適切なお手入れができており、健康的な体であればニオイが気になるようなことは少ないはず。
ですが、何かしらのトラブルが生じていれば、耳からニオイを感じることもあるでしょう。
耳自体が臭いと思うこともありますし、耳に溜まっている耳垢が原因ということもあります。
正常な場合と比べてどこにトラブルがあるのか、原因を理解してニオイの元を探ってみましょう。
この記事の結論
- 正常な耳の場合には臭うことがないため、悪臭がするならトラブルの可能性が高い
- 犬は耳の入口から鼓膜までの外耳炎になりやすく、中耳炎や内耳炎に波及することもある
- 犬の耳はL字型の構造をしているため、特に蒸れやすく汚れも溜まる傾向にある
- 耳のニオイを軽減するためには耳掃除が大事で、定期的に耳介のみを掃除することが大切
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目次
犬の耳は正常なら臭わない
人間であろうと犬であろうと、耳には外耳道から外へと耳垢を排出させる自浄作用があります。
特別なお手入れを必要とせず、健康的な体であれば自然に排出されるため、トラブルになることは多くありません。
外耳道の奥までいけば自浄作用があまり働かないものの、この機能によりトラブルは少ないのです。
そのため正常であれば耳が臭うということは少なく、臭いのであれば何かしらのトラブルが考えられます。
犬の耳が臭い原因
愛犬の耳が臭いと思ったときに考えられるのは、結局のところ耳の病気です。
大きく分けると3種類があり、もっとも耳奥である内耳炎から中耳炎、そしてもっとも耳の外(主に耳介)に近い外耳炎です。
犬は耳の構造も相まってこうした病気になりやすく、特に外耳炎は多くの犬において見られます。
外耳炎
もっとも多く見られる耳の病気が、耳の入口から鼓膜までの間を指す外耳の炎症、外耳炎です。
人の耳の構造とは違い、犬の耳の構造はL字型。とても通気性の悪い構造をしているのです。
そのため外耳炎をさらに悪化させるような細菌や真菌などが繁殖しやすく、特に垂れ耳になると蒸れやすくなります。
外耳炎の原因にはアレルギーや異物、寄生虫や細菌・真菌など、さまざまです。
中耳炎
鼓膜からさらに奥には中耳があり、ここで炎症が起きると中耳炎になります。
外耳炎と比べて外から目で見て判断できるものではなく、症状としてあらわれづらいものも多いです。
細菌感染による原因が多く見られ、脳と近いこともあって重症化しやすい部分でもあります。
外耳炎を放置していたり満足に治療ができていないと中耳炎になることもあるため、外耳炎の時点で早めの治療が必要です。
内耳炎
もっとも脳に近い内耳は前庭、半規管、蝸牛からなっており、聴覚に加えて平衡感覚を保つ働きもしています。
この内耳に炎症が起きると内耳炎になり、中耳炎同様に症状が重症化しやすい部分でもあります。
やはり内耳炎についても、中耳炎や外耳炎の炎症が広がったことで起こりやすいです。
内耳炎の症状は旋回や嘔吐、食欲不振などを伴う一方、外耳炎や中耳炎を併発していることが多いです。
注意したい犬の耳垢の種類
愛犬の耳が臭いときにはおそらく、さまざまな種類の耳垢が伴っているはずです。
これらの耳垢はニオイの原因になることもあるため、ひとつの目安にしてみてください。
注意したい犬の耳垢の種類
- 黒っぽい耳垢
- 黄色く湿った耳垢
- 茶色く独特なニオイがする耳垢
正常な耳垢は薄い黄色をしており、乾燥しているはずです。
これに対して色が変わっていたり乾燥しておらず湿っていたり、というのはトラブルになっている可能性があります。
あくまでもこれらは目安であるものの、注意したい耳垢の種類として覚えておきましょう。
犬の耳のニオイを予防する方法
病気によって耳のニオイを感じるときには、まずその病気を治療するところから始まります。
そのため原因によって予防方法も異なるものの、基本的なニオイの対策には耳掃除が必要です。
定期的な耳掃除
耳の外耳道には自浄作用があるものの、耳は皮脂が出やすい場所でもあるので汚れが溜まりやすいです。
どれだけ自浄作用が働いていても、それだけでは健康を維持できないときだってあるもの。
定期的な耳掃除によって汚れはその都度取り除き、健康的な耳の状態を維持すると良いでしょう。
耳掃除は毎日行うようなものではなく、臭いや汚れ具合に応じて1週間から2週間に1回程度を目安に耳掃除を行うのが良いです。
見える範囲での異変のチェック
耳の奥までは見えないですが、耳介だけであれば日頃からチェックすることができます。
