病院だと、感染症を患ったときには適切な空間で過ごすことができなくなります。

愛犬が入院した後の過ごし方

飼い主さんとして心配なのが、愛犬のことが見えない・わからない入院中のことではないでしょうか。

実際に愛犬が入院した際はどのように過ごすのか、詳しくご紹介します。

生活環境・お部屋

どのような理由で入院しているかにもよりますが、基本的には一般入院室のケージに1匹ずつ入って過ごします。

安静にしなければいけないので、動き回ったりが出来ないように少し小さいケージに入って過ごします。

面会などで訪れた時にケージが少し小さく感じるかもしれません。

食事

一般的には1日2回、動物病院で提供されるフードを食べます。

食事制限などが必要な場合や自分で食餌ができない場合なども、すべて動物病院で管理して対応してくれるので安心です。

食事制限がない場合や、動物病院のフードを食べるか心配な場合などは獣医師に相談して自宅フードを持参することもできますので、心配であれば確認してみましょう。

また、食欲がない犬の場合は、食べなれているフードを飼い主さんから直接あげることで食欲のきっかけ作りをすることもあります。

散歩・運動

運動制限がない場合は、病院のスタッフが散歩に連れていってくれる病院がほとんどです。

中にはドッグランなどの運動場が併設されている動物病院もあります。

お散歩の有無などは事前に動物病院に確認しておくと良いでしょう。

面会

面会時間が決まっている病院がほとんどですので、その時間に合わせて毎日面会に行ってあげることが望ましいです。

面会時に注意していただきたいことは「興奮させない」ことです。

愛犬も飼い主さんも嬉しいかと思いますが、静かに落ち着かせるように面会するよう心がけましょう。

愛犬の性格(興奮しやすい子や飼い主さんが帰宅後に極端に落ち込む子など)や、病気によっては面会をしない方が良い場合もあります。

その場合は、病院から指示がありますので、きちんと従いましょう。

そうはいっても体調の悪い愛犬の状態は、目が届かない状態だと余計に気になるかと思います。

病院によっては、愛犬にわからないようにこっそりドアの外などから面会させてくれるところもありますので、相談してみてください。

夜間の体制

多くの動物病院では人間の病院とは異なり当直医制度はありませんので、その病院の獣医師が2~3時間に1回くらい見回りまたは遠隔のモニターなどで確認します。

当直医制度を設けていない病院での急変時は、自宅と動物病院が同じ建物の方が対応が早い傾向があります。

また、大学病院や高度医療センターなどでは24時間獣医師がいることが多いです。

事前に夜間の管理体制を確認しておきましょう。

愛犬が入院したときに必要な物

基本的に必要な持ち物はありませんが、慣れない環境で心細い愛犬が少しでも落ち着くようにしてあげるのが良いです。

いつも使っている飼い主さんや自分のニオイがついたブランケット、おもちゃなどがあれば持って行ってあげると愛犬も安心します。

ですが、衛生面や感染症などの観点から持ち込みNGの病院もありますので、事前に確認をしてください。

お洋服は必要ありませんので、脱がせて行きましょう。

愛犬の入院にかかる費用

入院費は1泊2,000~15,000円と病院によってかなり幅があります。これは入院費の内訳が動物病院によって異なるためです。

例えば、入院だけの費用の場合、食事代が含まれている場合、ICUなどの高度機材を使用する入院の場合など一概に「入院費」といっても動物病院によって内容が異なっているので確認しましょう。

また、入院は「入院費」だけではありません。検査費用や手術や投薬・処置費用なども加算されます。

そのため、1回あたりの平均的な入院費(手術なし)は約8万円です。手術がある場合は入院費用に手術費用も加算されます。

大きな金額となる場合が多いので、緊急入院でなければ事前に大まかでもよいので金額を確認しておきましょう。

愛犬が退院してから注意すべきこと

愛犬も我が家に帰宅でき飼い主さんともスキンシップがとれるので、嬉しくなり興奮してはしゃいでしまうと思います。

ですがここは飼い主さんがグッとこらえて、静かに興奮させないように接することを心がけましょう。

興奮して動き回ったり必要以上に飲食をしてしまうと、傷口が開くことや、胃腸に負担がかかって下痢をしてしまうことがあります。

病気にもよりますが、退院後2~3日はいつもよりも様子を気にかけてあげてください。

手術などで傷がある場合には、エリザベスカラーを付けて過ごすことが多いです。

愛犬が嫌がってしまい可哀そうと思うこともあるかもしれませんが、傷口を舐めて化膿させてしまったりすることの方が可哀そうです。

先生に外しても良いと言われるまではきちんと付けてあげてください。

愛犬が入院しないように普段からできること

病気や怪我での入院は飼い主さんが日ごろから注意することで防げることが多くあります。

例えば、感染症にかからないように定期的なワクチン接種を行う、肥満になりすぎないように散歩や運動を行う。

また、室内のフローリングにマットを引くなど転倒や滑り防止をするだけでも脱臼・骨折などの怪我を防ぐことができます。

この記事の執筆者・監修者

杉山 杏奈

執筆者情報

杉山 杏奈

獣医師

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、動物看護士・トリマーの専門学校で教員を行う傍らトリミングのライセンスも取得。現在は2児の母で子育て奮闘中です。

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