その見える範囲だけで問題ありませんので、異変がないか日々チェックしてあげると良いです。
異変があればすぐに気付けるようになりますし、いつから異変が始まったかを記録することができます。
これだけでも早期治療が可能になりますので、悪化する前に治療を開始できます。
犬の耳が臭いならまず動物病院へ
愛犬の耳が臭いと感じたら、自宅でなにか対処しようとするのではなく、まず動物病院へ行きましょう。
たまたまなにかの汚れによってニオイを発している可能性もありますが、簡単には判断も特定もできないものです。
また、以下のような症状が同時に見られるようであれば、様子見は危険です。
注意したい症状
- 耳をかいている
- 赤みや肌の変色が見られる
- 頭をよく振る
- 耳に触れられるのを嫌がる
- 耳垢がとても多い、掃除をしてもすぐ溜まる
- 耳の周囲の毛が抜けている
- 頭を傾けている
- 耳が赤く腫れる
原因が分かっていて対処できているならば問題ありませんが、そうでないならばまず動物病院へ行くのが良いです。
専門家の判断を仰ぎ、適切な治療を行いましょう。
日常的な犬の耳掃除のやり方
耳掃除はやり方を間違えると悪化してしまうため、やり方は先に理解しておきましょう。
耳掃除自体は全く難しいものではないものの、加減がやや難しいところもあります。
【正しいやり方①】耳掃除は耳介のみに留める
耳掃除といっても、耳の奥深くまで掃除をする必要はなく、見える範囲でOKです。
耳介といって耳の穴の入口までで問題なく、それ以上奥まで掃除をする必要はありません。
逆に耳垢を押し込んでしまう可能性もあるため、必要以上に掃除をしないことも重要。
綿棒よりもコットンやガーゼなどを使い、ペット用のイヤークリーナーを使用して掃除してあげるのがおすすめです。
また、イヤークリーナーなど水分を含んだもので耳掃除を行う際には、必ず最後は乾いたコットンなどで水気を拭き取ることも重要です。
【正しいやり方②】頻度は1週間~2週間に1回程度
歯磨きのように毎日すべきケアではなく、耳掃除の頻度は1週間から2週間に1回程度で問題ありません。
それ以上の回数をやると逆に傷つけてしまったり、症状が悪化してしまう原因にもなります。
基本的に耳には自浄作用があり、汚れは自動的に排出されるような仕組みになっています。
耳掃除でできることは健康な状態を維持するだけであり、問題があるならば回数を増やすのではなく、動物病院を受診するようにしましょう。
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【間違ったやり方①】綿棒を使って奥まで掃除する
耳掃除と言えば綿棒を使って耳奥まで掃除したくなりますが、まず犬の場合は大人しくしていることが難しいケースもあります。
仮に大人しくしていても、急に動き出してしまい、耳奥まで傷つけてしまう可能性だってあるでしょう。
耳垢を奥まで押し込んでしまう可能性もあるため、使うのはガーゼやコットンにし、耳介までにとどめておいてください。
【間違ったやり方②】耳毛を抜く
「耳毛を抜くことで汚れを溜まりづらくする」という方法がありますが、必ずしも正解だとは言えません。
耳毛を抜くことは痛みを伴ううえ、炎症や感染のリスクもあり、危険を伴うケースもあるからです。
あくまでも自己判断で耳毛を抜くようなことはせず、希望する場合にもまずはかかりつけの獣医師に相談するところから始めましょう。
犬の耳トラブルが多い犬種
多くの犬は耳が垂れていないため、中が蒸れるということはあまり多くありません。
立ち耳など通気性がよくなっていれば蒸れないので、耳垢も乾燥しやすく、細菌が繁殖しづらいのです。
その一方で垂れ耳の子たちは耳トラブルが多くなりがち。以下のような犬種は注意が必要です。
犬の耳トラブルが多い犬種
垂れ耳であったり耳毛が多かったり、元から耳垢が多い犬種なども存在するため、注意が必要です。
立ち耳でもシャンプーによって水が耳の中に入ってしまい、抜けないまま蒸れてしまう可能性もあります。
お風呂の入れ方についても注意が必要になるので、上記の犬種特徴とあわせて確認しておきましょう。
また、皮膚炎やアレルギーの症状がある子の場合は、外耳炎などの耳のトラブルが起きやすくなるため、耳のニオイが気になったら早めに動物病院を受診しましょう。
この記事の執筆者
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